JP5736210B2 - 電子写真用トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真用トナーの製造方法、及びそれにより得られる電子写真用トナーに関する。
電子写真用トナーの分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高画質化及び高速化に対応したトナーの開発が要求されている。
高画質化に対応して、粒径制御や小粒径化を実現する方法として、微細な樹脂粒子等を水性媒体中で凝集、融着させてトナーを得る、凝集合一法(凝集融着法)によるトナーの製造が行われている。
例えば、特許文献1には、低温定着性、高濃度画像、かぶり抑制の改善を目的として、結晶性ポリエステル樹脂及び着色剤を少なくとも含有し、特定の誘電損失率である静電荷現像用トナーを得るための方法として、結晶性ポリエステル樹脂を含む結着樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液、着色剤を分散した着色剤分散液を混合し、これに凝集剤を添加して、凝集粒子を形成する凝集粒子形成工程と、該凝集粒子を加熱し、酸及び界面活性剤を添加しながら融合・合一する融合・合一工程とを含むトナーの製造方法が開示されている。
特許文献2には、高画質化と良好な粒度分布を有する現像剤を得ること目的として、バインダー樹脂、及び着色剤を含有する微粒子を含む分散液に凝集剤を加え、凝集させ、融着させてトナー粒子を形成する現像剤の製造方法において、凝集剤添加前の分散液と凝集剤添加後の分散液と融着後の分散液の各pHが特定の関係を満たす製造方法が開示されている。
特許文献3には、円形度の高いトナー粒子を得ることを目的として、水系媒体中でポリエステルを含有する結着樹脂を乳化させる工程、得られた乳化液中の乳化粒子をガラス転移点+20℃以下の温度で凝集させる工程、アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルキル硫酸エステル塩を添加して凝集を停止させる工程、及び、凝集した粒子を、特定の温度で加熱して合一させる工程を有する、電子写真用トナーの製造方法が開示されている。
特開2009−75342号公報 特開2009−122674号公報 特開2008−164808号公報
トナー中に離型剤を用いることで、その溶融特性から、得られるトナーの定着温度を低下することができる。それによって、印刷機の消費電力を低減し、高速印刷に適するトナーを得ることができる。しかし、離型剤を含むトナーは、印刷機中にトナーが飛散するトナー飛散の問題や、印刷物のドットに乱れが生じる等の印刷物の画質が低下してしまう等の問題も生じる。
本発明の課題は、良好な低温定着性を有し、トナー飛散も少なく、得られた印刷物のドット再現性にも優れる電子写真用トナー並びにその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、定着温度、トナー飛散及び印刷物の画質に影響する要因は、トナーを構成する樹脂や離型剤の存在位置と状態にあると考えて検討を行った。その結果、樹脂粒子、離型剤粒子を含む凝集粒子と、特定の構造を有するアニオン性界面活性剤を含有し、特定のpHである水性混合液中の凝集粒子を融着させることにより、良好な低温定着性を有し、トナー飛散も少なく、得られた印刷物のドット再現性にも優れる電子写真用トナーを得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕及び〔2〕を提供する。
〔1〕樹脂粒子(A)及び離型剤粒子を含む凝集粒子と、下記一般式(1)で表されるアニオン性界面活性剤とを含有する水性混合液の25℃におけるpHを2.0〜6.0に調整した後及び/又は調整しながら、該水性混合液中の凝集粒子を融着する工程を有する、電子写真用トナーの製造方法。
Figure 0005736210
(式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表し、R2は、水素原子又はメチル基を表し、mは平均値が1〜4であり、AOはエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基を表し、nは平均値が5〜100であり、Mはアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、又はアルカリ金属を表す。)
〔2〕前記〔1〕に記載の製造方法で得られる電子写真用トナー。
本発明によれば、良好な低温定着性を有し、トナー飛散も少なく、得られた印刷物のドット再現性にも優れる電子写真用トナー並びにその製造方法を提供することができる。
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、樹脂粒子(A)及び離型剤粒子を含む凝集粒子と、前記一般式(1)で表されるアニオン性界面活性剤とを含有する水性混合液の25℃におけるpHを2.0〜6.0に調整した後及び/又は調整しながら、該水性混合液中の凝集粒子を融着する工程を有する。
本発明の製造方法によって得られた電子写真用トナーが、良好な低温定着性を有し、トナー飛散も少なく、得られた印刷物のドット再現性にも優れる理由は定かではないが、次のように考えられる。
本発明においては、樹脂粒子(A)及び離型剤粒子を含む凝集粒子を水性媒体中で融着させる際、該凝集粒子を含む水性混合液のpH(25℃)は、2.0〜6.0に調整される。この酸性の範囲のpHで融着させると、樹脂粒子の分散性が不安定となって融着が速やかに生じる。そのため、離型剤の溶解や分離が生じる前に、融着が完了するため、離型剤を低温定着性に効果を発揮する程度に多く配合しても、トナー表面への離型剤の露出が抑制され、トナー飛散も抑制されるものと考えられる。
一方、水性混合液のpHを弱酸性にすると粒子の安定性が低下してしまい、樹脂粒子(A)間の融着ばかりでなく、凝集粒子同士の融着も促進されてしまう。しかし、本発明においては、前記一般式(1)で表されるアニオン性界面活性剤を含有させることで、樹脂と親和性の高い芳香族基により、凝集粒子表面に該アニオン性界面活性剤が局在し、そのアルキレンオキシ部分による立体反発性及びアニオン性基による静電反発性から凝集粒子同士の融着を防止し、粒径分布がシャープなトナーが得られるものと考えられる。そのため、トナー飛散も少なくなり、現像や転写の際にトナー間のばらつきがなくなるため、ドット再現性に優れ、得られる印刷物の画質も優れるものになると考えられる。
以上のように、離型剤を含有させ、粒径分布がシャープなトナーが得られるため、本発明の製造方法によって得られた電子写真用トナーは、良好な低温定着性を有し、トナー飛散も少なく、得られた印刷物のドット再現性にも優れると考えられる。
以下、本発明に用いられる各成分及び工程等について説明する。
[樹脂粒子(A)]
本発明において、樹脂粒子(A)は結晶性ポリエステル(a)を含有することが好ましい。樹脂粒子(A)が結晶性ポリエステル(a)を含有する場合、樹脂粒子(A)中の結晶性ポリエステル(a)の含有量は、トナーの低温定着性を向上させ、ホットオフセットを防ぐ観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂中、1〜50重量%が好ましく、10〜50重量%が好ましく、13〜30重量%が更に好ましく、15〜25重量%が特に好ましい。
(結晶性ポリエステル(a))
本発明において、結晶性ポリエステル(a)とは、軟化点と示差走査熱量計(DSC)による吸熱の最大ピーク温度との比、(軟化点(℃))/(吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される結晶性指数が0.6〜1.4のものであり、トナーの低温定着性の観点から、0.8〜1.3のものが好ましく、0.9〜1.2のものがより好ましく、0.9〜1.1のものが更に好ましい。
結晶性ポリエステル(a)は、乳化性の観点から、分子末端に酸基を有することが好ましい。該酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸等が挙げられる。これらの中でも、樹脂の分散性と得られるトナーの保存安定性との両立の観点から、カルボキシル基が好ましい。
結晶性ポリエステル(a)の融点は、トナーの低温定着性及び保存安定性の観点から、50〜150℃が好ましく、55〜130℃がより好ましく、60〜90℃が更に好ましく、60〜80℃が特に好ましい。
結晶性ポリエステル(a)の軟化点は、同様の観点から、50〜140℃が好ましく、55〜130℃がより好ましく、60〜110℃が更に好ましく、60〜85℃が特に好ましい。
結晶性ポリエステル(a)の数平均分子量は、トナーの低温定着性の観点から、1,500〜50,000が好ましく、2,000〜10,000がより好ましく、3,000〜5,000が更に好ましい。
なお、結晶性ポリエステル(a)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明において、結晶性ポリエステル(a)の融点、軟化点及び数平均分子量は、実施例記載の方法によって求められる。2種以上併用する場合、融点は、得られるトナーに含有される結晶性ポリエステル(a)中、最も重量比の大きい結晶性ポリエステル(a)の融点を、本発明における結晶性ポリエステル(a)の融点とする。なお、全てが同一の比率の場合は、最も低い値とする。軟化点及び数平均分子量は、結晶性ポリエステル(a)の混合物として、実施例に記載の方法によって求められる。
結晶性ポリエステル(a)は、酸成分とアルコール成分とを、好ましくは触媒存在下、好ましくは180〜250℃で重縮合反応させることによって製造することができる。
酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにこれらの酸の無水物、及びアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、なかでもトナーの低温定着性、保存安定性及び帯電性の観点から、脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸等が挙げられ、なかでもトナーの低温定着性、保存安定性及び帯電性の観点から、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸が好ましい。
脂環式ジカルボン酸の具体例としては、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸の具体例としては、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコール成分としては、主鎖炭素数2〜12の脂肪族ジオール、芳香族ジオール、ビスフェノールAの水素添加物、3価以上の多価アルコール等が挙げられ、なかでも、ポリエステルの結晶性を促進させ、トナーの低温定着性を向上させる観点から、主鎖炭素数2〜12の脂肪族ジオールが好ましい。
主鎖炭素数2〜12の脂肪族ジオールのなかでも、ポリエステルの結晶性を促進させ、トナーの低温定着性を向上させる観点から、α,ω−直鎖アルカンジオールが好ましく、主鎖炭素数6〜12のものがより好ましい。
α,ω−直鎖アルカンジオールの具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられ、なかでもトナーの低温定着性、保存安定性及び帯電性の観点から、1,6−ヘキサンジオール及び1,9−ノナンジオールが好ましい。
その他の主鎖炭素数2〜12の脂肪族ジオールの具体例としては、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等が挙げられる。
芳香族ジオールの具体例としては、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)等が挙げられる。
3価以上の多価アルコールの具体例としては、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
アルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができるが、ポリエステルの結晶性を促進する観点から、アルコール成分中、主鎖炭素数2〜12の脂肪族ジオールが80〜100モル%であることが好ましく、90〜100モル%であることがより好ましい。
触媒としては、縮重合反応の効率の観点から、錫化合物、チタン化合物等が好ましく、錫化合物がより好ましく、ジオクチル酸錫、酸化ジブチル錫等が挙げられる。
チタン化合物としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等が挙げられる。
触媒の使用量に制限はないが、酸成分とアルコール成分との総量100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましい。
縮重合反応は、反応容器に、酸成分及びアルコール成分を入れ、140〜200℃で5〜15時間維持して行うことが好ましく、更にその後、触媒を加え140〜200℃で1〜5時間維持して反応を進行させ、5.0〜20kPaに減圧して1〜10時間維持することで、結晶性ポリエステルを得る方法が好ましい。
(非晶質ポリエステル(c))
樹脂粒子(A)は、トナーの低温定着性を維持しながら、保存安定性、帯電性を向上させ、ホットオフセットを防ぐ観点から、更に非晶質ポリエステル(c)を含有することが好ましい。樹脂粒子(A)における結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(c)の総量は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂中好ましくは50〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%、更に好ましくは90〜100重量%である。樹脂粒子(A)における結晶性ポリエステル(a)と非晶質ポリエステル(c)との重量比((a)/(c))は、トナーの低温定着性、保存安定性、帯電性を向上させ、ホットオフセットを防ぐ観点から、5/95〜50/50であることが好ましく、5/95〜40/60がより好ましく、10/90〜30/70がより好ましく、13/87〜25/75が更に好ましく、15/85〜20/80がより更に好ましい。
樹脂粒子(A)に含まれうる非晶質ポリエステル(c)は、後述の非晶質ポリエステル(b)と同様のポリエステルを好ましく用いることができる。非晶質ポリエステル(b)と同一組成の樹脂を用いてもよく、異なる組成の樹脂を用いてもよいが、同一組成の樹脂を用いることが凝集制御及びトナーの低温定着性の観点から好ましい。
非晶質ポリエステル(c)は、酸成分とアルコール成分とを重縮合反応させることによって製造することができ、好ましい酸成分及びアルコール成分は、非晶質ポリエステル(b)と同じものであり、2種以上を用いてもよいが、具体的には、好ましい酸成分として、ジカルボン酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにそれらの酸無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、なかでもジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸としては、芳香族ジカルボン酸、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸が好ましく、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデセニルコハク酸が好ましく、3価以上の多価カルボン酸としては、トリメリット酸及びその酸無水物が好ましい。
好ましいアルコール成分として、芳香族ジオールが挙げられ、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)が好ましい。
非晶質ポリエステル(c)のガラス転移点、軟化点、数平均分子量及び酸価は、非晶質ポリエステル(b)と同じ範囲が好ましい。
非晶質ポリエステル(c)は、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよく、トナーの低温定着性、耐オフセット性及び耐久性の観点から、軟化点が異なる2種類のポリエステルを含有することが好ましい。軟化点が異なる2種類のポリエステルをそれぞれポリエステル(c−1)及び(c−2)とした場合、一方のポリエステル(c−1)の軟化点は70℃以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(c−2)の軟化点は115℃以上165℃以下が好ましい。ポリエステル(c−1)とポリエステル(c−2)との重量比((c−1)/(c−2))は、10/90〜90/10が好ましく、50/50〜90/10がより好ましい。
樹脂粒子(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶性ポリエステル(a)及び非晶質ポリエステル(c)以外の樹脂、例えば、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂を含有してもよい。
樹脂粒子(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で、離型剤、帯電制御剤を含有させてもよい。また、必要に応じて、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、老化防止剤等の添加剤等を含有させてもよい。
また、樹脂粒子(A)は、樹脂のみからなる粒子であってもよく、着色剤を含有する着色剤含有樹脂粒子であってもよいが、トナーの粒度分布をシャープにする観点から、着色剤を含有することが好ましく、着色剤を含有する着色剤含有樹脂粒子であることが好ましい。
樹脂粒子(A)が着色剤含有樹脂粒子である場合、着色剤の含有量は、トナーの画像濃度の観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、5〜10重量部がより好ましい。
(着色剤)
本発明に用いられる着色剤は、表面処理や分散剤の使用によって、水性媒体中に着色剤粒子として用いてもよく、樹脂粒子(A)等の樹脂粒子に含有させて用いてもよいが、トナーの粒度分布をシャープにする観点から、樹脂粒子(A)に含有させて用いることが好ましい。
着色剤としては、顔料及び染料が用いられ、トナーの画像濃度の観点から、顔料が好ましい。
顔料の具体例としては、カーボンブラック、無機系複合酸化物、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、ベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、銅フタロシアニン、フタロシアニングリーン等が挙げられ、銅フタロシアニンが好ましい。
染料の具体例としては、アクリジン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系等が挙げられる。
着色剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(樹脂粒子(A)の製造)
樹脂粒子(A)は、結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂及び着色剤等の前記の任意成分を水性媒体中に分散させ、樹脂粒子(A)を含有する分散液として得る方法によって製造することが好ましい。
分散液を得る方法としては、樹脂等を水性媒体に添加し、分散機等によって分散処理を行う方法、樹脂等に水性媒体を徐々に添加して転相乳化させる方法等が挙げられ、得られるトナーの低温定着性の観点から、転相乳化による方法が好ましい。以下、転相乳化による方法について述べる。
まず、結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂、アルカリ水溶液、及び着色剤等の前記の任意成分を溶融して混合し、樹脂混合物を得る。
結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂が、複数の樹脂からなる場合には、予め、結晶性ポリエステル(a)とその他の樹脂を混合したものを用いてもよいが、前記アルカリ水溶液及び任意成分を添加する際に同時に添加し、溶融して混合することによって得てもよい。例えば、結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂が、非晶質ポリエステル(c)を含有する場合には、結晶性ポリエステル(a)、非晶質ポリエステル(c)、アルカリ水溶液、及び前記の任意成分を溶融して混合し、樹脂混合物を得る方法が、トナーの低温定着性の観点から好ましい。
また、混合の際には、樹脂の乳化安定性の観点から、界面活性剤を添加することが好ましい。
アルカリ水溶液中のアルカリとしては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等やアンモニア等が挙げられるが、樹脂の分散性向上の観点から、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが好ましい。また、アルカリ水溶液中のアルカリの濃度は、1〜30重量%が好ましく、1〜25重量%がより好ましく、1.5〜20重量%が更に好ましい。
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられ、なかでもノニオン性界面活性剤が好ましく、ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤を併用することがより好ましく、樹脂を十分に乳化させる観点から、ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを併用することが更に好ましい。
ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤とを併用する場合、ノニオン性界面活性剤とアニオン性界面活性剤との重量比(ノニオン性界面活性剤/アニオン性界面活性剤)は、樹脂を十分に乳化させる観点から、0.3〜10が好ましく、0.5〜5がより好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類あるいはポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリエチレングルコールモノラウレート、ポリチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレエート等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられ、なかでも樹脂の乳化安定性の観点から、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類が好ましい。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられ、なかでも樹脂の乳化安定性の観点から、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルエーテル硫酸ナトリウムが好ましい。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
界面活性剤の含有量は、均質な樹脂粒子を得る観点およびトナー飛散抑制の観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましく、0.1〜10重量部が更に好ましく、0.5〜10重量部が更に好ましい。
樹脂混合物を得る方法としては、低温定着性の観点から、結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂、アルカリ水溶液、及び前記の任意成分、好ましくは界面活性剤を容器に入れ、撹拌器によって撹拌しながら、樹脂を溶融して均一に混合する方法が好ましい。
樹脂を溶融し混合する際の温度は、結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂が、非晶質ポリエステル(c)を含む場合には、そのガラス転移点以上が好ましく、均質な樹脂粒子を得る観点から、より好ましくは結晶性ポリエステル(a)の融点以上がより好ましい。
次に、前記の樹脂混合物に水性媒体を添加して、転相し、樹脂粒子(A)を含有する分散液を得る。
水性媒体としては水を主成分とするものが好ましく、環境性の観点から、水性媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上が更に好ましく、実質100重量%が更に好ましい。水としては、脱イオン水又は蒸留水が好ましく用いられる。
水以外の成分としては、炭素数1〜5のアルキルアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のジアルキル(炭素数1〜3)ケトン;テトラヒドロフラン等の環状エーテル等の水に溶解する有機溶媒が用いられる。これらの中でも、トナーへの混入を防止する観点から、ポリエステルを溶解しない炭素数1〜5のアルキルアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールがより好ましい。
水性媒体を添加する際の温度は、結晶性ポリエステル(a)を含む樹脂が非晶質ポリエステル(c)を含む場合には、均質な樹脂粒子を得る観点から、非晶質ポリエステル(c)のガラス転移点以上が好ましく、均質な樹脂粒子を得る観点から、結晶性ポリエステル(a)の融点以上がより好ましい。
水性媒体の添加速度は、樹脂粒子を小粒径とする観点から、転相が終了するまでは、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部/分であること好ましく、0.1〜30重量部/分であることがより好ましく、0.5〜10重量部/分であることが更に好ましく、0.5〜5重量部/分であることが更に好ましい。転相後の水性媒体の添加速度には制限はない。
水性媒体の使用量は、後の凝集工程で均一な凝集粒子を得る観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して100〜2000重量部が好ましく、150〜1500重量部がより好ましく、150〜500重量部が更に好ましい。得られる樹脂粒子分散液の安定性及び取扱い容易性等の観点から、その固形分濃度は、好ましくは7〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは20〜40重量%、更に好ましくは25〜35重量%である。なお、固形分は樹脂、界面活性剤等の不揮発性成分の総量である。
得られた樹脂粒子(A)を含有する分散液中の樹脂粒子(A)の体積中位粒径は0.02〜2μmであることが好ましい。高画像のトナーを得る観点から、0.02〜1.5μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましく、0.05〜0.5μmが更に好ましい。ここで、体積中位粒径とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径である。
また、樹脂粒子の粒度分布の変動係数(CV値)(%)は、高画像のトナーを得る観点から、40%以下であることが好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が更に好ましく、28%以下が更に好ましい。なお、CV値は、下記式で表される値であり、具体的には実施例記載の方法で求められる。
CV値(%)=[粒度分布の標準偏差(μm)/体積平均粒径(μm)]×100
[離型剤粒子]
離型剤粒子は、凝集性の観点から、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤を使用する場合の含有量は、凝集性および得られるトナーの帯電性の観点から、離型剤100重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。
離型剤粒子の体積中位粒径は、得られるトナーの帯電性およびホットオフセットを防ぐ観点から0.1〜1μmが好ましく、0.1〜0.7μmがより好ましく、0.1〜0.5μmが更に好ましい。
離型剤粒子のCV値は、得られるトナーの帯電性の観点から、15〜50%が好ましく、15〜40%がより好ましく、15〜35%が更に好ましい。
(離型剤)
離型剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を有するシリコーン類;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の植物系ワックス;ミツロウ等の動物系ワックス;モンタンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の鉱物・石油系ワックス等が挙げられる。これらの、離型剤は、単独で又は2種以上を併用することができる。
離型剤の融点は、トナーの低温定着性及び保存安定性、帯電性の観点から、65〜100℃が好ましく、75〜95℃がより好ましく、75℃〜90℃がさらに好ましく、80〜90℃がより更に好ましい。
本発明において、離型剤の融点は、実施例記載の方法によって求められる。2種以上併用する場合、融点は、得られるトナーに含有される離型剤中、最も重量比の大きい離型剤の融点を、本発明における離型剤の融点とする。なお、全てが同一の比率の場合は、最も低い値とする。
離型剤の使用量は、トナーの離型性を向上して低温定着性を向上させる観点及び帯電性の観点から、トナー中の樹脂100重量部に対して、通常1〜20重量部が好ましく、2〜15重量部がより好ましい。
(離型剤粒子の製造)
離型剤粒子は、離型剤を水性媒体に分散して離型剤粒子の分散液として得ることが好ましい。
離型剤粒子の分散液は、離型剤と水性媒体とを、界面活性剤の存在下、離型剤の融点以上の温度で、分散機を用いて分散することによって得ることが好ましい。用いる分散機としては、ホモジナイザー、超音波分散機等が好ましい。
本製造で用いる水性媒体及び界面活性剤は樹脂混合物を得る際に用いられるものが好ましく用いられる。
[一般式(1)で表されるアニオン性界面活性剤]
本発明に用いられるアニオン性界面活性剤は、下記一般式(1)で表される。
Figure 0005736210
(式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表し、R2は、水素原子又はメチル基を表し、mは平均値が1〜4であり、AOはエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基を表し、nは平均値が5〜100であり、Mはアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、アルカリ金属を表す。)
1は、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表し、トナー飛散を抑制する観点から、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、水素原子が更に好ましい。
2は、得られるトナーの粒度分布をシャープにし、トナー飛散を抑制する観点から、水素原子又はメチル基を表し、メチル基が好ましい。なお、複数のR2は、同一であっても異なってもよいが、同一であることが好ましい。
前記一般式(1)で表されるアニオン性界面活性剤は、mが1〜4のいずれかである化合物の混合物であってもよく、mは、平均値が1〜4であり、トナー飛散を抑制する観点から、2〜3が好ましく、2がより好ましい。
2が水素原子である場合のmは平均値が2〜3が好ましく、3がより好ましい。
2がメチル基である場合のmは平均値が1〜2が好ましく、2がより好ましい。
nは、アルキレンオキシ基AOの平均付加モル数を示す。nは、凝集粒子の安定性と樹脂粒子の融着性とを良好にして、得られるトナーの帯電性を改善し、トナー飛散を抑制する観点から、平均値が5〜100モルであり、6〜50モルが好ましく、9〜30モルがより好ましく、11〜20モルが更に好ましく、12〜15モルがより更に好ましい。
Aは、エチレン基(−CH2CH2−)及び/又はプロピレン基(−CH2CH(CH3)−もしくは−CH(CH3)CH2−)を表す。Aは、エチレン基、又はエチレン基及びプロピレン基を含むものが好ましく、エチレン基が好ましい。なお、AOがプロピレンオキシ基の場合、プロピレン基の向きは特に限定されない。
Aがエチレン基である場合、nは、凝集粒子の安定性と樹脂粒子の融着性とを良好にして、得られるトナーの帯電性を改善し、トナー飛散を抑制する観点から、平均値が5〜100モルであり、6〜50モルが好ましく、9〜30モルがより好ましく、11〜20モルが更に好ましく、12〜15モルがより更に好ましい。
Mは、得られるトナーの粒度分布の観点から、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、アルカリ金属であり、アンモニウム、アルカリ金属が好ましく、アンモニウムがより好ましい。
好ましいアニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(5〜100)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシプロピレン(5〜95)ポリオキシエチレン(95〜5)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレン(5〜100)トリベンジル化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩が挙げられる。
[樹脂粒子(B)]
本発明において、樹脂粒子(B)は、トナーの保存安定性及び帯電性の観点から、非晶質ポリエステル(b)を含有することが好ましい。
樹脂粒子(B)のガラス転移点は、樹脂粒子(B)を構成する非晶質ポリエステル(b)等の樹脂のガラス転移点、添加剤等の種類や量によって適宜決定されるが、トナーの耐久性、低温定着性及び保存安定性の観点から、45℃以上であることが好ましく、45〜70℃がより好ましく、50〜70℃が更に好ましく、55〜65℃が更に好ましい。
樹脂粒子(B)は、トナーの保存安定性及び帯電性の観点から、非晶質ポリエステル(b)を70重量%以上含有することが好ましく、より好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、更に好ましくは実質100重量%含有する。
樹脂粒子(B)は、非晶質ポリエステル(b)とともに、更に、通常トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、結晶性ポリエステル(a)、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等の樹脂を含有してもよい。
樹脂粒子(B)は、前述の樹脂粒子(A)の製造方法と同様の方法によって得ることができるが、用いられるアルカリ水溶液、界面活性剤、水性媒体も同様のものを好適に用いることができる。
(非晶質ポリエステル(b))
本発明において、非晶質ポリエステル(b)とは、前述の結晶性指数が、1.4を超える、あるいは0.6未満のポリエステルである。
非晶質ポリエステル(b)は、この結晶性指数が、トナーの低温定着性の観点から、0.6未満又は1.4を超え4以下であることが好ましく、より好ましくは0.6未満又は1.5以上4以下、更に好ましくは0.6未満又は1.5以上3以下、更に好ましくは0.6未満又は1.5以上2以下である。結晶性指数は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により適宜決定することができる。
非晶質ポリエステル(b)としては、分子末端に酸基を有する非晶質ポリエステル(b)が好ましい。該酸基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、スルフィン酸等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステルの乳化をしやすくする観点から、カルボキシル基が好ましい。
非晶質ポリエステル(b)は、前記の結晶性ポリエステル(a)と同様の方法で、酸成分とアルコール成分とを、重縮合反応させることによって製造することができる。
酸成分としては、ジカルボン酸、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸、3価以上の多価カルボン酸、並びにそれらの酸無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、なかでもジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられ、なかでもフマル酸及びテレフタル酸が好ましく、フマル酸がより好ましい。
炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数2〜20のアルケニル基で置換されたコハク酸の具体例としては、ドデシルコハク酸、ドデセニルコハク酸、オクテニルコハク酸等が挙げられる。
3価以上の多価カルボン酸の具体例としては、トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等が挙げられ、なかでも耐オフセット性の観点から、トリメリット酸及びその酸無水物が好ましい。
酸成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
非晶質ポリエステル(b)は、トナーの耐オフセット性の観点から、3価以上の多価カルボン酸並びにその酸無水物又はそのアルキルエステル、好ましくはトリメリット酸又はその無水物を含有する酸成分を用いて得られた非晶質ポリエステル(b)を少なくとも1種使用することが好ましい。
アルコール成分としては、結晶性ポリエステル(a)に用いた前記アルコール成分と同様のものが挙げられる。これらの中でも、非晶質のポリエステルを得る観点から、芳香族ジオールを用いることが好ましく、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2〜3)オキサイド付加物(平均付加モル数1〜16)を用いることがより好ましい。
アルコール成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
非晶質ポリエステル(b)のガラス転移点は、トナーの耐久性、低温定着性及び保存安定性の観点から、50〜70℃が好ましく、55〜68℃がより好ましく、58〜66℃が更に好ましい。
非晶質ポリエステル(b)の軟化点は、同様の観点から、70〜165℃が好ましく、70〜140℃がより好ましく、90〜140℃が更に好ましく、100〜130℃が特に好ましい。
なお、非晶質ポリエステル(b)を2種以上混合して使用する場合は、そのガラス転移点及び軟化点は、各々2種以上の非晶質ポリエステル(b)の混合物として、実施例記載の方法によって得られた値である。
非晶質ポリエステル(b)の数平均分子量は、トナーの耐久性、低温定着性及び保存安定性の観点から、1,000〜50,000が好ましく、1,000〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。
非晶質ポリエステル(b)の酸価は、樹脂の水性媒体中における乳化性の観点から、6〜35mgKOH/gが好ましく、10〜35mgKOH/gがより好ましく、15〜35mgKOH/gが更に好ましい。
非晶質ポリエステル(b)は、トナーの低温定着性、耐オフセット性及び耐久性の観点から、軟化点が異なる2種類のポリエステルを含有することが好ましい。軟化点が異なる2種類のポリエステルをそれぞれポリエステル(b−1)及び(b−2)とした場合、一方のポリエステル(b−1)の軟化点は70℃以上115℃未満が好ましく、他方のポリエステル(b−2)の軟化点は115℃以上165℃以下が好ましい。ポリエステル(b−1)とポリエステル(b−2)との重量比((b−1)/(b−2))は、10/90〜90/10が好ましく、50/50〜90/10がより好ましい。
なお、本発明では、その効果を損なわない範囲で結晶性ポリエステル(a)、非晶質ポリエステル(b)及び(c)の各々を変性したものを用いることができる。ポリエステルを変性する方法としては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法により、フェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化する方法や、ポリエステルユニットを含む2種以上の樹脂ユニットを有する複合樹脂とする方法等が挙げられる。
[酸]
本発明において、酸は、凝集粒子を融着する工程で用いられる水性混合液の25℃におけるpHを2.0〜6.0の範囲に調整するために用いられる。
用いられる酸に制限はないが、効率的にpHを調整し、凝集粒子を効率的に融着する観点から、無機酸が好ましく、鉱酸がより好ましい。
鉱酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等が挙げられ、塩酸、硫酸が好ましく、硫酸がより好ましい。
酸を用いる際には、水溶液として用いることが好ましく、濃度は0.1〜5.0Nが好ましく、0.5〜3.0Nが更に好ましい。ここで、「N」とは、酸の規定度(酸の濃度モル/リットルに当量を乗じたもの)を表す。
<電子写真用トナーの製造方法>
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、樹脂粒子(A)及び離型剤粒子を含む凝集粒子と、前記一般式(1)で表されるアニオン性界面活性剤とを含有する水性混合液の25℃におけるpHを2.0〜6.0に調整した後及び/又は調整しながら、該水性混合液中の凝集粒子を融着する工程を有するものである。
本工程に用いられる前記凝集粒子は、樹脂粒子(A)、離型剤粒子及び凝集剤を水性媒体中で混合して凝集して凝集粒子(1)を得る工程(1)、並びに工程(1)で得られた凝集粒子(1)に、非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(B)を添加して、凝集粒子(2)を得る工程(2)によって得られる凝集粒子(2)であることが好ましい。
また、前記凝集粒子を融着する工程は、凝集粒子(2)を、非晶質ポリエステル(b)のガラス転移点より10℃低い温度以上、5℃高い温度以下の温度に保持して、融着したコアシェル粒子を得る工程(4)であることが好ましい。
更に任意の工程であるが、前記工程(2)の後、工程(4)の前に、前記一般式(1)で表されるアニオン性界面活性剤を添加する工程(3)を有することが好ましい。
更に、工程(3)及び/又は工程(4)において、酸を添加してpHを2.0〜6.0に調整することが好ましく、なかでも、トナー飛散を抑制する観点から、工程(3)において、酸を添加してpHを2.0〜6.0に調整することが好ましい。
すなわち、本発明の電子写真用トナーの製造方法は、以下の工程(1)〜(4)を含むことが好ましい。
工程(1):樹脂粒子(A)、離型剤粒子及び凝集剤を水性媒体中で混合して凝集して凝集粒子(1)を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた凝集粒子(1)に、非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(B)を添加して、凝集粒子(2)を得る工程
工程(3):前記一般式(1)で表されるアニオン性界面活性剤を添加する工程
工程(4):凝集粒子(2)を、非晶質ポリエステル(b)のガラス転移点より10℃低い温度以上、5℃高い温度以下の温度に保持して、融着したコアシェル粒子を得る工程
更に、好ましくは、工程(3)及び/又は工程(4)において、酸を添加してpHを2.0〜6.0に調整する。すなわち、工程(3)において水性混合液のpHを2.0〜6.0に調整した後、及び/又は工程(4)において水性混合液のpHを2.0〜6.0に調整しながら、水性混合液中の凝集粒子を融着させて、融着したコアシェル粒子を得る。
以下、各工程について説明する。
[工程(1)]
工程(1)は、樹脂粒子(A)、離型剤粒子及び凝集剤を水性媒体中で混合して凝集して得られる凝集粒子(1)を得る工程である。
本工程においては、まず、樹脂粒子(A)及び離型剤粒子を水性媒体中で混合して、混合分散液を得る。
なお、任意の成分として着色剤を混合することが好ましいが、着色剤はそれのみで別の粒子として混合してもよく、樹脂粒子(A)に含まれていてもよいが、凝集制御の観点から、樹脂粒子(A)に含まれていることが好ましい。
また、本工程において、樹脂粒子(A)以外の樹脂粒子を混合してもよい。樹脂粒子(A)以外の樹脂粒子としては、非晶質ポリエステルを含む樹脂粒子が好ましく、樹脂粒子(B)と同様の組成であるものがより好ましい。
混合の順に制限はなく、いずれかを順に添加してもよいし、同時に添加してもよい。
混合分散液中、樹脂粒子(A)は、10〜40重量部が好ましく、20〜30重量部がより好ましい。水性媒体は60〜90重量部が好ましく、70〜80重量部となるように混合することがより好ましい。
また、着色剤は、画像濃度の観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、3〜15重量部がより好ましい。離型剤粒子は、トナーの離型性及び帯電性の観点から、樹脂と着色剤との合計100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、2〜15重量部がより好ましい。
混合温度は、凝集制御の観点から、0〜40℃が好ましい。
次に、混合分散液中の粒子を凝集させて、凝集粒子(1)の分散液を得る。凝集を効率的に行うために凝集剤を添加することが好ましい。
凝集剤は、第四級塩のカチオン性界面活性剤、ポリエチレンイミン等の有機系凝集剤;無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等の無機系凝集剤が用いられる。
無機金属塩としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等が挙げられ、硫酸アンモニウムがより好ましい。
凝集剤の使用量は、トナーの帯電性の観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは50重量部以下、より好ましくは40重量部以下、更に好ましくは30重量部以下である。また、樹脂粒子の凝集性の観点から、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは1重量部以上、より好ましくは3重量部以上、更に好ましくは5重量部以上である。以上の点を考慮して、1価の塩の使用量は、樹脂粒子(A)を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜40重量部、更に好ましくは5〜30重量部である。
凝集の方法としては、混合分散液の入った容器に、凝集剤を好ましくは水溶液として滴下する。凝集剤は一時に添加してもよいし、断続的あるいは連続的に添加してもよいが、添加時及び添加終了後には、十分な撹拌を行うことが好ましい。凝集制御およびトナー製造時間短縮の観点から、凝集剤の滴下時間は1〜120分が好ましい。また、滴下温度は凝集制御の観点から0〜50℃が好ましい。
得られた凝集粒子(1)の体積中位粒径は、小粒径化及び得られるトナーのプリンタ等の印刷機内での飛散量の低減の観点から、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜9μm、更に好ましくは3〜6μmである。また、CV値は、好ましくは30%以下、より好ましくは28%以下、更に好ましくは25%以下である。
[工程(2)]
工程(2)は、工程(1)で得られた凝集粒子(1)に、非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(B)を添加して、凝集粒子(2)を得る工程である。
本工程においては、工程(1)で得られた凝集粒子(1)の分散液に、非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(B)の分散液を添加して、凝集粒子(1)に更に樹脂粒子(B)を付着させ、凝集粒子(2)を得ることが好ましい。
凝集粒子(1)を含有する分散液(凝集粒子(1)分散液)に樹脂粒子(B)を含有する分散液(樹脂粒子(B)分散液)を添加する前に、凝集粒子(1)分散液に水性媒体を添加して希釈してもよく、水性媒体を添加することが好ましい。水性媒体を添加することで、凝集粒子(1)に樹脂粒子(B)をより均一に付着させることができる。
凝集粒子(1)分散液に樹脂粒子(B)分散液を添加するときには、凝集粒子(1)に樹脂粒子(B)を効率的に付着させるために、前記凝集剤を用いてもよい。
凝集粒子(1)分散液に樹脂粒子(B)分散液を添加する場合の好ましい添加方法としては、凝集剤と樹脂粒子(B)分散液とを同時に添加する方法、凝集剤と樹脂粒子(B)分散液とを交互に添加する方法、凝集粒子(1)分散液の温度を徐々に上げながら、樹脂粒子(B)分散液を添加する方法が挙げられる。このようにすることで、凝集剤濃度低下による凝集粒子(1)及び樹脂粒子(B)の凝集性の低下を防ぐことができる。トナーの生産性及び製造簡便性の観点から、凝集粒子(1)分散液の温度を徐々に上げながら、樹脂粒子(B)分散液を添加することが好ましい。
本工程における系内の温度は、トナーの低温定着性、保存安定性及び飛散量の低減の観点から、樹脂粒子(A)に含まれる結晶性ポリエステル(a)の融点より5℃以上低く、非晶質ポリエステル(b)のガラス転移点より3℃以上低いことが好ましく、5℃以上低いことがより好ましい。当該温度範囲で凝集粒子(2)の製造を行うと、得られるトナーの低温定着性や保存安定性が良好になる。その理由は定かではないが、凝集粒子(2)同士の融着が生じないために、粗大粒子の発生が抑制されることと、結晶性ポリエステル(a)の結晶性が維持できるためであると考えられる。
樹脂粒子(B)の添加量は、トナーの低温定着性、飛散量の低減及び保存安定性の観点から、樹脂粒子(B)と樹脂粒子(A)との重量比(樹脂粒子(B)/樹脂粒子(A))が、好ましくは0.3〜1.5、より好ましくは0.3〜1.0、更に好ましくは0.35〜0.75となる量が好ましい。
樹脂粒子(B)分散液は、一定の時間をかけて連続的に添加してもよく、一時に添加してもよく、複数回に分割して添加してもよいが、一定の時間をかけて連続的に添加するか、複数回に分割して添加することが好ましい。前記のように添加することで、樹脂粒子(B)が凝集粒子(1)に選択的に付着しやすくなる。なかでも選択的な付着を促進する観点及び製造の効率化の観点から一定の時間を掛けて連続的に添加することが好ましい。連続的に添加する場合の時間は、均一な凝集粒子(2)を得る観点および製造時間短縮の観点から、1〜10時間が好ましく、3〜8時間がより好ましい。
工程(2)で得られる凝集粒子(2)の体積中位粒径は、トナーの高画質化の観点から、1〜10μmであることが好ましく、2〜10μmがより好ましく、3〜9μmが更に好ましく、4〜6μmが更に好ましい。
[工程(3)]
工程(3)は、前記一般式(1)で表されるアニオン性界面活性剤を添加する工程である。工程(3)において、工程(2)で得られる凝集粒子(2)の分散液に酸を添加して、分散液のpHを2.0〜6.0に調整することが好ましい。
界面活性剤の添加量は、粗大粒子発生抑制の観点および界面活性剤の残存を低減する観点から、系中の樹脂の総量100重量部に対して、1〜20重量部が好ましく、1〜10重量部が更に好ましく、1.5〜5重量部がより更に好ましい。
界面活性剤および酸を添加する温度に制限はないが、好ましくは10℃〜60℃、より好ましくは20℃〜57℃、更に好ましくは25℃〜57℃、更に好ましくは25℃〜45℃である。
本工程において、酸を添加する場合には、界面活性剤および酸は混合して、添加してもよいし、別々に添加してもよい。別々に添加する場合、いずれを先に添加してもよいが、粗大粒子発生抑制の観点から、界面活性剤を添加した後、酸を添加することが好ましい。
本工程において、酸を添加する場合には、酸を添加するために、得られた分散液のpHは低下するが、樹脂粒子の融着性と凝集粒子の安定性、すなわち凝集粒子同士の融着を防止し、すなわちトナーの粒径分布をシャープにしてトナー飛散を抑制する観点から、分散液のpHが2.0〜6.0となるように酸を添加することが好ましく、2.5〜6.0がより好ましく、2.5〜5.5がより好ましく、2.5〜5.0が更に好ましく、2.5〜3.5となるように酸を添加することが更に好ましい。
[工程(4)]
工程(4)は、凝集粒子(2)を、非晶質ポリエステル(b)のガラス転移点より10℃低い温度以上、5℃高い温度以下の温度に保持して、融着したコアシェル粒子を得る工程であり、最終的なpHが2.0〜6.0の範囲となるように行うことが好ましく、工程(3)で酸を添加しなかった場合には本工程で酸を添加することが好ましい。
本工程においては、凝集粒子(2)中の、主として物理的にお互いに付着している状態であった各粒子が融着されて一体となり、コアシェル粒子が形成される。
融着性及びトナー生産性の観点から、本工程においては、非晶質ポリエステル(b)のガラス転移点より8℃低い温度以上の温度、好ましくは6℃低い温度以上の温度、より好ましくは5℃低い温度以上の温度で保持することがより好ましく、帯電性を良好にし、トナー飛散を抑制する観点から、本工程においては、非晶質ポリエステル(b)のガラス転移点より10℃高い温度以下の温度、好ましくは8℃高い温度以下の温度、より好ましくは6℃高い温度以下の温度で保持することがより好ましい。
また、トナーの保存安定性及び帯電性の観点から、本工程においては、結晶性ポリエステル(a)の融点より5℃低い温度以下、好ましくは7℃低い温度以下、より好ましくは10℃低い温度以下で保持することがより好ましい。
更に、融着性、トナーの保存安定性、帯電性及びトナーの生産性の観点から、本工程においては、樹脂粒子(B)のガラス転移点よりも5℃低い温度以上、ガラス転移点よりも10℃高い温度以下で保持することが好ましい。
また、トナーの帯電性の観点から、本工程においては、離型剤の融点より5℃以上低い温度、好ましくは7℃低い温度以下、より好ましくは10℃低い温度以下で保持することがより好ましい。
本工程においては、粒子融着性の観点から、好ましくは55〜70℃、より好ましくは57〜65℃、更に好ましくは58〜62℃で保持する。
本工程における分散液のpHは、樹脂粒子の融着性と凝集粒子の安定性、すなわち凝集粒子同士の融着を防止する観点から、2.0〜6.0が好ましく、2.5〜6.0がより好ましく、2.5〜5.0が更に好ましく、2.5〜3.5となるように酸を添加することが更に好ましい。
本工程において、酸を添加する場合には、酸を添加した後の分散液のpHが2.0〜6.0となるように酸を添加することが好ましく、2.5〜6.0がより好ましく、2.5〜5.0が更に好ましく、2.5〜3.5となるように酸を添加することが更に好ましい。
本工程における保持時間は、粒子融着性、保存安定性、帯電性及びトナー生産性の観点から、好ましくは1〜24時間、より好ましくは1〜18時間、更に好ましくは2〜12時間である。
本工程において、酸を添加する場合には、前記保持温度に達してから、3時間以内に添加することが好ましく、2時間以内に添加することがより好ましく、1時間以内に添加することが更に好ましい。
本工程においては、生成するコアシェル粒子の円形度をモニタリングすることによって、融着の進行を確認することが好ましい。円形度のモニタリングは実施例に記載の方法によって行う。円形度が0.955以上になったところで冷却し、融着を停止する。最終的に得られるコアシェル粒子の円形度は、得られるトナーの飛散性およびクリーニング性の観点から0.955〜0.995であり、0.958〜0.985が好ましく、0.960〜0.985がより好ましく、0.965〜0.980が更により好ましい。
融着したコアシェル粒子の円形度は、トナーの耐熱保存性を向上し、飛散を抑制する観点から、凝集粒子(2)の円形度と比べて0.01以上大きいことが好ましく、0.012以上大きいことがより好ましく、0.015以上大きいことが更に好ましい。
本工程において、円形度を0.01以上大きくすることで、シェルによる内包化が良好となり、耐熱保存性が向上し、飛散を抑制するものと考えられる。
融着したコアシェル粒子の窒素吸着法によるBET比表面積は、得られるトナーの帯電性および保存安定性の観点から1.0〜5.0m2/gが好ましく、1.0〜4.0m2/gがより好ましく、1.0〜3.5m2/gが更に好ましく、1.5〜2.5m2/gが更に好ましい。
トナーの高画質化の観点から、本工程で得られるコアシェル粒子の体積中位粒径は、好ましくは2〜10μm、より好ましくは2〜8μm、より好ましくは2〜7μm、更に好ましくは3〜8μm、更に好ましくは4〜6μmである。
なお、本工程で得られる融着したコアシェル粒子の平均粒径は、凝集粒子(2)の平均粒径以下であることが好ましい。すなわち、本工程において、コアシェル粒子同士の凝集、融着が生じないことが好ましい。
[後処理工程]
本発明においては、工程(4)の後に後処理工程を行ってもよく、コアシェル粒子を単離することによってトナー粒子を得ることが好ましい。
工程(4)で得られたコアシェル粒子は、水性媒体中に存在するため、まず、固液分離を行うことが好ましい。固液分離には、吸引濾過法等が好ましく用いられる。
固液分離後に洗浄を行うことが好ましい。樹脂粒子(A)及び(B)の製造の際にノニオン性界面活性剤を用いた場合、添加したノニオン性界面活性剤も除去することが好ましいため、ノニオン性界面活性剤の曇点以下で水性溶液により洗浄することが好ましい。洗浄は複数回行うことが好ましい。
次に乾燥を行うことが好ましいが、乾燥時の温度は、コアシェル粒子自体の温度が結晶性ポリエステルの融点より5℃以上低くなるように設定することが好ましく、10℃以上低くなるように設定することがより好ましい。乾燥方法としては、振動型流動乾燥法、スプレードライ法、冷凍乾燥法、フラッシュジェット法等を用いることが好ましい。乾燥後の水分含量は、トナーの飛散量の低減及び帯電性の観点から、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下に調整される。
<電子写真用トナー>
(トナー)
乾燥等を行うことによって得られたトナー粒子を本発明のトナーとしてそのまま用いることもできるが、後述のようにトナー粒子の表面を処理したものを電子写真用トナーとして用いることが好ましい。
得られたトナーの軟化点は、トナーの低温定着性の観点から、好ましくは60〜140℃、より好ましくは60〜130℃、更に好ましくは60〜120℃である。また、ガラス転移点は、低温定着性、耐久性及び保存安定性の観点から、好ましくは30〜80℃、より好ましくは40〜70℃である。
トナーの円形度は、トナーの保存安定性、飛散性及びクリーニング性の観点から、好ましくは0.955〜0.985、より好ましくは0.955〜0.980、更に好ましくは0.965〜0.980である。トナー粒子の円形度は後述の方法で測定することができる。なお、トナー粒子の円形度は、投影面積と等しい円の周囲長/投影像の周囲長の比で求められる値であり、粒子が球形であるほど円形度が1に近い値となる値である。
本発明の方法により得られたトナーはコアシェル構造であり、シェル部分に、非晶質ポリエステル(b)を、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、更に好ましくは90〜100重量%含有する。
トナーの体積中位粒径は、トナーの高画質化と生産性の観点から、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜8μm、更に好ましくは3〜7μm、更に好ましくは4〜6μmである。
トナーのCV値は、高画質化と生産性の観点から、好ましくは30%以下、より好ましくは27%以下、更に好ましくは25%以下、更に好ましくは22%以下である。
(外添剤)
本発明の電子写真用トナーは、前記トナー粒子をトナーとしてそのまま用いることもできるが、流動化剤等を外添剤としてトナー粒子表面に添加処理したものをトナーとして使用することが好ましい。
外添剤としては、疎水性シリカ、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子、酸化セリウム微粒子、カーボンブラック等の無機微粒子やポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シリコーン樹脂等のポリマー微粒子等、任意の微粒子が挙げられ、これらの中でも、疎水性シリカが好ましい。
外添剤を用いてトナー粒子の表面処理を行う場合、外添剤の添加量は、外添剤による処理前のトナー粒子100重量部に対して、好ましくは1〜5重量部、より好ましくは1〜3.5重量部、更に好ましくは1〜3重量部である。
本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
ポリエステル、樹脂粒子、トナー等の各性状値については次の方法により測定、評価した。
[ポリエステルの酸価]
JIS K0070に従って測定した。但し、測定溶媒はクロロホルムとした。
[ポリエステルの軟化点、吸熱の最大ピーク温度、融点及びガラス転移点]
(1)軟化点
フローテスター((株)島津製作所製、商品名:CFT−500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出した。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とした。
(2)吸熱の最大ピーク温度、融点及びガラス転移点
示差走査熱量計(PerkinElmer社製、商品名:Pyris 6 DSC)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度50℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定した。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とした。結晶性ポリエステルの時には該ピーク温度を融点とした。また、非晶質ポリエステルの場合に吸熱ピークが観測されるときはそのピークの温度を、ピークが観測されずに段差が観測されるときは該段差部分の曲線の最大傾斜を示す接線と該段差の高温側のベースラインの延長線との交点の温度をガラス転移点とした。
[非晶質ポリエステル(b)を含む樹脂粒子(B)のガラス転移点]
樹脂粒子(B)についてガラス転移点を測定する場合は、樹脂粒子(B)分散液から凍結乾燥により溶媒を除去し、得られた固形物について前記方法で測定を行った。
樹脂粒子(B)分散液の凍結乾燥は、凍結乾燥機(東京理化器械(株)製、商品名:FDU−2100及びDRC−1000)を用いて、樹脂粒子(B)分散液30gを−25℃にて1時間、−10℃にて10時間、25℃にて4時間真空乾燥を行い、水分量1重量%以下となるまで乾燥させた。水分量は、赤外線水分計((株)ケツト科学研究所製、商品名:FD−230)を用いて、乾燥後の試料5gを、乾燥温度150℃及び測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて測定した。
ガラス転移点の測定方法は、ポリエステルのガラス転移点の測定方法と同様の方法で行った。
[ポリエステルの数平均分子量]
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出した。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、ポリエステルをクロロホルムに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター(住友電気工業(株)製、商品名:FP−200)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2)分子量分布測定
溶解液としてクロロホルムを1ml/分の流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させた。そこに試料溶液200μlを注入して測定を行った。試料の分子量は、あらかじめ作製した検量線に基づき算出した。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製の単分散ポリスチレン;分子量1.11×106、3.97×105、1.89×105、9.89×104、1.71×104、9.49×103、5.87×103、1.01×103、5.00×102)を標準試料として作成したものを用いた。
測定装置:HPLC LC−9130NEXT(商品名、日本分析工業(株)製)
分析カラム:JAIGEL−2.5−H−A + JAIGEL−MH−A(いずれも商品名、日本分析工業(株)製)
[樹脂粒子、離型剤粒子の体積中位粒径(D50)及び粒度分布]
(1)測定装置:レーザー回折型粒径測定機((株)堀場製作所製、商品名:LA−920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる温度で体積中位粒径(D50)を測定した。また、CV値は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
[樹脂粒子分散液の固形分濃度]
赤外線水分計(FD−230)を用いて、樹脂粒子分散液5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、水分%を測定した。固形分濃度は下記の式に従って算出した。
固形分濃度(重量%)=100−M
M:水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
[トナー(粒子)、凝集粒子の体積中位粒径(D50)及び粒度分布]
トナー(粒子)の体積中位粒径は以下の通り測定した。
・測定機:コールターマルチサイザーIII(商品名、ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:マルチサイザーIIIバージョン3.51(商品名、ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(商品名、ベックマンコールター社製)
・分散液:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製、商品名、エマルゲン109P、HLB:13.6)を前記電解液に溶解させ、濃度5重量%の分散液を得た。
・分散条件:前記分散液5mLにトナー測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、更に、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製した。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求めた。
また、CV値(%)は下記の式に従って算出した。
CV値(%)=(粒径分布の標準偏差/体積平均粒径)×100
凝集粒子、凝集粒子(2)の体積中位粒径は、前記トナー(粒子)の体積中位粒径の測定において、試料分散液として凝集粒子分散液、凝集粒子(2)を使用して同様に測定した。
[コアシェル粒子、トナーの円形度]
・分散液の調製:コアシェル粒子の分散液は、コアシェル粒子の固形分濃度が0.001〜0.05%になるように脱イオン水で希釈して調製した。またトナーの分散液は、5重量%ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン109P)水溶液5mlにトナー50mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させたのち、蒸留水20mlを添加し、さらに超音波分散機にて1分間分散させて調製した。
・測定装置:フロー式粒子像分析装置(シスメックス(株)製、商品名:FPIA−3000)
・測定モード:HPF測定モード
[トナー粒子のBET比表面積]
Micromeritics FlowSorbIII(商品名、(株)島津製作所製)を用いて、下記条件でBET比表面積を測定した。
・トナーサンプル量:0.09〜0.11g
・脱気条件:40℃、10分間
・吸着ガス:窒素ガス
[トナーの低温定着性評価]
上質紙(富士ゼロックス(株)製、J紙A4サイズ)に市販のプリンタ((株)沖データ製、商品名:Microline5400)を用いて、トナーの紙上の付着量が0.42〜0.48mg/cm2となるベタ画像をA4紙の上端から5mmの余白部分を残し、50mmの長さで定着させずに出力した。
次に、定着器を温度可変に改造した同プリンタを用意し、定着器の温度を100℃にし、A4縦方向に1枚あたり1.5秒の速度で定着し、印刷物を得た。
同様の方法で定着器の温度を5℃ずつ上げて、定着し、印刷物を得た。
印刷物の画像上の上端の余白部分に、メンディングテープ(3M社製、商品名:Scotchメンディングテープ810、幅18mm)を長さ50mmに切ったものを軽く貼り付けた後、500gのおもりを載せ、速さ10mm/秒で1往復押し当てた。その後、貼付したテープを下端側から剥離角度180度、速さ10mm/秒で剥がし、テープ剥離後の印刷物を得た。テープ貼付前及び剥離後の印刷物の下に上質紙((株)沖データ製、エクセレントホワイト紙A4サイズ)を30枚敷き、各印刷物のテープ貼付前及び剥離後の定着画像部分の反射画像濃度を、測色計(GretagMacbeth社製、商品名:SpectroEye、光射条件;標準光源D50、観察視野2°、濃度基準DINNB、絶対白基準)を用いて測定し、これから下記の式で定着率を算出した。
定着率=(テープ剥離後の反射画像濃度/テープ貼付前の反射画像濃度)×100
定着率が90%以上となる温度を最低定着温度とした。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れる。
[トナーの飛散性の評価方法]
以下の操作は全て室温25℃、相対湿度50%の環境下にて行った。まず、トナー0.7gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業(株)製、平均粒子径:40μm)9.3gとを内容積20mlの円筒形ポリプロピレン製ボトル((株)ニッコー製)に入れ、縦横に10回ずつ振り撹拌を行った。その後、ボールミルにて10分間撹拌を行った。
市販のプリンタ((株)沖データ製、商品名:Microline5400)に搭載されている現像ローラー(直径42mm)を取り出し回転可変に改造した外部現像ローラー装置を用いた。該外部現像ローラー装置の現ローラーを10回転/分の速度で回転させ、現像ローラー上に現像剤を付着させた。均一に付着させた後、一旦、回転を止めた。現像ローラーの回転数を45回転/分に変え、1分間回転させた時の飛散トナーの粒子数をデジタル粉じん計(柴田科学(株)製、型式:P−5)にて計測した。
飛散トナーの粒子数より、トナーの飛散性を評価した。飛散性はトナー飛散粒子数が少ないほど良好であることを示す。
[印刷物のドット再現性評価]
プリンタは、(株)沖データ製のMicroline5400(解像度600×600dpi)を用い、印字媒体には富士ゼロックス(株)製のJ紙を使用した。印字画像として2by2(2ドット2スペース)のハーフトーン画像を、上記プリンタを用いて未定着で出力し、未定着画像を光学顕微鏡VHX−100((株)キーエンス製)を用いて5個×5個のドットを拡大観察した。ドット中に下地の紙が露出している部分があるものをドット抜けしているとみなし、その個数によりドット抜けの度合いを下記のような評価基準で評価した。印刷物のドット再現性はドット抜けが少ない方が良好であることを示す。
A・・・25ドットのうち、ドット抜けが1個以下である。
B・・・25ドットのうち、ドット抜けが2個以上5個以下である。
C・・・25ドットのうち、ドット抜けが6個以上である。
[ポリエステルの製造]
製造例1
(結晶性ポリエステルX1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、1,9−ノナンジオール3936g、セバシン酸4848gを入れた。撹拌しながら、140℃に昇温し、140℃で3時間維持した後、140℃から200℃まで10時間かけて昇温した。その後、ジオクチル酸錫50gを加え、更に200℃にて1時間維持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて4時間維持し、結晶性ポリエステルX1を得た。得られた結晶性ポリエステルX1の軟化点、融点、結晶性指数、数平均分子量及び酸価を表1に示す。
製造例2
(結晶性ポリエステルX2の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、1,6−ヘキサンジオール2419g、1,12−ドデカン二酸4957gを入れた。撹拌しながら、140℃に昇温し、140℃で3時間維持した後、140℃から200℃まで10時間かけて昇温した。その後、ジオクチル酸錫30gを加え、更に200℃にて1時間維持した後、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaにて3時間維持し、結晶性ポリエステルX2を得た。得られた結晶性ポリエステルX2の軟化点、融点、結晶性指数、数平均分子量及び酸価を表1に示す。
製造例3
(非晶質ポリエステルY1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3322g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン31g、テレフタル酸662g及び酸化ジブチル錫10gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、230℃に昇温し、5時間維持した後、更にフラスコ内の圧力を下げ、8.0kPaにて1時間維持した。大気圧に戻した後、190℃に冷却し、フマル酸685g、tert−ブチルカテコール0.49gを加え、190℃の温度下で1時間維持した後に、2時間かけて210℃まで昇温した。更にフラスコ内の圧力を下げ、8.0kPaにて4時間維持させて、非晶質ポリエステルY1を得た。得られた非晶質ポリエステルY1の軟化点、ガラス転移点、結晶性指数、数平均分子量及び酸価を表1に示す。
製造例4
(非晶質ポリエステルY2の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1750g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン1625g、テレフタル酸1145g、ドデセニルコハク酸無水物161g、トリメリット酸無水物480g、及び酸化ジブチル錫10gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、220℃に昇温し、220℃で5時間維持した後、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、非晶質ポリエステルY2を得た。得られた非晶質ポリエステルY2の軟化点、ガラス転移点、結晶性指数、数平均分子量及び酸価を表1に示す。
製造例5
(非晶質ポリエステルY3の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌機、及び熱電対を装備した四つ口フラスコの内部を窒素置換し、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3004g、フマル酸996g、tert−ブチルカテコール2gおよび酸化ジブチル錫8gを入れ、窒素雰囲気下、撹拌しながら、5時間かけて210℃まで昇温し、210℃で2時間保持した後、8.3KPaにて反応し所望の軟化点に達するまで反応を行い、非晶質ポリエステルY3を得た。得られた非晶質ポリエステルY3の軟化点、ガラス転移点、結晶性指数、数平均分子量及び酸価を表1に示す。
Figure 0005736210
[樹脂粒子及び離型剤粒子の製造]
製造例6
(樹脂粒子分散液(A−1)の調製)
撹拌機を装備したフラスコに、結晶性ポリエステルX1 90g、非晶質ポリエステルY1 300g、非晶質ポリエステルY2 210g、銅フタロシアニン顔料(商品名:ECB301、大日精化工業(株)製)45g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ノニオン性界面活性剤、商品名:エマルゲン150、花王(株)製)8.5g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ネオペレックスG−15、花王(株)製)80g、5重量%水酸化カリウム水溶液266gを入れ、撹拌しながら、98℃に昇温して溶融し、98℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、脱イオン水1116gを6g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュ(目開き105μm)の金網を通して、樹脂粒子分散液(A−1)を得た。得られた樹脂粒子分散液の固形分濃度、体積中位粒径及びCV値を表2に示す。
製造例7
(樹脂粒子分散液(A−2)の調製)
撹拌機を装備したフラスコに、結晶性ポリエステルX2 90g、非晶質ポリエステルY1 300g、非晶質ポリエステルY2 210g、銅フタロシアニン顔料(商品名:ECB301、大日精化工業(株)製)45g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ノニオン性界面活性剤、商品名:エマルゲン150、花王(株)製)8.5g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ネオペレックスG−15、花王(株)製)80g、5重量%水酸化カリウム水溶液274gを入れ、撹拌しながら、98℃に昇温して溶融し、98℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、脱イオン水1109gを6g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュ(目開き105μm)の金網を通して、樹脂粒子分散液(A−2)を得た。得られた樹脂粒子分散液の固形分濃度、体積中位粒径及びCV値を表2に示す。
製造例8
(樹脂粒子分散液(B−1)の調製)
撹拌機を装備したフラスコに、非晶質ポリエステルY1 390g、非晶質ポリエステルY2 210g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ノニオン性界面活性剤、商品名:エマルゲン430、花王(株)製)6g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ネオペレックスG−15、花王(株)製)40g及び5重量%水酸化カリウム268gを入れ、撹拌しながら、95℃に昇温して溶融し、95℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、1145gの脱イオン水を6g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュの金網を通し、脱イオン水を加えて、固形分を23.5重量%に調整して、樹脂粒子(B−1)分散液を得た。得られた樹脂粒子分散液の固形分濃度、体積中位粒径及びCV値を表2に示す。
製造例9
(樹脂粒子分散液(B−2)の調製)
撹拌機を装備したフラスコに、非晶質ポリエステルY3 600g、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ノニオン性界面活性剤、商品名:エマルゲン430、花王(株)製)6g、15重量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ネオペレックスG−15、花王(株)製)40g及び5重量%水酸化カリウム247gを入れ、撹拌しながら、95℃に昇温して溶融し、95℃で2時間混合して、樹脂混合物を得た。
次に、撹拌しながら、1165gの脱イオン水を6g/分の速度で滴下し、乳化物を得た。次に、得られた乳化物を25℃に冷却し、200メッシュの金網を通し、脱イオン水を加えて、固形分を23.5重量%に調整して、樹脂粒子(B−2)分散液を得た。得られた樹脂粒子分散液の固形分濃度、体積中位粒径及びCV値を表2に示す。
Figure 0005736210
製造例10
(離型剤粒子分散液の製造)
内容積1リットルのビーカーに、脱イオン水480g、アルケニル(ヘキサデセニル基、オクタデセニル基の混合物)コハク酸ジカリウム水溶液(商品名:ラテムルASK、花王(株)製、有効濃度28重量%)4.29g、カルナウバロウワックス((株)加藤洋行製、融点85℃、酸価5mgKOH/g)120gを入れ、撹拌した。該混合液を90〜95℃に維持しながら、超音波分散機(商品名:Ultrasonic Homogenizer 600W、(株)日本精機製作所製)を用いて、30分間分散処理を行った後、25℃に冷却し、脱イオン水を加えて、固形分を20重量%に調整し、離型剤粒子分散液を得た。離型剤粒子の体積中位粒径は0.494μm、CV値は34%であった。
[界面活性剤の製造]
製造例11
(界面活性剤1(ポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩)の合成)
ジスチレン化フェノール(川口化学工業(株)製)608g(2モル)及び水酸化カリウム0.56g(0.01モル)を撹拌装置、温度制御装置およびエチレンオキサイド導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間水分の除去を行った。その後窒素置換を行い、145℃まで昇温した後、エチレンオキサイドを1144g(26モル)仕込んだ。145℃にて圧力が一定になるまで付加反応を行い、145℃で1時間熟成を行った後、80℃まで冷却した。次に、無機系アルカリ吸着剤を投入し、濾別することで水酸化カリウムを除去し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が13モルのポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェノールを得た(ただし、括弧内の数字はエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す。以下も同様である)。
このポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェノール438.0g(0.5モル)を撹拌装置、温度制御装置を備えた反応器に仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間水分の除去を行った。80℃に冷却後、スルファミン酸を46.1g(0.475モル)仕込み、110℃に昇温し、3時間反応させ、ポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)を得た。
製造例12
(界面活性剤2(ポリオキシエチレン(20)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩)の合成)
ジスチレン化フェノール(川口化学工業(株)製)608g(2モル)および水酸化カリウム0.56g(0.01モル)を撹拌装置、温度制御装置およびエチレンオキサイド導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間水分の除去を行った。その後窒素置換を行い、145℃まで昇温した後、エチレンオキサイドを1760g(40モル)仕込んだ。145℃にて圧力が一定になるまで付加反応を行い、145℃で1時間熟成を行った後、80℃まで冷却した。次に、無機系アルカリ吸着剤を投入し、濾別することで水酸化カリウムを除去し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が20モルのポリオキシエチレン(20)ジスチレン化フェノールを得た。
このポリオキシエチレン(20)ジスチレン化フェノール592.0g(0.5モル)を撹拌装置、温度制御装置を備えた反応器に仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間水分の除去を行った。80℃に冷却後、スルファミン酸を46.1g(0.475モル)仕込み、110℃に昇温し、3時間反応させ、ポリオキシエチレン(20)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤2)を得た。
製造例13
(界面活性剤3(ポリオキシプロピレン(3)ポリオキシエチレン(10)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩)の合成)
ジスチレン化フェノール(川口化学工業(株)製)608g(2モル)および水酸化カリウム0.56g(0.01モル)を撹拌装置、温度制御装置およびエチレンオキサイド導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間水分の除去を行った。その後窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、プロピレンオキサイドを348g(6モル)仕込んだ。120℃にて圧力が一定になるまで付加反応を行い、120℃で1時間熟成を行った後、110℃、1.3kPaにて30分間水分の除去を行った。その後窒素置換を行い、145℃まで昇温した後、エチレンオキサイドを880g(20モル)仕込んだ。145℃にて圧力が一定になるまで付加反応を行い、該温度にて1時間熟成を行った後、80℃まで冷却した。次に、無機系アルカリ吸着剤を投入し、濾別することで水酸化カリウムを除去し、プロピレンオキサイドの平均付加モル数3モル、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10モルのポリオキシプロピレン(3)ポリオキシエチレン(10)ジスチレン化フェノールを得た。
このポリオキシプロピレン(3)ポリオキシエチレン(10)ジスチレン化フェノール459.0g(0.5モル)を撹拌装置、温度制御装置を備えた反応器に仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間水分の除去を行った。80℃に冷却後、スルファミン酸を46.1g(0.475モル)仕込み、110℃に昇温し、3時間反応させ、ポリオキシプロピレン(3)ポリオキシエチレン(10)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤3)を得た。
製造例14
(界面活性剤4の合成:ポリオキシエチレン(10)トリベンジル化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩)
トリベンジル化フェノール(川口化学工業(株)製)592g(2モル)および水酸化カリウム0.56g(0.01モル)を撹拌装置、温度制御装置およびエチレンオキサイド導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間水分の除去を行った。その後窒素置換を行い、145℃まで昇温した後エチレンオキサイドを880g(20モル)仕込んだ。145℃にて圧力が一定になるまで付加反応を行い、145℃で1時間熟成を行った後、80℃まで冷却した。次に、無機系アルカリ吸着剤を投入し、濾別することで水酸化カリウムを除去し、エチレンオキサイドの平均付加モル数が10モルのポリオキシエチレン(10)トリベンジル化フェノールを得た。
このポリオキシエチレン(10)トリベンジル化フェノール368.0g(0.5モル)を撹拌装置、温度制御装置を備えた反応器に仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間水分の除去を行った。80℃に冷却後、スルファミン酸を46.1g(0.475モル)仕込み、110℃に昇温し、3時間反応させ、ポリオキシエチレン(10)トリベンジル化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤4)を得た。
製造例15
(界面活性剤5の合成:ポリオキシエチレン(7)ジスチレン化(メチル)フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩)
ポリオキシエチレン(7)ジスチレン化メチルフェノール313.0g(0.5モル)を撹拌装置、温度制御装置を備えた反応器に仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間水分の除去を行った。80℃に冷却後、スルファミン酸を46.1g(0.475モル)仕込み、110℃に昇温し、3時間反応させ、ポリオキシエチレン(7)ジスチレン化メチルフェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤5)を得た。
[トナーの製造]
実施例1
(トナーAの作製)
<工程(1):凝集粒子(1)の作製>
脱水管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積5リットルの4つ口フラスコに、樹脂粒子(A−1)分散液250g、脱イオン水67.4g、及び離型剤粒子分散液42gを温度25℃下で混合した。次に、該混合物を撹拌しながら、硫酸アンモニウム21gを脱イオン水219gに溶解した水溶液を25℃で5分かけて滴下した後、55℃まで昇温し、凝集粒子の体積中位粒径が4.3μmになるまで、55℃で保持し、凝集粒子(1)を得た。
<工程(2):凝集粒子(2)の作製>
工程(1)で得られた凝集粒子(1)分散液(全量)に41gの脱イオン水を添加し、凝集粒子(1)分散液の温度を49℃に冷却した。次いで、49℃の分散液を毎時1.6℃の速度で昇温しながら、樹脂粒子(B−1)分散液158.5gを毎分0.5mlの速度で滴下し、凝集粒子(2)分散液を得た。得られた凝集粒子(2)の体積中位粒径、円形度および分散液のpHを表3に示す。また、滴下終了後の分散液の温度は57℃であった。
<工程(3):凝集粒子(2)分散液への界面活性剤の添加とpHの調整>
工程(2)で得られた凝集粒子(2)分散液(全量)に、ポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)3.5gと脱イオン水3813gを混合した水溶液を入れた。その後、25℃におけるpHが3.5となるように2.0Nの硫酸を添加した。
<工程(4):凝集粒子(2)の融着工程>
工程(3)でpHを調整した凝集粒子(2)分散液を60℃に昇温し、60℃下で3時間保持し、粒子を融着してコアシェル粒子を得た。
<洗浄・乾燥・外添工程>
次に、分散液を25℃に冷却し、25℃に保ちつつ、吸引濾過で固形分を分離し、脱イオン水で洗浄し、33℃で乾燥を行い、トナー粒子を得た。得られたトナーの円形度、BET比表面積、および体積中位粒径を表3に示す。該トナー粒子100重量部、疎水性シリカ(商品名:RY50、日本アエロジル(株)製、平均粒径;0.04μm)2.5重量部、及び疎水性シリカ(商品名:キャボシールTS720、キャボット社製、平均粒径;0.012μm)1.0重量部をヘンシェルミキサーに入れ、撹拌し、150メッシュのふるいを通過させてトナーAを得た。得られたトナーの評価を表3に示す。
実施例2
(トナーBの作製)
<工程(1):凝集粒子(1)の作製>
脱水管、撹拌装置及び熱電対を装備した内容積5リットルの4つ口フラスコに、樹脂粒子(A−2)分散液250g、脱イオン水55.9g、及び離型剤粒子分散液41gを温度25℃下で混合した。次に、該混合物を撹拌しながら、硫酸アンモニウム20gを脱イオン水211gに溶解した水溶液を25℃で5分かけて滴下した後、55℃まで昇温し、凝集粒子の体積中位粒径が4.3μmになるまで、55℃で保持し、凝集粒子(1)を得た。
<工程(2):凝集粒子(2)の作製>
工程(1)で得られた凝集粒子(1)分散液(全量)に39gの脱イオン水を添加し、凝集粒子(1)分散液の温度を49℃に冷却した。次いで、49℃の分散液を毎時1.6℃の速度で昇温しながら、樹脂粒子(B−1)分散液152.7gを毎分0.5mlの速度で滴下し、凝集粒子(2)分散液を得た。得られた凝集粒子(2)の体積中位粒径、円形度および分散液のpHを表3に示す。また、滴下終了後の分散液の温度は57℃であった。
<工程(3):凝集粒子(2)分散液への界面活性剤の添加とpHの調整>
工程(2)で得られた凝集粒子(2)分散液(全量)に、ポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)3.5gと脱イオン水3813gを混合した水溶液を入れた。その後、25℃におけるpHが3.5となるように1.0Nの硫酸を添加した。
<工程(4):凝集粒子(2)の融着工程>
工程(3)でpHを調整した凝集粒子(2)分散液を60℃に昇温し、60℃で5時間保持し、粒子を融着してコアシェル粒子を得た。
<洗浄・乾燥・外添工程>
次に、分散液を25℃に冷却し、25℃に保ちつつ、吸引濾過で固形分を分離し、脱イオン水で洗浄し、33℃で乾燥を行い、トナー粒子を得た。得られたトナーの円形度、BET比表面積、および体積中位粒径を表3に示す。該トナー粒子100重量部、疎水性シリカ(商品名:RY50、日本アエロジル(株)製、平均粒径;0.04μm)2.5重量部、及び疎水性シリカ(商品名:キャボシールTS720、キャボット社製、平均粒径;0.012μm)1.0重量部をヘンシェルミキサーに入れ、撹拌し、150メッシュのふるいを通過させてトナーBを得た。得られたトナーの評価を表3に示す。
実施例3
(トナーCの作製)
工程(4)を56℃で3時間保持した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
実施例4
(トナーDの作製)
工程(4)を65℃で3時間保持した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
実施例5
(トナーEの作製)
工程(3)を以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
<工程(3):凝集粒子(2)分散液への界面活性剤の添加とpHの調整>
工程(2)で得られた凝集粒子(2)分散液(全量)に、ポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)3.5gと脱イオン水3813gを混合した水溶液を入れた。その後、25℃におけるpHが2.5となるように2.0Nの硫酸を添加した。
実施例6
(トナーFの作製)
工程(3)を以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
<工程(3):凝集粒子(2)分散液への界面活性剤の添加とpHの調整>
工程(2)で得られた凝集粒子(2)分散液(全量)に、ポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)3.5gと脱イオン水3813gを混合した水溶液を入れた。その後、25℃におけるpHが3.0となるように2.0Nの硫酸を添加した。
実施例7
(トナーGの作製)
工程(3)を以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
<工程(3):凝集粒子(2)分散液への界面活性剤の添加とpHの調整>
工程(2)で得られた凝集粒子(2)分散液(全量)に、ポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)3.5gと脱イオン水3813gを混合した水溶液を入れた。その後、25℃におけるpHが4.0となるように2.0Nの硫酸を添加した。
実施例8
(トナーHの作製)
工程(3)を以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
<工程(3):凝集粒子(2)分散液への界面活性剤の添加とpHの調整>
工程(2)で得られた凝集粒子(2)分散液(全量)に、ポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)3.5gと脱イオン水3813gを混合した水溶液を入れた。その後、25℃におけるpHが4.5となるように2.0Nの硫酸を添加した。
実施例9
(トナーIの作製)
工程(3)および(4)を以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
<工程(3):凝集粒子(2)分散液への界面活性剤の添加とpHの調整>
工程(2)で得られた凝集粒子(2)分散液(全量)に、ポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)3.5gと脱イオン水3813gを混合した水溶液を入れた。その後、25℃におけるpHが5.5となるように2.0Nの硫酸を添加した。
<工程(4):凝集粒子(2)の融着工程>
工程(3)でpHを調整した凝集粒子(2)分散液を60℃に昇温し、60℃下で7時間保持し、粒子を融着してコアシェル粒子を得た。
実施例10
(トナーJの作製)
工程(3)で用いるポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)の量を1.72gに変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
実施例11
(トナーKの作製)
工程(3)で用いるポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)の量を1.15gに変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
実施例12
(トナーLの作製)
工程(3)で用いるポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)の量を5.17gに変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
実施例13
(トナーMの作製)
工程(3)で用いるポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)をポリオキシエチレン(20)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤2)に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
実施例14
(トナーNの作製)
工程(3)で用いるポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)をポリオキシプロピレン(3)ポリオキシエチレン(10)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤3)に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
実施例15
(トナーOの作製)
工程(3)で用いるポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)をポリオキシエチレン(10)トリベンジル化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤4)に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
実施例16
(トナーPの作製)
工程(3)で用いるポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)をポリオキシエチレン(7)ジスチレン化メチルフェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤5)に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
実施例17
(トナーQの作製)
工程(3)および(4)を以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
<工程(3):凝集粒子(2)分散液への界面活性剤の添加>
工程(2)で得られた凝集粒子(2)分散液(全量)に、ポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)3.5gと脱イオン水3813gを混合した水溶液を入れた。
<工程(4):凝集粒子(2)の融着工程と酸の添加>
凝集粒子(2)と工程(3)で添加した界面活性剤を混合した分散液を60℃に昇温し、60℃で1時間保持した後、25℃におけるpHが3.5となるように2.0Nの硫酸を添加した。その後、さらに60℃で2時間保持し、粒子を融着してコアシェル粒子を得た。
実施例18
(トナーRの作製)
工程(3)および(4)を以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
<工程(3):凝集粒子(2)分散液への界面活性剤の添加とpHの調整>
工程(2)で得られた凝集粒子(2)分散液(全量)に、ポリオキシエチレン(13)ジスチレン化フェニルエーテルモノ硫酸エステルアンモニウム塩(界面活性剤1)3.5gと脱イオン水3813gを混合した水溶液を入れた。その後、25℃におけるpHが5.0となるように2.0Nの硫酸を添加した。
<工程(4):凝集粒子(2)の融着工程と酸の添加>
工程(3)でpHを調整した凝集粒子(2)分散液を60℃に昇温し、60℃で1時間保持した後、25℃におけるpHが3.5となるように2.0Nの硫酸を添加した。その後、60℃下で30分間保持し、粒子を融着してコアシェル粒子を得た。
実施例19
(トナーSの作製)
工程(4)を以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
<工程(4):凝集粒子(2)の融着工程>
工程(3)でpHを調整した凝集粒子(2)分散液を70℃に昇温し、70℃下で1時間保持し、粒子を融着してコアシェル粒子を得た。
実施例20
(トナーTの作製)
工程(2)で添加する樹脂粒子を樹脂粒子(B−2)に変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
比較例1
(トナーUの作製)
工程(3)で硫酸を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。なお、トナー性能のうち低温定着性とドット再現性については、評価時にトナーが砕けてしまい、評価が可能な印刷物が得られなかった。
比較例2
(トナーVの作製)
工程(3)を以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。なお、トナー性能のうち低温定着性とドット再現性については、印刷物に大量の白抜け(印刷されないスジ状の白線)が発生してしまい、評価が可能な印刷物が得られなかった。
<工程(3):凝集粒子(2)分散液への界面活性剤の添加とpHの調整>
工程(2)で得られた凝集粒子(2)分散液(全量)に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ネオペレックスG−15、花王(株)製、固形分16%)31.2gと脱イオン水3813gを混合した水溶液を入れた。その後、25℃におけるpHが3.5となるように2.0Nの硫酸を添加した。
比較例3
(トナーWの作製)
工程(3)を以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。なお、トナー性能のうち低温定着性とドット再現性については、印刷物に大量の白抜け(印刷されないスジ状の白線)が発生してしまい、評価が可能な印刷物が得られなかった。
<工程(3):凝集粒子(2)分散液への界面活性剤の添加とpHの調整>
工程(2)で得られた凝集粒子(2)分散液(全量)に、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ペレックスSS−H、花王(株)製、固形分50%)10.0gと脱イオン水3813gを混合した水溶液を入れた。その後、25℃におけるpHが3.5となるように2.0Nの硫酸を添加した。
比較例4
(トナーXの作製)
工程(3)を以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。なお、トナー性能のうち低温定着性とドット再現性については、印刷物に大量の白抜け(印刷されないスジ状の白線)が発生してしまい、評価が可能な印刷物が得られなかった。
<工程(3):凝集粒子(2)分散液への界面活性剤の添加とpHの調整>
工程(2)で得られた凝集粒子(2)分散液(全量)に、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:エマールE−27C、花王(株)製、固形分27%)18.5gと脱イオン水3813gを混合した水溶液を入れた。その後、25℃におけるpHが3.5となるように2.0Nの硫酸を添加した。
比較例5
(トナーYの作製)
工程(3)を以下のように変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られた凝集粒子(2)、トナーの物性およびトナーの評価を表3に示す。
<工程(3):凝集粒子(2)分散液への界面活性剤の添加とpHの調整>
工程(2)で得られた凝集粒子(2)分散液(全量)に、ポリオキシエチレン(18)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム水溶液(アニオン性界面活性剤、商品名:ラテムルE−118B、花王(株)製、固形分26%)19.9gと脱イオン水3813gを混合した水溶液を入れた。その後、25℃におけるpHが5.0となるように2.0Nの硫酸を添加した。
Figure 0005736210
Figure 0005736210
Figure 0005736210
表3から、実施例の電子写真用トナーは、比較例の電子写真用トナーに比べて、いずれも低温定着性、トナー飛散の抑制及び得られた印刷物のドット再現性のすべてに優れることがわかる。
本発明の製造方法により得られる電子写真用トナーは、良好な低温定着性を有し、トナー飛散も少なく、得られた印刷物のドット再現性にも優れるため、電子写真法に用いられる電子写真用トナーとして好適に使用できる。本発明の方法によれば、このような特性を有するトナーを効率的に製造することができる。

Claims (13)

  1. 樹脂粒子(A)及び離型剤粒子を含む凝集粒子と、下記一般式(1)で表されるアニオン性界面活性剤とを含有する水性混合液の25℃におけるpHを2.0〜6.0に調整した後及び/又は調整しながら、該水性混合液中の凝集粒子を融着する工程を有する、電子写真用トナーの製造方法。
    Figure 0005736210

    (式中、Rは、水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表し、mは平均値が1〜4であり、AOはエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基を表し、nは平均値が5〜100であり、Mはアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、アルカリ金属を表す。)
  2. 前記水性混合液の調整した後の25℃におけるpHが2.5〜5.5である、請求項1に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  3. 前記凝集粒子が、以下の工程(1)及び(2)によって得られる凝集粒子(2)である、請求項1又は2に記載の電子写真用トナーの製造方法。
    工程(1):前記樹脂粒子(A)、前記離型剤粒子及び凝集剤を水性媒体中で混合して凝集して凝集粒子(1)を得る工程
    工程(2):工程(1)で得られた凝集粒子(1)に、非晶質ポリエステル(b)を含有する樹脂粒子(B)を添加して、凝集粒子(2)を得る工程
  4. 前記凝集粒子を融着する工程が、凝集粒子(2)を、非晶質ポリエステル(b)のガラス転移点より10℃低い温度以上、かつ該ガラス転移点より5℃高い温度以下の温度に保持して、融着したコアシェル粒子を得る工程(4)である、請求項3に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  5. 工程(2)の後、工程(4)の前に、前記式(1)で表されるアニオン性界面活性剤を添加する工程(3)を有する、請求項4に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  6. 工程(3)及び/又は工程(4)において、酸を添加してpHを2.0〜6.0に調整する、請求項4又は5に記載の電子写真用トナーの製造方法。
  7. 前記融着したコアシェル粒子の平均粒径が、凝集粒子(2)の平均粒径以下である、請求項4〜のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
  8. 前記融着したコアシェル粒子の円形度が、凝集粒子(2)の円形度と比べて0.01以上大きい、請求項4〜のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
  9. 工程(4)における保持する際の温度が、前記樹脂粒子(B)のガラス転移点よりも5℃低い温度以上、かつ該ガラス転移点よりも10℃高い温度以下である、請求項4〜のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
  10. 非晶質ポリエステル(b)のガラス転移点が50〜70℃である、請求項3〜のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
  11. 樹脂粒子(A)が融点60℃〜90℃の結晶性ポリエステル(a)を含有する、請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
  12. 樹脂粒子(A)が非晶質ポリエステル(c)を含有する、請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真用トナーの製造方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法で得られる電子写真用トナー。
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