JP2003074719A - バタフライ弁の弁体 - Google Patents
バタフライ弁の弁体Info
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Abstract
うことなく弁の中開度におけるアンバランストルクを低
減させることが可能なバタフライ弁の弁体を提供する。 【解決手段】 弁箱内で弁軸を中心に回動可能なバタフ
ライ弁の弁体であって、オリフィス側の上流側主面の略
全体に亘って、断面凸状の湾曲部が形成され、オリフィ
ス側の上流側主面がその下流側主面よりも広い表面積と
される。
Description
体に関し、詳しくは、弁の中開度において弁体を閉方向
に戻そうとする力を打ち消す構造を有し、さらにはこの
構造をベースとして、キャビテーション気泡による悪影
響を効果的に抑制する手段を設けた弁体に関する。
流速や通過量等を制御する各種のバタフライ弁において
は、流体通過時に弁体に作用する各種トルクの減少を図
ることや、弁開時におけるキャビテーションによる気泡
から引き起こされる騒音等の悪影響を抑制することが重
要な技術的課題となっている。
いた際には、流体が弁体を通過することにより、一般
に、弁体を閉方向に戻そうとする力(以下、アンバラン
ストルクという。)が働くことになる。このような力が
発生すると、弁体を開方向に回動させるのに大きな力が
必要となり弁操作の安定性が失われるため、弁体につい
て、アンバランストルクをうち消す方向のトルクが生じ
るような構成とすることが求められている。
体通過時にキャビテーションによる気泡の発生によって
騒音や振動が引き起こされ、さらには弁体の下流側の配
管の損傷等の原因になることから、キャビテーションに
よる気泡(以下、キャビテーション気泡という。)の影
響を抑えるような構成とした弁体が提案されている。
には、上述したアンバランストルクを打ち消すために、
弁体を断面略「く」字状にするとともに、弁本体の外周
部付近に櫛歯状の突起部を複数設けて、キャビテーショ
ン気泡を各突起部で分解するようにしたバタフライ弁の
弁体が開示されている。より詳しくは、複数の櫛歯状の
突起部が、それぞれ弁本体の外周に沿って設けられ、か
つ弁軸側の突起部になるにつれてその突起長さが短くな
る構成の弁体となっている。
おける流体の移動の際に、弁体の形状と各突起部とによ
り、上述したアンバランストルクが打ち消されるととも
に、キャビテーション気泡が各突起部によって細かく分
解されるため、櫛歯状の突起部がない従来の断面略平板
状の弁体と比較すると、確かに、アンバランストルクの
抑止効果や、キャビテーション気泡の影響を抑える効果
が得られる。
は、先に出願した特願2001−214794号で、キ
ャビテーション気泡による悪影響を低減する構造のバタ
フライ弁の弁体を提案している。先に提案したこの弁体
においては、流体通過時に下流側で旋回流を発生させる
ための板状の旋回流誘起手段(板状突起部)を、弁本体
の少なくともノズル側上流面に傾斜させて設ける構成と
することで、キャビテーション気泡を板状突起部で分解
するとともに、流体が板状突起部を通過した際に、下流
側で旋回流(渦巻き)が発生し、分解後のキャビテーシ
ョン気泡が旋回流に乗せられることで、各気泡が配管の
中心に導かれ、配管の内壁に衝突する気泡を減少させ
て、配管の損傷や騒音が一層効果的に減少する、という
効果が得られる。
状突起部を設けることにより、オリフィス側からも旋回
流が明確に形成され、騒音低減の強化が図られる効果が
得られる他、例えばこの弁体が回動可能に格納される弁
箱等の外部部材の形状やスペース等の関係で、配管取付
時に配管の一次側(上流側)と二次側(下流側)とが逆
向きでしか取り付けできないような場合でも、上述した
各種効果が失われない、等のメリットがある。
つ、さらにアンバランストルクの低減を図るための弁体
の構成が本出願人により検討されていたが、例えば上述
した断面略「く」字状の弁体に対して板状突起部を形成
させた場合には、以下のような不都合が生じる。すなわ
ち、断面略「く」字状の弁体では、上流側から流れて来
る流体が「く」字状の凹んだ部分に一旦集まり、そこか
ら弁体のノズル側端部に向かおうとする力が働くため、
流体の流れ方向に強い志向性が生じる。このため、通常
の断面平板状の弁体に板状突起部を設けた場合には良好
に発生した旋回流(渦巻き)が、断面略「く」字状の弁
体に対して板状突起部を形成させた場合には、上述の志
向性によって良好に発生しない虞がある。
タフライ弁では、流体の流れ方向が逆になると各種効果
が得られないものであり、上述のように、弁体が回動可
能に格納される弁箱等の外部部材の形状やスペース等の
関係で、配管取付時に配管の一次側と二次側とが逆向き
でしか取り付けられないような場合には、アンバランス
トルクの低減効果及びキャビテーション気泡の影響を抑
える効果が得られないことになる。
部)の作用を弱める(利点を損なう)ことなく、アンバ
ランストルクの低減を図ることのできるバタフライ弁の
構造については、断面平板状の弁体をベースとして新た
に案出する必要があった。
起部)の利点を損なうことなく弁の中開度におけるアン
バランストルクを低減させることが可能なバタフライ弁
の弁体を提供することにある。
弁箱内で弁軸を中心に回動可能なバタフライ弁の弁体で
あって、オリフィス側の上流側主面がその下流側主面よ
りも広い面積をなし、かつ、オリフィス側の上流側主面
には、断面凸状の湾曲部が形成されたことを特徴とす
る。
れて、オリフィス側を通過する流体量が増加して行く。
ここで、オリフィス側を通過する流体に関して、弁開度
が小さいうちは、オリフィス側の下流側主面に沿った流
れは発生しないが、弁開度が進む過程で徐々に、オリフ
ィス側の下流側主面の端部から中央側(弁軸側)に沿っ
て流れるようになり、さらに弁開度が大きくなるにつれ
て、この流れが大きくなっていく。一方、オリフィス側
の上流側主面を流れる流体については、上流側主面の全
体に流体の圧力がかかっていることから、比較的弁開度
が小さい場合でも、主面に沿った流れ、すなわちオリフ
ィス側の上流側主面の端部から中央側(弁軸側)に沿っ
た流れが発生することになる。
の上流側主面の略全体に亘って、断面凸状の湾曲部が形
成され、オリフィス側の上流側主面がその下流側主面よ
りも広い表面積とされていることから、オリフィス側の
各主面を通過する流体の流れが安定した場合に、オリフ
ィス側における上流側主面と下流側主面とを流れる流体
の流速差により、速度の速い上流側主面の流体圧力が相
対的に低くなり、飛行機の翼の揚力に類似した所謂翼効
果の発生によって、弁体を開方向に引き上げるトルクが
生じ、アンバランストルクが打ち消される。
流側主面の略全体に亘って形成される構成とすることに
より、ノズル側の下流側主面がその上流側主面よりも広
い表面積となり、流体が各主面に沿ってオリフィス側か
らノズル側へと抜ける際に、ノズル側における下流側主
面と上流側主面とを流れる流体の流速差により、速度の
速い下流側主面の流体圧力が相対的に低くなって所謂翼
効果が発生し、弁体を開方向に引き上げるトルクが生じ
ることで、アンバランストルクが打ち消される。
円の曲面形状とする。
側主面に、流体通過時に下流側で旋回流を発生させるた
めの板状の旋回流誘起手段として、その主面が弁軸との
直交平面に対して傾斜するように弁軸側から弁箱内壁側
にかけて延び、かつ、弁本体の上流面から上流側に向け
て延びるように突出形成される構成とすることにより、
以下のような作用効果が得られる。
歯状の突起部と異なり、その主面が弁軸との直交平面に
対して傾斜するように弁軸側から弁箱内壁側にかけて延
び、かつ、弁本体の上流面から上流側に向けて延びるよ
うに突出形成される板状の広い面積の主面を有する構成
とされることにより、弁体を開くと、流体が旋回流誘起
手段を通過して、下流側で旋回流(渦巻き)を発生させ
る。また、キャビテーション気泡が発生した場合でも、
当該気泡が旋回流誘起手段の端部にぶつかることで、気
泡が細かく分解される。
箱の内壁と弁本体のノズル側及びオリフィス側との間に
隙間が生じ、この隙間から流体が下流側へと移動する。
この際に、キャビテーション気泡が発生した場合でも、
当該気泡が旋回流誘起手段に当たって細かく分解され、
また、弁本体のノズル側を通過する流体は、旋回流誘起
手段に導かれながら、下流側で旋回流(渦巻き)を生じ
させる。
弁体においては、キャビテーション気泡が分解されるこ
とで得られる下流側配管への損傷の減少や騒音の減少と
いう従来の作用効果のみならず、分解された各気泡が下
流側で発生した旋回流に乗せられることにより、各気泡
が配管の中心に導かれることで、配管の内壁に衝突する
気泡が減少するので、配管の損傷や騒音がより一層効果
的に減少する。
に複数枚形成されることが好ましく、この場合には各旋
回流誘起手段の主面が弁本体の上流面から上流側に向け
て相互に略同方向に延びるように形成される構成とす
る。
照しながら詳細に説明する。なお、以下の各実施の形態
では、本発明を配管口径100mm用のバタフライ弁に
適用した例について説明する。また、弁軸を基準とし
て、弁を開くときに下流側へ移動する弁本体の半分側を
ノズル側と呼び、弁を開くときに上流側へ移動する残り
の半分側をオリフィス側と呼ぶ。
を参照して、本発明を適用したバタフライ弁の弁体の基
本構成及び原理等について説明する。図1では、(a)
が弁体を上方から表した平面図を、(b)が弁体を配管
下流側から表した背面図を示している。
(a),(b)に示すように、平面略円盤状の弁本体1
1の両端側(図1(b)上下側)に、フランジ状のハブ
12を有しており、各ハブ12には、弁箱(図示せず)
内で回動可能な不図示の弁軸と嵌合する軸穴部13が形
成される。
の弁箱内に回動可能に収納され、弁の開時には図1
(a)の反時計回り方向に回動し、弁の閉時には図1
(a)の時計回り方向に回動することで、流体の流れを
制御する。図1(a)では、弁体10が若干開いた状態
を示している。
11の上流側を臨むオリフィス側の主面(以下、オリフ
ィス側上流面という。)と下流側を臨むノズル側の主面
(以下、ノズル側下流面という。)に、それぞれ略球面
状に盛り上がった形状の湾曲部1,2が形成されてい
る。湾曲部1及び湾曲部2は、それぞれ、平面略楕円形
状をなし(図1(b)参照)、オリフィス側及びノズル
側の端部側から徐々に上流側及び下流側に向けてなだら
かに盛り上がり、盛り上がりの頂点部(肉厚の最も厚い
部分)を過ぎて下り始めたところで中央側(弁軸側)に
接続されるようなカーブを描く曲面(ラグビーボールが
一部張り出したような曲面)となっている(図5参
照)。
なるオリフィス側下流面とノズル側上流面は、それぞれ
略平坦な形状となっている。
ら図1(a)の反時計回り方向に回動して弁が開くと、
弁箱の内壁と弁本体11のノズル側及びオリフィス側と
の間に隙間が生じ、上流側から所定の圧力をかけられて
いる流体が、この隙間から下流側へと移動する。
度が大きくなるにつれて、オリフィス側の各面からノズ
ル側の各面に抜ける流体の流れが形成されはじめ、図2
の矢印で示すように、弁が中開度まで開かれると、各面
を移動する流体の流速差及び各面の流体圧力の変化によ
って、開方向へのトルクが働くようになる。
側の各面においては、上流面と下流面とで表面積が異な
ることから、各面を流れる流体の速度が異なることにな
る。これにより、弁体10が中開度まで開かれた場合に
は、湾曲部1が形成されたオリフィス側上流面を通過す
る流体の速度が、略平坦なオリフィス側下流面を通過す
る流体の速度よりも速くなり、オリフィス側上流面を通
過する流体の圧力が相対的に下がるので、所謂翼効果と
呼ばれる揚力類似の作用により、オリフィス側を弁の開
方向に持ち上げようとする力が働く。
によれば、弁の中開度におけるアンバランストルクが打
ち消されて、回動動作における良好な特性が得られるの
で、弁操作の安定性が確保される。
0では、弁開度が大きくなるにつれて、オリフィス側を
通過する流体の量が増加して行く。ここで、オリフィス
側を通過する流体に関して、弁開度が小さい場合には、
オリフィス側下流面に沿った流れは発生しないが、弁開
度が所定開度まで達すると、オリフィス側下流面の端部
から中央側(弁軸側)に沿って流れるようになり、さら
に弁開度が大きくなるにつれて、この流れが大きくなっ
ていく。一方、オリフィス側上流面を流れる流体につい
ては、上流面全体に流体の圧力がかかっていることか
ら、比較的弁開度が小さい場合でも、主面に沿った流
れ、すなわちオリフィス側の上流側主面の端部から中央
側(弁軸側)に沿った流れが発生することになる。
面の略全体に亘って、断面凸状の湾曲部1が形成され、
オリフィス側上流面がその下流面よりも広い表面積であ
ることから、オリフィス側の各主面を通過する流体の流
れが安定した場合に、オリフィス側における上流面と下
流面とを流れる流体の流速差により、速度の速い上流面
側の流体圧力が相対的に低くなり、飛行機の翼の揚力に
類似した所謂翼効果の発生によって、弁体を開方向に引
き上げるトルクが生じ、アンバランストルクが打ち消さ
れる。
曲部2がその下流面の略全体に亘って形成されているの
で、流体が各主面に沿ってオリフィス側からノズル側へ
と抜ける際に、ノズル側における下流面と上流面とを流
れる流体の流速差により、速度の速い下流面側の流体圧
力が相対的に低くなって所謂翼効果が発生し、弁体を開
方向に引き上げるトルクが生じることで、アンバランス
トルクが打ち消される。
たところでは、弁体を徐々に開いていった場合に弁開度
が40度を越えたあたりからアンバランストルクが軽減
されることを確認した。
よれば、弁の中開度においてアンバランストルクを良好
に低減させることが可能となる。
フィス側に形成されていれば良い。すなわち、上述のよ
うに、弁開度が上がるにつれて、まずはオリフィス側の
各面を流体が通過することから、翼効果の調整等のた
め、ノズル側の湾曲部2を設けずにノズル側下流面を略
平坦とする構成としても良い。
合には、板状突起部形成面側の流速が速くなることか
ら、これに対応するように、例えば湾曲部をより大きな
湾曲形状として面積を広くして、より翼効果を上げるこ
とも可能である。
しつつ、キャビテーション気泡による悪影響を抑制する
ための機構(旋回流誘起手段)を設けた弁体の各実施形
態について、図3乃至図10を参照して説明する。
たバタフライ弁の弁体の第1の実施形態について、図3
を参照して説明する。図3では、(a)が弁体を上方か
ら表した平面図を、(b)が弁体を配管下流側から透視
して表した背面図を示している。
分かるように、上述した基本構成をベースとしつつ、弁
本体11のノズル側上流面11aに、旋回流誘起手段と
しての板状突起部15(15a〜15d)が一体形成さ
れた構成となっている。
図3(a)及び(b)に示すように、それぞれ平板状を
なし相互に同一形状とされた複数枚(この例では4枚)
の板状突起部15a乃至15dが、弁本体11における
湾曲部2と反対側となるノズル側上流面11aにのみ設
けられている。
a,15b,15c,15dの主面同士が、相互に平行
になるように形成されている。また、図3(b)に示す
ように、各板状突起部15a乃至15dの主面は、弁軸
に直交する平面に対して所定角度で傾斜するように形成
されている。
は、小さすぎると後述する旋回流が発生しにくくなり、
大きすぎると弁開時(流体の移動時)における抵抗が高
くなり、特に弁の高開度時に流体が流れにくくなる。本
発明者の実験したところでは、各板状突起部15同士を
相互に平行に形成する場合には、その傾斜角が10度乃
至40度の範囲において良好な結果が得られた。
うに、弁本体11の回動時に弁箱の内壁との干渉を避け
るため、外側(内壁に対向する外縁部)が円弧状になっ
ている。各板状突起部15の厚みについては、中央側の
部位と外周側の部位とで同一とされる。
は、後述のように種々の変更を加えることが可能であ
る。
から図3(a)の反時計回り方向に弁本体11が回動し
て弁が開くと、弁箱の内壁と弁本体11のノズル側及び
オリフィス側との間に隙間が生じ、上流側から所定の圧
力をかけられている流体が、この隙間から下流側へと移
動する。
た場合でも、弁体10Aの通過時に各板状突起部15に
衝突することで、気泡が細かく分解されることになる。
また、弁本体11のノズル側を通過する流体は、各板状
突起部15に導かれながら、進行方向を図3(b)の上
方に向けられることで、下流側で旋回流(渦巻き)を生
じさせる。そして、各板状突起部15により細かく分解
されたキャビテーション気泡は、この旋回流に乗せられ
ながら下流側を移動していく。
前後になったところで旋回流の発生が起き、15度〜5
0度の弁開度において旋回流が最も明確に表れた。
本構成の弁体における、中開度でのアンバランストルク
の低減という効果に加えて、以下の効果が得られる。す
なわち、本実施形態の弁体10Aでは、キャビテーショ
ン気泡が発生した場合において、気泡が分解されること
により得られる下流側配管への損傷の減少や騒音の減少
という従来の櫛歯状突起部を有する弁体の効果のみなら
ず、分解された各気泡が下流側で発生した旋回流(渦巻
き)に乗せられることにより、各気泡が配管の中心に導
かれることで、配管の内壁にぶつかる気泡が減少するの
で、配管の損傷及び騒音がより一層効果的に減少する。
は、分解された各気泡が下流側の配管内壁に近い一定の
位置を流れることから、下流側の配管に対して、常に同
じ場所に衝撃を与えることによる筋状の損傷を発生させ
る場合があったが、本実施形態によれば、分解された各
気泡が下流側の旋回流により配管の中心に導かれること
から、配管内壁に対する衝撃を減少させることが可能と
なり、下流側の配管に対する損傷発生をより効果的に減
らすことができる。
された各気泡が下流側の配管内壁に近い位置を流れるこ
とから、配管外部に伝達される騒音の低減という点で改
善の余地があったが、本実施形態によれば、分解された
各気泡が下流側の旋回流により配管の中心に導かれるこ
とから、配管外部に伝達される騒音をより効果的に低減
できる。
度や流体の流速によってもキャビテーション気泡の通過
する位置が変化することから、配管の一定の位置に衝撃
が加えられることがなくなり、下流側の配管に対する損
傷を最小減に抑えることが可能となる。
を設けたバタフライ弁の弁体の第2の実施形態につい
て、図4及び図6を参照して説明する。なお、以下の各
実施形態の弁体10B乃至10Fは、図1の基本構成を
ベースとしつつ、上述した図3の実施形態の弁体10A
と比較して板状突起部の構成のみを変えたものであり、
上述した図3の弁体10Aと同一の部分には同一符号を
付し、その説明を適宜省略する。
10Bでは、図3と比較して分かるように、上述した第
2の実施形態の構成に加えて、弁本体11のオリフィス
側下流面11bにも板状突起部15(15e,15f,
15g,15h)を設けた構成となっている。
ノズル側上流面11aに形成された各板状突起部を総称
して第1の突起部群と呼び、弁本体11のオリフィス側
下流面11bに形成された各板状突起部を総称して第2
の突起部群と呼ぶ。
るように、第2の突起部群(15e〜15h)が、第1
の突起部群(15a〜15d)に対して透視平面上にお
いて弁軸の軸線(回動軸)を基準として左右対称となる
ように、弁本体11のオリフィス側下流面11bに形成
された構成となっている。
ば、オリフィス側からも旋回流が明確に形成されること
で、オリフィス側を通過する流体が速やかに旋回流に乗
せられて配管の中心に導かれ、特に弁の高開度時におい
て第2の実施形態の弁体10Aよりもさらに騒音の低減
効果が得られる。また、この実施の形態では、ノズル側
とオリフィス側とで同様の構成となっているので、弁体
10Bが回動可能に格納される弁箱等の外部部材の形状
やスペース等の関係で、配管取付時に配管の一次側(上
流側)と二次側(下流側)とが逆向きでしか取り付けで
きないような場合であっても、上述した各種効果が失わ
れることがない。
と板状突起部の無い弁体とで、それぞれ騒音についての
実測を行った。この実測結果を図6に示す。なお、図6
では、縦軸が流量特性値を、横軸が騒音レベルを表し、
弁体10Bの特性を実線で、板状突起部の無い弁体の特
性を点線で、それぞれ示している。
形成された弁体10Bでは、騒音のピーク値前後におけ
る騒音レベルが大幅に低減されたことが分かる。
段を設けたバタフライ弁の弁体の第3の実施形態につい
て示す。
は、図4と比較して分かるように、弁本体11のオリフ
ィス側下流面11bに第2の突起部群(15i〜15
l)が設けられた点については上述した第2の実施形態
と同様であるが、図7(b)に示すように、第2の突起
部群が第1の突起部群に対して透視平面上において弁本
体11の中央を回転中心とした点対称の位置に配置され
た構成、すなわち、弁本体11の中央を回転中心として
180度回転させた場合に、第2の突起部群(15i〜
15l)が第1の突起部群(15a〜15d)と透視平
面上において同じ位置に来るように配置された構成とな
っており、このような配置とした場合も第2の実施形態
と同等の効果が期待される。
誘起手段を設けた弁体についての第4乃至第6の実施形
態について説明する。
は、一方の突起部群を構成する各板状突起部15a〜1
5d,15e〜15f,15g〜15lについて、片面
側のそれぞれの主面が相互に平行となるように配置され
た構成であったが、第4乃至第6の実施形態では、図8
乃至図10に示すように、各板状突起部のそれぞれの主
面の間隔が中央側(弁軸側)になるにつれて狭くなるよ
うな配置とされる。
旋回流誘起手段を設けた第4の実施形態の弁体10Dで
は、図3(b)と比較して分かるように、弁体10Aと
同様に第1の突起部群のみ設けられた構成であるが、各
板状突起部(15m,15n,15o,15p)の主面
の間隔が中央側になるにつれて狭くなる(外周側になる
にしたがって広くなる)ように配置されている。
は、上述した弁軸(回動軸)に直交する平面に対して
は、最下段の板状突起部15pが最も緩やかな傾斜角度
をなし、上方の板状突起部になるにつれて急な傾斜角度
となるように配置される。
10Aと同様の効果が得られ、特に低開度の使用時にお
いても旋回流が明確に発生することが期待される。
段を設けた弁体の第5の実施形態について示す。
て分かるように、上述した弁体10Dの構成に加えて、
弁本体11のオリフィス側下流面11bにも板状突起部
15(15q,15r,15s,15t)を設けた構成
となっている。すなわち、第5の実施形態では、図9
(b)から分かるように、第2の突起部群15q〜15
tが、第1の突起部群(15m〜15p)に対して透視
平面上において弁軸(回動軸)を基準として左右対称と
なるように、弁本体11のオリフィス側下流面11bに
形成された構成となっている。
ば、図4及び図5に示す弁体10Bと同等の効果が得ら
れる。
手段を設けた弁体の第6の実施形態について示す。
10Eと同様に、弁本体11のオリフィス側下流面11
bに第2の突起部群が設けられた点で同様であるが、図
10(b)から分かるように、第2の突起部群(15
u,15v,15w,15x)が第1の突起部群(15
m〜15p)に対して透視平面上において点対称の位置
に配置された構成、すなわち、弁本体11の中央を回転
中心として180度回転させた場合に、第2の突起部群
(15u〜15x)が第1の突起部群(15m〜15
p)と透視平面上において同じ位置に来るように配置さ
れた構成となっている。
よれば、上述した図7の弁体10Cと同等の効果が得ら
れる。
態では、湾曲部の反対側となる弁体の略平坦(平面)な
面側に旋回流誘起手段(板状突起部)が配置され、弁体
の各面が有効活用された構成となっているので、設計上
や製造上有利であり、調整やメインテナンス作業等も容
易である、といったメリットがある。
の上流面側と下流面側とが対称形状となっているので、
一次側、二次側を意識することなく配管取付を行うこと
が可能となる。
は、配管の一次側と二次側とを入れ替えた場合には発生
する渦の回転方向が逆(すなわち右回転の渦)になる点
で効果上の差異が生じるが、上述したメリットが失われ
るものではない。
弁体では、一方の面に形成される板状突起部15の数を
4とした例について説明したが、板状突起部の数につい
てはこれに限定されるものではなく、配管口径や流体の
種類等に応じて適宜変更することが可能である。
旋回流を発生するように相互に略同一方向に向けられて
いる構成であれば良いので、上述した各実施形態におけ
る構成以外にも、例えば以下のような種々の変形例が含
まれる。
図3乃至図5,図7乃至図10に示したように、各板状
突起部15が平板状をなし、その断面形状が直線状に延
びる構成としたが、各板状突起部15については、例え
ば湾曲した断面形状の曲板状とした場合にも同等の効果
が期待される。
は、それぞれ図3,図4,図7乃至図10の(a)に示
したように、板状突起部15の外形については、中央側
の部位が低く外周側が高い(弁閉時における上下流方向
に対する奥行がある)構成としたが、この逆の形状すな
わち、中央側の部位が高く(奥行があり)、外周側にな
るにつれて低くなる(奥行がない)構成であっても同等
の効果が期待される。
では、板状突起部15の厚みについて、中央側の部位と
外周側の部位とで同一の構成としたが、中央側の部位を
厚くして外周側になるにつれて徐々に肉厚が薄くなるテ
ーパー状の断面形状としても良い。
流面1aに第1乃至第3のいずれかの実施形態の板状突
起部15(15a,15b,15c,15d)を設け
て、オリフィス側下流面11bには第4乃至第6のいず
れかの実施形態の板状突起部を設ける構成、或いはこの
逆とする構成など、上述した各種の板状突起部を適宜組
み合わせて構成しても良い。
旋回流誘起手段(板状突起部)の利点を損なうことなく
弁の中開度におけるアンバランストルクを低減させるこ
とが可能なバタフライ弁の弁体を提供することが可能と
なる。
成を説明する図であり、弁体の平面図を(a)に、配管
下流側から表した弁体の背面図を(b)に、それぞれ示
す。
する図であり、中開度での流体の流れを模式的に示して
いる。
を説明する図であり、弁体の平面図を(a)に、配管下
流側から透視して表した弁体の背面図を(b)に、それ
ぞれ示す。
を説明する図であり、弁体の平面図を(a)に、配管下
流側から透視して表した弁体の背面図を(b)に、弁体
の側面図を(c)に、それぞれ示す。
主面方向)から表した外観斜視図である。
ついての実測結果を示す図であり、流量と騒音との関係
について、第2の実施形態の弁体と板状突起部の無い弁
体との特性を比較して示す図である。
を説明する図であり、弁体の平面図を(a)に、配管下
流側から透視して表した弁体の背面図を(b)に、それ
ぞれ示す。
を説明する図であり、弁体の平面図を(a)に、配管下
流側から透視して表した弁体の背面図を(b)に、それ
ぞれ示す。
を説明する図であり、弁体の平面図を(a)に、配管下
流側から透視して表した弁体の背面図を(b)に、それ
ぞれ示す。
態を説明する図であり、弁体の平面図を(a)に、配管
下流側から透視して表した弁体の背面図を(b)に、そ
れぞれ示す。
段)
Claims (10)
- 【請求項1】 弁箱内で弁軸を中心に回動可能なバタフ
ライ弁の弁体であって、 オリフィス側の上流側主面の略全体に亘って、断面凸状
の湾曲部が形成され、オリフィス側の上流側主面がその
下流側主面よりも広い表面積とされたことを特徴とする
バタフライ弁の弁体。 - 【請求項2】 ノズル側の下流側主面の略全体に亘っ
て、断面凸状の湾曲部が形成され、ノズル側の下流側主
面がその上流側主面よりも広い表面積とされたことを特
徴とする請求項1記載のバタフライ弁の弁体。 - 【請求項3】 前記湾曲部は、平面略楕円の曲面形状で
あることを特徴とする請求項1又は2記載のバタフライ
弁の弁体。 - 【請求項4】 ノズル側の上流側主面には、流体通過時
に下流側で旋回流を発生させるための板状の旋回流誘起
手段が形成され、 前記旋回流誘起手段は、その主面が前記弁軸との直交平
面に対して傾斜するように前記弁軸側から前記弁箱内壁
側にかけて延び、かつ、前記弁本体の前記上流側主面か
ら上流側に向けて延びるように突出形成されることを特
徴とする請求項1乃至3のいずれか1記載のバタフライ
弁の弁体。 - 【請求項5】 前記旋回流誘起手段は、前記弁本体のノ
ズル側の上流側主面に複数枚形成され、各旋回流誘起手
段の主面が前記弁本体の前記上流側主面から上流側に向
けて相互に略同方向に延びるように形成されることを特
徴とする請求項4記載のバタフライ弁の弁体。 - 【請求項6】 各旋回流誘起手段は、各々の主面が相互
に平行になるように配置されたことを特徴とする請求項
5記載のバタフライ弁の弁体。 - 【請求項7】 各旋回流誘起手段は、各々の主面におけ
る弁軸との直交平面に対する傾斜角度が、一端側のもの
から次第に大きくなるように配置されたことを特徴とす
る請求項5記載のバタフライ弁の弁体。 - 【請求項8】 前記旋回流誘起手段が、弁本体のオリフ
ィス側の下流側主面にも複数枚形成され、 オリフィス側の下流側主面の各旋回流誘起手段は、その
主面が前記弁軸との直交平面に対して傾斜し、かつ、前
記下流側主面から下流側に向けて相互に略同方向に延び
るように突出形成されることを特徴とする請求項5乃至
7のいずれか1記載のバタフライ弁の弁体。 - 【請求項9】 ノズル側の上流側主面の各旋回流誘起手
段と、オリフィス側の下流側主面の各旋回流誘起手段と
が、前記弁本体の主面に対する透視平面上において、弁
軸(回動軸)を基準として左右対称となるように配置さ
れたことを特徴とする請求項8記載のバタフライ弁の弁
体。 - 【請求項10】 ノズル側の上流側主面の各旋回流誘起
手段と、オリフィス側の下流側主面の各旋回流誘起手段
とが、前記弁本体の主面に対する透視平面上において、
弁本体の主面中央を回転中心とした点対称の位置に配置
されたことを特徴とする請求項8記載のバタフライ弁の
弁体。
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- 2001-09-03 JP JP2001265242A patent/JP4817554B2/ja not_active Expired - Fee Related
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