以下、添付図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
図1に、本発明のベーキング装置および基板処理装置を適用できる一構成例としての塗布現像処理システムを示す。この塗布現像処理システム10は、クリーンルーム内に設置され、たとえば矩形のガラス基板を被処理基板とし、LCD製造プロセスにおいてフォトリソグラフィー工程の中の洗浄、レジスト塗布、プリベーク、現像およびポストベーク等の一連の処理を行うものである。露光処理は、このシステムに隣接して設置される外部の露光装置12で行われる。
この塗布現像処理システム10は、中心部に横長のプロセスステーション(P/S)16を配置し、その長手方向(X方向)両端部にカセットステーション(C/S)14とインタフェースステーション(I/F)18とを配置している。
カセットステーション(C/S)14は、システム10のカセット搬入出ポートであり、基板Gを多段に積み重ねるようにして複数枚収容可能なカセットCを水平な一方向(Y方向)に4個まで並べて載置可能なカセットステージ20と、このステージ20上のカセットCに対して基板Gの出し入れを行う搬送機構22とを備えている。搬送機構22は、基板Gを1枚単位で保持できる搬送アーム22aを有し、X,Y,Z,θの4軸で動作可能であり、隣接するプロセスステーション(P/S)16側と基板Gの受け渡しを行えるようになっている。
プロセスステーション(P/S)16は、水平なシステム長手方向(X方向)に延在する平行かつ逆向きの一対のラインA,Bに各処理部をプロセスフローまたは工程の順に配置している。
より詳細には、カセットステーション(C/S)14側からインタフェースステーション(I/F)18側へ向う上流部のプロセスラインAには、搬入ユニット(IN PASS)24、洗浄プロセス部26、第1の熱的処理部28、塗布プロセス部30および第2の熱的処理部32が第1の平流し搬送路34に沿って上流側からこの順序で一列に配置されている。
より詳細には、搬入ユニット(IN PASS)24はカセットステーション(C/S)14の搬送機構22から未処理の基板Gを受け取り、所定のタクトで第1の平流し搬送路34に投入するように構成されている。洗浄プロセス部26は、第1の平流し搬送路34に沿って上流側から順にエキシマUV照射ユニット(E−UV)36およびスクラバ洗浄ユニット(SCR)38を設けている。第1の熱的処理部28は、上流側から順にアドヒージョンユニット(AD)40および冷却ユニット(COL)42を設けている。塗布プロセス部30は、上流側から順にレジスト塗布ユニット(COT)44および乾燥ユニット(CD)46を設けている。第2の熱的処理部32は、上流側から順にプリベークユニット(PRE−BAKE)48および冷却ユニット(COL)50を設けている。第2の熱的処理部32の下流側隣に位置する第1の平流し搬送路34の終点にはパスユニット(PASS)52が設けられている。第1の平流し搬送路34上を平流しで搬送されてきた基板Gは、この終点のパスユニット(PASS)52からインタフェースステーション(I/F)18へ渡されるようになっている。
一方、インタフェースステーション(I/F)18側からカセットステーション(C/S)14側へ向う下流部のプロセスラインBには、現像ユニット(DEV)54、ポストベークユニット(POST−BAKE)56、冷却ユニット(COL)58、検査ユニット(AP)60および搬出ユニット(OUT−PASS)62が第2の平流し搬送路64に沿って上流側からこの順序で一列に配置されている。ここで、ポストベークユニット(POST−BAKE)56および冷却ユニット(COL)58は第3の熱的処理部66を構成する。搬出ユニット(OUT PASS)62は、第2の平流し搬送路64から処理済の基板Gを1枚ずつ受け取って、カセットステーション(C/S)14の搬送機構22に渡すように構成されている。
両プロセスラインA,Bの間には補助搬送空間68が設けられており、基板Gを1枚単位で水平に載置可能なシャトル70が図示しない駆動機構によってプロセスライン方向(X方向)で双方向に移動できるようになっている。
インタフェースステーション(I/F)18は、上記第1および第2の平流し搬送路34,64や隣接する露光装置12と基板Gのやりとりを行うための搬送装置72を有し、この搬送装置72の周囲にロータリステージ(R/S)74および周辺装置76を配置している。ロータリステージ(R/S)74は、基板Gを水平面内で回転させるステージであり、露光装置12との受け渡しに際して長方形の基板Gの向きを変換するために用いられる。周辺装置76は、たとえばタイトラー(TITLER)や周辺露光装置(EE)等を第2の平流し搬送路64に接続している。
図2に、この塗布現像処理システムにおける1枚の基板Gに対する全工程の処理手順を示す。先ず、カセットステーション(C/S)14において、搬送機構22が、ステージ20上のいずれか1つのカセットCから基板Gを1枚取り出し、その取り出した基板Gをプロセスステーション(P/S)16のプロセスラインA側の搬入ユニット(IN PASS)24に搬入する(ステップS1)。搬入ユニット(IN PASS)24から基板Gは第1の平流し搬送路34上に移載または投入される。
第1の平流し搬送路34に投入された基板Gは、最初に洗浄プロセス部26においてエキシマUV照射ユニット(E−UV)36およびスクラバ洗浄ユニット(SCR)38により紫外線洗浄処理およびスクラビング洗浄処理を順次施される(ステップS2,S3)。スクラバ洗浄ユニット(SCR)38は、平流し搬送路34上を水平に移動する基板Gに対して、ブラッシング洗浄やブロー洗浄を施すことにより基板表面から粒子状の汚れを除去し、その後にリンス処理を施し、最後にエアーナイフ等を用いて基板Gを乾燥させる。スクラバ洗浄ユニット(SCR)38における一連の洗浄処理を終えると、基板Gはそのまま第1の平流し搬送路34を下って第1の熱的処理部28を通過する。
第1の熱的処理部28において、基板Gは、最初にアドヒージョンユニット(AD)40で蒸気状のHMDSを用いるアドヒージョン処理を施され、被処理面を疎水化される(ステップS4)。このアドヒージョン処理の終了後に、基板Gは冷却ユニット(COL)42で所定の基板温度まで冷却される(ステップS5)。この後も、基板Gは第1の平流し搬送路34を下って塗布プロセス部30へ搬入される。
塗布プロセス部30において、基板Gは最初にレジスト塗布ユニット(COT)44で平流しのままスリットノズルを用いるスピンレス法により基板上面(被処理面)にレジスト液を塗布され、直後に下流側隣の乾燥ユニット(CD)46で常温の乾燥処理を受ける(ステップS6)。
塗布プロセス部30を出た基板Gは、第1の平流し搬送路34を下って第2の熱的処理部32を通過する。第2の熱的処理部32において、基板Gは、最初にプリベークユニット(PRE−BAKE)48でレジスト塗布後の熱処理または露光前の熱処理としてプリベーキングを受ける(ステップS7)。このプリベーキングによって、基板G上のレジスト膜中に残留していた溶剤(一般にシンナー)が蒸発して除去され、基板に対するレジスト膜の密着性が強化される。次に、基板Gは、冷却ユニット(COL)50で所定の基板温度まで冷却される(ステップS8)。しかる後、基板Gは、第1の平流し搬送路34の終点のパスユニット(PASS)52からインタフェースステーション(I/F)18の搬送装置72に引き取られる。
インタフェースステーション(I/F)18において、基板Gは、ロータリステージ74でたとえば90度の方向変換を受けてから周辺装置76の周辺露光装置(EE)に搬入され、そこで基板Gの周辺部に付着するレジストを現像時に除去するための露光を受けた後に、隣の露光装置12へ送られる(ステップS9)。
露光装置12では基板G上のレジストに所定の回路パターンが露光される。そして、パターン露光を終えた基板Gは、露光装置12からインタフェースステーション(I/F)18に戻されると(ステップS9)、先ず周辺装置76のタイトラー(TITLER)に搬入され、そこで基板上の所定の部位に所定の情報が記される(ステップS10)。しかる後、基板Gは、搬送装置72よりプロセスステーション(P/S)16のプロセスラインB側に敷設されている第2の平流し搬送路64の現像ユニット(DEV)54の始点に搬入される。
こうして、基板Gは、今度は第2の平流し搬送路64上をプロセスラインBの下流側に向けて搬送される。最初の現像ユニット(DEV)54において、基板Gは、平流しで搬送される間に現像、リンス、乾燥の一連の現像処理を施される(ステップS11)。
現像ユニット(DEV)54で一連の現像処理を終えた基板Gは、そのまま第2の平流し搬送路64に乗せられたまま第3の熱的処理部66および検査ユニット(AP)60を順次通過する。第3の熱的処理部66において、基板Gは、最初にポストベークユニット(POST−BAKE)56で現像処理後の熱処理としてポストベーキングを受ける(ステップS12)。このポストベーキングによって、基板G上のレジスト膜に残留していた現像液や洗浄液が蒸発して除去され、基板に対するレジストパターンの密着性が強化される。次に、基板Gは、冷却ユニット(COL)58で所定の基板温度に冷却される(ステップS13)。検査ユニット(AP)60では、基板G上のレジストパターンについて非接触の線幅検査や膜質・膜厚検査等が行われる(ステップS14)。
搬出ユニット(OUT PASS)62は、第2の平流し搬送路64から全工程の処理を終えてきた基板Gを受け取って、カセットステーション(C/S)14の搬送機構22へ渡す。カセットステーション(C/S)14側では、搬送機構22が、搬出ユニット(OUT PASS)62から受け取った処理済の基板Gをいずれか1つ(通常は元)のカセットCに収容する(ステップS1)。
この塗布現像処理システム10においては、たとえば塗布プロセス部30および第2の熱的処理部32に本発明を適用することができる。以下、図3〜図10につき、本発明の好適な実施形態における塗布プロセス部30および第2の熱的処理部32の構成および作用を詳細に説明する。
図3は、この実施形態における塗布プロセス部30の全体構成を示す平面図である。
図3において、レジスト塗布ユニット(COT)44は、第1の平流し搬送路34(図1)の一部または一区間を構成する浮上式のステージ80と、このステージ80上で空中に浮いている基板Gをステージ長手方向(X方向)に搬送する基板搬送機構82と、ステージ80上を搬送される基板Gの上面にレジスト液を供給するレジストノズル84と、塗布処理の合間にレジストノズル84をリフレッシュするノズルリフレッシュ部86とを有している。
ステージ80の上面には所定のガス(たとえばエア)を上方に噴射する多数のガス噴射孔88が設けられており、それらのガス噴射孔88から噴射されるガスの圧力によって基板Gがステージ上面から一定の高さに浮上するように構成されている。
基板搬送機構82は、ステージ80を挟んでX方向に延びる一対のガイドレール90A,90Bと、これらのガイドレール90A,90Bに沿って往復移動可能なスライダ92と、ステージ80上で基板Gの両側端部を着脱可能に保持するようにスライダ92に設けられた吸着パッド等の基板保持部材(図示せず)とを備えており、直進移動機構(図示せず)によりスライダ92を搬送方向(X方向)に移動させることによって、ステージ80上で基板Gの浮上搬送を行うように構成されている。
レジストノズル84は、ステージ80の上方を搬送方向(X方向)と直交する水平方向(Y方向)に横断して延びる長尺形ノズルであり、所定の塗布位置でその直下を通過する基板Gの上面に対してスリット状の吐出口よりレジスト液を帯状に吐出するようになっている。また、レジストノズル84は、このノズルを支持するノズル支持部材94と一体にX方向に移動可能、かつZ方向に昇降可能に構成されており、上記塗布位置とノズルリフレッシュ部86との間で移動できるようになっている。
ノズルリフレッシュ部86は、ステージ80の上方の所定位置で支柱部材96に保持されており、塗布処理のための下準備としてレジストノズル84にレジスト液を吐出させるためのプライミング処理部98と、レジストノズル84のレジスト吐出口を乾燥防止の目的から溶剤蒸気の雰囲気中に保つためのノズルバス100と、レジストノズル84のレジスト吐出口近傍に付着したレジストを除去するためのノズル洗浄機構102とを備えている。
ここで、レジスト塗布ユニット(COT)44における主な作用を説明する。 先ず、前段の第1の熱的処理部28(図1)よりたとえばコロ搬送で送られてきた基板Gがステージ80上の前端側に設定された搬入部に搬入され、そこで待機していたスライダ92が基板Gを保持して受け取る。ステージ80上で基板Gはガス噴射口88より噴射されるガス(エア)の圧力を受けて略水平な姿勢で浮上状態を保つ。
そして、スライダ92が基板を保持しながら乾燥ユニット(CD)46側に向かって搬送方向(X方向)に移動し、基板Gがレジストノズル84の下を通過する際に、レジストノズル84が基板Gの上面に向けて液状のレジストRを帯状に吐出することにより、基板G上に基板前端から後端に向って絨毯が敷かれるようにしてレジストRの液膜が一面に形成される。こうしてレジスト液を塗布された基板Gは、その後もスライダ92によりステージ80上で浮上搬送され、ステージ80の後端を越えて後述するコロ搬送路104に乗り移り、そこでスライダ92による保持が解除される。コロ搬送路104に乗り移った基板Gはそこから先は、後述するようにコロ搬送路104上をコロ搬送で移動して後段の乾燥ユニット(CD)46へ搬入される。
塗布処理の済んだ基板Gを上記のようにして乾燥ユニット(CD)46側へ送り出した後、スライダ92は次の基板Gを受け取るためにステージ80の前端側の搬入部へ戻る。また、レジストノズル84は、1回または複数回の塗布処理を終えると、塗布位置(レジスト液吐出位置)からノズルリフレッシュ部86へ移動してそこでノズル洗浄やプライミング処理等のリフレッシュないし下準備をしてから、塗布位置に戻る。
図3に示すように、レジスト塗布ユニット(COT)44のステージ80の延長線上(下流側)には、第1の平流し搬送路34(図1)の一部または一区間を構成するコロ搬送路104が敷設されている。このコロ搬送路104は、基板Gを平流しで搬送するためのコロ106をプロセスラインAの方向(X方向)に一定ピッチで敷設してなり、インタフェースステーション(I/F)18まで続いている。図3および図4に示すように、このコロ搬送路104に沿って塗布プロセス部30の乾燥ユニット(CD)46ならびに第2の熱的処理部32のプリベークユニット(PRE−BAKE)48および冷却ユニット(COL)50が設けられている。各コロ106は、たとえば電気モータを駆動源とする搬送駆動部(図示せず)に歯車機構やベルト機構等の伝動機構を介して接続されている。
図5に、一実施形態における乾燥ユニット(CD)46の構成を示す。この乾燥ユニット(CD)46は、ユニット出口付近に配置される長尺形の乾燥空気噴射ノズル110と、このノズル110の下端付近の位置からコロ搬送路104の搬送面と一定の距離間隔(ギャップ)を隔てて搬送方向上流側へ水平に延びるガス案内(天井)板112と、このガス案内板112の他端(上流側端)に設けられたスリット状の排気用吸い込み口114とを有している。
乾燥空気噴射ノズル110は、搬送方向(X方向)と直交する水平方向(Y方向)に延びるスリット状の吐出口を有しており、圧縮ガス供給源116および除湿器118よりエア供給管120を介して乾燥した常温・高圧の空気DAを導入し、導入した高圧乾燥空気DAをノズル内の多孔板110aに通して該スリット状吐出口から均一な層流で噴き出すようになっている。
排気用吸い込み口114は、排気ポンプまたは排気ファンを有する排気装置122に排気管124を介して通じており、乾燥処理中にガス案内板112と基板G間のギャップに滞留または発生するガス(空気、溶媒蒸気等)を吸い込んで排気装置122へ送るようになっている。排気装置122に回収された排気ガスは溶剤再生部126に送られ、ここでフィルタリングや液化等の再生処理によりリサイクル用の溶剤(シンナー)が再生されるようになっている。
この実施形態は、乾燥ユニット(CD)46の初段または前段にレジスト表面処理用のUV照射ユニット(X−UV)128を配置している。このUV照射ユニット(X−UV)128は、搬送路104の上方に配置したランプ室130内に1本または複数本の紫外線ランプ132を収容している。紫外線ランプ132は、たとえば誘電体バリア放電ランプからなり、後述するようなレジスト表面における変質層(固い層)の形成に好適な波長(たとえば172nm)の紫外線を直下の搬送路104上の基板Gに石英ガラス窓134を通して照射するようになっている。紫外線ランプ130の背後または上には横断面円弧状の凹面反射鏡136が設けられている。
ランプ室130内には、紫外線ランプ132をたとえば水冷方式で冷却する冷却ジャケット(図示せず)や、紫外線を吸収する(したがってランプ発光効率を悪化させる)酸素の室内への進入を防止するための不活性ガスたとえばN2ガスを導入しかつ充満させるガス流通機構(図示せず)等も設けられてよい。また、 ランプ室130の前後両側には、紫外線洗浄処理中に紫外線照射134の下面に沿って酸素または空気排除用の不活性ガスたとえばN2ガスを流すための不活性ガス噴射ノズル138および不活性ガス吸い込みポート140が設けられてよい。
ここで、図6を参照して、乾燥ユニット(CD)46における作用を説明する。なお、図6において、レジストRの下地膜142は、フォトリソグラフィーの被加工膜(回路パターン形成の対象となる膜)である。
上記したように、上流側隣のレジスト塗布ユニット(COT)44でレジストRを塗布された基板Gは、ステージ80上の浮上搬送路からコロ搬送路104に乗り移る。コロ搬送路104上で基板Gは最初にUV照射ユニット(X−UV)128の下を通過する。ここで、基板G上のレジストRに上方から垂直に特定波長の紫外線UVが照射され、この紫外線照射によって基板G上のレジストRの表層で架橋反応が起こり、樹脂が高分子化する。こうして、図6に示すように、基板Gの前端から後端に向ってレジストRの表面に薄く固い膜つまり変質層RFが形成されていく。この種の変質層RFは、バルクレジストの流動を抑制し、ひいてはレジストRの表面に転写跡やムラが発生するのを抑制する働きがあり、現像処理の際の非溶解性を向上させる働きもある。
搬送路104上をコロ搬送で移動する基板Gは、UV照射ユニット(X−UV)128を通り抜けた直後に乾燥ユニット(CD)46に入り、ここで上方の乾燥空気噴射ノズル110より乾燥空気DAを帯状の層流(ダウンフロー)で吹き付けられる。このようにコロ搬送中の基板Gに上方から乾燥空気DAの層流が当たることによって、基板G上のレジストRに乾燥空気DAの風圧が物理的な力として作用するとともに溶剤の蒸発を促し、図6に示すように、レジスト表面の変質層RFが一段と成長する(厚くなる)。基板G上のレジストRから蒸発した溶剤は、空気流に巻き込まれるようにしてガス案内板112の下を搬送方向と反対方向に流れて排気用吸い込み口114に吸い込まれる。
上記のように、この実施形態の乾燥ユニット(CD)46は、前段のレジスト塗布ユニット(COT)44でレジスト塗布処理を受けてきた基板Gに対して、大気中で特定波長の紫外線UVの照射および乾燥空気DAの吹き付けを施すことにより、基板G上のレジストRの表面全体に減圧乾燥を施した場合と同等の膜厚(たとえば約3000Å)を有する変質層RFを形成することができる。減圧乾燥装置が大掛かりな減圧チャンバや搬送ロボットを必要とするのに対して、この実施形態の乾燥ユニット(CD)46は隣接する他のユニットと共通のコロ搬送路104の上にUV照射ユニット(X−UV)128、乾燥空気噴射ノズル110および排気用吸い込み口114を配置する簡易な構成で済ませており、しかもスループットを格段に向上させている。
図7に、一実施形態におけるプリベークユニット(PRE−BAKE)48の構成を示す。このプリベークユニット(PRE−BAKE)48は、搬送路104に沿って2つの加熱区間を設定し、前半の加熱区間を予備加熱ゾーン144とし、後半の加熱区間を本加熱部または急速加熱ゾーン146としている。
予備加熱ゾーン144には、搬送路104に近接させて相隣接するコロ106とコロ106の間に予備加熱用のヒータとして平板状のシーズヒータ148が搬送方向に1段または多段に配置されている。各シーズヒータ148は、表面にたとえばセラミックコーティングを有しており、通電によりヒータ自身が発熱して、その高温の表面から放射する熱を搬送路104上の基板Gに与えるようになっている。
急速加熱ゾーン146には、コロ搬送路104の下方に急速加熱用のヒータとして管状のカーボンヒータ150が搬送方向に1段または多段に配置されている。各カーボンヒータ150は、石英管の中にたとえば棒状、ひも状またはコイル状のカーボンワイヤを組み込んだものであり、搬送方向(X方向)と直交する水平方向(Y方向)に延びる向きにベース152に着脱可能に取り付けられ、通電により所定波長の遠赤外線を放射するようになっている。ベース152には、各カーボンヒータ150について、たとえば搬送方向下流側の前方に長尺平板状の反射板154が所定角度(たとえば45度)の上向き傾斜姿勢で水平に取り付けられるとともに、搬送方向下流側の後方に断面円弧状の長尺保護カバー156が水平に取り付けられる。ここで、保護カバー156は金属または樹脂等の剛体からなり、その上端部はカーボンヒータ150の頭上を完全に覆う位置まで延びている。保護カバー156の内側には凹面の反射板158が形成または取付されてよい。平面反射板154は、相隣接するコロ106とコロ106の間(好ましくは中間位置)の直下に配置されてよい。
カーボンヒータ150で生成された遠赤外線IRFのうち正面に放射されたものは平面反射板154に直接入射し、背後に放射されたものは凹面反射板158で反射してから平面反射板154に入射する。そして、平面反射板154に入射した遠赤外線IRFは全て上方へ折り返され、相隣接するコロ106とコロ106の間を通って搬送路104上の基板Gの裏面に入射し、基板Gに熱エネルギーとして効率よく吸収される。
予備加熱ゾーン144および急速加熱ゾーン146には、搬送路104に沿ってその上方にたとえばグレイチングパネルからなる排気用の吸い込み天井板(多孔板)160が設けられている。この排気用吸い込み天井板160は、搬送路104の搬送面から所定距離のギャップを挟んで水平に配置されており、その背部にバッファ室162が形成されている。このバッファ室162は、排気管164を介して排気ポンプまたは排気ファン等を有する排気装置166に通じている。後述するように、搬送路104上の基板G(レジストR)から蒸発する溶剤は周囲の空気と一緒に排気用吸い込み天井板160の中へ吸い込まれ、排気装置166へ送られるようになっている。このプリベークユニット(PRE−BAKE)48においても、排気装置166に溶剤再生部(図示せず)を付設してもよい。
図9に、プリベークユニット(PRE−BAKE)48における基板温度特性を示す。基板Gは、搬送路104上をコロ搬送で移動しながら、前段の乾燥ユニット(CD)46で上記のようなレジスト表面処理(レジストRの表面に変質層RFを形成する処理)受けてきてから、プリベークユニット(PRE−BAKE)48に搬入される。
プリベークユニット(PRE−BAKE)48に搬入されると、搬送路104上で基板Gは最初に予備加熱ゾーン144に入り、この区間を通過する間に下からシーズヒータ148の放射熱を受ける。これにより、図9に示すように、搬送路104上をコロ搬送で移動する間に基板Gの温度が常温Tnから比較的緩やかなレートで上昇し、予備加熱ゾーン144の終端付近で所定の予備加熱温度Ts(たとえば50〜70℃程度)に達する。次いで、基板Gはコロ搬送で急速加熱ゾーン146に入り、この区間を通過する間にカーボンヒータ150からの所定波長の遠赤外線IRFを基板裏面に受けて加熱される。かかる遠赤外線照射の加熱により、図9に示すように、基板Gの温度が高速に上昇し、急速加熱ゾーン146の終端付近で相当高い極大温度TM(たとえば180〜200℃程度)に達する。急速加熱ゾーン146を抜け出た後は、加熱から開放され、基板温度は単調に下がる。
このようなプリベークユニット(PRE−BAKE)48における加熱、特に急速加熱ゾーン146における遠赤外線照射の急速加熱により、短時間の間に基板GからレジストR中の残留溶媒の大部分が蒸発してレジストRの膜が薄く固くなり、基板Gとの密着性が高められる。
この実施形態におけるプリベークユニット(PRE−BAKE)48の一変形例として、図8に示すように、前段に急速加熱ゾーン146を設け、後段に保温加熱ゾーン168を設ける加熱区間レイアウトも可能である。ここで、保温加熱ゾーン168は、上記予備加熱ゾーン144と同様にシーズヒータ148で構成することができる。
図10に、図8の構成を有するプリベークユニット(PRE−BAKE)48における基板温度特性を示す。この場合、搬送路104上で基板Gは最初に急速加熱ゾーン146に入り、この区間を通過する間にカーボンヒータ150からの所定波長の遠赤外線IRFを基板裏面に受けて加熱され、図10に示すように、基板Gの温度が常温Tnから極大温度TMまで高速(一気)に上昇する。直後に、基板Gはシーズヒータ148からの放射熱を受けて基板温度を略一定に保ちながら保温加熱ゾーン168を通過する。保温加熱ゾーン168を抜け出た後は、加熱から開放され、基板Gの温度は下がる。
上記したように、この実施形態のプリベークユニット(PRE−BAKE)48は、コロ搬送路104上で基板Gを移動させながら、コロ搬送路104の下方に配置したカーボンヒータ150により生成される所定波長の遠赤外線IRFを基板Gの裏面に照射することによって、プリベークの熱処理を短時間で行うようにしている。基板Gがカーボンヒータ150の上方を通過する際に割れて落下しても、保護カバー156にぶつかるだけで、カーボンヒータ150に当たることはない。カーボンヒータ150は、落下物による破損を一切免れて、長期間安定に稼動することができる。かかる構成のベーキング装置は、チャンバ、熱板、リフトピン機構、搬送ロボット等は全て不要であり、装置構成の大幅な簡易化・低コスト化を実現できる。
また、プリベークユニット(PRE−BAKE)48は、前段のレジスト塗布ユニット(COT)44より一定のタクトで次々に送られてくる塗布処理済みの基板Gに一台で間断なくスムースに対応できるので、スループットの向上を図れるとともに、ベーキング装置の機差に起因する熱処理品質のばらつきが解消されるという利点もある。
この実施形態のプリベークユニット(PRE−BAKE)48においては、急速加熱ゾーン146が主たる加熱部であり、補助的な予備加熱ゾーン144あるいは保温加熱ゾーン168を省く構成も可能である。その場合は、加熱温度制御の自由度は低下するが、全加熱区間または全加熱時間の一層の短縮化を図ることができる。なお、予備加熱ゾーン144あるいは保温加熱ゾーン168を設ける場合は、シーズヒータ148を搬送路104の上方に配置する構成も可能である。
急速加熱ゾーン146は、上記のように搬送路104の下方に配置して基板Gに下から照射する形態が好ましい。この場合、カーボンヒータ150より放射された遠赤外線IRFの一部が搬送路104のコロ106に入射すると、コロ106が暖められて、基板Gに熱的な影響を与えるおそれがある。この問題に対しては、図11に示すように、コロ106の内部に流路を形成して、その流路に外の配管170を通じて冷却水または温調水CWを供給することで、コロ106の温度を一定に保持することができる。あるいは、図12に示すように、急速加熱ゾーン146の区間内に配置されているコロ106にその下半部を覆う断面円弧状の遮光または反射カバー172を取り付けて、遠赤外線IRFからコロ106を遮光する構成も可能である。
図13に、一実施形態における冷却ユニット(COL)50の構成を示す。この冷却ユニット(COL)50は、搬送路104に沿ってその上方に一定間隔で配置される1本または複数本(図示の例は3本)の冷却ガスノズル174A,174B,174Cを有している。各冷却ガスノズル174A,174B,174Cは、搬送路104の幅方向(Y方向)に延びるスリット状の吐出口を有しており、圧縮ガス供給源176よりエア供給管178A,178B,178Cを介して高圧の温調した空気(冷却ガス)DJA,DJB,DJCを導入し、導入した高圧空気DJA,DJB,DJCをノズル内の多孔板174a,174b,174cに通して該スリット状吐出口から均一な層流で噴き出すようになっている。各エア供給管178A,178B,178Cの途中には、流量調整器180A,180B,180Cおよび温調器182A,182B,182Cが設けられており、各温調空気DJA,DJB,DJCの流量(吐出圧力)および温度を個別に制御できるようになっている。
上流側隣のプリベークユニット(PRE−BAKE)48で上記のようなプリベーキングの熱処理を受けた基板Gはそのまま搬送路104上をコロ搬送で移動して冷却ユニット(COL)50に入ってくる。冷却ユニット(COL)50では、直下を通過する搬送路104上の基板Gに対して、最初に第1の冷却ガスノズル174Aが第1設定温度の温調空気DJAを吹きかけ、その後に第2の冷却ガスノズル174Bが第2設定温度の温調空気DJBを吹きかけ、最後に第3の冷却ガスノズル174Cが第3設定温度の温調空気DJCを吹きかける。通常、温調空気DJA,DJB,DJCの設定温度は後段にいくほど段階的に低くなるように選ばれる。
こうして、基板Gは冷却ユニット(COL)50で所定温度まで冷却される。冷却ユニット(COL)50を抜け出ると、基板Gはそのまま搬送路104上をコロ搬送で移動してインタフェースステーション(I/F)18へ送られ、インタフェースステーション(I/F)18から露光装置12へ搬入される(図1、図2)。
なお、図13に示すように、この冷却ユニット(COL)50内にレジスト表面処理用の紫外線照射ユニット(X−UV)128を配置する構成も可能である。上記のように、基板G上のレジストRに特定波長の紫外線を照射することで、レジストRの表層部に変質層(固い層)RFを形成することができる(図6)。かかる変質層RFは、乾燥処理やプリベーキング処理の中で転写跡やムラの発生を効果的に抑制するだけでなく、現像処理時の非溶解性を向上させる働きを有している。後者の作用効果(非溶解性)を得る目的で、乾燥ユニット(CD)46内、プリベークユニット(PRE−BAKE)48内あるいは冷却ユニット(COL)50内に紫外線照射ユニット(X−UV)128を配置することも可能である。
この実施形態の冷却ユニット(COL)46においても、隣接する他のユニットと共通のコロ搬送路104の上に1本または複数本の冷却ガスノズル174を配置するだけの簡易な構成で済ませており、しかもプリベークユニット(PRE−BAKE)48より一定のタクトで次々に送られてくる熱処理直後の基板Gに一台で間断なくスムースに対応できるので、スループットの向上を図れる。
上記のように、この実施形態においては、乾燥ユニット(CD)50、プリベークユニット(PRE−BAKE)48および冷却ユニット(COL)50の各処理ユニットが1本の搬送路104に沿って工程順に一列に設けられている。基板Gが搬送路104上を一定速度のコロ搬送で下流側へ向って移動する間に、乾燥ユニット(CD)42では平流し方式の乾燥処理が行われ、プリベークユニット(PRE−BAKE)48では平流し方式のプリベーキング処理が行われ、冷却ユニット(COL)50では平流し方式の冷却または基板温度一定化が行われる。つまり、プロセスラインAの方向に基板Gが搬送路104上を平流しのコロ搬送で移動する間に乾燥(CD)、プリベーキング(PRE−BAKE)および基板温度一定化(COL)の3つの処理工程が連続的に効率よく行われる。
各処理ユニット46,48,50内およびユニット間で基板Gを個別に搬送ないし移載する搬送ロボットや移載機構は用いられておらず、ユニット筐体の一部を開閉する開閉機構等も用いられていない。このため、各ユニット内および隣接するユニット間でパーティクルが発生したり基板に付着するおそれは少ない。
また、搬送路104の途中で基板Gを何らかの処理や搬送のために停止させる場面もなく、プロセスラインの上流側から一定のタクトで次々に送られてくる基板Gに処理ユニット46,48,50が各々一台で間断なくスムースに対応する。つまり、処理ユニット46,48,50の各一台分のタクトがシステム全体のタクトに一致する関係にあり、同機種のユニットを複数台用いて並列稼動させる必要はない。このことにより、処理部におけるハードウェアや搬送ソフトウェアのコスト低減を図れるだけでなく、処理ユニットの機差に起因する処理品質のばらつきも解消される。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の変形・変更を行うことができる。たとえば、コロ搬送路104をベルト搬送路あるいは浮上式搬送路等の他の平流し搬送路に置き換えることができる。各ユニットにおける上記ノズルやヒータ等のツールの構成・型式も一例であり、同様の機能を有する他のツールで代用することも可能である。
上記した実施形態は乾燥ユニット(CD)46、プリベークユニット(PRE−BAKE)48および冷却ユニット(COL)50に係るものであったが、本発明は他のベーキングユニットや冷却ユニットにも適用可能である。たとえば、上記実施形態の塗布現像処理システム(図1)においては、第1の熱的処理部28のアドヒージョンユニット(AD)40および冷却ユニット(COL)42、あるいは第3の熱的処理部66のポストベークユニット(POST−BAKE)56および冷却ユニット(COL)58等にも本発明を適用するこができる。
本発明における被処理基板はLCD用のガラス基板に限るものではなく、他のフラットパネルディスプレイ用基板や、半導体ウエハ、CD基板、フォトマスク、プリント基板等も可能である。減圧乾燥処理対象の塗布液もレジスト液に限らず、たとえば層間絶縁材料、誘電体材料、配線材料等の処理液も可能である。