JPH0929756A - 水分散系離型剤組成物及び離型シート - Google Patents

水分散系離型剤組成物及び離型シート

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JPH0929756A
JPH0929756A JP7179894A JP17989495A JPH0929756A JP H0929756 A JPH0929756 A JP H0929756A JP 7179894 A JP7179894 A JP 7179894A JP 17989495 A JP17989495 A JP 17989495A JP H0929756 A JPH0929756 A JP H0929756A
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JP
Japan
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release agent
group
water
acid
component
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Application number
JP7179894A
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English (en)
Inventor
Tsunehisa Ueda
倫久 上田
Keisuke Miyake
啓介 三宅
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間にわたって凝集や沈降が起こらず、貯
蔵安定性に優れると共に、塗布後短時間の加熱で優れた
離型性や非移行性を発現することが出来る水分散系離型
剤組成物、及び、該水分散系離型剤組成物を用いて製せ
られた離型シートを提供することを課題とする。 【解決手段】 重合度が300〜5000であり、鹸化
度が50モル%以上である酢酸ビニル(共)重合体の水
酸基1当量に対し、イソシアネート基、カルボン酸基、
酸ハライド基、ケテン基、アルデヒド基及びエポキシ基
からなる群より選ばれる1種もしくは2種以上の水酸基
と反応し得る官能基を有し、アルキル基の炭素数が6〜
30である長鎖アルキル化合物を0.5当量以上の割合
で反応させて得られる離型剤成分が、炭素数が10〜3
0である脂肪酸もしくはその金属塩、及び/又は、酸価
が0.2〜800である酸変性ポリオレフィン(共)重
合体と共に、平均粒子径が1μm以下となるように水中
に分散されて成ることを特徴とする水分散系離型剤組成
物、及び、該水分散系離型剤組成物を用いて製せられて
いることを特徴とする離型シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水分散系離型剤組
成物、及び、該水分散系離型剤組成物を用いて製せられ
た離型シートに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、粘着テープや粘着シート等の粘
着加工品の粘着剤層には、使用時まで粘着剤層を保護す
るために、保護シートが貼付けられているが、この保護
シートは粘着加工品を使用する時に剥離される。従っ
て、保護シートは粘着剤層から容易に剥離出来ることが
必要であり、保護シートと粘着剤層との間の粘着力が強
すぎるのは好ましくない。
【0003】上記観点より、保護シートと粘着剤層との
剥離を容易にする目的で、通常、保護シートの粘着剤層
との接触面には、離型剤が塗布されている。
【0004】上記離型剤には、保護シートと粘着剤層と
の剥離を容易にすること以外に、剥離時に離型剤層が凝
集破壊を起こして粘着剤層面に移行し、粘着剤層の粘着
性を低下させない性能、いわゆる非移行性が要求され
る。又、高温時や経時後の離型性や非移行性が実質的に
変化しないための耐熱性や経時安定性等も要求される。
【0005】上記離型剤としては、一般的に、ポリオル
ガノシロキサンからなるシリコーン系離型剤、ポリビニ
ルアルコールの長鎖アルキル変性物、ポリエチレンイミ
ンの長鎖アルキル変性物等が用いられており、これら
は、通常、有機溶剤を溶媒とする溶液の形態で使用され
る。
【0006】一方、近年、安全上または環境上の問題か
ら、無溶剤化もしくは脱溶剤化が推進されており、水を
溶媒とする水系離型剤、離型剤組成物を加熱溶融して用
いるホットメルト型離型剤、ラジカル重合、カチオン重
合、重縮合反応等により離型性モノマーを硬化させるモ
ノマー型離型剤等の各種離型剤が検討されている。
【0007】上記各種離型剤のなかでも、ホットメルト
型離型剤やモノマー型離型剤は基材上に薄く均一に塗布
することが困難であるため、水系離型剤に対する要求が
強まっている。
【0008】上記水系離型剤に対する要求に応えるため
種々の試みが成されており、例えば、特開平3−867
78号公報では、ポリビニルアルコール、ポリアリルア
ルコールまたはその変成物とアルキルイソシアネートを
反応させることによって得られる長鎖アルキルグラフト
ポリマーを後乳化することによって得られる水分散体を
用いることを特徴とする水系離型剤が開示されている。
又、特開平6−73351号公報では、ポリエチレンイ
ミン−長鎖アルキルイソシアネート変性物を水に溶解も
しくは分散させて得られる水系離型剤が開示されてい
る。
【0009】しかし、上記開示による水系離型剤は、い
ずれも、離型性や非移行性を発現するためには、溶剤系
の離型剤に比べて、塗布後長時間加熱しなければならな
いという問題点がある。又、そのようにして発現させた
離型性や非移行性も、溶剤系の離型剤に比べて不十分で
あり、これらの性能を向上させるために組成を変える
と、水系離型剤の貯蔵安定性が低下して離型剤の凝集や
沈降が起こったり、離型剤の水への分散そのものが困難
になる等の問題点もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決するため、長期間にわたって凝集や沈降が起こら
ず、貯蔵安定性に優れると共に、塗布後短時間の加熱で
優れた離型性や非移行性を発現することが出来る水分散
系離型剤組成物、及び、該水分散系離型剤組成物を用い
て製せられた離型シートを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明(以
下、「第1発明」と記す)による水分散系離型剤組成物
は、重合度が300〜5000であり、鹸化度が50モ
ル%以上である酢酸ビニル(共)重合体(以下、
「(a)成分」と記す)の水酸基1当量に対し、イソシ
アネート基、カルボン酸基、酸ハライド基、ケテン基、
アルデヒド基及びエポキシ基からなる群より選ばれる1
種もしくは2種以上の水酸基と反応し得る官能基を有
し、アルキル基の炭素数が6〜30である長鎖アルキル
化合物(以下、「(b)成分」と記す)を0.5当量以
上の割合で反応させて得られる離型剤成分が、炭素数が
10〜30である脂肪酸もしくはその金属塩(以下、
「(c)成分」と記す)、及び/又は、酸価が0.2〜
800である酸変性ポリオレフィン(共)重合体(以
下、「(d)成分」と記す)と共に、平均粒子径が1μ
m以下となるように水中に分散されて成ることを特徴と
し、そのことにより上記課題が達成される。
【0012】又、請求項2記載の発明(以下、「第2発
明」と記す)による離型シートは、基材の片面上もしく
は両面上に、上記第1発明による水分散系離型剤組成物
が塗布乾燥されて成る離型剤層が設けられていることを
特徴とし、そのことにより上記課題が達成される。
【0013】第1発明による水分散系離型剤組成物に
(a)成分として用いられる酢酸ビニル(共)重合体
は、重合度が300〜5000、好ましくは800〜2
500、であり、鹸化度が50モル%以上、好ましくは
60モル%以上、であることが必要である。尚、ここで
言う酢酸ビニル(共)重合体とは、酢酸ビニルの単独重
合体の鹸化物、又は、酢酸ビニルと該酢酸ビニルと共重
合可能な重合性モノマーとの共重合体の鹸化物を意味す
る。
【0014】上記酢酸ビニル共重合体としては、特に限
定されるものではないが、エチレンやアクリル酸等のビ
ニル系化合物と酢酸ビニルとの共重合体、具体的には、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸−酢酸ビニ
ル共重合体等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以
上が好適に用いられる。
【0015】上記酢酸ビニル(共)重合体の重合度が3
00未満であると、得られる離型剤成分の離型性が不十
分となり、逆に重合度が5000を超えると、得られる
離型剤成分が水に分散し難くなる。
【0016】又、上記酢酸ビニル(共)重合体の鹸化度
が50モル%未満であると、水酸基の含有量が少なくな
って、(b)成分との反応性が低下し、得られる離型剤
成分の離型性が乏しくなる。尚、ここで言う鹸化度と
は、酢酸ビニル(共)重合体を構成するモノマーの総ユ
ニット数に対する鹸化された酢酸ビニルモノマーのユニ
ット数の比率(モル%)を意味する。
【0017】第1発明による水分散系離型剤組成物に
(b)成分として用いられる長鎖アルキル化合物は、イ
ソシアネート基、カルボン酸基、酸ハライド基、ケテン
基、アルデヒド基及びエポキシ基からなる群より選ばれ
る1種もしくは2種以上の水酸基と反応し得る官能基を
有すると共に、アルキル基の炭素数が6〜30、好まし
くは8〜28、であることが必要である。
【0018】上記長鎖アルキル化合物のアルキル基の炭
素数が6未満であると、得られる離型剤成分の離型性が
不十分となり、逆にアルキル基の炭素数が30を超える
と、(a)成分である酢酸ビニル(共)重合体との反応
性が低下する。
【0019】水酸基と反応し得る官能基としてイソシア
ネート基を有し、アルキル基の炭素数が6〜30である
長鎖アルキル化合物としては、特に限定されるものでは
ないが、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネ
ート、ドデシルイソシアネート、オクタデシルイソシア
ネート、ドコサニルイソシアネート等が挙げられ、これ
らの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0020】水酸基と反応し得る官能基としてカルボン
酸基を有し、アルキル基の炭素数が6〜30である長鎖
アルキル化合物としては、特に限定されるものではない
が、オクタン酸、ドデカン酸、オクタデカン酸、ドコサ
ン酸等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好
適に用いられる。
【0021】水酸基と反応し得る官能基として酸ハライ
ド基を有し、アルキル基の炭素数が6〜30である長鎖
アルキル化合物としては、特に限定されるものではない
が、オクタノイルクロライド、ドデカノイルクロライ
ド、オクタデカノイルクロライド、オクタデシロイルク
ロライド、ドコサノイルクロライド等が挙げられ、これ
らの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0022】又、水酸基と反応し得る官能基としてケテ
ン基を有し、アルキル基の炭素数が6〜30である長鎖
アルキル化合物としては、特に限定されるものではない
が、オクチルケテンダイマー、ドデシルケテンダイマ
ー、オクタデシルケテンダイマー、ドコサニルケテンダ
イマー等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が
好適に用いられる。
【0023】さらに、水酸基と反応し得る官能基として
アルデヒド基を有し、アルキル基の炭素数が6〜30で
ある長鎖アルキル化合物としては、特に限定されるもの
ではないが、ヘキシルアルデヒド、オクチルアルデヒ
ド、ドデシルアルデヒド、オクタデシルアルデヒド、ド
コサニルアルデヒド等が挙げられ、これらの1種もしく
は2種以上が好適に用いられる。
【0024】さらに又、水酸基と反応し得る官能基とし
てエポキシ基を有し、アルキル基の炭素数が6〜30で
ある長鎖アルキル化合物としては、特に限定されるもの
ではないが、オクチルグリシジルエーテル、ドデシルグ
リシジルエーテル、オクタデシルグリシジルエーテル、
ドコサニルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらの
1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0025】第1発明による水分散系離型剤組成物にお
ける離型剤成分は、前記(a)成分である酢酸ビニル
(共)重合体の水酸基1当量に対し、上記(b)成分で
ある長鎖アルキル化合物が0.5当量以上、好ましくは
0.6当量以上、の割合で反応させられていることが必
要である。
【0026】(a)成分である酢酸ビニル(共)重合体
の水酸基1当量に対する(b)成分である長鎖アルキル
化合物の割合が0.5当量未満であると、得られる離型
剤成分の離型性が不十分となる。
【0027】上記離型剤成分の合成方法は、特別なもの
ではなく、溶媒中で、(a)成分である酢酸ビニル
(共)重合体の水酸基1当量に対し、(b)成分である
長鎖アルキル化合物が0.5当量以上となるような割合
で反応させることにより、所望の離型剤成分を得る事が
出来る。
【0028】上記離型剤成分の合成に用いる溶媒の種類
は、特に限定されるものではないが、(b)成分である
長鎖アルキル化合物が有する官能基の種類によって選択
されることが好ましい。
【0029】即ち、(b)成分である長鎖アルキル化合
物が有する官能基がイソシアネート基もしくはケテン基
である場合、トルエンやジメチルスルホキシド等のよう
なイソシアネート基もしくはケテン基と反応しない不活
性溶媒を用い、懸濁法もしくは溶解法で反応を行うこと
が好ましい。
【0030】(b)成分である長鎖アルキル化合物が有
する官能基がカルボン酸基である場合、トルエンのよう
な通常のエステル化反応に用いられる溶媒を用いて反応
を行うことが好ましい。
【0031】又、(b)成分である長鎖アルキル化合物
が有する官能基が酸ハライド基である場合、酸ハライド
基と反応しない不活性な溶媒を用いて反応を行うことが
好ましいが、この反応時には、ピリジンのような脱ハロ
ゲン化水素剤を添加することがより好ましい。
【0032】さらに、(b)成分である長鎖アルキル化
合物が有する官能基がアルデヒド基である場合、アルデ
ヒド基と反応しない不活性な溶媒を用いて反応を行うこ
とが好ましいが、この反応時には、塩酸のような酸触媒
を添加することがより好ましい。
【0033】さらに又、(b)成分である長鎖アルキル
化合物が有する官能基がエポキシ基である場合、エポキ
シ基と反応しない不活性な溶媒を用いて反応を行うこと
が好ましいが、この反応時には、水酸化ナトリウムのよ
うなアルカリ触媒を添加することがより好ましい。
【0034】上述の(a)成分と(b)成分との反応
は、赤外吸収スペクトル等により、(b)成分である長
鎖アルキル化合物が有する水酸基と反応し得る官能基の
消失が事実上確認された時点をもって終了とされる。
【0035】第1発明による水分散系離型剤組成物にお
いては、(c)成分として炭素数が10〜30である脂
肪酸もしくはその金属塩が用いられる。上記脂肪酸もし
くはその金属塩は、(a)成分と(b)成分とを反応さ
せて得られる上述の離型剤成分を水中に均一かつ安定的
に乳化分散させる機能を有する。
【0036】第1発明による水分散系離型剤組成物に
(c)成分として用いられる脂肪酸もしくはその金属塩
は、炭素数が10〜30、好ましくは12〜26、であ
ることが必要である。
【0037】上記脂肪酸もしくはその金属塩の炭素数が
10未満であると、極性が高くなり過ぎて、離型剤成分
と分離したり、融点が低くなって、得られる水分散系離
型剤組成物の離型性や非移行性を低下させる。逆に炭素
数が30を超えると、極性が低くなり過ぎて、水に分散
し難くなったり、溶融粘度が高くなり過ぎて、得られる
水分散系離型剤組成物を基材に塗布した後、離型性や非
移行性を発現させるために長時間の加熱を要す等、作業
工程上の支障を来し易くなる。
【0038】上記炭素数が10〜30である脂肪酸とし
ては、特に限定されるものではないが、例えば、ドデカ
ン酸(ラウリン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン
酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、オクタデセン
酸(オレイン酸)、イコサン酸(アラキジン酸)、ドコ
サン酸(ベヘン酸)等の飽和もしくは不飽和脂肪酸等が
挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用い
られる。
【0039】又、上記炭素数が10〜30である脂肪酸
の金属塩としては、上記飽和もしくは不飽和脂肪酸と、
水酸化ナトリウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属水
酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物等を共存させ
て得られる金属塩等が挙げられ、これらの1種もしくは
2種以上が好適に用いられる。
【0040】水分散系離型剤組成物中における(c)成
分の含有量は、特に限定されるものではないが、(a)
成分と(b)成分とを反応させて得られる前述の離型剤
成分100重量部に対し、(c)成分が1〜50重量部
であることが好ましく、なかでも3〜40重量部である
ことがより好ましい。
【0041】離型剤成分100重量部に対する(c)成
分の含有量が1重量部未満であると、水分散系離型剤組
成物を製造する時、離型剤成分を水中に均一かつ安定的
に乳化分散させることが困難となったり、得られる水分
散系離型剤組成物を基材に塗布した後、離型性や非移行
性を発現させるために長時間の加熱を要す等、作業工程
上の支障を来し易くなる。逆に離型剤成分100重量部
に対する(c)成分の含有量が50重量部を超えると、
得られる水分散系離型剤組成物の非移行性が低下する。
【0042】第1発明による水分散系離型剤組成物にお
いては、(d)成分として酸価が0.2〜800である
酸変性ポリオレフィン(共)重合体が用いられる。上記
酸変性ポリオレフィン(共)重合体は、上述の(c)成
分と同様に、(a)成分と(b)成分とを反応させて得
られる前述の離型剤成分を水中に均一かつ安定的に乳化
分散させる機能を有する。尚、ここで言う酸変性ポリオ
レフィン(共)重合体とは、酸変性されたポリオレフィ
ンの単独重合体、又は、酸変性されたポリオレフィンの
共重合体を意味する。
【0043】第1発明による水分散系離型剤組成物に
(d)成分として用いられる酸変性ポリオレフィン
(共)重合体は、酸価が0.2〜800、好ましくは1
0〜200、であることが必要である。
【0044】上記酸変性ポリオレフィン(共)重合体の
酸価が0.2未満であると、それ自体の水中への分散が
困難となり、逆に酸価が800を超えると、離型剤成分
と分離し易くなり、均一かつ安定的な水分散系離型剤組
成物を得ることが困難となる。
【0045】上記(d)成分としては、特に限定される
ものではないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン等
のオレフィンとアクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、イタコン酸等の極性基を有するビニルモノマーとの
共重合体や、化学的又は物理的に酸化処理されたポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィ
ン(共)重合体等が挙げられ、これらの1種もしくは2
種以上が好適に用いられる。
【0046】上記オレフィンと極性基を有するビニルモ
ノマーとの共重合体の具体例としては、特に限定される
ものではないが、例えば、エチレン−アクリル酸共重合
体やマレイン酸変性もしくはアクリル酸変性のポリエチ
レンワックス等が挙げられ、これらの1種もしくは2種
以上が好適に用いられる。
【0047】又、上記オレフィンと極性基を有するビニ
ルモノマーとの共重合体の場合、共重合体中に占める極
性基を有するビニルモノマーの含有量は、特に限定され
るものではないが、0.01〜40モル%であることが
好ましく、なかでも0.5〜10モル%であることがよ
り好ましい。
【0048】上記(d)成分の重合度は、特に限定され
るものではないが、10〜2000であることが好まし
く、なかでも20〜1000であることがより好まし
い。
【0049】(d)成分の重合度が10未満であると、
常温においても軟化状態であるので、得られる水分散系
離型剤組成物の離型性や非移行性が悪化する。逆に重合
度が2000を超えると、水に分散し難くなったり、得
られる水分散系離型剤組成物を基材に塗布した後、離型
性や非移行性を発現させるために長時間の加熱を要す
等、作業工程上の支障を来し易くなる。
【0050】又、上記(d)成分の融点及び溶融粘度
は、特に限定されるものではないが、融点が40℃以上
で、140℃における溶融粘度が10000(Pa・
s)以下であることが好ましく、なかでも融点が60℃
以上で、140℃における溶融粘度が5000(Pa・
s)以下であることがより好ましい。
【0051】(d)成分の融点が40℃未満であると、
得られる水分散系離型剤組成物の離型性や非移行性が不
十分となり、又、140℃における溶融粘度が1000
0(Pa・s)を超えると、水に分散し難くなる。
【0052】さらに、水分散系離型剤組成物中における
(d)成分の含有量は、特に限定されるものではない
が、(a)成分と(b)成分とを反応させて得られる前
述の離型剤成分100重量部に対し、1〜50重量部で
あることが好ましく、なかでも3〜40重量部であるこ
とがより好ましい。
【0053】離型剤成分100重量部に対する(d)成
分の含有量が1重量部未満であると、水分散系離型剤組
成物を製造する時、離型剤成分を水中に均一かつ安定的
に乳化分散させることが困難となったり、得られる水分
散系離型剤組成物を基材に塗布した後、離型性や非移行
性を発現させるために長時間の加熱を要す等、作業工程
上の支障を来し易くなる。逆に離型剤成分100重量部
に対する(d)成分の含有量が50重量部を超えると、
得られる水分散系離型剤組成物の非移行性が低下する。
【0054】第1発明による水分散系離型剤組成物にお
いては、前記(c)成分と上記(d)成分は、それぞれ
単独で用いられても良いし、又、両成分が併用されても
良い。
【0055】(c)成分と(d)成分を併用する場合の
含有量は、特に限定されるものではないが、(a)成分
と(b)成分とを反応させて得られる前述の離型剤成分
100重量部に対し、(c)成分と(d)成分との合計
量が1〜50重量部であることが好ましく、なかでも3
〜40重量部であることがより好ましい。その理由は、
(c)成分又は(d)成分をそれぞれ単独で用いる場合
と同様である。
【0056】第1発明による水分散系離型剤組成物に
は、(a)成分と(b)成分とを反応させて得られる前
述の離型剤成分、前記(c)成分及び/又は上記(d)
成分以外に、本発明の目的を阻害しない範囲で必要に応
じて、離型剤成分の水中への分散を容易にしたり、得ら
れる水分散系離型剤組成物を基材に塗布する時の濡れ性
や造膜性を向上させたり、発泡を抑制するための高沸点
液状物質や界面活性剤、水分散系離型剤組成物の乾燥皮
膜の強度を上げるための架橋剤等の各種添加剤の1種も
しくは2種以上が含有されていても良い。
【0057】上記高沸点液状物質は、特に限定されるも
のではないが、常圧下での沸点が100℃以上であり、
常温での粘度が1000(Pa・s)以下であるものが
好ましい。又、粘着テープや粘着シート等の粘着加工品
の粘着剤層に移行しても、粘着剤の粘着性能を著しく阻
害しないものであることが好ましい。
【0058】上記高沸点液状物質の常圧下での沸点が1
00℃未満であると、得られる水分散系離型剤組成物を
塗布乾燥する時に揮発し易いので、排気、回収装置等が
必要となり、製造コストアップにつながる。又、上記高
沸点液状物質の常温での粘度が1000(Pa・s)を
超えると、流動性が低くなるので、水分散系離型剤組成
物の濡れ性や造膜性を向上させる効果が乏しくなる。
【0059】上記高沸点液状物質としては、特に限定さ
れるものではないが、例えば、ナフテン系オイル、ラノ
リン、オレフィン類のオリゴマー、植物油、動物油、鉱
物油等のプロセスオイル、液状ロジン、テレビン油等の
液状粘着付与樹脂、ポリブテン、ジイソデシルフタレー
ト等の可塑剤等が挙げられ、これらの1種もしくは2種
以上が好適に用いられる。
【0060】又、上記界面活性剤としては、ノニオン系
界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活
性剤、両性系界面活性剤等のいずれも使用可能であり、
これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0061】さらに、上記架橋剤としては、水分散系離
型剤組成物を基材に塗布した後の造膜中に、熱、光等で
離型剤成分と反応し架橋させ得るものであれば良く、特
に限定されるものではないが、例えば、多価イソシアネ
ート化合物、ブロックド多価イソシアネート化合物、多
価エポキシ化合物、多価アクリロイル化合物、多価メチ
ロール化合物、多価イオン金属、多価アジリジン化合物
等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に
用いられる。
【0062】第1発明による水分散系離型剤組成物にお
いては、(a)成分と(b)成分とを反応させて得られ
る前述の離型剤成分が、(c)成分及び/又は(d)成
分と共に、又、高沸点液状物質、界面活性剤、架橋剤等
の各種添加剤の1種もしくは2種以上を必要に応じて含
有させる場合にはそれらも含めて、平均粒子径が1μm
以下となるように水中に分散されていることが必要であ
る。尚、ここで言う平均粒子径とは、レーザー回折光散
乱法により、レーザー回折散乱式粒度分布計(例えば、
商品名「9220FRA」、MICROTRAC社製)
を用いて測定した粒子径分布(粒度分布)曲線における
下限もしくは上限からの頻度の累積値が50%になった
ところの粒子径を意味する。
【0063】水分散系離型剤組成物の上記平均粒子径が
1μmを超えると、離型性や非移行性が低下したり、十
分な離型性を発現させるための必要塗布量が増加した
り、水分散系離型剤組成物の貯蔵安定性が損なわれる等
の問題点が発生する。
【0064】第1発明による水分散系離型剤組成物の製
造方法としては、特に限定されるものではないが、例え
ば、(a)成分と(b)成分とを反応させて得られる離
型剤成分、(c)成分及び/又は(d)成分、及び、必
要に応じて含有させる各種添加剤の1種もしくは2種以
上から成る離型剤組成物を予め加熱溶融し、その加熱溶
融物と水とを、例えば加圧ニーダー、コロイドミル、高
速攪拌シャフト等の混合機を用いて、高剪断をかけて平
均粒子径が1μm以下となるまで均一に乳化分散させた
後、分散粒子が融着凝集しないように冷却して所望の水
分散系離型剤組成物を得る方法(高圧乳化法)や、上記
離型剤組成物を予め有機溶剤に溶解し、その溶液と水と
を、例えば高速乳化機を用いて、高剪断をかけて平均粒
子径が1μm以下となるまで均一に乳化分散させた後、
有機溶剤を除去して所望の水分散系離型剤組成物を得る
方法(溶剤溶解法)等が挙げられ、いずれの方法も好適
に採用されるが、なかでも有機溶剤の除去が不要で工程
の簡略な高圧乳化法がより好適に採用される。
【0065】上記高圧乳化法において、離型剤組成物の
加熱溶融温度は、特に限定されるものではないが、12
0℃以上であることが好ましく、又、水の温度は、特に
限定されるものではないが、加圧により100℃以上と
されていることが好ましい。
【0066】又、上記高圧乳化法においては、離型剤組
成物を予め加熱溶融することなく、水中に一挙に投入
し、加圧下120℃程度の温度で、高剪断をかけて平均
粒子径が1μm以下となるまで均一に乳化分散させた
後、冷却して所望の水分散系離型剤組成物を得る方法を
採っても良い。
【0067】上記高圧乳化法もしくは溶剤溶解法のいず
れの方法においても、離型剤組成物と水との混合割合
は、特に限定されるものではないが、離型剤組成物5〜
50重量%、水95〜50重量%であることが好まし
い。離型剤組成物の含有量が5重量%未満であると、乳
化分散時の剪断効果が減殺されて製造効率が低下し、逆
に離型剤組成物の含有量が50重量%を超えると、粘度
が高くなり過ぎて均一な乳化分散が困難となる。
【0068】又、上記乳化分散工程を経て得られた水分
散系離型剤組成物は、貯蔵安定性が損なわれない範囲で
必要に応じて、水で希釈されても良い。
【0069】第2発明による離型シートは、基材の片面
上もしくは両面上に、上述した第1発明による水分散系
離型剤組成物が塗布乾燥されて成る離型剤層が設けられ
ていることが必要である。
【0070】第2発明による離型シートに用いられる基
材としては、特に限定されるものではないが、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリエステル、セロファン等の
プラスチックフィルム類、上質紙、クラフト紙、クレー
プ紙、グラシン紙等の紙類、含浸紙、プラスチックコー
ト紙等の目止めを施した紙類、不織布、布等の布類等が
挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用い
られる。
【0071】尚、上記基材は、水分散系離型剤組成物と
基材との密着性を高めるために、その片面上もしくは両
面上にコロナ処理、プラズマ処理、プライマー処理等の
前処理が施されていることが好ましい。
【0072】上記基材の片面上もしくは両面上に第1発
明による水分散系離型剤組成物を塗布乾燥して離型剤層
を設ける方法は、特別なものではなく、ロールコータ
ー、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、リップ
コーター等の一般的な塗布装置を用いて、常法により、
基材の片面上もしくは両面上に水分散系離型剤組成物を
塗布した後、例えば加熱可能な乾燥炉を通して、加熱下
で水分散系離型剤組成物の溶媒である水を揮散させ、乾
燥する通常の塗布・乾燥工程を経ることにより行えば良
い。
【0073】基材の片面上もしくは両面上に対する水分
散系離型剤組成物の塗布厚みは、特に限定されるもので
はないが、基材の片面につき乾燥後の膜厚で1μm以下
であることが好ましい。
【0074】水分散系離型剤組成物の上記塗布厚みが乾
燥後の膜厚で1μmを超えると、加熱乾燥に長時間を要
したり、コストアップになると共に、得られる離型剤層
の非移行性が低下する。
【0075】又、基材と離型剤組成物との密着性をより
高めて、得られる離型シートの離型性や非移行性を更に
向上させるために、上記乾燥工程の後に、離型剤組成物
に対する加圧加熱工程を設けることが好ましい。
【0076】基材の片面上もしくは両面上に塗布乾燥さ
れた離型剤組成物を加圧加熱することにより、微粒子状
の離型剤組成物は溶融、平滑化されると共に、基材との
密着性も高まり、離型性や非移行性に優れる離型剤層を
設けられた離型シートを得ることが出来る。
【0077】上記離型剤組成物を加圧加熱する方法とし
ては、特に限定されるものではないが、例えば、離型剤
組成物が塗布乾燥された基材を高温プレスの間に挟んで
加圧しながら加熱する方法(プレス法)や、離型剤組成
物が塗布乾燥された基材を加熱ロールの間を通して加圧
加熱する方法(ロール法)等が挙げられ、いずれも好適
に採用されるが、生産性に優れるロール法がより好適に
採用される。
【0078】上記加圧加熱時の加熱温度は、特に限定さ
れるものではないが、離型剤組成物の軟化点より高い温
度であることが好ましく、通常60℃以上、より好まし
くは80℃以上である。
【0079】又、上記加圧加熱時の加圧圧力は、特に限
定されるものではなく基材の耐圧性に依存するが、通常
0.01〜500Kg/cm2 であることが好ましい。
【0080】さらに、上記ロール法を採用する場合の加
熱ロールの材質としては、特に限定されるものではない
が、離型剤組成物との密着性が基材と離型剤組成物との
密着性より低いと共に、離型剤組成物を均一に加圧する
ためにゴム状弾性を有している材質であることが好まし
く、例えば、耐熱性シリコンライニングゴムローラーや
耐熱性テフロンライニングゴムローラー等が挙げられ、
いずれも好適に用いられる。
【0081】さらに又、生産性を向上させるためには、
水分散系離型剤組成物の塗布・乾燥工程に連続して、加
圧加熱工程を設けるのが好ましいので、上記加熱ロール
は、塗布・乾燥設備に連続して設置されることが好まし
い。この場合、加熱ロールの周速度は、ライン速度と同
調させるのが好ましいので、加熱ロールのロール径は、
加圧加熱工程に要する時間とライン速度とによって決定
される。
【0082】(作用)第1発明による水分散系離型剤組
成物は、特定の酢酸ビニル(共)重合体と特定の長鎖ア
ルキル化合物とを特定の割合で反応させて得られる離型
剤成分が、特定の脂肪酸もしくはその金属塩、及び/又
は、特定の酸変性ポリオレフィン(共)重合体と共に、
平均粒子径が1μm以下となるように水中に分散されて
成るので、長期間にわたって凝集や沈降が起こらず、貯
蔵安定性に優れると共に、塗布後短時間の加熱で優れた
離型性や非移行性を発現する。
【0083】又、第2発明による離型シートは、基材の
片面上もしくは両面上に、上記第1発明による水分散系
離型剤組成物が塗布乾燥されて成る離型剤層が設けられ
ているので、優れた離型性や非移行性を発現する。
【0084】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め、以下に実施例を挙げる。
【0085】離型剤成分の合成 以下に示す方法で7種類の離型剤成分を合成した。
【0086】離型剤成分(R−1) 攪拌機、冷却器、滴下漏斗及び温度計を備えた反応容器
中に、脱水したキシレン50gを投入した後、酢酸ビニ
ル(共)重合体として、鹸化された酢酸ビニル重合体
〔ポリビニルアルコール(重合度1100、鹸化度98
モル%)〕10gを加えて均一に分散させた。次いで、
還流温度で、長鎖アルキル化合物として、オクタデシル
イソシアネート67g(1.0当量)、及び、重合触媒
として、ジラウリン酸ジブチル錫0.01gを加え、上
記ポリビニルアルコールと反応させた。反応が進行し、
ポリビニルアルコールの粉末が完全に消失した後、さら
に2時間反応を継続した。反応終了後、40℃まで冷却
し、反応溶液を1000gのメタノール中に投入して白
色沈殿物を得た。得られた白色沈殿物をメタノール、次
いで、n−ヘキサンで洗浄した後、乾燥して、離型剤成
分(R−1)を得た。
【0087】離型剤成分(R−2) 酢酸ビニル(共)重合体として、ポリビニルアルコール
の代わりに、鹸化されたエチレン−酢酸ビニル共重合体
〔エチレン−ビニルアルコール共重合体(重合度150
0、鹸化度69モル%、エチレン含有量30モル%)〕
10gを使用し、オクタデシルイソシアネートの使用量
を57g(1.0当量)としたこと以外はと同様にし
て、離型剤成分(R−2)を得た。
【0088】離型剤成分(R−3) 攪拌機、冷却器、滴下漏斗及び温度計を備えた反応容器
中に、脱水したピリジン300gを投入した後、酢酸ビ
ニル(共)重合体として、エチレン−ビニルアルコール
共重合体(重合度1500、鹸化度69モル%、エチレ
ン含有量30モル%)10gを加えて均一に分散させ
た。次いで、80℃で、長鎖アルキル化合物として、オ
クタデシロイルクロライド80g(1.0当量)を加
え、上記エチレン−ビニルアルコール共重合体と反応さ
せた。反応が進行し、エチレン−ビニルアルコール共重
合体の粉末が完全に消失した後、さらに2時間反応を継
続した。反応終了後、40℃まで冷却し、反応溶液を1
500gのメタノール中に投入して白色沈殿物を得た。
得られた白色沈殿物をメタノール、次いで、n−ヘキサ
ンで洗浄した後、乾燥して、離型剤成分(R−3)を得
た。
【0089】離型剤成分(CR−1) 酢酸ビニル(共)重合体として、重合度200、鹸化度
98モル%のポリビニルアルコール10gを使用したこ
と以外はと同様にして、離型剤成分(CR−1)を得
た。
【0090】離型剤成分(CR−2) 酢酸ビニル(共)重合体として、重合度1100、鹸化
度40モル%のポリビニルアルコール10gを使用し、
オクタデシルイソシアネートの使用量を30g(1.0
当量)としたこと以外はと同様にして、離型剤成分
(CR−2)を得た。
【0091】離型剤成分(CR−3) 長鎖アルキル化合物として、オクタデシルイソシアネー
トの代わりに、エチルイソシアネート16g(1.0当
量)を使用したこと以外はと同様にして、離型剤成分
(CR−3)を得た。
【0092】離型剤成分(CR−4) オクタデシルイソシアネートの使用量を30g(0.4
5当量)としたこと以外はと同様にして、離型剤成分
(CR−4)を得た。
【0093】(実施例1)
【0094】(1)水分散系離型剤組成物の調整 離型剤成分の合成で得られた離型剤成分(R−1)1
60g、炭素数が10〜30である脂肪酸として、ステ
アリン酸(炭素数18)30g、界面活性剤として、ア
ルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩(商品名「ペ
レックスSS−L」、花王社製)5g及びポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル(商品名「エマルゲン9
10」、花王社製)5g、及び、水800gを混合し、
容量3リットルの高圧式乳化機に投入した後、温度12
0℃、攪拌速度500rpmで10分間攪拌し、離型剤
成分(R−1)及びステアリン酸を溶融した。次いで、
130℃に昇温し、攪拌速度5000rpmで1時間高
速攪拌して乳化分散を行った後、冷却して、水分散系離
型剤組成物を得た。得られた水分散系離型剤組成物の平
均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布計(商品名
「9220FRA」、MICROTRAC社製)で測定
したところ、0.40μmであった。
【0095】(2)離型シートの作製
【0096】上記で得られた水分散系離型剤組成物を固
形分が3重量%となるように水で希釈した後、坪量75
g/m2 のクルパッククラフト紙にポリエチレンを厚さ
20μmとなるように押出しラミネートし、コロナ処理
(44dyn/cm)して得た目止め紙(基材)のポリ
エチレン面上に、#5のメイヤーバーコーターを用い
て、乾燥後の膜厚が0.3μmとなるように塗布した。
次いで、上記水分散系離型剤組成物が塗布された目止め
紙(基材)を、炉長1m、温度120℃の乾燥炉中に、
ライン速度2m/分で30秒間通し、乾燥・造膜させ
て、離型シートを得た。
【0097】(3)評価 上記で得られた水分散系離型剤組成物の(a)貯蔵安定
性、及び、上記で得られた離型シートの(b)展開力、
及び、(c)残存接着力を以下の方法で評価した。その
結果は表1に示すとおりであった。
【0098】(a)貯蔵安定性:水分散系離型剤組成物
を固形分が1重量%となるように水で希釈し、23℃の
雰囲気下に72時間放置した後、凝集、沈降、層分離等
の有無を目視で観察し、下記判定基準で貯蔵安定性を評
価した。又、上記水分散系離型剤組成物の水希釈液を2
00メッシュのステンレスフィルターで濾過し、濾過残
渣を乾燥した後、その重量を測定し、23℃−72時間
放置前の上記希釈液の全固形分に対する重量比(重量
%)を求めた。 〔判定基準〕 ○‥‥凝集、沈降、層分離のいずれも認められず、貯蔵
安定性良好 △‥‥凝集、沈降、層分離が認められ、貯蔵安定性不十
分 ×‥‥乳化分散直後に凝集が発生し、水分散系離型剤組
成物が得られなかった
【0099】(b)展開力:JIS Z−0237「粘
着テープ・粘着シート試験方法」に準拠し、離型シート
の離型面に、幅25mmの短冊状に裁断された粘着テー
プ(商品名「クラフトテープ#504」、積水化学工業
社製)を圧着ローラーで貼り付けて試験片を作製し、2
3℃−65%RHの雰囲気下に24時間放置した後、同
雰囲気下で、高速剥離試験機を用い、10m/分の剥離
速度で、「180度引き剥がし試験」を行い、展開力
(g/25mm)を求めた。展開力が低い程、離型シー
トの離型性が優れていることを示す。
【0100】(c)残存接着力:(b)展開力の場合と
同様の方法で作製した試験片を23℃−65%RHの雰
囲気下に24時間放置した後、粘着テープを離型シート
から剥離した。次いで、JIS Z−0237に準拠
し、剥離された粘着テープをステンレス板に圧着ローラ
ーで貼り付け、23℃−65%RHの雰囲気下に24時
間放置した後、同雰囲気下で、高速剥離試験機を用い、
300mm/分の剥離速度で、「180度引き剥がし試
験」を行い、剥離強度P(g/25mm)を測定した。
【0101】別途、離型シートに貼り付けなかった粘着
テープを用い、同様にしてステンレス板に貼り付け、同
様の条件で剥離強度を測定したところ、2010(g/
25mm)であった。 両方の剥離強度の比〔(P/2
010)×100〕を算出し、残存接着力(%)を求め
た。残存接着力が100%に近い程、粘着剤層に対する
離型剤組成物の移行量が少ないことを示す。
【0102】(実施例2)
【0103】水分散系離型剤組成物の調整において、高
圧式乳化機中での高速攪拌時間を40分としたこと以外
は実施例1と同様にして水分散系離型剤組成物(平均粒
子径0.62μm)を得た。
【0104】(実施例3)
【0105】水分散系離型剤組成物の調整において、炭
素数が10〜30である脂肪酸として、パルミチン酸
(炭素数16)を用いたこと以外は実施例1と同様にし
て水分散系離型剤組成物(平均粒子径0.41μm)を
得た。
【0106】(実施例4)
【0107】水分散系離型剤組成物の調整において、炭
素数が10〜30である脂肪酸の代わりに、酸価が0.
2〜800である酸変成ポリオレフィン(共)重合体と
して、エチレン−アクリル酸共重合体(酸価80、重合
度250、アクリル酸含有量4モル%)を用いたこと以
外は実施例1と同様にして水分散系離型剤組成物(平均
粒子径0.45μm)を得た。
【0108】(実施例5〜6)
【0109】水分散系離型剤組成物を表1に示す配合組
成としたこと以外は実施例1と同様にして、2種類の水
分散系離型剤組成物を得た。得られた2種類の水分散系
離型剤組成物の平均粒子径は、0.46μm(実施例
5)と0.41μm(実施例6)であった。
【0110】離型シートの作製において、実施例2〜6
で得られた5種類の水分散系離型剤組成物を用い、実施
例1と同様にして5種類の離型シートを得た。
【0111】(実施例7)
【0112】離型シートの作製において、実施例1で得
られた水分散系離型剤組成物を用い、乾燥後の膜厚が
2.1μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と
同様にして離型シートを得た。
【0113】実施例2〜7で得られた6種類の水分散系
離型剤組成物の(a)貯蔵安定性、及び、実施例2〜7
で得られた6種類の離型シートの(b)展開力、及び、
(c)残存接着力を実施例1と同様にして評価した結果
は表1に示すとおりであった。
【0114】(比較例1〜2)
【0115】水分散系離型剤組成物の調整において、高
圧式乳化機中での高速攪拌時間を10分(比較例1)及
び20分(比較例2)としたこと以外は実施例1と同様
にして2種類の水分散系離型剤組成物を得た。得られた
2種類の水分散系離型剤組成物の平均粒子径は、表2に
示すように、3.60μm(比較例1)と2.05μm
(比較例2)であった。
【0116】上記で得られた2種類の水分散系離型剤組
成物を用い、実施例1と同様にして2種類の離型シート
を得た。
【0117】(比較例3)
【0118】離型シートの作製において、表2に示すよ
うに、比較例2で得られた水分散系離型剤組成物(平均
粒子径2.05μm)を用い、乾燥後の膜厚が2.1μ
mとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にし
て離型シートを得た。
【0119】(比較例4〜7)
【0120】水分散系離型剤組成物を表2に示す配合組
成としたこと以外は実施例1と同様にして、表2に示す
平均粒子径を有する4種類の水分散系離型剤組成物を得
た。
【0121】上記で得られた4種類の水分散系離型剤組
成物を用い、実施例1と同様にして4種類の離型シート
を得た。
【0122】比較例1〜7で得られた7種類の水分散系
離型剤組成物の(a)貯蔵安定性、及び、比較例1〜7
で得られた7種類の離型シートの(b)展開力、及び、
(c)残存接着力を実施例1と同様にして評価した結果
は表2に示すとおりであった。
【0123】(比較例8〜10)
【0124】水分散系離型剤組成物を表2に示す配合組
成としたこと以外は実施例1と同様にして3種類の水分
散系離型剤組成物を調整したが、いずれも乳化分散直後
に凝集が発生したので、離型シートを作製することが出
来ず、展開力及び残存接着力の評価を行うことは出来な
かった。
【0125】(参考例1〜3)
【0126】離型剤組成物の調整において、表2に示す
ように、離型剤成分(R−1〜R−3)30gをトルエ
ン970gに溶解して固形分3重量%の3種類の溶剤系
離型剤組成物を得た。
【0127】上記で得られた3種類の溶剤系離型剤組成
物を、希釈することなく、そのまま用いたこと以外は実
施例1と同様にして3種類の離型シートを得た。
【0128】参考例1〜3で得られた3種類の離型シー
トの(b)展開力、及び、(c)残存接着力を実施例1
と同様にして評価した結果は表2に示すとおりであっ
た。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】表1に示されるように、実施例1〜7の水
分散系離型剤組成物は、表2に示される参考例1〜3の
溶剤系離型剤組成物と同等の、優れた貯蔵安定性、展開
力(離型性)、及び、残存接着力(非移行性)を発現す
る。
【0132】これに対し、表2に示されるように、比較
例1〜7の水分散系離型剤組成物は、いずれも展開力が
大きく離型性が不十分であると共に、残存接着力が乏し
く非移行性が不十分である。又、比較例1〜3の水分散
系離型剤組成物は、凝集物や沈降物が多く貯蔵安定性に
欠ける。さらに、比較例8〜10の水分散系離型剤組成
物は、乳化分散直後に凝集が発生し、製品化出来なかっ
た。
【0133】
【発明の効果】以上述べたように、第1発明による水分
散系離型剤組成物は、貯蔵安定性に優れると共に、塗布
後短時間の加熱で優れた離型性や非移行性を発現するの
で、主として粘着テープや粘着シート等の粘着加工品を
対象とする離型シート用として好適に用いられる。
【0134】又、第2発明による離型シートは、優れた
離型性や非移行性を発現するので、主として粘着テープ
や粘着シート等の粘着加工品用として好適に用いられ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合度が300〜5000であり、鹸化
    度が50モル%以上である酢酸ビニル(共)重合体の水
    酸基1当量に対し、イソシアネート基、カルボン酸基、
    酸ハライド基、ケテン基、アルデヒド基及びエポキシ基
    からなる群より選ばれる1種もしくは2種以上の水酸基
    と反応し得る官能基を有し、アルキル基の炭素数が6〜
    30である長鎖アルキル化合物を0.5当量以上の割合
    で反応させて得られる離型剤成分が、炭素数が10〜3
    0である脂肪酸もしくはその金属塩、及び/又は、酸価
    が0.2〜800である酸変性ポリオレフィン(共)重
    合体と共に、平均粒子径が1μm以下となるように水中
    に分散されて成ることを特徴とする水分散系離型剤組成
    物。
  2. 【請求項2】 基材の片面上もしくは両面上に、請求項
    1記載の水分散系離型剤組成物が塗布乾燥されて成る離
    型剤層が設けられていることを特徴とする離型シート。
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