JP4808792B2 - バタフライバルブ - Google Patents

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Description

本発明は、タイトシャット機能を有し、エロージョンの発生を防止することは勿論のこと、特に低開度域或は微開度域での微少流量調整を可能とし、高レンジアビリティに顕著な効果を有するバタフライバルブに関する。
バタフライバルブは、構造が簡単で、軽量、低操作力といった特長を備えているので、ストップ弁として、或は、目的や用途に応じて流量調整弁として用いられている。特に、流量調整弁として用いると、低開度時に、弁体の下流側にキャビテーションが発生して振動や騒音を発生するばかりでなく、弁体や配管を損傷や侵食するいわゆるエロージョンが発生するおそれがある。
そこで、これらの課題を解決するため、これまで各種の対策手段が提案されている。
例えば、特開昭57−157866号公報は、弁体の外周縁に櫛歯状突起を設け、この突起で流体をジェット流に変えて弁体の下流側に発生するキャビテーションを抑制しようとする方法である。また、実開昭62−6568号公報は、弁体の両側外周部に帯部材を設け、これらの帯部材に多数の小孔群を形成して乱流を整流化しようとする方法であり、特公平5−78713号または実開平5−8139号公報は、弁体の二次側に整流板を取付けてキャビテーションを防止しようとする手段である。更に、実用新案登録第2589805号公報は、偏心形弁体の一片側に翼体を設け、この翼体に多数の小孔を設けてキャビテーションを抑制しようとするバタフライ弁であり、実公平7−43553号公報は、弁体の両側の周状突縁にそれぞれ小通孔を形成してキャビテーションを抑制しようとするバタフライ弁である。特開平7−208615号公報も弁体の両側の翼体にそれぞれ小孔を形成してキャビテーションを抑制しようとする弁である。
特開昭57−157866号公報 実開昭62−6568号公報 特公平5−78713号公報 実開平5−8139号公報 実用新案登録第2589805号公報 実公平7−43553号公報 特開平7−208615号公報
しかしながら、上記に示した従来の方法は、何れも流体の流れを整流化させてキャビテーションの防止を図ることを主要目的としているため、低開度域または微開度域における流体の微量調整を行うことは実質的に不可能であり、低開度域または微開度域での流量調整用のコントロール弁としては不十分であるため、有効な高レンジアビリティ性能を有する実施品は存在していないのが実状であった。
例えば、空調機器に用いられるこの種のバタフライバルブは、夏の需要期には、全開状態で使用されるのに対して、それ以外の時期には、開度40%以下の調整範囲における低開度域または微開度域状態で使用されるのが通常であり、使用目的によっては、この種のバルブは、低開度域または微開度域における流体制御に用いる場合も多くなる。
特に、このバタフライバルブは、弁座にリング状のゴムシートを装着して用いられているものが多く、これを低開度または微開度域で使用すると、弁体とゴムシートの間の流路が絞られて流速が早くなり、この流速によりゴムシートなどが侵食されるいわゆるエロージョン現象が発生するおそれもあった。
本発明は、従来の各種の問題点を解決するために開発したものであって、その目的とするところは、耐キャビテーション機能を有し、エロージョンの発生を防ぐことは勿論のこと、バルブの微開度域または低開度域での流体の微少流量調整を可能とすることにより、高レンジアビリティを発揮し、コントロール機能とタイトシャット機能に優れたバタフライバルブを提供することにある。
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、筒状弁箱に装着した弾性シートリング内を円板状弁体の回転で開閉するバタフライバルブにおいて、前記弁体のオリフィス側とノズル側の外周縁にタイトシャット用の弁閉止部を形成し、オリフィス側の前記弁閉止部の下流側に向け、かつ、ノズル側の前記弁閉止部の上流側に向けて前記弾性シートリングに押圧接触する押圧弁部をそれぞれ形成し、前記押圧弁部の径を前記弁閉止部の径よりも小さく形成すると共に、オリフィス側の押圧弁部と弁閉止部との間に空隙部を形成し、この空隙部内の二次側の内壁を抵抗板としての機能を発揮させて当該空隙部を圧力室とし、前記内壁に連通穴を設けて前記空隙部内から下流側に向けて連通させ、前記連通穴の開口面積の総和は、前記空隙部の弁体外周部における開口面積と同等以上とすることにより、オリフィス側の押圧弁部が弾性シートリングに押圧接触し、かつ、弁閉止部が微開度域の状態において、空隙部に流入した流体を極度に絞ることなく効率的に二次側へ導くようにしたバタフライバルブである。
以上のように、本発明によると、弾性シートリングを用いたタイトシャット可能なバタフライバルブであると共に、弾性シートリングのエロージョン現象を防止しつつ、従来に比較して著しく高いレンジアビリティを実現したバタフライバルブを提供することができる。また、押圧弁部の径を弁体の径より小さく形成したから、弁体によりシートリングへの押圧量よりも押圧弁部によるシートリングへの押圧量の方が少なく設けられているので、弁体の回動に伴って、弁体より押圧弁部側の摺動抵抗が小さくなるため、弁体の低開度時におけるジャンピング現象の発生を防止することができる。しかも、空隙部である圧力室により流速を制御し、高いコントロール特性を発揮し、効率良く二次側に導くことができ、もって、耐キャビテーション性能にも優れている。
また、通常のシートリングを用いたバタフライバルブに、本発明における弁体を取り替えることにより低開度で使用可能な調節弁として利用できる。
更には、イコールパーセント特性等の流量調整範囲が広く、低騒音で、低トルクであり、安価なコントロール弁であるバタフライバルブを提供することが可能となる。
また、オリフィス側とノズル側とで押圧弁部の長さを変えることにより、一方の押圧弁部がシートリングから離れても、他方の押圧弁部がシートリングに押圧されている状態が維持されるので、弁体のジャンピング現象の発生を確実に防ぐことができる。
本発明におけるバタフライバルブに用いる弁体の一例を示した斜視図である。 図1の正面図である。 図2のA−A線断面図である。 図2の平面図である。 本発明におけるバタフライバルブの弁開度0%の状態を示す断面図である。 図5における弁開度28%と100%の全開状態を示す断面図である。 本発明におけるバタフライバルブの高レンジアビリティ特性を示したグラフである。 図7における低開度域範囲を拡大して示したグラフである。 弁開度10%のオリフィス側の状態を示した部分拡大断面図である。 図9における弁開度15%の状態を示した部分拡大断面図である。 弁体のジャンピング現象について説明した弁開度0%の部分説明図である。 図11において弁開度10%の状態を示した部分説明図である。 図9に示した例の他の実施例を示す部分拡大断面図である。 本発明におけるバタフライバルブの他例を示した断面説明図である。 図14における弁体の一部切欠き拡大図である。 図15における弁体構造でキャビテーション発生の防止を説明する説明図である。 本発明におけるバタフライバルブの更に他の例を示した弁体の一部切欠き拡大図である。
本発明を実施するための最良の形態を詳述するため、添付の図面に従ってこれを説明する。
図5、図6において、本例のバタフライバルブは、筒状の弁箱1の内周に、焼付け手段でNBRやEPDM等のゴム製の弾性シートリング2を装着し、このシートリング2内に円板状の弁体3を回転自在に設けて弁体3を開閉させるように構成している。
更に、図1に示すように、この弁体3の中央対向位置には、上ステム4と下ステム5を取付ける取付部6,7が形成され、また、弁体3の外周縁に形成した弁閉止部3a,3bは、弁閉止機能(タイトシャット機能)を発揮する形状を成している。
図4に示すように、弁体3は、オリフィス側弁閉止部3aが、ノズル側弁閉止部3bに対して約3°の角度で弁一次側に傾斜して形成されている。これにより、オリフィス側弁閉止部3aがシートリング2に対して浅い角度で接触し、シートリング2に押圧される範囲が狭くなり、オリフィス側弁閉止部3aがシートリング2に食い込む量が少なくなるので、弁全閉位置から弁体3を回動させた際、弁体3が急激に動くいわゆるジャンピング現象の発生を抑えた上で、オリフィス側弁閉止部3aがいち早くシートリング2から離れ、低開度から流量調節を開始することができる。
上記に示した傾斜角度は、低開度から流量調節を開始するためには小さい方が良く、一方、弁呼び径が小さくなるほど大きくする方がよい(例:100Aの場合が3°、50Aの場合が7°)。これは、呼び径の小さいバルブは弁体の半径が小さく、弁軸(ステム)の回転角に対して弁体の最大可動部(弁軸に対して直行する位置)における弁体の動きの幅が小さいためである。従って、この傾斜角度は、3°〜7°が好ましい。
また、第3、4図において、弁体3のステム4,5を中心にして、オリフィス側8とノズル側9に押圧弁部10,11を形成している。この押圧弁部10,11は、弁体3の低開度時に弾性シートリング2に押圧接触させて、特に、オリフィス側8のいわゆるエロージョン現象を防止している。このオリフィス側8とは、弁体3が上流側にある開口部をオリフィス側といい、ノズル側9とは、弁体3が下流側にある開口部をいう。
本例における押圧弁部10,11は、弁体3の両側外周縁に弁体3の閉方向側に向けてそれぞれ形成した翼状片(押圧弁部)10a,11aであり、この翼状片10a,11aは、弁体3の低開度時に弾性シートリング2を押圧接触する機能を有し、その外周面は、シートリング2の内周面に球面接触するように球面状に形成されている。この翼状片10a,11aは、正圧と負圧とが均衡して圧力がバランスするので、軽い操作力で弁体3を動かすことができ、弁の操作トルクを著しく低減できる。
図4に示すように、ノズル側弁閉止部3bを基準に、オリフィス側8の翼状片10aの角度αを27°とし、ノズル側9の翼状片11aの角度βを30°として、同図中、α<βとしている。これは、オリフィス側8の翼状片10aがシートリング2から離れ、オリフィス側8とシートリング2の間に形成される三日月形の流路(図示しない)に流体が流れる状態になっても、ノズル側9からは流体を流さないことにより、後述する連通部13や流入口14,15、上記の三日月形の流路を通じて、所定の流量特性(イコールパーセント特性など)を得るためである。
また、このようにオリフィス側8とノズル側9とで押圧弁部10,11の長さを変えることにより、一方の押圧弁部がシートリング2から離れても、他方の押圧弁部がシートリング2に押圧されている状態が維持されるので、弁体3のジャンピング現象の発生を更に防ぐことができる。
この押圧弁部10,11の長さは、流量制御やキャビテーション抑制などを考慮して設定する。この設定はバルブの口径によっても異なり、例えばバルブ呼び径50Aではα<βが好ましいが、呼び径150Aなど口径が大きくなるに従って、キャビテーションの抑制を考慮する度合いが高くなる場合は、α>βとする場合もある。従って、αとβとは、弁体3のジャンピング現象の発生を抑制する点からは、α≠βの関係であればよい。
また、本実施例においては、押圧弁部10,11の径φBと弁体3の径φAとは同一寸法であるが、図11、図12に示すように、押圧弁部10,11の径φBは、弁体3(弁閉止部3a)の径φAよりも小さく形成してもよく、この場合、弁体3によるシートリング2への押圧量aよりも押圧弁部10a,11aによるシートリング2への押圧量bの方が少なく設けられている。即ち、径φBをφAよりも小さくすることにより、シートリング2の押圧量をa>bとして弁体3の回動に伴うφB側の摺動抵抗を小さくし、弁体3の低開度時におけるジャンピング現象を防止している。
図1に示すように、弁体3のオリフィス側8には、弁体3の外周縁に又は外周縁の下流側位置に空隙部(スリット)12を形成しており、この空隙部12から下流側に向けて連通する連通部(連通穴)13を形成している。この空隙部(スリット)12は、弁微開度域(本例では3°〜5°)において、弁一次側から連通部13を経由して弁二次側に流れる流体を減衰させ、その圧力が流体の飽和水蒸気圧を下回らないようにし、キャビテーションの発生を防ぐために設けられる。すなわち、図9において、空隙部12の内壁12aが抵抗板の機能を発揮するため、空隙部12は、圧力室としての機能を有する。この空隙部(スリット)12の幅は、流体を多く流すためには広い方がよいが、スリット12へのシートリング2の食い込みを防止するためには狭いほうがよい。更に、このスリット12を鋳造時に形成する場合等を考慮し、弁の呼び径によっても異なるが、最適な寸法を、3mm〜10mmとした。スリット12の深さは、流最設定や鋳造成形を考慮し、弁体の最大可動部と弁体中心との距離の1/3〜1/2としている。
この連通部13は、弁微開度域において、弁一次側から弁二次側に流れる流量を制御するために設けられており、本例においては、オリフィス側の最大回動部位に4個設けているが、これらの大きさ、形、数は、実施に応じて任意であり、孔径や配列間隔を変更して、流量特性を任意に変えることができる。
更に、連通部13は、スリット12の底部付近に設けることにより、スリット12内でキャビテーションの影響を十分に取り除いた状態で、弁二次側に流体を流すことができる。連通部13の形状や数は、目的の流体特性に応じて任意であるが、その開口面積の総和は、弁体外周部におけるスリット12の開口面積と同等以上とすることにより、スリット12に流入した流体を極度に絞ることなく効率良く二次側に導くことができる。
また、オリフィス側8の翼状片10aには、図1に示すように、外周面から下流側に向けて流入する微少流入部(流入穴)14が、放射状に複数個設けられ、または、図9及び図13に示すように、外周面から下流側に向けて流入する微少流入部(流入穴)14と微少流入部15が、放射状に複数個設けられており、この流入部14,15は、それぞれ整流作用をなすように設けられている。なお、微少流入部15は、微少流入部14側よりもスリット12側に設けられる流入穴であり、弁軸(ステム)の回転各に対する流量制御の分解能を上げるために設けられ、特に弁呼び径が大きいバルブ、例えば、バルブ呼び径200A以上に設けるのが好ましい。
この流入穴14,15は、主に弁低開度域(本例では5°〜30°)において、連通部13と共に、弁一次側から弁二次側に流れる流量を制御するために設けられる。
本例では、図1・図2に示すように、同一形状の円形流入口(流入部)14を、翼状片10aの球状外周面の経線上で、且つ弁体3の最大可動部を中心として20度の角度間隔で、5個配置している。弁開時には、弁体3の回転に伴ってこの5つの穴14に同時に流体が流れ始め、弁開度が大きくなるにつれて、それぞれの穴14を通過する流量は、その位置の差によって異なってゆく。
一方、図4に示すように、弁体3のノズル側9には、弁一次側と二次側とを連通する孔を設けていないため、弁微開度域や弁低開度域における流体は、全てオリフィス側8の弁体3に設けられた連通部13や流入穴14を経由して流れるので、弁低開度域においても正確な流量制御を行うことができ、高レンジアビリティを実現したバタフライバルブを得ることができる。
図中16は配管17に固着したフランジ部で、このフランジ部16,16の間に本例のバタフライバルブをボルト、ナットで狭持して装着している。
次に、上記実施形態の作用を説明する。
図5において、弁体3が全閉状態(弁開度0%)のとき、水等の液体(流体)が矢印に示す右側より流入すると、弁体3の弁閉止部3a,3bがゴム製のシートリング2に押圧密接して全閉状態を保持している。
全閉状態において、ノズル側弁閉止部3bは、シートリング2に対してやや傾斜して押圧密接しており、オリフィス側弁閉止部3aは、それより更に傾斜した角度でシートリング2に押圧密接している。
次に、図9に示すように、弁体3を反時計回りへ回動させて弁開度(5〜10%)にすると、前述のようにオリフィス側弁閉止部3aがジャンピング現象を生ずることなくシートリング2から離れ、続いてノズル側弁閉止部3bがシートリング2から離れる。
この場合、弁体3のオリフィス側最大回動部付近から微少流量の液体が整流され、渦流や乱流の発生が抑止されながら連通部13より弁二次側に連通し、とりわけスリット12に微少流量の液体が流入した際、液体が空隙部12の内壁12aに衝突することにより、飽和水蒸気圧を下回らない程度にその勢いが減じられ、低圧部の発生が阻止され、キャビテーションの発生を抑止しつつ、騒音の発生を抑えながら微少流量調節を行うことができる。続いて順次、弁体3を回転するに従って、空隙部12の開口面積が増加して流量が少しずつ増えていくので、微少流量を高精度に制御することができコントロール弁として機能する。
即ち、弁体3の押圧弁部10、本例では、翼状片10aが弾性シートリング2を押圧接触するので、液体は押圧弁部10と弾性シートリング2の間を通過することなく、確実に連通部13を通過する。従って、いわゆるエロージョン現象により弾性シートリング2が侵食されることなく、連通部13の形状に依存した微少流量制御を行うことができる。
また、図11と図12において、弁開度0%のときの弁閉状態から弁開度10%にすると、押圧弁部10,11によるシートリング2の押圧量がa>bであるから、押圧弁部10,11の球面状の翼状片10a,11aがシートリング2の内周面を弁閉止部3aによるシートリング2への押圧力よりも弱い力で押圧しており、微少開度において、弁軸を回動する際の摺動抵抗が小さいので、弁体3が急激に回転することなく、微少に開度を調整することができるため、いわゆるジャンピング現象を確実に防ぐことができる。
次に、図10に示すように、弁開度15%にすると、液体(流体)は、最大回転部の弁体3より空隙部12を通って、連通部13より整流されながら流出すると共に、微少流入部15より流入するので、液体は、整流されながら、しかも、渦流や乱流が抑止され、かつ流速の急激な増加が抑制され、低圧部の発生を防ぐことができるため、キャビテーションの発生を防ぎ、かつ、微少流量を整流化しながら調節することができる。
この弁開度においても、弁体3の押圧弁部10が弾性シートリング2を押圧接触するので、液体は押圧弁部10と弾性シートリング2の間を通過することなく、確実に連通部13及び微少流入部15を通過する。従って、いわゆるエロージョン現象により弾性シートリング2が侵食されることなく、連通部13及び微少流入部15の形状に依存した微少流量制御を行うことができる。
更に、図6に示すように、弁開度28%にすると、オリフィス側8では、液体は、空隙部12から連通部13を連通し、微少流入部14,15より放射状に流入するので、弁体3がオリフィス側8を通過したときに、オリフィス側での渦流や乱流が抑止され、かつ、整流化されながら流入し、キャビテーションの発生が抑制され、エロージョンを防止し、しかも騒音や振動の発生が抑制される。
この図6に示す弁開度においては、液体は押圧弁部10と弾性シートリング2の間も通過するが、連通部13及び微少流入部14,15にも分散して液体が流れるため、いわゆるエロージョン現象により弾性シートリング2が侵食されることはない。
このように、図5及び図6に示すように、弁体3が回転すると、押圧弁部10,11の球面状の翼状片10a,11aがシートリング2の内周面を押圧しているので、微少開度において、シートリング2の弾発力によって、弁体3が急激に回転することなく、微少に開度を調整することができるため、いわゆるジャンピング現象を確実に防ぐことができると共に、流量調整を可能としたコントロール弁としての機能を発揮する。
また、ゴムシートを用いたバタフライバルブの場合は、図7及び第8に示した比較例から明らかなように、弁開度30°〜70°の範囲で弁体の位置を調節し、流量の制御を行うのが一般である。これに対して、本例よると、同図に示すように、0°〜30°の範囲で、流量調節を可能とし、流量調節可能な弁開度におけるCv値を可能な範囲で小さくすることができ、高レンジアビリティ性能を得ることができる。図7は、本発明における弁開度とCv値の関係を示し、高レンジアビリティ状態を示したグラフで、高レンジアビリティ特性を示している。なお、この場合、全開になるに従って、Cv値が比較品より下がるが、特に空気調和機への温水や冷水の供給ラインに本発明のバタフライバルブを用いる場合には、通常は、低開度での使用であるから、実際の使用には影響がない。
同図において、データはいずれも弁呼び径100Aのものであり、弁体材質はSCS13Aである。比較品データは、公知の中心形弁体を用いたバタフライバルブのものであり、弁体には流路口や翼部は形成されていない。また、シートリング等の他の部品は、本発明品と共通である。
同図における比較例は、弁開度約30%〜80%の範囲で正確な流量制御を行うことができ、10:1のレンジアビリティとなっている。一方、本発明品は、弁開度約10%〜100%の範囲で正確な流量制御を行うことができ、200:1の高レンジアビリティ特性を得ることが確認された。
図13は、本発明におけるバタフライバルブの他例を示したもので、上記の例と同一部分は、同一符合で示し、その説明を省略する。同図において、スリットを設けることなく、複数個の流路孔13aを設け、微開度域において、この連通部(流路口)13aを介して流体が流入されて流量調節を可能としており、上記の例と略同様の作用効果を有する。
図14〜図16は、本発明における弁体の他例を示したもので、弁体18の外周にスリット19とスリット20を形成し、更に、連通穴21と連通穴22を形成して、流体を整流化すると共に、弁体18の後流側での低圧部の発生を防ぎ、キャビテーションの抑制と共に、低開度域における流量制御を可能としたものである。この場合、連通穴21の径>連通穴22の径の関係になるように設定し、弁開度が大きくなるに従って流量を多くするようにしている。
また、スリット19とスリット20の大きさをスリット19>スリット20の関係になるように設置し、流体圧を段階的に減衰させてキャビテーションの発生を防いでいる。即ち、図15、図16に示すように、スリット19>スリット20の関係にして、飽和水蒸気圧以下にならないように制御し、キャビテーションの発生を防いでいる。
図17は、本発明における弁体23の更に他例を示したものであり、スリット24,25,26を設け、連通穴27,28,29を設けている。この他例も、上記の各実施例と
略同様の作用効果を発揮することは勿論である。
なお、本発明における各例のバタフライバルブの上流側にストレーナを配置してバルブシステムとして用いることにより、ストレーナで異物が除去された後の液体を本発明のバタフライバルブに導くことができ、連通部13や流入部14,15が目詰まりすることなく、精度の高い流量制御を継続することができる。
1 筒状弁箱
2 弾性シートリング
3 弁体
3a オリフィス側弁閉止部
3b ノズル側弁閉止部
8 オリフィス側
9 ノズル側
10,11 押圧弁部
10a,11a 翼状片
12 空隙部(スリット)
13 連通部
14,15 流入部

Claims (1)

  1. 筒状弁箱に装着した弾性シートリング内を円板状弁体の回転で開閉するバタフライバルブにおいて、前記弁体のオリフィス側とノズル側の外周縁にタイトシャット用の弁閉止部を形成し、オリフィス側の前記弁閉止部の下流側に向け、かつ、ノズル側の前記弁閉止部の上流側に向けて前記弾性シートリングに押圧接触する押圧弁部をそれぞれ形成し、前記押圧弁部の径を前記弁閉止部の径よりも小さく形成すると共に、オリフィス側の押圧弁部と弁閉止部との間に空隙部を形成し、この空隙部内の二次側の内壁を抵抗板としての機能を発揮させて当該空隙部を圧力室とし、前記内壁に連通穴を設けて前記空隙部内から下流側に向けて連通させ、前記連通穴の開口面積の総和は、前記空隙部の弁体外周部における開口面積と同等以上とすることにより、オリフィス側の押圧弁部が弾性シートリングに押圧接触し、かつ、弁閉止部が微開度域の状態において、空隙部に流入した流体を極度に絞ることなく効率的に二次側へ導くようにしたことを特徴とするバタフライバルブ。
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