JP2006310500A - 配線基板、圧電性セラミック素子及びそれらの製造方法 - Google Patents

配線基板、圧電性セラミック素子及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリパラキシリレン保護膜の密着性を向上でき、信頼性に優れる配線基板を提供すること。
【解決手段】基板100上に配線電極101を有し、該配線電極101上に電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜103を有する配線基板において、前記基板100上に設けられた配線電極101の基板100と接している側とは反対側の電極表面に対して、一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物の層102を形成してなることを特徴とする配線基板。
【選択図】 図1

Description

本発明は、配線基板、圧電性セラミック素子及びそれらの製造方法に関し、詳しくはポリパラキシリレン保護膜の密着性を向上でき、信頼性に優れる配線基板、圧電性セラミック素子及びそれらの製造方法に関する。
インクジェットヘッドの電極保護において、ポリパラキシリレン膜を電極保護膜として設ける技術は、従来より知られているが、保護膜の金属膜に対する密着性はそれ程高いものではないために圧電体の駆動に伴う電極表面近傍の振動に耐えられずに膜剥れを起こし電流リーク発生、電極の腐食切断のトラブル要因となっている。
この問題の対策として、電極表面とポリパラキシリレンとの密着性を高めるいくつかの方法が提案されている(特許文献1、2、3参照)。
特開平5−140750 プラズマ重合膜+パリレン膜 特開2002−219804 クロム層+パリレン膜 特開2004−122684 電着重合+パリレン膜
しかしながら、特許文献1、2、3に記載の方法では、新たな製膜をするための装置、費用や手間を必要とする欠点がある。
また、インクジェットヘッドの電極として、メッキ電極は蒸着電極と比べて装置コストや製造コストが安いという利点があるが、パリレン膜の密着性に関しては充分でない欠点がある。
具体的には、メッキ電極は圧電材料表面に均一に滑らかに成長するために、空隙の多い蒸着表面に比べてパリレン膜被覆時のアンカー効果が発揮されない問題がある。
また金属表面とパリレン膜との化学的な接合力は元来弱いため、アンカー効果が発揮されないメッキ表面への付着力の低下はインクジェットヘッドとしての信頼性を失わせるという重大な問題となる。
このことはインクジェットヘッドに限らず、基板にパリレン膜を保護膜として形成するデバイス全般に言える。
そこで、本発明は、ポリパラキシリレン保護膜の密着性を向上でき、信頼性に優れる配線基板、圧電性セラミック素子及びそれらの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、パリレンの付着力が元々弱い金属表面、特に表面が滑らかなめっき電極表面の付着力を高めるには、化学的な結合力を付与することが有効と考え、種々の材料を評価した結果、特定構造を有する化合物の層を形成した後、ポリパラキシリレン又はその誘導体の樹脂被覆からなる保護膜を設けることが有効であることを見出し、本発明に至った。
即ち、上記課題は、以下の各発明によって解決される。
(請求項1)
基板上に配線電極を有し、該配線電極上に電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜を有する配線基板において、
前記基板上に設けられた配線電極の基板と接している側とは反対側の電極表面に対して、一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物の層を形成してなることを特徴とする配線基板。
(請求項2)
基板上に配線電極を有し、該配線電極上に電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜を有する配線基板において、
該配線電極上に一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物からなる層が自己組織化した状態で設けられており、前記配線電極を構成する原子と前記化合物からなる層を構成する原子又は分子とが化学結合を形成し、前記化合物からなる層を構成する原子又は分子と前記保護膜を構成する原子又は分子が化学結合してなることを特徴とする配線基板。
(請求項3)
基板上に配線電極を有し、該配線電極上に電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜を有する配線基板において、
該配線電極上に一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物からなる層が自己組織化した状態で設けられており、
前記配線電極を構成する原子と前記化合物からなる層中の前記硫黄原子を含む構造を構成する原子又は分子とが化学結合を形成し、前記化合物からなる層中の前記メタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を構成する原子又は分子と前記ポリパラキシリレン又はその誘導体を構成する原子又は分子が化学結合してなることを特徴とする配線基板。
(請求項4)
圧電性セラミック基板上に電極膜を有し、該電極上に該電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜を有する圧電性セラミック素子において、
前記圧電性セラミック基板上に設けられた電極膜の該基板と接している側とは反対側の電極表面に対して、一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物の層を形成してなることを特徴とする圧電性セラミック素子。
(請求項5)
圧電性セラミック基板上に電極膜を有し、該電極上に該電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体の樹脂皮膜からなる保護膜を有する圧電性セラミック素子において、
前記圧電性セラミック基板上に設けられた電極膜の該基板と接している側とは反対側の電極表面に、一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物からなる層が自己組織化した状態で設けられており、
前記電極膜を構成する原子と前記化合物からなる層中の前記硫黄原子を含む構造を構成する原子又は分子とが化学結合を形成し、前記化合物からなる層中の前記メタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を構成する原子又は分子と前記ポリパラキシリレン又はその誘導体を構成する原子又は分子が化学結合してなることを特徴とする圧電性セラミック素子。
(請求項6)
前記圧電性セラミック基板上に設けられた電極膜の圧電性セラミック素子と接している側とは反対側の電極表面が、電解メッキ又は無電解メッキにより形成され、該メッキがニッケルメッキ、金メッキ、銅メッキ、パラジウムメッキ、銀メッキ又は白金メッキの何れかから選択されることを特徴とする請求項4又は5記載の圧電性セラミック素子。
(請求項7)
請求項4〜6の何れかに記載の圧電性セラミック素子を用い、前記圧電性セラミック基板上に設けられた前記電極膜に駆動電圧を印加して該素子を駆動し、インクを加圧して微小液滴として吐出することを特徴とするインクジェットヘッド。
(請求項8)
基板上に配線電極を形成する工程と、該配線電極上に電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜を形成する工程を有する配線基板の製造方法において、
該配線電極上に一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物からなる層を自己組織化した状態で設ける工程を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
(請求項9)
前記化合物からなる層を自己組織化した状態で設ける工程が、60℃以上150℃以下の加熱処理を行うことを特徴とする請求項8記載の配線基板の製造方法。
(請求項10)
圧電性セラミック基板上に電極膜を形成する工程と、該電極膜上に電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜を形成する工程を有する圧電性セラミック素子の製造方法において、
該電極膜上に一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物からなる層を自己組織化した状態で設ける工程を有することを特徴とする圧電性セラミック素子の製造方法。
(請求項11)
前記化合物からなる層を自己組織化した状態で設ける工程が、60℃以上150℃以下の加熱処理を行うことを特徴とする請求項10記載の圧電性セラミック素子の製造方法。
本発明によれば、ポリパラキシリレン保護膜の密着性を向上でき、信頼性に優れる配線基板、圧電性セラミック素子及びそれらの製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(配線基板の説明)
本発明の配線基板の一例は、図1に示す構成を有しており、100は基板であり、101は配線電極である。配線電極は、特に限定されないが、ニッケル、金、銅、パラジウム、銀又は白金の何れかから選択される金属電極が好ましく、さらに電解メッキ又は無電解メッキにより形成され、該メッキがニッケルメッキ、金メッキ、銅メッキ、パラジウムメッキ、銀メッキ又は白金メッキの何れかから選択されることが好ましい。導電性が高く電極としての性能に優れるためである。
102は一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物(以下、必要により本発明化合物という)からなる層である。
103はポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜である。保護膜103は、ポリパラキシリレン又はその誘導体からなり、これらの保護膜を必要により「パリレン膜」と言う。パリレン膜の詳細はインクジェットヘッドの項で詳述する。
本発明化合物からなる層102は自己組織化した状態で形成されていることが好ましい態様である。
ここで、「自己組織化」とは、電極の表面を構成する原子と本発明化合物からなる層を構成する原子又は分子とが化学的に結合されていて、自発的選択的に形成された秩序ある構造を有していることである。
本発明化合物が、電極表面に自発的選択的に形成された秩序ある構造を有した状態で被覆されていることを確認するために、以下の実験を行った。
単位面積当たりに塗布される本発明化合物の量を制御するために、塗布液の濃度を変化させて、本発明化合物を塗布した電極表面の接触角の値を測定した。電極表面に本発明化合物からなる層が自己組織化した状態で設けられるとすると、疎水性のメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造で電極表面が覆われるために、水の接触角が大きくなると考えられる。本発明化合物の塗布量を変化させた時の接触角の値を測定すると、塗布量に比例して接触角の値は上昇していき、塗布量がある量以上になると接触角の値は変化しなくなる。このときの塗布量と塗布面積から計算すると、20〜40Å2当たりに本発明化合物1分子が配置されていることになる。
このことは、単分子膜を形成する場合の計算値に相当する量の本発明化合物を塗布しただけで、電極表面に本発明化合物が配向した状態をとることを意味するものであり、本発明化合物が電極表面上に自発的選択的に形成された秩序ある構造を有していると考えられる。
本発明化合物は、一般式X―R―Yで表される。
一般式において、Xはメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造であり、メタクリル酸誘導体構造は置換されていてもよいH2C=C(CH3)CO−基であり、またビニル基構造は置換されていてもよいH2C=CH−基である。
Rは脂肪族アルキレン、又は芳香族を含むスペーサーを表し、アミノ基又はエーテル基等を含んでもよい。アミノ基はアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基など)などによって置換されていてもよい。
Yは硫黄原子を一つ以上含む原子団であり、メルカプト基、スルフィド基、ポリスルフィド基、スルホキシド基、チオケトン基、チオアルデヒド基、チオアセタール基、チオカルボキシル基、チオリン酸基、チオ炭酸基、チイラン基及びチオラン基よりなる群より選ばれる硫黄含有基を少なくとも一つ含むものである。
Yの好ましい態様は、2,4−ジメルカプト−1,3,5−トリアジン基、2,4−ジメルカプト−1,3−ピミジン基、チオウラシル基等が挙げられ、またこれらの化合物のジチオン型又はチオン型でもよい。
メルカプト基を有する化合物は保存安定性に問題があるが、トリアジンチオールやピリミジンチオンなどは「チオール型」と「チオン型」の互変異性があるため保存安定性に優れる。
本発明化合物の例示化合物としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2006310500
本発明化合物からなる層102の厚みは、薄膜であれば特に限定されないが、0.3nm〜0.1μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.5nm〜0.01μmの範囲である。単分子膜を形成する程度の厚みがあれば十分効果があり、厚みが分子長より厚いと本発明化合物からなる層102内で膜剥がれが発生するからである。
本発明化合物からなる層102は、配線電極101とパリレン膜103との間に形成されて、配線電極101とパリレン膜103との間の付着性を向上させているが、その機構は以下のように考えられる。
第1には、前記配線電極101と本発明化合物からなる層102の化学結合、特に共有結合によるものである。即ち、前記配線電極101を構成する原子と前記化合物からなる層中の前記硫黄原子を含む構造を構成する官能基中の原子又は分子とが共有結合を形成する。
第2には、本発明化合物からなる層102とパリレン膜103の化学結合、特に共有結合によるものである。即ち、前記化合物からなる層中の前記メタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を構成する原子又は分子と前記ポリパラキシリレン又はその誘導体を構成する原子又は分子が共有結合する。
前記配線電極101と本発明化合物からなる層102の化学結合に関しては、(1)ニッケル、金、銅などの金属表面と硫黄原子を含む化合物の化学結合についてその反応機構を以下に説明する。以下の反応機構のように化学結合が形成されることにより、膜付性向上に寄与しているものと考えられる。
本発明化合物からなる層102とパリレン膜103の化学結合に関しては、(2)メタクリル酸エステル構造とパリレン膜の成長時における膜の一部との化学反応、(3)ビニル基構造とパリレン膜の成長時における膜の一部との化学反応についてその反応機構を以下に説明する。以下の反応機構のように化学結合が形成されることにより、本発明化合物からなる層102とパリレン膜103の化学結合が形成され、パリレン膜103が強固に形成され、膜付性向上に寄与しているものと考えられる。
(反応機構)
(1)ニッケル、金、銅などの金属表面と硫黄原子を含む化合物の化学結合。
Figure 2006310500
硫黄原子の非共有電子対と金属表面の正の電荷を持った金属原子との間に、配位結合が形成される。この化学結合により、前記配線電極101と本発明化合物からなる層102が強固に結合し、膜付性向上に寄与しているものと考えられる。
(2)メタクリル酸誘導体構造とパリレン膜の成長時における膜の一部との化学反応。
Figure 2006310500
パリレン膜の成長時において、ジパラキシリレンダイマーの熱分解により発生するラジカルが、メタクリル酸誘導体のC=C二重結合部分と反応し、本発明化合物とパリレン膜103との間に共有結合が形成される。そして、メタクリル酸誘導体部分に生成したラジカルから、さらにパリレン膜が再成長する。この結果、パリレン膜と本発明化合物が化学結合により強固に結合することになる。
(3)ビニル基構造とパリレン膜の成長時における膜の一部との化学反応。
Figure 2006310500
パリレン膜の成長時において、ジパラキシリレンダイマーの熱分解により発生するラジカルが、ビニル基と反応して、本発明化合物とパリレン膜103との間に共有結合が形成される。そして、ビニル基に生成したラジカルから、さらにパリレン膜が再成長する。この結果、パリレン膜と本発明化合物が化学結合により強固に結合することになる。
本発明において、本発明化合物からなる層102を形成する手法は、特に限定されないが、以下に好ましい方法を説明する。
(1)本発明化合物を溶解可能な溶剤に溶かし、基板100に設けた配線電極101上に層102を形成する。この場合、スプレーなどの塗布方法のほかに、浸漬法などが有効である。また、付着量は微量でも上記反応が可能であるので、塗布後に溶媒ですすぎをすることで、余分を除去することも有効である。
(2)次に、本発明化合物が十分な揮発性を有する場合、常圧あるいは減圧下で蒸気処理して蒸着により層102を形成する。
基板100を本発明化合物とともに密閉した容器中に保管し、一定時間の暴露処理をするものである。また減圧下で処理する場合、本発明化合物と基板100を減圧チャンバー内において、ポンプで適当圧力まで減圧をする。比較的蒸気圧の低い材料においてもこの方法であれば層102の形成が可能である。
(3)次に、減圧下での蒸気による処理方法においては、パリレンの減圧チャンバー内でパリレン製膜の直前に行なうことも出来る。この方法であれば、層102の形成に続いてパリレン製膜が連続的に行なえるメリットがある。
また、本発明において、層102の形成における反応を促進するために、層形成時に加熱処理をすることも有効である。本発明化合物と電極金属表面との反応には加熱が有効であり、膜付性を安定したものとする。
熱処理は60℃〜150℃程度が適当で、塗布方法の場合は塗布工程の後に加熱処理を行い、蒸気処理の場合は同時に加熱処理することができる。60℃未満では加熱による反応性向上効果が見られず、150℃をこえると脱離反応が優位に進行してしまい効果が低減する。
本発明の配線電極の形成方法は、金属、セラミック、プラスチック等の種々の材料を基板とし、或いはそれら種々の材料を表面に設けた基板を用いた各種半導体素子等の電子部品やインクジェットヘッド等のデバイスに適用が可能である。
(圧電性セラミック素子及びインクジェットヘッドの説明)
次に、本発明の圧電性セラミック素子及びそれを用いたインクジェットヘッドについて詳細に説明する。
図2は本発明の一実施形態であるインクジェットヘッドの要部斜視図、図3は同上のインクジェットヘッドにおけるインクチャネル1個分の断面模式図である。
この実施の形態のインクジェットヘッド1は、圧電性セラミック基板にインク流路であるインクチャネル4が形成された圧電性セラミック素子2とカバープレート3とノズルプレート7とを備えている。インクチャネル4の両側には側壁5を有しており、該側壁5の内面には電極6が設けられ、この電極6の表面とカバープレート3の内壁は本発明化合物からなる層102とパリレン膜103によって被覆されている(図3参照)。8はノズルプレート7に設けられインク吐出孔となるノズル孔である。なお、以下の説明では圧電性セラミック素子2は圧電性セラミック素子基板ともいう。
圧電性セラミック素子2に用いられるセラミック基板としては、例えば、PZT、BaTiO3、PbTiO3等を使用することができる。その中でも、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)を含有し、圧電特性を有する圧電性セラミック基板であるPZT基板が、圧電定数やその高周波応答性などの圧電特性に優れるので好ましい。
また、カバープレート3としては、機械的強度が高く、耐インク性を備えたものであれば、例えばガラス、セラミック、金属或いはプラスチックなどのような種々の材質のものを用いることができるが、セラミック基板を用いることが好ましい。更に変形されるPZT基板等の圧電性セラミック基板と接合された態様を考慮すると、非圧電性のセラミック基板を用いることが好ましい。非圧電性セラミック基板としては、例えば、シリコン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、窒化アルミニウム、窒化シリコン、シリコンカーバイト、石英の少なくとも1つを主成分とした基板等を挙げることができる。特に、酸化アルミニウム又は酸化ジルコニウム等を主成分とするセラミック基板は、板厚が薄くても優れた基板特性を有し、駆動時の発熱や環境温度の変化に伴う基板の膨張によるそりやストレスでの破壊を低下できるので好ましく、酸化アルミニウムを主成分とする基板は安価で高絶縁性であるので特に好ましい。
本発明におけるインクジェットヘッドは、特に限定されないが、圧電性セラミック素子と非圧電性のセラミック基板を用いて形成されるシェアモードのピエゾ型インクジェットヘッドが好ましく、非圧電性のセラミック基板として酸化アルミニウム基板を用いると、インクジェットヘッドがより安価に製造し得るのでより好ましい。
電極6としては、例えば、蒸着、スパッタリングあるいはメッキ等により形成できる。
電極6は、電解メッキ又は無電解メッキにより形成されることが好ましく、該メッキに用いられる金属は、耐食性、導電性等を考慮すると、ニッケル、金、銅、パラジウム、銀又は白金の何れかから選択されることが好ましい。
電極6の厚みは、0.1〜10μm程度に形成され、この範囲が通常使用される範囲であり好ましい。
また、電極6の耐食性及び安定性を向上するのに陽極酸化処理を施すのが有効である。陽極酸化処理の具体例を次に示す。電解液として、300mlのエチレングリコール及び30mlの3%酒石酸からなるpH7.0±0.5(アンモニア水で調整)の液を用い、厚さ2.0μmのアルミニウム電極膜を形成した圧電性基板を浸漬し、電極膜をプラスにして電流密度1mA/cm2で電極が100Vに達するまでは定電流で、電圧100Vに達した後は100Vの定電圧で陽極酸化を行い、電流密度が0.1A/cm2以下となったとき処理を終了させる。
ノズルプレート7としては、例えば、ポリアルキレン、エチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネイト、酢酸セルロース等のプラスチックが好適である。
図4は、図2のインクチャネル1個分における圧電性セラミック素子2の一部を示すもので、厚さ1mmの圧電性セラミック素子2の一面に微少な溝部(例えばL:30mm、H:360μm、B:70μm)が加工されている。
この圧電性セラミック素子2の加工面にカバープレート3(図2参照)を接合することにより、インク流路となるインクチャネル4(例えばL:30mm、H:360μm、B:70μm)が溝部(側壁5と5の間)に形成される。
インクチャネル4の一端は、図示しないインク供給部(インクマニフォールド)に連結され、他端は、図2に示すようにノズル孔8を備えたノズルプレート7により構成されたインク吐出部と連結される。
尚、インク供給部及びインク吐出部との連結は、後述の本発明化合物からなる層102とパリレン膜103の形成工程の後に行うとインクジェットヘッドの製造がし易くなり好ましい。
電極6の形成後または電極6の陽極酸化処理後、保護膜形成工程前に、カバープレート3を圧電性セラミック素子2に接着することが好ましい。
この接着工程では、接着剤を塗布する前に、圧電性セラミック素子2の溝部が設けられた加工面及び前記溝部を覆うカバープレート3の接着面は、その状態に応じて洗浄や研磨等の前処理を行うことが好ましい。接着面の前処理により良好な接着を行うことができる。
圧電性セラミック素子2の接着面とカバープレート3の接着面とを、例えばエポキシ系接着剤で接着して、圧電性セラミック素子2とカバープレート3は一体に組み立てられる。組立後、例えば、接着面は加圧状態で、約120℃まで加熱され、さらにこの加圧・加熱状態が約2時間保持されて、接着剤が硬化される。
この接着工程により厚さ1.0〜2.0μmの範囲の接着剤層が接着面に形成され、また一体化された圧電性セラミック素子2とカバープレート3間にインク流路となるインクチャネル4が形成される。
上記のような接着終了後、一体化された圧電性セラミック素子2に対し、本発明化合物からなる層102とパリレン膜103を形成する。
本発明化合物からなる層102の形成方法については、前記配線基板の説明で詳述したので、その説明を援用し、ここでは省略する。
パリレン膜は、ポリパラキシリレン樹脂及び/又はその誘導体樹脂からなる被膜であり、固体のジパラキシリレンダイマー又はその誘導体を蒸着源とする気相合成法(Chemical Vaper Deposition:CVD法)により形成する。
即ち、ジパラキシリレンダイマーが気化、熱分解して発生したジラジカルパラキシリレンモノマーが、本発明化合物からなる層102上に吸着して重合反応し、被膜を形成するものである。
従って、本発明化合物からなる層102とパリレン膜103の化学結合に関しては、前述の(2)メタクリル酸エステル構造とパリレン膜の成長時における膜の一部との化学反応、(3)ビニル基構造とパリレン膜の成長時における膜の一部との化学反応が起こり、上述の反応機構のように化学結合が形成される。このため本発明化合物からなる層102とパリレン膜103の化学結合が形成され、パリレン膜103が強固に形成され、膜付性向上に寄与しているものと考えられる。
また本発明では、種々のパリレン膜を用いることができ、例えばパラキシレンの2量体であるジパラキシリレンダイマーを用いて膜形成した「パリレンN」や、パラキシレンのモノクロロ置換体の2量体であるジパラキシリレンダイマー(従ってダイマー中には二つの塩素原子をもつ)を用いて膜形成したポリクロロパラキシリレンである「パリレンC」を用いることができる。
さらに本発明では、その他、種々の置換したジパラキシリレンダイマー又はその誘導体を用いた種々のパリレン膜を用いることができ、必要な性能等に応じて、各種のパリレン膜やそれら種々のパリレン膜を複数積層したような多層構成のパリレン膜等を所望のパリレン膜として適用することができる。
(パリレンNの構造式)
Figure 2006310500
(パリレンCの構造式)
Figure 2006310500
インクジェットヘッドにおいては、パリレン膜の膜厚を1μm以上10μm以下とすることでインク吐出性能にも優れたインクジェットヘッドを得ることができる。
以上、本発明の好ましいインクジェットヘッドについて説明したが、本発明のインクジェットヘッドは上記に限定されず、種々の態様を採用できる。
たとえば、図5、図6に示す平坦部と曲線部とからなるインクチャネルを有するインクジェットヘッドを採用することもできる。
図示のインクジェットヘッド1は、カバープレート3にインク供給口10が形成され、該インク供給口10にインクチューブ11が接続されている構成で、インクチャネル4は側壁5とカバープレート3及び圧電性セラミック素子基板2によって形成されている。
図6に示すようなせん断モードインクジェットヘッド1では、カバープレート3と圧電性セラミック素子基板2の間に複数の側壁5で隔てられたインクチャネル4が多数構成されている。図6では多数のインクチャネル4の一部である3本が示されている。側壁5の側面には、側壁の上部(カバープレート3側)から側壁高さの略半分の位置まで電極6a、6b、6cが密着形成されている。
電極6a、6b、6cは、図示のようにインクチャネル4に臨む内側の対向する電極を共通に接続し、該対向する電極に印字パルスを印加すると、以下に述べる動作によってインク滴をノズル孔8から飛翔する。即ち、側壁5は、図6(a)の矢印で示すように、図示上方向に分極された圧電材料で構成されていて、電極6a、6b、6cのいずれにも印字パルスが印加されない時は、側壁5は変形しないが、図6(b)に示すように電極6aに印字パルスが印加されると共に電極6b、6cを接地すると、圧電材料の分極方向に直角な方向の電界が生じ、側壁5がズリ変形を生じて、それによりインクの圧力が変化することによってインクチャネル4を満たしているインクの一部がノズル孔8から飛翔する。また、印字パルスの極性を変え、電界の向きを変えることによって、側壁の変形する向きを変えることができる。
本発明の他の好ましい態様としては、図7、図8に示すインクジェットヘッドを採用することもできる。この態様は、図5、図6の態様をさらに改良したもので、このせん断モードインクジェットヘッドでは、側壁5は、図8(a)の矢印で示すように、接合部を挟んで分極方向が異なる2個の圧電素子からなる側壁5Aと5Bとから構成されていて、電極6a、6b、6cのいずれにも印字パルスが印加されない時は、側壁5A、5Bは変形しないが、図8(b)に示すように電極6aに印字パルスが印加されると共に電極6b、6cを接地すると、圧電物質の分極方向に直角な方向の電界が生じ、側壁5A、5Bの接合面にズリ変形を生じて、それによりインクの圧力が変化することによってインクチャネル4を満たしているインクの一部をノズル孔8から飛翔する。また、印字パルスの極性を変え、電界の向きを変えることによって、側壁の変形する向きを変えることができる。
以上の説明はインクジェットヘッドの形状の一例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例によって何ら制限されるものではない。
実施例1−6及び比較例1、2
アルミナ基板上に2cm×2cmサイズの電極をパターン形成し、下記前処理条件にて表1に示す前処理材料を用いて本発明化合物からなる層を形成後、パリレン製膜を行って、電極保護膜を形成した。
次いで、塩酸によってpHが2となるように調整した海水中に電極保護膜形成部分を浸漬し、直流バイアス15vを一定時間印加して、強制劣化試験を実施した。
電圧印加後のリーク電流を測定し、絶縁性が保たれているか否かで保護膜性能を評価した。
(前処理条件)
(ア)前処理材料の1%THF(テトラヒドロフラン)溶液を作成し、電極形成部材を前記溶液中に浸漬する。その後、THFですすぎ洗浄した後、常温で乾燥させる。
(イ)前処理材料の1%THF(テトラヒドロフラン)溶液を作成し、電極形成部材を前記溶液中に浸漬する。その後、THFですすぎ洗浄した後、60℃3時間の加熱処理を行う。
(ウ)前処理材料の1%THF(テトラヒドロフラン)溶液を作成し、電極形成部材を前記溶液中に浸漬する。その後、THFですすぎ洗浄した後、100℃1時間の加熱処理を行う。
(エ)前処理材料の1%THF(テトラヒドロフラン)溶液を作成し、電極形成部材を前記溶液中に浸漬する。その後、THFですすぎ洗浄した後、150℃15分間の加熱処理を行う。
(オ)前処理材料0.5gをガラスビーカに取り、減圧チャンバ内に電極形成部材と共存させ、1/100気圧まで減圧した状態を維持して100℃1時間の加熱処理を行う。
(評価基準)
144時間経過後リーク電流値が1μA以下の場合 ◎
96時間経過後リーク電流値が1μA以下の場合 ○
72時間経過後リーク電流値が1μA以下の場合 ×
72時間経過後リーク電流値が1μAを超える場合 ××
(評価結果)
表1に示す。
Figure 2006310500
(表1中の前処理材料)
表1中に示した前処理材料を以下に示す。
Figure 2006310500
<前処理材料Aの合成方法>
6-(4-ビニルベンジル-n-プロピル)アミノ-2,4-ジメルカプト-1,3,5-トリアジンは以下のようにして合成できる。
まずクロロメチルスチレンとn-プロピルアミンに、水酸化ナトリウムが溶解されたメタノールを加え、50℃程度の温度で反応させて得られた反応混合物を減圧蒸留することで、(4‐ビニルベンジル-n-プロピル)アミンを合成する。
次に、塩化シアヌルをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、これに上記のようにして得られた(4‐ビニルベンジル-n-プロピル)アミンをTHFに溶解したものを、攪拌しながら氷水で冷却しながら、ゆっくりと滴下する。滴下終了後1時間放置し、反応させ、得られた反応混合物に炭酸ナトリウム水溶液をゆっくりと滴下する。
滴下終了後に50℃程度の温度で1時間攪拌する。得られた黄褐色の反応液に塩酸水溶液を加えて酸性とし、塩化ナトリウムで塩析しながらTHF層と水層とを分液する。
次に、THF層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、THFを留去する。得られたオイル状物をアセトンに溶解させ、エーテル/n-ヘキサンの混合溶媒中に攪拌しながら滴下すると、6-(4-ビニルベンジル-n-プロピル)アミノ-2,4-ジメルカプト-1,3,5-トリアジンが得られる。
実施例7及び比較例3
下記表2に示す前処理材料及び前処理条件で保護膜形成を行った64ノズルのインクジェットヘッドを図2のように作成し、下記処方のインクを使用し、インク浸漬60℃保管試験を1ヶ月行い、その後24時間の連続射出試験を行い、正常な射出状態が保たれているかで保護膜性能を評価した。またパリレン膜厚は5μmとした。
(インク組成)
水 44.8wt%
グリセリン 30.0wt%
エチレングリコール 20.0wt%
界面活性剤 0.1wt%
pH緩衝剤 0.1wt%
染料 5.0wt%
(評価基準)
24時間の連続射出試験中、正常射出が保たれている場合 ◎
24時間の連続射出試験中、射出不良が発生した場合 ×
(評価結果)
表2に示す。
Figure 2006310500
また、実施例7では正常な射出状態が保たれたが、比較例3では64ノズル中10ノズルにおいて射出不良が発生した。これは保護膜剥離による電極腐食が原因の射出不良であった。
本発明に係る配線基板の一例を示す図 本発明に係るインクジェットヘッドの一実施形態を示す要部斜視図 本発明に係るインクジェットヘッドにおけるインクチャネル1個分の断面模式図 本発明に係るインクチャネル1個分における圧電性セラミック素子の一部を示す斜視図 本発明の他の実施形態であるインクジェットヘッドの構成の一例を示す断面図 (a)(b)は図5に示すインクジェットヘッドの基本動作を示す図 本発明の他の実施形態であるインクジェットヘッドの構成の一例を示す断面図 (a)(b)は図7に示すインクジェットヘッドの基本動作を示す図
符号の説明
1:インクジェットヘッド
2:圧電性セラミック素子、圧電性セラミック素子基板
3:カバープレート
4:インクチャネル
5:側壁
6:電極
7:ノズルプレート
8:ノズル孔
100:基板
101:配線電極
102:層
103:保護膜

Claims (11)

  1. 基板上に配線電極を有し、該配線電極上に電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜を有する配線基板において、
    前記基板上に設けられた配線電極の基板と接している側とは反対側の電極表面に対して、一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物の層を形成してなることを特徴とする配線基板。
  2. 基板上に配線電極を有し、該配線電極上に電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜を有する配線基板において、
    該配線電極上に一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物からなる層が自己組織化した状態で設けられており、前記配線電極を構成する原子と前記化合物からなる層を構成する原子又は分子とが化学結合を形成し、前記化合物からなる層を構成する原子又は分子と前記保護膜を構成する原子又は分子が化学結合してなることを特徴とする配線基板。
  3. 基板上に配線電極を有し、該配線電極上に電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜を有する配線基板において、
    該配線電極上に一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物からなる層が自己組織化した状態で設けられており、
    前記配線電極を構成する原子と前記化合物からなる層中の前記硫黄原子を含む構造を構成する原子又は分子とが化学結合を形成し、前記化合物からなる層中の前記メタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を構成する原子又は分子と前記ポリパラキシリレン又はその誘導体を構成する原子又は分子が化学結合してなることを特徴とする配線基板。
  4. 圧電性セラミック基板上に電極膜を有し、該電極上に該電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜を有する圧電性セラミック素子において、
    前記圧電性セラミック基板上に設けられた電極膜の該基板と接している側とは反対側の電極表面に対して、一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物の層を形成してなることを特徴とする圧電性セラミック素子。
  5. 圧電性セラミック基板上に電極膜を有し、該電極上に該電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体の樹脂皮膜からなる保護膜を有する圧電性セラミック素子において、
    前記圧電性セラミック基板上に設けられた電極膜の該基板と接している側とは反対側の電極表面に、一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物からなる層が自己組織化した状態で設けられており、
    前記電極膜を構成する原子と前記化合物からなる層中の前記硫黄原子を含む構造を構成する原子又は分子とが化学結合を形成し、前記化合物からなる層中の前記メタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を構成する原子又は分子と前記ポリパラキシリレン又はその誘導体を構成する原子又は分子が化学結合してなることを特徴とする圧電性セラミック素子。
  6. 前記圧電性セラミック基板上に設けられた電極膜の圧電性セラミック素子と接している側とは反対側の電極表面が、電解メッキ又は無電解メッキにより形成され、該メッキがニッケルメッキ、金メッキ、銅メッキ、パラジウムメッキ、銀メッキ又は白金メッキの何れかから選択されることを特徴とする請求項4又は5記載の圧電性セラミック素子。
  7. 請求項4〜6の何れかに記載の圧電性セラミック素子を用い、前記圧電性セラミック基板上に設けられた前記電極膜に駆動電圧を印加して該素子を駆動し、インクを加圧して微小液滴として吐出することを特徴とするインクジェットヘッド。
  8. 基板上に配線電極を形成する工程と、該配線電極上に電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜を形成する工程を有する配線基板の製造方法において、
    該配線電極上に一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物からなる層を自己組織化した状態で設ける工程を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
  9. 前記化合物からなる層を自己組織化した状態で設ける工程が、60℃以上150℃以下の加熱処理を行うことを特徴とする請求項8記載の配線基板の製造方法。
  10. 圧電性セラミック基板上に電極膜を形成する工程と、該電極膜上に電極表面と外部との絶縁のためにポリパラキシリレン又はその誘導体からなる保護膜を形成する工程を有する圧電性セラミック素子の製造方法において、
    該電極膜上に一つの末端にメタクリル酸誘導体構造又はビニル基構造を有し、且つ他の末端に硫黄原子を含む構造を有する化合物からなる層を自己組織化した状態で設ける工程を有することを特徴とする圧電性セラミック素子の製造方法。
  11. 前記化合物からなる層を自己組織化した状態で設ける工程が、60℃以上150℃以下の加熱処理を行うことを特徴とする請求項10記載の圧電性セラミック素子の製造方法。

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