JP5325815B2 - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
高画質化及び高速化に対応して、定着特性を調節するために、結着樹脂として、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルとを用いるトナーの開発が行われている。
特許文献2には、低温定着化及び画像光沢の安定化を両立することを目的として、少なくとも、結着樹脂、着色剤及び離型剤を含み、前記結着樹脂が非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含有し、該非晶性ポリエステル樹脂にスズ含有触媒が含まれ、前記結晶性ポリエステル樹脂にチタン含有触媒が含まれる静電荷像現像用トナーが開示されている。
本発明の課題は、良好な低温定着性、帯電性及び保存安定性を両立した電子写真用トナー並びにその製造方法を提供することにある。
〔1〕下記工程(1)〜(3)を含む電子写真用トナーの製造方法。
工程(1):着色剤、結晶性ポリエステル(a)を含有する樹脂粒子(A)、及び離型剤粒子を水性媒体中で凝集し、コア凝集粒子を得る工程
工程(2):前記の工程(1)で得られたコア凝集粒子に、非晶性ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(B)を水性媒体中で付着させて、コアシェル凝集粒子を得る工程
工程(3):前記の工程(2)で得られたコアシェル凝集粒子を水性媒体中、前記結晶性ポリエステル(a)の融点及び離型剤の融点のいずれよりも5℃以上低い温度、かつ、前記非晶性ポリエステル(b)のガラス転移点より6℃低い温度以上の温度で保持し、円形度0.955〜0.980のコアシェル粒子を得る工程
ただし、前記工程(1)以後の水性媒体中で行われる全工程を、前記結晶性ポリエステル(a)の融点より5℃以上低い温度で行う。
〔2〕前記〔1〕の製造方法で得られる電子写真用トナー。
工程(1):着色剤、結晶性ポリエステル(a)を含有する樹脂粒子(A)、及び離型剤粒子を水性媒体中で凝集し、コア凝集粒子を得る工程
工程(2):前記の工程(1)で得られたコア凝集粒子に、非晶性ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(B)を水性媒体中で付着させて、コアシェル凝集粒子を得る工程
工程(3):前記の工程(2)で得られたコアシェル凝集粒子を水性媒体中、前記結晶性ポリエステル(a)の融点及び離型剤の融点のいずれよりも5℃以上低い温度、かつ、前記非晶性ポリエステル(b)のガラス転移点より6℃低い温度以上の温度で保持し、円形度0.955〜0.980のコアシェル粒子を得る工程
ただし、前記工程(1)以後の水性媒体中で行われる全工程を、前記結晶性ポリエステル(a)の融点より5℃以上低い温度で行う。
まず、本発明の方法における工程(1)及び(2)を行うことによって、着色剤、結晶性ポリエステル(a)を含有する樹脂粒子(A)及び離型剤粒子を含有するコア部分と、非晶性ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(B)を含有するシェル部分とからなるコアシェル凝集粒子を形成する。この段階では各粒子が物理的に付着している。これを樹脂が融解する温度まで加熱し、融着させることによってトナーとなるコアシェル粒子を得るが、本発明の方法における工程(3)では、水性媒体中、結晶性ポリエステル(a)の融点及び離型剤の融点のいずれよりも5℃以上低い温度、かつ、非晶性ポリエステル(b)のガラス転移点より6℃低い温度以上の温度で保持してコアシェル粒子を得ることによって、低温での高い定着性を発現する結晶性ポリエステル(a)及び離型剤の結晶状態を保ったまま、保存安定性や帯電性の低下の原因となる結晶性ポリエステル(a)や離型剤のトナー表面への露出を抑え、シェル部分を均一に融着させることができる。その結果、良好な低温定着性、帯電性及び保存安定性を両立したトナーを得ることができると考えられる。
また、本発明の効果を発揮させるためには、工程(3)以外の水性媒体中で行われる工程においても、結晶性ポリエステル(a)の融点より5℃以上低い温度で行う必要がある。例えば、工程(1)、(2)又は後処理の工程で高温状態に保持されてしまうと、結晶性ポリエステル(a)や離型剤の結晶状態が崩れてしまう。そのため、本発明では、工程(1)以後の水性媒体中で行われる全工程を前記温度で行う。これによって、低温定着性及び保存安定性を両立させることができ、かつ、帯電性に優れるという本発明の効果を十分に発揮させることができる。
以下、本発明に用いられる各成分及び工程等について説明する。
着色剤としては、顔料及び染料が用いられ、トナーの画像濃度の観点から、顔料が好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、銅フタロシアニン、フタロシアニングリーン等が挙げられ、銅フタロシアニンが好ましい。
染料の具体例としては、アクリジン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系等が挙げられる。
着色剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明に用いられる着色剤は、表面処理や分散剤の使用によって、水性媒体中に着色剤粒子として用いてもよく、樹脂粒子(A)等に含有させて用いてもよいが、凝集時に粗大粒子の発生を抑制する観点から、樹脂粒子(A)等に含有させて用いることが好ましい。
本発明において、樹脂粒子(A)は結晶性ポリエステル(a)を含有する。樹脂粒子(A)中の結晶性ポリエステル(a)の含有量は、トナーの低温定着性を向上させ、ホットオフセットを防ぐ観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂に対して、1〜50重量%が好ましく、13〜50重量%がより好ましく、17〜40重量%が更に好ましく、20〜30重量%が特に好ましい。
また、樹脂粒子(A)は、凝集時に粗大粒子の発生を抑制する観点から、着色剤を含有することが好ましく、着色剤を含有する着色剤含有樹脂粒子であることが好ましい。
樹脂粒子(A)が着色剤含有樹脂粒子である場合、着色剤の含有量は、トナーの画像濃度の観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、5〜10重量部がより好ましい。
樹脂粒子(A)には、離型剤、帯電制御剤を含有させてもよい。また、必要に応じて、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤等を含有させてもよい。
本発明において、結晶性ポリエステル(a)とは、軟化点と示差走査熱量計(DSC)による吸熱の最大ピーク温度との比、(軟化点(℃))/(吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される結晶性指数が0.6〜1.4のものであり、トナーの低温定着性の観点から、0.8〜1.3のものが好ましく、0.9〜1.2のものがより好ましく、0.9〜1.1のものが更に好ましい。
結晶性ポリエステル(a)は、乳化性の観点から、分子末端に酸基を有することが好ましい。該酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸等が挙げられる。これらの中でも、樹脂の分散性と得られるトナーの保存安定性との両立の観点から、カルボキシル基が好ましい。
結晶性ポリエステル(a)の軟化点は、同様の観点から、50〜140℃が好ましく、55〜130℃がより好ましく、60〜110℃が更に好ましく、60〜85℃が特に好ましい。
結晶性ポリエステル(a)の数平均分子量は、トナーの低温定着性の観点から、1,500〜50,000が好ましく、2,000〜10,000がより好ましく、3,500〜8,000が更に好ましい。
なお、結晶性ポリエステル(a)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、結晶性ポリエステル(a)の融点、軟化点及び数平均分子量は、実施例記載の方法によって求められる。2種以上併用する場合、融点は、得られるトナーに含有される結晶性ポリエステル(a)中、最も重量比の大きい結晶性ポリエステル(a)の融点を、本発明における結晶性ポリエステル(a)の融点とする。なお、全てが同一の比率の場合は、最も低い値とする。軟化点及び数平均分子量は、結晶性ポリエステル(a)の混合物として、実施例に記載の方法によって求められる。
酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにこれらの酸の無水物、及びアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、なかでもトナーの低温定着性、保存安定性及び帯電性の観点から、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等が挙げられ、なかでもトナーの低温定着性、保存安定性及び帯電性の観点から、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸が好ましい。
脂環式ジカルボン酸の具体例としては、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸の具体例としては、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
主鎖炭素数2〜12の脂肪族ジオールのなかでも、ポリエステルの結晶性を促進させ、トナーの低温定着性を向上させる観点から、α,ω−直鎖アルカンジオールが好ましく、主鎖炭素数6〜12のものがより好ましい。
α,ω−直鎖アルカンジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられ、なかでもトナーの低温定着性、保存安定性及び帯電性の観点から、1,6−ヘキサンジオール及び1,9−ノナンジオールが好ましい。
その他の主鎖炭素数2〜12の脂肪族ジオールの具体例としては、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等が挙げられる。
芳香族ジオールの具体例としては、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)等が挙げられる。
3価以上の多価アルコールの具体例としては、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
チタン化合物としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等が挙げられる。
触媒の使用量に制限はないが、酸成分とアルコール成分との総量100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましい。
樹脂粒子(A)に含まれうる非晶性ポリエステル(c)は、後述の非晶性ポリエステル(b)と同様のポリエステルを好ましく用いることができる。非晶性ポリエステル(b)と同一組成の樹脂を用いてもよく、異なる組成の樹脂を用いてもよいが、同一組成の樹脂を用いることが凝集制御及びトナーの低温定着性の観点から好ましい。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸が好ましく、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデセニルコハク酸が好ましく、3価以上の多価カルボン酸としては、トリメリット酸及びその酸無水物が好ましい。
非晶性ポリエステル(c)のガラス転移点、軟化点、数平均分子量及び酸価は、非晶性ポリエステル(b)と同じ範囲が好ましい。
樹脂粒子(A)は、結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂及び前記の任意成分を水性媒体中に分散させ、樹脂粒子(A)を含有する分散液として得る方法によって製造することが好ましい。
分散液を得る方法としては、樹脂等を水性媒体に添加し、分散機等によって分散処理を行う方法、樹脂等に水性媒体を徐々に添加して転相乳化させる方法等が挙げられ、得られるトナーの低温定着性の観点から、転相乳化による方法が好ましい。以下、転相乳化による方法について述べる。
結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂が、複数の樹脂からなる場合には、予め、結晶性ポリエステル(a)とその他の樹脂を混合したものを用いてもよいが、前記アルカリ水溶液及び任意成分を添加する際に同時に添加し、溶融して混合することによって得てもよい。例えば、結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂が、非晶性ポリエステル(c)を含有する場合には、結晶性ポリエステル(a)、非晶性ポリエステル(c)、アルカリ水溶液、及び前記の任意成分を溶融して混合し、樹脂混合物を得る方法が、トナーの低温定着性の観点から好ましい。
また、混合の際には、樹脂の乳化安定性の観点から、界面活性剤を添加することが好ましい。
非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを併用する場合、非イオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との重量比(非イオン性界面活性剤/アニオン性界面活性剤)は、樹脂を十分に乳化させる観点から、0.3〜10が好ましく、0.5〜5がより好ましい。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられ、なかでも樹脂の乳化安定性の観点から、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸ナトリウムが好ましい。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
水性媒体としては水を主成分とするものが好ましく、環境性の観点から、水性媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上が更に好ましく、実質100重量%が更に好ましい。水としては、脱イオン水又は蒸留水が好ましく用いられる。
水以外の成分としては、炭素数1〜5のアルキルアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のジアルキル(炭素数1〜3)ケトン;テトラヒドロフラン等の環状エーテル等の水に溶解する有機溶媒が用いられる。これらの中でも、トナーへの混入を防止する観点から、ポリエステルを溶解しない炭素数1〜5のアルキルアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールがより好ましい。
また、樹脂粒子の粒度分布の変動係数(CV値)(%)は、高画像のトナーを得る観点から、40%以下であることが好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましく、28%以下が更に好ましい。なお、CV値は、下記式で表される値であり、具体的には実施例記載の方法で求められる。
CV値(%)=[粒度分布の標準偏差(μm)/体積中位粒径(μm)]×100
離型剤粒子は、凝集性の観点から、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を使用する場合の含有量は、凝集性および得られるトナーの帯電性の観点から、離型剤100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
離型剤粒子の体積中位粒径は、得られるトナーの帯電性およびホットオフセットを防ぐ観点から0.1〜1μmが好ましく、0.1〜0.7μmがより好ましく、0.1〜0.5μmが更に好ましい。
離型剤粒子のCV値は、得られるトナーの帯電性の観点から、15〜50%が好ましく、15〜40%がより好ましく、15〜35%が更に好ましい。
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等が挙げられる。これらの、離型剤は、単独で又は2種以上を併用することができる。
離型剤の融点は、トナーの低温定着性及び保存安定性、帯電性の観点から、65〜100℃が好ましく、75〜95℃がより好ましく、75℃〜90℃がさらに好ましく、80〜90℃がより更に好ましい。
本発明において、離型剤の融点は、実施例記載の方法によって求められる。2種以上併用する場合、融点は、得られるトナーに含有される離型剤中、最も重量比の大きい離型剤の融点を、本発明における離型剤の融点とする。なお、全てが同一の比率の場合は、最も低い値とする。
離型剤を使用する場合、その使用量は、トナーの離型性及び帯電性の観点から、トナー中の樹脂100重量部に対して、通常1〜20重量部が好ましく、2〜15重量部がより好ましい。
離型剤粒子は、離型剤を水性媒体に分散して離型剤粒子の分散液として得ることが好ましい。
離型剤粒子の分散液は、離型剤と水性媒体とを、界面活性剤の存在下、離型剤の融点以上の温度で、分散機を用いて分散することによって得ることが好ましい。用いる分散機としては、ホモジナイザー、超音波分散機等が好ましい。
本製造で用いる水性媒体及び界面活性剤は樹脂混合物を得る際に用いられるものが好ましく用いられる。
本発明において、樹脂粒子(B)は、トナーの保存安定性及び帯電性の観点から、非晶性ポリエステル(b)を含有する。
樹脂粒子(B)のガラス転移点は、樹脂粒子(B)を構成する非晶性ポリエステル(b)等の樹脂のガラス転移点、添加剤等の種類や量によって適宜決定されるが、トナーの耐久性、低温定着性及び保存安定性の観点から、55℃以上であることが好ましく、55〜75℃がより好ましく、55〜70℃が更に好ましく、55〜65℃が更に好ましい。
樹脂粒子(B)は、非晶性ポリエステル(b)とともに、更に、通常トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、結晶性ポリエステル(a)、スチレンアクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂を含有してもよい。
樹脂粒子(B)は、前述の樹脂粒子(A)の製造方法と同様の方法によって得ることができるが、用いられるアルカリ水溶液、界面活性剤、水性媒体も同様のものを好適に用いることができる。
本発明において、非晶性ポリエステル(b)とは、前述の結晶性指数が、1.4を超える、あるいは0.6未満のポリエステルである。
非晶性ポリエステル(b)は、この結晶性指数が、トナーの低温定着性の観点から、0.6未満又は1.4を超え4以下であることが好ましく、より好ましくは0.6未満又は1.5以上4以下、更に好ましくは0.6未満又は1.5以上3以下、更に好ましくは0.6未満又は1.5以上2以下である。結晶性指数は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により適宜決定することができる。
非晶性ポリエステル(b)としては、分子末端に酸基を有する非晶性ポリエステル(b)が好ましい。該酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステルの乳化をしやすくする観点から、カルボキシル基が好ましい。
ジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられ、なかでもテレフタル酸が好ましい。
炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸の具体例としては、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられ、なかでも耐オフセット性の観点から、トリメリット酸及びその酸無水物が好ましい。
酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
非晶性ポリエステル(b)は、トナーの耐オフセット性の観点から、3価以上の多価カルボン酸並びにその酸無水物又はそのアルキルエステル、好ましくはトリメリット酸又はその無水物を含有する酸成分を用いて得られた非晶性ポリエステル(b)を少なくとも1種使用することが好ましい。
アルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
非晶性ポリエステル(b)の軟化点は、同様の観点から、70〜165℃が好ましく、70〜140℃がより好ましく、90〜140℃が更に好ましく、100〜130℃が特に好ましい。
なお、非晶性ポリエステル(b)を2種以上混合して使用する場合は、そのガラス転移点及び軟化点は、各々2種以上の非晶性ポリエステル(b)の混合物として、実施例記載の方法によって得られたガラス転移点及び軟化点をいう。
非晶性ポリエステル(b)の酸価は、樹脂の水性媒体中における乳化性の観点から、6〜35mgKOH/gが好ましく、10〜35mgKOH/gがより好ましく、15〜35mgKOH/gが更に好ましい。
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、下記工程(1)〜(3)を含む。
工程(1):着色剤、結晶性ポリエステル(a)を含有する樹脂粒子(A)、及び離型剤粒子を水性媒体中で凝集し、コア凝集粒子を得る工程
工程(2):前記の工程(1)で得られたコア凝集粒子に、非晶性ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(B)を水性媒体中で付着させて、コアシェル凝集粒子を得る工程
工程(3):前記の工程(2)で得られたコアシェル凝集粒子を水性媒体中、前記結晶性ポリエステル(a)の融点及び離型剤の融点のいずれよりも5℃以上低い温度、かつ、前記非晶性ポリエステル(b)のガラス転移点より6℃低い温度以上の温度で保持し、円形度0.955〜0.980のコアシェル粒子を得る工程
ただし、前記工程(1)以後の水性媒体中で行われる全工程を、前記結晶性ポリエステル(a)の融点より5℃以上低い温度で行う。
工程(1)は、着色剤、結晶性ポリエステル(a)を含有する樹脂粒子(A)、及び離型剤粒子を水性媒体中で凝集し、コア凝集粒子を得る工程である。
なお、着色剤はそれのみで別の粒子として混合してもよく、結晶性ポリエステル(a)を含有する樹脂粒子(A)に含まれていてもよいが、凝集制御の観点から、結晶性ポリエステル(a)を含有する樹脂粒子(A)に含まれていることが好ましい。
また、本工程において、樹脂粒子(A)以外の樹脂粒子を混合してもよい。樹脂粒子(A)以外の樹脂粒子としては、非晶性ポリエステルを含む樹脂粒子が好ましく、樹脂粒子(B)がより好ましい。
混合の順に制限はなく、いずれかを順に添加してもよいし、同時に添加してもよい。
また、着色剤は、画像濃度の観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、3〜15重量部がより好ましい。離型剤粒子は、トナーの離型性及び帯電性の観点から、樹脂と着色剤との合計100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、2〜15重量部がより好ましい。
混合温度は、凝集制御の観点から、0〜40℃が好ましい。
凝集剤は、第四級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤;無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が用いられる。
無機金属塩としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられ、硫酸アンモニウムがより好ましい。
凝集剤の使用量は、トナーの帯電性の観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは50重量部以下、より好ましくは40重量部以下、更に好ましくは30重量部以下である。また、樹脂粒子の凝集性の観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上、更に好ましくは5重量部以上である。以上の点を考慮して、1価の塩の使用量は、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜40重量部、更に好ましくは5〜30重量部である。
工程(2)は、工程(1)で得られたコア凝集粒子に、非晶性ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(B)を付着させて、コアシェル凝集粒子を得る工程である。
本工程においては、工程(1)で得られたコア凝集粒子の分散液に、非晶性ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(B)の分散液を添加して、コア凝集粒子に更に樹脂粒子(B)を付着させ、コアシェル凝集粒子を得ることが好ましい。
コア凝集粒子分散液に樹脂粒子(B)分散液を添加するときには、コア粒子に樹脂粒子(B)を効率的に付着させるために、前記凝集剤を用いてもよい。
コア凝集粒子分散液に樹脂粒子(B)分散液を添加する場合の好ましい添加方法としては、凝集剤と樹脂粒子(B)分散液とを同時に添加する方法、凝集剤と樹脂粒子(B)分散液とを交互に添加する方法、コア凝集粒子分散液の温度を徐々に上げながら、樹脂粒子(B)分散液を添加する方法が挙げられる。このようにすることで、凝集剤濃度低下によるコア凝集粒子及び樹脂粒子(B)の凝集性の低下を防ぐことができる。トナーの生産性及び製造簡便性の観点から、コア凝集粒子分散液の温度を徐々に上げながら、樹脂粒子(B)分散液を添加することが好ましい。
凝集停止剤としては、界面活性剤が好ましく、アニオン性界面活性剤がより好ましい。アニオン性界面活性剤としては、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。凝集停止剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
凝集停止剤の添加量は、凝集停止性およびトナーへの凝集停止剤の残留を低減する観点から、系中の樹脂の総量100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、更に好ましくは0.1〜8重量部である。凝集停止剤は、いかなる形態で添加してもよいが、生産性の観点から、水溶液で添加することが好ましい。
工程(3)は、工程(2)で得られたコアシェル凝集粒子を水性媒体中、結晶性ポリエステル(a)の融点及び離型剤の融点のいずれよりも5℃以上低い温度、かつ、非晶性ポリエステル(b)のガラス転移点より6℃低い温度以上の温度で保持し、円形度0.955〜0.980のコアシェル粒子を得る工程である。
本工程においては、コアシェル凝集粒子中の、主として物理的にお互いに付着している状態であった各粒子が融着されて一体となり、円形度0.955以上のコアシェル粒子が形成される。
トナーの保存安定性及び帯電性の観点から、本工程においては、結晶性ポリエステル(a)の融点より5℃以上低い温度、好ましくは7℃以上低い温度、より好ましくは10℃以上低い温度で保持することがより好ましい。
また、トナーの帯電性の観点から、本工程においては、離型剤の融点より5℃以上低い温度、好ましくは7℃以上低い温度、より好ましくは10℃以上低い温度で保持することがより好ましい。
また、融着性、トナーの保存安定性、帯電性及びトナー生産性の観点から、本工程においては、非晶性ポリエステル(b)のガラス転移点より6℃低い温度以上の温度、好ましくは5℃低い温度以上の温度、より好ましくは4℃低い温度以上の温度で保持することがより好ましい。
これらの条件を満たすことで、低温での高い定着性を発現する結晶性ポリエステル(a)の結晶状態及び離型剤の結晶状態を保ち、トナーの保存安定性や帯電性の低下の原因となる結晶性ポリエステル(a)や離型剤のトナー表面への露出を抑制し、シェル部分を均一に融着させることができ、その結果、良好な低温定着性、帯電性及び保存安定性を両立したトナーを得ることができると考えられる。
更に、融着性、トナーの保存安定性、帯電性及びトナーの生産性の観点から、本工程においては、樹脂粒子(B)のガラス転移点以上の温度で保持することが好ましく、樹脂粒子(B)のガラス転移点より1℃高い温度以上の温度で保持することがより好ましい。
本工程においては、粒子融着性の観点から、好ましくは58〜69℃、より好ましくは59〜67℃、更に好ましくは60〜64℃で保持する。
トナー粒子の窒素吸着法によるBET比表面積は、得られるトナーの帯電性および保存安定性の観点から1.0〜5.0m2/gが好ましく、1.0〜4.0m2/gがより好ましく、1.5〜3.5m2/gが更に好ましく、1.5〜3.0m2/gが更に好ましい。
本発明においては、工程(3)の後に後処理工程を行ってもよく、コアシェル粒子を単離することによってトナー粒子を得ることが好ましい。ただし、本発明においては、工程(1)後の水性媒体中で行われる全工程を結晶性ポリエステル(a)の融点より5℃以上低い温度で行う必要があるため、本工程においても、洗浄等の水性媒体を用いる場合は、結晶性ポリエステル(a)の融点より5℃以上低い温度で行う。
固液分離後に洗浄を行うことが好ましい。トナーとして十分な帯電特性及び信頼性を確保する目的から、トナー表面の金属イオンを除去するため酸で洗浄を行うことが好ましい。また、添加した非イオン性界面活性剤も除去することが好ましいため、非イオン性界面活性剤の曇点以下で水性溶液により洗浄することが好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
次に乾燥を行うことが好ましく、乾燥においても、結晶性ポリエステル(a)の融点より5℃以上低い温度で行うことが好ましい。これによって、結晶性ポリエステルの結晶状態を完全に維持することができ、本発明の効果を十分に発揮させることができる。
乾燥時の温度は、コアシェル粒子自体の温度が結晶性ポリエステルの融点より5℃以上低くなるように設定することが好ましい。乾燥方法としては、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等を用いることが好ましい。乾燥後の水分含量は、トナーの飛散量の低減及び帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下に調整される。
(トナー粒子)
乾燥等を行うことによってトナー粒子が得られる。得られたトナー粒子の軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、好ましくは60〜140℃、より好ましくは60〜130℃、更に好ましくは60〜120℃である。また、ガラス転移点は、低温定着性、耐久性及び保存安定性の観点から、好ましくは30〜80℃、より好ましくは40〜70℃である。
トナー粒子の円形度は、トナーの保存安定性、帯電性及びクリーニング性の観点から0.955〜0.980であることが好ましく、0.958〜0.980であることがより好ましく、0.960〜0.975であることが更に好ましい。トナー粒子の円形度は後述の方法で測定することができる。なお、トナー粒子の円形度は、投影面積と等しい円の周囲長/投影像の周囲長の比で求められる値であり、粒子が球形であるほど円形度が1に近い値となる値である。
本発明の方法により得られたトナー粒子はコアシェル粒子であり、シェル部分に、非晶性ポリエステル(b)を好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、更に好ましくは90〜100重量%含有する。
本発明の電子写真用トナーは、前記トナー粒子をトナーとしてそのまま用いることもできるが、流動化剤等の助剤(外添剤)をトナー粒子表面に添加処理したものをトナーとして使用することが好ましい。外添剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、任意の微粒子が挙げられ、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いてトナー粒子の表面処理を行う場合、外添剤の添加量は、外添剤による処理前のトナー粒子100重量部に対して、好ましくは1〜5重量部、より好ましくは1〜3.5重量部、更に好ましくは1〜3重量部である。
トナーの高画質化と生産性の観点から、トナーの体積中位粒径は、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜8μm、更に好ましくは3〜7μm、更に好ましくは4〜6μmである。
トナーのCV値は、高画質化と生産性の観点から、好ましくは30%以下、より好ましくは27%以下、更に好ましくは25%以下、更に好ましくは22%以下である。
本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
JIS K0070に従って測定した。但し、測定溶媒はクロロホルムとした。
(1)軟化点
フローテスター((株)島津製作所製、商品名:CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(2)吸熱の最大ピーク温度、融点及びガラス転移点
示差走査熱量計(Parkin Elmer社製、商品名:Pyris 6 DSC)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度50℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とした。結晶性ポリエステルの時には該ピーク温度を融点とした。また、非晶性ポリエステルの場合に吸熱ピークが観測されるときはそのピークの温度を、ピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度をガラス転移点とした。
樹脂粒子(B)についてガラス転移点を測定する場合は、樹脂粒子(B)分散液から凍結乾燥により溶媒を除去し、得られた固形物について前記方法で測定を行った。
樹脂粒子(B)分散液の凍結乾燥は、凍結乾燥機(東京理化器械(株)製、商品名:FDU−2100及びDRC−1000)を用いて、樹脂粒子(B)分散液30gを−25℃にて1時間、−10℃にて10時間、25℃にて4時間真空乾燥を行い、水分量1重量%以下となるまで乾燥させた。水分量は、赤外線水分計((株)ケツト科学研究所製、商品名:FD−230)を用いて、乾燥後の試料5gを、乾燥温度150℃及び測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて測定した。
ガラス転移点の測定方法は、ポリエステルのガラス転移点の測定方法と同様の方法で行った。
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出した。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、ポリエステルをクロロホルムに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業(株)製、商品名:「FP−200」)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2)分子量分布測定
溶解液としてクロロホルムを1ml/分の流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行った。試料の分子量は、あらかじめ作製した検量線に基づき算出した。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の単分散ポリスチレン;2.63×103、2.06×104、1.02×105(重量平均分子量)、ジーエルサイエンス(株)製の単分散ポリスチレン;2.10×103、7.00×103、5.04×104(重量平均分子量))を標準試料として作成したものを用いた。
測定装置:CO−8010(商品名、東ソー(株)製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(いずれも商品名、東ソー(株)製)
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機((株)堀場製作所製、商品名:LA−920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる温度で体積中位粒径(D50)を測定した。また、CV値は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積中位粒径(D50))×100
赤外線水分計(FD−230)を用いて、樹脂粒子分散液5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、水分%を測定した。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(重量%)=100−M
M:水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
トナー(粒子)の体積中位粒径は以下の通り測定した。
・測定機:コールターマルチサイザーIII(商品名、ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:マルチサイザーIIIバージョン3.51(商品名、ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(商品名、ベックマンコールター社製)
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製、商品名、エマルゲン109P、HLB:13.6)を前記電解液に溶解させ、濃度5重量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLにトナー測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求めた。
また、CV値(%)は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積中位粒径(D50))×100
凝集粒子、コアシェル凝集粒子の体積中位粒径は、前記トナー(粒子)の体積中位粒径の測定において、試料分散液として凝集粒子分散液、コアシェル凝集粒子を使用して同様に測定した。
・分散液の調製:コアシェル粒子の分散液の調製は、コアシェル粒子の固形分濃度が0.001〜0.05%になるように脱イオン水で希釈したものを試料分散液として使用した。またトナーの分散液調製は、5重量%ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン109P)水溶液5mlにトナー50mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させたのち、蒸留水20mlを添加し、さらに超音波分散機にて1分間分散させトナーの分散液を得た。
・測定装置:フロー式粒子像分析装置(シスメックス(株)製、商品名:FPIA−3000)
・測定モード:HPF測定モード
Micromeritics FlowSorbIII(商品名、(株)島津製作所製)を用いて、下記条件でBET比表面積を測定した。
・トナーサンプル量:0.09〜0.11g
・脱気条件:40℃、10分間
・吸着ガス:窒素ガス
上質紙(富士ゼロックス(株)製、J紙A4サイズ)に市販のプリンタ((株)沖データ製、商品名:ML5400)を用いて、トナーの紙上の付着量が0.42〜0.48mg/cm2となるベタ画像をA4紙の上端から5mmの余白部分を残し、50mmの長さで定着させずに出力した。
次に、定着器を温度可変に改造した同プリンタを用意し、定着器の温度を100℃にし、A4縦方向に1枚あたり1.5秒の速度で定着し、印刷物を得た。
同様の方法で定着器の温度を5℃ずつ上げて、定着し、印刷物を得た。
印刷物の画像上の上端の余白部分に、メンディングテープ(3M社製、商品名:Scotchメンディングテープ810、幅18mm)を長さ50mmに切ったものを軽く貼り付けた後、500gのおもりを載せ、速さ10mm/秒で1往復押し当てた。その後、貼付したテープを下端側から剥離角度180度、速さ10mm/秒で剥がし、テープ剥離後の印刷物を得た。テープ貼付前及び剥離後の印刷物の下に上質紙(沖データ社製、エクセレントホワイト紙A4サイズ)を30枚敷き、各印刷物のテープ貼付前及び剥離後の定着画像部分の反射画像濃度を、測色計(Gretag−Macbeth社製、「SpectroEye」、光射条件;標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて測定し、これから下記の式で定着率を算出した。
定着率=(テープ剥離後の反射画像濃度/テープ貼付前の反射画像濃度)×100
定着率が90以上となる温度を最低定着温度とした。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れる。
内容積20mlのポリビンにトナー10gを入れ、温度50℃、相対湿度40RH%の環境下に開放状態で12時間放置した。放置後、パウダーテスター(ホソカワミクロン(株)製)の振動台に、3つのフルイを上段目開き250μm、中段目開き150μm、下段目開き75μmの順でセットし、その上にトナー2gを乗せ60秒間振動を行い、各フルイ上に残ったトナー重量を測定した。測定したトナー重量を次式に当てはめて計算し、凝集度[%]を求めた。
凝集度[%]=a+b+c
a=(上段フルイ残トナー重量)/2[g]×100
b=(中段フルイ残トナー重量)/2[g]×100×(3/5)
c=(下段フルイ残トナー重量)/2[g]×100×(1/5)
以下の基準に従ってトナーの保存安定性を評価した。凝集度が小さいほど、トナーが保存安定性に優れることを表す。
25℃、50%RH下にてトナー2.1gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業社製、平均粒子径:40μm)27.9gとを50ccの円筒形ポリプロピレン製ボトル(ニッコー社製)に入れ、縦横に10回ずつ振り、その後、ターブラーミキサーを用いて混合時間が1時間における帯電量を、q/mメーター(EPPING社製)を用いて測定し、帯電量を得た。帯電量の絶対値が高いほど、帯電性が良好である。
なお測定機器、設定等は下記の通りである。
測定機器:EPPING社製 q/m−meter
設定:メッシュサイズ:635メッシュ(目開き:24μm、ステンレス製)
ソフトブロー、ブロー圧(600V)
吸引時間:90秒
帯電量(μC/g)=90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)
製造例1
(結晶性ポリエステル(1)の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、1,9−ノナンジオール3936g、セバシン酸4848gを入れた。撹拌しながら、140℃に昇温し、140℃で3時間維持した後、140℃から200℃まで10時間かけて昇温した。その後、ジオクチル酸錫50gを加え、更に200℃にて1時間維持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて4時間維持し、結晶性ポリエステル(1)を得た。融点は72℃であり、結晶性指数は1.1であった。また酸価は3.1mgKOH/gであり、数平均分子量は6.1×103であった。
(結晶性ポリエステル(2)の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、1,6−ヘキサンジオール2419g、1,12−ドデカン二酸4957gを入れた。撹拌しながら、140℃に昇温し、140℃で3時間維持した後、140℃から200℃まで10時間かけて昇温した。その後、ジオクチル酸錫30gを加え、更に200℃にて1時間維持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて3時間維持し、結晶性ポリエステル(2)を得た。融点は74℃であり、結晶性指数は1.1であった。また酸価は24.3mgKOH/gであり、数平均分子量は4.1×103であった。
(結晶性ポリエステル(3)の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、1,10−デカンジオール4350g、セバシン酸5310gを入れた。撹拌しながら、140℃に昇温し、140℃で3時間維持した後、140℃から200℃まで10時間かけて昇温した。その後、ジオクチル酸錫48gを加え、更に200℃にて1時間維持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて3時間維持し、結晶性ポリエステル(2)を得た。融点は79℃であり、結晶性指数は1.1であった。また酸価は24.1mgKOH/gであり、数平均分子量は3.5×103であった。
(非晶性ポリエステル(1)の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1750g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1625g、テレフタル酸1145g、ドデセニルコハク酸無水物161g、トリメリット酸無水物480g、及び酸化ジブチル錫10gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、220℃に昇温し、220℃で5時間維持した後、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶性ポリエステル(1)を得た。ガラス転移点は65℃、軟化点は122℃であり、結晶性指数は1.6であった。また酸価は21.0mgKOH/gであり、数平均分子量は2.9×103であった。
(非晶性ポリエステル(2)の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3374g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン33g、テレフタル酸672g及び酸化ジブチル錫10gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、230℃に昇温し、5時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて1時間維持した。その後、210℃に冷却し、大気圧に戻した後、フマル酸696g、tert−ブチルカテコール0.49gを加え、210℃の温度下で5時間維持した後に、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて4時間維持させて、非晶性ポリエステル(2)を得た。ガラス転移点は65℃、軟化点は107℃であり、結晶性指数は1.5であった。また酸価は24.4mgKOH/gであり、数平均分子量は3.0×103であった。
製造例6
(結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂粒子(A−1)分散液の製造)
撹拌機を装備したフラスコに、結晶性ポリエステル(1)90g、非晶性ポリエステル(1)210g、非晶性ポリエステル(2)300g、銅フタロシアニン顔料(商品名:ECB301、大日精化工業(株)製)45g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤、商品名:エマルゲン150、花王(株)製)8.5g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ネオペレックスG−15、花王(株)製)80g、5重量%水酸化カリウム水溶液235gを入れ、撹拌しながら、98℃に昇温して溶融し、98℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、1146gの脱イオン水を6g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュ(目開き105μm)の金網を通して、結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂粒子(A−1)分散液を得た。得られた分散液の固形分濃度は31重量%であり、樹脂粒子(A−1)の体積中位粒径は0.227μm、CV値は27%であった。
(結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂粒子(A−2)分散液の製造)
製造例6において、結晶性ポリエステル(1)の添加量を135g、非晶性ポリエステル(2)の添加量を255g、5重量%水酸化カリウム水溶液の添加量を217g、脱イオン水の添加量を1163gに変更したこと以外は製造例6と同様にして樹脂粒子(A−2)分散液を得た。
得られた分散液の固形分濃度は32重量%であり、樹脂粒子(A−2)の体積中位粒径は0.315μm、CV値は30%であった。
(結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂粒子(A−3)分散液の製造)
製造例6において、結晶性ポリエステル(1)を結晶性ポリエステル(2)に変更し、5重量%水酸化カリウム水溶液の添加量を274g、脱イオン水の添加量を1109gに変更したこと以外は製造例6と同様にして樹脂粒子(A−3)分散液を得た。
得られた分散液の固形分濃度は32重量%であり、樹脂粒子(A−3)の体積中位粒径は0.347μm、CV値は25%であった。
(結晶性ポリエステルを含む樹脂粒子(A−4)分散液の製造)
製造例6において、結晶性ポリエステル(1)を結晶性ポリエステル(3)に変更し、5重量%水酸化カリウム水溶液の添加量を274g、脱イオン水の添加量を1110gに変更したこと以外は製造例6と同様にして樹脂粒子(A−4)分散液を得た。
得られた分散液の固形分濃度は32重量%であり、樹脂粒子(A−4)の体積中位粒径は0.356μm、CV値は28%であった。
(結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂粒子(A−5)分散液の製造)
製造例9において、結晶性ポリエステル(3)の添加量を135g、非晶性ポリエステル(2)の添加量を255g、5重量%水酸化カリウム水溶液の添加量を274g、脱イオン水の添加量を1109gに変更したこと以外は製造例9と同様にして樹脂粒子(A−5)分散液を得た。
得られた分散液の固形分濃度は30重量%であり、樹脂粒子(A−5)の体積中位粒径は0.368μm、CV値は30%であった。
(結晶性ポリエステル(a)を含まない樹脂粒子(A−6)分散液の製造)
撹拌機を装備した内容積5リットルのフラスコに、非晶性ポリエステル(1)210g、非晶性ポリエステル(2)390g、銅フタロシアニン顔料(商品名:ECB301、大日精化工業(株)製)45g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(エマルゲン150)8.5g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(ネオペレックスG−15)40g、5重量%水酸化カリウム水溶液274gを入れ、撹拌しながら、98℃に昇温して溶融し、98℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、1110gの脱イオン水を6g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュ(目開き105μm)の金網を通して、結晶性ポリエステル(a)を含まない樹脂粒子(A−6)分散液を得た。得られた分散液の固形分濃度は31重量%であり、樹脂粒子(A−6)の体積中位粒径は0.155μm、CV値は25%であった。
(非晶性ポリエステル(b)を含む樹脂粒子(B−1)分散液の製造)
内容積5リットルの反応容器に、フラスコに、非晶性ポリエステル(1)210g、非晶性ポリエステル(2)390g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(非イオン性界面活性剤、商品名:エマルゲン430、花王(株)製)6g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(ネオペレックスG−15)40g及び5重量%水酸化カリウム268gを入れ、撹拌しながら、95℃に昇温して溶融し、95℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、1145gの脱イオン水を6g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュの金網を通し、脱イオン水を加えて、固形分を25重量%に調整して、非晶性ポリエステル(b)を含む樹脂粒子(B−1)分散液を得た。樹脂粒子(B−1)の体積中位粒径は0.158μm、CV値は24%、ガラス転移点は60℃であった。
製造例13
(離型剤粒子分散液の製造)
内容積1リットルのビーカーに、脱イオン水480g、アルケニル(ヘキサデセニル基、オクタデセニル基の混合物)コハク酸ジカリウム水溶液(商品名:ラテムルASK、花王(株)製、有効濃度28重量%)4.29g、カルナウバロウワックス((株)加藤洋行製、融点85℃、酸価5mgKOH/g)120gを入れ、撹拌した。該混合液を90〜95℃に維持しながら、超音波分散機(商品名:Ultrasonic Homogenizer 600W、(株)日本精機製作所製)を用いて、30分間分散処理を行った後、25℃に冷却し、脱イオン水を加えて、固形分を20重量%に調整し、離型剤粒子分散液を得た。離型剤粒子の体積中位粒径は0.494nm、CV値は34%であった。
実施例1
(トナーAの作製)
<工程(1):コア凝集粒子の作製>
脱水管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積10リットルの4つ口フラスコに、樹脂粒子(A−1)分散液500g、脱イオン水140g、及び離型剤粒子分散液84gを入れ、25℃で混合した。次に、該混合物を撹拌しながら、硫酸アンモニウム42gを脱イオン水475gに溶解した水溶液を25℃で10分かけて滴下した後、55℃まで昇温し、凝集粒子の体積中位粒径が4.3μmになるまで、55℃で保持し、コア凝集粒子を得た。
<工程(2):コアシェル凝集粒子の作製>
工程(1)で得られたコア凝集粒子分散液に61gの脱イオン水を添加し、コア凝集粒子分散液の温度を49℃に冷却した。次いで、49℃の分散液を毎時1.6℃の速度で昇温しながら、樹脂粒子(B−1)分散液315gを毎分1.0mlの速度で滴下し、コアシェル凝集粒子分散液を得た。樹脂粒子(B−1)分散液の滴下終了後の温度は57℃であった。その後、コアシェル凝集粒子分散液を25℃まで冷却した。
<工程(3):コアシェル粒子及びトナー粒子の作製>
脱水管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積10リットルの4つ口フラスコに、工程2で得られたコアシェル凝集粒子分散液390g、アルキルエーテル硫酸ナトリウム(アニオン性界面活性剤、商品名:エマールE27C、花王(株)製)9gと脱イオン水8933gを混合した水溶液を入れ、混合した。該混合物を60℃に昇温した後、60℃で12時間保持した。得られたコアシェル粒子の円形度は0.960であった。次に、分散液を25℃に冷却し、25℃に保ちつつ、吸引濾過で固形分を分離し、脱イオン水で洗浄し、33℃で乾燥を行い、トナー粒子を得た。該トナー粒子100重量部、疎水性シリカ(商品名:RY50、日本アエロジル(株)製、平均粒径;0.04μm)2.5重量部、及び疎水性シリカ(商品名:キャボシールTS720、キャボット社製、平均粒径;0.012μm)1.0重量部をヘンシェルミキサーに入れ、撹拌し、150メッシュのふるいを通過させてトナーAを得た。得られたトナーAの体積中位粒径は5.0μm、CV値は26%であった。評価結果を表1に示す。
(トナーBの作製)
工程(3)を以下のように変更したこと以外は実施例1と同様にトナーBを作製した。評価結果を表1に示す。
<工程(3)>
脱水管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積10リットルの4つ口フラスコに、工程2で得られたコアシェル凝集粒子分散液390g、アルキルエーテル硫酸ナトリウム(エマールE27C)37gと脱イオン水3550gを混合した水溶液を入れ、混合した。該混合物を66℃に昇温した後、66℃で1時間保持した。得られたコアシェル粒子の円形度は0.963であった。次に、分散液を25℃に冷却し、25℃に保ちつつ、吸引濾過で固形分を分離し、脱イオン水で洗浄し、40℃で乾燥を行い、トナー粒子を得た。該トナー粒子100重量部、疎水性シリカ(RY50)2.5重量部、及び疎水性シリカ(キャボシールTS720)1.0重量部をヘンシェルミキサーに入れ、撹拌し、150メッシュのふるいを通過させてトナーBを得た。得られたトナーBの体積中位粒径は4.9μm、CV値は25%であった。
(トナーCの作製)
工程(1)及び(3)を以下のように変更したこと以外は実施例1と同様にトナーCを作製した。得られたトナーCの体積中位粒径は5.0μm、CV値は24%であった。評価結果を表1に示す。
<工程(1)>
樹脂粒子(A−1)分散液を樹脂粒子(A−2)分散液に変更したこと以外は実施例1と同様にしてコア凝集粒子を得た。
<工程(3)>
コアシェル凝集粒子分散液、アルキルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を含む混合物を61℃に昇温し、61℃で12時間保持して、円形度0.961のコアシェル粒子を得たこと以外は実施例1と同様にしてトナーCを得た。
(トナーDの作製)
工程(1)及び(3)を以下のように変更したこと以外は実施例1と同様にしてトナーDを作製した。得られたトナーDの体積中位粒径は4.9μm、CV値は25%であった。評価結果を表1に示す。
<工程(1)>
樹脂粒子(A−1)分散液を樹脂粒子(A−3)分散液に変更したこと以外は実施例1と同様にしてコア凝集粒子を得た。
<工程(3)>
コアシェル凝集粒子分散液、アルキルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を含む混合物を61℃に昇温し、61℃で12時間保持して、円形度0.961のコアシェル粒子を得たこと以外は実施例1と同様にしてトナーDを得た。
(トナーEの作製)
工程(1)及び(3)を以下のように変更したこと以外は実施例2と同様にしてトナーEを作製した。得られたトナーEの体積中位粒径は4.9μm、CV値は25%であった。評価結果を表1に示す。
<工程(1)>
樹脂粒子(A−1)分散液を樹脂粒子(A−4)分散液に変更したこと以外は実施例1と同様にしてコア凝集粒子を得た。
<工程(3)>
コアシェル凝集粒子分散液、アルキルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を含む混合物を66℃に昇温し、66℃で2時間保持して、円形度0.964のコアシェル粒子を得たこと以外は実施例2と同様にしてトナーEを得た。
(トナーFの作製)
工程(1)及び(3)を以下のように変更したこと以外は実施例2と同様にしてトナーFを作製した。得られたトナーFの体積中位粒径は5.0μm、CV値は24%であった。評価結果を表1に示す。
<工程(1)>
樹脂粒子(A−1)分散液を樹脂粒子(A−5)分散液に変更したこと以外は実施例1と同様にしてコア凝集粒子を得た。
<工程(3)>
コアシェル凝集粒子分散液、アルキルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を含む混合物を66℃に昇温し、66℃で2時間保持して、円形度0.965のコアシェル粒子を得たこと以外は実施例2と同様にしてトナーFを得た。
(トナーGの作製)
工程(3)を以下のように変更したこと以外は実施例2と同様にしてトナーGを作製した。得られたトナーGの体積中位粒径は5.1μm、CV値は25%であった。評価結果を表1に示す。
<工程(3)>
コアシェル凝集粒子分散液、アルキルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を含む混合物を70℃に昇温し、70℃で0.5時間保持して、円形度0.963のコアシェル粒子を得たこと以外は実施例2と同様にしてトナーGを得た。
(トナーHの作製)
工程(3)を以下のように変更したこと以外は実施例2と同様にしてトナーHを作製した。得られたトナーHの体積中位粒径は5.0μm、CV値は24%であった。評価結果を表1に示す。
<工程(3)>
コアシェル凝集粒子分散液、アルキルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を含む混合物を80℃に昇温し、80℃で0.25時間保持して、円形度0.964のコアシェル粒子を得たこと以外は実施例2と同様にしてトナーHを得た。
(トナーIの作製)
工程(3)を以下のように変更したこと以外は実施例1と同様にしてトナーIを作製した。得られたトナーIの体積中位粒径は4.9μm、CV値は24%であった。評価結果を表1に示す。
<工程(3)>
コアシェル凝集粒子分散液、アルキルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を含む混合物を57℃に昇温し、57℃で12時間保持して、円形度0.951のコアシェル粒子を得たこと以外は実施例1と同様にしてトナーIを得た。
(トナーJの作製)
工程(1)及び(3)を以下のように変更したこと以外は実施例2と同様にしてトナーJを作製した。得られたトナーJの体積中位粒径は5.0μm、CV値は24%であった。評価結果を表1に示す。
<工程(1)>
樹脂粒子(A−1)分散液を樹脂粒子(A−3)分散液に変更したこと以外は実施例1と同様にしてコア凝集粒子を得た。
<工程(3)>
コアシェル凝集粒子分散液、アルキルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を含む混合物を70℃に昇温し、70℃で0.5時間保持して、円形度0.961のコアシェル粒子を得たこと以外は実施例2と同様にしてトナーJを得た。
(トナーKの作製)
工程(1)及び(3)を以下のように変更したこと以外は実施例2と同様にしてトナーKを作製した。得られたトナーKの体積中位粒径は4.9μm、CV値は24%であった。評価結果を表1に示す。
<工程(1)>
樹脂粒子(A−1)分散液を樹脂粒子(A−4)分散液に変更したこと以外は実施例1と同様にしてコア凝集粒子を得た。
<工程(3)>
コアシェル凝集粒子分散液、アルキルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を含む混合物を80℃に昇温し、80℃で0.5時間保持して、円形度0.965のコアシェル粒子を得たこと以外は実施例2と同様にしてトナーKを得た。
(トナーLの作製)
工程(1)及び(3)を以下のように変更したこと以外は実施例2と同様にしてトナーLを作製した。得られたトナーLの体積中位粒径は5.0μm、CV値は24%であった。評価結果を表1に示す。
<工程(1)>
樹脂粒子(A−1)分散液を樹脂粒子(A−6)分散液に変更したこと以外は実施例1と同様にしてコア凝集粒子を得た。
<工程(3)>
コアシェル凝集粒子分散液、アルキルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を含む混合物を80℃に昇温し、80℃で0.5時間保持して、円形度0.965のコアシェル粒子を得たこと以外は実施例2と同様にしてトナーLを得た。
(トナーMの作製)
工程(1)及び(3)を以下のように変更したこと以外は実施例2と同様にしてトナーMを作製した。得られたトナーKの体積中位粒径は4.9μm、CV値は24%であった。評価結果を表1に示す。
<工程(1)>
樹脂粒子(A−1)分散液を樹脂粒子(A−4)分散液に変更したこと以外は実施例1と同様にしてコア凝集粒子を得た。
<工程(3)>
コアシェル凝集粒子分散液、アルキルエーテル硫酸ナトリウム水溶液を含む混合物を80℃に昇温し、85℃で0.5時間保持して、円形度0.969のコアシェル粒子を得たこと以外は実施例2と同様にしてトナーMを得た。
(トナーNの作製)
工程(2)を以下のように変更したこと以外は実施例1と同様にしてトナーNを作製した。得られたトナーNの体積中位粒径は5.1μm、CV値は43%、円形度は0.962であった。評価結果を表1に示す。
<工程(2)>
工程(1)で得られたコア凝集粒子分散液に400gの脱イオン水を添加した。次いで、コア凝集粒子分散液の温度を63℃まで昇温した。次いで、62℃の分散液を毎時1.6℃の速度で昇温しながら、樹脂粒子(B−1)分散液315gを毎分1.0mlの速度で滴下し、コアシェル凝集粒子分散液を得た。樹脂粒子(B−1)滴下終了後の温度は70℃であった。その後、コアシェル凝集粒子分散液を25℃まで冷却した。
Claims (9)
- 下記工程(1)〜(3)を含む電子写真用トナーの製造方法。
工程(1):着色剤、結晶性ポリエステル(a)を含有する樹脂粒子(A)、及び離型剤粒子を水性媒体中で凝集し、コア凝集粒子を得る工程
工程(2):前記の工程(1)で得られたコア凝集粒子に、非晶性ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(B)を水性媒体中で付着させて、コアシェル凝集粒子を得る工程
工程(3):前記の工程(2)で得られたコアシェル凝集粒子を水性媒体中、前記結晶性ポリエステル(a)の融点及び離型剤の融点のいずれよりも5℃以上低い温度、かつ、前記非晶性ポリエステル(b)のガラス転移点より6℃低い温度以上の温度で保持し、円形度0.955〜0.980のコアシェル粒子を得る工程
ただし、前記工程(1)以後の水性媒体中で行われる全工程を、前記結晶性ポリエステル(a)の融点より5℃以上低い温度で行う。 - 前記工程(3)における保持する際の温度が、前記樹脂粒子(B)のガラス転移点以上である、請求項1に記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記結晶性ポリエステル(a)の融点が60〜80℃である、請求項1又は2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記非晶性ポリエステル(b)のガラス転移点が55〜75℃である、請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記工程(3)における保持する際の保持時間が1〜24時間である、請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記樹脂粒子(A)中の結晶性ポリエステル(a)の含有量が、前記樹脂粒子(A)を構成する樹脂に対して、1〜50重量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記樹脂粒子(A)が更に非晶性ポリエステル(c)を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 前記樹脂粒子(A)が、着色剤を含有する着色剤含有樹脂粒子である、請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法で得られる電子写真用トナー。
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