JP4097459B2 - 充水機能を備えたバタフライ弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、充水機能を備えたバタフライ弁に関し、配管への充水時に定流量で流体を供給するバルブの技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、配管の敷設時における初期充水時および再充水時においては、急激な充水によって満管状態にするとウォーターハンマー等によって配管が破損することがあるので、配管に設けたバタフライ弁を小開度に開栓して小流量で管路に充水している。
【0003】
しかし、一般的なバタフライ弁は小開度における流量制御が困難であり、一定の流量を正確に供給することができず、このため、充水開始から満管状態になるまでの必要時間を予め算出することが困難であった。
【0004】
これに対して、小開度において正確な流量制御を行うバタフライ弁としては、実開昭59−101054号公報に開示するように、弁室内に配置された弁体に外周面が球形をなす弁部片を設け、弁部片に流量調整用の凹溝を形成したものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来形式では、弁体に流量調整用の凹溝を形成するため、弁体自体の厚みが薄い場合には、弁体周縁部における凹溝の開口面積が小さくなって調整可能な流量が微小となり、凹溝の開口形状が弁体周縁部を切り欠いた形状であるために、弁体のわずかな開度の変動によって流量が変化する問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、小開度において定流量の通水を行うことができる充水機能を備えたバタフライ弁を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、弁箱内に内周面に沿って円環状に配置された弁箱シールリングと、弁棒の軸心周りに回転して全閉位置で弁箱シールリングの内周に摺接する弁体と、開栓操作時の回転方向における弁体の背面側に取付けられた一対のディスクテール部とを有するバタフライ弁であって、
上記弁体は、本体部と、この本体部の外周に形成され且つ本体部よりも薄い板状の周板部とで構成され、
上記ディスクテール部は、弁体回転方向において扇状に形成されて上記周板部に設けられ、且つ弁箱シールリングの内周に摺接する球面状に湾曲した外周面を有し、
上記ディスクテール部には、一端が外周面に開口するとともに他端が弁体の上記背面側に開口する通水孔が上記弁体の周板部に隣接して形成され、
弁体の小開度時に、ディスクテール部の外周面が上記弁箱シールリングの内周に摺接し、
通水孔の開栓方向側の端部が周板部の閉栓方向側の側面と一致しており、
通水孔の閉栓方向側の端部からディスクテール部の閉栓方向側の端部に至る範囲には通水孔が無く、かつ、当該範囲の弁体回転方向における幅が弁箱シールリングの内周の流路方向における幅より大きいものである。
【0008】
これによると、開栓操作によって弁体を小開度に開栓した場合、ディスクテール部の外周面が弁箱シールリングに摺接した状態で、通水孔が全開状態となり、弁体を介した弁箱内の上流側領域と下流側領域は上記通水孔を通じてのみ連通し、上流側の配管から弁箱内に流入する流体が上記通水孔を通して下流側の配管へ通水される。上記通水孔を流れる流量は通水孔の流路面積(開口面積)に応じて予め定まっているので、定流量で下流側の配管へ充水することができ、充水開始から満管状態になるまでの必要時間を予め算出することができる。
【0009】
尚、弁体を小開度に開栓した際、開栓操作時の回転方向とは反対方向(すなわち閉側回転方向)における通水孔の端部からディスクテール部の端部までの角度をシール角度とすると、このシール角度の範囲内において、ディスクテール部の外周面が弁箱シールリングに摺接し、通水孔が全開状態となる。
【0010】
また、弁体に周板部を形成し、ディスクテール部を上記周板部に設けることによって、開栓操作時の回転方向における弁体の背面側とディスクテール部の内周面側との間に形成される流路スペースが広がるため、上記通水孔に連通した十分な広さの流路スペースを確保することができる。これにより、流体が上記流路スペースから通水孔を通って一方のディスクテール部の外周面側に流れ出る際或いは流体が他方のディスクテール部の外周面側から通水孔を通って上記流路スペースに流れ込む際の各流れの抵抗が減少するため、流体の流れがスムーズになり、その分、通水孔の弁体回転方向における幅を縮小するとともに通水孔の弁体周方向における長さを細長く形成することができる。これにより、上記シール角度が増加するため、流体を通水孔のみから定流量で下流側の配管へ充水する際の開栓操作角度の範囲が広くなり、充水時の開栓操作を容易且つラフに行うことができ、従来のように弁体のわずかな開度の変動によって流量が変化してしまうといった不具合を防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における第1の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。
図1〜図5に示すように、1はバタフライ弁であり、その弁箱2は両側のポート(図示省略)に上流側配管(図示省略)と下流側配管(図示省略)とが接続されている。
【0012】
上記弁箱2内には、円環状の弁箱シールリング3が内周面に沿って設けられている。弁箱2内を通る流路軸心4に直交する回転軸心5廻りに回転する開閉自在な弁体6が弁棒7を介して弁箱2内に設けられている。尚、弁棒7の端部は、弁棒7を回転して弁体6を開閉する手動ハンドルや減速機付きモータ等の駆動装置(図示省略)に連動連結されている。
【0013】
上記弁体6は、円盤状で且つ内部が中空の本体部9と、この本体部9の外周に形成され且つ本体部9よりも薄い板状の周板部10とで構成されている。また、上記本体部9の外周部から周板部10の内周縁にわたって円弧状に湾曲して次第に薄くなっている。図1に示すように、全閉位置Sにおいて、周板部10の外端縁が弁箱シールリング3に摺接することにより、弁体6の上流側と下流側とが水密にシールされる。
【0014】
また、上記弁棒7は、弁体6に設けられた一対の円筒状のボス部11に挿通されて一体的に連結され、弁箱2に回転自在に保持されている。上記一対のボス部11は回転軸心5上に配置されており、以下、図1に示すように、上記ボス部11を中心として、弁体6の片側半分を一方の半円部分Aといい、もう片側半分を他方の半円部分Bということにする。
【0015】
上記弁体6の一方の半円部分Aにおける周板部10と他方の半円部分Bにおける周板部10とにはそれぞれ、弁体6の回転方向において扇状に形成されたディスクテール部14a,14bが溶接等によって設けられている。これら両ディスクテール部14a,14bはそれぞれ、開栓操作時の回転方向(開栓方向)における弁体6の背面側に位置し、周板部10から立ち上がっている。これらディスクテール部14a,14bの外周面は上記弁箱シールリング3に摺接する球面状に湾曲している。
【0016】
上記両ディスクテール部14a,14bにはそれぞれ、一端が外周面に開口するとともに他端が内周面すなわち開栓操作時の弁体6の背面側に開口する通水孔16が形成されている。上記通水孔16は、弁体6の周方向に沿って細長い長円状であり、上記周板部10に隣接している。尚、図2に示すように、通水孔16の開栓方向側の端部イが周板部10の閉栓方向側(閉栓操作時の回転方向側)の側面ロと一致している。また、図1に示すように、通水孔16の閉栓方向側の端部からディスクテール部14a,14bの閉栓方向側の端部に至る範囲には通水孔16が無く、かつ、当該範囲の弁体回転方向における幅W1が弁箱シールリング3の内周の流路方向における幅W2より大きい。
【0017】
このうち、図6に示すように、開栓操作時に下流側に回動する弁体6の一方の半円部分Aに設けられた一方のディスクテール部14aの通水孔16は、弁体6の背面側の開口が流入口16aとなり、ディスクテール部14aの外周面側の開口が流出口16bとなる。また、開栓操作時に上流側に回動する他方の半円部分Bに設けられた他方のディスクテール部14bの通水孔16は、ディスクテール部14bの外周面側の開口が流入口16cとなり、弁体6の背面側の開口が流出口16dとなる。
【0018】
以下、上記構成における作用を説明する。
配管の敷設時の初期充水時および再充水時の操作の始めにおいて、弁体6は図1に示すように全閉位置Sにあり、弁体6の周板部10の外端縁が弁箱シールリング3に摺接して、弁体6の上流側と下流側とが水密にシールされている。その後、急激な充水によって配管が破損することを防止するために、図6に示すように、バタフライ弁1を小開度Cに開栓して小流量で下流側配管に充水する。
【0019】
すなわち、開栓操作によって弁体6を小開度Cに開栓した際、両ディスクテール部14a,14bの外周面が弁箱シールリング3に摺接し、この状態で、両通水孔16が全開状態となり、弁体6を介した弁箱2内の上流側領域と下流側領域は両通水孔16を通してのみ連通し、上流側の配管から弁箱2内に流入する水(流体の一例)が両通水孔16を通って下流側の配管へ通水される。
【0020】
この時、両通水孔16を流れる流量は通水孔16の流路面積(開口面積)に応じて予め定まっているので、定流量で下流側の配管へ充水することができ、充水開始から満管状態になるまでの必要時間(所要時間)を予め正確に算出することができる。
【0021】
尚、弁体6を小開度Cに開栓した際、図2に示すように、開栓操作時の回転方向とは反対方向(すなわち閉側回転方向)における通水孔16の端部から各ディスクテール部14a,14bの端部までの角度をシール角度Dとすると、このシール角度Dの範囲内において、両ディスクテール部14a,14bの外周面が弁箱シールリング3に摺接し、通水孔16が全開状態となり、通水孔16のみを通って下流側の配管へ通水される。
【0022】
また、図1に示すように、弁体6に本体部9よりも厚みの薄い周板部10を形成し、ディスクテール部14a,14bを上記周板部10に設けることによって、開栓操作時の回転方向における弁体6の背面側と各ディスクテール部14a,14bの内周面側との間に形成される流路スペース17が広がるため、上記通水孔16に連通した十分な広さの流路スペース17を確保することができる。
【0023】
これにより、図6に示すように、流水が流路スペース17から通水孔16を通って一方のディスクテール部14aの外周面側に流れ出る際の流れの抵抗が減少するとともに、流水が他方のディスクテール部14bの外周面側から通水孔16を通って流路スペース17に流れ込む際の流れの抵抗が減少するため、流水の流れがスムーズになり、その分、図2に示すように通水孔16の弁体回転方向における幅Wを縮小するとともに図5に示すように通水孔16の弁体周方向における長さLを細長く形成することができる。これにより、図2に示すように上記シール角度Dが増大するため、図6に示すように流水を通水孔16のみから定流量で下流側の配管へ充水する際の開栓操作角度の範囲が広くなり、充水時の開栓操作を容易且つラフに行うことができ、従来のように弁体のわずかな開度の変動によって流量が変化してしまうといった不具合を防止することができる。
【0024】
尚、図7は図1〜図6のバタフライ弁1における弁体6の開度(%)に対する圧力損失係数の関係を示すグラフであり、所定の開度範囲Fにおいて圧力損失係数が一定値になる水平部イが形成され、上記所定の開度範囲Fがシール角度D(図2参照)に相当する。
【0025】
尚、上記実施の形態では、図1,図2に示すように弁体6に本体部9よりも薄い板状の周板部10を形成しているが、これとは別の弁体形状として、図8,図9に示すように、上記周板部10を形成せず、弁体31を外縁部ほど次第に薄くなる凸状に形成し、このような弁体31にディスクテール部14a,14bを設けた場合、流路スペース17は上記弁体31の膨らみによって狭くなってしまい、図1のものに比べて十分な広さの流路スペース17を確保することができない。したがって、図8に示すように、弁体31を小開度Cに開栓した際、流水が流路スペース17から通水孔16を通って一方のディスクテール部14aの外周面側に流れ出る際の流れの抵抗が増大するとともに、流水が他方のディスクテール部14bの外周面側から通水孔16を通って流路スペース17に流れ込む際の流れの抵抗が増大してしまうため、この対策として、図9に示すように通水孔16の弁体回転方向における幅Wを図2の弁体6のものよりも拡大して上記流れの抵抗を減らしている。しかしながら、図9に示すように、上記幅Wを拡大した分、上記シール角度Dが図2の弁体6のものよりも減少するため、流水を通水孔16のみから定流量で下流側の配管へ充水する際の開栓操作角度の範囲が狭くなり、作業者は充水時の開栓操作を慎重に注意深く行わなければならず、作業者に手間と負担がかかった。尚、通水孔16の幅Wとシール角度Dとを共に拡大した場合、ディスクテール部14a,14bの弁体回転方向における全幅Eが大きくなってしまい、弁体6を全開した際の抵抗が増大してしまうが、これに対して、図2に示すものでは、ディスクテール部14a,14bの全幅Eを小さくしたままで、シール角度Dを増加させることができる。
【0026】
また、第2の実施の形態として、図10に示すように、両ディスクテール部14a,14bの内周面側に、流路スペース17を流れる流水を整流する複数の整流板33が設けられている。これによると、流路スペース17を流れる流水が整流板33によって整流されるため、乱流の発生を防止することができ、乱流混合によるキャビテーションの騒音を低減することができる。
【0027】
尚、上記第2の実施の形態では、整流板33を複数設けたが、単数であってもよい。また、整流板33を両方のディスクテール部14a,14bに設けたが、いずれか片方のディスクテール部のみに設けてもよい。
【0028】
上記第1,第2の実施の形態では、ディスクテール部14a,14bを弁体6に溶接で取付けているが、ボルト,ナット等を用いて取付けてもよく、或いは、一体成形(鋳造)してもよい。
【0029】
上記第1,第2の実施の形態では、両ディスクテール部14a,14bに通水孔16を形成しているが、少なくともいずれか片方のディスクテール部14a又はディスクテール部14bのみに通水孔16を形成してもよい。
【0030】
上記第1,第2の実施の形態では、通水孔16の形状を細長い長円状に形成しているが、三角形状等であってもよく、或いは、複数の小円状の通水孔16を形成してもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、弁体に周板部を形成し、ディスクテール部を上記周板部に設けることによって、開栓操作時の回転方向における弁体の背面側とディスクテール部の内周面側との間に形成される流路スペースが広がるため、上記通水孔に連通した十分な広さの流路スペースを確保することができる。これにより、流体が上記流路スペースから通水孔を通って一方のディスクテール部の外周面側に流れ出る際或いは流体が他方のディスクテール部の外周面側から通水孔を通って上記流路スペースに流れ込む際の各流れの抵抗が減少するため、流体の流れがスムーズになり、その分、通水孔の弁体回転方向における幅を縮小するとともに通水孔の弁体周方向における長さを細長く形成することができる。これにより、流体を通水孔のみから定流量で下流側の配管へ充水する際の開栓操作角度の範囲が広くなり、充水時の開栓操作を容易且つラフに行うことができ、従来のように弁体のわずかな開度の変動によって流量が変化してしまうといった不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるバタフライ弁の断面図であり、弁体が全閉位置にある状態を示す。
【図2】同、バタフライ弁の弁体の断面図である。
【図3】同、バタフライ弁の弁体を弁棒の回転軸心方向から見た図である。
【図4】図3におけるX−X矢視図である。
【図5】図3におけるY−Y矢視図である。
【図6】同、バタフライ弁の断面図であり、弁体が小開度だけ開いた状態を示す。
【図7】同、バタフライ弁の弁体の開度と圧力損失係数との関係を示すグラフである。
【図8】形状の異なる別の弁体を備えたバタフライ弁の断面図であり、弁体が小開度だけ開いた状態を示す。
【図9】図8における弁体の断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるバタフライ弁の弁体の図である。
【符号の説明】
1 バタフライ弁
2 弁箱
3 弁箱シールリング
5 回転軸心
6 弁体
7 弁棒
9 本体部
10 周板部
14a,14b ディスクテール部
16 通水孔
C 小開度
S 全閉位置
Claims (1)
- 弁箱内に内周面に沿って円環状に配置された弁箱シールリングと、弁棒の軸心周りに回転して全閉位置で弁箱シールリングの内周に摺接する弁体と、開栓操作時の回転方向における弁体の背面側に取付けられた一対のディスクテール部とを有するバタフライ弁であって、
上記弁体は、本体部と、この本体部の外周に形成され且つ本体部よりも薄い板状の周板部とで構成され、
上記ディスクテール部は、弁体回転方向において扇状に形成されて上記周板部に設けられ、且つ弁箱シールリングの内周に摺接する球面状に湾曲した外周面を有し、
上記ディスクテール部には、一端が外周面に開口するとともに他端が弁体の上記背面側に開口する通水孔が上記弁体の周板部に隣接して形成され、
弁体の小開度時に、ディスクテール部の外周面が上記弁箱シールリングの内周に摺接し、
通水孔の開栓方向側の端部が周板部の閉栓方向側の側面と一致しており、
通水孔の閉栓方向側の端部からディスクテール部の閉栓方向側の端部に至る範囲には通水孔が無く、かつ、当該範囲の弁体回転方向における幅が弁箱シールリングの内周の流路方向における幅より大きいことを特徴とする充水機能を備えたバタフライ弁。
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- 2002-05-15 JP JP2002139357A patent/JP4097459B2/ja not_active Expired - Fee Related
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