JP5410033B2 - 電子写真用トナー - Google Patents

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本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる電子写真用トナー及び該トナーを使用した画像形成方法に関する。
近年、装置の高速化、小型化の観点から、より低温定着可能なトナーが要望されており、結着樹脂として結晶性ポリエステルを含有したトナーが各種検討されている。
また、結晶性ポリエステルを使用したトナーの製造過程において、溶融混練物、分級物等の製造中間物に加熱処理工程を行う方法が提案されている(特許文献1〜3参照)。
特開2005−308995号公報 特開2006−65015号公報 特開2006−65077号公報
しかしながら、結晶性ポリエステルを含有したトナーを含む従来のトナーは、低温定着性向上には有効であるものの、トナー原料を溶融混練する際に非晶質ポリエステルと相溶し、その結晶構造が崩れるため、保存性や耐久性を低下させる原因となる。
また、特許文献1〜3のように加熱処理を行っても、長期耐久により発生する微粉の影響で安定した画像を得ることが困難であり、また、結晶化が不十分であると十分な耐久性を得ることができない。特に、印字率の低い耐刷における転写率の低下が顕著である。
また、定着性向上を目的に低融点ワックスを使用する場合は、さらに耐久性が問題となる。
本発明の課題は、低温定着性及び保存性のいずれにも優れ、さらに耐久性にも優れ、印字率の低い耐刷においても良好な転写効率及び画像濃度を維持し得る電子写真用トナー及び該トナーを使用した画像形成方法を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 結着樹脂及びワックスを含有してなるトナー母粒子と、外添剤とを含有してなる電子写真用トナーであって、前記結着樹脂が結晶性ポリエステルを含有してなり、前記トナーの示差走査熱量計により測定される吸熱曲線と、結着樹脂に由来する吸熱ピークのなかで最も低い温度で現れる吸熱ピークの頂点とワックスのなかで最も低い融点のワックスに由来する吸熱ピークの頂点とを結ぶ直線に囲まれた領域の熱量が0.1〜10.0J/gであり、前記トナーの平均円形度が0.940〜0.980であり、粒径が3μm未満の粒子の含有量が5個数%以下である電子写真用トナー、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の電子写真用トナーを、非接触現像方式の画像形成装置に用いる画像形成方法
に関する。
本発明の電子写真用トナーは、低温定着性及び保存性のいずれにも優れ、さらに耐久性にも優れ、印字率の低い耐刷においても良好な転写効率及び画像濃度を維持することができるという優れた効果を奏するものである。
本発明は、結着樹脂及びワックスを含有してなるトナー母粒子と、外添剤とを含有したトナーであって、トナーの示差走査熱量計により測定される吸熱曲線と、結着樹脂に由来する吸熱ピークのなかで最も低い温度で現れる吸熱ピークの頂点とワックスのなかで最も低い融点のワックスに由来する吸熱ピークの頂点とを結ぶ直線に囲まれた領域の熱量、及びトナーの平均円形度及び粒径が3μm未満の粒子の含有量がいずれも特定の範囲内にあることに大きな特徴を有する。
本発明のトナーは、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、DSC Q20)により測定される吸熱曲線と、結着樹脂に由来する吸熱ピークのなかで最も低い温度で現れる吸熱ピークの頂点とワックスのなかで最も低い融点のワックスに由来する吸熱ピークの頂点とを結ぶ直線に囲まれた領域の熱量が、0.1〜10.0J/gであり、好ましくは1.0〜7.0J/g、より好ましくは1.0〜5.0J/gである。かかる熱量は、後述の実施例に記載の方法により測定される。前記熱量は、結晶構造が崩れた結晶性ポリエステルの含有量に従って大きくなり、また、低融点のワックスの含有量の増加とともに大きくなる。従って、後述の加熱処理工程等によって結晶構造の崩れた結晶性ポリエステルの含有量を減らし、低融点のワックスの含有量を低減することにより、熱量を小さくすることができる。結晶構造の崩れた結晶性ポリエステルの含有量を減らす手段としては、例えば、トナーの製造過程において、後述の加熱処理工程を行う方法がある。
本発明のトナーの平均円形度は、耐久時に問題となる微粉発生を抑える観点から、0.940〜0.980であり、0.950〜0.970が好ましく、0.955〜0.960がより好ましい。トナーの平均円形度は、次式:
Figure 0005410033
により算出される円形度の平均値であり、「粒子の投影像と同じ面積を有する円の周囲長」及び「粒子投影像の周囲長」は、例えばフロー式粒子像分析装置(FPIA-1000、FPIA-2000又はFPIA-3000;シスメックス社製)を用いて水分散系で測定を行って得られる。また、上記の分析装置による値は、数千個、少なくとも3000個の平均値として得られる値であるため、本発明における平均円形度の信頼性は極めて高い。なお、本明細書中において、平均円形度の測定装置は上記装置に限定されるものではなく、同様の原理により、平均円形度を上式に基づいて求めることができる装置であればいかなる装置によって測定されてもよい。
本発明のトナーにおいて、耐久性向上の観点から、粒径が3μm未満の粒子の含有量は、5個数%以下であり、好ましくは4個数%以下、より好ましくは3個数%以下である。粒径及び粒径が3μm未満の粒子の個数換算における含有量(個数%)は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
本発明のトナーのガラス転移点は、保存性の観点から、48〜65℃が好ましく、50〜60℃がより好ましい。
また、トナーのBET比表面積は、トナーの微粉が多い、外添剤の粒径が小さい、または外添剤のトナー表面への付き方が不十分な場合に大きくなる。そのため、BET比表面積が大きすぎると、トナーの耐久性に対して悪影響を及ぼす原因となり得る。かかる観点から、BET比表面積は、2.5m2/g以下が好ましく、0.5〜2.5m2/gがより好ましく、0.7〜2.0m2/gがさらに好ましい。BET比表面積は、窒素吸着法により求められる。
本発明において、結着樹脂は、少なくとも結晶性ポリエステルを含有し、保存性の観点から、さらに非晶質ポリエステルを含有することが好ましい。本発明において、「結晶性ポリエステル」とは、結晶性指数が0.6〜1.5、好ましくは0.8〜1.2であるポリエステルをいい、「非晶質ポリエステル」とは、結晶性指数が1.5より大きいか、0.6未満、好ましくは1.5より大きいポリエステルをいう。ここで、結晶性指数とは、樹脂の結晶化の度合いの指標となる物性であり、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比(軟化点/吸熱の最高ピーク温度)により定義されるものである。一般に、結晶性指数が1.5を超える樹脂は非晶質であり、0.6未満の樹脂は結晶性が低く、非晶質部分が多い。結晶化の度合いは、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度が軟化点と20℃以内の差であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超えるピークはガラス転移に起因するピークとする。
結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルは、いずれも原料モノマーとしてアルコール成分とカルボン酸成分とを用い、それらを縮重合させて得られる。
結晶性ポリエステルにおけるアルコール成分には炭素数2〜8の脂肪族ジオール等の樹脂の結晶性を促進させるモノマーが含有されていることが好ましい。
炭素数2〜8の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール等が挙げられ、特にα,ω−直鎖アルカンジオールが好ましい。これらは単独で又は2種以上を混合して含有されていても良い。
炭素数2〜8の脂肪族ジオールの含有量は、結晶性の高さの観点から、アルコール成分中、80モル%以上が好ましく、85モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。さらに、2種以上の炭素数2〜8の脂肪族ジオールを用いている場合にはその中の1種の脂肪族ジオールが、アルコール成分中の70モル%以上、好ましくは80〜95モル%を占めているのが望ましい。なかでも、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールが好ましく、1,6-ヘキサンジオールがより好ましく、これらはアルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上含有されているのが望ましい。
非晶質ポリエステルにおけるアルコール成分としては、ポリオキシプロピレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等の式(I):
Figure 0005410033
(式中、ROはアルキレンオキシ基であり、Rは炭素数2又は3のアルキレン基、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す正の数であり、xとyの和は1〜16、好ましくは1.5〜5である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール等の樹脂の非晶質化を促進させるモノマーが含有されていることが好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、帯電性の観点から、アルコール成分中、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90モル%以上がさらに好ましい。
カルボン酸成分に含まれるカルボン酸化合物としては、アジピン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸等の炭素数2〜30、好ましくは2〜8の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸、これらの酸の無水物、及び酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。これらの中では、脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましく、結晶性ポリエステルにおいては、結晶化度の観点から、炭素数2〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物が、非晶質ポリエステルにおいては、結晶性ポリエステルの分散性の観点から、フマル酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、カルボン酸成分中、70モル%以上が好ましく、80〜100モル%がより好ましく、90〜100モル%がさらに好ましい。
本発明において、非晶質ポリエステルは、線状非晶質ポリエステルであることが好ましい。線状ポリエステルは架橋ポリエステルに比べて耐久性に欠けるというのが当業者の常識であるのに対し、線状ポリエステルを用いても、耐久性を向上させることができるという意外な効果が奏され、耐久性と低温定着性の両立が可能となる。線状ポリエステルは、架橋ポリエステルに比べて、低温定着性に優れ、かつトナーの球形化が効率的に行われるため耐久性が向上すると推定される。ここで、線状ポリエステルとは、カルボン酸成分中ジカルボン酸化合物の含有量が80モル%以上であり、かつ3価以上の多価アルコールを含まないか、もしくは含んでいる場合でもアルコール成分中に0.05モル%未満及び3価以上の多価カルボン酸化合物を含まないか、もしくは含んでいる場合でもカルボン酸成分中に20モル%未満である、アルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステルをいう。
なお、結晶性ポリエステルにおけるカルボン酸成分とアルコール成分のモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、結晶性ポリエステルの高分子量化を図る際には、カルボン酸成分よりもアルコール成分が多い方が好ましく、さらに減圧反応時、アルコール成分の留去によりポリエステルの分子量を容易に調整できる観点から、0.9〜1が好ましく、0.95〜1がより好ましい。
また、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、分子量調整等の観点から、適宜含有されていてもよい。
ポリエステルは、アルコール成分とカルボン酸成分とを、例えば、不活性ガス雰囲気中、要すればエステル化触媒の存在下で縮重合させて得られる。反応温度は、結晶性ポリエステルの製造においては、120〜230℃が好ましく、非晶質ポリエステルの製造においては、180〜250℃が好ましい。
結晶性ポリエステルの製造においては、樹脂の強度を上げるために全単量体を一括仕込みしたり、低分子量成分を少なくするために2価の単量体を先ず反応させた後、3価以上の単量体を添加して反応させたりする等の方法を用いてもよい。また、重合の後半に反応系を減圧することにより、反応を促進させてもよい。
また、さらに高分子量化した結晶性ポリエステルを得るためには、前記のようにカルボン酸成分とアルコール成分のモル比を調整したり、反応温度を上げる、触媒量を増やす、減圧下、長時間脱水反応を行う等の反応条件を選択したりすればよい。なお、高い攪拌所要動力下では、高分子量化した高粘度の結晶性ポリエステルを製造することもできるが、製造設備を特に選択せずに製造する際には、原料モノマーを非反応性低粘度樹脂や溶媒とともに反応させる方法も有効な手段である。
結晶性ポリエステルの軟化点は、低温定着性の観点から、70〜140℃が好ましく、80〜130℃がより好ましく、105〜130℃がさらに好ましい。
結晶性ポリエステルの融点は、定着性の観点から、60〜140℃が好ましく、70〜130℃がより好ましく、80〜120℃がさらに好ましい。
非晶質ポリエステルの軟化点は、80〜150℃が好ましく、85〜145℃がより好ましく、90〜145℃がさらに好ましい。
非晶質ポリエステルのガラス転移点は、粉砕性及び保存性の観点から、40〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。
また、非晶質ポリエステルの酸価は、1〜50mgKOH/gが好ましく、10〜30mgKOH/gがより好ましい。
結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルは、結晶性ポリエステルの分散性の観点から、少なくとも1種の共通の化合物を原料モノマーとして得られるものであることが好ましい。かかる共通の化合物は、カルボン酸成分であることが好ましく、結晶性ポリエステルの結晶化度を高める観点から、フマル酸及びフタル酸がより好ましく、フマル酸がさらに好ましい。
結晶性ポリエステルの含有量は、耐久性、転写効率及び画像濃度向上の観点から、結着樹脂中、2〜35重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。
また、結着樹脂が非晶質ポリエステルを含有する場合、耐久性、転写効率及び画像濃度向上の観点から、結晶性ポリエステルと非晶質ポリエステルの重量比(結晶性ポリエステル/非晶質ポリエステル)は、3/97〜35/65が好ましく、5/95〜30/70がより好ましい。
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルや、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂が挙げられる。
本発明においては、結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステル以外に、他の結着樹脂が本発明の効果を損なわない範囲を適宜使用してもよい。他の結着樹脂としては、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等のポリエステル以外の結着樹脂等が挙げられる。結晶性ポリエステル及び非晶質ポリエステルの総含有量は、特に限定されないが、低温定着性の観点から、結着樹脂中、80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましい。
本発明におけるワックスとしては、カルナウバワックス、ライスワックス等の天然エステル系ワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュ等の合成ワックス、ペンタエリスリトールとベヘン酸、ステアリン酸、パルチミン酸等の脂肪酸との合成エステルワックス、パラフィンワックス等の石油ワックス、モンタンワックス等の石炭系ワックス、アルコール系ワックス等のワックスが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して含有されてもよい。これらのなかでは、耐オフセット性及び耐久性の観点から、カルナバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステルワックス及びペンタエリスリトールステアリン酸エステルワックスが好ましく、カルナバワックス及びペンタエリスリトールステアリン酸エステルワックスがより好ましい。
ワックスの融点は、低温定着性及び耐オフセット性の観点から、50〜120℃が好ましく、60〜120℃がより好ましく、70〜90℃がさらに好ましい。
ワックスの含有量は、耐オフセット性の観点から、結着樹脂100重量部に対して0.5重量部以上が好ましく、加熱処理時のブロッキング防止及び耐久性の観点から、0.5〜5重量部がより好ましく、1〜3重量部がさらに好ましい。
本発明のトナー母粒子には、さらに、着色剤、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、体質顔料、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が適宜含有されていてもよい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、2〜10重量部がより好ましい。
本発明の電子写真用トナーは、例えば、結晶性ポリエステルを含有した結着樹脂及び適宜用いられる着色剤等を含むトナー母粒子の原料を溶融混練する溶融混練工程、得られた溶融混練物を粉砕する粉砕工程、得られた粉砕物を分級して、トナー母粒子を得る分級工程、及び得られたトナー母粒子と外添剤とを混合する外添工程を経て得ることができるが、本発明においては、粉砕工程以降に加熱処理工程を行うことが好ましい。加熱処理工程を行うことで、溶融混練により崩れた結晶性ポリエステルの結晶構造の再結晶化を促進することができ、本発明の特徴である前記熱量を制御することができるとともに、円形度を高めることもできる。加熱処理工程は、分級工程後であっても、外添工程後であってもよいが、加熱処理時のブロッキング抑制及びトナーの形状制御の観点から、外添工程後に行うことが好ましい。
加熱処理工程は、加熱温度t(℃)が、
Tg1≦t≦Tm−10、
好ましくは、Tg1+5≦t≦Tm−10、
より好ましくは、Tg1+10≦t≦Tm−20、
さらに好ましくは、Tg1+15≦t≦Tm−30
(式中、Tg1は加熱処理工程に供する被処理物のガラス転移点(℃)、Tmは加熱処理工程に供する被処理物の軟化点(℃)である)
を満足する条件下で行うことが望ましい。
加熱処理工程の時間は、生産性と形状制御の観点から、2〜36時間が好ましく、5〜30時間がより好ましい。
また、加熱処理工程の際の相対湿度は、外添剤の静電凝集を解すことと、トナー粒子の凝集防止の観点から、10〜70%が好ましく、20〜60%がより好ましい。
なお、加熱処理工程を外添工程の後に行う場合は、加熱時のケーキング、凝集物発生防止及び定着性の観点から、加熱処理工程前の外添剤による被覆率は、50%以上が好ましく、70〜120%がより好ましい
加熱処理工程には、オーブン等を用いることができる。例えば、オーブンを用いる場合、溶融混練物をオーブン内で、一定温度に保持することにより、加熱処理工程を行うことができる。また、恒温恒湿槽や振動流動層(VIA-16D型(中央化工機(株)製)を用いることもできる。
以降、加熱処理工程以外の各工程について説明する。
溶融混練工程は、少なくとも結晶性ポリエステルを含有した結着樹脂、及び適宜用いられる着色剤等の原料を溶融混練する工程である。溶融混練工程に供する結晶性ポリエステル、着色剤等の原料は、ヘンシェルミキサー等を用いて混合した後、溶融混練工程に供することが好ましい。
原料の溶融混練は、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機又はオープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができるが、2軸押出機を用いることが好ましい。溶融混練の温度は、各原料が十分に混ざり合える程度の温度であれば特に限定されない。
溶融混練工程により得られた溶融混練物を、圧延し、冷却する。圧延、冷却の方法は特に限定されない。圧延手段としては、圧延ロールや圧延ドラム等が、冷却手段としては、空冷方式、水冷方式、スチール製の冷却ベルト方式等が、それぞれ挙げられる。圧延ロールや圧延ドラムの間隔を調整することにより、圧延後の厚みを調整することができる。
圧延後、冷却に供される溶融混練物の厚みは、ワックスの分散性向上と生産性の観点から、3mm以上が好ましく、4〜6mmがより好ましい。
粉砕工程は、得られた溶融混練物を好ましくは体積中位粒径が20μm以下、より好ましくは10μm以下に粉砕する工程であり、溶融混練物を、粉砕が可能な程度まで適宜冷却した後、粉砕工程及び分級工程に供する。
粉砕工程は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、溶融混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに微粉砕してもよい。また、粉砕・分級工程時の生産性を向上させるために、溶融混練物を疎水性シリカ等の無機微粒子と混合した後、粉砕してもよい。
粉砕工程に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、アトマイザー、ロートプレックス等が、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ジェットミル、衝突板式ミル、回転型機械ミル等が挙げられる。
分級工程に用いられる分級機としては、風力分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよい。また、分級工程は、後述の外添工程、加熱処理工程の後に適宜行なってもよい。
トナー母粒子の体積中位粒径(D50)は、4〜12μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
外添剤としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛等の無機微粒子等が挙げられ、これらの中では、埋め込み防止の観点から、比重の小さいシリカが好ましい。
シリカは、環境安定性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであるのが好ましい。疎水化の方法は特に限定されず、疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン、シリコーンオイル、メチルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらの中ではヘキサメチルジシラザンが好ましい。疎水化処理剤の処理量は、無機微粒子の表面積当たり1〜7mg/m2が好ましい。
外添剤の平均粒径は、帯電性及び感光体への傷防止の観点から、3〜300nmが好ましく、5〜100nmがより好ましい。外添工程は、加熱処理工程の前後のいずれかで行う以外に、加熱処理工程の後、さらに行ってもよいが、加熱処理工程前の外添工程で用いる外添剤の平均粒径は、加熱時にトナー中への埋没防止と均一に付着させる観点から、20〜120nmが好ましく、30〜100nmがより好ましい。
外添剤の含有量は、トナー母粒子100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.3〜3重量部がより好ましい。
外添工程は、外添剤とトナー母粒子とをヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機、V型ブレンダー等を用いる乾式混合法が好ましい。外添剤は、あらかじめ混合して高速攪拌機やV型ブレンダーに添加してもよく、また別々に添加してもよい。
本発明のトナーを製造するにあたり、加熱処理工程を外添工程後に行う場合、加熱処理工程に供する被処理物の外添剤による被覆率は、加熱処理工程時のトナーの凝集を防止する観点から、20%以上が好ましく、30〜120%がより好ましい。
外添工程後は、トナーを篩にかけて粗粉(凝集物)を除去する篩工程を行うことが好ましい。外添工程後に前記加熱処理工程と篩工程を行う場合、加熱処理工程は外添工程と篩工程の間に行うことが好ましい。
本発明の電子写真用トナーは、現像方法に限定されず使用することができ、高速連続印刷においても、優れた低温定着性、保存性及び耐久性を示すことから、一成分現像用トナーとして好適に使用できるだけでなく、高い耐久性が要求される二成分現像方式においても好適に使用することができる。従って、本発明のトナーは、キャリアと混合して二成分現像剤としても使用することができる。
本発明において、キャリアとしては、画像特性の観点から、磁気ブラシのあたりが弱くなる飽和磁化の低いキャリアが用いられるのが好ましい。キャリアの飽和磁化は、40〜100Am2/kgが好ましく、50〜90Am2/kgがより好ましい。飽和磁化は、磁気ブラシの固さを調節し、階調再現性を保持する観点から、100Am2/kg以下が好ましく、キャリア付着やトナー飛散を防止する観点から、40Am2/kg以上が好ましい。
キャリアのコア材としては、公知の材料からなるものを特に限定することなく用いることができ、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト、マグネシウムフェライト等の合金や化合物、ガラスビーズ等が挙げられ、これらの中では、帯電性の観点から、鉄粉、マグネタイト、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト及びマグネシウムフェライトが好ましく、画質の観点から、フェライト、銅-亜鉛-マグネシウムフェライト、マンガンフェライト及びマグネシウムフェライトがより好ましい。
キャリアの表面は、スペント防止の観点から、樹脂で被覆されているのが好ましい。キャリア表面を被覆する樹脂としては、トナー材料により異なるが、例えばポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂、ポリエステル、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂などが挙げられ、これらは単独であるいは2種以上を併用して用いることができるが、トナーが負帯電性である場合には、帯電性及び表面エネルギーの観点から、シリコーン樹脂が好ましい。樹脂によるコア材の被覆方法は、例えば、樹脂等の被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁させて塗布し、コア材に付着させる方法、単に粉体で混合する方法等、特に限定されない。
トナーとキャリアとを混合して得られる二成分現像剤において、トナーとキャリアの重量比(トナー/キャリア)は、1/99〜10/90が好ましく、2/98〜8/92がより好ましい。
また、本発明のトナー及び二成分現像剤は、低温定着性、保存性および耐久性に優れ、画像を高品質に維持することができることから、線速が750mm/sec以上、好ましくは850〜2000mm/secの高速の現像装置を用いた画像形成方法に好適に用いることができる。また、本発明のトナー及び二成分現像剤は、低温定着性に優れた結晶性ポリエステルを含有し、加熱処理により保存性・耐久性を維持することができ、形状制御により付着力も低減できるため、転写効率を向上させ、特にジャンピングシステムなどの非接触現像方式に好適に用いることができる。非接触定着方式としては、フラッシュ定着、オーブン定着、ベルトニップ方式の定着機等が挙げられる。
〔樹脂及び加熱処理工程に供する被処理物の軟化点(Tm)〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押出する。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
〔樹脂のガラス転移点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で測定する。吸熱の最高ピーク温度と軟化点との差が20℃以内のときは、吸熱の最高ピーク温度より低い温度で観測されるピークの温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。吸熱の最高ピーク温度と軟化点との差が20℃を超えるときは、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点として読み取る。
〔加熱処理工程に供する被処理物及びトナーのガラス転移点(Tg)、及び吸熱曲線と、結着樹脂に由来する吸熱ピークのなかで最も低い温度で現れる吸熱ピークの頂点とワックスのなかで最も低い融点のワックスに由来する吸熱ピークの頂点とを結ぶ直線に囲まれた領域の熱量〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、DSC Q20)を用いて、-20℃から160℃までサンプルを10℃/分の昇温速度で昇温した際に得られる吸熱曲線において、結着樹脂に由来する吸熱ピークのなかで最も低い温度で現れる吸熱ピークの頂点と、使用しているワックスのなかで最も低い融点のワックスに由来する吸熱ピークの頂点とを直線で結び、それと測定カーブで囲まれる面積を求め、これを熱量とする。
また、吸熱ピークのなかで吸熱の最も低い温度で観測されるピークの温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移点(Tg)として読み取る。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更した。
〔ワックスの融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔トナーの体積中位粒径(D50)及び粒径が3μm未満の粒子の含有量〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)及び粒径が3μm未満の粒子の含有量(個数%)を求める。
〔トナーの平均円形度〕
測定機:FPIA-3000(シスメックス社製)
標準ユニット(対物レンズ10倍)
測定モード HPFモード
バージョン 00-10
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB13.6)5重量%電解液
分散条件:分散液10mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、蒸留水10mlを添加し、さらに、超音波分散機にて2分間分散させる。
測定条件:分散液に分散したトナーを、粒子濃度1800〜2200個になる濃度で20℃で測定する。
〔外添剤の平均粒径〕
外添剤の平均粒径とは個数平均粒径を指し、走査電子顕微鏡(SEM)写真から500個の粒子の粒径(長径と短径の平均値)を測定し、それらの平均値を平均粒径とする。
〔外添剤の被覆率〕
被覆率(%)=√3/2π×(D・ρt)/(d・ρs)×C×100
(式中、Dはトナー母粒子の体積中位粒径(D50)(μm)、dは外添剤の平均粒径(μm)、ρtはトナー母粒子の比重、ρsは外添剤の比重、Cはトナー母粒子と外添剤の重量比(外添剤/トナー母粒子)を示す)
により算出される。
外添剤の総被覆率は、各外添剤について算出した被覆率の総和とする。
〔キャリアの飽和磁化〕
(1) 外径7mm(内径6mm)、高さ5mmの蓋付プラスティックケースにキャリアをタッピングしながら充填し、プラスティックケースの重量とキャリアを充填したプラスティックケースの重量の差から、キャリアの質量を求める。
(2) 理研電子(株)の磁気特性測定装置「BHV-50H」(V.S.MAGNETOMETER)のサンプルホルダーにキャリアを充填したプラスティックケースをセットし、バイブレーション機能を使用して、プラスティックケースを加振しながら、79.6kA/mの磁場を印加して飽和磁化を測定する。得られた値は充填されたキャリアの質量を考慮し、単位質量当たりの飽和磁化に換算する。
非晶質ポリエステルの製造例
表1に示す原料モノマー(アルコール成分及びカルボン酸成分)をエステル化触媒としてのオクチル酸錫(II)8gとともに、5リットル容のガラス製4つ口フラスコに入れ、温度計、ステンレス製攪拌機、流下式コンデンサー及び窒素導入管を取り付け、電熱マントル中で窒素気流下、攪拌しつつ、220℃で8時間かけて反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させた。さらに210℃で所望の軟化点に達するまで反応させて、樹脂A〜Cを得た。
Figure 0005410033
結晶性ポリエステルの製造例1
表2に示す原料モノマー(アルコール成分及びカルボン酸成分)及びハイドロキノン2gを5リットル容のガラス製4つ口フラスコに入れ、温度計、ステンレス製攪拌機、流下式コンデンサー及び窒素導入管を取り付け、電熱マントル中で窒素気流下、攪拌しつつ、160℃で5時間かけて反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させた。さらに8.0kPaにて一時間反応させて、樹脂aを得た。
結晶性ポリエステルの製造例2
表2に示す原料モノマー(アルコール成分及びカルボン酸成分)、ハイドロキノン2g及びポリプロピレンワックス「NP-105」(三井化学社製、融点:145℃)307gを5リットル容のガラス製4つ口フラスコに入れ、温度計、ステンレス製攪拌機、流下式コンデンサー及び窒素導入管を取り付け、電熱マントル中で窒素気流下、攪拌しつつ、160℃で5時間かけて反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させた。さらに8.0kPaにて3時間反応させて、樹脂bを得た。
Figure 0005410033
実施例1〜6、比較例1(実施例2〜6は参考例である)
表3に示す結着樹脂、カーボンブラック「NIPEX60」(デグサ社製)6重量部、荷電制御剤「T-77」(保土ヶ谷化学工業社製)1重量部、及びカルナバワックス「カルナバワックス C-1」(加藤洋行社製、融点:83℃)2重量部をヘンシェルミキサーで十分混合し、混練部分の全長1560mm、スクリュー径42mm、バレル内径43mmの同方向回転二軸押出機「PCM-30-30」(池貝鉄工社製)を用いてバレル内加熱温度100℃、スクリュー回転数200r/min、吐出量10kg/hrで溶融混練を行った。
得られた溶融混練物を冷却し、1〜3mm程度に粗粉砕した後、粗粉砕物を、ジェットミル「AFG200」(ALPINE社製)で微粉砕し、回転式気流分級機「100TTSP」(ALPINE社製)で分級して、トナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100重量部(10kg)と、疎水性シリカ「NAX50」(日本アエロジル社製、平均粒径 40nm、比重 2.3、疎水化処理剤 HMDS)1.0重量部(100g)及び疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル社製、平均粒径 16nm、比重 2.3、疎水化処理剤 DMDS)0.9重量部(90g)を75リットル容のヘンシェルミキサーに投入し、回転数1500r/minで90秒間混合して、トナー母粒子の表面に疎水性シリカを外添した。
外添したトナー10kgをバケットに入れ開口した状態のまま、恒温恒湿槽を用いて、表3に示す条件下で24時間放置し、加熱処理を行った。その後、得られたトナーを目開きが100μmのメッシュを備えた振とう篩にかけ、粗粒子を取り除いて、トナーを得た。
実施例3で得られたトナーの示差走査熱量測定によるチャートを図1に示す。
比較例2
外添工程後の加熱処理工程を行わなかった以外は、実施例4と同様にしてトナーを得た。
比較例3
外添工程後の加熱処理工程を行わなかった以外は、実施例3と同様にしてトナーを得た。
比較例4
粗粉砕物の微粉砕及び分級を、ジェット気流にて粗砕物を衝突させる微粉砕機と旋回流で遠心分離する分級機とを備えた「IDS-2型」(日本ニューマチック社)を用いた以外は、実施例3と同様にしてトナーを得たが、加熱処理後、凝集物が発生した。
比較例5
実施例2と同様に溶融混練した後、1〜3mmの粗粉砕物を得た。得られた粗粉砕物をバケットに入れ開口した状態のまま、恒温恒湿槽を用いて、表3に示す条件下で24時間放置し、加熱処理した後、ジェット気流にて粗砕物を衝突させる微粉砕機と旋回流で遠心分離する分級機とを備えた「IDS-2型」(日本ニューマチック社)を用い、トナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100重量部(10kg)と、疎水性シリカ「NAX50」(日本アエロジル社製、平均粒径 40nm、比重 2.3、疎水化処理剤 HMDS)1.0重量部(100g)及び疎水性シリカ「R972」(日本アエロジル社製、平均粒径 16nm、比重 2.3、疎水化処理剤 DMDS)0.9重量部(90g)を75リットル容のヘンシェルミキサーに投入し、回転数1500r/minで90秒間混合して、トナー母粒子の表面に疎水性シリカを外添し、トナーを得た。
試験例1〔最低定着温度〕
非接触現像方式の複写機「MICROLINE 3050」(沖データ社製)にトナーを実装し、トナー量が0.6mg/cm2になるように現像ロールの印加バイアスを調整した後、定着前の段階で画像を取り出し、未定着画像を得た。さらに、非接触定着方式の画像形成装置「Vario stream 9000」(オセ・プリンティングシステムズ社製)用の定着機を改造した外部定着機を使用し、紙上の温度を90℃から150℃へと10℃ずつ順次上昇させて定着画像を得た。各温度で定着させた画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、500gの荷重がかかるようにローラーでテープに圧力をかけた後、テープを剥離し、剥離前後の画像濃度を測定した。定着率(テープ剥離後の画像濃度/テープ貼付前の画像濃度×100)が最初に90%を越える紙上の温度を最低定着温度とした。定着試験に用いた紙はシャープ社製の厚紙「CopyBond SF-70NA」(75g/m2)である。結果を表3に示す。
試験例2〔転写効率、画像濃度及び耐久性〕
トナー342gとフェライトキャリア(体積平均粒径:60μm、飽和磁化:68Am2/kg)5000gとを混合し、二成分現像剤を得た。得られた二成分現像剤を非接触現像方式の画像形成装置「Vario stream 9000」(オセ・プリンティングシステムズ社製)に実装し、線速1000mm/sec、印字率9%で2時間耐刷した。その後、印字率0.15%で3時間耐刷し、プリンターを緊急停止させ、感光体上のトナー量(To)と紙上のトナー量(Tp)を計量し、Tp/To×100で求められた値を転写効率とした。
また、その時の画像サンプルを3枚採取し、画像の黒ベタ部分の光学反射密度(OD)を、反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)により画像濃度として測定した。
その後、さらに印字率9%で20時間耐刷した後、以下の方法に従って、スペント量を測定し、評価基準に従って、耐久性を評価した。結果を表3に示す。
(1) 二成分現像剤を掃除機により20μm目開きのメッシュに通し、残ったキャリアのカーボン量を炭素分析装置(カーボンアナライザー:HORIBA社製)で測定する。
(2) (1)でカーボン量を測定したキャリアをクロロホルムにて洗浄し、キャリアに付着しているトナーを除去する。洗浄後、キャリアのカーボン量を測定する。
(3) (1)で測定したカーボン量から、(2)で測定したカーボン量を引いた値をトナーのスペント量とする。スペント量は、キャリアに対する重量%で示す。
〔耐久性の評価基準〕
◎:スペント量が、0.03重量%未満
○:スペント量が、0.03重量%以上、0.15重量%未満
△:スペント量が、0.15重量%以上、0.30重量%未満
×:スペント量が、0.30重量%以上
試験例3〔保存性〕
トナー5gを50ml容のポリビンに入れ、温度50℃、相対湿度60%の環境で48時間放置した。その後、そのトナーを目開き100μmのメッシュで篩い、メッシュ上の残存トナーを計量し、以下の評価基準に従って、保存性を評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
○:残存トナーが0.5g未満
△:残存トナーが0.5g以上、1g未満
×:残存トナーが1g以上
Figure 0005410033
以上の結果より、実施例1〜6のトナーは、比較例1〜5のトナーと比べて、低温定着性及び保存性のいずれにも優れ、低印字率での耐刷においても、良好な転写効率が維持されることが分かる。
本発明の電子写真用トナーは、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。
図1は、実施例3で得られたトナーの示差走査熱量測定よるチャートである。
符号の説明
A 結着樹脂に由来する吸熱ピークの頂点
B ワックスに由来する吸熱ピークの頂点
C 吸熱曲線とA及びBとに囲まれた領域

Claims (3)

  1. 結晶性ポリエステルと線状非晶質ポリエステルを含有した結着樹脂及びワックスを含む原料を溶融混練する溶融混練工程、得られた溶融混練物を粉砕する粉砕工程及び得られた粉砕物を分級する分級工程を含む方法により得られるトナー母粒子と、外添剤とを含有してなり、トナー母粒子と外添剤とを混合する外添工程の後に、相対湿度が10〜70%、加熱温度t(℃)が、
    Tg 1 +5≦t≦Tm−30
    (式中、Tg 1 は加熱処理工程に供する被処理物のガラス転移点(℃)、Tmは加熱処理工程に供する被処理物の軟化点(℃)である)
    の条件下で、加熱処理工程を行って得られる電子写真用トナーであって、前記結晶性ポリエステルの含有量が、結着樹脂中、2〜10重量%であり、前記線状非晶質ポリエステルが、アルコール成分とフマル酸を含有したカルボン酸成分とを縮重合させて得られる線状非晶質ポリエステルを含有してなり、前記トナーの示差走査熱量計により測定される吸熱曲線と、結着樹脂に由来する吸熱ピークのなかで最も低い温度で現れる吸熱ピークの頂点とワックスのなかで最も低い融点のワックスに由来する吸熱ピークの頂点とを結ぶ直線に囲まれた領域の熱量が0.1〜10.0J/gであり、前記トナーの平均円形度が0.940〜0.980であり、粒径が3μm未満のトナー粒子の含有量が5個数%以下である電子写真用トナー。
  2. ワックスの融点が50〜120℃である請求項1記載の電子写真用トナー。
  3. 請求項1又は2記載の電子写真用トナーを、非接触現像方式の画像形成装置に用いる画像形成方法。
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