JP4804083B2 - 導電性金属ペースト - Google Patents
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Description
前記の金属超微粒子における表面拡散自体は、300℃よりも低い温度でも起こるため、適切な雰囲気で熱、活性光線等のエネルギーによって金属酸化物超微粒子を金属に還元すると、金属粒子相互が緻密な焼結のランダムチェーンを形成して、全体がネットワーク状になって、漸く所望の電気導電性が得られる。(特許文献1)
一方、一般的な汎用の導電性ペーストは、粉砕法、電解法、還元法等で作製される平均粒子径が0.5〜20μmの金属粉を使用しており、バインダー樹脂の硬化収縮により、金属粉相互を物理的に接触させ、電気導通をとるので、その抵抗率は純金属本来有する抵抗率より数倍から十数倍高いという問題がある。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)分散媒に分散された金属フィラー及び金属酸化物超微粒子を含む導電性金属ペーストであって、ペースト中に、炭素数10以下の多価アルコール及びポリエーテル化合物を含有し、金属フィラーと金属酸化物超微粒子との含有比率が、金属酸化物超微粒子100質量部当たり、金属フィラーが10〜1000質量部であり、金属フィラーの平均粒子径が0.5〜20μmであり、金属酸化物超微粒子の平均粒子径が200nm以下であり、かつ金属酸化物は加熱により金属成分に還元され、コーン・プレート型回転粘度計を用いて測定したずり速度が10s-1である時、25℃における粘度が50Pa・s以上であることを特徴とするビア充填用導電性金属ペースト。
(2)金属酸化物が酸化銅であることを特徴とする上記(1)に記載のビア充填用導電性金属ペースト。
(4)金属酸化物超微粒子の平均粒子径が100nm以下であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のビア充填用導電性金属ペースト。
(5)金属フィラーが、銀、金、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、タングステン、ニッケル、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛及びチタンからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属フィラーであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のビア充填用導電性金属ペースト。
本発明の導電性金属ペーストは、分散媒に分散された金属フィラー及び金属酸化物超微粒子を含む導電性金属ペーストであって、該金属フィラーの平均粒子径が0.5〜20μmであり、該金属酸化物超微粒子の平均粒子径が200nm以下であり、かつ金属酸化物は加熱により金属成分に還元され、コーン・プレート型回転粘度計を用いて測定した、ずり速度が10s-1である時、25℃における粘度が50Pa・s以上であることに特徴を有する。ここで平均粒子径とは、粒子の平均一次粒径を指す。
金属フィラーとしては、例えば、銀、金、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、タングステン、ニッケル、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛、チタン等が挙げられる。個々の金属粒子自体が導電性に優れ、同時に、高い伸延性を有する銀、金、及び銅等の金属粒子が好ましい。
00nm以下である。金属酸化物超微粒子の平均粒子径の下限値に特に制限はないが、取り扱いの容易性から、1nm以上が好ましい。金属酸化物超微粒子の金属種は、加熱によって還元されるものであればどのような金属種であってもよい。好ましくは、銀、金、銅、パラジウム、白金、コバルト、ニッケル、クロム、チタン等である。中でも、容易に還元が可能な酸化銅及び酸化銀が好ましい。
これらの金属酸化物は、市販品を用いてもよいし、合成品を使用することも可能である。例えば、平均粒子径が100nm以下の酸化第一銅の合成方法としては、アセチルアセトナト銅錯体をポリオール溶媒中で200℃程度に加熱して合成する方法が公知である(アンゲバンテ ケミ インターナショナル エディション、40号、2巻、p. 359、2001年)。
導電性金属ペースト中に炭素数10以下の多価アルコール及び/又はポリエーテル化合物を含むことが好ましい。ペースト中に炭素数10以下の多価アルコールを含むと、ペースト中の金属酸化物超微粒子の分散性が向上するので好ましい。ペースト中にポリエーテル化合物を含むと、加熱処理して得られる硬化物の緻密性が向上するので好ましい。ペースト中には、上記多価アルコール及び/又はポリエーテル化合物以外に、ペースト構成物の分散性及び溶解性を阻害しない限りにおいて、1価アルコール、エーテル、エステル、アミド、スルホキシド等の有機溶媒を含有していてもよい。
コ−ル、ポリブチレングリコ−ルのようなポリエ−テルホモポリマ−のほかに、エチレングリコ−ル/プロピレングリコ−ル、エチレングリコ−ル/ブチレングリコ−ルの2元コポリマ−、エチレングリコ−ル/プロピレングリコ−ル/エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル/エチレングリコ−ル/プロピレングリコ−ル、エチレングリコ−ル/ブチレングリコ−ル/エチレングリコ−ル等の直鎖状の3元コポリマ−が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ブロックコポリマ−としては、ポリエチレングリコ−ル−ポリプロピレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル−ポリブチレングリコ−ルのような2元ブロックコポリマ−、及びポリエチレングリコ−ル−ポリプロピレングリコ−ル−ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル−ポリエチレングリコ−ル−ポリプロピレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル−ポリブチレングリコ−ル−ポリエチレングリコ−ル等の直鎖状の3元ブロックコポリマ−のようなポリエ−テルブロックコポリマ−が挙げられる。
本発明の導電性金属ペーストは、通常のペースト製造と同様に、各種ニーダ、プラネタリミキサー、ボールミル、アトライタ、三本ロール等の種々の分散、撹拌装置を使用して作製される。
また、本発明の導電性金属ペーストは、絶縁基板上にディスペンサーやスクリーン印刷等で回路パターン形状に塗布し、加熱処理することによって金属回路に変換させ、金属回路を形成することも可能である。
加熱処理の際の雰囲気は、減圧雰囲気、常圧及び加圧雰囲気のいずれであってもよいが、好ましいのは常圧雰囲気における熱処理である。具体的には、市販の窒素リフロー装置を使って酸素濃度をコントロールしながら、チェーン搬送等で分散液を塗布した基材を搬送しつつ連続焼成することが、生産性の観点から好ましい。加熱処理温度は、好ましくは50℃以上500℃以下、より好ましくは80℃以上400℃以下、最も好ましくは80℃以上350℃以下である。
[分析及び評価の方法]
(1)平均粒径の測定
酸化第一銅粒子の平均粒径は、日立製作所製:透過型電子顕微鏡(HF−2000)を用いて表面を観察して測定する。電子顕微鏡による表面観察において、視野の中から、粒子径が比較的そろっている個所を3ヶ所選択し、被測定物の粒径測定に最も適した倍率で撮影する。おのおのの写真から、一番多数存在すると思われる粒子を3点選択し、その直径をものさしで測り、倍率をかけて粒子径を算出する。これらの値の平均値を平均粒径とする。金属フィラーの平均粒径は、日立製作所製:電界放出型顕微鏡(S−4700)を用い、同様の手法により求めた。
Haake社製:RS−100を用い、Φ35mm/4°のコーンを使用して行う。具体的には、35mmコーンに対応した35mmプレート上に、必要量(約1ml)のペーストを、ジリンジ等で滴下し、コーン・プレート間を所定位置まで近づけた後、コーンのずり速度を変化させながらずり応力を測定し、粘度を求める。
(3)ビア充填実験と導電性測定
銅張りポリイミドフィルム(銅層9μm、ポリイミド層50μm)のポリイミド側に、YAGレーザー又は炭酸ガスレーザーにより、直径50〜250μmの穴あけを行い、その穴の中に本発明の導電性ペースト組成物をスクリーン印刷により充填後、加熱処理を行った。ビア両側に端子を当て、4端子法により抵抗値を測定し、ビアの径及び高さから体積抵抗率を換算した。
精製水60mlに無水酢酸銅(和光純薬工業(株)製)8gを加え、25℃で攪拌しながらヒドラジン1水和物(和光純薬工業(株)製)を加えてさらに10分間攪拌し、一次粒径が20nmである酸化第一銅超微粒子を得た。この粒子は15〜25nmに分布をもつものであった。この酸化第一銅超微粒子3.3gにジエチレングリコール0.4gとポリエチレングリコールメチルエーテル(数平均分子量350、アルドリッチ社製)1.0
gを加え、超音波分散を施して、酸化第一銅分散体を調整した。
上記の銅ペーストを用いてスクリーン印刷することにより、有底ビア(内径それぞれΦ50μm、Φ100μm、Φ250μm)の充填を行った。熱処理後、ビアホールの断面を光学顕微鏡にて観察することにより、何れもビアホール中にクラックとボイドが確認されることなく、完全に充填することができた。また、その体積抵抗率が8.0×10-6Ωcmであった。
銅粉が含まれない以外は実施例1と同じ酸化第一銅分散体を用いて、実施例1と同様に、有底ビア(内径Φ250μm)への充填実験を行った。加熱処理後、ビアホールの断面を光学顕微鏡にて観察するとビアホール中にクラックが確認され、完全に充填することができなかった。
[比較例2]
実施例1で得られた酸化第一銅分散体を混練機でかき混ぜながらジエチレングリコールを加え、ずり速度が10s-1である時の粘度が25℃における40Pa・sであるような分散体を調整した。実施例1と同様に、有底ビア(内径Φ250μm)に充填実験を行った。加熱処理後、ビアホールの断面を光学顕微鏡にて観察すると、ビアホール中にクラックが確認され、完全に充填することができなかった。
また、本発明により、基板上に厚膜の金属層をクラック無しで容易に形成できるという利点を有する。
更に、導電性ペーストを基板上に塗布・積層する金属酸化物分散体の厚みを制御することによって、得られる金属層の膜厚を任意に制御することが可能である。得られた基板−金属膜積層体は、実装分野における樹脂付き金属箔等の用途に好適に用いられる。
Claims (5)
- 分散媒に分散された金属フィラー及び金属酸化物超微粒子を含む導電性金属ペーストであって、ペースト中に、炭素数10以下の多価アルコール及びポリエーテル化合物を含有し、金属フィラーと金属酸化物超微粒子との含有比率が、金属酸化物超微粒子100質量部当たり、金属フィラーが10〜1000質量部であり、金属フィラーの平均粒子径が0.5〜20μmであり、金属酸化物超微粒子の平均粒子径が200nm以下であり、かつ金属酸化物は加熱により金属成分に還元され、コーン・プレート型回転粘度計を用いて測定したずり速度が10s-1である時、25℃における粘度が50Pa・s以上であることを特徴とするビア充填用導電性金属ペースト。
- 金属酸化物が酸化銅であることを特徴とする請求項1に記載のビア充填用導電性金属ペースト。
- 酸化銅が酸化第一銅であることを特徴とする請求項2に記載のビア充填用導電性金属ペースト。
- 金属酸化物超微粒子の平均粒子径が100nm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のビア充填用導電性金属ペースト。
- 金属フィラーが、銀、金、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、タングステン、ニッケル、タンタル、ビスマス、鉛、インジウム、錫、亜鉛及びチタンからなる群から選ばれた少なくとも1種の金属フィラーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のビア充填用導電性金属ペースト。
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