JPH09104851A - 粘着テープ - Google Patents

粘着テープ

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JPH09104851A
JPH09104851A JP26393995A JP26393995A JPH09104851A JP H09104851 A JPH09104851 A JP H09104851A JP 26393995 A JP26393995 A JP 26393995A JP 26393995 A JP26393995 A JP 26393995A JP H09104851 A JPH09104851 A JP H09104851A
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JP
Japan
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release agent
group
acid
adhesive tape
water
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Pending
Application number
JP26393995A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsunehisa Ueda
倫久 上田
Kenji Atsuta
健治 篤田
Keisuke Miyake
啓介 三宅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP26393995A priority Critical patent/JPH09104851A/ja
Publication of JPH09104851A publication Critical patent/JPH09104851A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 離型性が適当で粘着剤とのバランスがよく、
しかも、水に分散した耐熱性、安定性のよい離型剤を使
用した布粘着テープを提供すること。 【解決手段】 基材の背面にポリオレフィン樹脂層と、
この上に水分散系離型剤組成物を塗布乾燥させた離型剤
組成物層を設け、表面に粘着剤層を設けたテープ。但
し、水分散系離型剤組成物は、部分鹸化ポリ酢酸ビニル
又はポリビニルアルコールと、水酸基と反応するイソシ
アネート基等の官能基を有する長鎖アルキル化合物とを
反応させて得られる離型剤を、酸変性ポリオレフィン共
重合体あるいは脂肪酸と共に水中に分散させたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は粘着テープに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】粘着テープは、粘着剤層が設けられてい
る表面を内側にしてロール状に巻き、適宜幅に切断し市
販されていて、これを巻き戻して使用されている。そし
て、使用時に容易に巻き戻せ、且つ、粘着剤層が基材背
面に剥ぎ取られないように、背面に離型剤層を設けたも
のが多く使用されている。離型剤層に使用される離型剤
としては種々あるが、特公昭29−7333号公報に記
載あるように、長鎖アルキル基ペンダント型ポリマーか
らなる有機離型剤を有機溶剤に溶解させ、これを基材の
裏面に塗布乾燥させて表面に粘着剤層を設けた粘着テー
プは、離型剤と粘着剤とのバランスがよいので多く使用
されている。
【0003】即ち、粘着テープの裏面の離型剤層と表面
の粘着剤層との離型性が悪いと、使用時にロール状に巻
いている粘着テープの粘着剤層と、これと接している離
型剤層とが粘着して巻き戻し難く、更に悪くなると、粘
着テープの粘着剤層が離型剤層に剥ぎ取られるという問
題があり、又、粘着剤との離型性が良過ぎると、自然
に、ロール状に巻いている粘着テープが巻き戻るから使
用し難いし、又、ダンボールの梱包等で粘着テープを貼
った上に別の粘着テープが貼れない(重ね貼り性が悪
い)ので使用し難い。このように、粘着テープの片面に
設けられる離型剤と粘着剤とのバランスが重要である。
【0004】又、この離型剤としては、シリコーンを溶
剤に溶解させたものや、付加硬化型シリコーンやエマル
ジョン(水分散)型シリコーン等の無溶剤のものが使用
されることもある。一方、特開平3−86778号公報
や特開平6−73351号公報に記載されているよう
に、ポリビニルアルコールとアルキルイソシアネートと
を反応させたポリビニルアルコール−長鎖アルキルイソ
シアネート変性物や、ポリエチレンイミンとアルキルイ
ソシアネートとを反応させたポリエチレンイミン−長鎖
アルキルイソシアネート変性物を水に分散させたものが
知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記長鎖アル
キル基ペンダント型ポリマーからなる有機離型剤を有機
溶剤に溶解させたものは有機溶剤を使用するから、安全
上、環境上から問題が多い。そこで本発明者が、このア
ルキル基ペンダント型ポリマーをエマルジョンにしたも
のを製造し、これを離型剤として使用してみたが、安定
性が悪く、しかも、離型性が悪く使用し難かった。
【0006】シリコーン系離型剤、即ち、シリコーンを
溶剤に溶解したものや、付加硬化型シリコーンやエマル
ジョン型シリコーンは、離型性が良過ぎるために重ね貼
りが出来なかったり(重ね貼り性不良)、貼られたテー
プの上にマジックインク等の筆記用具で文字や絵が描け
なかったり(筆記性不良)、又、テープ表面が滑り過ぎ
て(非滑り性不良)段ボール等を重ねて積むことができ
ないという問題がある。更に、シリコーンを溶剤に溶解
したものは、溶剤を使用するからアルキル基ペンダント
型ポリマーと同様、安全上、環境上問題がある。
【0007】一方、前記公報記載のポリビニルアルコー
ル−長鎖アルキルイソシアネート変性物やポリエチレン
イミン−長鎖アルキルイソシアネート変性物からなる離
型剤は水に分散されているから、保安上、環境上の問題
がない。しかし、一般に、粘着テープはこれをロール状
に巻いて市販されるから、離型剤を塗布した層が直接粘
着剤層に触れ、離型剤が粘着剤の中に移行し、粘着剤の
粘着性を悪くすることがあるので、離型剤が粘着剤の中
に移行しないことが必要であるが、上記離型剤(ポリビ
ニルアルコール−長鎖アルキルイソシアネート変性物や
ポリエチレンイミン−長鎖アルキルイソシアネート変性
物)を水に分散させたものを、上記のように粘着剤の中
に移行しないように十分基材の一面に接着させるために
は、長時間加熱する必要があり不便である。又、この離
型剤を水に分散したものは耐熱性、安定性に劣るために
製造すると直ちに使用しなければならないという問題が
ある。又、上記離型剤は離型性が不十分である。そこ
で、本発明の目的は、離型性が適当で粘着剤とのバラン
スがよく、しかも、水に分散した耐熱性、安定性のよい
離型剤を使用した粘着テープ及びその製造方法を提供す
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになしたものであって、片面にポリオレフィン
樹脂層がラミネートされたクルパック加工クラフト紙或
いは布、又はポリオレフィン樹脂フィルムを基材とし、
これらポリオレフィン樹脂層に接して離型剤層が積層さ
れ、他面に粘着剤層が積層されてなる粘着テープにおい
て、上記離型剤層が、重合度300〜5000であり、
ビニルアルコールユニットを50モル%以上含有するポ
リ酢酸ビニル(共)重合体の鹸化物の水酸基1当量に対
して、イソシアネート基、カルボン酸基、酸ハライド
基、ケテン基、アルデヒド基、エポキシ基からなる群よ
り選ばれる上記水酸基と反応する官能基を1種類以上有
する炭素数6〜30の長鎖アルキル化合物を、官能基換
算で0.5当量以上反応させて得られる離型剤を、酸価
が0.2〜800の酸変性ポリオレフィン共重合体又は
炭素数10〜30の脂肪酸と共に水中に分散させてなる
水系離型剤組成物を塗布、乾燥して得られるものである
ことをその要旨とする。
【0009】本発明に使用されるクルパック加工クラフ
ト紙とは、クラフト紙の伸縮性を高めるためにクルパッ
ク加工されたものである。そして、このクラフト紙の強
度、コスト等の点から坪量45〜90g/m2 が好まし
い。
【0010】本発明に使用される布とは、木綿、絹、麻
等の天然繊維を布状に織ったもの、スフ、人絹等の人造
繊維を布状に織ったもの、ナイロン、テトロン、ビニロ
ン等の合成繊維を布状に織ったものをいう。特に、スフ
が好適である。この際の繊維の太さや繊維の密度は適宜
でよいが、繊維の密度が小さいと、この布の上にポリオ
レフィン樹脂層を設けるときに、ポリオレフィン樹脂が
布目を通る、所謂、樹脂抜け現象を起こす。又、繊維が
太過ぎると、この布テープを使用時に手で引き裂いて切
断し難くなる(手切れ性が悪くなる)ので適当な繊維の
太さや繊維の密度が好ましい。尚、樹脂抜け現象を防ぐ
ためには布の裏面にアンカーコート剤層を設け、この上
にポリオレフィン樹脂層を設けてもよい。かかる繊維の
太さと密度とは相互に関係し、繊維の種類によって異な
るが、繊維として30番手のスフを使用した場合には繊
維の密度が平方インチ当たり60〜90本が好ましい。
【0011】本発明に使用されるポリオレフィン樹脂フ
ィルムはポリオレフィン樹脂をフィルム状に成形したも
のである。そして、このポリオレフィン樹脂フィルムは
延伸されたものでも延伸されてないものでもどちらでも
よいが、前者のものが強度が大きく好適である。又、厚
みは用途によって異なり適宜でよいが、10μm以下で
は強度が小さく、100μmを超えると柔軟性がなく使
用し難いので、好ましくは10〜100μm、更に好ま
しくは30〜70μmがよい。
【0012】本発明に使用されるポリオレフィン樹脂
は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等の
一種類のオレフィンを重合させたものや、エチレンとプ
ロピレンの如く種類の異なるオレフィン同士を共重合さ
せたものや、エチレンやプロピレン等のオレフィンと酢
酸ビニルや塩化ビニルの如き他のモノマーとを共重合さ
せたもの等がある。この中でもポリエチレンやポリプロ
ピレンが最も好適である。
【0013】本発明において、ポリオレフィン樹脂をク
ルパック加工されたクラフト紙や布の一面に設ける方法
は、例えば、ポリオレフィン樹脂フィルムを接着したり
熱溶着する方法等種々あるが、クルパック加工されたク
ラフト紙の場合には、このクラフト紙の一面にポリオレ
フィン樹脂を押し出しラミネートすると、クラフト紙に
強固にポリオレフィン樹脂が付着し、このポリオレフィ
ン樹脂層によりクラフト紙が補強されると同時に、この
ポリオレフィン樹脂層の上に低粘度の水分散系離型剤組
成物を塗布しても、クラフト紙に浸透されず、クラフト
紙表面に離型剤層が良好に形成されるので好ましい。
又、布の場合にも、布の一面にポリオレフィン樹脂を押
し出しラミネートしてポリオレフィン樹脂層を設ける方
法が布の中にポリオレフィン樹脂が含浸し、ポリオレフ
ィン樹脂層を布の一面に強固に設けることができるので
好ましい。このポリオレフィン樹脂層の厚みは、クルパ
ック加工されたクラフト紙や布が薄いとクラフト紙や布
の補強が充分でなく、又、厚いと高価になるから適当な
厚みがよい。好ましい厚みはクルパックされたクラフト
紙の場合には10〜25μmである。又、布の場合に
は、50〜100μmであり、その中でも、特に、布粘
着テープの強度、手切れ性、コストの面から60〜80
μmが好ましい。
【0014】本発明に使用される水分散系離型剤組成物
は、重合度300〜5000であって、ビニルアルコー
ルユニットを50モル%以上含有するポリ酢酸ビルニ
(共)重合体の鹸化物の水酸基1当量に対して、イソシ
アネート基、カルボン酸基、酸ハライド基、ケテン基、
アルデヒド基、エポキシ基からなる群より選ばれる上記
水酸基と反応する官能基を1種類以上を有する炭素数6
〜30の長鎖アルキル化合物を官能基換算で0.5当量
以上反応させて得られる離型剤を、酸価が0.2〜80
0の酸変性ポリオレフィン共重合体あるいは炭素数10
〜30の脂肪酸と共に水中に分散させたものである。こ
の際使用するビニルアルコールユニットを50モル%以
上含有するポリ酢酸ビルニ(共)重合体の鹸化物とは、
ポリ酢酸ビニルまたは酢酸ビニルと他のモノマーとの共
重合体を鹸化してビニルアルコールユニットを50モル
%以上含有させたものであり、勿論、鹸化度100モル
%になるとポリビニルアルコールになるが、このポリビ
ニルアルコールも本発明では使用できる。ビニルアルコ
ールユニットを50モル%以上含有するポリ酢酸ビニル
(共)重合体を使用する理由は、ビニルアルコールユニ
ットが50モル%未満であると、反応する水酸基が少な
くなり、従って、この水酸基と反応するイソシアネート
基、カルボン酸基、酸ハライド基、ケテン基、アルデヒ
ド基、エポキシ基からなる官能基を有する長鎖アルキル
化合物の結合量が少なくなり離型性が充分大きくならな
いからである。更に、好ましくはこのビニルアルコール
ユニットの含有量は60モル%以上である。
【0015】又、イソシアネート基、カルボン酸基、酸
ハライド基、ケテン基、アルデヒド基、エポキシ基から
なる群より選ばれる前記水酸基と反応する官能基を1種
類以上有する長鎖アルキル化合物としては炭素数6〜3
0の化合物を使用する。その理由は、炭素数が6未満で
あったり30より多いと反応して得られた離型剤組成物
の離型性能が充分でないからである。好ましくは炭素数
8〜30である。かかる化合物としては、オクチルイソ
シアネート、ドデシルイソシアネート、オクタデシルイ
ソシアネート、ドコサニルイソシアネート等のイソシア
ネート化合物、オクタン酸、ドデカン酸、オクタデカン
酸、ドコサン酸等の有機酸、オクタノイルクロライド、
ドデカノイルクロライド、オクタデカノイルクロライ
ド、ドコサノイルクロライド等の酸ハライド化合物、オ
クチルケテンダイマ、ドデシルケテンダイマ、オクタデ
シルケテンダイマ、ドコサニルケテンダイマ等のケテン
化合物、オクチルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、オ
クタデシルアルデヒド、ドコサニルアルデヒド等のアル
デヒド化合物、オクチルグリシジルエーテル、ドデシル
グリシジルエーテル、オクタデシルグリシジルエーテ
ル、ドコサニルグリシジルエーテル等のエーテル化合物
等がある。
【0016】上記ポリ酢酸ビニル(共)重合体の鹸化物
と長鎖アルキル化合物とを反応させる比率は水酸基1当
量に対して官能基換算で0.5当量以上とする。その理
由は、長鎖アルキル化合物が官能基換算で0.5当量未
満であると離型性が悪くあるからである。好ましくは
0.6当量以上である。
【0017】この離型剤の製造方法は適宜でよいが、一
般に、使用される長鎖アルキル化合物の官能基の種類に
よって異なった方法が使用される。例えば、官能基がイ
ソシアネート基やケテン基の場合には、官能基であるイ
ソシアネート基やケテン基と反応しない溶剤、例えば、
トルエンやジメチルスルホキシドの如き溶剤の中に懸濁
または溶解させて反応させる。又、官能基がカルボン酸
基の場合には、トルエンのような通常のエステル化反応
に用いられる溶媒の中で反応させる。又、官能基が酸ハ
ライド基の場合には、不活性な溶媒の中で反応させる
が、この反応の際には、ピリジンのような脱ハロゲン化
水素剤を添加することが好ましい。又、官能基がアルデ
ヒド基の場合には、不活性な溶媒の中で反応させるが、
この反応の際には、塩酸等の酸触媒を添加することが好
ましい。又、官能基がエポキシ基の場合には、不活性な
溶媒の中で反応させるが、この反応の際には、水酸化ナ
トリウムのようなアルカリ触媒を添加することが好まし
い。この反応の終結は、赤外線吸収スペクトル等で水酸
基と反応する官能基または官能基と反応する水酸基が事
実上消失したことで判かる。その後、この離型剤を濾別
等して取り出せばよい。
【0018】本発明における水分散系離型剤組成物は、
上記離型剤を酸価0.2〜800の酸変性ポリオレフィ
ン共重合体或いは炭素数10〜30の脂肪酸と共に水中
に分散させたものである。ここで酸価0.2〜800の
酸変性ポリオレフィン共重合体とは、エチレン、プロピ
レン、1−ブテンのようなオレフィンと、アクリル酸、
メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸のような極性基
を持ったビニルモノマーとの共重合体や、ポリエチレン
やポリプロピレン等のポリオレフィンを酸化処理して、
重合体の中にカルボキシル基を導入したものをいう。オ
レフィンと極性基を持ったビニルモノマーとの共重合体
の場合には、極性基を持ったビニルモノマーの結合量が
0.01〜40モル%、好ましくは0.5〜10モル%
が好ましい。そして、この際の酸価が小さ過ぎると、水
に分散し難くなる(凝集したり沈澱し易くなる)し、酸
価が大き過ぎると、離型剤と分離するので上記のように
酸価が0.2〜800の酸変性ポリオレフィン共重合
体、好ましくは10〜200の酸変性ポリオレフィン共
重合体を使用するのである。
【0019】又、酸変性ポリオレフィン共重合体の重合
度は高過ぎると水に分散し難くなったり、水分散系離型
剤組成物をポリオレフィン樹脂層の上に塗布した後、離
型性能が発現するまで加熱する時間が長くなる等の悪影
響があるので好ましくない。又、重合度が低過ぎると、
室温でも軟化状態となり、離型性能に悪影響を及ぼすの
で10〜2000が好ましい。更に好ましくは20〜1
000である。この酸変性ポリオレフィン共重合体の融
点、溶融粘度について説明すると、融点が低過ぎると、
離型性能に悪影響を及ぼし、高温での溶融粘度が高過ぎ
ると、水に分散し難くなる等好ましくない影響がでるの
で、融点は40℃以上であり、140℃での溶融粘度が
5000Pa・s以下が好ましい。更には、融点が60
℃以上であり、140℃における溶融粘度が1000P
a・s以下であることが好ましい。具体的には、マレイ
ン酸変性のポリエチレンワックスやアクリル酸変性のポ
リエチレンワックス等が挙げられる。
【0020】本発明に使用される炭素数10〜30の脂
肪酸とは、通常の脂肪酸でよく、この脂肪酸は単独で使
用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
上記脂肪酸の炭素数が多くなり過ぎると、極性が低くな
り過ぎて水に分散し難くなったり、溶解粘度が高くなり
過ぎて水分散系離型剤組成物をクルパックされたクラフ
ト紙、布、ポリオレフィン樹脂フィルム等の基材に塗布
した後、離型性能が発現するまでの加熱時間が長時間に
及ぶ等好ましくない影響が現れる。又、炭素数が少な過
ぎると、極性が高くなり過ぎて離型剤成分と分離した
り、融点が少なくなり、離型性能に悪影響を及ぼす。従
って、炭素数は10〜30の範囲を使用する。特に、好
ましくは12〜26である。
【0021】かかる脂肪酸の具体的には、ドデカン酸
(ラウリン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オ
クタデカン酸(ステアリン酸)、オクタデセン酸(オレ
イン酸)、イコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸
(ベヘン酸)等を挙げることができる。尚、上記脂肪酸
のアルカリ金属やアルカリ土類金属の塩もこの脂肪酸に
含まれる。この脂肪酸の配合量は、少ないと水分散系離
型剤組成物を製造する際、離型剤成分が水に乳化・分散
し難くなるし、多いと脂肪酸が粘着剤層へ移行量が多く
なる等好ましく内影響が現れるので、離型剤成分100
重量部に対して1〜50重量部が好ましく、更に、好ま
しくは3〜40重量部である。
【0022】この他、水分散系離型剤組成物の中に種々
な物質を添加することができる。例えば、水中に樹脂を
分散させるのを容易にしたり、クラフト紙や布の一面に
設けられたポリオレフィン樹脂層の上やポリオレフィン
樹脂フィルムの上に水分散系離型剤組成物を塗布する際
に塗布性を向上させたり、発泡を抑えたりするために高
沸点液状物質や界面活性剤を加えたり、又、塗布後の塗
布膜の強度を上げるために架橋剤を添加してもよい。上
記高沸点液状物質としては、大気圧下での沸点100℃
より高く、常温での粘度が100Pa・s以下の物質が
好ましい。特に、高沸点液状物質が粘着剤層の中に含有
されているものであれば、水分散系離型剤組成物を塗布
乾燥して得た塗膜の中に高沸点液状物質が残存し、これ
が粘着剤層へ移行しても、粘着剤の粘着性能を著しく落
とすことがないので好ましい。その他の高沸点化合物と
しては、粘着剤層の中で、通常、軟化剤として使用され
る物質も好適に使用できる。
【0023】具体的には、ナフテン系オイル、ラノリ
ン、オレフィン類のオリゴマー、植物油、動物油、鉱物
油(石油)、長鎖アルキルカルボン酸、長鎖アルキルア
ルコール等のプロセスオイル等が使用できる。又、液状
ロジン、テレビン油等の粘着付与樹脂やポリブテン、ポ
リイソブチレンやジイソデシルフタレート等の可塑剤等
も使用できる。これ等は、沸点が100℃以下である
と、乾燥させる際に揮発し、安全上、環境上の問題を生
じるので100℃以上が好ましい。又、この高沸点液状
物質の粘度は100Pa・sより高くなると流動性が低
くなり造膜性を向上させる効果が少ない。
【0024】この水分散系離型剤組成物を製造する方法
は、上記各成分を有機溶剤に溶解し、これを水中に分散
させたり、上記各成分を溶融し、これを水中に分散させ
ればよい。この際、界面活性剤を使用したり、高速で回
転させると簡単に分散できるので好ましい。この界面活
性剤の好ましい使用量は離型剤100重量部に対して界
面活性剤2〜30重量部であり、更に好ましくは3〜1
0重量部である。この際使用する界面活性剤としては、
ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオ
ン系界面活性剤、両性界面活性剤等が使用できる。ノニ
オン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキ
ルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル等のエーテル型、グリセリン脂肪酸エステル、ソル
ビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等のエス
テル型、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のエステル
エーテル型、脂肪酸アルカノールアミド型等が挙げられ
る。
【0025】アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸モ
ノカルボン酸塩、N−アシロイルグルタミン酸塩等のカ
ルボン酸型、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレ
ンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、スルホ琥珀
酸ジアルキルエステル等のスルホン酸型、硫酸アルキル
塩等の硫酸エステル型、燐酸アルキル塩等の燐酸エステ
ル型が挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、ア
ルキルアミン塩等のアミン塩型、アルキルトリメチルア
ンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ア
ルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等の第4級アン
モニウム塩型が挙げられる。両性界面活性剤としては、
N,N−ジメチル−N−アルキルアミノ酢酸ベタイン等
のカルボキシベタイン型、2−アルキル−1−ヒドロキ
シ−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン等
のグリシン型等が挙げられる。
【0026】その他に架橋剤等を添加してもよい。架橋
剤としては、塗布後の造膜中に熱、光等で離型剤と反応
し架橋させるものが使用できる。かかる架橋剤として
は、多価イソシアネート化合物、ブロックド多価イソシ
アネート化合物、多価エポキシ化合物、多価アクリロイ
ル化合物、多価メチロール化合物、多価イオン金属、多
価アジリジン化合物等が挙げられる。上記離型剤等を水
の中に分散させて水分散系離型剤組成物を製造する方法
には、離型剤等を溶剤に溶解させて分散させる方法と溶
融させて分散させる方法とがある。離型剤等を溶剤に溶
解して分散させて水分散系離型剤組成物を製造する方法
について説明すると、離型剤と酸変性ポリオレフィン共
重合体または脂肪酸とを有機溶剤に溶解した後、高速乳
化機で攪拌しながら水と混合し、乳化分散させ、その
後、有機溶剤を除く方法がある。又、有機溶剤を使用し
ないで離型剤を溶融して水に分散させて水分散系離型剤
組成物を製造する方法について説明すると、離型剤と酸
変性ポリオレフィン共重合体または脂肪酸とを熱溶融さ
せ加圧ニーダー、コロイドミル、高速攪拌シャフト等で
高剪断をかけながら水と混合し乳化分散させる高圧乳化
法がある。
【0027】乳化分散する際の離型剤組成物と水との混
合比は、離型剤組成物の含有量が少な過ぎると剪断効果
が減じられて製造し難くなるし、離型剤組成物の含有量
が多過ぎると粘度が高くなり過ぎて剪断による乳化分散
が困難になるので、離型剤組成物の含有量が5〜50重
量%になるようにすることが好ましい。尚、乳化分散後
は、水分散系離型剤組成物の安定性が損なわれない範囲
で、水で任意に希釈してもよい。上記方法の中で、後者
が有機溶剤を除く工程がなく、工程が簡略化でき、しか
も、安全上、環境上の問題が発生しないので好ましい。
後者の方法を更に詳細に説明すると、離型剤と酸変性ポ
リオレフィン共重合体または脂肪酸と、更に必要があれ
ばその他の添加物とを120℃以上に加熱された水の中
で高剪断力をかけながら混合し、水中に分散させる。そ
の後、分散された粒子が融着しないように冷却すると製
造できる。又、水中に離型剤と酸変性ポリオレフィン共
重合体または脂肪酸を一挙に投入し、加圧下120℃程
度で高剪断をかけて分散させても製造できる。
【0028】本発明においては、このようにして製造し
た水分散系離型剤組成物を、クルパック加工されたクラ
フト紙や布の一面に設けられたポリオレフィン樹脂層の
上や、ポリオレフィン樹脂フィルムの上に塗布乾燥させ
る。尚、塗布する前に、クルパック加工されたクラフト
紙や布の一面に設けられたポリオレフィン樹脂層や、ポ
リオレフィン樹脂フィルムの表面の塗れ性を向上させて
ハジキを防止し、乾燥後の離型剤との密着性を高めると
よい。このようにするには、ポリオレフィン樹脂層の表
面をコロナ処理、プラズマ処理、酸化溶液処理等を行う
ことが好ましい。尚、このコロナ処理、プラズマ処理、
酸化溶液処理はポリオレフィン樹脂層の表面が標準塗れ
試薬による指数で35dyn/cm以上になるまで行う
ことが好ましい。更に、好ましくは38dyn/cm以
上行うことがよい。水分散系離型剤組成物を塗布する方
法は、ロールコーター、グラビアコーター、メイヤーバ
ーコーター、リップコーター等の一般的な塗布装置を用
いて行うが、塗布量が少な過ぎると離型性が悪くなる
し、多過ぎると、離型剤が次第に粘着剤層に移行し粘着
性が経時的に低下したり、又、コストが高くなるので、
乾燥後の固形分量で、0.05〜0.5g/m2 の範囲
が好ましい。
【0029】本発明に使用する粘着剤は天然ゴム系の粘
着剤、合成ゴム系の粘着剤、アクリル系粘着剤等各種粘
着剤が使用できるが、合成ゴム系または天然ゴム系のゴ
ム系粘着剤が最も好ましい。ゴム系粘着剤としては最も
よく使用されているものは、合成ゴムまたは天然ゴム1
00重量部に対して粘着付与樹脂50〜200重量部と
軟化剤0〜100重量部からなるものである。合成ゴム
としては、スチレン等のハードセグメントになるモノマ
ーと、エチレン、イソプレン、ブタジエン等のソフトセ
グメントになるモノマーとを共重合させたものが好まし
い。具体的には、スチレン−イソプレン−スチレン共重
合体(SIS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチ
レン共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−ス
チレン共重合体(SBS)等が好ましい。
【0030】粘着付与樹脂としては、初期粘着性(タッ
ク)を付与するもので、ロジン系、クマロン−インデン
系、テルペン系、石油系、スチレン系、フェノール系、
キシレン系等が使用される。配合量は少な過ぎるとタッ
クが発現せず、又、多過ぎると凝集力が劣るので、上記
のように、合成ゴム100重量部に対して50〜200
重量部が適当である。粘着剤を溶融塗布する際の粘度を
下げ塗布し易くするために、この粘着剤の中に軟化剤を
添加してもよい。
【0031】かかる軟化剤としては、高沸点液状物質と
して前記したものが使用できる。その配合量は多過ぎる
と粘着剤が柔らかくなり過ぎて高温での凝集力がなくな
ったり常温でも過剰にベタツクので、上記のように、ゴ
ム100重量部に対して0〜100重量部が適当であ
る。
【0032】更に、この粘着剤の中には必要に応じてそ
の他の添加物を添加してもよい。かかる添加物として
は、通常、ゴム100重量部に対して、ワックスを0〜
100重量部、老化防止剤を1〜5重量部、充填剤1〜
50重量部添加する。ワックスとしては、蝋やパラフィ
ンワックス等の天然ワックスや低分子量ポリエチレンや
ステアリン酸等の合成ワックス等が使用される。老化防
止剤としては、フェノール系やアミン系等のラジカル捕
捉剤や、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系等の
紫外線吸収剤や、メルカプタン系やホスファイト系等の
過酸化物分解剤やビスフェノール系等の重金属不活性化
剤等が使用できる。充填剤としては炭酸カルシウムやカ
ーボンブラック等が使用できる。
【0033】この粘着剤をクラフト紙、布、ポリオレフ
ィン樹脂フィルム基材の非離型処理面に塗布する方法
は、粘着剤を溶剤に溶解しこれを塗布してもよいが、溶
剤を使用すると安全上、環境上から問題が多いから、ホ
ットメルト法で塗布することが好ましい。ホットメルト
法で粘着剤を塗布する方法について説明すると、先ず、
粘着剤を酸化劣化を防止するために不活性ガス(窒素雰
囲気)中で150〜250℃で混練、熱溶融させる。次
に、この溶融した液状物を冷やさないようにして、Tダ
イコーターやファウンテンダイコーター等の塗工機に送
り込み、基材の非離型処理面に塗布する。この際の塗布
厚みは、粘着性能とコストの観点から15〜50g/m
2 が適当であるが、基剤が布の場合には、このうちの5
g/m2 以上を布に含浸させるようにするとよい。又、
塗布するときには、溶融した粘着剤の粘度が1000P
a・s以下になるような温度で塗布することが好まし
い。
【0034】(作用)本発明では、クルパック加工され
たクラフト紙或いは布の一面にポリオレフィン樹脂層が
設けられているから、クラフト紙或いは布の機械的強度
が大となると同時に、粘着剤に対する離型性がよくな
る。
【0035】又、本発明に使用する水分散系離型剤組成
物は、離型剤を酸価が0.2〜800の酸変性ポリオレ
フィン共重合体あるいは炭素数10〜30の脂肪酸と共
に水に分散させたものであるから、水分散系離型剤組成
物の安定性がよく、長期間保存できるとともに、これを
クラフト紙や布の一面に設けられたポリオレフィン樹脂
層やポリオレフィン樹脂フィルムの上に設ける場合、離
型剤組成物層が短時間の乾燥で強固に付着する。
【0036】一方、離型剤層と粘着剤層との離型性も適
度であり、ロール状に巻いた粘着テープの巻き戻しが容
易であるし、粘着テープの裏面に粘着剤層が付着して剥
がれることがない。又、重ね貼り性、筆記性が良好であ
るし、非滑り性に優れているので実用上問題がない。更
に、この粘着テープをロール状に巻いて保存していても
離型剤組成物が粘着剤に移行し、粘着剤の粘着性が低下
することがない。
【0037】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例を説明す
る。先ず、クルパック加工されたクラフト紙を基材とす
る粘着テープの実施例について説明する。離型剤の合成 ・離型剤(R1) 攪拌機、冷却器、滴下ロートを備えた反応器の中に部分
鹸化ポリ酢酸ビニル(重合度1100、鹸化度(ポリビ
ニルアルコールユニット)98モル%)10gと、脱水
したキシレン50gとを入れてキシレンの中に部分鹸化
ポリ酢酸ビニルを分散させた。この反応器の中に還流温
度でオクタデシルイソシアネート67gと触媒(ジラウ
リン酸ジブチル錫)0.01gを加えて、部分鹸化ポリ
酢酸ビニルとを反応させた。反応の進行に伴い部分鹸化
ポリ酢酸ビニルの粉末がなくなってゆくが、この部分鹸
化ポリ酢酸ビニルがなくなってから、更に2時間反応さ
せ、40℃まで冷却し、反応溶液を1000gのメタノ
ール中に注いで、白色沈殿物を製造した。この白色沈殿
を濾別し、メタノール次いでヘキサンで十分洗浄し、乾
燥させて離型剤(R1)を得た。
【0038】・離型剤(R2) 部分鹸化ポリ酢酸ビニル(重合度1100、鹸化度98
モル%)を部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体(重
合度1500、酢酸ビニル成分に対する鹸化度98モル
%、エチレン共重合比30モル%、ポリビニルアルコー
ルユニット68.6モル%)に替え、オクタデシルイソ
シアネート67gを57gに替えた以外は離型剤(R
1)と同様にして離型剤(R2)を製造した。
【0039】・離型剤(R3) 攪拌機、冷却機、滴下ロートを備えた反応容器の中に、
脱水したピリジン300gと部分鹸化エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体(重合度1500、酢酸ビニル成分に対す
る鹸化度98モル%、エチレン共重合比30モル%、ポ
リビニルアルコールユニット68.6%)10gを入れ
てピリジンの中に部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合
体を分散させ、80℃でオクタデシロイルクロライド8
0gを加え、部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体と
反応させた。反応の進行に伴い部分鹸化エチレン−酢酸
ビニル共重合体の粉末は次第に消失し、完全に消失した
後、更に2時間反応させた。その後、40℃まで冷却
し、反応溶液を1500gのメタノール中に注いで得た
白色沈殿物をメタノールに次いでヘキサンで洗浄し、乾
燥して離型剤(R3)を製造した。
【0040】酸変性ポリオレフィン共重合体として次の
PO1、PO2を用いた ・PO1:エチレン−アクリル酸共重合体(重合度70
0、アクリル酸含有量4モル%、酸価80) ・PO2:エチレン−無水マレイン酸共重合体(重合度
700、無水マレイン酸含有量4モル%、酸価160)
【0041】界面活性剤 アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩(花王社
製、商品名「ペレックスSS−L」)50重量%と、ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル(花王社製、
商品名「エマルゲン910」)50重量%との混合物
【0042】水分散系離型剤組成物の製造 上記離型剤(R1、R2、R3)のそれぞれと、酸変性
ポリオレフィン共重合体、界面活性剤、油分(1−デカ
ノール)、水とを表1に示す配合量で混合し、高圧式乳
化機に入れる。120℃に昇温して500rpmの回転
数で10分間攪拌し、離型剤と酸変性ポリオレフィン共
重合体を溶融状態にする。その後、135℃に加熱し、
高速(5000rpm)で1時間攪拌して乳化する。そ
の後、冷却して水分散系離型剤組成物(XR1、XR
2、XR3、XR4)を製造した。このようにして製造
した水分散離型剤組成物は36時間保存したが、沈殿や
凝集がなく安定であった。上記水分散系離型剤組成物
(XR1、XR2、XR3、XR4)をそれぞれ離型剤
成分が3重量%になるように水で希釈して使用する。
【0043】粘着剤の製造 下記の物質を下記割合に配合した粘着剤配合物を不活性
ガス(窒素ガス)の中で180℃で45分間混練、熱溶
融して粘着剤(B1、B2)を製造した。 ・粘着剤(B1) ブロック共重合体(スチレン−イソプレン−スチレン共
重合体、シェル化学社製、商品名「TR1107」)
100g 粘着付与樹脂 テルペン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「クイントン
A−200」) 100g クマロン−インデン樹脂(新日鉄化学社製、商品名「エ
クスロンG−90」)25g 軟化剤(ナフテン系オイル、SUNOCO「カンセンオ
イル」) 50g 老化防止剤(チバガイギー社製、商品名「イルガノック
ス1010」) 2g ・粘着剤(B2) 粘着剤(B1)のブロック共重合体をスチレン−イソプ
レン−スチレン共重合体(Quintac3421)に
置き替えたもの
【0044】(実施例1〜5)クルパック加工されたク
ラフト紙(坪量75g/m2 )の一面にポリエチレンを
厚み20μmでラミネートし、このポリエチレン層の表
面をコロナ放電処理(44dyn/cm)を施す。この
ポリエチレン層の表面に、メイヤーバーコーター(#
8)で上記水分散系離型剤組成物(XR1、XR2、X
R3、XR4)を離型剤成分が3重量%になるように希
釈した希釈液を、塗布量8.5g/m2 に塗布し、表1
に示す条件で乾燥炉を通過させて乾燥した。次に、離型
剤が塗布されたクラフト紙の反対面に、上記粘着剤を2
00℃の溶融状態で40g/m2 塗布し、冷却後、巻き
取って粘着テープを製造した。
【0045】(比較例)離型剤として実施例で用いたR
1、R2、R3と、以下の離型剤を用いた。 ・離型剤(CR1) 部分鹸化ポリ酢酸ビニル(重合度1100、鹸化度98
モル%)を部分鹸化ポリ酢酸ビニル(重合度200、鹸
化度98モル%)に替えた以外は離型剤(R1)と同様
にして離型剤(CR1)を製造した。 ・離型剤(CR2) 部分鹸化ポリ酢酸ビニル(重合度1100、鹸化度98
モル%)を部分鹸化ポリ酢酸ビニル(重合度1100、
鹸化度49モル%)に替え、オクタデシルイソシアネー
ト67gを30gに替えた以外は離型剤(R1)と同様
にして離型剤(CR2)を製造した。
【0046】・離型剤(CR3) オクタデシルイソシアネート67gを16gに替えた以
外は離型剤(R1)と同様にして離型剤(CR3)を製
造した。 ・離型剤(CR4) オクタデシルイソシアネート67gを30gに替えた以
外は離型剤(R1)と同様にして離型剤(CR4)を製
造した。 ・離型剤(SR1) 無溶剤型シリコーン(信越化学社製、品番「KNS−3
20」)98重量%と、白金触媒(信越化学社製、品番
「CAT−PL−56」)2重量%との混合物
【0047】(比較例1)酸変性ポリオレフィン共重合
体を含有せず、離型剤(CR1)を用いて表2に示す配
合の水分散系離型剤組成物(CXR1)を用いた以外
は、実施例1と同様のクラフト粘着テープを得た。用い
た水分散系離型剤組成物の安定性はよいが、離型性およ
び残存接着力(粘着剤に対する非移行性)は満足すべき
ものでなかった。
【0048】(比較例2)クラフト紙に塗布した離型剤
の乾燥時間を長くした以外は比較例1と同様にしてクラ
フト粘着テープを得た。このものは比較例1で得た粘着
テープよりも離型性はやや向上したが満足すべきもので
はなく、残存接着力も殆ど変わらなかった。
【0049】(比較例3)離型剤(CR2)を用いて表
2に示す配合とした水分散系離型剤組成物(CXR2)
を用いた以外は比較例2と同様の粘着テープを得た。用
いた水分散系離型剤組成物(CXR2)は経時での安定
性が劣り、離型性および残存接着力とも満足すべきもの
ではなかった。
【0050】(比較例4)酸変性ポリオレフィン共重合
体を用いず離型剤(CR3)を用いて表2に示す配合の
水分散系離型剤組成物(CXR3)を製造し、この水分
散系離型剤組成物(CXR3)を用いた以外は比較例2
と同様にして粘着テープを製造した。この粘着テープは
比較例3とほぼ同じ性能であった。
【0051】(比較例5)離型剤(CR3)を用いて表
2に示す配合の水分散系離型剤組成物(CXR4)を製
造し、この水分散系離型剤組成物(CXR4)をクラフ
ト紙に塗布し、乾燥時間を120秒にした以外は実施例
1と同様にして粘着テープを製造した。
【0052】(比較例6)離型剤(CR4)を用いて表
3に示す配合の水分散系離型剤組成物(CXR5)を製
造し、この水分散系離型剤組成物(CXR5)を用いた
以外は比較例2と同様にして粘着テープを製造した。
【0053】(比較例7〜9)酸変性ポリオレフィン樹
脂を用いず、離型剤(R1、R2、R3)を用いて、そ
れぞれ表3に示す配合で水分散系離型剤組成物(CXR
6、CXR7、CXR8)を製造したが、いずれも安定
性が悪く、分散直後に凝集したので塗工できず、評価も
できなかった。
【0054】(比較例10)離型剤組成物として酸変性
ポリオレフィン重合体、界面活性剤、油分を用いず、離
型剤(SR1)のみを用いた以外は実施例1と同様にし
てクラフト粘着テープを得た。このものは筆記性と非滑
り性が特に悪いものであった。
【0055】(実施例6、8〜10)離型剤組成物とし
て酸変性ポリオレフィン共重合体の替わりにステアリン
酸を用いて、表4に示す配合の離型剤組成物(R1、R
2、R3)を120℃で溶融し、500rpmの回転数
で10分間攪拌しながら混合した。高圧式乳化機の中に
水と界面活性剤とを入れ、130℃に加熱し、加圧し、
この乳化機の中に混合物をゆっくりと滴化し、5000
rpmで1時間高速攪拌して乳化した後、冷却して水分
散系離型剤組成物(XR1、XR3、XR4)を得た。
得られた水分散系離型剤組成物の安定性を評価したとこ
ろ、長時間、沈降や凝集はなく安定であった。
【0056】次に、この水分散系離型剤組成物を離型剤
成分が3重量%となるように水で希釈した。坪量75g
/m2 のクルパック加工されたクラフト紙の一面にポリ
エチレンを厚み20μmに押し出しラミネートし、この
ポリエチレン面にコロナ放電処理(44dyn/cm)
し、このクラフト紙に#5のメイヤーバーコーターを用
いて水で希釈した水分散系離型剤組成物を乾燥後に塗布
量が0.3g/m2 となるように塗布した。その後、水
分散系離型剤組成物が塗布されたクラフト紙を、炉長1
m、120℃の乾燥炉に速度1m/分で通過させて離型
剤組成物組成物を乾燥、造膜した。上記クラフト紙の離
型剤塗布面とは反対側に実施例1と同様にして粘着剤を
塗布して粘着テープを製造した。
【0057】(実施例7)ステアリン酸の替わりにパル
ミチン酸を用いて表5に示す配合(XR2)を使用して
水分散系離型剤組成物(XR2)を製造し、この水分散
系離型剤組成物(XR2)を用いて実施例6と同様にし
て粘着テープを製造した。
【0058】(比較例11〜14、16)酸変性ポリオ
レフィン共重合体、ステアリン酸、パルミチン酸のいず
れれも使用せず、表4およ表5に示す配合とした水分散
系離型剤組成物(CXR1、CXR2、CXR3、CX
R5)を製造し、この水分散系離型剤組成物(CXR
1、CXR2、CXR3、CXR5)を用いて実施例6
と同様にして粘着テープを製造した。
【0059】(比較例15)酸変性ポリオレフィン共重
合体の替わりにステアリン酸を用いて、表4に示す配合
の水分散系離型剤組成物(CXR4)を製造し、この水
分散系離型剤組成物(CXR4)を使用して実施例6と
同様にして粘着テープを製造した。
【0060】(比較例17〜19)酸変性ポリオレフィ
ン共重合体、ステアリン酸、パルミチン酸のいずれも使
用せず、表5に示す配合として水分散系離型剤組成物
(CXR6、CXR7、CXR8)を作製しようとした
が、分散直後に凝集し、安定性が著しく劣っていた。従
って、離型剤を塗工することができず、クラフト粘着テ
ープを作製することができなかった。離型性能、粘着性
能を評価することもできなかった。
【0061】(比較例20)離型剤組成物として酸変性
ポリオレフィン共重合体、界面活性剤、油分を用いず、
離型剤(SR1)のみ用いた以外は実施例6と同様にし
てクラフト粘着テープを製造した。このものは筆記性と
非滑り性が特に悪いものであった。
【0062】性能評価 以上の実施例および比較例で得た粘着テープにつき、以
下の項目で評価した。その結果を表1乃至表4に示す。
但し、比較例7〜9と比較例17〜19については水分
散系離型剤組成物の安定性が悪く、基材に塗工できなか
ったので評価できなかった。
【0063】水分散系離型剤組成物の安定性 水分散系離型剤組成物を固形分が1重量%となるように
イオン交換水で希釈し、23℃で72時間放置した。そ
の後、目視により沈澱、凝集や分離の発生を観察し、そ
の溶液を200メッシュのステンレスフィルターで濾過
し、乾燥後の重量を測定、経時前の希釈溶液中の全固形
分に対する重量比を算出した。この重量比が0に近いほ
ど、即ち、沈澱の少ない方が安定性に優れている。 表中の記号 〇:沈澱・凝集・層分離がなく安定 △:沈澱・凝集・層分離がある ×:分散直後に凝集(塗工できず)
【0064】粘着テープの離型性(展開性) 粘着テープを25mm幅に切断し、JIS Z−023
7に準拠する方法で10m/分の高速度で巻き戻しを行
い、このときの引き剥がし力を離型性(展開性)とす
る。
【0065】離型剤の非移行性(残存接着力) ロール状に巻いた粘着テープを展開して25mm幅に切
断し、JIS Z−0237に準拠する方法でステンレ
ス板に貼り付け、23℃で24時間放置後300mm/
分の速度で180度引き剥がし粘着力を測定する。実施
例1で用いた組成の粘着剤を塗布した粘着テープを巻き
取らず、粘着剤が離型面に接しないようにして作製し、
上記と同様にして180度引き剥がし粘着力を測定する
と2010gであった。この値に対する上記粘着テープ
の180度引き剥がし粘着力の比を離型剤の非移行性
(残存接着力)とする。この比は離型剤の粘着剤への非
移行性を示し、100%に近いほど性能がよいことを表
すものである。
【0066】重ね貼り性(自背面接着力) 粘着テープを25mm幅に切断し、JIS Z−023
7に準拠する方法で300mm/分の低速度で巻き戻し
を行い、このときの引き剥がし力を自背面接着力とす
る。この力が小さ過ぎる(100g未満)と段ボール箱
等の梱包において、粘着テープの背面から重ね貼りする
と、すぐに剥がれるので実用性が悪い。
【0067】筆記性 粘着テープの離型剤塗布面に油性インクを用いたフェル
トペンで文字を書き、室温で5秒経過後に字のかすれ、
にじみ、はじきの有無、また、指でこすったときのイン
クの脱落の有無を調べる。 表中の記号 〇:油性インクの字のかすれ、にじみ、はじきがない ×:油性インクの字のかすれ、にじみ、はじきがある
【0068】非滑り性 粘着テープを50mm幅に切断し、傾斜角度を変更でき
る平面に貼り付ける。一方、120mm×50mmの大
きさのステンレス板にも同じクラフト粘着テープを貼り
付け、該ステンレス板の背面に全体の重さが200gと
なるように重りを載せて固定する。平面とステンレス板
との粘着テープの離型面同士を合わせて平面上にステン
レス板を載せる。平面を水平から徐々に傾斜角度を大き
くしながら傾斜させ、ステンレス板が滑り出したときの
角度を測定し、これを非滑り性とする。この値が大きい
ほど滑り難いことを意味するものである。
【0069】粘着性 1、初期粘着力(ボールタック) JIS Z−0237に準拠した転球法による。 2、保持力 JIS Z−0237に準拠した方法により、重りが落
下するまでの時間を測定する。尚、重りが落下しない場
合は、10時間で測定を打ち切る。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
【表5】
【0075】
【表6】
【0076】この表から次に示すことが判る。比較例
1、2や比較例11、12のように、重合度が300よ
り低い(200)部分鹸化ポリ酢酸ビニルを使用する
と、離型性が不十分であるから、ロール状に巻いた粘着
テープを巻き戻すのに苦労すると同時に巻き戻す際に粘
着剤層が剥ぎ取られることがある。又、残存接着力も低
下が著しく、離型剤成分が粘着剤に移行していることが
判る。特に、比較例2、12のように乾燥時間が120
秒と長くしたにもかかわらず残存接着力の低下が著し
い。又、比較例3や比較例13のように、部分鹸化ポリ
酢酸ビニルのビニルアルコール部分が50モル%より少
ないと、離型性が不十分であるから、ロール状に巻いた
粘着テープを巻き戻すのに苦労すると同時に巻き戻す際
に粘着剤層が剥ぎ取られることがある。又、比較例4〜
6や比較例14〜16のように、オクタデシルイソシア
ネートの量が少ないと、離型剤に結合するオクタデシル
イソシアネートの量が少なくなり、離型性が不十分とな
り、ロール状に巻いた粘着テープを巻き戻すのに苦労す
ると同時に巻き戻す際に粘着剤層が剥ぎ取られることが
ある。又、残存接着力も低下が著しく、離型剤成分が粘
着剤に移行していることが判る。又、比較例3、4や比
較例13、14では酸変性ポリオレフィン共重合体や脂
肪酸がないから、水分散系離型剤組成物の安定性が悪く
なる。比較例7〜9や比較例17〜19に示すように酸
変性ポリオレフィン共重合体や脂肪酸を含まない水分散
系離型剤組成物は安定性に欠け、使用できない。又、比
較例9や比較例19に示すように、離型剤としてシリコ
ーンを使用すると離型性は良いが、重ね貼り性が低過ぎ
るから、粘着テープの上に粘着テープが貼れないという
問題があるし、又、この粘着テープを貼ったダンボール
の上に同じダンボールを重ねると崩れ易いという問題も
ある。実施例1〜10はすべての項目が良好で優れた粘
着テープであることが判る。
【0077】次に、布を基材とする粘着テープの実施例
について説明する。 実施例11 経緯糸として30番手のスフ糸を使用した1平方インチ
当たりの糸の打ち込み本数が85本のスフ布にアンカー
コートを施し、このスフ布の片面にポリエチレン樹脂を
押出ラミネートして、布の片面に厚み70μmにポリエ
チレン樹脂層を設けた。片面にポリエチレン樹脂層が設
けられている布の表面をコロナ処理した後、このポリエ
チレン樹脂層の上に、実施例1に使用した水分散離型剤
組成物(XR1)15gに水を加えて離型剤成分が3重
量%になるように希釈した水分散離型剤組成物を、塗布
量が8g/m2 (固形分量で0.24g/m2 )になる
ようにマイヤーバーコーターにて塗布した後、100
℃、60秒で乾燥して、離型剤層を設けた。
【0078】次に、離型剤層が塗布された布の反対面に
次に示すように配合した粘着剤を、カレンダー法で厚み
280g/m2 に塗布して粘着テープを製造した。 ・粘着剤の配合 天然再生ゴム 100g 天然ゴム 10g C5 系石油樹脂 30g ロジンエステル 20g ナフテン系プロセスオイル 10g 炭酸カルシウム 50g 酸化防止剤 1g
【0079】(比較例21)実施例11と同じように布
の一面にポリエチレン樹脂をラミネートし、このポリエ
チレン樹脂層をコロナ処理する。水を除いた実施例1と
同じ離型剤組成物(離型剤(R1)15g、酸変性ポリ
エチレン(PO1)4g、界面活性剤1g、油分4g)
を3重量%になるようにトルエンに溶かし、このポリエ
チレン樹脂層の上に離型剤組成物のトルエン溶液を塗布
量が8g/m2 になるようにマイヤーバーコーターにて
塗布した後、100℃、60秒で乾燥した。次に、実施
例と同じ粘着剤を280g/m2 カレンダー法で、離型
剤層と反対面に塗布して布粘着テープを製造した。
【0080】(比較例22)比較例1で使用した水分散
系離型剤組成物(CXR1)を用いた以外は実施例11
と同じ方法で布粘着テープを製造した。
【0081】(比較例23)重合度1500、ポリビニ
ルアルコールユニット85モル%の部分鹸化ポリ酢酸ビ
ニル10gとオクタデシルイソシアネート55gを反応
させて離型剤を製造した。この離型剤15gとカチオン
界面活性剤8gと水142gとを実施例と同様な方法で
水分散系離型剤組成物を製造した。この水分散系離型剤
組成物を実施例と同様に離型剤成分の濃度が3%になる
ように希釈し、実施例と同じ布基材のポリエチレン樹脂
層の上に塗布し、その他面に実施例と同じ粘着剤層を設
けて布粘着テープを製造した。
【0082】(比較例24)無溶剤型シリコーン(信越
化学社製KNS−320)98重量%と白金触媒(信越
化学社製CAT−PL−56)2重量%とを混合した離
型剤(SR1)を、オフセットグラビアにて塗布量が
0.3g/m2 になるように、実施例11で製造した布
のオレフィン樹脂層の上に塗布し乾燥する。この布の反
対面に実施例11と同じ粘着剤層を設けて布粘着テープ
を製造した。
【0083】次に、上記実施例11および比較例21〜
24で製造した布粘着テープを前述した方法で水分散系
離型剤組成物の安定性、離型性(展開性)、重ね貼り性
(自背面接着性)、離型剤の非移行性(残存接着力)、
筆記性を測定した。更に、次に示す評価方法で環境面適
用性(有機溶剤使用の有無)を測定した。
【0084】環境面適用性 粘着テープを製造中に有機溶剤を使用する場合を×、使
用しない場合を○で示す。試験の結果を表7で示す
【0085】
【表7】
【0086】この表から明らかなように、離型剤組成物
をトルエンに溶解した比較例21は離型剤安定性や離型
性、重ね貼り性、筆記性に優れているが、有機溶剤を使
用するから、環境面適用性が悪く使用し難いことが判
る。又、離型剤組成物の中に、酸変性ポリオレフィン共
重合体(エチレン−アクリル酸共重合体)を含まない比
較例22では、離型剤組成物の安定性が悪いから長く保
存できないという問題がある。又、離型性が悪いから、
巻いている布粘着テープを巻き戻すときに巻き戻し難
く、悪くすると、粘着剤層が反対側に剥ぎ取られるとい
う問題が発生する。
【0087】又、特開平3−86778号公報等に記載
されている部分鹸化ポリ酢酸ビニルとアルキルイソシア
ネートからなる離型剤組成物を使用した比較例23で
は、離型性が悪いから、巻いている布粘着テープを巻き
戻すときに巻き戻し難く、悪くすると、粘着剤層が反対
側に剥ぎ取られるという問題が発生する。又、離型剤を
酸変性ポリオレフィン共重合体あるいは脂肪酸と共に分
散しない比較例22や比較例23では残存接着力が悪
く、離型剤が粘着剤に悪い影響を及ぼしていることが判
る。
【0088】又、従来のシリコーンを離型剤として使用
した比較例24では離型性は良いが重ね貼り性が悪く、
この布粘着テープを貼った上に他の粘着テープを貼るこ
とができず不便である。又、筆記性が悪く、従って、こ
の布粘着テープの上にマジックインク等で文字や絵を書
くことができず不便である。本発明の実施例11は全て
に満足した性能がある。
【0089】次に、ポリオレフィン樹脂フィルムを基材
とする粘着テープの実施例について説明する。 実施例12 離型剤成分を3重量%に水で希釈した実施例1で使用し
た水分散系離型剤組成物(XR1)を、コロナ放電処理
を施した厚み40μmの延伸したポリプロピレン樹脂フ
ィルムの表面に、8g/m2 となるようにマイヤーバー
コーターにて塗布乾燥した。乾燥条件は120℃、60
秒である。下記の粘着剤を上記離型剤の塗布面とは反対
面に厚み25μmになるように塗布乾燥して粘着テープ
を製造した。 ・粘着剤の配合 ブチルアクリレート 50重量部 2−エチルヘキシルアクリレート 50重量部 アクリル酸 2重量部 この粘着テープの性能は表10に示す通りであり、良好
な性能を示し、高温経時後も性能に大きな変化は見られ
なかった。
【0090】実施例13 界面活性剤の種類および量が下記の通りであることを除
けば実施例12と同じ要領で粘着テープを得た。 界面活性剤 ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(花王社製 ペレ
ックスOTP)0.8g
【0091】比較例25 水を除いた実施例12と同じ離型剤組成物(離型剤(R
1)15g、酸変性ポリオレフィン共重合体(PO1)
4g、界面活性剤1g、油分4g)の離型剤成分が3重
量%になるようにトルエンに溶解し、マイヤーバーコー
ターで塗布量8g/m2 になるように塗布し、120
℃、60秒乾燥した。その後、実施例12と同様な方法
で粘着テープを製造した。得られた粘着テープは表8に
示すように良好な離型性能を示したが、工程中有機溶剤
を使用するため、環境面に悪影響を及ぼした。又、この
有機溶剤を取り除くためには大きな設備投資が必要であ
る。
【0092】比較例26 比較例1に使用した水分散系離型剤組成物を実施例12
と同様な方法で塗布乾燥し、粘着剤層を設けて延伸ポリ
プロピレン樹脂フィルムを基材とした粘着テープを製造
した。この粘着テープを評価した結果、表8に示すよう
に水分散系離型剤組成物の経時安定性が不十分であり、
離型性も満足すべきものでなかった。
【0093】比較例27 部分鹸化ポリ酢酸ビニル(重合度1100、ポリビニル
アルコールユニット98モル%)を部分鹸化ポリ酢酸ビ
ニル(重合度1500、ポリビニルアルコールユニット
85モル%)に替え、オクタデシルイソシアネート67
gを55gに替えて実施例1と同様にして離型剤を製造
し、この離型剤15gをカチオン界面活性剤8gを溶か
した水142gの中に分散させて水分散系離型剤組成物
を得た。この水分散系離型剤組成物を実施例12と同様
な方法で延伸ポリプロピレン樹脂フィルムを基材とした
粘着テープを製造した。
【0094】比較例28 無溶剤型シリコーン(信越化学社製KNS−320)9
8重量%と白金触媒(信越化学社製CAT−PL−5
6)2重量%とを混合した離型剤(SR1)を、オフセ
ットグラビアにて塗布量が0.3g/m2 になるよう
に、実施例12で製造した延伸ポリプロピレン樹脂フィ
ルムの一面に塗布し乾燥する。この離型剤を塗布した反
対面に実施例11と同じ粘着剤層を設けて粘着テープを
製造した。
【0095】次に、上記実施例12、13および比較例
25〜28で製造した粘着テープを前述した方法で水分
散系離型剤組成物の安定性、重ね貼り性(自背面接着
性)、離型剤の非移行性(残存接着力)、筆記性、環境
面適用性を測定した。試験の結果を表8で示す
【0096】
【表8】
【0097】この表から明らかなように、離型剤組成物
をトルエンに溶解した比較例25は離型剤安定性や離型
性、重ね貼り性、筆記性に優れているが、有機溶剤を使
用するから、環境面適用性が悪く使用し難いことが判
る。又、離型剤組成物の中に、酸変性ポリオレフィン共
重合体(エチレン−アクリル酸共重合体)を含まない比
較例26、27では、離型剤組成物の安定性が悪いから
長く保存できないという問題がある。又、離型性が悪い
から、巻いている粘着テープを巻き戻すときに巻き戻し
難く、悪くすると、粘着剤層が反対側に剥ぎ取られると
いう問題が発生する。
【0098】又、離型剤を酸変性ポリオレフィン共重合
体あるいは脂肪酸と共に分散しない比較例26では残存
接着力が悪く、離型剤が粘着剤に悪い影響を及ぼしてい
ることが判る。
【0099】又、従来のシリコーンを離型剤として使用
した比較例24では離型性は良いが重ね貼り性が悪く、
この粘着テープを貼った上に他の粘着テープを貼ること
ができず不便である。又、筆記性が悪く、従って、この
粘着テープの上にマジックインク等で文字や絵を書くこ
とができず不便である。本発明の実施例11は全てに満
足した性能がある。
【0100】
【発明の効果】本発明では、クルパック加工されたクラ
フト紙或いは布の一面にポリオレフィン樹脂層が設けら
れているから、クラフト紙や布の機械的強度が大となる
と同時に粘着剤に対する離型性がよくなる。
【0101】又、本発明に使用する水分散系離型剤組成
物は、離型剤を酸価が0.2〜800の酸変性ポリオレ
フィン共重合体あるいは炭素数10〜30の脂肪酸と共
に水に分散させたものであるから、水分散系離型剤組成
物の安定性がよく、長期間保存できるとともに、これを
クラフト紙や布の一面に設けられたポリオレフィン樹脂
層やポリオレフィン樹脂フィルムの上に設ける場合、離
型剤組成物層が短時間の乾燥で強固に付着する。
【0102】一方、離型剤層と粘着剤層との離型性も適
度であり、ロール状に巻いた粘着テープの巻き戻しが容
易であるし、粘着テープの裏面に粘着剤層が付着して剥
がれることがない。又、重ね貼り性、筆記性が良好であ
るし、非滑り性に優れているので実用上問題がない。更
に、この粘着テープをロール状に巻いて保存していても
離型剤組成物が粘着剤に移行し、粘着剤の粘着性が低下
することがない。加えて本発明においては、製造する際
に溶剤を使用しないから、安全上、環境上の問題が発生
しない。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 片面にポリオレフィン樹脂層がラミネー
    トされたクルパック加工クラフト紙或いは布、又はポリ
    オレフィン樹脂フィルムを基材とし、これらポリオレフ
    ィン樹脂層に接して離型剤層が積層され、他面に粘着剤
    層が積層されてなる粘着テープにおいて、 上記離型剤層が、重合度300〜5000であり、ビニ
    ルアルコールユニットを50モル%以上含有するポリ酢
    酸ビニル(共)重合体の鹸化物の水酸基1当量に対し
    て、イソシアネート基、カルボン酸基、酸ハライド基、
    ケテン基、アルデヒド基、エポキシ基からなる群より選
    ばれる上記水酸基と反応する官能基を1種類以上有する
    炭素数6〜30の長鎖アルキル化合物を、官能基換算で
    0.5当量以上反応させて得られる離型剤を、酸価が
    0.2〜800の酸変性ポリオレフィン共重合体又は炭
    素数10〜30の脂肪酸と共に水中に分散させてなる水
    系離型剤組成物を塗布、乾燥して得られるものであるこ
    とを特徴とする粘着テープ。
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