JP4811670B2 - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents

弁開閉時期制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4811670B2
JP4811670B2 JP2007187325A JP2007187325A JP4811670B2 JP 4811670 B2 JP4811670 B2 JP 4811670B2 JP 2007187325 A JP2007187325 A JP 2007187325A JP 2007187325 A JP2007187325 A JP 2007187325A JP 4811670 B2 JP4811670 B2 JP 4811670B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phase
valve
torque
engine
lift
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007187325A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009024563A (ja
Inventor
和己 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Aisin Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin Seiki Co Ltd, Aisin Corp filed Critical Aisin Seiki Co Ltd
Priority to JP2007187325A priority Critical patent/JP4811670B2/ja
Publication of JP2009024563A publication Critical patent/JP2009024563A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4811670B2 publication Critical patent/JP4811670B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Landscapes

  • Valve Device For Special Equipments (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Description

本発明は、内燃機関の吸気弁及び排気弁の少なくとも一方の開閉時期を制御するための弁開閉時期制御装置に関する。
従来、内燃機関(エンジン)の運転状態に応じて吸気弁や排気弁の開閉時期を変更する弁開閉時期制御装置が実用化されている。例えば、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を変化させることによりカムシャフトの回転に伴って開閉される吸排気弁の開閉時期を変更する機構が知られている。ところで、吸気弁及び排気弁にはそれぞれ、エンジン始動時に好適な開閉時期が存在している。この開閉時期は一般的に車両の走行時などエンジンが運転中の場合とは異なることが多い。つまり、クランクシャフトとカムシャフトとの回転位相は、エンジンの始動時と運転時とで異なることが多い。例えば、下記に示す特許文献1には、進角側と遅角側との中間においてエンジン始動時の回転位相を機械的に定めるために、ロック機構を有する可変バルブタイミング機構が開示されている。エンジンが運転状態となって油圧が上昇するとロック機構が解除され、運転状態に応じた適切な位相制御が可能となる。
下記に示す特許文献2には、進角油圧室と遅角油圧室とを連通するバイパス油路、及び当該バイパス油路に設けられて遅角油圧室から進角油圧室へのオイルの流れを妨げる逆止弁が備えられたバルブタイミング調整装置が記載されている。この逆止弁はオイルが低温の場合に作動するものである。特許文献2の機構では、エンジンの始動時における好適な回転位相は、クランクシャフトに対してカムシャフトが最遅角側にある場合である。この機構によれば、オイルが低温であるエンジン始動時に、進角油圧室の油圧が上昇すると逆止弁が開き、進角油圧室から遅角油圧室へオイルが流れて位相が変換される。従って、エンジンが確実に始動して、正常運転に移行することができる。エンジンが正常運転の状態になると、オイルの温度が上昇して逆止弁は作動しなくなる。従って、進角油圧室の油圧が上昇してもバイパス油路は連通されず、運転状態に応じた適切な位相制御が可能となる。
特許第3211713号公報(第36〜57段落等) 特開平11−229828号公報(第26〜31段落等)
ところで、運転中のエンジンが停止すると、油圧も急速に低下するため、回転位相がエンジン始動時の初期位置に復帰しない場合がある。例えば、特許文献1のようにロック機構を有していても、ロックが機能する位置まで相対回転できずにエンジン始動時に適した回転位相に復帰できない場合がある。また、特許文献2のように、バイパス油路を備えていても、エンジン停止後に短い時間で再始動する場合には、オイルが冷えておらず、逆止弁が作動しない場合がある。
本願発明は、上記課題に鑑みて創案されたもので、運転中のエンジンが停止した場合に、迅速にエンジン始動時の位相に復帰することが可能な弁開閉時期制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る弁開閉時期制御装置の特徴構成は、
内燃機関のクランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材と、前記駆動側回転部材に対して同軸上に配置され、前記内燃機関の吸気弁及び排気弁の少なくとも一方を開閉するカムシャフトに対して一体回転する従動側回転部材との相対位相を、可動する仕切りによって容積が相補的に可変する2種類の圧力室のそれぞれに対する作動流体の給排によって変位させる位相変換機構と、
前記内燃機関の始動時の初期位相において前記相対位相を固定可能なロック機構と、
前記吸気弁及び前記排気弁の少なくとも一方を開弁する際の弁のリフト量を設定可能な可変動弁機構と、を備え、
前記可変動弁機構が、前記内燃機関が停止する際に、前記相対位相に基づいて前記リフト量が設定される点にある。
吸気弁や排気弁のバルブスプリングの抵抗や位相変換機構の粘性抵抗などにより、カムシャフトが回転トルクを発生し、位相変換機構は回転トルクを受ける。この回転トルクは、吸気弁や排気弁のリフト量に応じて変動する。具体的には、リフト量が大きい場合には回転トルクも大きくなり、リフト量が小さい場合には回転トルクも小さくなる。内燃機関が停止する際には、内燃機関に連動するポンプも動作を停止するため、位相変換機構の制御は緩慢となる。そこで、カムシャフトが発生する回転トルクを利用して早期に位相変換機構を初期位相に復帰させると、次の内燃機関の始動の際に好適である。一般的に内燃機関はイグニッションスイッチをオフ状態にされるなどの停止指示を受け、停止処理を行って停止する。停止指示を受けた時の内燃機関の相対位相が初期位相に対して進んでいるか、遅れているかによって停止過程において位相を変位させたい方向が異なる。また、より大きなカムシャフトの回転トルクを利用する方が好ましいか、回転トルクを抑制した方が好ましいかは、位相変換機構や流体圧回路の構造によっても異なる。例えば、位相変換機構には、初期位相への付勢力を付加する付勢手段を有するものや、初期位相への復帰のための補助流体圧機構を有するものがある。従って、このような機構の違いによっても利用したい回転トルクの方向や大きさが異なる場合がある。本特徴構成によれば、内燃機関が停止する際の相対位相に基づいて吸気弁や排気弁のリフト量が設定される。つまり、内燃機関が停止する際の相対位相に基づいて回転トルクの大きさが制御される。従って、カムシャフトが発生する回転トルクを、初期位相への復帰にとって有効に利用することができる。その結果、運転中のエンジンが停止した場合に、迅速にエンジン始動時の位相に復帰することが可能な弁開閉時期制御装置を提供することができる。
また、本発明に係る弁開閉時期制御装置は、さらに、前記駆動側回転部材に対する前記従動側回転部材の前記相対位相が前記初期位相に対して進んでいる進角側及び遅れている遅角側の何れか一方側から前記初期位相の方向へ前記位相変換機構を付勢する付勢機構を備えることを特徴とする。
この特徴によれば、初期位相に対して内燃機関が停止する際の相対位相が進角側或いは遅角側の何れかの場合に、付勢力を利用して相対位相を初期位相へ復帰させることができる。一方、初期位相に対する停止時の相対位相が、付勢力が利用できない側である場合には、吸気弁や排気弁のリフト量を制御して付勢力を超えるトルクを得ればよい。つまり、カムシャフトが発生する回転トルクを利用して相対位相を初期位相へ復帰させることができる。従って本特徴によれば、付勢機構の付勢力とカムシャフトの回転トルクとを利用して進角側、遅角側の双方から初期位相へ位相を変位させることができる。その結果、運転中のエンジンが停止した場合に、迅速にエンジン始動時の位相に復帰することが可能な弁開閉時期制御装置を提供することができる。
また、本発明に係る弁開閉時期制御装置は、さらに、前記可変動弁機構が、前記リフト量が異なる大リフト状態と小リフト状態との少なくとも2つの状態に設定可能であり、
前記付勢機構により生じる補助トルクが、前記内燃機関がアイドリング運転される場合において前記リフト量が前記大リフト状態に設定される場合に生じる平均トルクよりも小さく、前記リフト量が前記小リフト状態に設定される場合に生じる平均トルクよりも大きく設定されることを特徴とする。
この特徴構成によれば、吸気弁や排気弁のリフト量が小リフト量の場合には、カムシャフトが発生するトルクが付勢機構による補助トルクを下回る。従って、相対位相は補助トルクにより付勢された方向へ変更される。吸気弁や排気弁のリフト量が大リフト量の場合には、カムシャフトが発生するトルクが付勢機構による補助トルクを上回る。カムシャフトが発生するトルクの方向が補助トルクによる付勢方向とは逆方向であれば、相対位相は補助トルクにより付勢された方向と反対の方向へ変更される。従って、内燃機関が停止する際の相対位相に応じて、吸気弁や排気弁のリフト量を制御することによって、任意の方向へ相対位相を変更させることができる。その結果、運転中のエンジンが停止した場合に、迅速にエンジン始動時の位相に復帰することが可能な弁開閉時期制御装置を提供することができる。
また、本発明に係る弁開閉時期制御装置は、前記初期位相から前記付勢方向側への所定の位相角を前記ロック機構の作動範囲として許容するラチェット機構を備え、
前記内燃機関へ停止指示が与えられた際の前記相対位相が、前記初期位相に前記所定の位相角を加味したしきい値位相に対して前記付勢方向の位相である場合には、前記リフト量が前記大リフト状態に設定され、前記しきい値位相に対して前記付勢方向とは逆方向の位相である場合には、前記リフト量が前記小リフト状態に設定されることを特徴とする。
カムシャフトによる回転トルクは内燃機関の運転停止に伴って減少するため、付勢機構による付勢方向への位相変更は、カムシャフトによる回転トルクに拘らず、補助トルクによって実現可能である。しかし、付勢機構による付勢方向と反対方向への位相変更は、補助トルクに勝る回転トルクを利用しなければ実現することができない。本特徴構成によれば、相対位相が初期位相から所定の位相角分、付勢方向とは反対の方向へずれていてもラチェット機構によりロック機構が作動する。つまり、付勢方向とは反対方向へ位相を変位させるための回転トルクが小さくて初期位相の位置まで変位させることができない場合でも、ラチェット機構を設けたことにより、初期位相への復帰を可能とすることができる。また、本特徴によれば、ロック機構の作動範囲を拡張するためにラチェット機構により拡張された位相角が加味されたしきい値位相を基準として、リフト量の設定を変更するように構成される。これにより、内燃機関が停止する際の相対位相に応じてカムシャフトによる回転トルクを適切に制御することができる。
また、本発明に係る弁開閉時期制御装置は、前記付勢機構により付勢される方向が、前記駆動側回転部材に対して前記従動側回転部材の前記相対位相が進んでいる進角方向であることを特徴とする。
従動側回転部材は駆動側回転部材に対して従動する。従って、一般的に位相変換機構への制御が緩慢となると、吸気弁や排気弁のバルブスプリングの抵抗や位相変換機構の粘性抵抗等により、回転トルクは遅角側へ偏向し易い。このため、内燃機関が停止する際にカムシャフトが発生する回転トルクは、遅角側に偏向した交番トルクとなる。つまり、カムシャフトによる回転トルクを適切に利用することにより、遅角側への位相変更を実現することができる。ここで、本特徴構成のように、付勢機構により進角側へ付勢されると、付勢力により進角側への位相変更も可能とすることができる。尚、カムシャフトによる回転トルクは、内燃機関の停止に伴い漸次減少する。従って、付勢機構による補助トルクに打ち勝って遅角側への位相変更を実現するためには、内燃機関が停止する際にカムシャフトによる回転トルクを最大限に利用可能な状態にすることが望まれる。上述した特徴構成によれば、吸気弁や排気弁のリフト量を適切に設定することにより、この回転トルクを最大限に利用可能な状態にすることができる。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の弁開閉時期制御装置の構成を模式的に示す破断断面図である。図2は、図1のII−II断面図であり、1つの作動状態における位相変換機構の状態を模式的に示す平面図である。図中の符号7は、位相変換機構を示す。位相変換機構7は、内燃機関(エンジン)に対して同期回転する駆動側回転部材72と、駆動側回転部材72に対して同軸上に配置される従動側回転部材71とを有している。本例では、駆動側回転部材72の内側に従動側回転部材71が配置された場合を示している。駆動側回転部材72は、プーリや図示のようなスプロケットとなっている。不図示のベルトやチェーンを介して駆動側回転部材72に、エンジンのクランクシャフトからの回転が伝達される。カムシャフト8にボルト75で固定される従動側回転部材71が駆動側回転部材72と一体回転し、カムシャフト8を回転させてエンジンの吸気弁や排気弁を開閉する。
駆動側回転部材72と従動側回転部材71との間には、空間が形成されている。この空間は、可動する仕切りであるベーン73によって2種類の圧力室5及び6に分割されている。空間の容積は決まっており、空間の中でベーン73の位置が変化することによって、2種類の圧力室5及び6は、相補的にその容積が変わる。容積が変わることによって、駆動側回転部材72と従動側回転部材71との相対的な回転位相が変位され、ピストン運動するエンジンに対する吸気弁や排気弁の開閉タイミングが変更される。尚、仕切りは図2に示すような板状のベーン73に限らず、ブロック形状のものでもよい。
図2に示す例では、位相変換機構7は時計回りに回転する。図2には、駆動側回転部材72に対して従動側回転部材71の位相が最も遅れた場合を示している。符号5及び符号6は圧力室である。図2では、圧力室5に作動流体が供給され、圧力室6に対する相対的な容積が増加することによって従動側回転部材71の位相が駆動側回転部材72に対して遅角側に制御されている。圧力室6に作動流体が供給されると逆側(進角側)に制御される。従って、本例では、以下、圧力室5を遅角室、圧力室6を進角室と称する。尚、当然ながら、遅角室5又は進角室6に作動流体を供給すると共に進角室6又は遅角室5から作動流体を排出してもよい。
また、図1において、遅角室5に通じる流路51を遅角流路、進角室6に通じる流路61を進角流路と称する。尚、遅角室5及び進角室6は完全密閉されてはおらず、各圧力室の容量を超える作動流体が供給されると、作動流体は位相変換機構7の外側へ漏れ出す。作動流体は例えばエンジンオイル(以下、オイルと略称する。)であり、漏れ出したオイルはエンジンの各部へ供給されるオイルと共に回収される。以下、作動流体がオイルである場合を例として説明する。
駆動側回転部材72と従動側回転部材71との間には、位相変換機構7を初期位相の方向へ付勢する付勢機構として、図3に示すようなトーションスプリング1が設けられている。トーションスプリング1は、従動側回転部材71を駆動側回転部材72に対して進角側に付勢力(アシストトルク)を与えている。従動側回転部材71は、吸気弁や排気弁のバルブスプリングや位相変換機構7から受ける抵抗により、駆動側回転部材72に対して遅れがちになる。トーションスプリング1は、1つの目的として、この遅れ、即ち遅角側へ位相の変位を抑制するために設けられている。また、もう1つの目的として、エンジン始動時の初期位相への復帰を円滑に行うために設けられている。
エンジンには、始動に最適な吸気弁及び排気弁のタイミングが存在する。このタイミングを実現するための位相変換機構7の相対位相を初期位相と称する。本実施形態では、位相変換機構7にロック機構9を有しており、エンジンの始動時には初期位相において固定される構造である。図2に示すように、本実施形態では、初期位相は最遅角側や最進角側ではなく、両者の中間である中間位相に設定されている(追って示す図12参照)。
図4は、ロック機構を示す部分拡大図である。ロック機構9は、ロック制御流路91、ロックピン93、バネ95により構成されている。ロックピン93はバネ95などの弾性部材によってロック制御流路91に対して付勢されている。ロック制御流路91にオイルが供給されるとロックピン93が付勢力に抗って後退し、ロックが解除されて位相変換機構7の相対回転が可能となる。また、図4に示すように、本実施形態においては、ロック機構9は、初期位相から進角方向側への所定の位相角αをロック機構9の作動範囲として許容するラチェット機構を備えている。これにより、相対位相が初期位相から、所定の位相角αだけ遅角方向へずれていてもロック機構9を作動させることができる。
図5は、本実施形態に係る位相変換機構7への油圧回路の例を模式的に示すブロック図である。符号11はオイルパンである。オイルパン11は、上述したように、エンジンの各部に供給され回収されたオイルが貯留される貯留部である。符号12は、エンジンの回転に連動する機械式のポンプである。符号13はオイルフィルタである。ポンプ12によってオイルパン11から汲み上げられたオイルに含まれる煤などの不純物は、オイルフィルタ13でろ過される。ろ過されたオイルは、分岐したそれぞれの流路を経て位相変換機構7やその他のエンジン各部10に供給される。位相変換機構7への流路には、逆止弁14が設けられている。逆止弁14は位相変換機構7からのオイルの逆流を防ぎ、位相変換機構7の動作を安定させる。
ポンプ12、オイルフィルタ13、逆止弁14を経由したオイルは、ECU(electronic control unit)4によって制御されるオイルコントロールバルブ(OCV)15に供給される。位相変換機構7には、カムシャフト8の内部を通る進角流路61、遅角流路51を介してオイルが給排されるので、OCV15には、進角流路61及び遅角流路51が接続される。OCV15は、進角流路61及び遅角流路51をそれぞれオイル供給路あるいはオイル排出路として設定する。図2に示した例では、OCV15によって進角流路61がオイル供給路、遅角流路51がオイル排出路として設定されている。つまり、位相変換機構7を進角側へ制御する場合の油圧回路が示されている。
逆止弁14とOCV15との間の流路から分岐した流路は、オイルスイッチングバルブ(OSV)97を介してロック制御流路91に接続される。このOSV97も、OCV15と同様にECU4によって制御される。尚、位相変換機構7の構成によっては、ロック制御流路91を進角流路61や遅角流路51と兼用することが可能である。
本実施形態の弁開閉時期制御装置を介して開閉される吸気弁や排気弁は、可変動弁機構を備えている。図6は、可変動弁機構の構成例を模式的に示す説明図である。この可変動弁機構は、吸気弁や排気弁のリフト量を無段階に可変とすることができる構造である。本実施形態においては、無段階型の可変動弁機構を用いているが、本発明の実施に際しては大リフト状態と小リフト状態との少なくとも2段階に切り替え可能であれば充分である。
吸気弁や排気弁などの弁2は、カムシャフト8に固定された回転カム81の回転を、仲介駆動機構を介してロッカーアーム41が受けることによって開閉される。即ち、本実施形態において、可変動弁機構は、回転カム81、仲介駆動機構、ロッカーアーム41を有して構成されている。仲介駆動機構は、第1スイングアーム21、第2スイングアーム22、可変アーム31を有して構成されている。尚、吸気弁及び排気弁が共に可変動弁機構を備えていてもよいし、何れか一方だけが可変動弁機構を備えていてもよい。
第1スイングアーム21と第2スイングアーム22とは、所定の角度を有して回動軸20において連結されている。可変アーム31は一端が第1スイングアーム21に回動軸30において連結され、他端が第2スイングアーム22の一方の側面に当接している。第2スイングアーム22の他方の側面は、ロッカーアーム41のローラ40に当接している。第2スイングアーム22の両側面に挟まれた幅は一様ではなく、第1スイングアーム21と連結されていない側の端部に向けて広い幅を有している。可変アーム31は、第2スイングアーム22の一方の側面に一端を当接させながら回動軸30を中心として回動可能である。この回動により、第1スイングアーム21と第2スイングアーム22との開き、即ち両スイングアーム間の所定の角度が変更される。また、これにより、第2スイングアーム22がロッカーアーム41のローラ40に当接する部分の幅も変更される。
カムシャフト8の回転により、回転カム81が回転すると、仲介駆動機構が回動し、ロッカーアーム41を揺動させて、弁2を開閉させる。ロッカーアーム41は一方に弁2を、他方に油圧ラッシュアジャスタ42を備えて、ローラ40の中心を軸として揺動する。油圧ラッシュアジャスタ42は、揺動によるがたつきの調整機構である。
図7は、小リフト状態を示す説明図であり、図8は、大リフト状態を示す説明図である。図7に示すように、可変アーム31により第2スイングアーム22が狭幅な側に仲介駆動機構が設定されていると、弁2のリフト量が小リフト状態となる。図8に示すように、可変アーム31により第2スイングアーム22が広い幅の側に設定されていると、弁2のリフト量が大リフト状態となる。
図9は、カムトルクとアシストトルクとを示す波形図である。図9においてIGOFFは、エンジン運転中にイグニッションスイッチをオフにした時点を示している。吸気弁や排気弁のバルブスプリングの抵抗や位相変換機構7の粘性抵抗などにより、カムシャフト8が回転トルクを発生し、位相変換機構7は回転トルクを受ける。運転中のエンジンが停止する際には、エンジンに連動するポンプ12も動作を停止するため、位相変換機構7の制御も緩慢となる。そこで、本発明では、カムシャフト8が発生する上記回転トルクを利用して、早期に位相変換機構7を初期位相に復帰させる。
従動側回転部材71は、吸気弁や排気弁のバルブスプリングや位相変換機構7から受ける抵抗により、駆動側回転部材72に対して遅れがちになる。つまり、本実施形態の弁開閉時期制御装置の構造上、回転トルクは遅角側へ偏向し易い。エンジンが停止する際、位相変換機構7の制御が緩慢となると、回転トルクはさらに遅角側へ偏向し易くなる。例えば、エンジンが停止する際にカムシャフトが発生する回転トルクは、図9に示すように遅角側に偏向していく交番トルクとなる。以降、カムシャフト8が発生するこのトルクをカムトルクと称する。図9において正のトルクはカムシャフト8が遅角側へ回転しようとする力であり、負のトルクはカムシャフト8が進角側へ回転しようとする力である。エンジンが4気筒の場合には、図9に示すカムトルクの2周期がエンジンの1サイクルに相当する。
例えば、イグニッション(IG)スイッチがオフされると、0.2秒〜0.5秒でエンジンは停止する。この停止までの期間、図9に示すような交番トルクが発生しており、本発明では、これを利用して位相変換機構7の相対位相を初期位相に復帰させる。イグニッションスイッチをオフした時点から0.1秒程度、長くとも0.2秒〜0.3秒以内でロック機構9を働かせることができると好適である。エンジンがアイドリング運転時などで、例えば600rpmだと仮定すれば、0.5秒で5サイクルである。従って、カムトルクの2周期、少なくとも4〜6周期以内でロック機構9が働くように位相変更すると好適である。
バルブスプリングの抵抗などに起因して発生するカムトルクの大きさは、吸気弁や排気弁などのリフト量に応じて異なる。具体的には、カムトルクは、リフト量が大きければ大きく、リフト量が小さければ小さくなる。本実施形態における可変動弁機構は、無段階に調整可能であるが、図9では、大リフト状態と、小リフト状態との2つの状態におけるカムトルクを示している。図9において、IGOFFよりも前には、エンジンはアイドリング運転されているものとする。
図中、符号THは大リフト状態におけるカムトルクであり、符号TLは小リフト状態におけるカムトルクである。符号THavは、リフト量が大リフト状態に設定される場合に生じるカムトルクの平均変動トルクである。尚、IGOFFより前の平均変動トルクTHavは、エンジンがアイドリング運転される場合における平均変動トルクである。これは、大リフト状態における本発明の平均トルクに相当する。符号TLavは、リフト量が小リフト状態に設定される場合に生じるカムトルクの平均変動トルクである。尚、IGOFFより前の平均変動トルクTLavは、エンジンがアイドリング運転される場合における平均変動トルクである。これは、小リフト状態における本発明の平均トルクに相当する。IGOFFの後は、両平均変動トルクTHav、TLav共に、次第に遅角側へと偏向していく。偏向の度合いは、リフト量が大リフト状態の場合の平均変動トルクTHavの方が急激である。
上述したように、従動側回転部材71は駆動側回転部材72に対して遅れがちになる。つまり、図9に示すように、カムトルクは遅角側へのトルクとなる。トーションスプリング1によるアシストトルク(補助トルク)TAabは、大リフト状態時の平均変動トルクTHavよりも小さく、リフト量が小リフト状態に設定される場合に生じる平均変動トルクTLavよりも大きく設定される。上述したように、トーションスプリング1によるアシストトルクTAabは、進角側への付勢トルクであり、本来は図9では負の方向に現れるトルクである。ここでは、平均変動トルクTHav、TLavとの比較、特にアイドリング時の平均トルクとの比較を容易にするために、絶対値で示している。
図9に示すように、アシストトルクTAabは、アイドリング運転時においてリフト量が異なる大リフト状態と小リフト状態との少なくとも2つの状態における平均変動トルクTHav、TLavの中間の値に設定されている。従って、これら2つの状態にリフト量を切り替えることによって、少なくとも1つの状態においてアシストトルクTAabを超える遅角側のトルクを利用可能である。つまり、エンジン停止の際、位相変換機構7が初期位相よりも進角側にある場合には、大リフト状態に制御する。これにより、遅角側へのカムトルクTHが進角側へのアシストトルクTAabを上回り、初期位相方向へ位相を変位させることができる。また、エンジン停止の際、位相変換機構7が初期位相よりも遅角側にある場合には、小リフト状態に制御する。これにより、遅角側のカムトルクTLを抑制し進角側へのアシストトルクTAabを用いて初期位相方向へ位相を変位させることができる。つまり、イグニッションスイッチのオフの時点の位相変換機構7の相対位相に応じてリフト量を切り替えることによって、迅速に初期位相の方向へと位相を変位させることができる。
図9に示すように、IGOFF以降、エンジンの回転数は減少していく。これに伴い、エンジンに連動するポンプ12のオイル吐出量も減少し、位相変換機構7の制御油圧(VVT制御油圧)も減少していく。但し、エンジンが停止するまではポンプ12が作動しており、VVT制御油圧によっても初期位相の方向へ変位される。このように、進角室6及び遅角室5に対して給排されるオイルによる流体圧(VVT制御油圧)に加え、カムトルクを用いて初期位相の方向へ位相を変位させる。相対位相がロック位置に達するとロック機構9が作動し、位相変換機構7が固定される。
以下、図10に示すフローチャートを利用してエンジン停止の際の位相変換機構7のロック制御の手順を説明する。まず、エンジン停止の際に初期位相よりも進角側であった場合について説明する。図11は、位相変換機構7が初期位相に対して進角側にある場合の平面図である。図12は、図3の位相変換機構7が初期位相にある場合の平面図である。図13は、運転中のエンジンが停止する際のカムトルクと位相変換機構7の遅角側への位相変化とを示す波形図である。図14は、エンジンが停止する際に遅角側へ移相させる場合の油圧回路である。
ECU4は、エンジン停止指示、即ちイグニッションスイッチのオフ信号(IGOFF信号)を取得して、エンジン停止の一連の処理を実行する(図10:#1)。図14に示すように、ECU4は、ロック制御流路91からオイルを排出する方向にOSV97を切り替える(図10:#2)。ECU4は、不図示のセンサ等から入力される相対位相VTの情報を取得する(図10:#3)。そして、初期位相IVTに対して進角側であるか遅角側であるかを判定する(図10:#4)。尚、図4に示すようにロック機構9はラチェット機構を備えているため、ラチェット機構が作動する位相角αを考慮して判定すると好適である。図10に示すように、ここでは、初期位相IVTをしきい値位相として、相対位相VTにラチェット機構が作動する位相角αを加えた値と比較している。ECU4は、初期位相IVTよりも、相対位相VTに位相角αを加えた値が大きい場合に「進角側である」と判定する。別の観点では、ECU4は、初期位相IVTから位相角αを減じた値をしきい値位相として、このしきい値位相よりも相対位相VTが大きい場合に「進角側である」と判定する。何れにせよ位相変換機構7が図11のような状態の場合には、「進角側である」と判定される。
判定が終わると、ECU4はエンジンの停止処理を実行し(図10:#5A)、リフト量が大リフト状態となるように可変動弁機構を制御する(図10:#6A)。また、ECU4は、図14に示すように油圧回路において、OCV15を遅角側に制御する(図10:#7A)。つまり、ECU4は、遅角流路51へオイルを供給し、進角流路61からオイルを排出する方向にOCV15を切り替える。
図13に示すように、大リフト状態においては、直ちにアシストトルクTAabを超えるカムトルクTHを利用することができる。エンジンが停止するまでの間は、ポンプ12が作動しているため、VVT制御油圧にカムトルクTHを加えて、遅角側への移相に充分なトルクを得ることができる。その結果、図13に実線で示すように、迅速に位相変換機構7を初期位相へ変位させ、ロック機構9を作動させることができる。図12は、ロック機構9が作動し、位相変換機構7が初期位相にある状態を示している。
尚、ここで、リフト量が小リフト状態であると、カムトルクTLがアシストトルクTAabを超えるまでに時間を要する。このため、図13に破線で示すように、初期位相に復帰する前にエンジンが停止してしまう可能性が高くなる。初期位相に復帰することなくエンジンが停止すれば、ポンプ12も停止し、VVT制御油圧もカムトルクもなくなる。その結果、図13に破線で示すように、ロック機構9が作動するまでに移相が終了してしまう。しかし、本実施形態のように遅角側へのカムトルクを有効に活用することにより、位相変換機構7は初期位相位置へと良好に移相される。
次に、エンジンが停止する際、位相変換機構7が図2に示すように遅角側であった場合について説明する。ECU4は、エンジン停止指示、即ちイグニッションスイッチのオフ信号(IGOFF信号)を取得して、エンジン停止の一連の処理を実行する(図10:#1)。以下、図10の処理#2〜処理#4については、上述した通りであるので、説明を省略する。ここでは、位相変換機構7が初期位相に対して遅角側の相対位相となっている。従って、ECU4はエンジンの停止処理を実行し(図10:#5B)、リフト量が小リフト状態となるように可変動弁機構を制御する(図10:#6B)。また、ECU4は、図14に示す油圧回路において、OCV15を進角側に制御する(図10:#7B)。つまり、ECU4は、進角流路61へオイルを供給し、遅角流路51からオイルを排出するように、OCV15を切り替える。
図15は、カムトルクと位相変換機構7の進角側への位相変化とを示す波形図である。図15に示すように、小リフト状態においては、遅角側に偏向していくカムトルクTLがアシストトルクTAabを超えるまでに時間を要する。停止指示を受けてからエンジンが停止するまでの間は、ポンプ12が作動しているため、VVT制御油圧にアシストトルクTAabを加えて、進角側への移相に充分なトルクを得ることができる。その結果、図15に実線で示すように、迅速に位相変換機構7を初期位相へ変位させ、ロック機構9を作動させることができる。時間の経過に伴い、図15に示すようにカムトルクTLがアシストトルクTAabを超える場合があるが、それまでにロック機構9が作動しているので問題はない。
尚、ここで、リフト量が大リフト状態であると、カムトルクTHがアシストトルクTAabをすぐに超えてしまう。このため、VVT制御油圧及びアシストトルクTAabが相殺され、図15に破線で示すように初期位相に復帰する前にエンジンが停止してしまう可能性が高くなる。初期位相に復帰することなくエンジンが停止すれば、ポンプ12も停止するのでVVT制御油圧もカムトルクもなくなる。しばらく放置すれば、位相変換機構7からオイルが漏れ、油圧抵抗も減ってアシストトルクTAabにより、初期位相へ復帰できる。しかし、エンジン停止後に直ちに再始動するような場合には、初期位相に復帰しておらず好ましくない。本実施形態のように遅角側へのカムトルクを抑制することにより、位相変換機構7を初期位相位置へと迅速に復帰させることが可能となる。
以上、説明したように、エンジンが停止する際に、相対位相に基づいてリフト量が設定されるように構成することにより、運転中のエンジンが停止した場合に、迅速にエンジン始動時の位相に復帰することが可能な弁開閉時期制御装置を提供することができる。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。図16は、第2実施形態に係る弁開閉時期制御装置の構成例を模式的に示す破断断面図である。図17は、第2実施形態に係る油圧回路の一例を模式的に示すブロック図である。図18は、第2実施形態に係るカムトルクと位相変換機構の進角側への位相変化とを示す波形図である。図19は、第2実施形態に係るロック制御の手順を示すフローチャートである。
図16は、第1実施形態の図1に対応するものであるが、トーションスプリング1を有さない点で第1実施形態と相違する。その他の構成については同様であるので、説明を省略する。図17は、第1実施形態の図5に対応する油圧回路のブロック図である。オイルパン12から、オイルフィルタ13、逆止弁14、OCV15を経て、位相変換機構7へ接続されるメインの流路については、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。また、OSV97を介してロック機構9に接続される流路についても、第1実施形態と同様であり、説明を省略する。
図17に示すように、油圧回路には、2種類の圧力室、即ち進角室6と遅角室5とを連通するバイパス流路101(補助流体圧機構)が設けられており、この点において第1実施形態と相違する。詳細な作用については後述するが、このバイパス流路101は、運転中のエンジンが停止する際に、早期に位相変換機構7を初期位相に復帰させるために設けられている。このため、バイパス流路101には、エンジンが停止する際に開いてバイパス流路101にオイルを流通可能とする開閉機構としてのOCV102が設けられている。OCV102は、OCV制御流路104を介して油圧制御される。図17に示した油圧回路は、エンジンが運転中で位相変換機構7が被制御中の場合を例示しているため、バイパス流路101のOCV102は閉じた状態である。また、バイパス流路101は、オイルを一方向にのみ流通させる一方通行の流路である。このため、バイパス流路101には、2種類の圧力室の内の一方から他方へのオイルの流通を許容し、逆方向への流通を妨げる逆止機構としての逆止弁103が設けられている。図17に示した例では、遅角室5から進角室6へのオイルの流通が許容された一方通行の流路である。
上述したように、位相変換機構7を介して駆動される吸気弁や排気弁の作動により、カムシャフト8はカムトルクを発生する。本実施形態では、アシストトルクを利用することなく、カムトルクを利用して、早期に位相変換機構7を初期位相に復帰させる。既に説明したように、カムトルクは、図18に示すように遅角側に偏移していく交番トルクとなる。図18においても、正のトルクはカムシャフト8が遅角側へ回転しようとする力であり、負のトルクはカムシャフト8が進角側へ回転しようとする力である。
図11に示すように、エンジンが停止する際に、位相変換機構7が初期位相よりも進角側にある場合は、遅角側に偏向していくカムトルクを利用して初期位相へ復帰させることが可能である。つまり、OCV15を介して与えられる位相変換機構7への制御油圧と、カムトルクとを用いて初期位相へ復帰させることが可能である。以下、図19に示すフローチャートも利用しながら説明する。尚、第1実施形態における手順を示す図10と同一の処理については、同一の処理番号を付している。
ECU4は、エンジン停止指示、即ちイグニッションスイッチのオフ信号(IGOFF信号)を取得して、エンジン停止の一連の処理を実行する(図19:#1)。ECU4は、ロック制御流路91からオイルを排出する方向にOSV97を切り替える(図19:#2)。ECU4は、不図示のセンサ等から入力される相対位相情報VTを取得し、初期位相IVTに対して進角側であるか遅角側であるかを判定する(図19:#3)。尚、本実施形態においても図2に示すようにロック機構9はラチェット機構を備えている。従って、ラチェット機構が作動する位相角αを考慮して判定すると好適である。判定が終わると、ECU4はエンジンの停止処理を実行する(図19:#5A)。
位相変換機構7が図11に示すように初期位相に対して進角側にある場合、ECU4は、位相変換機構7を遅角側に移相させる制御を実行する。カムトルクは、遅角側に偏向していくので、ECU4は可変動弁機構により可変されるリフト状態を維持又は大リフト状態に制御する(図19:#6C)。つまり、カムトルクの遅角側への偏向に任せてリフト量を現状維持、又は積極的に大リフト状態に制御してより大きなカムトルクを生じさせてさらに迅速に初期位相へ復帰させるようにする。また、ECU4は、OCV15を遅角側に制御する。つまり、遅角流路51へオイルを供給し、進角流路61からオイルを排出するように、OCV15を切り替える(図19:#7A)。これにより、減少はしていくもののポンプ12から供給されるVVT制御油圧も利用して初期位相へ復帰させる。
図18に示すように、イグニッションスイッチのオフ(IGOFF)により、エンジンの回転数は減少していく。これに伴い、エンジンに連動するポンプ12のオイル吐出量も減少し、位相変換機構7の制御油圧(VVT制御油圧)も減少していく。ポンプ12の吐出量の減少に伴い、バイパス流路101の開閉機構として機能するOCV102を制御するOCV制御流路104の油圧が低下する。これにより、OCV102が開いてバイパス流路101が開通し、位相変換機構7の進角室6と遅角室5とが連通される。バイパス流路101は、遅角室5から進角室6への一方通行の流路であり、図18に示すカムトルクの内、負側のトルクを進角室6へ伝達する機能を有する。
但し、ECU4が位相変換機構7を遅角側に移相させて初期位相に復帰させる制御を実行しているため、OCV15により進角流路61がオイルパン11への排出経路に接続されている。このため、バイパス流路1を介して得られる負側のトルクは進角室6へは伝達されない。その結果、遅角側へ偏向していくカムトルクにより位相変換機構7は、遅角側へと移相される(図18にはこの遅角側への位相変化は不図示。)。移相により、相対位相がロック位置に達するとロック機構9が作動し、位相変換機構7が固定される。
以下、エンジンが停止する際、図2に示すように位相変換機構7が初期位相よりも遅角側にあり、進角側に移相して初期位相に復帰させる場合について具体的に説明する。
図19の処理#1〜処理#4については、既に説明した通りであるので説明を省略する。処理#4による判定が終わると、ECU4はエンジンの停止処理を実行する(図19:#5B)。位相変換機構7が図2に示すように初期位相に対して遅角側にあると判定されているので、ECU4は、位相変換機構7を進角側に移相させる制御を実行する。ECU4は可変動弁機構により可変されるリフト状態を大リフト状態に制御する(図19:#6D)。つまり、積極的に大リフト状態に制御してより大きな負側のカムトルクを生じさせて、遅角側へ偏向していく前に迅速に初期位相へ復帰させるようにする。さらに、ECU4は、OCV15を進角側に制御する。つまり、図17における油圧回路において、ECU4は、進角流路61へオイルを供給し、遅角流路51からオイルを排出するように、OCV15を切り替える(図19:#7B)。これにより、減少はしていくもののポンプ12を介して供給されるVVT制御油圧も利用して初期位相へ復帰させる。
図18に示すように、イグニッションスイッチのオフにより、エンジンの回転数は減少していく。これに伴い、エンジンに連動するポンプ12のオイル吐出量も減少し、位相変換機構7の制御油圧(VVT制御油圧)も減少していく。ポンプ12の吐出量の減少に伴い、バイパス流路101の開閉機構として機能するOCV102の制御油圧が低下する。これにより、OCV102が開いてバイパス流路101が開通し、位相変換機構7の進角室6と遅角室5とが連通される。バイパス流路101は、遅角室5から進角室6への一方通行の流路である。バイパス流路101は、図18に示すカムトルクの内、斜線で示した負側のトルク、即ち進角側へのトルクを油圧として進角室6へ伝達する機能を有する。正側のトルクによる油圧、即ち遅角側への油圧はバイパス流路101の逆止弁103によってカットされる。
エンジンが停止するまでは、ポンプ12が作動しており、また、進角流路61への油圧回路には逆止弁14が備えられているため、進角流路61にはオイルが満ちている。ここで、負側(進角側)のカムトルクによる油圧が生じると、バイパス流路101には負圧が生じ、遅角室5から排出されたオイルがバイパス流路101を介して進角流路61へと吸上げられる。このようにして、進角室6及び遅角室5に対して給排されるオイルによる流体圧(VVT制御油圧)に加え、バイパス流路101を流通するオイルの流体圧を用いて相対位相を初期位相へ変位させる。相対位相がロック位置に達するとロック機構9が作動し、位相変換機構7が固定される。
逆止弁103を備えたバイパス流路101がない場合には、位相変換機構7が初期位相に復帰するまでに、エンジンが停止してしまう場合がある。つまり、OCV15を介して与えられるVVT制御油圧にカムトルクを加えても、カムトルクが漸次遅角側に偏向していくために進角側に充分なトルクを得ることができない場合がある。初期位相に復帰することなくエンジンが停止すれば、ポンプ12も停止するのでVVT制御油圧もカムトルクもなくなる。その結果、図18に破線で示すように、ロック機構9が作動するまでに移相が終了してしまう。しかし、本実施形態のようにバイパス流路1を設けて、遅角側へのカムトルクを除去し、進角側へのカムトルクのみを有効に活用することにより、位相変換機構7を初期位相位置へと迅速に復帰させることができる。
第1実施形態においては、エンジンが停止する際の相対位相が、初期位相よりも進角側の場合には大リフト状態に、遅角側の場合には小リフト状態に設定された。第2実施形態においては、初期位相よりも進角側の場合にはリフト状態を維持するか又は大リフト状態に、遅角側の場合には小リフト状態に設定された。このように、エンジンが停止する際に、相対位相に基づいてリフト量が設定されるように構成することにより、運転中のエンジンが停止した場合に、迅速にエンジン始動時の位相に復帰することが可能な弁開閉時期制御装置を提供することができる。
〔その他の実施形態〕
第1及び第2実施形態においてロック制御流路91は、遅角流路51又は進角流路61の何れか一方と兼用されるものであってよい。
また、第2実施形態において、バイパス流路101のOCV102は、OCV制御流路104に制御される流体圧バルブではなく、ECU4により制御される電動バルブであってもよい。バイパス流路101の開閉機構を電動バルブとすると、停止指示を受けたエンジンが停止し始める際に、速やかにバイパス流路101を開放し、オイルを流通させることができる。即ち、エンジンが停止する際に開いてバイパス流路101にオイルを流通可能とする開閉機構を迅速且つ良好に構築することができる。
上述した各実施形態においては、カムトルクの偏向方向が遅角側の場合について説明した。しかし、カムトルクが偏向する方向は、位相変換機構7の構造によって異なり得るものである。従って、当業者であれば、適宜、進角側、遅角側を入れ替えるなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での種々の改変が可能であろう。しかし、当然ながら、そのような改変も本発明の技術的思想に含まれるものである。
以上説明したように、本発明によって、運転中のエンジンが停止した場合、迅速にエンジン始動時の位相に復帰することが可能な弁開閉時期制御装置を提供することができる。
本発明の弁開閉時期制御装置の構成例を模式的に示す破断断面図 図1のII−II断面図であり、位相変換機構が初期位相に対して遅角側にある場合の平面図 トーションスプリングの一例を示す斜視図 ロック機構を示す部分拡大図 位相変換機構への油圧回路の例を模式的に示すブロック図 可変動弁機構の構成例を模式的に示す説明図 小リフト状態を示す説明図 大リフト状態を示す説明図 カムトルクとアシストトルクとを示す波形図 エンジンが停止する際の位相変換機構のロック制御の手順を示すフローチャート 図3の位相変換機構が初期位相に対して進角側にある場合の平面図 図3の位相変換機構が初期位相にある場合の平面図 運転中のエンジンが停止する際のカムトルクと位相変換機構の遅角側への位相変化とを示す波形図 エンジンが停止する際に遅角側へ移相させる場合の油圧回路 カムトルクと位相変換機構の進角側への位相変化とを示す波形図 本発明の弁開閉時期制御装置の他の構成例を模式的に示す破断断面図 第2実施形態に係る油圧回路の一例を模式的に示すブロック図 第2実施形態に係るカムトルクと位相変換機構の進角側への位相変化とを示す波形図 第2実施形態に係るロック制御の手順を示すフローチャート
符号の説明
1:トーションスプリング
2:弁(吸気弁又は排気弁)
5:遅角室(圧力室)
6:進角室(圧力室)
7:位相変換機構
8:カムシャフト
9:ロック機構
71:従動側回転部材
72:駆動側回転部材
73:ベーン
101:バイパス油路
102:OVC
103:逆止弁
104:OVCコントロール流路
Hav:大リフト状態時の平均変動トルク(平均トルク)
Lav:小リフト状態時の平均変動トルク(平均トルク)
Aab:トーションスプリングによるアシストトルクの絶対値(補助トルク)
IVT:初期位相
VT:相対位相

Claims (5)

  1. 内燃機関のクランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材と、前記駆動側回転部材に対して同軸上に配置され、前記内燃機関の吸気弁及び排気弁の少なくとも一方を開閉するカムシャフトに対して一体回転する従動側回転部材との相対位相を、可動する仕切りによって容積が相補的に可変する2種類の圧力室のそれぞれに対する作動流体の給排によって変位させる位相変換機構と、
    前記内燃機関の始動時の初期位相において前記相対位相を固定可能なロック機構と、
    前記吸気弁及び前記排気弁の少なくとも一方を開弁する際の弁のリフト量を設定可能な可変動弁機構と、を備え、
    前記可変動弁機構は、前記内燃機関が停止する際に、前記相対位相に基づいて前記リフト量が設定される弁開閉時期制御装置。
  2. 前記駆動側回転部材に対する前記従動側回転部材の前記相対位相が前記初期位相に対して進んでいる進角側及び遅れている遅角側の何れか一方側から前記初期位相の方向へ前記位相変換機構を付勢する付勢機構を備える請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
  3. 前記可変動弁機構は、前記リフト量が異なる大リフト状態と小リフト状態との少なくとも2つの状態に設定可能であり、
    前記付勢機構により生じる補助トルクは、前記内燃機関がアイドリング運転される場合において、前記リフト量が前記大リフト状態に設定される場合に生じる平均トルクよりも小さく、前記リフト量が前記小リフト状態に設定される場合に生じる平均トルクよりも大きく設定される請求項2に記載の弁開閉時期制御装置。
  4. 前記初期位相から前記付勢方向側への所定の位相角を前記ロック機構の作動範囲として許容するラチェット機構を備え、
    前記内燃機関へ停止指示が与えられた際の前記相対位相が、前記初期位相に前記所定の位相角を加味したしきい値位相に対して前記付勢方向の位相である場合には、前記リフト量が前記大リフト状態に設定され、前記しきい値位相に対して前記付勢方向とは逆方向の位相である場合には、前記リフト量が前記小リフト状態に設定される請求項3に記載の弁開閉時期制御装置。
  5. 前記付勢機構により付勢される方向は、前記駆動側回転部材に対して前記従動側回転部材の前記相対位相が進んでいる進角方向である請求項2〜4の何れか一項に記載の弁開閉時期制御装置。
JP2007187325A 2007-07-18 2007-07-18 弁開閉時期制御装置 Expired - Fee Related JP4811670B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007187325A JP4811670B2 (ja) 2007-07-18 2007-07-18 弁開閉時期制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007187325A JP4811670B2 (ja) 2007-07-18 2007-07-18 弁開閉時期制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009024563A JP2009024563A (ja) 2009-02-05
JP4811670B2 true JP4811670B2 (ja) 2011-11-09

Family

ID=40396603

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007187325A Expired - Fee Related JP4811670B2 (ja) 2007-07-18 2007-07-18 弁開閉時期制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4811670B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010261312A (ja) * 2009-04-28 2010-11-18 Toyota Motor Corp 内燃機関の可変動弁装置
JP5321911B2 (ja) 2009-09-25 2013-10-23 アイシン精機株式会社 弁開閉時期制御装置
KR101278382B1 (ko) 2010-11-08 2013-06-24 도요타 지도샤(주) 유압식 밸브 타이밍 가변 기구의 제어 장치
CN102822477B (zh) * 2011-04-07 2016-02-10 丰田自动车株式会社 可变气门正时装置
US9200543B2 (en) 2011-05-13 2015-12-01 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Variable valve timing device
JP5447436B2 (ja) * 2011-05-20 2014-03-19 株式会社デンソー バルブタイミング調整装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11280427A (ja) * 1998-03-31 1999-10-12 Aisin Seiki Co Ltd 弁開閉時期制御装置
JP3865020B2 (ja) * 1998-04-13 2007-01-10 株式会社デンソー バルブタイミング調整装置
JP4385509B2 (ja) * 2000-09-11 2009-12-16 日産自動車株式会社 車両用内燃機関の制御装置
JP4465899B2 (ja) * 2001-02-22 2010-05-26 アイシン精機株式会社 弁開閉時期制御装置
JP4428219B2 (ja) * 2004-12-03 2010-03-10 日産自動車株式会社 可変動弁機構の制御装置
JP4415788B2 (ja) * 2004-08-17 2010-02-17 日産自動車株式会社 内燃機関の可変動弁装置及びその制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009024563A (ja) 2009-02-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5046015B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP4811670B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP3116858B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング可変機構
JP4493281B2 (ja) 位相器
KR100998160B1 (ko) 스풀 밸브 제어식 vct 로킹 핀 해제 메카니즘
JP4250097B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP4877523B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP4657238B2 (ja) 内燃機関の制御装置
RU2567478C2 (ru) Устройство управления фазами газораспределения двигателя
JP2004019658A (ja) 可変カムシャフトタイミング(vct)システム
JP2016511359A (ja) 車両再始動のための中間位置に油圧ロックを有するカムシャフトタイミング装置の使用
JP4984148B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
US7946265B2 (en) Valve timing adjuster
JPH1089032A (ja) 内燃機関のバルブ特性制御装置
JP2002221052A (ja) 内燃機関の油圧制御装置
JP5692459B2 (ja) 内燃機関の可変バルブタイミング制御装置
JP4400546B2 (ja) 内燃機関の可変バルブタイミング装置
JP4531705B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP4423775B2 (ja) 内燃機関の可変動弁装置
JP2001065321A (ja) 内燃機関の可変動弁装置
JP2009264231A (ja) バルブタイミング調整装置用のロック制御装置、及びロック制御システム
JP4415788B2 (ja) 内燃機関の可変動弁装置及びその制御方法
JP3797083B2 (ja) 内燃機関の可変動弁装置
JP2011256882A (ja) 弁開閉時期制御装置
JP2010133272A (ja) カム位相可変型内燃機関

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100616

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110722

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110728

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110810

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4811670

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140902

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees