JP4817043B2 - セラミクス基板およびセラミクス基板を用いた電子部品とセラミクス基板の製造方法 - Google Patents
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近年、配線の高密度化に伴い、セラミクス基板と半導体素子との電気的接合に、ワイヤボンディングが用いられるようになってきた。多数の配線が要求される高密度なワイヤボンディングでは、100μm以下の金線を、加熱した基板上のワイヤボンディング用端子に、超音波振動を与えながら摺動させることにより接合が取られる。
このような問題に対して、金めっき厚を0.1μm以下の置換金のみとし、ワイヤボンディング前に、プラズマ処理により金皮膜表面の水酸化ニッケルのクリーニングを行う方法が提案されている。しかしながら、置換金めっきのみの皮膜は多くのピンホールを有し、熱処理時に金表面に多く拡散したニッケルはプラズマ処理によっても除去することは難しく、ボンディングの信頼性が乏しく、信頼性を求められる電子部品では用いられていないのが現状であった。
Auを主体とする皮膜は膜厚を0.02〜0.1μmとするのが望ましい。金膜が0.02μm以下の膜厚であると、Pdを主体とする皮膜との相互拡散によりAu−Pd皮膜とした場合にボンディングの際に金線とのなじみが悪く、十分な強度がでない。また、半田づけの際に半田への拡散が悪く、半田濡れ性が良くない。金膜が0.1μm以上の膜厚であると、金は高価な金属であるため、製造コストの増加を招く。
Pd膜は、はんだへの拡散速度が遅く半田濡れが悪いため、電子部品をプリント基板等に実装する際にはんだ接合不良の不具合を起こすリスクが大きくなる。そこで最表層金属膜を均一なAu−Pd合金膜とすることにより、速やかに半田中に拡散し、強固な接着強度が得られる。ボンディングの際にも、薄いAu膜は金線とのなじみが悪く、十分な接着強度が得られない場合もあるが、均一なAu−Pd合金では、金線と強い接着強度をもたらす。
金とパラジュウムの合金は、元素濃度比で1:15〜10:1が望ましい。金の元素濃度がPdの15分の1以下であると半田への拡散速度が遅く、十分な半田接合性が得られない上に、金線とのなじみが悪く、十分なボンディング接合強度が得られない。金の元素濃度がパラジュームの10倍以上であると、製造コストの増加を招く。
膜厚が1μm以下であると、半田接合の際に下地層が半田中に拡散するのを防ぐことができない。15μm以上であると、めっき膜の応力により、割れが入ったり、密着力が低下したりする。
セラミクス基板の所定の端子に、Snを主体とする半田ペーストを塗布し、ついで、半導体素子、容量素子、抵抗素子等を実装する。実装した後、基板を所定の温度に加熱し、半田ペーストを溶解、凝固させ実装部品を固定する。この時の加熱温度は、半田の融点によるが、250〜400℃が望ましい。250℃以下では半田の溶融が十分では無く接触不良を起こし、400℃以上に加熱すると半田食われなどの不具合を起こす可能性が高くなる。加熱にはリフロー炉などを用いて基板を均一に加熱することが望ましい。
また、この加熱によりワイヤボンディング端子および外部接続端子においては、Pd被膜とAu被膜が相互に拡散し、均一なAu−Pd皮膜が形成される。
本発明について一実施例を示して説明する。
まず、アルミナを主成分とするセラミクスグリーンシートを作成した。そして、このセラミクスグリーンシートの表面に、主に銀を主成分とする電極用ペーストをスクリーン印刷法により印刷して内部電極を形成した。印刷パターンの異なる内部電極を形成したセラミクスグリーンシートを複数枚数積層して、圧着し、積層ブロック体を得た。さらに、積層ブロック体表面に銀を主体とするペーストを印刷し、端子電極を形成した。この積層ブロックを900℃にて1時間焼成して、セラミクス基板とした。
次に、この基板を硫酸にて表面を洗浄した後、塩化パラジュームを主成分とする水溶液に浸漬し触媒を電極表面に付与した。イオン交換水で余分なパラジューム溶液を洗浄した後、過熱したジアリン酸ナトリームを還元剤とした無電界Ni−Pめっき液に所定時間浸漬し、Ni−P皮膜を形成した。ついで、これをイオン交換水で洗浄した後、加熱したギ酸を還元剤とした無電界パラジュームめっき液に所定時間、浸漬しPd皮膜を形成した。さらに、これをイオン交換水で洗浄した後、加熱したノーシアン置換型めっき液に所定時間、浸漬したのちイオン交換水で洗浄し、乾燥し、セラミクス基板試料とした。
次に、接続したボンディングワイヤに対して引っ張り試験を行い、ボンディングワイヤの接続強度、および破壊モードを測定した。また、235℃に加熱した、Sn−Pb半田に2秒浸漬した後、外部接続用の端子電極が半田で覆われている面積を計測し半田濡れ性評価とした。さらに、AES分析により端子の最外層膜の組成について調べた。また、表層からPd膜までを薬剤で剥離しNi−P膜の状態を観察した。
実施例1と同様の方法でセラミクス基板試料を作成した。
次に、この基板を硫酸にて表面を洗浄した後、塩化パラジュームを主成分とする水溶液に浸漬し触媒を電極表面に付与した。イオン交換水で余分なパラジューム溶液を洗浄した後、過熱したジアリン酸ナトリームを還元剤とした無電界Ni−Pめっき液に所定時間浸漬し、Ni−P皮膜を形成した。さらに、これをイオン交換水で洗浄した後、加熱したノーシアン置換型めっき液に所定時間、浸漬したのちイオン交換水で洗浄し、乾燥し、セラミクス基板試料とした。
このようにして得られた、基板試料の端子電極の一つにSn−Ag−Cuを主成分とする半田ペーストを塗布し、半導体素子を搭載し、ピーク温度340℃に設定されたリフロー炉を通路し、固定した。次に、半導体素子上のパッドと基板上の端子電極を25μmの金線で超音波ボンダーを用いて結線した。
実施例1と同様の方法でセラミクス基板試料を作成し、めっき膜を形成した。
基板試料の端子電極の一つに、半導体素子を導電性接着剤で固着した。次に、半導体素子上のパッドと基板上の端子電極を25μmの金線で超音波ボンダーを用いて結線した。
次に、接続したボンディングワイヤに対して引っ張り試験を行い、ボンディングワイヤの接続強度、および破壊モードを測定した。また、235℃に加熱した、Sn−Pb半田に2秒浸漬した後、外部接続用の端子電極が半田で覆われている面積を計測し半田濡れ性評価とした。さらに、AES分析により端子の最外層膜の組成について調べた。
図3および図4はオージェ分析器機により、めっきの深さ方向の元素を調べたものである。実施例のように熱履歴を受けると最表層膜は均一なAu−Pd合金を形成することが分かり、表1よりその均一な合金が形成されることにより、ボンディング性および半田濡れ性が向上することが確認された。
図5および図6は実施例1および比較例1で作成された試料のPd皮膜までを薬剤により除去した後に、Ni−Pめっき膜表面を電子顕微鏡にて観察した写真である。本発明によれば、Ni−P被膜の腐食を防ぐことができることが分かる。これにより、水酸化ニッケルがピンホールからめっき表面まで上がってくることが無く、ボンディング性および半田濡れ性に優れたセラミクス基板とすることができる。
Claims (6)
- 複数の外部電極を有するセラミクス基板であって、
セラミクス基板に形成される外部電極は、AgもしくはCuを主体とする下地層の表面にNiを主体とする被膜としてNi−P被膜又はNi−B被膜と、前記Niを主体とする被膜の表面にPdを主体とする被膜として純Pd被膜又はPd−P被膜と、表層として前記Pdを主体とする被膜の表面にAu−Pd皮膜とを有し、
前記Au−Pd皮膜は前記Pdを主体とする被膜の一部と前記Au−Pd皮膜の表面に形成されたAuを主体とする被膜との相互の熱拡散により形成されたことを特徴とするセラミクス基板。 - 前記Au−Pd皮膜の表面には水酸化ニッケルを有さないことを特徴とする請求項1に記載のセラミクス基板。
- Au−Pd皮膜は、AuとPdの元素濃度比で1:15〜10:1の均一な皮膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミクス基板。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載のセラミクス基板に搭載された実装素子と前記外部電極とを100μm以下のAu線で結線したことを特徴とする電子部品。
- 複数の外部電極を有するセラミクス基板の製造方法であって、
セラミクス基板に形成される外部電極は、AgもしくはCuを主体とする下地層の表面にNiを主体とする被膜としてNi−P被膜又はNi−B被膜を1〜15μmの膜厚で形成する第1工程と、
前記Niを主体とする膜の表面に、Pdを主体とする膜として純Pd被膜又はPd−P被膜を0.05〜2μmの膜厚で形成する第2工程と、
前記Pdを主体とする被膜の表面に、その厚みよりも薄くAu被膜を0.02〜0.1μmの膜厚で形成する第3工程と、
第3工程を経たセラミクス基板を250〜400℃で加熱して、Pdを主体とする皮膜と、Auを主体とする皮膜との相互拡散によって、表層をAu−Pd皮膜とし、その下層を、Pdを主体とする皮膜とする第4工程により形成されることを特徴とするセラミクス基板の製造方法。 - 第4工程にて、前記外部電極の表層をAuとPdの元素濃度比で1:15〜10:1の均一な皮膜とすることを特徴とする請求項5に記載のセラミクス基板の製造方法。
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