JP4565344B2 - 内燃機関の吸気制御装置 - Google Patents
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Description
このような弁体は、内燃機関の運転状況等に応じて素早く動作させる必要がある。そのため、回転動作が速くなる程、例えば停止位置がオーバシュートし易くなる等、動作が不安定になる。従来の装置では、このような不安定な動作を補うために、弁体が所定の角度だけ変化しても全閉状態を維持するよう不感帯を設けている。この不感帯は、例えば、吸気通路の内面に、弁体を回転したときに形成される回転体の外面に対向するように形状される。
このよう構成することで、同一面積の弁体で比較したとき、円形のものよりも回転軸から最遠外周までの距離を短かくして、回転時の回転イナーシャの低減を図っている。また、不感帯を構成するために吸気通路を拡大して形成した拡大部を、左右の側壁を半球面とし、上下の側壁を円筒面に構成して拡大部の形状を単純化して、装置製造の容易化を図ろうというものである。
一方、弁体を薄い板状にすれば、流れの抵抗は低減化される。しかし、弁体の剛性が低下し、弁開閉時に弁体が変形し易くなり、吸気通路との隙間を一定に維持できなくなる。これを改善するために剛性が高く重量の大きい材料を使用すれば、弁体のイナーシャが大きくなり(必要となる回転エネルギーが大きくなり)、高速作動し難いものとなる。
上記目的を達成するための本発明に係る吸気制御装置の第一特徴構成は、内燃機関の吸気通路の開口面積を調節して当該内燃機関への吸入空気量を制御すべく、前記吸気通路に設けた軸受部で回動可能に支持された軸体を備えた弁体と、前記弁体が所定の角度範囲にあるとき前記吸気通路が遮断されて不感帯が形成されるよう、前記吸気通路の筒状内面のうち、前記軸体の軸芯に垂直な方向の最大内径に係る位置を含む領域に、前記弁体の回転軌跡に沿う凹面を構成したものであって、前記吸気通路の筒状内面の形状を、その通路方向に沿ってみたとき、前記軸体の軸芯に沿う方向の最大内径である第1内径よりも、当該軸芯に垂直な方向の最大内径である第2内径が小さくなるように構成すると共に、前記軸受部の近傍に位置する第1円弧部と、当該第1円弧部に連接する位置から前記第2内径に係る位置に至る第2円弧部とを備えて構成し、前記弁体の周縁部のうち前記第1内径に対応する位置から前記第2内径に対応する位置までの領域を、前記第1円弧部と同じ半径の円弧状周縁部とした点にある。
本構成のごとく、吸気通路の内面に第1円弧部と第2円弧部とを備えて、第2内径に係る位置に不感帯を形成する凹面を形成することで、吸気通路の筒状内面と凹面との間に境界線が規定される。
円弧状の周縁部を有する弁体が吸気通路の内部で回転し、吸気通路を開口するとき、弁体の周縁部の全体が、前記不感帯から同時に離間するのが好ましい。不感帯の内面形状は、通常、弁体の平面形状を基準とし、当該基準となる平面形状が回転してできる回転体の外面に近接するように形成される。
この部分球体を鑑みると、弁体の軸芯近傍に位置する第1円弧部に係る領域は、弁体が何れの角度に回転しても、弁体と筒状内面とが常に近接しており、離間することはない。よって、このような領域の形状は、弁体・筒状内面の双方共に、例えば弁体の中央厚みの部分に係る円弧を用い、共通の円弧で構成すればよい。
このように、筒状内面の吸気通路に沿ってみた形状は、弁体に係る二種類の曲線で構成されることになる。
本発明に係る吸気制御装置の第二特徴構成は、前記第2円弧部の半径を前記第1円弧部の半径以下に構成した点にある。
本構成のごとく、第2円弧部の半径を前記第1円弧部の半径以下に構成すれば、二つの円弧部の半径が同一半径で重なるように配置して、二つの円弧部を滑らかに連続させながら、前記第2内径を前記第1内径よりも小さく構成することができる。この結果、筒状内面を切削加工する場合など第1円弧部と第2円弧部との連続加工が容易となる。
本発明に係る吸気制御装置の第三特徴構成は、前記弁体の平面形状を真円に構成した点にある。
本構成の如く、弁体の平面形状が真円であれば、外周縁部の成形が極めて容易となり、高精度の弁体を低コストで作製することができる。
本発明に係る吸気制御装置の第四特徴構成は、前記吸気通路の内部に前記軸体が露出しない状態で、前記軸体を前記弁体の側面に突出形成すると共に、前記弁体の厚みを、前記弁体の平面方向において前記軸体から離間するほど薄く構成した点にある。
本構成のごとく、軸体が吸気通路に露出しない状態で、弁体の厚みを軸体から離間するほど薄く構成するものであれば、弁体が開放姿勢にあるとき、弁体の表面に沿って流れる空気の状態が極めて円滑なものとなる。この結果、弁体の軸受部で生じる圧損が最小限度に留められ、吸気効率のよい吸気制御装置を得ることができる。
本発明に係る吸気制御装置の第五特徴構成は、前記弁体の周縁部の側面形状を、当該弁体の回転軌跡によって形成される回転体の表面形状に一致する曲面形状とした点にある。
前記不感帯の面形状は、弁体を回転させたときに得られる回転軌跡の表面形状に一致させている。よって、本構成のごとく、弁体の側面を上記回転体の表面形状に一致させることで、弁体と不感帯との隙間を極力狭くすることができる。この結果、弁体とボアの内面とのシール効果が高まり、吸気量の制御性能を高めた吸気制御装置を得ることができる。
本発明に係る吸気制御装置の第五特徴構成は、前記弁体の周縁部のうち前記軸体に対して垂直方向に最も離間した領域に傾斜面を構成した点にある。
当該傾斜面は、例えば弁体が不感帯から離間するとき最初に開口が形成される位置に設けてある。この箇所は、オリフィス効果によって空気の流速が高速になる。
弁体が吸気通路をある程度開き状態としたとき、傾斜面を形成した周縁部のうち、気流の上流側に位置する周縁部では、気流を弁体の表裏に分割する。このとき、傾斜面によって弁体の当該周縁部は略エッジ状に構成されているから、この部分で気流が弁体の表裏に円滑に分割される。このため、流通抵抗の増大が抑制され、吸気効率を高く維持することができる。
一方、傾斜面を形成した周縁部のうち、気流の下流側に位置する周縁部では、表裏に分割されていた気流が合流する。このとき、周縁部がエッジ状に薄く構成されているから、表裏の気流の合流が円滑に行われる。つまり、弁体の厚みが薄いため、周縁部の後端面に気流の回り込みが生じない。よって、当該部分で乱流が生じ難く、やはり流通抵抗を最小に留め、吸気効率を高く維持することができる。
このように、本構成であれば、吸気通路の圧損を低減し、吸気効率に優れた吸気制御装置を得ることができる。
本発明に係る吸気制御装置は、一般の内燃機関のうち例えば自動車の内燃機関(以下、単に「内燃機関35」と称する)に用いる。この制御装置は、内燃機関35に設けた吸気通路10の開口面積を調節して吸入空気量を制御する。吸気通路10には回動自在な弁体3を設けてある。当該弁体3は、吸気通路10の壁部に設けた軸受部5によって回動可能に支持されている。吸気通路10には、弁体3が所定の角度範囲にあるとき吸気通路10が遮断されるよう不感帯2aを設けてある。当該弁体3は、内燃機関35の運転状態等に応じて極めて速く開閉されるため、当該弁体3の停止誤差の影響等を解消するためのものである。
本発明は、吸気通路10における弁体3の開閉機構に関するものであり、主には弁体3、及び、その周囲に設けた吸気通路10の構造に関するものである。
以下、本発明の実施形態につき図面に基づいて説明する。
このように、吸気弁11の開閉タイミングに同期して弁体3を開閉制御することで、特に内燃機関35が低中速領域で高負荷の場合に体積効率及び出力を向上することができる。また内燃機関35が低速領域で低負荷時にある場合には、吸入空気の流速を上げることで燃焼改善を期待できる。
弁体3は、吸気通路10を貫通する軸体5aによって回動自在に支持され、吸気通路10の断面積を調節する。軸体5aは、吸気通路10に設けた軸受部5によってその両端部を枢支される。軸体5aは、その延伸方向で図外のアクチュエータに接続される。アクチュエータは、内燃機関35の負荷・吸気弁11の制御状態等に基づいて図外の制御部によって制御される。
二つのボルト7の頭部は、閉弁時に吸入側、即ち内燃機関35のヘッドとは反対の方向に向くように締結される。これは、仮にボルト7が抜け落ちても、ピストン30の側に落下するのを防止するためである。
凹部、面取り部2b、溝2cは、ボア2において、流路方向に直交する中心軸に対して線対称に設けられている。従って、組み立て時にブロック体1に対して前後自在に取り付け可能である。
本実施形態における弁体3は、例えば図2に示す如く平面形状が真円となるように構成する。真円であれば、外周縁部の成形が極めて容易となり、高精度の弁体3を低コストで作製することができる。
当該弁体3は、例えば、回転イナーシャを軽減するために軽量のアルミニウム・樹脂等を用いて形成する。これらの材料はヤング率が低く、弁体3の剛性向上にも寄与する。剛性が高まれば、閉弁時に空気流からの外力を受けても変形せず、不感帯2aとの僅かな隙間を一定間隔に維持でき、確実な遮蔽効果が発揮される。弁体3がボアの内面に接触しないので、両者の摩耗や損傷が生じず、吸気制御装置の耐久性・信頼性も高まる。その結果、吸気のインパルスチャージも可能となる。
また、アルミニウムや樹脂を用いることで弁体3を安価に作製することができる。万一、異物が入った時などの傷付きに対する摩擦係数を低減するために表面にはフッ化水素等のコーティングを施すとよい。
傾斜面3aを形成した周縁部のうち、気流の上流側に位置する周縁部では、気流を弁体3の表裏に分割する。このとき、弁体3の厚みが表裏面の傾斜面3aによって略エッジ状に構成されているから、気流が円滑に分割される。このため、通気抵抗の増大が抑制され、吸気効率を高く維持することができる。弁体3が全開姿勢となった場合でも本効果は発揮される。
一方、傾斜面3aを形成した周縁部のうち、気流の下流側に位置する周縁部では、表裏に分割されていた気流が合流する。このとき、周縁部がエッジ状に薄く構成されているから、表裏の気流の合流が円滑に行われる。つまり、弁体3の厚みが薄いため、周縁部の後端面に気流の回り込みが生じない。よって、当該部分で乱流が生じ難く、やはり通気抵抗を最小に留め、吸気効率を高く維持することができる。
本実施形態のボア2は、図1から図3に示すごとく、主に、前記不感帯2aを構成する部分と、それ以外の筒状内面2dを構成する部分とを有する。当該ボア2の作製に際しては、まず、流路方向に沿って一様に筒状内面2dを有するボア2を形成する。前記ボア2の形状は、前記軸体5aの軸芯Xに沿う方向の最大内径を第1内径h1とし、これに垂直な方向の最大内径を第2内径h2とする。不感帯2aを形成する厚みを確保する都合上、第1内径h1よりも第2内径h2が小さくなる。ボア2の作製は、アルミニウムを用いて鋳造成形したり、あるいは、一旦、内周が真円形状のボア2を形成した後、不感帯2aを形成する部分に溶接等で肉盛りするなど、公知の技術を用いて行う。
尚、説明の便宜上、本実施形態においては、弁体3の四分の一の円弧のみにつき説明する。
この状態から弁体3が反時計方向に位相した状態を図5(a)に示す。この状態では、弁体3は太い実線で示した線ABで筒状内面2dをシールする。さらに、同じく太い実線で示したBIGHで囲まれた面によって弁体3は吸気通路10をシールする。
弁体3が図4の状態から時計方向に変位した場合には、図5(b)に示す如く、弁体3は吸気通路10を太い実線AJでのみシールする。
このように見れば、図4のB点よりも吸気通路10の中心側では、線AB上の何れかの領域でのみシール効果が発揮されることがわかる。図4に示す如く、弁体3の最大厚みに係る点をK点とし、このK点を線AB上に回転させた点をK’とすると、線AK’上では弁体3は常に筒状内面2dに近接して吸気通路10をシールする。つまり、線AB上のシールの境界点は、BK’上で変位する。よって、点Bから吸気通路10の中心側は、弁体3の真円の半径に基づいて決定すればよいことがわかる。
一方、第2円弧部βの半径は、上記の如く円弧BCを描けるようにd2に設定する。当該半径d2は前記半径d1よりも僅かに小さくなる。尚、C点とD点との間は例えば、直線状に形成する。このようにして構成したボア2を吸気通路10の方向に沿って見た状態を図6に示す。
このように形成した筒状内面2dは、理想的な楕円に基づいて近似したものであるとはいえ、弁体3の厚みを考慮したものである。よって、吸気通路10の筒状内面2dと不感帯2aとの境界の形状は、弁体3の周縁部の形状とよく適合する。この結果、厚みを有する弁体3が不感帯2aに対して到達・離脱するとき、吸気通路10の開閉が明確に行われる。
〈1〉上記実施形態では、前記第2円弧部βの半径を前記第1円弧部αの半径以下に構成したが、図7に示すように、双方の半径を同じに構成しても良い。
この場合、軸受部5の近傍に位置する第1円弧部αについては、図4の作製要領と同じである。そして、これに続く第2円弧部βについては、同じ半径d1の第2円弧部βがB点およびD点を通過するように円の中心を新たにO3に設定する。
このような手法によっても筒状内面2dを容易に構成することができる。
2d 筒状内面
3 弁体
3a 傾斜面
5 軸受部
5a 軸体
10 吸気通路
35 内燃機関
h1 筒状内面の第1内径
h2 筒状内面の第2内径
α 第1円弧部
β 第2円弧部
X 軸体の軸芯
Claims (6)
- 内燃機関の吸気通路の開口面積を調節して当該内燃機関への吸入空気量を制御すべく、前記吸気通路に設けた軸受部で回動可能に支持された軸体を備えた弁体と、前記弁体が所定の角度範囲にあるとき前記吸気通路が遮断されて不感帯が形成されるよう、前記吸気通路の筒状内面のうち、前記軸体の軸芯に垂直な方向の最大内径に係る位置を含む領域に、前記弁体の回転軌跡に沿う凹面を構成した内燃機関の吸気制御装置であって、
前記吸気通路の筒状内面の形状を、その通路方向に沿ってみたとき、前記軸体の軸芯に沿う方向の最大内径である第1内径よりも、当該軸芯に垂直な方向の最大内径である第2内径が小さくなるように構成すると共に、前記軸受部の近傍に位置する第1円弧部と、当該第1円弧部に連接する位置から前記第2内径に係る位置に至る第2円弧部とを備えて構成し、
前記弁体の周縁部のうち前記第1内径に対応する位置から前記第2内径に対応する位置までの領域を、前記第1円弧部と同じ半径の円弧状周縁部とした内燃機関の吸気制御装置。 - 前記第2円弧部の半径を前記第1円弧部の半径以下に構成してある請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置。
- 前記弁体の平面形状を真円に構成してある請求項1又は2に記載の内燃機関の吸気制御装置。
- 前記吸気通路の内部に前記軸体が露出しない状態で、前記軸体を前記弁体の側面に突出形成すると共に、
前記弁体の厚みを、前記弁体の平面方向において前記軸体から離間するほど薄く構成してある請求項1〜3の何れか一項に記載の内燃機関の吸気制御装置。 - 前記弁体の周縁部の側面形状を、当該弁体の回転軌跡によって形成される回転体の表面形状に一致する曲面形状としてある請求項1〜4の何れか一項に記載の内燃機関の吸気制御装置。
- 前記弁体の周縁部のうち前記軸体に対して垂直方向に最も離間した領域に傾斜面を構成してある請求項1〜5の何れか一項に記載の内燃機関の吸気制御装置。
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