JP3638475B2 - 低騒音バタフライ弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業用バルブの一つであるバタフライ弁であって、液体における流量制御用及び圧力制御用バタフライ弁に関し、特に弁体開度の小さい範囲において発生し易いキャビテーションに起因する騒音の発生防止を目的としたバタフライ弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、バタフライ弁においては、図8に示すように、弁体のオリフィス側の絞られた部分(縮流部)では流速は速くなり、圧力は低くなる。この圧力低下によって液体中に含まれている微小気泡(気泡核)の体積が急激に増大してキャビテーション気泡が発生するが、縮流部を通過して流れが低速になると、再び圧力は回復して高くなり、先ほど発生したキャビテーション気泡がつぶれる。
このときキャビテーション気泡が気泡核から成長していく(大きな気泡になり、再び小さくなる)際に、気泡の収縮運動によって周囲の圧力が変動するため、激しい騒音が発生する。さらに気泡がつぶれる瞬間に衝撃圧が発生し、騒音や振動を伴ってバルブや配管に壊食現象などのダメージを与える、いわゆるキャビテーション現象が発生する。
【0003】
また、制御に用いられるバタフライ弁は、弁の開度を絞って流量や圧力を調節することが本来の目的であり、その目的のために、騒音を伴ったキャビテーションをがまんして使わざるを得ないのが現状である。
【0004】
上記の現状にかんがみ、弁体から発生する騒音、キャビテーションの発生を抑制するために、従来から提案されたものがある。
【0005】
図9は、その一例(特開昭57−157866号公報参照)であって、1は本体(弁本体)2の中心部に直交する弁棒3によって軸支された全閉状態を示す弁体であって、該弁体1は、全閉時、弁棒3に垂直の断面がくの字形をなす弁板(ディスク)1aを有し、本体2の内面2aと弁板周面とのシール面(図で点線1bで示されている。)が、弁棒穴を通過する中心形バタフライ弁の弁体を形成しており、上記シール面1bの中心軸1cと、弁棒孔を通り本体内面2aの垂直軸線2bとは、15度〜20度の角度で傾斜している。
【0006】
本体内面(ボア)2a内で密接している長円形の弁板1aは、二つのほぼ半円形壁部分が上記のようにくの字形に角度的にずれて形成されており、該弁板1aの半円周に亙って、使用時、流体の流入方向(太い矢印fで示す。)に向って突設された流入側くし歯状突起4と、同様に、他の半円周に亙って、弁板1aに対して前記くし歯状突起4と反対側の流体の流出方向に向って突設された流出側くし歯突起5とが一体に設けられており、これらの両くし歯状突起4と5は、全閉時、本体2の内面2aとほぼ平行するように形成され、且つこれらのくし歯状突起の端部は、本体2の内面2aに垂直の面内に位置するように形成されており、これらのくし歯状突起の長さは、中心のボス方向に向かって短かく形成されている。
【0007】
弁作動時、図9(a)に示す全閉状態から弁体1が矢印に示す時計方向に回動すると、弁体1の開度に応じて流量が変化して流量制御が行われるようになっている。そしてこの際、本体2の内面2aと、弁棒3よりも下流側に位置する弁体1の周縁部とが形成する開口部であるノズル流れ部(ノズル側)及び同様に本体2の内面2aと、弁棒3よりも上流側に位置する弁体1の周縁部とが形成する開口部であるオリフィス流れ部(オリフィス側)を通過する流体は、該部に設けられた複数個の各くし歯状突起4,5の間に形成された、図(a)の2b線による断面図である図(b)に示す流体を導く断面台形(梯形)状通路6から流体を細かいジェット流に変え、弁体の下流側に発生するキャビテーションを分散すると共に、キャビテーションの成長を抑制している。同図(b)において、6aは傾斜した入口、7は弁棒穴、8はボス部を示す。
【0008】
また、図10は、他の従来例(特許第2536329号公報参照)で、弁体12の両側から弁軸13が嵌入して回動自在に支承し、該弁体12が閉より開方向へ回動するとき上流側へ向う半周側12Aの下流側の外周縁近くの表面へ、弁軸13の両支承部16を繋ぐ全半周に亘って切れ目なく突設したほぼ等肉の突条14を具え、該突条14には弁体12の表面中心12Cを指向して逆放射状に収斂する複数の貫通孔15を設けたキャビテーション抑止機能を具えたバタフライ弁である。
【0009】
また、図11は、本発明と目的は異なるが、弁構造の一部が類似している従来例(特公昭52−33330号公報参照)で、(a)は縦断面図、(b)は図(a)のII−II線断面図である。このものは、ケーシング本体21とケーシングフランジ22とによって弁本体を構成し、弁体(円板)23からずれた位置に取付けられた弁棒(片寄りトラニオン)24によって支持されるようにした偏心形バタフライ弁の弁座部に、弾性着座リング25が内壁凹部26内に埋め込むようにして取付けられており、該弁座の後流側のケーシング主体21に凹所2a,2bが設けられている。該凹所2a,2bは、同図(b)に示すように、片寄りトラニオン24の両側軸承部の中間位置で深さが最大で、両側軸受部のところで凹所が無くなるように形成されている。そしてこのものは、弁体(円板)23の回転に際して流路断面積が殆んど同じ割合で生ずるように配置されており、これによって該円板23に加えられる流体トルクを、該円板を開放運動の期間中に円筒形ボアと垂直に置いたときに発生するトルクの値に比べて低減されるようになっていることを目的としている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来例において、図9及び図10に示すものは、いずれも本体または弁体側に突起物や流路を確保する溝、流路を分断する穴や付加物などを設け、流体の流れを分流して、高速縮流部と低速流れ部の速度差を少なくし、キャビテーション(騒音)を抑制するものであるが、いずれも以下のような共通した問題点を有していた。
【0011】
(i)図9のくし状体や、図10の半円周に亙って設けられる突条に設けた逆放射状に収斂する複数の貫通孔によって流路が細かく分断しているので、スラリーや異物を含んだ流体には、異物が詰まる恐れがあるため使用できない。
(ii)上記のように、流路中に突起物や付加物をさらすことになるので、高流速の流体の勢い(流速エネルギー)や異物衝突に対して、強度を確保することが困難である。
(iii) 弁体または本体の形状が複雑であり、製作コストが高い。
【0012】
また、図11に示すものは、弁座の後流側の凹所は、弁体の回転に際して流路断面積が一定になるように、軸受部で幅を狭くした非円筒形状をなしており、また、本発明の目的であるキャビテーションや騒音抑制のためではなく、トルク低減を目的としている。
【0013】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決し、高流速エネルギや異物衝突等に対して部分的に無理な応力のかからないシンプルな構造として高流速での使用を可能にし、且つスラリーや異物を含む流体にも適用できる、簡単な構成でバルブ縮流部に発生するキャビテーションを抑制して騒音を抑制する低騒音バタフライ弁を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために本発明の採った手段は
1.開弁時、特にオリフィス側において弁座直後の後流側に生じる縮流による急激な圧力低下を生じないようにすると共に、気泡が成長する時間を与えないようにするために、上記流体縮流部付近で本体内径を、中心に対して対称形をなした部分的に拡大した断面形状の構造とし、縮流部の流速を小さくして圧力低下を少なくし、弁体裏側の渦による低速部と高速部の距離を広げてそれらの速度差を小さくし、流速差による剪断力に基づく気泡核の成長のきっかけを少なくしまた気泡成長の時間を短くして気泡の成長を抑制したことを特徴とし、且つ、上記弁体通過直後の本体内径の拡大寸法を、実測結果、拡大部の始端位置は、配管内径の1/2より小さく弁体の通過直後が最も望ましく、また拡大部の深さは、内径の1.3倍以上が必要であり、また拡大部の長さは、内径の0.5倍以上として、騒音、キャビテーションを抑制したことを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を、前項で述べた課題の解決手段の理論説明と実測(実験)装置(図2)、及び実施例(図1)を用いて説明する。
【0016】
I−(1)課題の解決手段の理論説明
図2は、本発明の効果を確認する実験バルブ(弁)の断面図であると共に、キャビテーション抑制理論の説明用模式図である。
【0017】
キャビテーションの発生原因は、図8に示すように、弁体と本体の隙間から出た流体は、管壁の流速ゼロの境界面と弁体裏側の渦による低速部に挟まれたA部、すなわち縮流部において、最も流速が大きくなり圧力が低下する。またこの縮流部では、渦や管壁付近との流速の差が大きいために、せん断力が大きくなり流体に含まれる気泡核がキャビテーション気泡へ成長するきっかけとなってしまう。縮流部では圧力が非常に低くなるために、気泡が急激に大きくなり、それが十分に持続し、気泡が大きくなったところで、圧力が回復して気泡がつぶれるため、激しいキャビテーションの発生原因となっていた。
【0018】
キャビテーションの発生原因は、前述のように急激に圧力が低下する部分によるものであり、またキャビテーションが激しくなるには気泡が成長するための時間が必要である。従ってこれを抑制するためには、低圧部を生じないようにすることと、気泡が成長する時間を与えないようにすることを必要条件として検討してみる必要がある。
【0019】
そこで本発明では、図2に示すように流体縮流部付近で本体内径を拡大する。この結果A部の縮流を緩和し、縮流部の流速を小さくして圧力低下を少なくすることができる。また、渦の低速部と高速部の距離が広がるので、それらの速度差を小さくすることができ、気泡核が成長し始めるきっかけを与える機会も少なくなる。
また気泡が発生しても、内径の拡大部で圧力の回復が早いために、気泡が成長する時間が短くなる。よってキャビテーション気泡の成長が抑制できる。
【0020】
I−(2)効果をもたらす拡大部寸法の特定
弁体通過直後の本体内径の拡大寸法は、実測の結果、効果をもたらすための必要寸法比が求められた。
【0021】
実験は正方形断面を持つ管路において、四角形状の弁体を配置し、弁開度θ=40度(この装置において最も騒音が大きくなる開度)で行った。
なお断面の一辺はD=50mmとしている。
【0022】
またキャビテーションの激しさを表すパラメータとしてキャビテーション係数σを定義し、以下の係数で表す。
σ=(Ρ1−Ρv)/(1/2ρV2 )
ここで、Ρ1は上流側静圧、Ρvは飽和蒸気圧、ρは流体密度、Vは平均流速である。このキャビテーション係数は、値が小さいほどキャビテーションが起こりやすいことを意味する。すなわちキャビテーション係数が同等か、または小さい値のときに騒音値が低ければ、キャビテーション及び騒音抑止効果が認められることになる。
【0023】
図2の試験用バルブにおいて、X0、X1、Y寸法を変化させて、キャビテーション騒音のレベルを測定した。その結果を図3、図4、図5に示す。
【0024】
(イ)拡大部の位置X0の影響
ここでは、Y=10mmに固定し、X0=0、D/2、D、1.5D、および、拡大部を設けない(図8の状態)=Normalの5種類について比較した。
【0025】
図3(a)は、キャビテーション発生騒音の代表的な周波数2.5KHzの音圧変化を調べた結果である。
【0026】
図3(a)の音圧レベルにおいて、X0=0としたときの騒音(△)は、Normal(●)に比較するとキャビテーション係数55〜180の範囲において、いずれも音圧レベルが少なくなっている。X0を増加させるほどに効果は小さくなり、X0=D/2(▼)でNormal(●)との差がなくなる。よって、X0はD/2より小さくする必要がある。
なお、Normalのキャビテーション係数は55以下はフラッシング状態である。
【0027】
図3(b)は可聴域の周波数分析の結果であるが、やはりX0=0(0,D,10)の場合に、キャビテーション係数が小さいにも拘らず、1KHz〜15KHzの間で音圧レベルがNormalより小さくなっており、縮流部の緩和が騒音抑制に必要であることがわかる。
【0028】
(ロ)拡大部の深さYの影響
図3の結果よりX0=0と決定し、深さYの影響について検討した。拡大部長さはX1=Dで固定して、深さYを2mm,5mm,7mm,10mm,Normal(=0mm)の5種類について測定比較した。図4(a)より、Y=2mm(■)から7mm(▲)と深くするに従って効果は顕著になり、キャビテーション係数55以上について、Normal(●)より騒音値は小さくなる。
【0029】
しかしその効果はY=7mm(▲)以上に増やしても効果は向上せず、Y=10mm(△)の場合は7mmの場合とほぼ同じ音圧となる。したがって拡大部の内径はDの1.3倍以上必要であり、それ以上増やしても同じであると言える。
【0030】
図4(b)でも、各周波数でNormalより10mm(0,D,10)の時の方が0.5KHz〜18KHzでいずれも騒音値が低く、音圧抑制効果が現れている。
【0031】
(ハ)拡大部の長さX1の影響
図3、図4の結果からX0=0,Y=10mmと決定し、X1をD/3、D/2、D、1.5D、2DとNormal(溝無し)の6種類について測定した。
【0032】
図5(a)から、X1=D/2(◎)以上のとき、キャビテーション係数55以上においてNormal(●)より騒音値が低くなり、効果があると言える。X1=D(△)まではX1が大きいほど効果が向上するがD以上増やしても効果はかわらないようである。
【0033】
Normal(●)では、弁体後方1D程度まで、気泡の帯が発生しているのが視覚観察され(図示なし)、これと同等の長さの拡大部が必要であることが裏づけできる。
【0034】
なお、図5(a)において、X1=D/3(○)の音圧がNormalより大きいが、これは、拡大部終端の角部(図2−E部)からキャビテーションが激しく発生する事が原因と考えられる。すなわち拡大部の寸法比を誤ると逆効果であることがわかる。
【0035】
(ニ)フラッシングについて
図3(a)、4(a)、5(a)において、キャビテーション係数55以下でNormalでの音圧レベルが小さくなり、本発明の構造より騒音が低いようにみられるが、これについて、以下のフラッシングに関する説明を加える。
【0036】
流速が大きくなり、キャビテーション係数σは小さくなるほど激しいキャビテーションとなるが、σがある値より小さくなると、発生した気泡がつぶれることなく流れていってしまう状態になる。この状態はフラッシングと呼ばれ、フラッシング状態では騒音は小さくなるが、流れの中の大部分が気泡で埋め尽くされた状態であるので、差圧を変化させても流量が変化しなくなる。すなわち、バルブによる流量、圧力の制御ができなくなる状態であるので、騒音は小さくても制御弁として使用できない状態であり、できるだけこの状態にならないことが望ましい。
たとえば、図5(a)において、キャビテーション係数が小さくなるにつれて音圧が大きくなり、やがて急激に音圧が小さくなるポイントがフラッシングである。
【0037】
図5(a) Normalフラッシング領域:σ=55以下
X1=Dのフラッシング領域:σ=40以下
上記のように、今回の実験では拡大部を設けた本発明のモデルは、Normalに比較するとフラッシングに達するキャビテーション係数が小さくなっており、このことはより大きな流速まで制御可能であることを示している。
【0038】
II 実施例
図1は、本発明の代表的な実施例を示す縦断面図である。
図において、弁本体31部に弁体32が弁棒33によって回動自在に支持されており、該弁体32の全閉時に当接する弁座直後の後流側に、中心に対して対称形をなした拡大した断面円筒形状の部分拡大部34が設けられており、該本体31は、その両側がフランジ付配管35に接続して取付けられている。図中、Dは配管内径で、本体31の両端接続部の内径と等しく形成されている。
【0039】
上記弁棒33の中心、つまり弁座の中心と拡大部34の始端部との距離X0は、本体内径Dの1/2以下で、可能な限り、ゼロに近く設定される。
また、拡大部34の内径Dyは、内径Dの1.3倍以上とし、また拡大部34の長さX1は内径Dの0.5倍以上に形成されている。
【0040】
次に、作用について説明すると、上記図1に示す実施例は、図2に示したものと基本的に同様に、弁座直後の後流側の本体内径が断面が中心に対して対称形状の円筒形状のまま部分的に拡大した拡大部34を形成しているので、特にオリフィス側弁体周縁部の後流側縮流部の圧力低下を少なくして気泡発生を抑制することができ、また、弁体裏側の渦の低速部と縮流部の速度差を小さくすることができるので、流れの剪断力に基づく気泡の成長するきっかけを少なくすることができ、また、気泡が発生しても、本体内径の拡大部で圧力の回復が早いので気泡の成長する時間が短くなるので、キャビテーション気泡の成長が抑制できる。
【0041】
図6及び図7は、図1に示す実施例の実際のキャビテーションによる騒音発生の抑制の効果を確認した測定結果を、キャビテーション係数σを横軸とし、音圧レベル(dB)を縦軸として示した測定グラフで、図6では代表周波数2KHzについて、また図7では2.5KHzについて騒音値を測定したものである。
【0042】
上記の測定に使用されたバタフライ弁は、次のとおりである。
φ50mmの内径のバタフライ弁に、
X0=0mm
X1=50mm(内径の1倍)
Y=10mm(拡大部の内径=70mm)50mmの1.4倍
の寸法を持つ拡大部を流体流れ方向で弁体の後ろ側に設けた、図1の近似形態を持つバタフライ弁である。図6、7では溝(拡大内径部)有り(●)と呼ぶ。
【0043】
また溝(拡大内径部)無し(△)とは、同じ弁体で拡大部がないバタフライ弁の測定結果であり、従来の一般的なバタフライ弁の構造である。
【0044】
これらは、同じ弁開度(θ=45)とし、流速を変化したときの騒音値を、代表的な周波数として、2KHzと2.5KHzについて騒音値を測定した。
結果は、流速を変化させてキャビテーション係数を変えてみても、いずれも溝無し(△)より、溝有り(●)の方が音圧レベル(騒音値)が低く、効果が認められた。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、弁座直後の後流側の本体内径を、弁体から発生する騒音、キャビテーションを抑制するように、中心に対して対称形をなした拡大断面形状を有する部分拡大部を設けたことにより、次のような効果を奏することができる。
【0046】
(i)縮流部の圧力低下を少なくして、気泡発生を抑制する。
【0047】
(ii)縮流部と渦の速度差が小さく、気泡が成長するきっかけを少なくすることができる。
【0048】
(iii) また気泡が発生しても、内径の拡大部で圧力の回復が早いために、気泡が成長する時間が短くなる。よってキャビテーション気泡の成長が抑制できる。
【0049】
また、弁座直後の後流側の本体内径を、中心に対して対称形をなした拡大断面形状を有する部分拡大部の拡大寸法を、配管内径の1.3倍以上とし、その長さを弁座部直後に配管内径の0.5倍以上としたことにより、図3〜図5の結果から同一のキャビテーション係数σの状態、すなわち同等のキャビテーションの激しさのもとでは、(X0,X1,Y)=(0,D,10)の弁は、拡大部のない従来の弁(図8)と比べて、図5(a)からσ=55〜90の範囲で10dB程度の騒音低減となる。
【0050】
また本発明(実験)の場合は上流側圧力は一定のため、σが同じであれば流速も同じであり、同じ流速で比較しても効果があると言い換えることができる。
【0051】
また、実際のバタフライ弁(図1)での効果を確認した測定結果も、図6、図7に示すように、本体に内径拡大部を設けない従来のもの(図8)に比べて顕著に騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示すバタフライ弁の縦断面図である。
【図2】 本発明の効果を確認する実験バルブの断面図で、キャビテーション抑制理論の説明用模式図である。
【図3】 拡大内径部の位置X0を変化させたときの騒音変化の測定グラフで、(a)は周波数2.5KHzでの音圧レベルをキャビテーション係数ごとに比較したもの、(b)は(a)で音圧最大となるキャビテーション係数の時の、周波数ごとの音圧レベルを比較したものである。
【図4】 拡大部の深さ(拡大内径)Yを変化させたときの騒音変化の測定グラフで、(a)と(b)は図3の説明と同じ。
【図5】 拡大部の長さX1を変化させたときの騒音変化の測定グラフで、(a)と(b)は図3の説明と同じ。
【図6】 図1の実施例のキャビテーションによる騒音抑制効果を確認する測定結果を示すグラフで、弁開度θ=45°周波数2KHzで測定。
【図7】 図6と同様のグラフで、θ=45°、2.5KHzで測定。
【図8】 通常のバタフライ弁のキャビテーションを起こす模様を模式的に示した図である。
【図9】 従来例を示し、(a)は断面図、(b)は図(a)のb−b線断面図である。
【図10】 他の従来例を示し、(a)は縦断面図、(b)は弁体の平面図である。
【図11】 他の従来例を示し、(a)は縦断面図、(b)は図(a)のII−II線断面図である。
【符号の説明】
31 本体(弁本体)
32 弁体
33 弁棒
34 拡大内径部
35 配管
X0 弁棒中心線(弁座部)と拡大部始動部との距離
X1 拡大内径部の長さ
Y 拡大内径部の深さ
D 配管の内径
Dy 拡大部の内径
Claims (1)
- 弁座直後の後流側の本体内径を、弁体から発生する騒音、キャビテーションを抑制するように、中心に対して対称形をなした拡大断面形状を有する部分的に拡大した構造を備え、弁座直後の後流側の本体内径に相当する、中心に対して対称形をなした拡大断面形状を有する部分拡大部の拡大寸法を、配管内径の1.3倍以上とし、その長さを弁座部直後に配管内径の0.5倍以上としたことを特徴とする低騒音バタフライ弁。
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