JP4825472B2 - 電子写真用トナー - Google Patents
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Description
また、結着樹脂と着色剤とを含み、結着樹脂が、不飽和部位による架橋構造を有する結晶性ポリエステルを主成分として含み、かつトナー粒子が球状である電子写真用トナーが開示されている(特許文献2参照)。
しかしながら、上記各特許文献に記載の電子写真用トナーは、低温定着性はある程度良好であるものの、一方で、現像時に転写されなかった感光体上のトナーの掻き取り性、すなわちクリーニング性については、充分ではなかった。
すなわち、本発明は、結晶性ポリエステルを80重量%以上含有する結着樹脂と着色剤とを含有し、該結着樹脂を70〜97重量%含有する乳化粒子を凝集させて凝集粒子を得て、該結着樹脂の軟化点−50℃以上、該結着樹脂の軟化点+10℃以下の温度で該凝集粒子を合一させて得る、下記式(1)で表される表面形状係数が2.0〜4.0であり、円形度が0.930〜0.965である電子写真用トナーの製造方法、及び当該製造方法により得られる電子写真用トナーに関する。
式(1):表面形状係数=実測のBET/計算上のBET
(ただし、実測のBETはガス吸着法BET比表面積測定装置を用いて求めた値であり、計算上のBETはトナーの体積中位粒系及びトナー密度1.2g/cm 3 から完全球体と仮定して表面積を算出した値である。)
結着樹脂としては、結晶性ポリエステルを50重量%以上の割合で含むものが用いられる。結着樹脂中の結晶性ポリエステルの含有量が50重量%以上であれば、低温定着性の良好なトナーが得られる。低温定着性の観点から、結着樹脂中の該結晶性ポリエステルの含有量は60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、80重量%以上が更に好ましい。
また、結晶性ポリエステルのトナー中の含有量は、60重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましく、トナーの低温定着性及び耐久性の観点から、80〜95重量%が更に好ましい。
具体的には、結晶性ポリエステルのアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等の脂肪族ジオール:式(1):
さらに、結晶性ポリエステルにおける、(分子主鎖中の酸基)/(分子鎖末端の酸基)で表されるモル比は、同様の観点から、30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下が更に好ましく、5モル%以下が更に好ましく、2モル以下が更に好ましい。
結晶性ポリエステルの数平均分子量は、乳化性、定着性、耐オフセット性等の観点から、2,000〜100,000が好ましく、2,000〜20,000がより好ましく、2,000〜10,000がさらに好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。
非晶質ポリエステルの数平均分子量は、耐久性及び定着性の観点から、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜12,000が更に好ましい。
上記非晶質ポリエステルは、トナーの耐久性及び帯電性の点から、結着樹脂中、好ましくは5〜50重量%、更に好ましくは5〜20重量%含有される。
結着樹脂がポリエステルである場合、その分子主鎖中の酸基の数量は、結晶化阻害の観点から、ポリエステルを構成する酸成分全体のモル数に対して、好ましくは5モル%以下、より好ましくは3モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下である。また、ポリエステルの、(分子主鎖中の酸基)/(分子鎖末端の酸基)で表されるモル比は、同様の観点から、たとえば30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下、更に好ましくは5モル%以下、更により好ましくは2モル%以下である。ここで、分子主鎖中の酸基とは分子鎖末端の酸基以外の酸基を指し、例えば、スルホン酸基を導入したジカルボン酸が酸成分として用いられたときのスルホン酸基がこれに相当する。
また、クリーニング性の観点から、トナー表面を例えば凹凸状または鱗片状などの非球形とするため、結着樹脂1gあたり、例えば10〜50mgKOH/g、好ましくは10〜45mgKOH/g、より好ましくは15〜45mgKOH/g、更に好ましくは15〜40mgKOH/gである。
また、上記乳化粒子中には、着色剤をトナーの印字濃度の点から上記乳化粒子中に好ましくは3〜30重量%、更に好ましくは3〜20重量%含有する。
水系媒体は、有機溶剤等の溶剤を含有していてもよいが、水を主成分(50重量%以上)とするものをいう。環境保存の観点から、水の含有量は、水系媒体中、80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、100重量%であることが更に好ましい。すなわち、本発明では、有機溶剤を用いることなく実質的に水のみからなる水系媒体を用いても結着樹脂を微粒化させることができる。水以外の溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶剤が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶剤である、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶剤が好ましい。
水系媒体の使用量は、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、結着樹脂100重量部に対して100〜2000重量部が好ましく、150〜1500重量部がより好ましく、250〜1000重量部が更に好ましい。
これらの離型剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
離型剤の融点は50〜120℃が好ましく、結着樹脂の融点以下であることがより好ましい。離型剤の融点が50℃以上であれば耐ブロッキング性が良好で、例えば複写機内の温度が高まった時に現像性が悪化するのを抑制することができる。一方、120℃以下であれば、結着樹脂の低温定着性を損ねることがない。
離型剤の含有量は、添加効果及び帯電性への悪影響を考慮して、結着樹脂と着色剤との合計量100重量部に対して、通常1〜20重量部程度、好ましくは2〜15重量部である。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂と着色剤との合計量100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部である。
非イオン性界面活性剤の曇点は、常圧、水中で結着樹脂を微粒化させる場合には、70〜105℃が好ましく、80〜105℃がより好ましい。
上記非イオン性界面活性剤の使用量については、特に制限はないが、結着樹脂の乳化性及びトナーの保存安定性の点から、結着樹脂に対し、好ましくは0.1〜50重量%、更に好ましくは1〜30重量%である。
乳化粒子である一次粒子の粒径は、攪拌強度、水系媒体の添加速度等により、また、非イオン性界面活性剤を添加する場合は、その添加量によっても調整することができる。結着樹脂、着色剤及びその他の添加剤を含有した混合物に、水系媒体を添加する場合、その添加速度は、均一な一次粒子を得る観点から、混合物100gあたり0.1〜50g/分が好ましく、0.5〜40g/分がより好ましく、1〜30g/分が更に好ましい。
一次粒子の体積中位粒径(D50)は、後の凝集工程で均一に凝集させる観点から、0.05〜3μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.6μmが更に好ましい。
凝集工程における系内のpHは、混合液の分散安定性と、結着樹脂及び着色剤等の微粒子の凝集性とを両立させる観点から、2〜10が好ましく、2〜9がより好ましく、3〜8がさらに好ましい。
同様の観点から、凝集工程における系内の温度は、結着樹脂の軟化点−50℃以上(軟化点より50℃低い温度以上の意味、以下同様)、軟化点−10℃以下が好ましく、軟化点−30℃以上、軟化点−10℃以下がより好ましい。
凝集工程及び続く合一工程における系内の一次粒子の濃度は、工業的な生産性及び生産安定性の観点から、5〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましく、5〜30重量%が更に好ましい。
凝集剤は、水系媒体に溶解させて添加することが好ましく、凝集剤の添加時及び添加終了後には十分な攪拌を行うことが好ましい。得られた凝集粒子は、凝集粒子を合一させる工程(合一工程)に供される。
合一工程は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集工程と同時に行うこともできる。
洗浄工程では、トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー母粒子表面の金属イオンを除去するため酸を用いることが好ましく、洗浄は複数回行うことが好ましい。
また、乾燥工程では、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等、任意の方法を採用することができる。トナー母粒子の乾燥後の水分含量は、帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、さらには1.0重量%以下に調整することが好ましい。
上記得られた合一粒子の粒径は、高画質化の点から、体積中位粒径(D50)で3〜10μmであることが好ましく、更に3〜8μmであることが好ましい。
本発明のトナーには、外添剤として流動化剤等の助剤をトナー母粒子表面に添加処理することができる。外添剤としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、公知の微粒子が使用できる。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、1〜5重量部が好ましく、1.5〜3.5重量部がより好ましい。ただし、外添剤として疎水性シリカを用いる場合は、外添剤による処理前のトナー母粒子100重量部に対して、疎水性シリカを1〜3重量部用いることが好ましい。
本発明の電子写真用トナーは、結晶性ポリエステルを主成分とし、かつ非球形な形状を有することから、低温定着性に優れ、またクリーニング性にも優れている。
表面形状係数=実測のBET/計算上のBET
(ただし、実測のBETはガス吸着法BET比表面積測定装置、例えばMicromeritics FlowSorb III(島津製作所社製)を用いて求めることができ、計算上のBETはトナーの体積中位粒径及び密度(1.2g/cm3)から完全球体と仮定して表面積を算出する。)
により求めた値である。
円形度=粒子の投影面積と等しい面積の円の円周/粒子の周囲長
で表され、真円では1.000である。本発明では、円形度はフロー式粒子像分析装置、例えばFIPA−3000(シスメックス社製)を用いて、個数平均円形度として求めた値である。
本発明のトナーの粒径については、高画質化の観点から、体積中位粒径(D50)で、3〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。
CV値(%)=[粘度分布の標準偏差/体積中位粒径(D50)]×100
で求められる値である。
このCV値が上記範囲内であれば、粗大粒子による感光体への擦り傷の発生を防止することができ、また小粒子の感光体への付着による画質の低下を抑制することができる。
本発明の電子写真用トナーを用いることにより、低温定着が可能となり、定着工程での消費エネルギーやウォームアップタイムの大幅な低減を図ることができると共に、現像時に転写されなかった感光体上のトナーを、ブレードで容易に掻き取ることができる。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。
[樹脂及びトナーの軟化点、吸熱の最高ピーク温度、融点及びガラス転移点]
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所、CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差のときには該ピーク温度を融点とし、軟化点より20℃以上低いときには該ピークはガラス転移に起因するピークとする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測される場合にはそのピークの温度を、また軟化点より20℃以上低い温度でピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度を、ガラス転移点として読み取る。なお、ガラス転移点は、樹脂の非晶質部分に特有の物性であり、一般には非晶質ポリエステルで観測されるが、結晶性ポリエステルでも非晶質部分が存在する場合には観測されることがある。
上記に従って測定した軟化点及び吸熱の最高ピーク温度を用い、下記式から、結晶性の度合いとして結晶性指数を算出する。
結晶性指数=軟化点/吸熱の最高ピーク温度
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、結着樹脂又はトナーをクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業(株)製、FP−200]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、溶解液として、クロロホルムを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレンを標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
レーザー回折型粒径測定機(島津製作所製、SALD−2000J)を用いて、測定用セルに蒸留水を加え、吸光度が適正範囲になる濃度で体積中位粒径(D50)を測定する。
(1)分散液の調製:分散液[エマルゲン 109P(花王製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5重量%水溶液]5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解質[アイソトンII(ベックマンコールター社製)]25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させ分散液を得る。
(2)測定装置:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
測定粒径範囲:2〜60μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
(3)測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子について、体積中位粒径(D50)を求める。また、CV値は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積中位粒径)×100
Micromeritics FlowSorbIII(島津製作所社製)を用いて、下記条件でBET比表面積を測定した。
・トナーサンプル量:約0.1g
・脱気条件:40℃、10分間
・吸着ガス:窒素ガス
以下の条件で、個数平均円形度を求めた
・分散液の調製:ポリオキシエチレンラウリルエーテル水溶液(花王社製、エマルゲン109P HLB13.6、5重量%水溶液)5mlにトナー50mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させたのち、蒸留水20mlを添加し、さらに超音波分散機にて1分間分散させトナーの分散液を得た。
・測定装置:フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製FIPA−3000)
・測定モード:HPF測定モード
トナーの表面形状係数は、次式から算出する。
表面形状係数=実測のBET/計算上のBET
ここで、実測BETは、ガス吸着法BET比表面積測定装置MicromeriticsFlowSorbIII(島津製作所社製)を用いて求め、計算上のBETは、トナーの体積中位粒経および密度(1.2g/cm3)から完全球体と仮定して表面積を算出する。
粘弾性測定装置(レオメーター)RDA−III型(レオメトリックス社製)により、下記の測定治具及び測定条件で弾性率を温度に対して測定した。
・測定治具:Couette
Cup Radius: 13.5mm
Bob Radius: 12.5mm
Bob Length: 32.0mm
・テストモード:動的粘弾特性分析
・掃引形式:温度−ステップ
・測定試料:9g
・歪み:2%
・測定温度:60〜160℃
・周波数:2rad/sec
・ステップサイズ:1℃
・ソークタイム:30秒
・自動テンション
1,5−ペンタンジオール1456g、1,6−ヘキサンジオール2478g、テレフタル酸5926g及びジブチル錫オキサイド19.7gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら200℃でテレフタル酸の粒が観測されなくなるまで反応させた後、さらに8.3kPaにて1時間反応させて樹脂Aを得た。樹脂Aの軟化点は95.3℃、酸価は17.5mgKOH/g、数平均分子量は7140、吸熱の最高ピーク温度(融点)は99.5℃、結晶性指数は0.96であった。また、融点における貯蔵弾性率は5.5×104Pa・sであった。
(1)樹脂含有乳化粒子の作製
5リットル容のステンレス容器で、樹脂A300g、銅フタロシアニン(大日精化社製、ECB−301、個数平均粒径:60nm)15g、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO=11.7モル付加)、曇点:98℃、HLB=14.6)60gをカイ型の攪拌機で200rpmの攪拌下、120℃で溶融させた。内容物を98℃で安定させ、カイ型の攪拌機で500rpmの攪拌下、中和剤として水酸化ナトリウム水溶液(濃度:5重量%)75gを4g/minで滴下した。続いて、カイ型の攪拌機で300rpmの攪拌下、脱イオン水を5g/minで滴下し、計1200gを添加した。この間、系の温度を98℃に保持し、樹脂含有粒子を含む分散液を得た(pH:7.2)。樹脂含有乳化粒子の平均粒径は0.56μm、分散液中の固形濃度は23.6重量%、分散液を200メッシュ(目開き:105μm)の金網に通しても金網上には何も残らなかった。
前記(1)で得られた樹脂含有乳化粒子を含む分散液500gを1リットル容の容器に入れ、次に、カイ型の攪拌機で200rpmの攪拌下、分散剤としてポリアクリル酸ナトリウム水溶液(花王社製ポイズ530:Mn=38,000、中和度:100%、濃度:40重量%)5gを添加した後、凝集剤として塩化カルシウム二水和物1.95g分の水溶液(39.04g)を添加し、室温で10分間攪拌した(pH:7.4)。その後、攪拌しながら、室温から昇温速度0.8℃/minで加熱して、凝集粒子を得た。粒子濃度は21.7重量%であった。
分散液の温度が98℃になった時点で加熱を止め、攪拌しながら室温まで除冷し、合一粒子を作製した。内容物を、吸引ろ過、洗浄、乾燥して着色樹脂微粒子(トナー母粒子)を得た。着色樹脂微粒子の体積中位粒径(D50)は7.6μm、水分含有量は0.3重量%であった。
前記(3)で得た着色樹脂微粒子100重量部に対して1.0重量部の疎水性シリカ(日本アエロジル社製、R972、個数平均粒子径:16nm)をヘンシェルミキサーを用いて外添し、シアントナーとした。得られたシアントナーの体積中位粒径(D50)は7.8μm、CV値は23.3%、軟化点は92.6℃、吸熱の最大ピーク温度は91.8℃であった。このトナーのBET比表面積は1.9m2/g、円形度は0.949であった。また、表面形状係数は3.0であった。
得られたシアントナーに平均粒径60μmのシリコンコートフェライトキャリア(関東電化工業社製)を添加し、トナー濃度[トナーの重量/(トナーとキャリヤーの重量)]を5.0重量%に調整した現像剤をレーザープリンター(リコー社製IPSIO NX85S)で画像を50枚印字し、印字面を目視で観察することによりクリーニング性を評価したところ、クリーニング不良は発生していなかった。
得られたシアントナーに体積中位粒径60μmのシリコンコートフェライトキャリア(関東電化社製)を加えて混合し、トナー濃度を5.0重量%に調整した現像剤をレーザープリンター(リコー社製IPSIO NX85S)で未定着ベタ画像を現像し、未定着画像を得た。
シリコンオイル塗布型の定着機(定着速度:160mm/sec)を用いて、100〜200℃へと10℃刻みで温度を上昇させながら定着試験を行った。
各温度で定着させたベタ画像の画像濃度を「透過型マクベスTR−927」を用いて測定した後、その印刷用紙を金属ブレードを備えた擦り試験機にセットし、その印刷用紙との接触面に印刷用紙と同じ白紙を巻き付け、1kgの荷重をかけた金属ブレードにより、ベタ部を10往復擦った。擦り後の画像濃度を再度測定し、下記式より擦り残存率を求め、擦り残存率が90%を超える定着ロールの温度を最低定着温度として低温定着性を評価した。
擦り残存率(%)=(擦り後の画像濃度/擦り前の画像濃度)×100
最低定着温度は、120℃であった。
Claims (8)
- 結晶性ポリエステルを80重量%以上含有する結着樹脂と着色剤とを含有し、該結着樹脂を70〜97重量%含有する乳化粒子を凝集させて凝集粒子を得て、該結着樹脂の軟化点−50℃以上、該結着樹脂の軟化点+10℃以下の温度で該凝集粒子を合一させて得る、下記式(1)で表される表面形状係数が2.0〜4.0であり、円形度が0.930〜0.965である電子写真用トナーの製造方法。
式(1):表面形状係数=実測のBET/計算上のBET
(ただし、実測のBETはガス吸着法BET比表面積測定装置を用いて求めた値であり、計算上のBETはトナーの体積中位粒系及びトナー密度1.2g/cm 3 から完全球体と仮定して表面積を算出した値である。) - 前記結晶性ポリエステルの前記トナー中の含有量が80〜95重量%である、請求項1に記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記結着樹脂と着色剤とを、非イオン性界面活性剤の存在下、水系媒体中で乳化粒子を形成させる工程を含む、請求項1又は2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
- トナーの粒度分布のCV値(分散度)が27%以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- トナーの粒径が、体積中位粒径(D50)で3〜10μmである、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 結着樹脂の酸価が10〜50mgKOH/gである、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 結晶性ポリエステルの結晶性指数が、0.6〜1.5である、請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法により得られる、電子写真用トナー。
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