JP4822483B2 - ポリマー水分散体の製造方法およびポリマー水分散体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマー水分散体の製造方法および当該製造方法により得られたポリマー水分散体に関する。本発明のポリマー水分散体は、紙基材やポリ塩化ビニル、ポリオレフィン等の各種プラスチック基材等に用いられる水系剥離剤、水系耐ブロッキング剤、水系滑り剤および水系撥水剤等として有用である。特に、剥離シート用の水系剥離剤として有用であり、本発明の水系剥離剤を塗工した剥離シートは粘着テープ、粘着シート等の粘着面の保護、保存に好適である。
【0002】
【従来の技術】
一般に、粘着テープ、粘着シート等の粘着体においては、その粘着面の保護のために、該粘着面に剥離シートを貼着するか、あるいは粘着体をロール状に巻いて該粘着面を基材の背面に貼着している。これら剥離シートの剥離面や基材の背面には、使用時における剥離性を良好にするために剥離剤が塗布されている。
【0003】
従来より、上記剥離剤としてはシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基等の長鎖炭化水素基を有するポリマーからなる剥離剤(以下、長鎖アルキル系剥離剤という)が用いられているが、長鎖アルキル系剥離剤はシリコーン系剥離剤に比べて再粘着性、筆記性および印刷性が優れていることから、近年、長鎖アルキル系剥離剤が注目を集めている。たとえば、特公昭60−30355号公報にはエチレンビニルアルコールにアルキルイソシアネートを反応させたポリマーを溶剤型の剥離剤として用いることが提案されている。
【0004】
さらに、作業環境や公害に対する配慮から長鎖アルキル系剥離剤を水系化する技術が提案されている。たとえば、特開昭61−113678号公報には、原料を水中撹拌下で反応させることにより長鎖アルキル系剥離剤を得ている。また、特開平9−111197号公報、特開平9−29756号公報では、長鎖アルキル基を有する剥離ポリマーを、水中で乳化分散させて得た水分散体を水系剥離剤として用いている。
【0005】
前記長鎖アルキル基を有する剥離ポリマーの水分散体からなる水系剥離剤は、その塗工物が一般的に有用と考えられている薄層となるように得られた水分散体中の被分散体の体積平均粒径が1μm以下の微細なものであり、しかも保存安定性が良好で分散安定化した水分散体であることが要求される。そのため、前記水分散体の製造にあたっては、必然的に多量の乳化剤が用いられる。これら水分散体における乳化剤量は、一般的に剥離剤ポリマー100重量部(乾燥重量)に対して10〜100重量部(乾燥重量)である。
【0006】
しかし、乳化剤の使用量を多くして製造された水分散体(水系剥離剤等)が各種基材に塗工された剥離シートを粘着体等に適用すると、剥離シートに形成された剥離性皮膜の一部が、粘着体等の粘着剤面に移行して粘着剤の接着力を低下させたり、粘着体に貼り付けた被着体表面を汚染するなどの悪影響を及ぼす。一方、水分散体の調製にあたり乳化剤量を少なくすることにより、水分散体を水系剥離剤等として用いた場合の粘着剤の接着力低下等の前記問題は低減されるものの、前記問題を生じないレベルまで乳化剤量を少なくした場合には、水分散体中の被分散体の体積平均粒径が、数ミクロンから数百ミクロンと大きくなり、水系剥離剤に有用とされる薄層に塗工することができなくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、少量の乳化剤であっても、被分散体である剥離性ポリマーを保存安定性よく微細粒子として水中に分散させた剥離性ポリマーの水分散体の製造方法および当該製造方法により得られたポリマー水分散体を提供することを目的とする。さらには、当該剥離性ポリマーの水分散体を用いてなり、粘着体等の粘着剤の粘着特性に影響を及ぼさない水系剥離剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す製造方法により得られる剥離ポリマーの水分散体により、前記目的を達成できることを見出し本発明を解決するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、剥離性ポリマーを含む分散質が、乳化剤を含む水系分散媒中に乳化分散しているポリマー水分散体の製造方法であって、前記分散質と水系分散媒の混合物を、注入圧力6.5×107 Pa以上で噴射することにより乳化分散することを特徴とするポリマー水分散体の製造方法、に関する。
【0010】
また本発明は、剥離性ポリマーを含む分散質が、乳化剤を含む水系分散媒中に乳化分散しているポリマー水分散体の製造方法であって、注入圧力6.5×107 Pa以上で噴射している前記水系分散媒に、前記分散質を混合することにより乳化分散することを特徴とするポリマー水分散体の製造方法、に関する。
【0011】
本発明では、剥離性ポリマーを水分散体にするために、剥離性ポリマーを含む分散質と乳化剤を含む水系分散媒を、超高圧、超高速度流体として相互に接触させることにより、被分散体である剥離性ポリマーを、保存安定性よく微細粒子として水中に分散させている。また超高圧、超高速度で、前記分散質と水系分散媒の混合物または前記水系分散媒を噴射しているため、高いエネルギーを効率良く水分散体の製造に費やすことが可能となり、非常に少ない乳化剤量で、サブミクロン以下の平均粒径の微細な被分散体を得ることができる。前記ポリマー水分散体の製造方法では、分散質と水系分散媒の混合物を用いて乳化分散を行うの作業性の点より有用である。
【0012】
前記注入圧力は高いほど得られるエマルションの粒径も小さくなり好ましい。前記注入圧力は6.5×107 Pa以上、さらには1.2×108 Pa以上であるのが好ましい。注入圧力6.5×107 Pa未満では、一般的な回転式乳化機との差別化が難しく、注入圧力からの高いエネルギー効率で被分散体を製造することができず、得られる被分散体の平均粒径が大きくなり、また保存安定性を良くするためには多くの乳化剤量を用いなければならない。水系剥離剤として用いた場合には適正な厚みの処理物とはならず、粘着体の粘着面への汚染性等に問題がある。なお、一般的な装置の性能上から前記注入圧力の上限は、3.1×108 Pa程度である。
【0013】
前記ポリマー水分散体の製造方法において、剥離性ポリマーが炭素数が8以上の長鎖アルキル基を有する剥離性ポリマーであり、乳化剤が炭素数が15以上の長鎖炭化水素基を少なくとも1個以上有する乳化剤であることが好ましい。
【0014】
炭素数が8以上の長鎖アルキル系剥離性ポリマーの乳化剤として、炭素数が15以上の長鎖炭化水素基を有する乳化剤を用いることにより、被分散体である剥離性ポリマーを、保存安定性よく微細粒子として水中に分散させることができる。炭化水素基が14以下の乳化剤では保存安定性が悪く、また炭化水素基が14以下の乳化剤では乳化剤が少ないと微細粒子が得られず、水系剥離剤として用い適正な厚みの処理物が得られない場合がある。
【0015】
前記ポリマー水分散体の製造方法において、乳化剤は、イオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の併用系であることが好ましい。
【0016】
乳化剤を前記併用系とすると、得られる水分散体中の被分散体の体積平均粒径を小さくし、かつ水分散体の保存安定性を改善するのに有効である。イオン系乳化剤はアニオン系乳化剤、カチオン系乳化剤のいずれでもよい。したがって、アニオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の併用系、カチオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の併用系を採用できる。
【0017】
前記ポリマー水分散体の製造方法において、剥離性ポリマー100重量部(乾燥重量)に対し、乳化剤(乾燥重量)が10重量部以下の割合で配合されているのが好ましい。
【0018】
本発明のポリマー水分散体は、乳化剤の前記使用量を10重量部以下と少なくした場合にも被分散体の体積平均粒径を小さくして、かつ水分散体の保存安定性を良好に維持できる。また、乳化剤の前記使用量は剥離剤としての特性からは少なければ少ない程良く、乳化剤が剥離処理面に接した粘着剤に移行したり、粘着剤の接着力を低下させることがなく、粘着剤の汚染の原因もなくなる。乳化剤の前記使用量は、3重量部以下とするのがより好ましい。一方、保存安定性の良好な水分散体を得るには、乳化剤の使用量を0.2重量部以上、さらには0.5重量部以上とするのが好ましい。
【0019】
前記ポリマー水分散体の製造方法において、ポリマー水分散体中に乳化分散されている被分散体である体積平均粒径が、1μm以下の微細粒子であることが好ましい。
【0020】
本発明のポリマー水分散体は、前記微細粒子であっても保存安定性が良好である。前記体積平均粒径は、好ましくは0. 02〜0. 9μmである。
【0021】
また本発明は、前記製造方法により得られたポリマー水分散体に関する。さらには前記ポリマー水分散体を含有してなる水系剥離剤に関する。前記本発明のポリマー水分散体は各種用途において使用できるが、特に水系剥離剤として有用であり、粘着体の粘着面への汚染性等の問題が生じない薄層の塗工物を提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明のポリマー水分散体の被分散体である剥離性ポリマーとしては、炭素数が8以上の長鎖アルキル基を有する剥離性ポリマーが好適に用いられる。炭素数が7以下では剥離性の点で不都合がある。炭素数が8以上の長鎖アルキル基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基等があげられ、通常、長鎖アルキル基の炭素数は8〜22程度である。当該炭素数は12〜20であるのが、ポリマーの剥離性の点からより好ましい。
【0023】
剥離性ポリマーとしては、たとえば、前記長鎖アルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルと、アクリル酸、メタクリル酸、アクロニトリル等の極性基モノマーとの共重合体があげられる。これら共重合体には、ポリマーの剥離性を損なわない範囲で他のモノマーをさらに共重合させることもできる。
【0024】
また、前記以外の剥離性ポリマーとしては、活性水素基を有するポリマーと、イソシアナート基、カルボン酸基、酸ハライド、ケテン基、アルデヒド基、エポキシ基等の活性水素と反応しうる官能基を少なくとも1つ以上有し、かつ炭素数8以上のアルキル基を有する長鎖アルキル化合物で変性した変性ポリマーを用いることができる。前記活性水素を有するポリマーとしては、部分ケン化ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール、ブチラ−ル樹脂、ポリエチレンイミン、セルロース樹脂、メタクリル酸メチルエステル−アクリル酸共重合体等があげられ、官能基を有する長鎖アルキル化合物としてはオクタデシルイソシアナート、ドコサニルイソシアナート、オクタデカン酸、ドコサン酸、オクタデカノイルフロライド、ドコサノイルクロライド等があげられる。
【0025】
なお、剥離性ポリマー中の前記長鎖アルキル基の割合は、ポリマーが剥離性を有するものであれば特に制限されないが、長鎖アルキル基の割合が50〜90重量%程度のものが好適である。
【0026】
前記剥離性ポリマーの重量平均分子量は、1万〜50万程度のものが好ましい。特に5万〜40万のものが好適である。1万以下では剥離性皮膜としての形成能に劣る傾向があり、50万を超えるとポリマーの溶解性が悪くなり作業性に問題が生じるおそれがある。
【0027】
本発明の水分散体の形成に用いられる乳化剤としては、炭素数が15以上の長鎖の炭化水素基を有するものを好ましく用いることができる。炭化水素基は、飽和、不飽和のいずれでもよい。通常、長鎖炭化水素基の炭素数は15〜22程度である。当該炭素数は15〜18であるのが、得られるポリマー水分散体の保存安定性の点からより好ましい。
【0028】
乳化剤の具体例としては、たとえば、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸ナトリウム等のアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレート、ポリエチレングリコールモノステアレート等のノニオン系乳化剤;セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド等のカチオン系乳化剤等があげられる。
【0029】
本発明のポリマー水分散体の製造方法(1)は、前記剥離性ポリマーを含む分散質と、乳化剤を含む水系分散媒を予め混合した混合物を、前記超高圧、超高速度で噴射することにより乳化分散する。前記混合物は、剥離性ポリマーを予めベンゼン、トルエン、酢酸エチル等の有機溶剤に溶解した後、前記乳化剤及び水を添加することにより調製するのが好ましい。また、当該混合物は、例えば回転式乳化機等の一般的な高圧乳化により予備乳化分散しておくことができる。混合物中には各種の添加剤を加えることもできる。
【0030】
また本発明のポリマー水分散体の製造方法(2)は、前記超高圧、超高速度で噴射している乳化剤を含む水系分散媒に、前記剥離性ポリマーを含む分散質を混合することにより乳化分散する。乳化剤は、通常、水系分散媒中に含まれるが、前記分散質中にも、乳化剤を含有させてもよい。乳化剤が、イオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の併用系である場合には、それぞれを水系分散媒および/または分散質に含有させることができるが、イオン系乳化剤を分散質に、ノニオン系乳化剤を水系分散媒に含有させるのが好適である。分散質は、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル等の有機溶剤に溶解しておくのが好適であり、また、水系分散媒および/または分散質中には各種の添加剤を加えることもできる。
【0031】
前記混合物または水系分散媒を超高圧、超高速度で噴射する乳化分散機としては、超高圧ジェット流反転式乳化分散機(日本BEE社製)を用いることができる。図1は当該乳化分散機の概念図である。当該乳化分散機は、混合物または水系分散媒を供給する注入口1を有し、注入口1に続き超高圧、超高速度で混合物または水系分散媒を噴射させるノズルアッセンブリー2を有する。噴射液は噴射口2aを通過して吸収(ABC)セル4内に導入される。ノズルアッセンブリー2によって噴射口2aの流量を調整して超高圧、超高速度を制御できる。注入口1と噴射口2aの間にはカップリング3が交換可能に設けられている。カップリング3により層流と乱流を形成でき、噴射液は噴射前にプレミキシングすることができる。吸収セル4は複数連結されており、リテーナー5により保持されている。また吸収セル4の連結部にはPEEKシール6がされている。混合物の噴射方向の吸収セル4の末端にはリバース用プラグ7またはフィード用プラグ7′が交換可能に設けられている。噴射口2と吸収セル4の間には排出口8(または注入口8′)が設けられている。
【0032】
製造方法(1)においては、前記超高圧ジェット流反転式乳化分散機(日本BEE社製)を図2の態様で用いる。剥離性ポリマーを含む分散質と、乳化剤を含む水系分散媒を予め混合した前記混合物は、高圧ポンプ等により注入口1に供給され、超高圧、超高速度で噴射口2を通過して吸収(ABC)セル4内に導入される。当該混合物の噴射方向の吸収セル4の末端はリバース用プラグ7が設けられている。超高速度で噴射された前記混合物の第一流体は、セル4の中心部を通ってリバース用プラグ7に当たって反転し、反転した第二流体はセル4の内部の外側を逆流して、噴射口2と吸収セル4の間に設けられた排出口8より得られる。第二流体はシール6の窪みでミキシングされる。たとえば、ベルヌイの定理より求められる注入初速度630m/secで噴射された超高速度の混合物は、反転して逆流する液と接触してエネルギーを交換し、リバース用プラグ7の部分での第一流体の流速は2m/secとなり、エネルギーが効率良く液の乳化分散に転化されたことがわかる。
【0033】
製造方法(2)においては、前記超高圧ジェット流反転式乳化分散機(日本BEE社製)を図3の態様で用いる。図3の態様では超高圧ジェット流反転式乳化分散機(日本BEE社製)は二液供給方式の乳化分散機として使用される。リバース用プラグ7の代わりにフィード用プラグ7′が用いられている。また、排出口8が分散質注入口8′となっている。前記水系分散媒は、高圧ポンプ等により注入口1に供給され、超高圧、超高速度で噴射口2により噴射され、一方、分散質は高圧ポンプ等により注入口8′から注入される。別々に供給された分散質と水系分散媒は、セル4の中で二相が強い乱れの中で乳化・分散され、フィード用プラグ7′を通過して、排出口9より排出される。必要であれば排出口9は冷却コイル等に接続することもできる。
【0034】
前記超高圧、超高速度で噴射することにより乳化分散した後には、減圧−加熱処理等により有機溶剤を除去して所望の水分散体とすることができる。得られた水分散体の乾燥重量濃度は特に制限されないが、通常、5〜70重量%程度、さらには10〜60重量%であることが好ましい。
【0035】
【実施例】
以下に、本発明について実施例をあげて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0036】
実施例1
エチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含量35モル%、重合度1100)のビニルアルコールユニットのOH基を、オクタデシルイソシアナートで変性して剥離性ポリマーを得た。更にこの剥離性ポリマーをトルエンに溶解して30重量%の溶液とした。前記剥離性ポリマー溶液100gに対して、アニオン系乳化剤としてポリオキシエチレン−ステアリルエーテル硫酸ナトリウム1.125g、ノニオン系乳化剤としてソルビタン−モノオレート0.375gおよび蒸留水198.5gを加えた。この混合物をT.KホモミキサーMARKII(特殊機化工業(株)製)で、8000rpmで1分間の乳化分散を行った水分散液を調製した。この水分散液を、図2に示す態様の超高圧ジェット流反転式乳化分散装置のDeBEE2000(日本ビーイーイ社製)を用いて、注入圧力3.1×108 Paで乳化分散を行った。その後、脱溶剤操作を行い、乾燥重量濃度13%の剥離性ポリマーの水分散体を得た。なお、注入圧力は、AUTOCLAVE ENGINEERS社のInstrument Quality Pressure Gaugesにより測定した値である。
【0037】
実施例2
オクタデシルメタクリレートとアクリル酸の共重合体(モル比:オクタデシルメタクリレート/アクリル酸=85/15、重量平均分子量5万)をトルエンに溶解して25%溶液とした。なお、当該共重合体の作製は通常のラジカル溶液重合方法で行った。得られた剥離性ポリマー溶液100gに対して、カチオン系乳化剤としてステアリルトリメチルアンモニラムクロライド0.5g、ノニオン系乳化剤としてポリエチレングリコールモノステアレート(HLB:19.4)0.25gおよび蒸留水199.25gを加えた。この混合物について実施例1と同様の予備混合を行い水分散液を調製した後、実施例1と同様の装置で、注入圧力6.5×107 Paで乳化分散、脱溶剤操作を行い、乾燥重量濃度11%の剥離性ポリマーの水分散体を得た。
【0038】
実施例3
ケン化度87モル%のポリ酢酸ビニル(重合度1000)のビニルアルコールユニットのOH基をオクタデシルイソシアナートで変性し、重量平均分子量18万の剥離性ポリマーを得た。更にこの剥離性ポリマーをトルエンに溶解して30重量%の溶液とした。この剥離性ポリマー溶液100gに対して、アニオン系乳化剤としてポリオキシエチレンステアリル−エーテル硫酸ナトリウム0. 6g、ノニオン系乳化剤としてポリオキシエチレンセチルエーテル(HLB:14.2)0.3gおよび蒸留水199.1gを加えた。この混合物について実施例1と同様の予備混合を行い水分散液を調製した後、実施例1と同様の装置で、注入圧力2.7×108 Paで乳化分散、脱溶剤操作を行い、乾燥重量濃度13%の剥離性ポリマーの水分散体を得た。
【0039】
実施例4
ケン化度91モル%のポリ酢酸ビニル(重合度500)のビニルアルコールユニットのOHをオクタデシルイソシアナートで変性し、重量平均分子量11万の剥離性ポリマーを得た。更にこの剥離性ポリマーをトルエンに溶解して30重量%の溶液とした。この剥離性ポリマー溶液100gに対して、カチオン系乳化剤としてジステアリルジメチルアンモニウムクロライドを0. 675gを加えて分散質溶液とした。一方、ノニオン系乳化剤としてポリエチレングリコールモノオレート0.225gを蒸留水199.1gに加えて水系分散媒とした。図3に示す態様の超高圧ジェット流反転式乳化分散装置のDeBEE2000(日本ビーイーイ社製)を用いて、注入圧力2.0×108 Paで、左側の注入口1から水系分散媒を、下側の注入口8′からは分散質溶液を投入し二液混合方法によって乳化分散を行った。その後、脱溶剤操作を行い、乾燥重量濃度13%の剥離性ポリマーの水分散体を得た。
【0040】
実施例5
オクタデシルメタクリレート、アクリロニトリルおよびアクリル酸の3元共重合体(モル比:オクタデシルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=80/15/5)をトルエンに溶解して25%溶液とした。なお、当該共重合体の作製は通常のラジカル溶液重合方法で行った。得られた剥離性ポリマー溶液100gに対して、カチオン系乳化剤として、カチルトリメチルアンモニウムクロライド0.6g、ノニオン系乳化剤としてポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB:12.0)0.3gおよび蒸留水199.1gを加えた。この混合物について実施例1と同様の予備混合を行い水分散液を調製した後、実施例1と同様の装置で、注入圧力1.4×108 Paで乳化分散、脱溶剤操作を行い、乾燥重量濃度11.5%の剥離性ポリマーの水分散体を得た。
【0041】
比較例1
実施例2で用いた組成の混合物について、乳化機として、T.KホモラキサーMARKII(特殊機化工業(株)製)で、回転数8000rpmで5分間の乳化分散を行った以外は実施例2と同様にして剥離性ポリマーの水分散体を得た。
【0042】
参考例1
実施例5において、乳化剤として、カチオン系乳化剤としてステアリルトリメチルアンモニウムクロライド14g、ノニオン系乳化剤としてポリエチレングリコールモノステアレート(HLB:19.4)6gを用い、蒸留水180gを加えたこと、乳化機として、通常の回転式ホモミキサーで回転数8000rpmで5分間の乳化分散を行ったこと以外は実施例5と同様にして剥離性ポリマーの水分散体を得た。
【0043】
実施例および比較例で得られた剥離性ポリマーの水分散体について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
【0044】
[体積平均粒径]
粘度分布測定装置((株)堀場製作所)にて、レーザー回折(散乱式)を行い得られた水分散体中の被分散体の体積平均粒径(μm)を求めた。
【0045】
[保存安定性]
水分散体(200g)をフタ付きガラス容器に室温で3週間保存した後の状態を目視により観察した。沈降および分離が認められないものを良好、沈降または分離が認められたものを不良とした。
【0046】
[皮膜の汚染性]
水分散体をポリエステルフィルム上に厚み0.5μmとなるように塗工し、90℃×3分間の乾燥条件で剥離性皮膜を形成した剥離シートを作製した。この剥離シートとポリエステル粘着テープNo31B(日東電工(株)製)を貼り合せて、室温で一日放置した後、SUS304ステンレス板に対する接着力を300mm/分の引張り速度でテンシロン引張試験材で測定した。得られた接着力の値が、剥離シートを貼り合せていないポリエステル粘着テープNo31Bの接着力値との比較において、80%以上のものを良好、80%未満のものを不良とした。
【0047】
【表1】
表1から、実施例の水分散体は、乳化剤を少量使用した場合にも、保存安定性の良好な微細粒子が得られており、皮膜の汚染性においても良好な結果が得られている。一方、比較例1では乳化機の乳化エネルギーが不足で粒径の大きな乳化物しか得られず、保存安定性も悪い。参考例1では乳化剤量を多く用いることにより、粒径は小さくなっているが皮膜の汚染性が悪く、粘着剤へ乳化剤が移行し粘着力を悪くしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に用いる乳化分散機の一例である。
【図2】図1の乳化分散機の一態様である。
【図3】図1の乳化分散機の一態様である。
Claims (6)
- 剥離性ポリマーを含む分散質が、乳化剤を含む水系分散媒中に乳化分散しているポリマー水分散体の製造方法であって、
前記乳化剤が、イオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の併用系であり、
前記剥離性ポリマー100重量部(乾燥重量)に対して、前記乳化剤(乾燥重量)が0.2重量部以上5重量部以下の割合で配合されており、
前記分散質と水系分散媒の混合物を、注入圧力6.5×107Pa以上で噴射することにより乳化分散することを特徴とするポリマー水分散体の製造方法。 - 剥離性ポリマーを含む分散質が、乳化剤を含む水系分散媒中に乳化分散しているポリマー水分散体の製造方法であって、
前記乳化剤が、イオン系乳化剤とノニオン系乳化剤の併用系であり、
前記剥離性ポリマー100重量部(乾燥重量)に対して、前記乳化剤(乾燥重量)が0.2重量部以上5重量部以下の割合で配合されており、
注入圧力6.5×107Pa以上で噴射している前記水系分散媒に、前記分散質を混合することにより乳化分散することを特徴とするポリマー水分散体の製造方法。 - 剥離性ポリマーが炭素数が8以上の長鎖アルキル基を有する剥離性ポリマーであり、
乳化剤が炭素数が15以上の長鎖炭化水素基を少なくとも1個以上有する乳化剤であることを特徴とする請求項1または2記載のポリマー水分散体の製造方法。 - ポリマー水分散体中に乳化分散されている被分散体の体積平均粒径が、1μm以下の微細粒子であることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のポリマー水分散体の製造方法。
- 請求項1〜4いずれかに記載の製造方法により得られたポリマー水分散体。
- 請求項5記載のポリマー水分散体を含有してなる水系剥離剤。
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JP2001175837A JP4822483B2 (ja) | 2001-06-11 | 2001-06-11 | ポリマー水分散体の製造方法およびポリマー水分散体 |
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