JP4825472B2 - 電子写真用トナー - Google Patents

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Description

本発明は電子写真法、静電記録法、静電印刷法などにおいて使用される電子写真用トナーに関する。
従来、結晶性樹脂を電子写真用トナーに多量に含有させることにより低温定着性が改善されることが知られている。このようなトナーとして、例えば、結着樹脂と着色剤とからなるトナー母粒子を含有し、結着樹脂の主成分が融点50〜120℃の結晶性樹脂からなり、トナー母粒子の体積平均粒径が3.0〜7.5μmの範囲にあり、トナー母粒子のBET比表面積の平均値が0.6〜3.0m2/gの範囲にある電子写真用トナーが開示されている(特許文献1参照)。
また、結着樹脂と着色剤とを含み、結着樹脂が、不飽和部位による架橋構造を有する結晶性ポリエステルを主成分として含み、かつトナー粒子が球状である電子写真用トナーが開示されている(特許文献2参照)。
しかしながら、上記各特許文献に記載の電子写真用トナーは、低温定着性はある程度良好であるものの、一方で、現像時に転写されなかった感光体上のトナーの掻き取り性、すなわちクリーニング性については、充分ではなかった。
特開2003−167380号公報 特開2001−117268号公報
本発明は、クリーニング性と低温定着性を高いレベルで両立し得る電子写真用トナーを提供することを目的とする。
本発明者らは、優れた結着樹脂と着色剤とを含有する乳化粒子を凝集及び合一させてなる合一粒子を含み、かつ前記結着樹脂が結晶性ポリエステルを主成分とすると共に、表面形状係数が特定の範囲にある非球形のトナーが、電子写真用トナーとして、前記課題に適合し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、結晶性ポリエステルを80重量%以上含有する結着樹脂と着色剤とを含有し、該結着樹脂を70〜97重量%含有する乳化粒子を凝集させて凝集粒子を得て、該結着樹脂の軟化点−50℃以上、該結着樹脂の軟化点+10℃以下の温度で該凝集粒子を合一させて得る、下記式(1)で表される表面形状係数が2.0〜4.0であり、円形度が0.930〜0.965である電子写真用トナーの製造方法、及び当該製造方法により得られる電子写真用トナーに関する。
式(1):表面形状係数=実測のBET/計算上のBET
(ただし、実測のBETはガス吸着法BET比表面積測定装置を用いて求めた値であり、計算上のBETはトナーの体積中位粒系及びトナー密度1.2g/cm 3 から完全球体と仮定して表面積を算出した値である。)
本発明によれば、クリーニング性と低温定着性を高いレベルで両立し得る電子写真用トナーを提供することができる。
本発明の電子写真用トナーは、結着樹脂と着色剤とを含有する乳化粒子を凝集及び合一させてなる合一粒子(以下、トナー母粒子と称することがある)を含むトナーである。
結着樹脂としては、結晶性ポリエステルを50重量%以上の割合で含むものが用いられる。結着樹脂中の結晶性ポリエステルの含有量が50重量%以上であれば、低温定着性の良好なトナーが得られる。低温定着性の観点から、結着樹脂中の該結晶性ポリエステルの含有量は60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上が更に好ましい。
また、結晶性ポリエステルのトナー中の含有量は、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、トナーの低温定着性及び耐久性の観点から、80〜95重量%が更に好ましい。
ポリエステルの結晶化の度合いは、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)で定義される結晶性指数によって表され、一般にこの値が1.5を超えると樹脂は非晶質であり、0.6未満のときは結晶性が低く非晶質部分が多い。従って、本発明における結晶性ポリエステルとしては、この結晶性指数が0.6〜1.5のものが好ましく用いられ、低温定着性の観点からは、0.8〜1.3がより好ましく、更に好ましくは0.9〜1.1である。
この結晶化の度合いは、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。ここで、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。吸熱の最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば、このピーク温度を融点とし、軟化点との差が20℃を超える場合は、このピークをガラス転移に起因するピークとする。結晶性指数を規定する軟化点及び吸熱の最高ピーク温度の測定方法については後で説明する。
結晶性ポリエステルの原料モノマーとしては、公知の2価以上のアルコール成分と、2価以上のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸エステル等の公知のカルボン酸成分が用いられる。
具体的には、結晶性ポリエステルのアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等の脂肪族ジオール:式(1):
Figure 0004825472
(式中、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyは各々正の数を示し、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5.0である)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコール等が挙げられる。ポリエステルの結晶化を促進する観点から、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを用いることが好ましく、中でもα,ω−直鎖アルカンジオール、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールまたはこれらの混合物が好ましい。これらのアルコール成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記炭素数2〜8の脂肪族ジオールの全アルコール成分中の含有量は、ポリエステルの結晶性を促進する観点から、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。なかでも、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、またはこれらの混合物が、全アルコール成分中、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含有されていることが望ましい。
結晶性ポリエステルのカルボン酸成分としては、ポリエステルの結晶化を促進する観点から、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸等の炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましい。これらのカルボン酸成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物の全カルボン酸成分中の含有量は、ポリエステルの結晶化を促進する観点から、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。
また、トナーの帯電性及び耐久性の観点から、結晶性ポリエステルのカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香環を有する芳香族ジカルボン酸化合物やシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸化合物も好ましく用いられ、中でも、テレフタル酸が特に好ましい。これらの芳香族ジカルボン酸化合物及び/又は脂環式ジカルボン酸化合物の全カルボン酸成分中の含有量は、トナーの帯電性及び耐久性の観点から、80〜100モル%が好ましく、90〜100モル%がより好ましい。特に、テレフタル酸が、全カルボン酸成分中、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%含有されていることが好ましい。
本発明においては、ポリエステルの結晶化を促進するため、結晶性ポリエステルは、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを80〜100モル%含有したアルコール成分とカルボン酸化合物であるカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであることが好ましく、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを90〜100モル%含有したアルコール成分とカルボン酸化合物であるカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであることが更に好ましい。
また、本発明においては、更にポリエステルの結晶化を促進するために、結晶性ポリエステルは、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを80〜100モル%含有したアルコール成分と炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物を80〜100モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであることが好ましく、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを90〜100モル%含有したアルコール成分と炭素数2〜6の脂肪族ジカルボン酸化合物を90〜100モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであることが更に好ましい。
一方、トナーの帯電性及び耐久性の観点からは、結晶性ポリエステルは、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを80〜100モル%含有したアルコール成分と芳香族ジカルボン酸化合物及び/又は脂環式ジカルボン酸化合物を80〜100モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであることが好ましく、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを90〜100モル%含有したアルコール成分と芳香族ジカルボン酸化合物及び/又は脂環式ジカルボン酸化合物を90〜100モル%含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られるものであることがさらに好ましい。
本発明における結晶性ポリエステルは、分子鎖末端に酸基を有することが好ましい。酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸基等が挙げられ、樹脂の乳化性とそれを用いたトナーの耐環境特性との両立の観点からカルボキシル基が好ましい。結晶性ポリエステルの分子鎖末端の酸基の量は、乳化粒子の安定性並びにトナーの粒度分布及び粒径を決定する重要な因子の一つである。乳化粒子を安定にし、かつ小粒径のトナーをシャープな粒度分布で得るため、分子鎖末端の酸価は、1〜50mgKOH/gが好ましく、5〜45mgKOH/gがより好ましく、10〜40mgKOH/gが更に好ましく、15〜35mgKOH/gが更により好ましい。
また、カルボン酸成分としてトリメリット酸等の多価酸や、アルコール成分としてペンタエリスリトール等の多価アルコールを用いてポリエステルの分子主鎖中にカルボキシル基を導入することもできる。結晶性ポリエステルの分子主鎖中の酸基の量は、結晶化阻害の観点から、ポリエステルを構成するカルボン酸成分全体のモル数に対して、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下である。
さらに、結晶性ポリエステルにおける、(分子主鎖中の酸基)/(分子鎖末端の酸基)で表されるモル比は、同様の観点から、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下が更に好ましく、5モル%以下が更に好ましく、2モル以下が更に好ましい。
結晶性ポリエステルの分子主鎖中の酸基及び分子鎖末端の酸基の量は、結晶性ポリエステルの原料酸及び原料アルコール各々の構造と仕込み比率、結晶性ポリエステルの数平均分子量、及び酸価の測定から算出することができる。また、核磁気共鳴分光法(NMR)や光電子分光法(XPS,ESCA等)等の分析法を酸価の測定と組み合わせて求めることもできる。
結晶性ポリエステルの数平均分子量は、乳化性、定着性、耐オフセット性等の観点から、2,000〜100,000が好ましく、2,000〜20,000がより好ましく、2,000〜10,000がさらに好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。
結着樹脂中に含有されるその他の樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、非晶質ポリエステル、スチレン−アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等がいずれも挙げられるが、なかでも、帯電性の観点から、非晶質ポリエステル及びスチレン−アクリル共重合体が好ましく用いられ、着色剤分散性及び耐久性の観点から、非晶質ポリエステルがより好ましく用いられる。
その他の樹脂として非結晶ポリエステルを結晶性ポリエステルと併用する場合、該非晶質ポリエステルのアルコール成分には、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド(平均付加モル数1〜16)付加物等の、前記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が含有されていることが好ましい。
非晶質ポリエステルとしては、その軟化点が95〜160℃、ガラス転移点が50〜75℃、酸価が1〜40mgKOH/g、及び水酸基価が3〜60mgKOH/gの少なくとも一つの性状を有するものが好ましく用いられる。結晶性ポリエステルの軟化点及び融点は、低温定着性の観点から、好ましくは60〜150℃、より好ましくは60〜130℃、更に好ましくは60〜120℃である。
非晶質ポリエステルの数平均分子量は、耐久性及び定着性の観点から、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜12,000が更に好ましい。
上記非晶質ポリエステルは、トナーの耐久性及び帯電性の点から、結着樹脂中、好ましくは5〜50重量%、更に好ましくは5〜20重量%含有される。
本発明においては、結着樹脂中の酸基の含有量は、例えば、前記の酸成分とアルコール成分の配合比と反応率から、ポリエステル分子鎖末端のカルボキシル基の数により調整できる。重縮合反応は酸価と軟化点が所定の値となったところで終了することにより、酸基を有するポリエステルを得ることができる。
結着樹脂がポリエステルである場合、その分子主鎖中の酸基の数量は、結晶化阻害の観点から、ポリエステルを構成する酸成分全体のモル数に対して、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下である。また、ポリエステルの、(分子主鎖中の酸基)/(分子鎖末端の酸基)で表されるモル比は、同様の観点から、たとえば30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下、更に好ましくは5モル%以下、更により好ましくは2モル%以下である。ここで、分子主鎖中の酸基とは分子鎖末端の酸基以外の酸基を指し、例えば、スルホン酸基を導入したジカルボン酸が酸成分として用いられたときのスルホン酸基がこれに相当する。
本発明で使用する結着樹脂の分子鎖末端の酸基の量は、乳化粒子の安定性並びにトナーの粒度分布及び粒径を決定する重要な因子の一つである。乳化粒子を安定にし、かつ小粒径のトナーをシャープな粒度分布で得るため、前記分子鎖末端の酸基の数量は結着樹脂1g当たり、例えば、0.015〜0.9mmol、好ましくは0.08〜0.85mmol、より好ましくは0.15〜0.8mmol、更に好ましくは0.25〜0.75mmolである。
結着樹脂の分子主鎖中の酸基及び分子鎖末端の酸基の量は、結着樹脂の原料モノマーである酸及びアルコールの構造と仕込み比率、結晶性ポリエステルの数平均分子量、及び酸価の測定値から算出できる。また、核磁気共鳴分光法(NMR)やX線光電子分光法(XPS,ESCA)等の分析法を酸価の測定と組み合わせて求めることもできる。尚、本発明における酸基の量には中和された酸基も含むものとする。
結着樹脂の酸価は、乳化粒子を安定にし、かつ小粒径で粒度分布が狭いトナーを得る観点から、結着樹脂1gあたり、例えば、1〜50mgKOH/g、好ましくは5〜48mgKOH/g、より好ましくは10〜45mgKOH/g、更に好ましくは15〜40mgKOH/gである。
また、クリーニング性の観点から、トナー表面を例えば凹凸状または鱗片状などの非球形とするため、結着樹脂1gあたり、例えば10〜50mgKOH/g、好ましくは10〜45mgKOH/g、より好ましくは15〜45mgKOH/g、更に好ましくは15〜40mgKOH/gである。
着色剤としては、特に制限はなく公知の着色剤がいずれも使用でき、適宜選択することができる。具体的には、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレート等の種々の顔料やアクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、チオインジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアジン系、チアゾール系、キサンテン系等の各種染料を1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の電子写真用トナーは、前述の結着樹脂と着色剤とを含む乳化粒子を凝集及び合一させてなる合一粒子を含む。本発明においては、トナーの帯電性及び耐久性の点から上記乳化粒子中に、結着樹脂を好ましくは70〜97重量%、更に好ましくは85〜97重量%含有する。
また、上記乳化粒子中には、着色剤をトナーの印字濃度の点から上記乳化粒子中に好ましくは3〜30重量%、更に好ましくは3〜20重量%含有する。
乳化粒子は、上記結着樹脂と着色剤に加え、更に必要に応じて離型剤、荷電制御剤などの添加剤を含有する一次粒子であって、非イオン性界面活性剤の存在下、水系媒体中で生成させることが好ましい。
水系媒体は、有機溶剤等の溶剤を含有していてもよいが、水を主成分(50重量%以上)とするものをいう。環境保存の観点から、水の含有量は、水系媒体中、80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、100重量%であることが更に好ましい。すなわち、本発明では、有機溶剤を用いることなく実質的に水のみからなる水系媒体を用いても結着樹脂を微粒化させることができる。水以外の溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶剤が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶剤である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶剤が好ましい。
水系媒体の使用量は、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、結着樹脂100重量部に対して100〜2000重量部が好ましく、150〜1500重量部がより好ましく、250〜1000重量部が更に好ましい。
離型剤の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックスなどが挙げられる。
これらの離型剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
離型剤を含有することで、定着工程での離型性が向上するため、例えば接触加熱型定着方式においては定着ロールに塗布する離型オイルを減少、またはなくすことができる。したがって、離型オイルによる定着ロール寿命の低下やオイル筋等のディフェクトを回避することができ、また低コスト化にもつながる。
離型剤の融点は50〜120℃が好ましく、結着樹脂の融点以下であることがより好ましい。離型剤の融点が50℃以上であれば耐ブロッキング性が良好で、例えば複写機内の温度が高まった時に現像性が悪化するのを抑制することができる。一方、120℃以下であれば、結着樹脂の低温定着性を損ねることがない。
離型剤の含有量は、添加効果及び帯電性への悪影響を考慮して、結着樹脂と着色剤との合計量100重量部に対して、通常1〜20重量部程度、好ましくは2〜15重量部である。
荷電制御剤としては、例えば安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂と着色剤との合計量100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部である。
乳化粒子の調製に使用しうる非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルあるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル類;ポリエチレングルコールモノラウレート、ポリエチレングルコールモノステアレート、ポリエチレングルコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類;オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。また、上記非イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤と併用することもできる。
安定な結着樹脂の分散液を得る観点から、非イオン性界面活性剤のHLB値は12〜18であることが好ましい。また、2種以上の異なるHLB値の非イオン性界面活性剤を併用することもできるが、この場合、上記HLB値の好ましい範囲は、2種以上の非イオン性界面活性剤のHLB値の加重平均をあらわす。
非イオン性界面活性剤の曇点は、常圧、水中で結着樹脂を微粒化させる場合には、70〜105℃が好ましく、80〜105℃がより好ましい。
上記非イオン性界面活性剤の使用量については、特に制限はないが、結着樹脂の乳化性及びトナーの保存安定性の点から、結着樹脂に対し、好ましくは0.1〜50重量%、更に好ましくは1〜30重量%である。
一次粒子を生成させる系内の固形分濃度は、分散工程での分散液の安定性と凝集工程での分散液の取扱い性の観点から、7〜50重量%が好ましく、より好ましくは7〜40重量%、更に好ましくは10〜30重量%である。なお、固形分には、樹脂等の不揮発性成分が含まれる。
乳化粒子である一次粒子の粒径は、攪拌強度、水系媒体の添加速度等により、また、非イオン性界面活性剤を添加する場合は、その添加量によっても調整することができる。結着樹脂、着色剤及びその他の添加剤を含有した混合物に、水系媒体を添加する場合、その添加速度は、均一な一次粒子を得る観点から、混合物100gあたり0.1〜50g/分が好ましく、0.5〜40g/分がより好ましく、1〜30g/分が更に好ましい。
なお、結着樹脂がカルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する場合は、結着樹脂を全部もしくは一部を中和した後、又は中和しながら水系媒体を添加してもよい。結着樹脂として上記酸性基を有するものを用いる場合は、樹脂の自己乳化性の因子が一次粒子の粒径の制御因子となる。
一次粒子の体積中位粒径(D50)は、後の凝集工程で均一に凝集させる観点から、0.05〜3μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.6μmが更に好ましい。
本発明においては、トナーは、水系媒体中で結着樹脂等を含有した一次粒子を凝集させ(以下、凝集工程という)、更に該一次粒子を合一させる(以下、合一工程という)ことにより製造する。
凝集工程における系内のpHは、混合液の分散安定性と、結着樹脂及び着色剤等の微粒子の凝集性とを両立させる観点から、2〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。
同様の観点から、凝集工程における系内の温度は、結着樹脂の軟化点−50℃以上(軟化点より50℃低い温度以上の意味、以下同様)、軟化点−10℃以下が好ましく、軟化点−30℃以上、軟化点−10℃以下がより好ましい。
凝集工程及び続く合一工程における系内の一次粒子の濃度は、工業的な生産性及び生産安定性の観点から、5〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、5〜30重量%が更に好ましい。
凝集工程においては、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することが好ましい。凝集剤としては、4級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が用いられる。上記無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。中でも、3価のアルミニウム塩およびその重合体が、少ない添加量で凝集能力が高く、簡便に製造できるため好ましい。また、帯電特性制御の観点からは、金属錯体、4級塩のカチオン性界面活性剤が好ましい。
凝集剤の使用量は、凝集能力及びトナーの耐環境特性の観点から、結着樹脂100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、20重量部以下がより好ましく、10重量部以下が更に好ましい。
凝集剤は、水系媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌を行うことが好ましい。得られた凝集粒子は、凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供される。
合一工程における系内の温度は、凝集工程の系内の温度と同じかそれ以上であることが好ましいが、目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、結着樹脂の軟化点−50℃以上、軟化点+10℃以下が好ましく、軟化点−40℃以上、軟化点+10℃以下がより好ましく、軟化点−30℃以上、軟化点+10℃以下が更に好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度であることが好ましい。
合一工程は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集工程と同時に行うこともできる。
得られた合一粒子を、必要に応じ、適宜、ろ過などの固液分離工程、洗浄工程、乾燥工程に供することにより、トナー母粒子を得ることができる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー母粒子表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましく、洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー母粒子の乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
上記得られた合一粒子の粒径は、高画質化の点から、体積中位粒径(D50)で3〜10μmであることが好ましく、更に3〜8μmであることが好ましい。
本発明の電子写真用トナーは、このようにして得られた合一粒子(トナー母粒子)を含むものであるが、該合一粒子のトナー中における含有量は、トナーの帯電性及び定着性の点から、95〜100重量%であることが好ましく、96.5〜99重量%であることが更に好ましい。
本発明のトナーには、外添剤として流動化剤等の助剤をトナー母粒子表面に添加処理することができる。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、疎水性シリカを1〜3重量部用いることが好ましい。
従来、トナーの低温定着性を改善するために、結晶性ポリエステルを多量に含有させることは知られている。このようなトナーを湿式法で製造する場合、結晶性ポリエステルは、融点付近でその溶融粘度が急激に低下するため、その形状は球形となるのが通常である。このため、クリーニングを行う際に、トナーがブレードをすり抜けて十分に掻き取れないなどの不具合が生じることがある。
本発明の電子写真用トナーは、結晶性ポリエステルを主成分とし、かつ非球形な形状を有することから、低温定着性に優れ、またクリーニング性にも優れている。
本発明の電子写真用トナーは、表面形状係数が2.0〜4.0の範囲にある。この表面形状係数が2.0以上であれば、トナー粒子は充分に非球形な形状を有し、クリーニング性が良好となる。また、表面形状係数が4.0以下であれば合一工程での融着が充分であって、トナーの耐久性が良好となり、現像時にかかるシェアによりトナーが壊れ、微粉が発生して画質の低下が生じるのを抑制することができる。したがって、表面形状係数は、クリーニング性の観点からは、好ましくは2.3以上、より好ましくは2.5以上であり、更にトナーの耐久性の観点からは、好ましくは3.7以下、より好ましくは3.5以下である。さらに両性能を考慮すると、好ましくは2.0〜3.7、より好ましくは2.3〜3.7、更に好ましくは2.5〜3.5が望ましい。
なお、前記トナーの表面形状係数は、次式
表面形状係数=実測のBET/計算上のBET
(ただし、実測のBETはガス吸着法BET比表面積測定装置、例えばMicromeritics FlowSorb III(島津製作所社製)を用いて求めることができ、計算上のBETはトナーの体積中位粒径及び密度(1.2g/cm3)から完全球体と仮定して表面積を算出する。)
により求めた値である。
また、本発明のトナーは、円形度が0.930〜0.965の範囲にあることが好ましい。この円形度が0.930以上であれば、合一工程での融着が不充分なことに起因する扁平の、あるいは凹凸が多いトナーの含有量が少なく、トナーの耐久性が良好となり、現像と共に微粉が発生するのを抑制することができる。また、円形度が0.965以下であれば、トナー粒子が非球形状となり、クリーニング性が良好となる。より好ましい円形度は0.935〜0.960、さらに好ましくは0.940〜0.960である。
なお、前記円形度は、次式
円形度=粒子の投影面積と等しい面積の円の円周/粒子の周囲長
で表され、真円では1.000である。本発明では、円形度はフロー式粒子像分析装置、例えばFIPA−3000(シスメックス社製)を用いて、個数平均円形度として求めた値である。
本発明のトナーの粒径については、高画質化の観点から、体積中位粒径(D50)で、3〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。
一般に、トナーの物性には、トナーの主な構成成分である結着樹脂の物性が大きな影響を与える。この点から、本発明のトナーに用いられる結着樹脂は、結着樹脂の融点における貯蔵弾性率が、トナーの耐久性及び感光体のクリーニング性の観点から、1×102〜1×106Pa・sであることが好ましい。この値が1×102Pa・s以上ではトナーが非球形となりやすく、現像時に転写されなかった感光体上のトナーをブレードで掻き取ることが容易となり、クリーニング性が良好となる。また1×106Pa・s以下では合一工程での凝集粒子の融着が充分となり、トナーの耐久性が良好で、現像時に微粉が発生して画質が低下するのを抑制することができる。上記観点から、上記粘度は、より好ましくは1×103〜1×106Pa・sであり、更に好ましくは、5×103〜1×106Pa・sである。
さらに、本発明のトナーは、粒度分布のCV値(分散度)が27%以下であることが好ましく、25%以下がより好ましく、24%以下がさらに好ましい。前記CV値は、次式
CV値(%)=[粘度分布の標準偏差/体積中位粒径(D50)]×100
で求められる値である。
このCV値が上記範囲内であれば、粗大粒子による感光体への擦り傷の発生を防止することができ、また小粒子の感光体への付着による画質の低下を抑制することができる。
本発明の電子写真用トナーが適用される被転写体(記録材)としては、例えば電子写真方式の複写機、プリンターなどに使用される普通紙、OHPシートなどが挙げられる。これらの被転写体表面に転写されたトナー画像は、例えば、加熱型定着器により熱定着され、最終的なトナー画像が形成される。加熱型定着器としては加熱ロール等を用いる接触加熱型定着方式や、オーブン加熱による非接触加熱型定着方式が挙げられるが、信頼性や安全性、また熱効率の観点から接触型定着装置を用いることが好ましい。
本発明の電子写真用トナーを用いることにより、低温定着が可能となり、定着工程での消費エネルギーやウォームアップタイムの大幅な低減を図ることができると共に、現像時に転写されなかった感光体上のトナーを、ブレードで容易に掻き取ることができる。
以下の実施例等における、各性状値は、以下の方法により測定、評価した。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。
[樹脂及びトナーの軟化点、吸熱の最高ピーク温度、融点及びガラス転移点]
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)吸熱の最高ピーク温度及び融点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差のときには該ピーク温度を融点とし、軟化点より20℃以上低いときには該ピークはガラス転移に起因するピークとする。
(3)ガラス転移点
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測される場合にはそのピークの温度を、また軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度を、ガラス転移点として読み取る。なお、ガラス転移点は、樹脂の非晶質部分に特有の物性であり、一般には非晶質ポリエステルで観測されるが、結晶性ポリエステルでも非晶質部分が存在する場合には観測されることがある。
[樹脂の結晶性指数]
上記に従って測定した軟化点及び吸熱の最高ピーク温度を用い、下記式から、結晶性の度合いとして結晶性指数を算出する。
結晶性指数=軟化点/吸熱の最高ピーク温度
[結着樹脂の数平均分子量]
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、結着樹脂又はトナーをクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業(株)製、FP−200]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、溶解液として、クロロホルムを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレンを標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
[一次粒子の分散粒径及び合一粒子の粒径]
レーザー回折型粒径測定機(島津製作所製、SALD−2000J)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定する。
[トナーの粒径]
(1)分散液の調製:分散液[エマルゲン 109P(花王製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5重量%水溶液]5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解質[アイソトンII(ベックマンコールター社製)]25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させ分散液を得る。
(2)測定装置:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
測定粒径範囲:2〜60μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
(3)測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子について、体積中位粒径(D50)を求める。また、CV値は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積中位粒径)×100
[BETの測定]
Micromeritics FlowSorbIII(島津製作所社製)を用いて、下記条件でBET比表面積を測定した。
・トナーサンプル量:約0.1g
・脱気条件:40℃、10分間
・吸着ガス:窒素ガス
[円形度]
以下の条件で、個数平均円形度を求めた
・分散液の調製:ポリオキシエチレンラウリルエーテル水溶液(花王社製、エマルゲン109P HLB13.6、5重量%水溶液)5mlにトナー50mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させたのち、蒸留水20mlを添加し、さらに超音波分散機にて1分間分散させトナーの分散液を得た。
・測定装置:フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製FIPA−3000)
・測定モード:HPF測定モード
[表面形状係数]
トナーの表面形状係数は、次式から算出する。
表面形状係数=実測のBET/計算上のBET
ここで、実測BETは、ガス吸着法BET比表面積測定装置MicromeriticsFlowSorbIII(島津製作所社製)を用いて求め、計算上のBETは、トナーの体積中位粒経および密度(1.2g/cm3)から完全球体と仮定して表面積を算出する。
[貯蔵弾性率]
粘弾性測定装置(レオメーター)RDA−III型(レオメトリックス社製)により、下記の測定治具及び測定条件で弾性率を温度に対して測定した。
・測定治具:Couette
Cup Radius: 13.5mm
Bob Radius: 12.5mm
Bob Length: 32.0mm
・テストモード:動的粘弾特性分析
・掃引形式:温度−ステップ
・測定試料:9g
・歪み:2%
・測定温度:60〜160℃
・周波数:2rad/sec
・ステップサイズ:1℃
・ソークタイム:30秒
・自動テンション
製造例1 結晶性ポリエステルの製造
1,5−ペンタンジオール1456g、1,6−ヘキサンジオール2478g、テレフタル酸5926g及びジブチル錫オキサイド19.7gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら200℃でテレフタル酸の粒が観測されなくなるまで反応させた後、さらに8.3kPaにて1時間反応させて樹脂Aを得た。樹脂Aの軟化点は95.3℃、酸価は17.5mgKOH/g、数平均分子量は7140、吸熱の最高ピーク温度(融点)は99.5℃、結晶性指数は0.96であった。また、融点における貯蔵弾性率は5.5×104Pa・sであった。
実施例1
(1)樹脂含有乳化粒子の作製
5リットル容のステンレス容器で、樹脂A300g、銅フタロシアニン(大日精化社製、ECB−301、個数平均粒径:60nm)15g、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO=11.7モル付加)、曇点:98℃、HLB=14.6)60gをカイ型の攪拌機で200rpmの攪拌下、120℃で溶融させた。内容物を98℃で安定させ、カイ型の攪拌機で500rpmの攪拌下、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5重量%)75gを4g/minで滴下した。続いて、カイ型の攪拌機で300rpmの攪拌下、脱イオン水を5g/minで滴下し、計1200gを添加した。この間、系の温度を98℃に保持し、樹脂含有粒子を含む分散液を得た(pH:7.2)。樹脂含有乳化粒子の平均粒径は0.56μm、分散液中の固形濃度は23.6重量%、分散液を200メッシュ(目開き:105μm)の金網に通しても金網上には何も残らなかった。
(2)凝集粒子の作製
前記(1)で得られた樹脂含有乳化粒子を含む分散液500gを1リットル容の容器に入れ、次に、カイ型の攪拌機で200rpmの攪拌下、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム水溶液(花王社製ポイズ530:Mn=38,000、中和度:100%、濃度:40重量%)5gを添加した後、凝集剤として塩化カルシウム二水和物1.95g分の水溶液(39.04g)を添加し、室温で10分間攪拌した(pH:7.4)。その後、攪拌しながら、室温から昇温速度0.8℃/minで加熱して、凝集粒子を得た。粒子濃度は21.7重量%であった。
(3)合一粒子の作製
分散液の温度が98℃になった時点で加熱を止め、攪拌しながら室温まで除冷し、合一粒子を作製した。内容物を、吸引ろ過、洗浄、乾燥して着色樹脂微粒子(トナー母粒子)を得た。着色樹脂微粒子の体積中位粒径(D50)は7.6μm、水分含有量は0.3重量%であった。
(1)トナーの作製とクリーニング性評価
前記(3)で得た着色樹脂微粒子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(日本アエロジル社製、R972、個数平均粒子径:16nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は7.8μm、CV値は23.3%、軟化点は92.6℃、吸熱の最大ピーク温度は91.8℃であった。このトナーのBET比表面積は1.9m2/g、円形度は0.949であった。また、表面形状係数は3.0であった。
得られたシアントナーに平均粒径60μmのシリコンコートフェライトキャリア(関東電化工業社製)を添加し、トナー濃度[トナーの重量/(トナーとキャリヤーの重量)]を5.0重量%に調整した現像剤をレーザープリンター(リコー社製IPSIO NX85S)で画像を50枚印字し、印字面を目視で観察することによりクリーニング性を評価したところ、クリーニング不良は発生していなかった。
(2)低温定着性の評価
得られたシアントナーに体積中位粒径60μmのシリコンコートフェライトキャリア(関東電化社製)を加えて混合し、トナー濃度を5.0重量%に調整した現像剤をレーザープリンター(リコー社製IPSIO NX85S)で未定着ベタ画像を現像し、未定着画像を得た。
シリコンオイル塗布型の定着機(定着速度:160mm/sec)を用いて、100〜200℃へと10℃刻みで温度を上昇させながら定着試験を行った。
各温度で定着させたベタ画像の画像濃度を「透過型マクベスTR−927」を用いて測定した後、その印刷用紙を金属ブレードを備えた擦り試験機にセットし、その印刷用紙との接触面に印刷用紙と同じ白紙を巻き付け、1kgの荷重をかけた金属ブレードにより、ベタ部を10往復擦った。擦り後の画像濃度を再度測定し、下記式より擦り残存率を求め、擦り残存率が90%を超える定着ロールの温度を最低定着温度として低温定着性を評価した。
擦り残存率(%)=(擦り後の画像濃度/擦り前の画像濃度)×100
最低定着温度は、120℃であった。
本発明の電子写真用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などに用いられる電子写真用トナーとして好適である。

Claims (8)

  1. 結晶性ポリエステルを80重量%以上含有する結着樹脂と着色剤とを含有し、該結着樹脂を70〜97重量%含有する乳化粒子を凝集させて凝集粒子を得て、該結着樹脂の軟化点−50℃以上、該結着樹脂の軟化点+10℃以下の温度で該凝集粒子を合一させて得る、下記式(1)で表される表面形状係数が2.0〜4.0であり、円形度が0.930〜0.965である電子写真用トナーの製造方法
    式(1):表面形状係数=実測のBET/計算上のBET
    (ただし、実測のBETはガス吸着法BET比表面積測定装置を用いて求めた値であり、計算上のBETはトナーの体積中位粒系及びトナー密度1.2g/cm 3 から完全球体と仮定して表面積を算出した値である。)
  2. 前記結晶性ポリエステルの前記トナー中の含有量が80〜95重量%である、請求項1に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  3. 前記結着樹脂と着色剤とを、非イオン性界面活性剤の存在下、水系媒体中で乳化粒子を形成させる工程を含む、請求項1又は2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  4. トナーの粒度分布のCV値(分散度)が27%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法
  5. トナーの粒径が、体積中位粒径(D50)で3〜10μmである、請求項1〜のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法
  6. 結着樹脂の酸価が10〜50mgKOH/gである、請求項1〜のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法
  7. 結晶性ポリエステルの結晶性指数が、0.6〜1.5である、請求項1〜のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法により得られる、電子写真用トナー。
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