JP2009264231A - バルブタイミング調整装置用のロック制御装置、及びロック制御システム - Google Patents

バルブタイミング調整装置用のロック制御装置、及びロック制御システム Download PDF

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一弘 中井
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幸一 清水
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Abstract

【課題】運転者に違和感を与えることの回避と確実なロックとの両立を実現したバルブタイミング調整装置用のロック制御装置及びロック制御システムを提供する。
【解決手段】バルブタイミング調整装置は、最遅角位置及び最進角位置の中間位置でロータを相対回転不能にロックするロック機構と、ロータを進角側へ付勢するコイルばねと、を有しており、エンジンの停止に伴いクランク軸が回転停止してから次回エンジン始動させるまでのエンジン停止期間中に、クランク軸をクランキングさせるスタータモータを作動させることで、エンジン停止期間中にクランク軸を回転させる停止後回転制御手段S20を備える。そして、V型エンジン又は水平対向型エンジンであって、一方のバンクを構成する複数の気筒が順次燃焼した後、他方のバンクを構成する複数の気筒が順次燃焼するよう、左右のバンクが交互に燃焼するエンジンに適用する。
【選択図】 図8

Description

本発明は、エンジンの吸気バルブ又は排気バルブの開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置に適用された、バルブタイミング調整装置用のロック制御装置に関する。
吸気バルブ又は排気バルブの開閉タイミングを調整する従来のバルブタイミング調整装置は、エンジンのクランク軸(出力軸)とともに回転するエンジン側回転体と、カム軸とともに回転するカム側回転体とを備え、カム側回転体をエンジン側回転体に対して相対回転させるよう油圧ポンプから作動油を供給する構成である。そして、作動油の供給先を切替制御する等により、カム側回転体の相対回転位置を制御している。
上記油圧ポンプはクランク軸の回転力を駆動源としているため、エンジン始動時には十分な作動油を供給できず最適な相対回転位置に制御できない。そこで従来の装置では、エンジン始動時に最適とされる位置でカム側回転体を相対回転不能にロックするロック機構を設けており、エンジンの停止を指令するためのイグニッションスイッチオフ操作(IGオフ操作)を検出した場合に、カム側回転体をロック位置に向けて相対回転させるよう作動油供給状態を制御するロック制御を実行している。
ここで、作動油が低温で高粘性になっていると、前記ロック制御を行ったとしても、油圧ポンプが停止するまでの間にカム側回転体がロック位置まで到達できない場合がある。この問題に対し特許文献1記載の装置では、IGオフ操作後においてエンジンへの燃料噴射を停止させるタイミングを遅延させる遅延制御を行うことで、IGオフ操作後における油圧の低下を遅延させて、ロック位置まで到達させることを図っている。
特開2006−266200号公報
しかしながら、エンジン停止タイミングを遅延させるほど、ロックの確実性が高まる反面、IGオフ操作してから直ぐにエンジンが停止しないことについて、運転者に違和感を与えてしまう。また、ミッション車両に搭載された内燃機関において、ドライバのクラッチ操作ミス等によりエンストした場合には、上記遅延制御を実施することができない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、運転者に違和感を与えることの回避と確実なロックとの両立を実現したバルブタイミング調整装置用のロック制御装置及びロック制御システムを提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明では、
エンジンの出力軸とともに回転するエンジン側回転体と、吸気バルブ又は排気バルブを開閉駆動させるカム軸とともに回転するカム側回転体と、前記出力軸の回転力を駆動源として前記両回転体の一方を他方に対して相対回転させるよう作動油を供給する油圧ポンプと、を有し、前記作動油の供給状態を制御することで前記一方の回転体の相対回転位置を制御して、前記吸気バルブ又は前記排気バルブの開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置に適用された、バルブタイミング調整装置用のロック制御装置において、
前記バルブタイミング調整装置は、最遅角位置及び最進角位置の中間位置で前記一方の回転体を相対回転不能にロックするロック機構と、前記一方の回転体を進角側へ付勢するスプリングと、を有しており、
前記エンジンの停止に伴い前記出力軸が回転停止してから次回エンジン始動させるまでのエンジン停止期間中に、前記出力軸をクランキングさせるスタータモータを作動させることで、前記エンジン停止期間中に前記出力軸を回転させる停止後回転制御手段を備え、
所定のバンク角をなす左右のバンクを備えたV型エンジン又は水平対向型エンジンであって、一方のバンクを構成する複数の気筒が順次燃焼した後、他方のバンクを構成する複数の気筒が順次燃焼するよう、左右のバンクが交互に燃焼するエンジンに適用したことを特徴とする。
これによれば、エンジンの停止に伴い出力軸が回転停止した時点において、一方の回転体がロック位置よりも遅角側にずれてロックできていない場合には、一方の回転体はスプリングの弾性力により進角側に付勢されるので、この弾性力によりロック位置まで相対回転することとなる。
また、エンジンの停止に伴い出力軸が回転停止した時点において、一方の回転体がロック位置よりも進角側にずれてロックできていない場合には、スタータモータにより出力軸を回転させることで、エンジン側回転体は出力軸とともに回転しようとするのに対し、カム側回転体はカム軸からのカムトルクにより回転抵抗を受ける。したがって、一方の回転体はカムトルクにより遅角側に相対回転することとなり、その結果、ロック位置に到達する。ちなみに、前記カムトルクとは、吸気バルブ又は排気バルブをリフトアップさせることに伴い生じるトルクであり、換言すれば、これらのバルブを閉弁側に付勢しているバルブスプリングを弾性変形させて開弁させるのに要するトルクである。
さらに本発明は、左右のバンクが交互に燃焼するV型エンジン又は水平対向型エンジンに適用したことを特徴としており、以下、この特徴による技術的意義を、図9及び図10に示す具体例を参照しながら説明する。なお、これらの図の横軸は時間経過を表す。
複数気筒を1列に配置した直列型エンジンでは、例えば吸気バルブのカム軸は1本である。そのため、吸気バルブをリフトアップさせることに伴い生じる先述したカムトルクは、カム軸に常時かかることとなる(図9の下段参照)。すると、ロック位置よりも遅角側にずれてロックできていない場合において、一方の回転体には、スプリングによる弾性力が進角側へかかると同時に、カムトルクが遅角側へ常時かかっている。したがって、先述したようにスプリングの弾性力により一方の回転体を進角側へ相対回転させることは困難となる。
これに対し、V型エンジン又は水平対向型エンジンでは、例えば吸気バルブのカム軸はバンク毎に備えられるため2本である。そして、一方のバンクを構成する複数の気筒が順次燃焼した後、他方のバンクを構成する複数の気筒が順次燃焼するよう、左右のバンクが交互に燃焼するエンジンにおいては、一方のバンクにて吸気行程が順次なされた後、他方のバンクにて吸気行程が順次なされるよう、カム軸上のカム位置は設定されている。
そのため、停止後回転制御手段により出力軸を回転させると、一方のバンクのカム軸にカムトルクが順次発生した後、他方のバンクのカム軸でカムトルクが順次発生する。つまり、他方のバンクのカム軸にてバルブのリフトアップに伴うカムトルクが発生している期間(図10中の符号TaLに例示される期間)には、一方のバンクのカム軸にはカムトルクは発生しないこととなる(図10中の符号TbRに例示される領域)。したがって、このようにカムトルクが発生しない期間TbR(以下「非リフトアップ領域」と呼ぶ)に、先述したようにスプリングの弾性力により一方の回転体を進角側へ相対回転させることが可能となる。
以上により、エンジン停止に伴い出力軸が回転停止した時点において、一方の回転体が、ロック位置に対して遅角側及び進角側のいずれにずれていたとしても、ロック位置まで相対回転してロックされることとなる。よって、エンジン停止タイミングを遅延させる従来の遅延制御の廃止、或いは遅延時間の短縮を可能にしつつ、次回のエンジン始動時にはロックした状態にしておくことができる。よって、運転者に違和感を与えることの回避と確実なロックとの両立を実現できる。
請求項2記載の発明では、前記停止後回転制御手段は、前記エンジン停止期間中に前記出力軸を回転制御するにあたり、エンジン始動時のクランキング速度よりも遅い回転速度で前記スタータモータを作動させることを特徴とする。
停止後回転制御手段によりスタータモータを作動させて出力軸を回転させることは、エンジン停止時に行われるため、その回転による振動騒音は運転者等に感じられ易い。よって、スタータモータの回転速度をできるだけ低速にして振動騒音を抑制することが望ましい。この点を鑑みた上記請求項2記載の発明によれば、クランキング速度よりも遅い回転速度でスタータモータを作動させるので前記振動騒音を最小限にできる。
請求項3記載の発明では、前記停止後回転制御手段は、前記エンジン停止期間中に前記出力軸を回転制御するにあたり、前記カム軸が180℃Aだけ回転するよう前記スタータモータを作動させることを特徴とする。
先述した非リフトアップ領域TbR、つまりスプリングの弾性力により一方の回転体が進角側へ相対回転する期間は、カム軸が180℃A回転する毎に現れる。この点を鑑みた上記請求項3記載の発明によれば、カム軸が180℃Aだけ回転するようスタータモータを作動させるので、スタータモータの作動を最小限にしつつ確実なロックを実現できる。なお、上記「180℃A」との数値は厳密に解釈されるものではなく、上記効果が発揮される数値範囲(例えば180℃A±15℃A、より好ましくは±5℃A)に解釈されるものである。
請求項4記載の発明では、前記バルブタイミング調整装置は前記左右のバンクのそれぞれに搭載されており、前記エンジンの停止に伴い前記出力軸が回転停止してから所定時間が経過するまでは、前記停止後回転制御手段による前記出力軸の回転を禁止することを特徴とする。
V型エンジン又は水平対向型エンジンでは、一方のバンクにおける非リフトアップ領域TbRと他方のバンクにおける非リフトアップ領域TbLとは交互に現れる(図10の下段参照)。したがって、一方のバンクに搭載されたバルブタイミング調整装置におけるリフトアップ領域TaR中に、エンジン停止に伴い出力軸が回転停止したとすれば、その回転停止は、他方のバンクに搭載されたバルブタイミング調整装置における非リフトアップ領域TbL中に生じたこととなる。
そのため、いずれのタイミングで出力軸が回転停止したとしても、その回転停止時点において、両バンクのいずれかではスプリングの弾性力により一方の回転体は進角側へ相対回転しようとする。そして、このようにロック位置に向けて進角側へ相対回転している最中にスタータモータを作動させてしまうと、ロック位置に到達する前に、非リフトアップ領域TbLが終了してカムトルクを受ける領域TaLになってしまうとの懸念がある。この懸念に対し、上記請求項4記載の発明によれば、エンジン停止に伴い出力軸が回転停止してから所定時間が経過するまでは、停止後回転制御手段による出力軸の回転を禁止するので、スプリングの弾性力によりロック位置まで相対回転させることを確実にでき、上記懸念を解消できる。
なお、上記請求項4記載の発明に反し、所定時間経過を待たずに出力軸を回転させたとしても、スタータモータによる出力軸の回転数を増やせば、いずれのバンクのバルブタイミング調整装置についても確実にロックさせることができる。つまり、上記請求項4記載の発明によれば、停止後回転制御手段による出力軸の回転数を最小限にできると言える。
ところで、エンジン運転中にバルブタイミング調整装置に供給された作動油は、エンジン停止後にも残存する。そして、停止後回転制御手段により出力軸を回転させると、カム側回転体はカムトルクによる回転抵抗を受けているため、エンジン側回転体は残存作動油を押し退けながらカム側回転体に対して相対回転することとなる。この時、残存作動油は低温であるほど高粘性となり押し退けられにくくなる。そのため、スタータモータへの印加電圧が低いと極低温時には回転軸を回転させることができない場合がある。
この点を鑑みた請求項5記載の発明では、前記停止後回転制御手段は、前記エンジン停止期間中に前記出力軸を回転制御するにあたり、前記作動油の温度が低いほど前記スタータモータへの印加電圧を高くすることを特徴とするので、低温時であっても回転軸を確実に回転できるとともに、高温時にはスタータモータへの印加電圧を最小限にできる。
ここで、スタータモータから出力軸への動力伝達は、出力軸と一体的に回転するリングギヤと、スタータモータと一体的に回転するピニオンギヤとの噛み合いによりなされることが一般的である。そして、ピニオンギヤとリングギヤとの接続状態を遮断可能に構成した場合には、停止後回転制御手段により出力軸を回転させるにあたり、動力を伝達させるべく両ギヤを接続状態にすることを要する。すると、接続状態にするにあたりピニオンギヤがリングギヤに衝突する音(噛み合いはじめる音)が生じるため、この音がユーザに対する違和感を与えてしまう。これに対し請求項6記載の発明では、前記スタータモータから前記出力軸への動力伝達機構は、動力伝達が常時可能に構成された機構であることを特徴とするので、上述の衝突音発生を回避できる。
請求項7記載の発明は、前記バルブタイミング調整装置と、上記ロック制御装置と、を備えることを特徴とするロック制御システムである。このロック制御システムによれば、上述の各種効果を同様に発揮することができる。
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係るバルブタイミング調整装置を搭載したV型エンジン1の概略構成図である。V型エンジン1は、左バンクL及び右バンクRを90度の開き角をもってV字状に配置して構成されるとともに、左バンクL及び右バンクRにそれぞれ2つの気筒を有する4気筒エンジンである。V型エンジン1は各気筒1aを有するシリンダブロック1bを備え、気筒1aにはピストン11が往復移動可能に設けられる。ピストン11は、コンロッド12を介してV型エンジン1の下部に設けられたクランク軸13(出力軸)に連結されている。そして、ピストン11の往復運動は、コンロッド12によりクランク軸13の回転運動へと変換される。
シリンダブロック1bの上部には、左バンクL側及び右バンクR側にそれぞれシリンダヘッド1cが設けられる。シリンダヘッド1cの底面とピストン11の上端面とによって囲まれた空間により燃焼室1dが形成される。シリンダヘッド1cには、吸気ポート1e及び排気ポート1fが燃焼室1dと連通するよう形成される。V型エンジン1の外部の空気は吸気ポート1eから吸入され、燃焼室1dで生じた排気が、排気ポート1f、からV型エンジン1の外部へ排出される。
シリンダヘッド1cには、吸気ポート1e及び排気ポート1fをそれぞれ開閉するための吸気バルブ14及び排気バルブ15が往復移動可能に設けられる。吸気バルブ14及び排気バルブ15は、バルブスプリング22により閉弁方向に付勢されている。
左バンクLのシリンダヘッド1c上部には、左バンクLの吸気バルブ14及び排気バルブ15を開閉駆動させるための第1吸気カム軸16L及び第1排気カム軸17Lが回動可能に支持されている。また、右バンクRのシリンダヘッド1c上部には、右バンクRの吸気バルブ14及び排気バルブ15を開閉駆動させるための第2吸気カム軸16R及び第2排気カム軸17Rが回動可能に支持されている。第1吸気カム軸16L及び第2吸気カム軸16Rは、左バンクL及び右バンクRにより挟まれる空間側に位置している。
各カム軸16L,17L,16R,17Rは、図示しないタイミングベルトによってクランク軸13に駆動連結されている。各カム軸16L〜17Rに形成されたバルブカム18L,19L,18R,19Rは、その回転により吸気ロッカアーム20及び排気ロッカアーム21を押圧し、バルブスプリング22の付勢力に抗して吸気バルブ14及び排気バルブ15を開閉駆動する。吸気バルブ14及び排気バルブ15が開閉駆動されることで、吸気ポート1e及び排気ポート1fと燃焼室1dとが連通・遮断される。なお、V型エンジン1の一連の行程(吸入、圧縮、燃焼、排気行程)において、クランク軸13は2回転(720°CA)し、各カム軸16L〜17Rはそれぞれ1回転(360°CA)する。
次に、各カム軸16L〜17Rの構成について説明する。
図2はカム軸16L〜17RをV型エンジン1の上面側から見たときの構成図である。左バンクLには第1吸気カム軸16L及び第1排気カム軸17Lが互いに平行に配置され、右バンクRには第2吸気カム軸16R及び第2排気カム軸17Rが互いに平行に配置されている。各カム軸16L〜17Rの一端側にはスプロケット23が一体回転可能に固定されており、クランク軸13に固定されたスプロケット24の回転がタイミングチェーン25を介して伝達される。
各カム軸16L〜17Rには、吸気バルブ14及び排気バルブ15を駆動するバルブカム26が等間隔に備えられている。また、第1及び第2吸気カム軸16L,16Rのうちスプロケット23と反対側の部分には、ポンプカム27が備えられている。
また、第1及び第2吸気カム軸16L,16Rのうちスプロケット23側の端部には、バルブタイミング調整装置を構成するバルブタイミング可変機構28L,28Rがそれぞれ設けられている。バルブタイミング可変機構28L,28Rは、クランク軸13の回転位置に対する第1及び第2吸気カム軸16L,16Rの相対回転位置(位相)を調整して、吸気バルブ14の開閉タイミングを可変設定するものである。すなわち、吸気バルブ14の開弁期間(作用角)が一定に維持された状態で、開弁時期及び閉弁時期が進角側又は遅角側に変更される。
図3に示すように、ECU100には、カム角センサ101L,101R及びクランク角センサ102等からの検出信号が入力される。カム角センサ101L,101Rは、第1及び第2吸気カム軸16L,16Rの回転角度(カム角)をそれぞれ検出するセンサであり、クランク角センサ102は、クランク軸13の回転角度(クランク角)を検出するセンサである。また、ECU100には、イグニッションスイッチ110の出力信号が入力される。イグニッションスイッチ110が車両ドライバによりオフ操作されると、エンジン1を停止させる停止指令信号(IGオフ信号)がECU100に入力される。また、このECU100は、後述するOCV122L(OCV:オイルコントロールバルブ)の作動を制御することで、バルブタイミング可変機構28L,28Rの作動を制御して、吸気バルブ14の開閉タイミングを制御する。
バルブタイミング調整装置の油圧回路には、オイルパン120内のオイルが油圧ポンプ121により作動油として供給される。油圧ポンプ121はエンジン1を駆動源としており、クランク軸13からの動力がポンプカム27を介して伝達されるようになっている。
そして、油圧ポンプ121による作動油の供給先をOCV122Lにより切り換えることで、吸気バルブ14の開閉タイミング(以下、単にバルブタイミングと呼ぶ)を進角側及び遅角側のいずれに変化させるかを制御する。また、OCV122Lの作動を例えばデューティ制御して作動油の供給量を制御することで、第1及び第2吸気カム軸16L,16Rの実進角量(実バルブタイミング)が制御される。ちなみに、図3では、左バンクLのバルブタイミング可変機構28Lに対するOCV122Lを図示しているが、右バンクRのバルブタイミング可変機構28Rに対しても同様のOCVが備えられている。
また、ECU100の電源端子には、メインリレー111のスイッチ112を介してバッテリ130のプラス端子側が接続されている。ECU100は、イグニッションスイッチ110からIGオン信号が入力されると、メインリレー111のリレー駆動コイル113に通電してメインリレー111のスイッチ112をオンし、バッテリ130から電源の供給を受ける。メインリレー111を通して供給される電源は、ECU100の他に、OCV122L等、制御系全体に供給される。つまり、メインリレー111は、イグニッションスイッチ110のオフ後も、引き続き所定時間オン状態に保持され、その期間に、後述するロック制御及び停止後回転制御等を実行できるようになっている。
次に、図3〜図5に基づいてバルブタイミング可変機構28L,28Rの構成を説明する。なお、左バンクLの可変機構28Lと右バンクRの可変機構28Rとでは構成は同じであるため、以下、左バンクLの可変機構28Lのみについて説明する。
バルブタイミング可変機構28Lのハウジング31(エンジン側回転体(他方の回転体))は、吸気カム軸16Lの外周に回動自在に支持された先述のスプロケット23にボルト32で締め付け固定されている。これにより、クランク軸13の回転がタイミングチェーン25を介してスプロケット23とハウジング31に伝達され、スプロケット23とハウジング31がクランク軸13と同期して回転するようになっている。
一方、吸気カム軸16Lは、シリンダヘッド1cとベアリングキャップ1gにより回転可能に支持され、この吸気カム軸16Lの一端部に、ロータ35(カム側回転体(一方の回転体))がストッパ36を介してボルト37で締め付け固定されている。このロータ35は、ハウジング31内に相対回転自在に収納されている。
図4及び図5に示すように、ハウジング31の内部には、複数の油圧室40が形成され、各油圧室40が、ロータ35の外周部に形成されたベーン41によって進角室42と遅角室43とに区画されている。そして、ロータ35の外周部とベーン41の外周部には、それぞれシール部材44が装着され、各シール部材44が板ばね45(図3参照)によって外周方向に付勢されている。これにより、ロータ35の外周面とハウジング31の内周面との隙間及びベーン41の外周面と油圧室40の内周面との隙間がシール部材44でシールされている。
図3に示すように、吸気カム軸16Lの外周部に形成された環状の進角溝46と遅角溝47が、それぞれOCV122Lの所定ポートに接続され、エンジン1の動力で油圧ポンプ121が駆動されることにより、オイルパン120から汲み上げたオイル(作動油)がOCV122Lを介して進角溝46や遅角溝47に供給される。進角溝46に接続された進角油路48は、吸気カム軸16Lの内部を貫通してロータ35に形成された円弧状進角油路49(図4参照)に連通するように形成され、この円弧状進角油路49が各進角室42に連通している。一方、遅角溝47に接続された遅角油路50は、吸気カム軸16Lの内部を貫通してロータ35に形成された円弧状遅角油路51(図5参照)に連通するように形成され、この円弧状遅角油路51が各遅角室43に連通している。
OCV122Lは、ソレノイド122aとスプリング122bで弁体を駆動する4ポート3位置切換弁であり、弁体の位置を、進角室42に作動油を供給する進角供給位置と、遅角室43に作動油を供給する遅角供給位置と、進角室42と遅角室43のいずれにも作動油を供給しない保持位置との間で切り換えるようになっている。ソレノイド122aの通電停止時には、スプリング122bによって弁体が進角室42に作動油を供給する位置に自動的に切り換えられ、カム軸位相を進角させる方向に油圧が働くようになっている。なお、図3に示すOCV122Lは、ソレノイド122aの通電時における作動状態を示している。
進角室42と遅角室43に所定圧以上の油圧が供給された状態では、進角室42と遅角室43の油圧でベーン41が固定されて、クランク軸13の回転によるハウジング31の回転が作動油を介してベーン41に伝達される。これにより、クランク軸13と吸気カム軸16Lとは一体的に回転する。
エンジン運転中は、進角室42と遅角室43の油圧をOCV122Lで制御してロータ35をハウジング31に対して相対回転させることで、クランク軸13に対する吸気カム軸16Lの回転位相(カム軸位相)を制御して吸気バルブ14のバルブタイミングを可変する。具体的には、OCV122Lを前述の進角供給位置又は遅角供給位置に作動させてロータ35を相対回転させ、目標相対回転位置に到達したら、OCV122Lを保持位置に作動させてロータ35の相対回転位置を保持させる。
ここで、吸気カム軸16Lが吸気バルブ14を駆動する場合に、吸気バルブ14を閉弁方向に付勢するバルブスプリング22から吸気カム軸16Lは正・負に変動する変動トルクを受ける。正方向の変動トルクは、ロータ35を遅角側に相対回転させる方向のトルクを表し、負方向の変動トルクは、ロータ35を進角側に相対回転させる方向のトルクを表している。そして、変動トルクの平均は正方向、つまり遅角方向に働いている。そこで、ロータ35を進角側に相対回転させる場合に、遅角側に相対回転させる場合に比べて相対回転の応答性が悪化することを回避するために、進角方向に相対回転させる油圧力をばね弾性力で補助するコイルばね55(図3参照)を備えている。
図3に示す例では、コイルばね55を、ロータ35に対してシリンダヘッド1c側に配置して、スプロケット23に収容しているが、シリンダヘッド1cの反対側に配置して、例えばハウジング31に収容するようにしてもよい。また、図3に示す例では、スプロケット23とロータ35との間にてコイルばね55の弾性力が発揮されるよう構成しているが、例えばハウジング31とロータ35との間にてコイルばね55の弾性力が発揮されるよう構成してもよい。なお、当該コイルばね55は、特許請求の範囲に記載の「スプリング」に相当するものである。
また、図4及び図5に示すように、いずれか1つのベーン41に形成されたロックピン収容孔57には、ハウジング31に対してロータ35を相対回転不能にロックするためのロックピン58(ロック機構)が出没可能に収容され、このロックピン58がハウジング31に設けられた図3に示すロック穴59(ロック機構)に嵌り込むことで、カム軸位相がその調整可能範囲の中間位置(ロック位置)でロックされる。ちなみに、最遅角位置及び最進角位置の中間位置に設定されたロック位置でエンジン始動させることにより、エンジン始動性を向上できる。また、例えばアクセル操作量一定で平坦な道を走行する場合等、負荷変動の少ない定常走行時においては、前記中間位置より遅角側の位相とすることで、燃焼室1dでの膨張比を大きくして熱効率を向上させるアトキンソンサイクル化を図っている。
図6及び図7に示すように、ロックピン58は、ロックピン収容孔57の内周に嵌合された円筒部材61内に摺動可能に挿入され、スプリング62によってロック方向(突出方向)に付勢されている。また、ロックピン58の中央外周部に形成された弁部63によって、円筒部材61とロックピン58との隙間が、ロック油圧室64とロック解除保持用の解除保持油圧室65とに区画されている。そして、ロック油圧室64と解除保持油圧室65に進角室42から作動油を供給するために、ベーン41には、進角室42に連通するロック油路66とロック解除保持用の油路67が形成されている。また、ハウジング31には、ロック穴59と遅角室43とを連通するロック解除油路68が形成されている。
図6に示すように、ロックピン58のロック時には、ロックピン58の弁部63がロック解除保持用の油路67を塞いで、ロック油路66をロック油圧室64に連通させた状態となる。これにより、進角室42からロック油圧室64に油圧が供給され、この油圧とスプリング62によってロックピン58がロック穴59に嵌まり込んだ状態に保持され、カム軸位相が中間位置でロックされる。
エンジン停止中は、ロック油圧室64の油圧(進角室42の油圧)が低下するが、スプリング62によってロックピン58がロック位置に保持される。したがって、エンジン始動は、ロックピン58がロック位置に保持された状態(中間位置)で行われ、エンジン始動後に、ロック穴59の油圧(遅角室43の油圧)が高くなると、その油圧によって次のようにしてロックピン58のロックが解除される。エンジン始動後に、遅角室43からロック解除油路68を通してロック穴59に供給される油圧(ロック解除方向の力)が、ロック油圧室64の油圧(進角室42の油圧)とスプリング62のばね力との合力(ロック方向の力)よりも大きくなると、ロック穴59の油圧によってロックピン58がロック穴59から押し出されて図7のロック解除位置に移動し、ロックピン58のロックが解除される。
このロック解除状態では、図7に示すように、ロックピン58の弁部63がロック油路66を塞いで、ロック解除保持用の油路67を解除保持油圧室65に連通させた状態となる。これにより、進角室42から解除保持油圧室65に油圧が供給され、この解除保持油圧室65の油圧(進角室42の油圧)とロック穴59の油圧(遅角室43の油圧)とによってロックピン58がスプリング62に抗してロック解除位置に保持される。そして、エンジン運転中は、進角室42と遅角室43のいずれかの油圧が高くなっているため、その油圧でロックピン58がロック解除位置に保持され、ロータ35が相対回転可能な状態(つまりバルブタイミング制御が可能な状態)に保持される。
ECU100は、ソレノイド122aの作動を制御することによりOCV122Lの作動を制御する進遅角位置制御手段として機能し、クランク角センサ102及びカム角センサ101L,101Rの出力信号に基づいて吸気バルブの実バルブタイミング(吸気カム軸16L,16Rの実進角量)を演算すると共に、吸気圧センサ22、水温センサ23等のエンジン運転状態を検出する各種センサの出力に基づいて吸気バルブの目標バルブタイミング(吸気カム軸16L,16Rの目標進角量)を演算する。そして、吸気バルブの実バルブタイミングを目標バルブタイミングに一致させるようにバルブタイミング調整装置18のOCV122Lをフィードバック制御する。
換言すれば、ECU100は、進角室42と遅角室43の油圧を制御して、ハウジング31に対するロータ35の実相対回転位置(実進角量に相当)を目標相対回転位置(目標進角量に相当)まで相対回転させることで、吸気バルブの実バルブタイミングが目標バルブタイミングに一致するよう、カム軸位相を変化させる。
その後、エンジン1を停止させる際に、エンジン回転速度が低下すると、油圧ポンプ121の吐出圧が低下するため、進角室42や遅角室43の油圧が低下してくる。これにより、解除保持油圧室65の油圧(進角室42の油圧)とロック穴59の油圧(遅角室43の油圧)が低下して、スプリング62のばね力がこれらの油圧に打ち勝つようになると、スプリング62のばね力によってロックピン58が突出してロック穴59に嵌まり込むようになる。但し、ロックピン58がロック穴59に嵌まり込むには、両者の位置が一致していること、つまり、ロータ35が中間位置に一致していることが条件となる。
この条件を満たすべく、イグニッションスイッチ110のオフ操作(IGオフ操作)を検出した場合に、ECU100は、ロータ35をロック位置(中間位置)に向けて相対回転させるようにOCV122Lを制御するロック制御を実行している。このロック制御によりロータ35を中間位置に到達させることができれば、ロックピン58がロック穴59に嵌まり込んだロック状態で、次回、IGオン操作してエンジン1を始動させることができる。
ここで、作動油が低温で高粘性になっていると、前記ロック制御を行ったとしても、油圧ポンプ121が停止するまでの間にロータ35がロック位置まで到達できない場合がある。また、先述したように、IGオフ操作後においてエンジン1への燃料噴射を停止させるタイミングを遅延させる遅延制御(特許文献1参照)を行うと、IGオフ操作してから直ぐにエンジン1が停止しないことについて運転者に違和感を与えてしまう。これに対し本実施形態では、ロック位置まで到達できなかった場合に、以下に説明するIGオフ時制御を実行することで、運転者に違和感を与えることの回避と確実なロックとの両立を実現させている。
IGオフ時制御とは、エンジン1の停止に伴いクランク軸13が回転停止(つまり油圧ポンプ12が作動停止)した後のエンジン停止期間中に、ロック状態になっていないことを条件として、クランク軸13をクランキングさせるスタータモータ140(図3参照)を作動させる制御である。このIGオフ時制御はECU100(ロック制御装置)が有するマイコンにより実行される制御であり、以下、図8を用いてIGオフ時制御の処理手順を説明する。
図8の処理は、IGオフ操作した後クランク軸13が回転停止したことと、ロック状態になっていないこととを条件として開始される。先ず、ステップS10において、クランク軸13が回転停止してから所定時間が経過したか否かを判定する。
所定時間(例えば約1sec)が経過したと判定されると(S10:YES)、続くステップS20(停止後回転制御手段)においてスタータモータ140を作動させるよう、バッテリ130からスタータモータ140に電力供給してスタータモータ140を回転させる。所定時間が経過するまではステップS10にて処理は待機されるので、このステップS10により、所定時間が経過するまではスタータモータ140の作動が禁止されることとなる。
また、ステップS20にて電力供給するにあたり、DC-DCコンバータ(図示せず)によりスタータモータ140への印加電圧を調整する。この調整では、エンジン始動時に通常用いるスタータモータ140によるクランキング速度に比べ、遅い回転速度でスタータモータ140を回転させるよう電圧調整する。
なお、スタータモータ140からクランク軸13への動力伝達機構は、特開2000−274337号公報等に記載の機構と同様にして、動力伝達が常時可能に構成された機構である。
続くステップS30では、クランク角センサ102の検出値に基づき、第1吸気カム軸16Lが、ステップS20による回転を開始してから180℃A(クランク軸13では360℃A)回転したか否かを判定する。180℃A回転したと判定(S30:YES)されるまではステップS20の処理を継続し、180℃A回転したと判定されると図8の一連の処理を終了する。
以下、図8のIGオフ時制御を実行することによるバルブタイミング可変機構28L,28Rの作動を説明する。
IGオフ操作に伴いクランク軸13が回転停止した時点において、ロータ35がロック位置よりも遅角側にずれてロックできていない場合には、ロータ35はコイルばね55の弾性力により進角側に付勢されるので、この弾性力によりロック位置まで相対回転することとなる。但し、このようにコイルばね55の弾性力で進角側に相対回転させるには、本実施形態に係るV型エンジン1の燃料順序が図10に示す態様である必要がある。これについては後に詳述する。
一方、ロック位置よりも進角側にずれてロックできていない場合には、スタータモータ140によりクランク軸13を回転させることで、ハウジング31はクランク軸13とともに回転しようとするのに対し、ロータ35は吸気カム軸16Lからのカムトルクにより回転抵抗を受ける。したがって、ロータ35はカムトルクにより遅角側に相対回転することとなり、その結果、ロック位置に到達する。よって、ロータ35がロック位置に対して遅角側及び進角側のいずれにずれていたとしても、ロック位置まで相対回転してロックされることとなる。
ここで、図10は、本実施形態に係るV型4気筒エンジン1による各気筒の吸気順序と、第1吸気カム軸16L及び第2吸気カム軸16Rのリフト変化を説明する図である。図9は、直列型4気筒エンジンの場合におけるカム軸16xのリフト変化を示す図であり、本実施形態と比較説明するための図である。なお、これらの図の横軸は時間経過を表す。
図9に示す直列型エンジンでは、1本の吸気カム軸16xに全気筒のバルブカム26xが設けられている。そのため、吸気バルブをリフトアップさせることに伴い生じるカムトルクは、吸気カム軸16xに常時かかることとなる(図9の下段参照)。すると、ロック位置よりも遅角側にずれてロックできていない場合において、ロータには、スプリングによる弾性力が進角側へかかると同時に、カムトルクが遅角側へ常時かかっている。したがって、スプリングの弾性力によりロータを進角側へ相対回転させることは困難となる。
これに対し、本実施形態に係るV型エンジン1では、左バンクLに設けられた第1吸気カム軸16Lと、右バンクRに設けられた第2吸気カム軸16Rとの、2本の吸気カム軸16L,16Rを備える。そして、本実施形態では、右バンクRの気筒#3,#4が順次燃焼した後、左バンクLの気筒#2,#1が順次燃焼するよう、左右のバンクL,Rが交互に燃焼するV型エンジン1を対象としている。つまり、右バンクRの気筒#3,#4にて吸気行程が順次なされた後、左バンクLの気筒#2,#1にて吸気行程が順次なされるよう、2本の吸気カム軸16L,16R上におけるバルブカム26の位置は設定されている。
そのため、IGオフ操作に伴いクランク軸13が回転停止した後に、スタータモータ140を作動させてクランク軸13を回転させると、2本の吸気カム軸16L,16Rのうち一方のカム軸16Rにカムトルクが順次発生した後、他方のカム軸16Lでカムトルクが順次発生する。つまり、他方のカム軸16Lにてバルブのリフトアップに伴うカムトルクが発生している期間TaLには、一方のカム軸16Rには符号TbRに例示される領域にてカムトルクは発生しないこととなる。したがって、このようにカムトルクが発生しない期間TbR(非リフトアップ領域)に、コイルばね55の弾性力によりカム軸16Rのロータ35を進角側へ相対回転させることが可能となる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)コイルばね55を備えるので、エンジン停止後ロータ35がロック位置よりも遅角側にずれてロックできていない場合には、コイルばね55の弾性力によりロック位置に向けて進角側に相対回転できる。また、エンジン停止後スタータモータ140を作動させるので、進角側にずれてロックできていない場合には、カムトルクによりロック位置に向けて遅角側に相対回転できる。以上により、エンジン停止時にロック位置に対して遅角側及び進角側のいずれにずれていたとしても、ロック位置まで相対回転してロックさせることができる。よって、エンジン停止タイミングを遅延させる従来の遅延制御の廃止、或いは遅延時間の短縮を可能にしつつ、次回のエンジン始動時にはロックした状態にしておくことができる。よって、運転者に違和感を与えることの回避と確実なロックとの両立を実現できる。
(2)エンジン停止後にスタータモータ140を作動させるにあたり、始動時のクランキング速度よりも遅い回転速度で作動させる。そのため、スタータモータ140の回転による振動騒音を最小限にできる。
(3)先述した非リフトアップ領域TbR、つまりコイルばね55の弾性力により進角側へ相対回転する期間は、第1及び第2吸気カム軸16L,16Rが180℃A(クランク軸13で360℃A)回転する毎に現れるのに対し、本実施形態では、第1及び第2吸気カム軸16L,16Rを180℃A(クランク軸13で360℃A)だけ回転させるので、スタータモータ140の作動を最小限にしつつ確実なロックを実現できる。
(4)図8のステップS10に示すように、クランク軸13が回転停止してから所定時間が経過するまでは、スタータモータ140を作動させることを禁止している。そのため、コイルばね55の弾性力によりロック位置に向けて進角側へ相対回転している最中に、スタータモータ140の作動によりロック位置に到達する前に非リフトアップ領域TbLが終了して、カムトルクを受ける領域TaLになってしまうことを回避できる。よって、コイルばね55の弾性力によりロック位置まで相対回転させることを確実にできる。
(5)スタータモータ140からクランク軸13への動力伝達機構は、クランク軸13と一体的に回転するリングギヤ(図示せず)と、スタータモータ140の回転軸と一体的に回転するピニオンギヤ(図示せず)とが常時噛み合っているよう構成された機構であるので、エンジン停止時にスタータモータ140を作動させるにあたり、ピニオンギヤをリングギヤに噛み合わせる時に生じる衝突音の発生を回避できる。よって、このような衝突音によりユーザに違和感を与えてしまうことを回避できる。
(第2実施形態)
本実施形態では、エンジン停止後スタータモータ140を作動させるにあたり、図11に示すように作動油の温度が低いほどスタータモータ140への印加電圧を高くしている。
図12は、スタータモータ140への印加電圧を調整する回路を示す図であり、複数のスイッチSW1,SW2,SW3のオン・オフを切り替えることにより、印加電圧を調整する。例えば図13に示すようにスタータモータ140を作動させる時の作動油温度が−20℃以下の極低温時、−20℃〜0℃の低温時、0℃以上の通常時の3段階に場合分けする。そして、これらの段階毎に複数のスイッチSW1〜SW3をオンさせる数を変更することで、印加電圧を調整する。
なお、作動油温度は、作動油温度を検出する油温センサ103(図3参照)により検出するようにしてもよいし、エンジン冷却水の温度と作動油温度とは相関があることを利用して、エンジン冷却水温度を検出するセンサの検出値に基づき、冷却水温度が低いほどスタータモータ140への印加電圧を高くするようにしてもよい。
以上により、作動油温度が低いほどスタータモータ140への印加電圧を高くするので、低温時であってもクランク軸13を確実に回転できるとともに、高温時にはスタータモータ140への印加電圧を最小限にできる。
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。また、本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
・上記第1実施形態によるIGオフ時制御では、エンジン1の停止に伴いクランク軸13が回転停止した時に、ロック状態になっていないことを条件としてスタータモータ140を作動させているが、ロック状態の有無に拘わらずスタータモータ140を作動させるようにしてもよい。
・上記第1実施形態では、IGオフ操作した後クランク軸13が回転停止した時点から所定時間が経過した時点でスタータモータ140を作動させているが、次回エンジン始動させるまでのエンジン停止期間中に、スタータモータ140を作動させればよく、例えば、次回エンジン始動にあたりIGオン操作してからスタータモータ140の駆動をオン操作するまでの間に、図8のステップS20及びステップS30の処理を実行するようにしてもよい。
・本発明の実施にあたり、IGオフ操作後、所定時間は燃料噴射を継続することで作動油圧低下の開始時期を遅らせる遅延制御を、上記実施形態に係るIGオフ時制御と組み合わせて実行するようにしてもよい。
・上記第1実施形態では、吸気カム軸16L,16Rに取り付けられたバルブタイミング可変機構28L,28Rを対象としているが、排気カム軸17L,17Rに取り付けられたバルブタイミング可変機構を対象としてもよい。
・上記第1実施形態ではV型エンジンを対象としているが、水平対向型エンジン(バンク角180度)を対象としてもよい。また、本発明は4気筒エンジンに限られるものではなく、例えば6気筒、8気筒でもよい。但し、左右のバンクが交互に燃焼するエンジンであることを要する。
本発明の第1実施形態にて適用されるエンジンの概略を説明する図。 図1に示すカム軸を上面側から見た図。 図2のバルブタイミング調整装置を示す縦断面図。 図3のI−I断面図。 図3のII−II断面図。 図3のロック機構によるロック状態を示す断面図。 図3のロック機構によるロック解除状態を示す断面図。 第1実施形態に係るIGオフ時制御の処理手順を示すフローチャート。 第1実施形態と比較される直列型4気筒エンジンにおいて、カム軸のリフト変化を示す図。 第1実施形態に係るV型4気筒エンジンにおいて、カム軸のリフト変化を示す図。 本発明の第2実施形態において、スタータモータへの印加電圧と作動油温度との関係を示す図。 第2実施形態において、スタータモータへの印加電圧を制御するための回路を示す図。 図12の回路の制御内容を示す図。
符号の説明
1…V型エンジン、13…クランク軸(出力軸)、16L…第1吸気カム軸、16R…第2吸気カム軸、28L,28R…バルブタイミング調整装置、31…ハウジング(エンジン側回転体(他方の回転体))、35…ロータ(カム側回転体(一方の回転体))、55…コイルばね(スプリング)、58…ロックピン(ロック機構)、59…ロック穴(ロック機構)、100…ECU(ロック制御装置)、121…油圧ポンプ、140…スタータモータ、S20…停止後回転制御手段。

Claims (7)

  1. エンジンの出力軸とともに回転するエンジン側回転体と、吸気バルブ又は排気バルブを開閉駆動させるカム軸とともに回転するカム側回転体と、前記出力軸の回転力を駆動源として前記両回転体の一方を他方に対して相対回転させるよう作動油を供給する油圧ポンプと、を有し、前記作動油の供給状態を制御することで前記一方の回転体の相対回転位置を制御して、前記吸気バルブ又は前記排気バルブの開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置に適用された、バルブタイミング調整装置用のロック制御装置において、
    前記バルブタイミング調整装置は、最遅角位置及び最進角位置の中間位置で前記一方の回転体を相対回転不能にロックするロック機構と、前記一方の回転体を進角側へ付勢するスプリングと、を有しており、
    前記エンジンの停止に伴い前記出力軸が回転停止してから次回エンジン始動させるまでのエンジン停止期間中に、前記出力軸をクランキングさせるスタータモータを作動させることで、前記エンジン停止期間中に前記出力軸を回転させる停止後回転制御手段を備え、
    所定のバンク角をなす左右のバンクを備えたV型エンジン又は水平対向型エンジンであって、一方のバンクを構成する複数の気筒が順次燃焼した後、他方のバンクを構成する複数の気筒が順次燃焼するよう、左右のバンクが交互に燃焼するエンジンに適用したことを特徴とするバルブタイミング調整装置用のロック制御装置。
  2. 前記停止後回転制御手段は、前記エンジン停止期間中に前記出力軸を回転制御するにあたり、エンジン始動時のクランキング速度よりも遅い回転速度で前記スタータモータを作動させることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置用のロック制御装置。
  3. 前記停止後回転制御手段は、前記エンジン停止期間中に前記出力軸を回転制御するにあたり、前記カム軸が180℃Aだけ回転するよう前記スタータモータを作動させることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブタイミング調整装置用のロック制御装置。
  4. 前記バルブタイミング調整装置は前記左右のバンクのそれぞれに搭載されており、
    前記エンジンの停止に伴い前記出力軸が回転停止してから所定時間が経過するまでは、前記停止後回転制御手段による前記出力軸の回転を禁止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のバルブタイミング調整装置用のロック制御装置。
  5. 前記停止後回転制御手段は、前記エンジン停止期間中に前記出力軸を回転制御するにあたり、前記作動油の温度が低いほど前記スタータモータへの印加電圧を高くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のバルブタイミング調整装置用のロック制御装置。
  6. 前記スタータモータから前記出力軸への動力伝達機構は、動力伝達が常時可能に構成された機構であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のバルブタイミング調整装置用のロック制御装置。
  7. 前記バルブタイミング調整装置と、
    請求項1〜6のいずれか1つに記載のロック制御装置と、
    を備えることを特徴とするロック制御システム。
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