JP4808321B2 - 4−メチル−1−ペンテン系重合体の水性分散液 - Google Patents

4−メチル−1−ペンテン系重合体の水性分散液 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は離型剤からなる水性分散液に関し、さらに詳しくは、4−メチル−1−ペンテン系重合体またはその変性物の水性分散液に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来より、水中に分散することができる種々の重合体が知られており、これらの重合体が水中に分散した水性分散物のうち、水を30重量%以上含む流動性のある水性分散物(以下、本発明においては水性分散液という。)がいろいろな目的で使用されている。
【0003】
具体的には、水性分散液を紙、繊維、プラスチック成型品、木材、金属などの基材表面に塗布乾燥し、その表面に樹脂皮膜を形成させることにより、前記基材に耐水性、耐薬品性などを付与したり、また、樹脂フィルムなどの表面にヒートシール層を形成する目的で使用されている。
かかる水性分散液は、分散媒として水を使用しているので、溶剤を使用する場合の問題点、たとえば、引火に対する危険性や人体に対する毒性、さらに作業環境上の悪化、取扱いの困難性などの問題点を改善することができ、幅広い分野で利用されている。
【0004】
このような水性分散液が離型剤(重合体)の水性分散液である場合、その用途としては、電子部品、電気部品などの製造に際し、成型用の型から該電子部品等を離型させるための使用、合成皮革の製造に用いられる離型紙に樹脂をコーティングして、合成皮革と離型紙を剥離させるための使用などが挙げられる。
電子部品、電気部品などの製造においては、各種素子をエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂成形型に封入して製品とする場合(注型成形法)が多いが、各種素子の硬化後に、成形型から成形物を容易に取り出すために、型表面に離型剤が塗布されている。この場合に用いられる水中に分散可能な離型剤としては、低分子量ポリプロピレン等のワックス、低分子量のシリコーン樹脂等が挙げられ、これら離型剤の水性分散液が使用されている。
【0005】
また、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂などから合成皮革を製造する際には、紙の表面に樹脂(離型剤)をコーティングした合成皮革用離型紙が使用される。この場合に用いられる水中に分散可能な離型剤としては、シリコーン樹脂や、アクリル樹脂等が挙げられ、これら離型剤の水性分散液が使用されている。
しかし、かかる離型剤は水系分散液として使用可能ではあるものの、耐熱性、離型性等が不十分であるため、新たな離型剤およびその離型剤の水性分散液の開発が望まれている。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、耐熱性、耐水性、耐薬品性、離型性に優れ、かつ各種材料との密着性に優れた皮膜を形成可能な離型剤、およびその水性分散液を提供することを目的とするものである。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係る水性分散液は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)またはその変性物(B)が、電気抵抗法で測定される平均粒径100μm以下の球状粒子として水中に分散されてなることを特徴としている。また、本発明に係る水性分散液は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)とその変性物(B)との混合物が、電気抵抗法で測定される平均粒径100μm以下の球状粒子として水中に分散されてなることを特徴としている。
【0008】
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)は、
4−メチル−1−ペンテンとα−オレフィンとのランダム共重合体であって
4−メチル−1−ペンテン単位が80〜99.9重量%、
炭素数2〜20のα−オレフィン単位が0.1〜20重量%
からなることが望ましい。
【0009】
さらに、前記α−オレフィンは、
1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンから選ばれる1種または2種以上のα−オレフィンであることが望ましい。
また、4−メチル−1−ペンテン系重合体の変性物(B)は、4−メチル−1−ペンテン系重合体に不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物がグラフトした変性物であることも望ましい。
【0010】
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)またはその変性物(B)は、固有粘度1.0以下の低分子量体であることも望ましい。さらに、前記低分子量体は、4−メチル−1−ペンテン系重合体またはその変性物に有機過酸化物を加え、それを溶融押出しすることで得られる低分子量体であることも望ましい。
【0011】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の水系分散液は、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)またはその変性物(B)、またはそれらの低分子量体が分散されてなる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)
まず、本発明の水性分散液を構成する4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)について説明する。
【0012】
本発明に用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)は、極限粘度[η](135℃、デカリン(デカヒドロナフタレン)中で測定)が、好ましくは0.1〜5dl/g、さらに好ましくは0.2〜2dl/gのものである。極限粘度[η]が上記範囲にあることにより、本発明の水性分散液を得ることが容易になる。
【0013】
上記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)は、従来公知の方法により共重合させて製造することができる。
このような4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)としては、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体、または4−メチル−1−ペンテンとα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)との共重合体が挙げられる。該共重合体である場合の重合反応は、α−オレフィンが反応物の合計モル量に対して、通常15モル%以下、好ましくは9モル%以下の条件で行われる。
【0014】
本発明に用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)が上記共重合体である場合、本発明においては4−メチル−1−ペンテンとα−オレフィンとのランダム共重合体であることが特に好ましい。
上記4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィンランダム共重合体は、
4−メチル−1−ペンテン単位が80〜99.9重量%、好ましくは90〜98重量%、
α−オレフィン単位が0.1〜20重量%、好ましくは2〜10重量%
からなることを特徴としている。
【0015】
また、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィンランダム共重合体形成用ののα−オレフィンとしては、炭素数が2〜20のものを用いることができ、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンなどが挙げられ、好ましくは1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンが挙げられる。これらα−オレフィンは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0016】
また、本発明において、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて各種添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、たとえば、シランカップリング剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ剤、核剤、顔料、染料などが挙げられる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体の変性物(B)
本発明に用いられる変性物(B)の極限粘度[η](135℃、デカヒドロナフタレン中で測定)は、好ましくは0.5〜5dl/g、さらに好ましくは、0.5〜2dl/gである。極限粘度[η]がこの範囲にあることにより、本発明の水性分散液を得ることが容易となる。
【0017】
ここで本発明に用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体の変性物(B)の製造方法について説明する。
変性物(B)は、溶液法、溶融混練法等の公知のグラフト重合法により製造することができる。具体的には、変性前の4−メチル−1−ペンテン系重合体に不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物をグラフト共重合することにより得ることができる。
【0018】
この変性物(B)は、線状構造を有し、架橋構造を実質上有しないことが本発明の目的から好ましく、この構造上の特徴は、有機溶媒、たとえばp−キシレンに溶解し、ゲル状物が存在しないことによって確認することができる。
グラフト重合法のグラフトモノマーとして用いられる不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物は、炭素数3〜20のものが好ましい。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アリルコハク酸、メサコン酸、グルタコン酸、ナジック酸TM、メチルナジック酸、テトラヒドロフタル酸、メチルヘキサンヒドロフタル酸等の不飽和ジカルボン酸;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アリルコハク酸、無水グルタコン酸、無水ナジック酸TM、無水メチルナジック酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸等の不飽和ジカルボン酸無水物等が挙げられる。なかでも、マレイン酸、無水マレイン酸、ナジック酸TM、および無水ナジック酸TMが好ましい。これらは1種類単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物のグラフト率は、0より大きく20重量%以下、好ましくは0.01〜15重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。ここで、グラフト率とは、グラフトモノマーから導かれる構造単位が変性ポリ4−メチル−1−ペンテン樹脂中に占める重量割合(%)として定義される。
【0020】
グラフト率が上記範囲にあることにより、ポリ4−メチル−1−ペンテン樹脂および他の材料(例えば他の樹脂、金属、塗料、インキ等)との優れた接着性が得られる。
本発明において、4−メチル−1−ペンテン系重合体の変性物(B)は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて各種添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、たとえば、シランカップリング剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ剤、核剤、顔料、染料などが挙げられる。
【0021】
低分子量体
本発明に用いられる低分子量体は、固有粘度が1.0以下、好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.01〜0.5、特に好ましくは0.1〜0.4である4−メチル−1−ペンテン系重合体またはその変性物の低分子量体を指す。
この低分子量体は、上記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)またはその変性物(B)に有機過酸化物を加え、それを溶融押出しすることで製造することができる。
【0022】
4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)またはその変性物(B)は、固有粘度が上記範囲である低分子量体とすることにより、分散粒子の微細化が可能となる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体の水性分散液
本発明に係る水性分散液は、上記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)、またはその変性物(B)、またはそれらの低分子量体が、電気抵抗法で測定される平均粒径100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは0.01〜20μm、特に好ましくは0.1〜5μmの球状粒子として分散されてなる。
【0023】
平均粒径の測定は、測定機器としてコールターカウンター(コールター社製)を用い、アパチャー径15、50、100、200、400μmのアパチャーチューブを用いて測定を行った。
本発明に係る水中分散液においては、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)、またはその変性物(B)、またはそれらの低分子量体からなる球状粒子は、水性分散液100gに対して、1〜50g、好ましくは5〜30g、さらに好ましくは10〜20gの量で存在していることが望ましい。
【0024】
本発明に係る水性分散液は以下に例示するような公知の方法で得ることができるが、下記に例示した方法に限定されるものではない。
特開昭61−123664号公報記載の方法を応用して、本発明に係る4−メチル−1−ペンテン系重合体の水性分散液を製造することができる。
たとえば、本発明に用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)を溶融し、この溶融混練物に塩基性物質および水を添加して溶融混練を行い、重合体(A)を水性分散体に転相させる工程と
この水中分散体に追加量の水を添加する工程から本発明に係る水性分散液を製造することができる。
【0025】
あるいは、本発明に用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)に水を添加し、加圧下で溶融混練を行い、重合体(A)を水性分散体に転相させる工程と
この水性分散体に追加量の水を添加する工程からも本発明に係る水性分散液を製造することができる。
【0026】
また、特公昭58−42207号公報記載の方法を応用しても、本発明に係る4−メチル−1−ペンテン系重合体の水性分散液を製造することができる。
たとえば、本発明に用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)を溶融・混練し、塩基性物質の水溶液(該重合体(A)の融点以上に加熱する)を攪拌しながら、前記溶融混練物を添加する。さらに攪拌を継続した後、室温まで冷却することにより本発明に係る水性分散液を製造することができる。
【0027】
本発明に係る水性分散液中には、上記4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)、またはその変性物(B)、またはそれらの低分子量体が1種または2種以上分散されていても良い。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、耐熱性、耐水性、耐薬品性、離型性および各種材料との密着性に優れた皮膜を形成可能な離型剤、およびその水性分散液を提供することができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の4−メチル−1−ペンテン系重合体を含有する水性分散液について実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において剥離強度、表面租度、皮膜の密着性の評価、離型性の評価は以下のようにして行った。
<剥離強度>
引張試験機を使用し、幅15mmの短冊状試験片の層間剥離強度を測定した。測定は、180度剥離試験において試験速度300mm/分の条件で行った。
<表面租度>
JIS B0601に準じて、表面租度計 サーフテスト401(ミツトヨ社製)を用いて測定した。
<皮膜の密着性の評価>
金型に重合体の皮膜を形成させ、その皮膜にセロハンテープを貼り、セロハンテープを剥がした時に皮膜が剥がれるか否かを観察し、皮膜の密着性を評価した。
<離型性の評価>
皮膜が形成された金型に、下記表l記載のゴム配合物を注入して、金型温度160℃で15分間加熱して加硫(硬化)を行い、その後、加硫物を取り出す。この操作を10回繰り返した後、金型へのゴムの付着を観察し、離型性の評価を行った。
【0030】
実施例で使用した4−メチル−1−ペンテン系重合体およびその変性物は下記の条件で製造した。
【0031】
【製造例1】
4−メチル−1−ペンテン系重合体の製造
4−メチル−1−ペンテン系重合体〔商品名:TPX MX002(三井化学(株)製)〕〔固有粘度〔η〕2.4、共重合モノマー組成;4−メチル−1−ペンテン単位 93重量%、炭素数が16,18であるオレフィンの混合物(商品名:ダイヤレンD−168)単位 7重量%〕100重量部に、
1,3−ビス(tert−ブチルオキシイソプロピル)ベンゼン0.5重量部
をタンブラーブレンダーにより混合し、ペレット表面に均一に付着させた。
【0032】
次いで、このペレットを押出機で窒素雰囲気下において300℃で押し出すことにより、4−メチル−1−ペンテン系重合体の低分子量物▲1▼〔固有粘度〔η〕0.4、共重合モノマー組成;4−メチル−1−ペンテン単位 93重量%、炭素数が16,18であるオレフィンの混合物(商品名:ダイヤレンD−168)単位 7重量%〕を製造した。
【0033】
【製造例2】
4−メチル−1−ペンテン系重合体の変性物の製造
4−メチル−1−ペンテン系重合体〔商品名:TPX MX002(三井化学(株)製)〕〔固有粘度〔η〕2.4、共重合モノマー組成;4−メチル−1−ペンテン単位 93重量%、炭素数が16,18であるオレフィンの混合物(商品名:ダイヤレンD−168)単位 7重量%〕100重量部に、
1,3−ビス(tert−ブチルオキシイソプロピル)ベンゼン0.5重量部と、
無水マレイン酸1重量部
をタンブラーブレンダーにより混合し、ペレット表面に均一に付着させた。
【0034】
次いで、このペレットを押出機で窒素雰囲気下において300℃で押し出すことにより、4−メチル−1−ペンテン系重合体の低分子量変性物▲2▼〔固有粘度〔η〕0.4、共重合モノマー組成;4−メチル−1−ペンテン単位 93重量%、炭素数が16,18であるオレフィンの混合物(商品名:ダイヤレンD−168)単位 7重量%、グラフト率;無水マレイン酸1重量%〕を製造した。
【0035】
【製造例3】
プロピレン系重合体の製造
プロピレン系重合体〔商品名:F327(グランドボリマー(株)製)〕(MFR 13、密度 0.910)100重量部に、
l,3一ビス(tert−ブチルオキシイソプロピル)ベンゼン0.5重量部
をタンブラーブレンダーにより混合し、ペレット表面に均一に付着させた。
【0036】
次いで、このペレットを押出機で窒素雰囲気下において300℃で押し出すことにより、プロピレン系重合体の低分子量物▲3▼(固有粘度〔η〕0.3)を製造した。
【0037】
【製造例4】
プロピレン系重合体の変性物の製造
プロピレン系重合体〔商品名:F327(グランドボリマー(株)製)〕(MFR 13、密度 0.910)100重量部に、
1,3一ビス(tert一ブチルオキシイソプロピル)ベンゼン0.5重量部と
無水マレイン酸1重量部
をタンブラーブレンダーにより混合し、ペレット表面に均一に付着させた。
【0038】
次いで、このペレットを押出機で窒素雰囲気下において300℃で押し出すことにより、無水マレイン酸1重量%がグラフトされたプロピレン系重合体の低分子量変性物▲4▼(固有粘度〔η〕0.5、密度0.910)を製造した。
【0039】
【実施例1】
内容量4リットルの耐圧ホモミキサーに、水1500ccおよび水酸化ナトリウム1.5g、オレイン酸カリウム1.5gを入れ、250℃に加熱して、5000rpmで攪拌しながら、製造例1で得た溶融状熊の4−メチル−1−ペンテン系重合体の低分子量物▲1▼200gをギヤポンプによって、1時間かけて供給した。
【0040】
さらに30分攪拌後、室温まで冷却して得られた水性分散液中の粒子は、コールターカウンター(アパチャー径15μm)で測定した平均粒径が5μm以下の球状であり、この分散液の7日間放置後の相分離はほとんど見られなかった。
次に、この水性分散液を紙基材(北越製紙製、坪量125g/cm2)の上に100g/m2の厚さでコーティングし、それを100℃のエアーオーブン中で60分乾燥した。それから、220℃の熱風で60秒加熱した後に250℃の鏡面ロールで圧着することで、溶融した樹脂を紙に固着させて4−メチル−1−ペンテン系重合体コート紙を得た。
【0041】
得られた4−メチル−1−ペンテン系重合体コート紙の4−メチル−l−ペンテン系重合体層と紙の剥離強度を測定した。
さらに、この4−メチル−1−ペンテン系重合体コート紙の4−メチル−1−ペンテン系重合体面に、未硬化の塩ビゾルを1000g/m2の厚さでハケ塗りした。その後、200℃のエアオーブン中に3分間放置し、塩ビゾルを硬化させた。
【0042】
硬化した塩ビ層の剥離強度を測定し、さらに塩ビシートの表面租度を測定した。結果を第2表に示す。
【0043】
【実施例2】
製造例1で得た4−メチル−1−ペンテン系重合体の低分子量物▲1▼80重量%と製造例2で得た4−メチル−1−ペンテン系重合体の低分子量変性物▲2▼20重量%を250℃で溶融混合した。
次に、内容量4リットルの耐圧ホモミキサーに、水1500ccおよび水酸化ナトリウム1.5gを入れ、250℃に加熱して、5000rpmで攪拌しながら前述の溶融状態である重合体混合物200gをギヤポンプによって、1時間かけて供給した。
【0044】
さらに、30分攪拌後、室温まで冷却して得られた水分散液中の粒子は、平均粒径は5μm以下の球状であり、この分散液の7日間放置後の相分離はほとんど見られなかった。
次に、この水性分散液をクレイコート紙の上に100g/m2の厚さでコーティングした。このコーティング紙を100℃のエアーオーブン中で60分乾燥した。それから、220℃の熱風で60秒加熱した後に250℃の鏡面ロールで圧着することで、溶融した樹脂を紙に固着させて4−メチル−1−ペンテン系重合体コート紙を得た。
【0045】
得られた4−メチルー1一ペンテン系重合体コート紙の4−メチル−1−ペンテン系重合体層と紙の剥離強度を測定した。
さらに、この4−メチル−1−ペンテン系重合体コート紙の4−メチル−l−ぺンテン系重合体面に未硬化の塩ビゾルを1000g/m2の厚さでハケ塗りした。その後、200℃のエアオーブン中に8分間放置し、塩ビゾルを硬化させた。
【0046】
硬化した塩ビ層の剥離強度を測定し、さらに塩ビシートの表面租度を測定した。結果を第2表に示す。
【0047】
【実施例3】
実施例2で得た水性分散液(4−メチル−l−ぺンテン系重合体の低分子量物▲1▼と4−メチル−l−ぺンテン系重合体の低分子量変性物▲2▼の混合物からなる)を、クレイコート紙の上に1000g/m2の厚さでコーティングした。
このコーティング紙を100℃のエアーオーブン中で60分乾燥し、それから、220℃の熱風で60秒加熱した後に250℃の鏡面ロールで圧着することで、溶融した樹脂をクレイコート紙に固着させて4−メチル−l−ぺンテン系重合体コート紙を得た。
【0048】
得られた4−メチル−l−ぺンテン系重合体コート紙の4−メチル−1−ペンテン系重合体層と紙の剥離強度を測定した。
さらに、この4−メチル−l−ぺンテン系重合体コート紙の4−メチル−1−ぺンテン系重合体面に未硬化の塩ビゾルを1000g/m2の厚さでハケ塗りした。その後、200℃のエアオ一ブン中に8分間放置し、塩ビゾルを硬化させた。
【0049】
硬化した塩ビ層の剥離強度を測定し、さらに塩ビシートの表面租度を測定した。結果を第2表に示す。
【0050】
【実施例4】
実施例2で得た水性分散液(4−メチル−l−ぺンテン系重合体の低分子量物▲1▼と4−メチル−l−ぺンテン系重合体の低分子量変性物▲2▼の混合物からなる)を、市販の注型用金型の内面に塗布した(塗布量:170g/m2、固形分換算)。
【0051】
次に、80℃で10時間乾燥後、250℃の熱風で120秒間加熱し、厚み20μmの皮膜を形成させた。
この皮膜の密着性および離型性を上記方法に従い評価した。結果を第2表に示す。
【0052】
【比較例1】
内容量4リットルの耐圧ホモミキサーに、水1500ccおよび水酸化ナトリウム1.5g、オレイン酸カリウム1.5gを入れ、250℃に加熱して、5000rpmて攪拌しながら、そこへ製造例3で得た溶融状態のプロピレン系重合体の低分子量物▲3▼200gをギヤポンプによって、1時間かけて供給した。
【0053】
さらに30分攪拌後、室温まで冷却して得られた水性分散液中の粒子は、平均粒径は5μm以下の球状であり、この分散液の7日間放置後の相分離はほとんど見られなかった。
次にこの水性分散液を紙基材(北越製紙製、坪量125g/m2)の上に100g/m2の厚さでコーティングし、それを100℃のエアーオーブン中で60分乾燥した。それから、220℃の熱風で60秒加熱した後に250℃の鏡面ロールで圧着することで、溶融した樹脂を紙に固着させてプロピレン系重合体コート紙を得た。
【0054】
得られたプロピレン系重合体コート紙のプロピレン系重合体層と紙の剥離強度を測定した.
さらに、このプロピレン系重合体コート紙のプロピレン系重合体コート面に未硬化の塩ビゾルを100g/m2の厚さでハケ塗りした。これを200℃のエアオーブン中に3分間放置し、塩ビゾルを硬化させた。
【0055】
硬化した塩ビ層の剥離強度を測定し、さらに塩ビシートの表面租度を測定した。結果を第2表に示す。
【0056】
【比較例2】
製造例3で得たプロピレン系重合体の低分子量物▲3▼80重量%と、製造例4で得た変性プロピレン系重合体の低分子量物▲4▼20重量%を250℃で溶融混合した。
次に内容量4リットルの耐圧ホモミキサーに、水1500ccおよび水酸化ナトリウム1.5gを入れ、250℃に加熱して、5000rpmで攪拌しながら前述の溶融状態の重合体混合物200gをギヤポンプによって、1時聞かけて供給した。
【0057】
さらに、30分攪拌後、室温まで冷却して得られた水性分散液中の粒子は、平均粒径が5μm以下の球状であり、この分散液の7日間放置後の相分離はほとんど見られなかった。
次に、この水性分散液をクレーコート紙の上に100g/m2の厚さでコーティングし、それを100℃のエアーオーブン中で60分乾燥した。それから、220℃の熱風で60秒加熱した後に250℃の鏡面ロールで圧着することで、溶融した樹脂を紙に固着させてプロピレン系重合体コート紙を得た。
【0058】
得られたプロピレン系重合体コート紙のプロピレン系重合体層と紙の剥離強度を測定した。
さらに、このプロピレン系重合体コート紙のプロピレン系重合体面に未硬化の塩ビゾルを1000g/m2の厚さでハケ塗りした。その後200℃のエアオーブン中に3分間放置し、塩ビゾルを硬化させた。
【0059】
硬化した塩ビ層の剥離強度を測定し、さらに塩ビシートの表面租度を測定した。結果を第2表に示す。
【0060】
【比較例3】
比較例2で得た水性分散液(プロピレン系重合体の低分子量物▲3▼とプロピレン系重合体の低分子量変性物▲4▼の混合物からなる)を、クレイコート紙の上に1000g/m2の厚さでコーティングした。このコーティング紙を100℃のエアーオーブン中て60分乾燥した。それから、220℃の熱風で60秒加熱した後に250℃の鏡面ロールて圧着することで、溶融した樹脂をクレイコート紙に固着させてプロピレン系重合体コート紙を得た。
【0061】
得られたプロピレン系重合体コート紙のプロピレン系重合体層と紙の剥離強度を測定した。
次に、このプロピレン系重合体コート紙のプロピレン系重合体面に未硬化の塩ビゾルを1000g/m2の厚さでハケ塗りした。その後200℃のエアオーブン中に3分間放置し、塩ビゾルを硬化させた。
【0062】
硬化した塩ビ層の剥離強度を測定し、さらに塩ビシートの表面租度を測定した。結果を第2表に示す。
【0063】
【比較例4】
比較例2で得た水性分散液(プロピレン系重合体の低分子量物▲3▼とプロピレン系重合体の低分子量変性物▲4▼の混合物からなる)を、市販の注型用金型の内面に塗布した(塗布量:170g/m2、固形分換算)。それから、80℃で10時間乾燥した後、250℃の熱風で120秒間加熱し、厚み20μmの皮膜を形成させた。
【0064】
この皮膜の密着性および離型性を上記方法に従い評価した。結果を第2表に示す。
【0065】
【表1】
Figure 0004808321
【0066】
【表2】
Figure 0004808321

Claims (5)

  1. 4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)、該4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)に不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物がグラフトした変性物(B)、またはそれらの混合物が、電気抵抗法で測定される平均粒径100μm以下の球状粒子として水中に分散されてなり、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)、その変性物(B)、またはそれらの混合物が固有粘度1.0以下の低分子量体であることを特徴とする水性分散液。
  2. 4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)とその変性物(B)との混合物が、電気抵抗法で測定される平均粒径100μm以下の球状粒子として水中に分散されてなることを特徴とする請求項1に記載の水性分散液。
  3. 4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)が、4−メチル−1−ペンテンとα−オレフィンとのランダム共重合体であって4−メチル−1−ペンテン単位が80〜99.9重量%、炭素数2〜20のα−オレフィン単位が0.1〜20重量%からなることを特徴とする請求項1または2に記載の水性分散液。
  4. α−オレフィンが、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンよりなる群から選ばれる1種以上のα−オレフィンであることを特徴とする請求項3に記載の水性分散液。
  5. 前記低分子量体が、4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)、該4−メチル−1−ペンテン系重合体(A)に炭素数3〜20の不飽和カルボン酸および/またはその酸無水物がグラフトした変性物、またはそれら混合物に有機過酸化物を加え、それを溶融押出しすることで得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性分散液。
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