JP4803885B2 - 歯科用接着性金属色遮蔽材セット及びその使用方法 - Google Patents
歯科用接着性金属色遮蔽材セット及びその使用方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な歯科用接着性金属遮蔽材セットおよびその使用方法に関する。さらに詳しくは本発明は、歯科用金属への接着性、耐衝撃性に優れ、しかも操作性、色調、硬化性も良好な金属色遮蔽材のセットおよびその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年歯科業界において、レジン歯の色調を更に天然歯の色調に近づける要求が高まるにつれ、その審美性を向上させるために、マトリックスレジンとフィラーの最適な屈折率の調整や、粒度、色調をコントロールした顔料の選択など様々な試みがなされている。一般に齲喰等に因って歯の歯冠部が欠損した場合、クラウンと呼ばれる人工歯冠で補綴する。この人工歯冠には硬質レジン前装冠、硬質レジンジャケット冠などが有る。その作製手順の概略を示すと、先ず金属の鋳造物に金属接着性表面処理剤を塗布した後、重合性単量体に無機酸化物粉体を充填した流れの良いペーストに、弁柄、チタンホワイト等の顔料、重合開始剤を添加して調製したオペーク材といわれる材料を、前記金属の鋳造物の表面に塗布、硬化させ、金属色を隠蔽する。次に、重合性単量体に無機酸化物粉体、有機/無機複合粉体、重合開始剤を充填した柔らかめの粘土状にした歯冠色のペ−ストを築盛後、硬化させて人工歯冠を完成させる。ここで、金属とオペ−ク硬化物が充分に接着していないと、オペ−ク硬化物やペ−スト硬化物が金属面から脱落し、再作製を余儀なくされたり、金属とオペ−ク硬化物との隙間に飲食物の色素が進入し審美性が悪くなるという問題を生ずる。
【0003】
そこで、この点を解決するために様々な方法が提案されている。その一例を示すと、ニッケル/クロム合金、コバルト/クロム合金のような卑金属に対しては、卑金属をサンドブラストした後、フタル酸基、トリメリット酸基、マロン酸基、燐酸基等の酸性基を有する重合性単量体を含む金属接着性表面処理剤を使用し、その上にオペ−ク材を適用する方法が提案され、実用化もされている。しかし、近年審美性の要求が金属部分にもおよび、卑金属に変わって、金合金、金銀パラジウム合金等の貴金属合金が用いられるようになってきた。
【0004】
貴金属への接着に関しては、上述した酸性基を有する重量性単量体を含む金属接着性表面処理剤をサンドブラストした貴金属表面に直接適用しただけでは殆ど接着しない。そのため、貴金属を高温で加熱処理する方法(特開昭56-55557号公報参照)、シリコーターと呼ばれる特別な装置を使用して貴金属表面にシリカ層を形成させる方法、貴金属表面をスズ電析装置を使用してスズメッキする方法などで貴金属表面を改質した後、サンドブラストして酸性基を有する重量性単量体を含む金属接着性表面処理剤を直接適用する方法が提案されている。しかし、これらの方法は特別な装置が必要であるばかりでなく、操作も煩雑であり、しかも接着強さ、耐衝撃性も不充分である場合があるなどの問題点が残されている。
【0005】
そこで、さらにこれらの問題を解決する方法として、トリアジンジオン誘導体(特開昭64-83254号公報参照)、チオ燐酸基を有する化合物(特開平1-138282号公報参照)、チオ燐酸ジクロリド基を有する化合物(特開平5-11759公報参照)、ジスルフィド化合物および金属表面処理剤(特開平11-92461号公報参照)、トリアジンジオン誘導体と酸性基を含有する重合性単量体を組み合わせた方法(コンポジット系レジンセメントに適した歯科用金属接着性プライマーの研究、小島克則ら 歯科材料・器材 vol.16. No.4 316-321(1997))、チラン系重合性単量体を使用する方法(門磨義則 歯科材料・器材 vol.16 No.2 114-121(1997))などの硫黄を有する重合性単量体を含む金属接着性表面処理剤として使用し、サンドブラストした貴金属に直接適用する方法が提案されている。そして、これを応用して、硫黄化合物を含む金属接着性表面処理剤とオペ−ク材とを組み合わせて人工歯冠を作製する方法も実用化されているものもあるが、接着強さや耐衝撃性が不充分で、貴金属とオペ−ク硬化体が剥離したり、貴金属とペ−スト硬化体が脱落したりするなどの課題が今だ残されている。
【0006】
ところで、支台歯への架橋歯の接着や、歯列矯正用ブラケットへの歯質表面への接着の向上を図るため、重合性単量体にエラストマー粉末、重合開始剤を添加した接着剤を使用する方法が開示させている(特開昭58-79911号公報参照)。この先行例は、接着剤にある特定のエラストマー粉末を添加することで、接着剤に弾性を付与し、歯質との接着性を向上させるものである。しかし、金属遮蔽材にエラストマー粉末を配合した場合に、人工歯冠の金属とオペ−ク硬化物との接着性、耐衝撃性を向上させる技術は全く開示されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、金属特に貴金属に対して充分な接着性、耐衝撃性を有し、且つ、操作性、色調、硬化性も良好な金属色隠蔽材のセットおよびその使用方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の金属接着性表面処理剤、エラストマー粉末を含む第1複合材組成物および第2複合材組成物の3セットを組み合わせることにより、金属特に貴金属に対して良好な接着強さ、耐衝撃性が得られ、しかも、操作性、硬化性、色調も良好な金属色遮蔽材のセットおよびその使用方法を提供することで、上記の課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の歯科用接着性金属色遮蔽材セットは、(A)下記成分からなる金属接着性表面処理剤、(B)下記成分からなる第1複合材組成物、(C)下記成分からなる第2複合材組成物の組み合わせから構成されることを特徴としている。
【0010】
また、本発明の歯科用接着性金属色遮蔽材セットの使用法は、(A)金属接着性表面処理剤を金属面に塗布し、次いで(B)第1複合材組成物を塗布、硬化させた後に、該(B)第1複合材組成物の硬化体表面に(C)第2複合材組成物を塗布、硬化させることを特徴としている。上記記載における(A)金属接着性表面処理剤、(B)第1複合材組成物および(C)第2複合材組成物の組成は次の通りである。
(A)硫黄を有する重合性単量体および/または酸性基を有する重合性単量体を含有することを特徴とする金属接着性表面処理剤
(B)第1複合材組成物;
a)重合性単量体、b1)周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする無機酸化物の粉体、b2)エラストマー粉末、c)重合開始剤。
(C)第2複合材組成物;
a)重合性単量体、b3)周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする無機酸化物の粉体、c) 重合開始剤、d)顔料。
【0011】
【発明の具体的な説明】
次の本発明の歯科用接着性金属色遮蔽材セットおよびその使用方法について、具体的に説明する。
先ず、(A)の金属接着性表面処理剤としては、第1複合材組成物と組み合わせた時に、金属に対して接着性を示すものであれば公知の表面処理剤が制限なく利用できるが、一般には貴金属を対象とする場合は硫黄を有する重合性単量体、または硫黄を有する重合性単量体と酸性基を有する重合性単量体を含む金属接着性表面処理剤が好ましく使用できる。
【0012】
さらに、卑金属を対象とする場合は、酸性基を有する重合性単量体を含む金属接着性表面処理剤、または、硫黄を有する重合性単量体と酸性基を有する重合性単量体とを含む金属接着性表面処理剤が好ましく使用できる。
硫黄を有する重合性単量体において、硫黄を含有する官能基を例示すると、チオール基、スルフィド基、ポリスルフィド基、スルホキシド基、チオケトン基、チオアルデヒド基、チオアセタール基、チオカルボキシル基、チオ燐酸基、チオ炭酸基、チラン基およびチオラン基などを挙げることができる。
【0013】
そのなかで、好ましい化合物の一般式や化合物名を示すと、
下記式(1)または式(2)で示される1,3,5-トリアジン-2,4-ジオン化合物
【0014】
【化15】
【0015】
上記式(1)中、Zは(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルフェニレン基、アリル基またはビニル基を表し、Rは炭素数1〜30のアルキレン基、アリーレン基または下式(F);
【0016】
【化16】
【0017】
で表される基(但し、上記式(F)において、nは1〜30の整数であり、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)を表し、Kは酸素原子または硫黄原子を表す。
【0018】
【化17】
【0019】
上記式(2)中、Zは(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルフェニレン基、アリル基およびビニル基を表し、Rは炭素数1〜30のアルキレン基またはアリーレン基または下式(F);
【0020】
【化18】
【0021】
で表される基(但し、上記式(F)において、nは1〜30の整数であり、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)を表し、R1は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基またはアリール基を表す。
式(1)および式(2)で表される化合物の具体例としては、6-(ビニルベンジルアミノ)1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオン、6-〔N−(ビニルベンジル)メチルアミノ〕1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオン、6-〔N−(ビニルベンジル)プロピルアミノ〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオン、6-〔N−((メタ)アクリロイル)プロピルアミノ〕-1,3,5、-トリアジン-2,4-ジチオン、6-〔N−((メタ)アクリロキドデシル)プロピルアミノ〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオン、6-〔チオビニルベンジル〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオン、6-〔チオ(メタ)アクリロイル〕〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオン、6-〔チオ((メタ)アクリロキドデシル)〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオン、6-〔(ビニルベンジル)オキシ〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオン、6-〔((メタ)アクリロイル)オキシ〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオン、および、6-〔(メタ)アクリロキドデシル〕オキシ〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオンなどを挙げることができる。
【0022】
下式(3)で示されるチオウラシル誘導体
【0023】
【化19】
【0024】
式(3)中、Zは(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルフェニレン基、アリル基またはビニル基を表し、Rは炭素数1〜30のアルキレン基、アリーレン基または下式(F);
【0025】
【化20】
【0026】
で表される基(但し、上記式(F)において、nは1〜30の整数であり、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)を表し、R1は炭素数1〜30のアルキル基またはアリール基を表し、R2は炭素数1〜30のアルキル基またはアリール基を表す。
式(3)で表される化合物の具体例としては、Zが(メタ)アクレート基であり、Rが炭素数1、2、4、6、10の直鎖のアルキレン基であるチオウラシル系誘導体などである。
【0027】
更に、下式(4)で示されるチオウラシル誘導体
【0028】
【化21】
【0029】
上記式(4)中、Zは(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルフェニレン基、アリル基またはビニル基、Rは炭素数1〜30のアルキレン基、アリーレン基または下式(F);
【0030】
【化22】
【0031】
で表される基(但し、上記式(F)において、nは1〜30の整数であり、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)を表す。
式(4)で表される化合物の具体例としては、Zが(メタ)アクレート基であり、Rが炭素数1、2、4、6、10の直鎖のアルキレン基であるチオウラシル系誘導体などである。
【0032】
また、下式(7)で示されるチオ燐酸エステル化合物も利用できる。
【0033】
【化23】
【0034】
式(7)中、Zは(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルフェニレン基、アリール基またはビニル基を表し、Rは炭素数1〜30のアルキレン基、アリーレン基または下式(F);
【0035】
【化24】
【0036】
で表される基(但し、上記式(F)において、nは1〜30の整数であり、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)を表し、aは1〜2である。
式(7)で表される化合物の具体例としては、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルハイドロジェンチオホスフェ−ト、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルチオホスホリックアシッド、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルハイドロジエンチオホスフェ−ト、アシッドチオホスホオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、アシッドチオホスホオキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、アシッドチオホスホオキシポリオキシエチレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレ−トなどである。
【0037】
勿論、上記(1)〜(4)及び(7)で表される重合性単量体は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
そのなかで(2)の重合性単量体を含む金属接着性処理剤は、金属接着性処理剤中に0.3〜1重量%と極少量配合するだけで金属特に貴金属への接着強さが付与できるため、コスト面や、金属面への塗布性や乾燥が簡単であるなどの理由などから好ましく利用できる。本発明では、重合性単量体としては、6-〔N−(ビニルベンジル)プロピルアミノ〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオン、6-〔N−((メタ)アクリロキシ)プロピルアミノ〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオが好ましく、6-〔N−(ビニルベンジル)プロピルアミノ〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオンが好ましく、6-〔N−(ビニルベンジル)プロピルアミノ〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオンが特に好ましい。
【0038】
次に酸性基を有する重合性化合物を含有する金属接着性表面処理剤について述べる。
酸性基としては、カルボキシル基、燐酸基、スルホン酸基であり、重合性単量体一分子中に2種類以上の酸性基を含有していてもよい。
先ず、カルボキシル基としては、下記式(5)で表される化合物を挙げることができる。
【0039】
【化25】
【0040】
上記式(5)中、
Zは(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルフェニレン基、アリル基、ビニル基を表し、Rは炭素数1〜30のアルキレン基、アリーレン基または下式(F);
【0041】
【化26】
【0042】
で表される基(但し、上記式(F)において、nは1〜30の整数であり、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)を表す。
Xは水酸基、フタル酸を形成する芳香族環から水素原子が脱離した残またはこの酸無水物基(具体的には次式で表される基あるいはその酸無水物基である)、
【0043】
【化27】
【0044】
安息香酸を形成する芳香族環から水素原子が脱離した残基(具体的には次式で表される基)を表す。
【0045】
【化28】
【0046】
なお、上記フタル酸の残基もしくはフタル酸基、安息香酸の残基が置換基を有することもあり、この場合に、基Xである芳香族環を形成する炭素に直接結合していた水素原子が、ハロゲン原子、複素環基、炭素数1〜30のアルキル基、アルコキシル基、アシル基等で置換されていてもよい。
式(5)で表される化合物の具体例としては(メタ)アクリル酸、4-(メタ)アクリル酸エチルトリメリット酸もしくはその無水物、4-(メタ)アクリル酸エチル安息香酸、プロピオン酸β−(メタ)アクリロイロキシエチルハイドロキシフタレ−ト、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸などを挙げることができ、4-メタクリル酸エチルトリメリット酸もしくはその無水物が好ましく使用できる。
【0047】
また、燐酸基を持つ重合性単量体としては下記(6)を挙げることができる。
【0048】
【化29】
【0049】
式(6)中、Zは(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルフェニレン基、アリル基またはビニル基を表し、Rは炭素数1〜30のアルキレン基、アリーレン基または下式(F);
【0050】
【化30】
【0051】
で表される基(但し、上記式(F)において、nは1〜30の整数であり、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)を表し、Yは水素原子または芳香族環を示す。尚、芳香族環にはハロゲン原子、複素環、または炭素数1〜30のアルキル基、アルコキシル基、アシル基が置換していてもよい。
式(6)で表される化合物の具体例としては、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルハイドロジエンホスフェ−ト、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホリックアシッド、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルハイドロジエンホスフェ−ト、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコ−ルモノ(メタ)アクリレ−トなどであり、10-メタクリロイルオキシデシルハイドロジエンホスフェ−ト、2-メタクリロイルオキシエチルフェニルホスホリックアシッドが好ましく利用できる。
【0052】
他のカルボキシル基を持つ重合性単量体である(8)としては、下記のマロン酸誘導体を挙げることができる。
Z−RCH(COOH)2 ・・・(8)
式(8)中、Zは(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルフェニレン基、アリル基またはビニル基を表し、Rは炭素数1〜30のアルキレン基またはアリーレン基または下式(F);
【0053】
【化31】
【0054】
で表される基(但し、上記式(F)において、nは1〜30の整数であり、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)を表す。
式(8)で表される化合物の具体例としてはZが(メタ)アクリロイルオキシ基、Rは炭素数2、4、10および12のアルキレン基であるマロン酸誘導体などを挙げることができる。
【0055】
さらに、スルホン基を持つ重合性単量体としては下記(9)を挙げることができる。
Z−R−SO3−H ・・・(9)
式(9)中、Zは(メタ)アクリロイルオキシ基、ビニルフェニレン基、アリル基またはビニル基を表し、Rは炭素数1〜30のアルキレン基、アリーレン基、下式(F);
【0056】
【化32】
【0057】
で表される基(但し、上記式(F)において、nは1〜30の整数であり、R11、R12はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す)、または2価の芳香族環を有する基を表す。なお、ここでこの単量体が芳香族環を有する2価の基を有する場合に、この芳香族環を形成する炭素原子に結合した水素原子の少なくともひとつがハロゲン原子、複素環、炭素数1〜30のアルキル基、アルコキシル基、アシル基で置換されていてもよい。
【0058】
式(9)で表される化合物の具体例としてはZが(メタ)アクリロイルオキシ基または(メタ)アクリル酸アミド基、Rは炭素数2、3、4および5のアルキレン基の誘導体などであり、2-(メタ)アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸、3-(メタ)アクリルアミド-2-プロパンスルホン酸などを挙げることができる。
【0059】
金属、特に卑金属に接着するためには上記酸性基を有する単量体を含む金属接着性表面処理剤を用いればよいが、そのなかでも、上記したように4-メタクリル酸エチルトリメリット酸もしくはその無水物、10-メタクリロイルオキシデシルジハイドロキシジエンチオホスフェート、2-メタクリロイルオキシエチルフェニルホスホリックアシッドを含む金属接着性表面処理剤が接着性が良好であることから好ましく利用できる。
【0060】
金属接着性表面処理剤についてまとめると、硫黄を有する重合性単量体を含有する金属接着性表面処理剤は、金属、特に金銀パラジュウム合金などの貴金属の接着に有効である。また、酸性基を有する重合性単量体を含有する金属接着性表面処理剤は金属、特にコバルトクロム合金などの卑金属の接着に有効である。ここで硫黄を有する重合性単量体と酸性基を有する重合性単量体とを同時に含有すると、貴金属、卑金属の両金属に対応できる金属接着性表面処理剤となる。
【0061】
ここで硫黄を有する重合性単量体と酸性基を有する重合性単量体単量を併用する場合、両重合性単量体を同時に混合し金属接着性表面処理剤を調整して使用してもよいし、硫黄を有する重合性単量体を含有する金属接着性表面処理剤と、酸性基を有する重合性単量体を含有する金属接着性表面処理剤とを別々に調整し、片方づつ段階的に金属面を処理してもよい。片方づつ処理する場合の順序は特に問わない。
【0062】
上記の金属接着性表面処理剤中の重合性単量体の好ましい含有量は金属接着性が発現する量であれば制限はないが、金属面への重合性単量体の塗布量が多く、接着性が所望の値を発現しない場合は、エタノール、アセトンなどの重合性単量体が溶解し得る溶剤で洗浄したりして、余分な重合性単量体を除去し、金属表面に一層吸着もしくは接着させればよい。また、洗浄操作を省略する場合には、金属接着性表面処理剤中の重合性単量体の含有率を好ましくは0.01〜10重量%、更に好ましくは、0.1〜5重量%を含む溶液にすればよい。
【0063】
金属接着性表面処理剤中の有機溶剤としては、公知の有機溶剤が使用できるが、沸点が100℃以下のアセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、メチルメタクリレートなどは、有機溶剤が金属面に残存せず、接着阻害因子にならないため好適に利用できる。
次に(B)第1複合体組成物中のa)重合性単量体について述べる。
【0064】
重合性単量体としては、公知の化合物を用いることができるが、歯科材料では(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体が重合体の機械的強度や耐水性などが良好であるため好適に使用される。好ましい具体例を挙げると、
(I)単官能性重合性単量体:
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレ−ト、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレン(メタ)アクリレート、プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、また、γ-(メタ)アクリロキシプロジルトリメトキシシラン、ω-(メタ)アクリルオキシアルキルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、また、当該のジルコニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニア系カップリング剤、チタン系カップリング剤なども必要に応じて利用可能である。
(II)二官能性重合性単量体:
2,2-ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2-ビス〔4-(3-(メタ)アクリロイルオキシ)-2-ヒドロキシ〕プロポキシフェニル〕プロパン、 2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルキシフェニル)プロポキシフェニル、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキポリフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロイルジプロポキシフェニル)プロパンのような芳香族環を持つ単官能性単量体類;
2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を持つモノマーとヘキサメチレンジイソシアネートやジイソシアヌレートメチルシクロヘキサンまたはメチルビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネートとの付加物から誘導されるウレタン系重合性単量体類;
2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を持つモノマーとジイソシアネートメチルベンゼン、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族イソシアネ−トとの付加物から誘導される芳香族系ウレタン重合性単量体類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート 、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレートなど。
(III)三官能性重合性単量体:
トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロ−ルエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレートなど。
(IV) 四官能性重合性単量体:
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジメチロ−ルプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジイソシアネートメチルベンゼン、イソシアネートメチルシクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチルビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートのようなジイソシアネートとグリシドールジ(メタ)アクリレートとの付加物など。
【0065】
上記の多官能性重合性単量体は一分子中にアクリレートとメタクリレートを合わせ持つ化合物であっても何ら差し支えない。
さらに(メタ)アクリル酸エステル以外の重合性単量体として、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、(メタ)アクリルアルデヒドジエチルアセタ−ルなどのビニルエ−テル類;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、クロロスチレンなどのアルケニルベンゼン類;アクリロニトリル、(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;(メタ)アクリルアルデヒド、3-シアノ(メタ)アクリルアルデヒドなどの(メタ)アクリルアルデヒド類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド類などの(メタ)アクリル酸エステル以外の公知の重合性単量体も必要に応じて使用可能である。
【0066】
これらの重合性単量体は単独もしくは2種類以上を混合してもよい。また、単官能性単量体を単独で使用すると重合性が劣るなどの場合があるので、単官能性単量体を使用する場合は多官能性重合性単量体と混合して使用することが好ましい。ここで、単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体を混合する場合には、単官能性重合性単量体と多官能性重合性単量体の混合物100重量部に対して、単官能性重合性単量体は好ましくは80重量部以下、更に好ましくは50重量部以下である。
【0067】
重合性単量体のなかで好適な組み合わせとしては、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタンとトリエチレングリコールジメタクリレートとの組み合わせ、2,2-ビス(4-メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンとトリエチレングリコールジメタクリレートとの組み合わせ、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタンと2,2-ビス(4-メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパンとトリエチレングリコールジメタクリレートとの組み合わせである。ここで、これら組み合わせの合計を各々100重量部とした時に占めるトリエチレングリコールジメタクリレートは70重量部以下、好ましくは50重量部以下にした重合性単量体が、下記に述べる周期率表第I〜IV族の元素のうちの少なくとも1種類を構成成分とする無機酸化物の粉体と混合した時に、(B)第1複合材組成物の操作性が良好になったり、(B)第1複合材組成物の硬化物の吸水率が低下し、接着強さの低下が抑制されるなどの理由から好ましく使用される。
【0068】
次に(B)第1複合材組成物中に含有されるの成分b1) 周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする無機酸化物の粉体について説明する。成分b1)は、周期律表第I〜IV族の元素のうちの少なくとも1種類の元素を含有する無機酸化物の粉体であり、(B)第1複合材組成物の操作性や(A)金属接着性表面処理剤から形成される層との接着性を損なわないものであれば、公知のものを制限なく利用することができる。
【0069】
成分(b1)周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする無機酸化物の粉体の好ましい粒径およびの組み合わせ比率を示すると、成分b1-1)周期律表第I〜IV族の元素を1種類以上含み平均粒径が1〜15μmの無機酸化物の粉体を80〜99重量%と、成分b1-2)周期律表第I〜IV族の元素を1種類以上含み平均粒径が0.001〜1μm未満の無機酸化物の粉体を1〜20重量%である。この範囲の粒径や充填率を添加したものであると、(A)金属接着性表面処理を塗布した金属面へ筆などで塗布した時に糸引きなど(B)第1複合材組成物の操作性が悪化せず、(B)第1複合材組成物の垂れなどがなく操作性が良好となる。
【0070】
上述した成分b1-1)の無機酸化物粉体の例を、具体的に示すと、この種類としては、公知の無機酸化物の粉体が使用できるが、成分b1-1)である無機酸化物粉体の具体的な例を示すと、石英、溶融シリカ、アモルファスシリカ、アルミナ、ジルコニア、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、チタニア、酸化錫、酸化ハフニウム、硫酸カルシウム、炭酸ビスマス、燐酸カルシウム、タルク、ソーダ石炭珪酸ガラス、バリウムボロアルミノシリケートガラス、アルミナ珪酸ガラス、ストロンチウムアルミノシリケートガラス、燐酸カリシウム、また、シリカと周期律表第I〜IV属の元素の複合体、例えばシリカ/ジルコニア複合体、シリカ/チタニア複合体、シリカ/アルミア複合体などを挙げることができる。成分b1-1) 無機酸化物粉体は、また、上記の粒径の範囲や重量比であれば、2種類以上を混合して使用してもよい。好ましい成分b1-1)の無機酸化物粉体としては、溶融シリカ、アモルファスシリカ、ジルコニア、アルミナ、シリカ/ジルコニア複合体、シリカ/チタニア複合体、シリカ/アルミナ複合体である。
【0071】
ここで、成分b-1)の無機酸化物は溶液沈殿法、気相法、溶融法など如何なる製造法で製造されたものであってもよい。また、ボールミル、ジェットミル、アペックスミルなど公知の粉砕機で粉砕したり、分級して、所望の粒径にすればよい。また粉体の形状は球形であっても、不定形であってもよいが、球形であると(B)の流れが良すぎて垂れるなど操作性が悪くなるという傾向が生ずることがある。
【0072】
また、(B)第1複合材組成物中における成分a)重合性単量体との濡れ性を改善し、無機酸化物の分散性を向上して金属表面への(B)第1複合材組成物の塗布性をよくしたり、金属と硬化した(B)第1複合材組成物との接着強さを向上をさせるため、このb1-1)無機酸化物は疎水化処理することが好ましい。疎水化には、従来から知られている粉体処理法のうち湿式法、乾式法などを利用できる。
【0073】
疎水化処理剤としては公知の化合物が制限なく利用できるが、具体的に例示すると、ヘキサメチレンジシラザン、ジメチルジクロロシラン、γ-(メタ)アクリルオキシプロジルトリメトキシシラン、ω-(メタ)アクリルオキシアルキルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、また、当該のジルコニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤など、通常無機酸化物の表面処理剤として使用される化合物が好適に使用される。
【0074】
疎水化処理方法の代表的な例を示すと、例えばボ−ルミルなどで無機酸化物と表面処理剤とを充分混合した後、90〜150℃で30分間〜5時間程度加熱処理する方法。無機酸化物と表面処理剤とをアルコ−ルなどの溶剤中で数十分〜数時間加熱還流したり、または、表面処理剤の加水分解を促進する必要があれば、該溶剤中に水や酸性水を添加して数十分〜数時間加熱還流し、溶剤を除去後、常圧または減圧下で50〜150℃熱処理する方法などが挙げられる。ここで、表面処理剤の添加量は無機酸化物の重合性単量体への分散性や、金属と(B)第1複合材組成物の硬化物との接着強さなどから適宜決定すればよいが、一般には、無機酸化物100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは、0.5〜10重量部である。また、無機酸化物が表面処理された状態で提供される場合はそのまま使用してもよいし、上記の疎水化処理剤で再度処理しても何ら差し支えない。
【0075】
次にB)第1複合材組成物中に含まれるb1-2)について、特に好適に使用できる無機酸化物の種類としては、一般にアエロジルと呼ばれるアモルファスシリカであり、グレードで示せば、ジメチルジクロロシランで疎水化処理されたR972、R974、R976、R976S;シリコーンオイルで疎水化処理されたNY50、RY200S、R202、RY200、RY300、RY50;ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理されたNAX50、NX90、RX200、RX300、R812、R812S、RX50;オクチルシランで疎水化処理されたR805;アミノシランとヘキサメチルジシラザンとで疎水化処理されたNA50H、RA200H、RA200HS、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで疎水化処理されたRM50;疎水化処理されていない50、90G、130、150、200、380、380S、OX50;、また、シリカと他のI〜IV属の複合体であるTT600、MOX80、MOX170、COK84、Al2O3−C、酸化チタンであるP25、またはそれをオクチルシランで疎水化処理したT805など(日本アエロジル(株)製)を挙げることができる。勿論、疎水化されていない無機酸化物は上記のシランカップリング剤などで疎水化してもよいし、疎水化クレ−ドはそのまま利用したり更に疎水化処理して利用してもよい。また、これらのグレードは全て好ましいb1-2)の平均粒径を満足している。
【0076】
一般に歯冠用金属面にはアンカー効果によってオペ−ク材硬化体やレジン硬化体の脱落を防ぐ目的で、金属表面にリテンションビーズを融着させている。ここで、金属表面に塗布するオペ−ク材の流れが悪いとリテンションビーズの縁部分にまで完全にオペ−ク材が行き渡らず、アンカー効果を充分発揮することができない。逆に流れが良すぎると、リテンションビーズを完全に覆うことができるが、流れムラによって、(B)第1複合材組成物の厚みムラが生じる。実際には、特に金属の縁部分にオペ−ク材が溜まることでオペーク材の厚みが違ってくる。厚みムラが生じると(B)第1複合材組成物の硬化物に応力が掛かった時に均一に応力分散でき難くなるため接着強さや耐衝撃性の低下を招く虞がある。しかし、上記の(B)第1複合材組成物中では平均粒子径が特定の範囲内にある成分b1-1)と成分b2-2)とを特定の充填率で配合することで、(B)第1複合材組成物に適度のチキソトロピ−性と流れが発現するため、(B)第1複合材組成物がリテンションビーズの周りを隙間なく被覆させることができ、しかも垂れも適度に抑制されるため、金属の縁に(B)第1複合材組成物が溜まらずに均一に金属表面を覆うことができる。また、筆などで(B)第1複合材組成物を塗布する際に、(B)第1複合材組成物の刷毛離れがよいため、糸引きがなく金属面への塗布性がよくなるという利点もある。
【0077】
次に(B)第1複合材組成物中に含有される成分b2)のエラストマーの粉末について説明する。
(B)第1複合材組成物にエラストマー粉末を添加することで、金属接着性表面処理剤で処理した金属と(B)第1複合材組成物との接着性、耐衝撃性が向上する。これは、(B)第1複合材組成物にエラストマー粉末を添加することで、(B)第1複合材組成物を硬化させた際にアクリルニトリルとブタジエンとスチレンモノマーの共重合体(ABS樹脂)のような海島構造を(B)に持たせ、エラストマーの粉体が(B)第1複合材組成物の硬化物中でショックアブソーバーとして働くため、応力が掛かった時に、金属接着性表面処理剤を適用した金属表面と(B)第1複合材組成物の硬化物の間の接着強さ、耐衝撃性が向上するものと推察している。
【0078】
成分b-2)として用いられるエラストマーの粉末としては、少なくとも1種類以上の炭素数4〜10の共役ジエンのホモポリマー、または少なくとも1種類以上の炭素数4〜10の共役ジエンと他のモノマーとのコポリマーよりなる群の1種類以上から選ばれたエラストマーであることが好ましい。更に、このエラストマー粉末は(B)第1複合材組成物に配合されている成分a)重合性単量体に部分的に不溶状態であることが好ましい。何故なら、重合性単量体で著しく膨潤したり、溶解すると、(B)第1複合材組成物の粘度が上昇し、(B)第1複合材組成物の糸引きなどが発生して操作性が悪化したり、上記の(B)第1複合材組成物に成分b1)と成分b2)を添加した時の利点が薄れる可能性があるからである。
【0079】
ここで、部分的な不溶状態としては、重合性単量体にエラストマー粉体を混合した際にエラストマーの粉体は、好ましくは80重量%以下、より好ましくは50重量%以下の膨潤度を有している。
この膨潤度の測定方法としては、重合性単量体にエラストマー粉末を添加し、室温下で、充分攪拌後、エラストマー粉末の重量を重合性単量体への添加前後で比較すればよい。
【0080】
エラストマーの粉体としては、(B)第1複合材組成物の良好な操作性、金属接着性表面処理剤を適用した金属表面と(B)第1複合材組成物の硬化物との良好な接着強さ、耐衝撃性が発現できれば公知のものが限定なく使用できる。また、エラストマーの構造の例としては、ブロック構造、グラフト構造およびコアシェル構造などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。具体的なエラストマーの例としては、単独重合体として、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ブチルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩化ポリエチレン、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴムなどを挙げることができる。また、エラストマーの例としては、共重合体として、ゴム分子である軟質ブロックが熱可塑性樹脂成分である硬質ブロックによって分子運動が拘束された構造になっており、
(1)硬質ブロックがポリスチレン、軟質ブロックがポリブタジエンやイソプレン、水素添加ポリブタジエンなどであるスチレン系エラストマー、
(2)硬質ブロックがポリスチレンやポリプロピレン、軟質ブロックがエチレンプロピレン共重合体やイオウの重合体などであるポリオレフィンエラストマー、
(3)硬質ブロックが結晶ポリ塩化ビニル、軟質ブロックが天然ゴムなどであるポリ塩化ビニル系エラストマー、
(4)硬質ブロックがポリエステル、軟質ブロックがポリエーテルなどであるポリエステル系エラストマー、
(5)硬質ブロックがポリウレタン、軟質ブロックがポリエステルやポリエーテルなどであるポリウレタン系エラストマー、
(6)硬質ブロックがポリアミド、軟質ブロックがポリエステルやポリエーテルであるポリアミド系エラストマー、
(7)硬質ブロックがフッ素樹脂、軟質ブロックがフッ素ゴムであるフッ素ポリマー系ポリマーを挙げることができる。
【0081】
さらに、エラストマーの例として、
(8)硬質ブロックがトランス-1,4-ポリイソプレン、軟質ブロックが非晶性ポリイソプレンであるホモポリマー系エラストマー、
(9)硬質ブロックがシンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン、軟質ブロックが非晶性ポリブタジエンであるホモポリマー系エラストマー、
(10)硬質ブロックがポリスチレン、軟質ブロックが塩素化ポリエチレンであるホモポリマー系エラストマー、
(11)硬質ブロックが金属カルボキシレートイオンクラスター、軟質ブロックがポリエチレンなどであるアイオノマー系エラストマー、
(12)硬質ブロックがポリ塩化ビニルやナイロン樹脂、軟質ブロックがウレタンエラストマーや天然ゴムなどのであるアロイ系エラストマーなどを挙げることができる。ここで好ましい重合体としてはスチレンやα-メチルスチレンなどのスチレン類モノマーとブタジエンとの共重合体、アクリロニトリルモノマーとブタジエンとの共重合体、アクリルモノマーとブタジエンとスチレンとの共重合体、アルキル(メタ)アクリレートとスチレン類モノマーとの共重合体、酢酸ビニルとアルキル(メタ)アクリレートモノマーとスチレン類モノマーとの共重合体、アルキル(メタ)アクリレートとスチレン類モノマーと分子内に少なくとも1個の水酸基を有するヒドロキシアクリル(メタ)アクリレートとの共重合体などである。このようなエラストマーは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
【0082】
このなかで、好ましいエラストマーの粉末としては、アルキル(メタ)アクリレートとスチレン類モノマーとブタジエンとの共重合体(工業的には、ポリ塩化ビニルの可塑剤として使用されるMBS樹脂)を挙げることができる。MBS樹脂は、一般にスチレンとブタジエン共重合体あるいは、ポリブタジエンのラテックスの粒子の存在下に、スチレンとアルキル(メタ)アクリレートの混合物を重合して製造される。ここで、スチレン/ブタジエン/アルキル(メタ)アクリレ−トの好ましいモル比としては、10〜40/30〜70/5〜20モル%の範囲であり、10〜30/50〜70/5〜20モル%の範囲のものが更に好ましく使用できる。また、上記(B)の利点である操作性や接着性を損なわなければ、平均一次粒径は制限はなく、適宜選択すればよいが通常は0.01〜1μm、好ましくは0.01〜0.5μmの範囲である。
【0083】
ここで、エラストマーの粉末の分子量は(B)第1複合材組成物中の成分である重合性単量体に対する溶解度や(B)第1複合材組成物の粘度に影響を及ぼすと考えられるが、上述の(B)第1複合材組成物の特性である良好な操作性や接着強さの発現を損なわない範囲であれば分子量は特に規定なく使用できる。通常は5,000〜500,000、好ましくは10,000〜300,000である。
【0084】
次に重合開始剤について述べる。本発明に用いられる重合開始剤は特に限定されず、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤、付加重合開始剤などが利用できるが、上記の(メタ)アクリル酸エステルの重合開始剤としては、有機過酸化物重合開始剤、ジアゾ化合物重合開始剤、有機金属重合開始剤、レドックス重合開始剤、光重合開始剤などの公知の重合開始剤が好適に利用できる。
【0085】
有機過酸化物、ジアゾ化合物としては、その種類に制限はないが、重合を短時間で終了させたい場合には、80℃での分解半減期が10時間以下である化合物が好ましい。有機過酸化物重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエ−トなどの有機過酸化物;2,2-アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメトキシバレロニトリルなどのアゾ化合物;
また、有機金属系開始剤としてはトリブチルボランもしくはその部分酸化物などが挙げられる。
【0086】
上記有機過酸化物とアミンとの組み合わせによるレドックス開始剤について述べると、掛かるアミンとしては、アミノ基がアリール基に結合した第二級、第三級アミン、アミノ基が直接芳香族に結合した第二級、第三級アミンが硬化促進剤として好適に利用される。例えば、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジメチル−アニリン、N,N-ジメチルアミノ安息香酸、N,N-ジエチルアミノ安息香酸、N,N-ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチル、N-β-ヒドロキシエチル−アニリン、N,N-ジ(β-ヒドロキシエチル)アニリン、N,N-ジ(β−ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N-メチルアニリン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)-p-トリイジン、N-フェニルグリシンなどである。また、有機過酸化物とスルフィン酸もしくはそのアルカリ金属塩類と第三級アミンの組み合わせ、過硫酸カリウムなどの無機過酸化物と亜硫酸ナトリウムなどの無機亜硫酸アルカリ金属類も例えば(B)第1複合材組成物に有機過酸化物を予め混合しておき、金属面にこの(B)第1複合材組成物を塗布する際にスルフィン酸もしくはそのアルカリ金属塩類や第三級アミンを(B)第1複合材組成物に混合するなどの方法を採用することで使用することができる。
【0087】
光重合開始剤としては、公知の紫外光線重合開始が使用できる。例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエール、ベンゾインエチルエーテル、アセトインベンゾフェン、p-クロロベンゾヘノン、p-メトキシベンゾヘノンが挙げられる。
また、公知の可視光線重合開始剤も利用できる。例えば、カンファーキノン、α-ナフチル、アセトナフタセン、p,p-ジメトキシベンジル、p,p-ジクロロベンジルアセチル、ペンタジオン、1,2-フェナントレキノン、ナフトキノンなどのα-ジケトン類などが挙げられる。
【0088】
このような可視光線重合開始剤は上記のようなアミン類が重合性促進剤との組み合わせも好適に使用できる。
更に、可視光線重合開始剤として、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等のフェニルフォスフィンオキサイドも利用できる。
むろん、フェニルフォスフィンオキサイドを可視光線重合開始剤とし、上記のアミンを重合性促進剤とする組み合わせも利用できる。
【0089】
なお、光重合性開始剤を使用する場合は紫外光線重合開始剤と可視光線重合開始剤を組み合わせてもよいが、歯科医師などの使用者への生体為害性を考慮すると可視光線重合が好ましく利用できる。
次に(B)第1複合材組成物の各成分の好ましい添加量について述べる。第1複合材組成物としては上記したように
本発明で使用される(B)第1複合材組成物は
a)重合性単量体
b1)周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする無機酸化物の粉体、
b2) エラストマーの粉体
c)重合開始剤
から構成される。
【0090】
各成分の配合量は(B)第1複合材組成物の利点である金属処理剤表面への塗布性、接着強さなどを勘案して決定すればよいが、
(B)第1複合材組成物100重量部中に、
a)が10〜55重量部、好ましくは20〜50重量部
b1)が10〜45重量部、好ましくは20〜40重量部
b2) が5〜35重量部、好ましくは10〜35重量部
c)が0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜1.0重量部の範囲であると
、
(A) 金属接着性表面処理剤を塗布した金属面への接着強さや耐衝撃性、塗布性、また、下記の(C)第2複合材組成物との接着性が良好となるので好ましい。
【0091】
本発明において、(B)第1複合材組成物の被膜厚さは金属面へ融着させたリテンショビ−ズが完全に隠れる程度であればよいため、リテンションビーズの粒径に因って適宜決定すればよく、通常は50〜 200μmである。また(B)第1複合材組成物は上記したように適度のチクソトロピ−性および流れがあるため、リテンションビーズの隅の光が到達し難い所へも確実に覆うことができ、且つ垂れによる(B)第1複合材組成物の流れムラがなく被膜厚さが殆ど均一であるため、応力が掛かった時に応力を金属面に均一に分散することができることも本発明に(B)第1複合材組成物を使用することによる利点の一つである。
【0092】
また、(B)第1複合材組成物には金属面への塗り残しを目視で確認するため、チタンホワイト、チタンイエロー、黒酸化鉄、黄酸化鉄等の公知の無機顔料、クロモフタールレッド、クロモフタールイエローなどの有機顔料を添加してもよい。顔料の添加量は、目視で確認でき、下記の第2複合材組成物を塗布、硬化した時に、歯冠色の色調に余り変化を与えない範囲であったり、また、光重合開始剤の場合、この要件に、光がリッテンションビーズの隅まで充分硬化する程度の範囲であればよい。これらの要件を満たす、好ましい添加量は通常は(B)第1複合材組成物100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
【0093】
次に第2複合材組成物について述べる。(C)第2複合材組成物は以下のような構成を有している。
(C)第2複合材組成物
a)重合性単量体
b3)周期律表第I〜IV族の元素の1種類以上を構成成分とする無機酸化物の粉末
c)重合開始剤
d) 顔料。
【0094】
この(C)第2複合材組成物は(B)第1複合材組成物の硬化体の上に塗布し、金属色を遮蔽する歯冠色のオペーク材である。
ここで、(C)第2複合材組成物中における成分a)は、(B)第1複合材組成物の成分a)と同等のものであり、(C)第2複合材組成物中における成分b3)の周期律表第I〜IV族の元素の少なくとも1種類を構成成分とする無機酸化物の粉末は上記の(B)第1複合材組成物の成分b1)と、(C)第2複合材組成物中における成分c)の重合開始剤は(B)の成分c)と同等である。
【0095】
成分b3)の好ましい粒径やその比率の組み合わせを示すると、成分b3-1)周期律表第I〜IV族の元素を1種類以上含む平均粒径が1〜15μm未満の無機酸化物の粉体を60〜75重量%と、成分b3-2)周期律表第I〜IV族の元素を1種類以上含む平均粒径が15〜50μmの無機酸化物の粉体を10〜20重量%と、成分b3-3)周期律表第I〜IV族の元素を1種類以上含む平均粒径が0.01〜1μm未満の無機酸化物の粉体を10〜15重量%と、更に成b3-4)周期律表第I〜IV族の元素を1種類以上含む平均粒径が0.001〜0.01μm未満の無機酸化物を5〜10重量%である。この範囲の粒径や充填率を添加したものであると、(C)第2複合体組成物を(B)第1複合材組成物の硬化物へ筆などで塗布した時に糸引きなどの操作性の悪化や、垂れなどがなく操作性が良好となる。
【0096】
ここで、成分b3-1)、成分b3-2)としては上記の成分b1-1)を挙げることができる。
また、成分b3-3)として特に好適な種類としては、一般にアエロジルと呼ばれるアモルファスシリカであり、市販されているアモルファスシリカのグレードで示せば、ジメチルジクロロシランで疎水化処理されたR972、R974、シリコーンオイルで疎水化処理されたNY50、RY200S、R202、RY200、RY50、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理されたNAX50、NX90、RX200、オクチルシランで疎水化処理されたR805、アミノシランとヘキサメチルジシラザンとで疎水化処理されたNA50H、RA200H、RA200HS、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで疎水化処理されたRM50、疎水化処理されていない50、90G、130、150、OX50、また、シリカと他の周期律表第I〜IV属の複合体であるTT600、MOX80,MOX170、COK84、Al2O3−C、酸化チタンであるP25、またはそれをオクチルシランで疎水化処理したT805など(日本アエロジル(株)製)を挙げることができる。また、このグレードであれば成分b3-3)の平均粒径の範囲を満足している。
【0097】
勿論、疎水化されていない無機酸化物は上記のシランカップリング剤などで疎水化してもよいし、疎水化クレードはそのまま利用したり更に疎水化処理して利用してもよい。
成分b3-4)の特に好適な種類を示せば、成分b3-3)と同様に一般にアエロジルと呼ばれるアモルファスシリカであり、市販されているアモルファスシリカのグレ−ドで示せば、ジメチルジクロロシランで疎水化処理されたR976、R976S、シリコーンオイルで疎水化処理されたRY300、ヘキサメチルジシラザンで疎水化処理されたRX300、R812、R812S、疎水化処理されていない300、380、380Sなど(日本アエロジル(株)製)を挙げることができる。
【0098】
また、このグレードであれば成分b3-4)の平均粒径の範囲を満足している。勿論、疎水化されていない無機酸化物は上記のシランカップリング剤などで疎水化してもよいし、疎水化クレードはそのまま利用したり更に疎水化処理して利用してもよい。
成分d)の顔料としては、公知の黒酸化鉄、黄色酸化鉄、弁柄、チタンイエロー、チタンホワイトなどの無機顔料やブロモフタールレッド、ブロモフタールイエローなどの有機顔料が使用できる。
【0099】
ここで、(C)第2複合材組成物の各成分の添加量は、(B)第1複合材組成物への親和性、接着性、塗布性などから適宜選択すればよいが、(C)第2複合材組成物100重量部あたり、
成分a)が10〜50重量部、好ましくは20〜50重量部、成分b3)が20〜70重量部、好ましくは40〜65重量部、成分c)が0.1〜5重量部、好ましくは0.2〜1.0重量部、
b)が0.5〜10重量部、好ましくは1.0〜10重量部である。
【0100】
この範囲にあると、第1複合材組成物との親和性、接着性、また、(C)第2複合材組成物の操作性(例えば、(B)第1複合材組成物で述べた適度なチクソトロピ−性と流れによってもたらされる利点)が(C)第2複合材組成物でも発現されるため好ましく利用できる。(C)第2複合材組成物の塗布厚さは通常50〜300μm、好ましくは50〜100μmである。
【0101】
なお、(A)金属接着性表面処理剤、(B)第1複合材組成物、および、(C)第2複合材組成物の保存安定性を向上させるため、それぞれにハイドロキノン、p-メトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルクレゾールなどの重合禁止剤やチヌビンなどの紫外線吸収剤を添加してもよい。重合禁止剤、紫外線吸収剤の添加量は、重合性や色調に影響しない範囲であれば制限はないが、通常は(A)金属接着性表面処理剤、(B)第1複合材組成物および(C)第2複合材組成物のそれぞれに対して通常は50ppm〜2000ppm、好ましくは100〜1000ppmの範囲で添加する。
次に、通常臨床で使用する場合の好ましい方法について述べると、
(A)重合性単量体を含む金属接着性表面処理剤を塗布し、次いで
下記に示す組成の(B)第1複合材組成物を塗布し、硬化させた後に、
(B)第1複合材組成物;
a)重合性単量体、
b1)周期律表第I〜IV族の元素の1種類以上を構成成分とする無機酸化物の粉体、
b2) エラストマーの粉体、
c)重合開始剤。
(B)第1複合材組成物の硬化面に、更に下記組成を有する(C)第2複合材組成物を塗布、硬化させ金属色を遮蔽する方法を採用することができる。
(C)第2複合材組成物;
a)重合性単量体、
b3)周期律表第I〜IV族の元素の1種類以上を構成成分とする無機酸化物の粉体、
c)重合開始剤、
d)顔料。
【0102】
また、(C)第2複合材組成物の硬化体の上には上記した人工歯冠のペーストを同業者が容易に知り得る方法で築盛し、人工歯冠を完成すればよい。
本発明によれば、(A)金属接着性表面処理剤を作用させた金属面に接着性を付与する第1複合材組成物を塗布・硬化させ、次いでオペーク層である第2複合材組成物を塗布・硬化させるものであり、(A)金属接着性表面処理剤を作用させた金属面に接着に寄与する層である(B)第1複合材組成物からなる層と、金属色の遮蔽層である(C)第2複合材組成物からなる層をそれぞれ使用することで、金属特に貴金属への接着性、耐衝撃性に優れ、且つ操作性が良く遮蔽効果も高い歯科用貴金属遮蔽材が提供される。
【0103】
【実施例】
次に、実施例で本発明の内容を実施例を示して具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されたものではない。
【0104】
【製造例1】
周期律表第I〜IV属の元素の1種類以上を構成成分とする平均粒径が1〜15μmの無機酸化物として、平均粒径が10μmの溶融シリカを選定した。この溶融シリカ3kgを1リットルのエタノール入りのセパラブルフラスコに添加して、充分懸濁させた。次いで、90gのγ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、50ミリリトルの蒸留水を添加した後、2時間加熱還流させた。エタノールを常圧で加熱流去後、粉体を取り出し、窒素気流下で80℃減圧乾燥を48時間行って、溶融シリカの疎水化品を製造した。
【0105】
以下この疎水化した溶融シリカを「S−1」と云う。
【0106】
【製造例2】
周期律表第I〜IV属の元素の1種類以上を構成成分とする平均粒径が16〜50μmの無機酸化物として、平均粒径が20μmの溶融シリカを選定した。この溶融シリカ3kgを1リットルのエタノール入りのセパラブルフラスコに添加して、充分懸濁させた。次いで、90gのγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、50ミリリットルの蒸留水を添加した後、2時間加熱還流させた。エタノールを常圧で加熱流去後、粉体を取り出し、窒素気流下で80℃減圧乾燥を48時間行って、溶融シリカの疎水化品を製造した。
【0107】
以下この疎水化した溶融シリカを「S−2」と云う。
【0108】
【製造例3】
((B)第1複合材組成物の調製)
1,6-ビス(メタクリロキシカルボニルアミノ)-2,2,4-トリメチルヘキサン(UDMA)/トリエチレングリコールジメタクリレート(3G)/S−1/平均粒径0.014μmのアモルファスシリカ(R972:日本アエロジル(株)製)/ブタジエン・メタクリル酸メチル・スチレン共重合体(BTA751:呉羽化学社(株)製)/カンファーキノン/4-N,N-ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル=22/20/35/2/20/0.5/0.5(重量部)を調整し、第1複合材組成物として実験に供した。
【0109】
【製造例4】
((C)第2複合材組成物の調製)
(UDMA)/3G/S−1/S−2/R972/平均粒径0.007μmのアモルファスシリカ(R812):日本アエロジル(株)製)/カンファーキノン/4-N,N-ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル/チタンホワイト/チタンイエロ−/弁柄/黒酸化鉄=30/5/40/10/5/4/0.5/0.5/2/2/0.5/0.5(重量部)を調整し、歯冠色のオペ−ク材である第2複合材組成物として実験に供した。
【0110】
【実施例1】
12%の金銀パラジウム合金の板を50μmのアルミナでサンドブラストし、水中下超音波洗浄した。この合金に厚み150μmで直径4.8mmの穴の開いたマースキングテ−プを張って被着面を規定した。この規定面に0.5重量%の6-〔N-(ビニルベンジル)プロピルアミノ〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオンのアセトン溶液である金属接着性表面処理剤をスポンジで塗布し、自然乾燥させた。次いで、製造例3の(第1複合材組成物)を筆で約50μmの厚みに均一に塗布し、α−Light II(モリタ製作所(株)製)で30秒間光照射した。更に、製造例4の(第2複合材組成物)を筆で約100μmの厚みに均一に塗布し、α−Light II(モリタ製作所製)で180秒間光照射した。規定面の上に厚み1mmのテフロンリングを置き、ニューメタカラーインフィスペースト(A3.5-B:サンメディカル(株)製)を充填し、α−Light II(モリタ製作所(株)製)で180秒間光照射した。ペースト硬化物にスーパーボンドC&B(サンメディカル(株)製)を接着剤として筆で塗布し、直ちに直径4.8mmのアクリル棒を植立させ、1時間室温下で放置した。次に、この試験片を37℃の水中に1日間水中浸漬した系、4℃の冷水と60℃の温水に1分間づつ1000回ヒートサイクルした系でクロスヘッドスピード2mm/minで引っ張り接着強さを測定した。
【0111】
結果は37℃の水中に1日間水中浸漬した場合:14MPa、ヒートサイクルした場合:8MPaであった。
また、第1複合材組成物及び第2複合材組成物の塗布性は、糸引きや垂れがなく、均一な膜を形成でき良好な操作性であった。
【0112】
【比較例1】
実施例1の第1複合材組成物を調製する際に、ブタジエン・メタクリル酸メチル・スチレン共重合体(BTA751:呉羽化学社(株)製)を使用しなかった以外は同様にして組成物を形成し、この組成物を用いた以外は同様にして引っ張り強さを測定した。
【0113】
ここで第1複合材組成物の代わりに使用した組成物の組成は、UDMA/3G/S−1/R972/カンファーキノン/N,N−メチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル=27.5/25/44/2.5/0.5/0.5(重量部)である。
結果は37℃の水中に1日間水中浸漬した場合:3MPa、ヒートサイクルした場合:0MPaであり、第1複合材組成物からBTAを除いた組成物ではヒートサイクルすると全く接着しないことが分かった。
【0114】
【比較例2】
実施例1において、第1複合材組成物を使用しなかった以外は実施例1と同様に引っ張り接着強さを試験をした。
結果は、37℃の水中に1日間水中浸漬した場合:3MPa、ヒートサイクルした場合:0MPaで、第一の組成物を未使用ではヒートサイクルすると全く接着しないことが分かった。
【0115】
【比較例3】
実施例1の 0.5重量%の6-〔N-(ビニルベンジル)プロピルアミノ〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオンを99.5重量%のアセトンに溶解させた金属接着性表面処理剤 を使用しなかった以外は実施例1と同様に引っ張り接着試験をした。
【0116】
結果は、37℃の水中に1日間水中浸漬した場合:5MPa、ヒートサイクルした場合:0MPaで、この金属接着性促進表面処理剤を未使用では、ヒートサイクルすると全く接着しないことが分かった。
【0117】
【実施例2】
実施例1の金属接着性表面処理剤を6-〔N-(ビニルベンジル)プロピルアミノ〕-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオンと10-メタクリロイルオキシデシルジハイドロキシジエンホスフェートの重合性単量体を含む金属接着性促進表面処理剤(商品名:アロイプライマー、クラレ(株)製)に変えた以外は実施例1と同様の方法で引っ張り接着試験をした。
【0118】
結果は、37℃の水中に1日間水中浸漬した場合:12MPa、ヒートサイクルした場合:8MPaで、実施例1と同様に高い接着強さを示すことが分かった。
【0119】
【実施例3】
実施例1の金属接着性促進表面処理剤を下記式で示す単量体を含む金属接着性促進表面処理剤(商品名:メタルタイトC、(株)トクヤマ製)に変えた以外は実施例1と同様の方法で引っ張り接着試験をした。
結果は、37℃の水中に1日間水中浸漬した場合:14MPa、ヒートサイクルした場合:10MPaで、実施例1と同様に高い接着強さを示すことが分かった。
【0120】
【化33】
【0121】
【実施例4】
実施例1の金属接着性表面処理剤と95重量%のメチルメタクリレートに5重量%の4-メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物を溶解させた金属接着性促進表面処理剤とを1対1(重量%)で均一に混合したものを金属接着性表面処理剤とした以外は実施例1と同様の方法で引っ張り接着試験をした。
【0122】
結果は、37℃の水中に1日間水中浸漬した場合:10MPa、ヒートサイクルした場合:4MPaで、実施例1と同様に高い接着強さを示すことが分かった。
【0123】
【実施例5】
実施例4の金属接着性促進表面処理剤を使用し、金属の被着体を卑金属であるコバルトクロム合金に変えた以外は 実施例1と同様の方法で引っ張り接着試験をした。
結果は、37℃の水中に1日間水中浸漬した場合:14MPa、ヒートサイクルした場合:5MPaで、実施例1の貴金属を卑金属に変えても実施例1と同様に高い接着強さを示すことが分かった。
【0124】
【実施例6】
実施例1の金属接着性表面処理剤を5重量%の4-メタクリル酸エチルトリメリット酸無水物を溶解させた金属接着性促進表面処理剤に変え、金属の被着体を卑金属であるニッケルクロム合金に変えた以外は 実施例1と同様の方法で引っ張り接着試験をした。
【0125】
結果は、37℃の水中に1日間水中浸漬した場合:13MPa、ヒートサイクルした場合:8MPaで、実施例1の金属接着性表面処理剤をカルボキシル基含有単量体を単独で含む金属接着性表面処理剤に変えても卑金属に対して実施例1と同様に高い接着強さを示すことが分かった。
【0126】
【実施例7】
実施例6の金属の被着体を卑金属である銀合金に変えた以外は 実施例1と同様の引っ張り接着試験をした。
結果は、37℃の水中に1日間水中浸漬した場合:10MPa、ヒートサイクルした場合:7MPaで、実施例6と同様に高い接着強さを示すことが分かった。
【0127】
【実施例8】
被着体を10×20×5mmのタイプIV金合金及び12%金銀パラジウム合金として、厚み150μmの8×8mmの正方形の穴の開いたマースキングテープで被着体を覆い、実施例1の金属接着性表面処理剤を塗布、自然乾燥した後、第1複合材組成物を塗布し、α−Light IIで180秒間光照射して第1複合材組成物を硬化させた。更に、第2複合材組成物をその上から塗布し、α−Light IIで180秒光照射して硬化した。次いで、10×10×5mmの直方体ステンレスモールドをマスキングテ−プの上に置き、実施例1のニューメタカラーインフィスペーストを充填し、実施例1と同様にα−Light IIで光照射して硬化した。ステンレスモールドを除去し、37℃の水中に1日間水中浸漬した後、衝撃試験を実施した。衝撃試験は直径8mmのステンレス棒の先端を半月状にカットした面を第2の組成物の硬化層とペ−スト硬化層の界面に15mmの高さから60回/分の繰り返し速度で250gの加重で衝撃を加え、脱落までの回数を測定した。結果を表1に示す。
【0128】
【比較例4】
比較例1と同様の組成物を使用した以外は実施例8と同様の脱落試験をした。
結果を表1に示す。
【0129】
【比較例5】
比較例2のように第一の組成物を使用しなかった以外は実施例8と同様の脱落試験をした。
結果を表1に示す。
【0130】
【比較例6】
比較例3のように金属接着性表面処理剤を使用しなかった以外は実施例8と同様の脱落試験をした。
結果を表1に示す。
【0131】
【表1】
【0132】
【発明の効果】
本発明によれば、歯科用金属を従来のような表面改質を施さなくても、簡便な使用方法を採用するだけで、良好な接着強さ、耐衝撃性が高く、操作性のよい歯科用接着性金属色遮蔽材のセットが提供することができる。また、金属接着性表面処理剤の使用は無論のこと第1複合材組成物にエラストマー粉末を添加することで耐衝撃性が顕著に向上するため、レジン部分が非常に脱落し難い歯科用人工歯冠の作製が可能となる。
Claims (15)
- (A)硫黄を有する重合性単量体および/または酸性基を有する重合性単量体を含有する金属接着性表面処理剤、
(B)a)重合性単量体、b1)周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする無機酸化物の粉体、b2)エラストマー粉末、c)重合開始剤からなる第1複合材組成物、
(C)a)重合性単量体、b3)周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする無機酸化物の粉体、c) 重合開始剤、d)顔料からなる第2複合材組成物、
の組み合わせから構成されることを特徴とする歯科用接着性金属色遮蔽材セット。 - 前記b2)エラストマー粉末が、a)重合性単量体に部分的に不溶であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用接着性金属色遮蔽材セット。
- 前記b2)エラストマー粉末が、少なくとも1種類の炭素数4〜10の共役ジエンのホモポリマー、および、少なくとも1種類の炭素数4〜10の共役ジエンと他の重合性単量体とのコポリマーよりなる群の1種類から選ばれる少なくとも1種類エラストマーの粉末であることを特徴とする請求項1または2に記載の歯科用接着性金属色遮蔽材セット。
- 上記硫黄を有する重合性単量体が、チオール基、スルフィド基、ポリスルフィド基、スルホキシド基、チオケトン基、チオアルデヒド基、チオアセタ−ル基、チオカルボキシル酸基、チオ燐酸基、チオ炭酸基、チイラン基およびチオラン基よりなる群から選ばれるイオウ含有基を有する少なくとも1種類の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用接着性金属色遮蔽材セット。
- 前記酸性基を有する重合性単量体が、カルボキシル基、燐酸基およびスルホン酸基よりなる群から選ばれる酸性基を有する少なくとも一種類の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用接着性金属色遮蔽材セット。
- 前記硫黄を有する重合性単量体が、下式(1)〜(4)で表される化合物であることを特徴とする請求項4に記載の歯科用接着性金属色遮蔽材セット;
- 上記酸性基を有する重合性単量体が、下式(5)および/または式(6)で表される化合物であることを特徴とする請求項5に記載の歯科用接着性金属色遮蔽材セット;
- 前記エラストマー粉末が、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン類モノマーとブタジエンの共重合体、アクリロニトリルモノマーとブタジエンの共重合体、アクリロニトリルモノマーとブタジエンとスチレン類モノマーとの共重合体、アルキル(メタ)アクリレートとスチレン類モノマーとブタジエンとの共重合体、アルキル(メタ)アクリレートとスチレン類モノマーと分子内に少なくとも1個の水酸基を有するヒドロキシ(メタ)アクリレ−トとの共重合体、酢酸ビニルとアルキル(メタ)アクリレートモノマーとスチレン類モノマーとの共重合体、および、アルキル(メタ)アクリレートとスチレン類モノマーと分子内に少なくとも一個の水酸基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種類のエラストマーの粉末であることを特徴とする請求項3に記載の歯科用接着性金属色遮蔽材セット。
- 前記(A)金属接着性表面処理剤が、重合性単量体と有機溶媒とを含有しており、該金属接着性表面処理剤中に重合性単量体が0.01〜10重量%量で含有されていることを特徴とする請求項1に記載の歯科用接着性金属色遮蔽材セット。
- 前記成分b1)または成分b3)周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成する無機酸化物が、シリカ、ジルコニア、アルミナ、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、および、シリカと珪素以外の周期律表第I〜IV族の元素の酸化物との複合体よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の無機酸化物であることを特徴とする 請求項1に記載の歯科用接着性金属色遮蔽材セット。
- 前記(B)第1複合材組成物100重量部中に、a)成分が10〜55重量部、b1)成分が10〜45重量部、b2)成分が5〜35重量部、c)成分が0.1〜5重量部の量で含有される(ただし、a)+b1)+b2)+c)の合計量は100重量部である)ことを特徴とする請求項1に記載の歯科用接着性金属色遮蔽材セット。
- 前記(C)第2複合材組成物100重量部中当たり、a)成分が10〜50重量部、b3)成分が20〜70重量部、c)成分が0.1〜5重量部、d)成分が0.5〜10重量部の量で含有される(ただし、a)+b3)+c)+d)の合計量は100重量部である)ことを特徴とする請求項1に記載の歯科用接着性金属色遮蔽材セット。
- 前記(B)第1複合材組成物中のb1)成分が、b1-1)周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする平均粒径が1μm以上15μm未満の無機酸化物の粉体を80〜99重量%、およびb1-2)周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする平均粒径が0.001μm以上1μm未満の無機酸化物の粉体を1〜20重量%、からなることを特徴とする請求項11に記載の歯科用接着性金属色遮蔽材セット。
- 前記第2複合材組成物(C)中のb3)成分が、b3-1)周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする平均粒径が1μm以上15μm未満の無機酸化物の粉体を60〜75重量%、b3-2) 周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする平均粒径が15〜50μmの無機酸化物の粉体を10〜20重量%、b3-3)周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする平均粒径が0.01μm以上1μm未満の無機酸化物の粉体を10〜15重量%、およびb3-4)周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする平均粒径が0.001μm以上0.01μm未満の無機酸化物の粉体を5〜10重量%から構成されることを特徴とする請求項12に記載の歯科用接着性金属色遮蔽材セット。
- (A)硫黄を有する重合性単量体および/または酸性基を有する重合性単量体を含有する金属接着性表面処理剤を金属面に塗布し、次いで(B)a)重合性単量体、b1)周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする無機酸化物の粉体、b2) エラストマー粉末、c)重合開始剤からなる第1複合材組成物を塗布、硬化させた後に、該(B)第1複合材組成物の硬化体表面に(C)a)重合性単量体、b3)周期律表第I〜IV族の少なくとも1種類の元素を構成成分とする無機酸化物の粉体、c) 重合開始剤、d)顔料からなる第2複合材組成物を塗布、硬化させることを特徴とする歯科用接着性金属色遮蔽材セットの使用方法。
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