JP2010118641A - 圧電素子、液体噴射ヘッド、および液体噴射装置 - Google Patents

圧電素子、液体噴射ヘッド、および液体噴射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】変位が十分に大きく、かつ、圧電体層の劣化が抑制された圧電素子を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる圧電素子100は、基板10と、基板10の上方に形成された下部電極20と、下部電極20の上方に形成された圧電体層30と、圧電体層30の上方に形成された上部電極40と、圧電体層30の側面に形成された保護層60と、保護層60の圧電体層30と反対側の面に形成された自己組織化単分子膜70と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電素子、液体噴射ヘッド、および液体噴射装置に関する。
圧電素子の圧電体層に用いられるチタン酸ジルコン酸鉛(以下、本明細書において、「PZT」と略すことがある。)などは、水分を吸収することにより絶縁破壊を起こすことがある。これを避けるために、圧電素子において、圧電体層を水分バリア層(保護膜)により被覆する技術が開示されている。特に、酸化アルミニウム(Al)などは良好な水分バリア性を有し、例えば、特開2005−178293号公報などには、圧電体層を酸化アルミニウム層で被覆した圧電素子が開示されている。
特開2005−178293号公報
しかしながら、酸化アルミニウムは酸化シリコンや有機物に比べてヤング率が大きいため、圧電素子の変形を阻害してしまうという欠点を有する。また、圧電体層を酸化アルミニウム層で被覆した圧電素子において、変位を向上させるために、酸化アルミニウム層の膜厚を薄くすると、水分バリア性が低下してしまうというトレードオフの関係があった。
本発明にかかるいくつかの態様の目的の1つは、変位が十分に大きく、かつ、圧電体層の劣化が抑制された圧電素子を提供することにある。
本発明にかかる圧電素子は、
基板と、
前記基板の上方に形成された下部電極と、
前記下部電極の上方に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上方に形成された上部電極と、
前記圧電体層の側面に形成された保護層と、
前記保護層の前記圧電体層と反対側の面に形成された自己組織化単分子膜と、
を含む。
このような圧電素子は、変位が十分に大きく、かつ、圧電体層の劣化が抑制されることができる。
なお、本発明において、特定のA部材(以下、「A部材」という。)の上方に設けられた特定のB部材(以下、「B部材」という。)というとき、A部材の上に直接B部材が設けられた場合と、A部材の上に他の部材を介してB部材が設けられた場合とを含む意味である。
本発明にかかる圧電素子において、
前記保護層の材質は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、および酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種であることができる。
本発明にかかる圧電素子において、
前記保護層の材質は、パラキシリレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、および有機/無機ハイブリッド系材料から選ばれる少なくとも1種であることができる。
本発明にかかる圧電素子において、
前記保護層の材質は、パラキシリレン系樹脂であることができる。
本発明にかかる圧電素子において、
前記保護層の材質は、有機/無機ハイブリッド系材料であることができる。
本発明にかかる圧電素子は、
基板と、
前記基板の上方に形成された下部電極と、
前記下部電極の上方に形成された圧電体層と、
前記圧電体層の上方に形成された上部電極と、
を含み、
前記圧電体層の側面に、自己組織化単分子膜、パラキシリレン系樹脂層、および有機/無機ハイブリッド系材料層から選ばれる少なくとも1種が形成されている。
このような圧電素子は、変位が十分に大きく、かつ、圧電体層の水分による劣化が抑制されることができる。
本発明にかかる液体噴射ヘッドは、上述の圧電素子のいずれかを有する。
本発明にかかる液体噴射装置は、上述の液体噴射ヘッドを備える。
実施形態にかかる圧電素子100を模式的に示す断面図。 実施形態にかかる圧電素子100を模式的に示す平面図。 実施形態にかかる圧電素子100の製造工程を模式的に示す断面図。 実施形態にかかる圧電素子100の製造工程を模式的に示す断面図。 実施形態にかかる圧電素子100の製造工程を模式的に示す断面図。 実施形態にかかる圧電素子100の製造工程を模式的に示す断面図。 実施形態にかかる圧電素子100の製造工程を模式的に示す断面図。 実施形態にかかる圧電素子100の製造工程を模式的に示す断面図。 実施形態にかかる圧電素子200を模式的に示す断面図。 実施形態にかかる圧電素子300を模式的に示す断面図。 実施形態の液体噴射ヘッド1000を模式的に示す断面図。 実施形態のインクジェット記録装置2000の概略的に示す斜視図。 実験例の耐圧測定結果を示すグラフ。 実験例の変位測定結果を示すグラフ。
以下に本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例として説明するものである。
1.第1実施形態
1.1.圧電素子
図1は、本実施形態の圧電素子100を模式的に示す断面図である。図2は、本実施形態の圧電素子100を模式的に示す平面図である。本実施形態にかかる圧電素子100は、基板10と、下部電極20と、圧電体層30と、上部電極40と、保護層60と、自己組織化単分子膜70と、を含む。
基板10は、圧電素子100が動作したときに機械的な出力を行う部材である。基板10は、たとえば、振動板を含んで構成され、液体噴射ヘッドの可動部分となることができ、圧力発生室などの壁の一部を構成していてもよい。基板10の厚みは、用いる材質の弾性率などにしたがって最適に選ばれる。基板10が液体噴射ヘッドの振動板である場合は、基板10の厚みは、たとえば、200〜2000nmとすることができる。基板10の厚みが200nmよりも薄いと、振動等の機械的出力を取り出しにくくなることがあり、2000nmよりも厚いと、振動等が生じなくなる場合がある。基板10は、圧電体層30の動作により、たわんだり振動したりすることができる。基板10の材質には、剛性および機械的強度の高い材料を含むことが望ましい。基板10の材質としては、たとえば、酸化ジルコニウム、窒化シリコン、酸化シリコンなどの無機酸化物、ステンレス鋼などの合金を好適に用いることができる。これらのうち、基板10の材質としては、化学的安定性および剛性の点で、酸化ジルコニウムが特に好適である。基板10は、例示した物質の2種以上の積層構造であってもよい。
圧電素子100は、図2に示すように、下部電極20、圧電体層30、および上部電極40からなる構造を複数有することができる。
下部電極20は、基板10の上方に形成される。下部電極20は、基板10に直接接して形成されてもよい。基板10の上面が導電性を有する場合は、下部電極20と基板10との間に絶縁性の部材を設けることができる。下部電極20は、上部電極40と対になり、圧電体層30を挟む一方の電極として機能する。下部電極20は、たとえば、図2に示すように、隣のキャパシタ構造部50の下部電極20と共通して構成することができる。下部電極20は、図示せぬ外部回路と電気的に接続されている。下部電極20の厚みは、基板10に圧電体層30の変形が伝達できる範囲であれば任意である。下部電極20の厚みは、たとえば100〜300nmとすることができる。下部電極20の材質は、導電性を有する限り特に限定されず、たとえば、ニッケル、イリジウム、白金などの各種の金属、それらの導電性酸化物(たとえば酸化イリジウムなど)、ストロンチウムとルテニウムの複合酸化物、ランタンとニッケルの複合酸化物などを用いることができる。また、下部電極20は、前記例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
圧電体層30は、下部電極20の上方に設けられる。圧電体層30は、図1および図2の例では、基板10の上方にも設けられている。圧電体層30の厚みは、500〜1500nmとすることができる。圧電体層30の厚みが上記の範囲を外れると、基板10を変形させるのに十分な変形が得られなくなる場合がある。圧電体層30は、下部電極20および、上部電極40によって電界が印加されることで伸縮変形し、これにより基板10をたわませたり振動させたりする。圧電体層30には、圧電性を有する材料を用いることができる。圧電体層30の材質としては、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物(たとえば、Aは、Pbを含み、Bは、ZrおよびTiを含む。)が好適に用いられる。このような材質の具体的な例としては、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O)(PZT)、ニオブ酸チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti,Nb)O)(以下、本明細書において「PZTN」と略すことがある。)、およびチタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸カリウムナトリウム((K,Na)NbO)などが挙げられる。これらのうち、圧電体層30の材質としては、PZTおよびPZTNが、圧電性能が特に良好であるため好適である。
上部電極40は、圧電体層30の上に形成される。上部電極40の厚みは、圧電素子100の動作に悪影響を与えない範囲であれば限定されない。上部電極40の厚みは、たとえば50〜200nmとすることができる。上部電極40の厚みが50nmよりも薄いと、電気抵抗が増大してしまうことがあり、200nmよりも大きいと、圧電素子100の変形を阻害してしまう場合がある。上部電極40は、下部電極20と対になり、圧電素子100の一方の電極として機能する。上部電極40の材質は、前記機能を満足する導電性を有する物質である限り特に限定されない。上部電極40の材質は、ニッケル、イリジウム、金、白金などの各種の金属、それらの導電性酸化物(たとえば酸化イリジウムなど)、ストロンチウムとルテニウムの複合酸化物、ランタンとニッケルの複合酸化物などを用いることができる。また、上部電極40は、例示した材料の単層でもよいし、複数の材料を積層した構造であってもよい。
保護層60は、圧電体層30の側面に形成される。図1の例では、上部電極40、下部電極20、および基板10の表面にも形成されている。保護層60は、少なくとも圧電体層30の側面に形成されれば、その効果を奏することができる。保護層60は、外部から拡散してくる水分、水素、および還元性の気体などの不純物が圧電体層30へ侵入あるいは拡散し、圧電体層30が劣化することを防止する機能を有する。すなわち保護層60は、水分等の不純物のバリア性を有している。この機能により、圧電体層30が不純物から保護され、圧電体層30の側面を伝わって流れる漏れ電流を低減することができる。保護層60の厚みは、保護層60の材質に依存するが、1〜2000nmとすることが好ましい。保護層60の厚みが1nmよりも小さいと、不純物のバリア性能が十分に得られないことがあり2000nmよりも大きいと、圧電素子100の機械的な動作を拘束してしまう場合がある。保護層60において、不純物バリア性および剛性の程度は、保護層60の厚みに依存し、保護層60の厚みが大きければ両者の程度は大きくなる。
保護層60は、不純物のバリア性が高く、かつ、ヤング率のできるだけ小さい材質で形成されることが好ましい。このような材質としては、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、および酸化アルミニウムなどの無機化合物、パラキシリレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシアクリレート樹脂およびシリコーン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種あるいはそれらの変性体、などの有機化合物、および有機/無機ハイブリッド系材料が挙げられる。保護層60は、また、上記例示した材料から選ばれる少なくとも1種によって形成されることができる。
上記例示した材料のうち、無機化合物は、他の化合物に比較して、不純物のバリア性が高く、かつヤング率が大きい。そのため、保護層60の材質として無機化合物を用いる場合は、保護層60の厚みは、1〜1000nmとすることが好ましい。保護層60の材質として無機化合物を用いる場合は、上記例示した材質のうち、酸化シリコンが特に好ましい。また、上記の無機化合物のうち、酸化シリコンは、水に対する接触角が20°程度であり、疎水性は必ずしも高くないが、後述するように、疎水性は、自己組織化単分子膜70によって強化されることができる。なお、窒化シリコンおよび酸化アルミニウムの水に対する接触角は、それぞれ80°および65°であるが、後述するように、自己組織化単分子膜70によって疎水性をさらに強化されることができる。
一方、上記例示した材料のうち、有機化合物は、他の化合物に比較して、不純物のバリア性が低く、かつヤング率が小さい(1×1010Pa以下)。そのため、保護層60の材質として有機化合物を用いる場合は、保護層60の厚みは、100〜2000nmとすることができる。ところで上述のように、保護層60の材質は、ガスバリア性を有するものが望ましいが、有機化合物の種類によっては、ガスバリア性が小さい場合がある。しかし有機化合物は、ヤング率が小さいため、保護層60の厚みを2000nm程度まで大きくできるから広範な材料を選択しうる。
上記例示した有機化合物のうち、ヤング率が十分に小さく(1×1010Pa以下)、かつ、不純物バリア性が極めて高いことにより、保護層60の材質としては、パラキシリレン系樹脂が特に好ましい。パラキシリレン系樹脂の具体例としては、poly−monochloro−paraxylylene、poly−paraxylylene等が挙げられ、それぞれ、日本パリレン株式会社から、商品名パリレンC、パリレンNとして市販されているものを挙げることができる。
また、上記例示した材料のうち、有機/無機ハイブリッド系材料は、他の化合物に比較して、不純物のバリア性とヤング率のバランスが良好である。そのため、保護層60の材質として有機/無機ハイブリッド系材料を用いる場合は、保護層60の厚みは、1〜2000nmとすることができる。
また、有機/無機ハイブリッド系材料は、nmレベルで有機成分と無機成分を複合化させたものであり、有機材料と無機材料のメリットを相乗的に高めたものである。有機/無機ハイブリッド系材料の具体例としては、ポリシロキサン系の材料が挙げられる。これらの材料は、感光性を持たせることが可能であるため、マスク露光によるパターニングを容易に行うことができる。
自己組織化単分子膜70は、保護層60の圧電体層30と反対側の面に形成される。自己組織化単分子膜70は、少なくとも圧電体層30の側面に形成される。これにより、自己組織化単分子膜70は、以下のような効果を奏することができる。図1および図2の例では、上部電極40、下部電極20、および基板10の上方にも形成されている。自己組織化単分子膜70は、外部から拡散してくる水分が圧電体層30へ侵入あるいは拡散し、圧電体層30が劣化することを防止する機能を有する。この機能により、圧電体層30の側面を伝わって流れる漏れ電流等を低減することができる。自己組織化単分子膜70は、保護層60の機能を、水分バリアという点で、さらに強化している。自己組織化単分子膜70の厚みは、1〜10nmとすることが好ましい。自己組織化単分子膜70の厚みが1nmよりも小さいと、水分のバリア性能が十分に得られないことがあり10nmよりも大きいと自己組織化構造を形成し難くなる場合がある。
自己組織化単分子膜70の構造は、構成する分子が、該膜内において、少なくとも1層の単分子膜を形成しているものである。また、自己組織化単分子膜70は、該単分子膜の複数層が積層した、累積膜となっていてもよい。ここで、自己組織化とは、自発的に秩序が形成されることを指し、本実施形態の自己組織化単分子膜70においては、外部から特別な制御を行うことなく単分子膜が形成されることを指している。本実施形態の自己組織化単分子膜70において、自己組織化によって形成される単分子膜の構造は、これを構成する分子が有する疎水性の高い原子または原子団(基)が、単分子膜の片側の面に配置された構造を有している。したがって、少なくとも自己組織化単分子膜70の片面は、疎水性の高い原子または原子団(基)が密に配置される。そのため、自己組織化単分子膜70の当該面は、水分子が吸着しにくくなっている。そして、このことによって、自己組織化単分子膜70は、水分子を透過しにくく、水分バリア性能を発揮することができる。
本実施形態の自己組織化単分子膜70は、少なくとも圧電体層30側の反対側の面に、疎水性の高い原子または原子団(基)が配置される構造を有する。したがって、水分は、自己組織化単分子膜70の疎水性の原子等によって、外部から圧電体層30に向かって侵入、拡散することが抑制される。これにより、圧電体層30の側面を流れる漏れ電流をより低減させることができる。
自己組織化単分子膜70の材質、すなわち、自己組織化によって単分子膜を形成することができ、かつ、疎水性の基を有する材料としては、フッ化アルキルシラン(以下、「FAS」と略すことがある。)、アルキルシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。例示した材料は、単分子膜を形成した際に、フッ素を含む基、またはアルキル基が自己組織化によって片方の面に濃化することができるため、当該面に疎水性を生じさせることができる。また、これらの材料のうち、フッ化アルキルシランは、フッ素を含む基を有するため、この基が富化した面の疎水性がより強く特に好適である。自己組織化単分子膜70の表面の疎水性の指標としては、水に対する接触角がある。本実施形態の自己組織化単分子膜70の水に対する接触角は、50°以上であることがより好ましい。
このような自己組織化単分子膜70は、たとえば、熱CVD(Chemical Vapour Deposition)法や、インクジェット法、スピンコート法などによって設けることができる。いずれの方法によっても、特に自己組織化単分子膜70の内部の分子構造について、特別な制御を行うことなく、上述した構造を形成することができる。自己組織化単分子膜70を熱CVD法またはスピンコート法によって設ける場合は、圧電素子100を覆うように全体に設けられ、必要に応じてパターニング等を行うことができる。図1および図2の例では、保護膜60の上のみに自己組織化単分子膜70が形成されている。自己組織化単分子膜70をインクジェット法によって設ける場合は、保護層60の圧電体層30と反対側の面のみに自己組織化単分子膜70が形成されるように付着させることができるため、材料を節約できる点でより好ましい。
本実施形態の圧電素子100は以下のような特徴を有する。圧電素子100は、圧電体層30の側面に、保護層60と自己組織化単分子膜70とが積層した構造を有している。そのため、不純物や水分が、外部から圧電体層30に侵入、拡散することが抑制される。これにより、圧電素子100は、圧電体層30の劣化が抑制され、漏れ電流が低減されたものとなっている。しかも、圧電素子100は、保護層60に加えて、自己組織化単分子膜70を有している。自己組織化単分子膜70は、有機系の材料で形成されるため、圧電体層30の変形や、基板10の変形を拘束することがほとんどない。そしてこの自己組織化単分子膜70が水分バリア性を有するため、外部から侵入、拡散する水分のバリア性を、保護層60のみならず、自己組織化単分子膜70にも担わせることができる。これにより保護層60の厚みを、自己組織化単分子膜70が無い場合よりも小さくすることができる。したがって、保護層60による圧電素子100の変位や動作の拘束の程度を低減させることができる。よって、圧電素子100は、変位を大きくとることができ、かつ、圧電体層30の劣化が生じにく、漏れ電流が低減され、耐圧の高いものである。
1.2.圧電素子の製造方法
図3ないし図7は、本実施形態の圧電素子100の製造工程を模式的に示す断面図である。図3ないし図7は、図2のA−A線に相当する断面を示している。
本実施形態の圧電素子100の製造方法は、下部電極20aを形成する工程と、圧電体層30aと上部電極層40aとを順次積層する工程と、上部電極層40aおよび圧電体層30aをパターニングする工程と、保護層60を形成する工程と、自己組織化単分子膜70を形成する工程と、を含む。
まず、図3に示すように、基板10を準備し、基板10の上に、下部電極層20aを形成する。下部電極層20aは、たとえば、スパッタ法、真空蒸着、CVD法などの方法で形成することができる。
次に、図4に示すように下部電極層20aをエッチングして、下部電極20を形成する第1パターニング工程を行う。下部電極層20aのエッチングは、フォトリソグラフィー等の方法で行うことができる。
次に、圧電体層30aおよび上部電極層40aを順次積層する工程を行う。図5に示すように、圧電体層30aを基板10および下部電極20の上に形成する。圧電体層30aは、ゾルゲル法やCVD法などによって形成される。ゾルゲル法においては、原料溶液塗布、予備加熱、結晶化アニールの一連の作業を複数回繰り返して所望の膜厚にしてもよい。次いで、図6に示すように、圧電体層30aの上に上部電極層40aを形成する。上部電極層40aは、たとえば、スパッタ法、真空蒸着、CVD法などの方法で形成することができる。なお、圧電体層30aの結晶化アニールは、上部電極層40aを形成した後に行ってもよい。
次に、図7に示すように、少なくとも上部電極層40aおよび圧電体層30aをパターニングして下部電極20、圧電体層30および上部電極40からなるキャパシタ構造を形成する。本工程は、フォトリソグラフィー等の方法を用いマスク等を形成して行うことができる。また本工程は、フォトリソグラフィー等を複数回行ってもよい。本工程のエッチングは、たとえば公知のドライエッチング等の方法により行うことができる。
次に、図8に示すように、保護層60を形成する工程を行う。保護層60が酸化シリコンで形成される場合は、たとえば、トリメトキシシランを原料としたCVD法によって形成することができる。トリメトキシシランを原料としたCVD法によれば、水素の発生を抑えることができ、工程中に圧電体層30を還元することが抑えられる。また、トリメトキシシランを原料としたCVD法によれば、低温で良質な保護層60を形成することができる。この後、保護層60に上部電極40への配線等のための開口部62をパターニングによって形成することができる。さらに、必要に応じて、基板10に形成された保護層60をパターニングによって除去することができる。
次に、図1および図2に示すように、保護層60の圧電体層30と反対側の面に自己組織化単分子膜70を形成する工程を行う。この工程は、自己組織化単分子膜70の材質をフッ化アルキルシランとする場合は、フッ化アルキルシランを原料とする熱CVDによって形成することができる。ここで用いる熱CVD法は、公知の方法を用いることができる。この工程により、保護層60の圧電体層30と反対側の面を含む、圧電素子100の全面に自己組織化単分子膜70が形成される。この後、自己組織化単分子膜70に上部電極40への配線等のための開口部72をパターニングによって形成することができる。さらに、必要に応じて、基板10に形成された自己組織化単分子膜70をパターニングによって除去することができる。自己組織化単分子膜70を形成する工程は、上部電極40に電気的に接続する配線を設けた後で行ってもよい。
保護層60および自己組織化単分子膜70を形成する工程は、それぞれ、当該工程を行う前に下地の加熱処理を行うことがより好ましい。加熱処理の温度は、100℃以上とすることができる。このようにすれば、保護層60および自己組織化単分子膜70を形成する前に、下地に吸着している水分子等を除去することができるため、圧電体層30の劣化をより抑制することができる。
なお、保護層60および自己組織化単分子膜70を形成する工程は、それぞれの前駆体を液滴吐出法を用いて所望の部位に塗布することによって行うこともできる。液滴吐出法は、半導体基板等への液体の塗布に好適に用いることができる。しかも、塗布される液体の量や、塗布される位置をあらかじめ設定することで、微細な形状に液体を塗布することが可能である。したがって、たとえば、図1および図2に示されるように、キャパシタ構造の周囲のみに局所的に塗布することが可能である。この方法によれば、圧電体層30の側面のみに保護層60および自己組織化単分子膜70を形成することができるため、パターニング工程を省略することができる。このとき用いる保護層の前駆体としては、たとえば、溶媒メシチレンに、ポリシロキサン系の材料を溶解させたものを用いることができる。この溶液が所望の位置に塗布され、溶媒を乾燥させると、保護層60が形成される。また、このとき用いる自己組織化単分子膜の前駆体としては、たとえば、溶媒ヘキサンに、フッ化アルキルシランを溶解させたものを用いることができる。この溶液が所望の位置に塗布され、溶媒が乾燥するときに、自己組織化単分子膜70が形成される。
以上のようにして圧電素子100が製造されるが、本実施形態の製造方法は、各工程の間に適宜他の部材を形成する工程や表面処理を行う工程を有することができる。
2.第2実施形態
2.1.圧電素子
図9は、本実施形態にかかる圧電素子200を模式的に示す断面図である。本実施形態の圧電素子200は、保護層60を有さないこと以外は、第1実施形態で述べた圧電素子100と同様である。そのため、圧電素子100と同一の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態にかかる圧電素子200は、基板10と、下部電極20と、圧電体層30と、上部電極40と、自己組織化単分子膜70と、を含む。
自己組織化単分子膜70は、第1実施形態で述べたように、優れた水分バリア性能を有する。圧電素子200は、圧電体層30の側面に自己組織化単分子膜70を有する。そのため、水分が外部から圧電体層30に侵入、拡散することが抑制される。これにより、圧電素子200は、圧電体層30の劣化が抑制され、漏れ電流が低減されたものとなっている。しかも、自己組織化単分子膜70は、有機系の材料で形成されるため、圧電体層30の変形や、基板10の変形を拘束することがほとんどない。したがって、自己組織化単分子膜70による圧電素子200の変位や動作の拘束がほとんどない。よって、圧電素子200は、変位を大きくとることができ、かつ、圧電体層30の劣化が生じにくく、漏れ電流が低減され、耐圧の高いものである。
2.2.圧電素子の製造方法
本実施形態の圧電素子200は、第1実施形態で述べた圧電素子100の製造方法に準じて製造することができる。すなわち、圧電素子200の製造方法は、圧電素子100の製造方法で述べた保護層60を形成する工程を有さない以外は同様である。
3.第3実施形態
3.1.圧電素子
図10は、本実施形態にかかる圧電素子300を模式的に示す断面図である。本実施形態の圧電素子300は、自己組織化単分子膜70を有さず、かつ、保護層60がパラキシリレン系樹脂で構成され、パラキシリレン系樹脂層80となること以外は、第1実施形態で述べた圧電素子100と同様である。そのため、圧電素子100と同一の部材には、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
本実施形態にかかる圧電素子200は、基板10と、下部電極20と、圧電体層30と、上部電極40と、パラキシリレン系樹脂層80と、を含む。
第1実施形態で述べたように、パラキシリレン系樹脂は、ヤング率が十分に小さく(1×1010Pa以下)、かつ、水分、水素、および還元性のガス等のバリア性が極めて優れている。そのため、第1実施形態の圧電素子100において、パラキシリレン系樹脂を保護層60の材質に採用すれば、自己組織化単分子膜70を有さなくても、変位が十分に大きく、圧電体層30の劣化が抑制される。
パラキシリレン系樹脂層80は、第1実施形態で述べたように、優れた不純物バリア性能を有する。本実施形態の圧電素子300は、圧電体層30の側面にパラキシリレン系樹脂層80を有する。そのため、不純物が外部から圧電体層30に侵入、拡散することが抑制される。これにより、圧電素子300は、圧電体層30の劣化が抑制され、漏れ電流が低減されたものとなっている。しかも、パラキシリレン系樹脂層80は、ヤング率の小さいパラキシリレン系樹脂で形成されるため、圧電体層30の変形や、基板10の変形を拘束することがほとんどない。したがって、パラキシリレン系樹脂層80による圧電素子200の変位や動作の拘束が極めて小さい。よって、圧電素子300は、変位を大きくとることができ、かつ、圧電体層30の劣化が生じにく、漏れ電流が低減され、耐圧の高いものである。
3.2.圧電素子の製造方法
本実施形態の圧電素子300は、第1実施形態で述べた圧電素子100の製造方法に準じて製造することができる。すなわち、圧電素子300の製造方法は、圧電素子100の製造方法で述べた自己組織化単分子膜70を形成する工程を有さず、保護層60をパラキシリレン系樹脂によって形成するものである。
3.3.変形例
本実施形態において、パラキシリレン系樹脂層80を、有機/無機ハイブリッド系材料層に置き換えたものを変形例として例示することができる。
第1実施形態で述べたように、有機/無機ハイブリッド系材料は、他の化合物に比較して、不純物のバリア性とヤング率のバランスが良好である。そのため、第1実施形態の圧電素子100において、有機/無機ハイブリッド系材料を保護層60の材質に採用すれば、自己組織化単分子膜70を有さなくても、変位が十分に大きく、圧電体層30の劣化を抑制することができる。これにより、変形例の圧電素子は、圧電体層30の劣化が抑制され、漏れ電流が低減されることができる。
上記変形例の圧電素子は、第1実施形態で述べた圧電素子100の製造方法に準じて製造することができる。すなわち、上記変形例の圧電素子の製造方法は、圧電素子100の製造方法で述べた自己組織化単分子膜70を形成する工程を有さず、保護層60を有機/無機ハイブリッド系材料によって形成するものである。
また、他の変形例として、保護層60が、複数の層の積層構造である圧電素子を例示することができる。他の変形例としては、たとえば、保護層60が、有機/無機ハイブリッド系材料層、パラキシリレン系樹脂層、および自己組織化単分子膜から選ばれる2種以上の積層構造を有する圧電素子を例示できる。他の変形例において、積層される構成の積層の順序は特に限定されない。他の変形例において、自己組織化単分子膜が選択され積層される場合は、疎水性が特に優れていることから、自己組織化単分子膜の少なくとも1つが保護層50の圧電体層30と反対側の表面に設けられることがさらに好適である。
4.液体噴射ヘッド
図11は、液体噴射ヘッド1000の要部を模式的に示す断面図である。液体噴射ヘッド1000は、少なくとも、上述の圧電素子と、圧力室基板400と、ノズル板500と、を有する。以下は、液体噴射ヘッド1000が上述の圧電素子100を有する場合について例示する。液体噴射ヘッド1000の振動板600は、圧電素子100の基板10に相当する。
圧力室基板400は、圧電素子100の下に設けられる。圧力室基板400は、圧力室402を有する。圧力室402には、噴射させる液体が充填される。圧力室402は、図示せぬ流路に連続しており、該流路から圧力室402に液体が供給されることができる。圧力室402は、流路を介して外部の液体リザーバ(図示せず)に通じている。圧力室402は、圧力室402の上面を構成する圧電素子100の基板10が変形することにより、体積が変化する。圧力室402の体積が変化すると、圧力室402内部の圧力が変化し、該圧力の変化によって、後述のノズル孔502から液体を吐出させることができる。
ノズル板500は、圧力室基板400の下に設けられる。ノズル板500は、ノズル孔502を有する。ノズル孔502は、圧力室402内の液体を外部に吐出させるノズルであり、圧力室402に対応して設けられる。圧力室基板10の材質は、特に限定されない。たとえば、圧力室基板10の材質は、シリコン、ステンレス、SUS、ニッケル、チタン、チタン合金などとすることができる。圧力室基板400の材質にシリコンを採用すれば、シリコン基板を加工することにより圧力室基板400およびノズル板500を形成することができる。
液体噴射ヘッド1000は、圧電素子100を有する。そのため、圧力室402の上面を構成する振動板、すなわち、圧電素子100の基板10が変位を大きくとることができる。これにより液体の吐出量を高めることができ、圧電素子100の圧電体層30の劣化が生じにくく、漏れ電流が低減され、安定した動作が可能である。
本実施形態の液体噴射ヘッドは、たとえば、プリンター等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)、電気泳動ディスプレー等の電極やカラーフィルターの形成に用いられる液体材料噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機材料噴射ヘッドとしても好適に利用することができる。
5.液体噴射装置
以下、本発明にかかる液体噴射装置として、液体噴射ヘッド1000にインクを充填し、該インクを吐出するインクジェット記録装置2000を一例として説明する。すなわち本発明の液体噴射装置は、上述の液体噴射ヘッドを用いて、液体材料を噴射する装置全般を含むものである。
図12は、本発明にかかるインクジェット記録装置2000を模式的に示す斜視図である。インクジェット記録装置2000は、上述の液体噴射ヘッド1000を有する。インクジェット記録装置2000は、ヘッドユニット630と、駆動部610と、制御部660と、を含む。また、インクジェット記録装置2000は、装置本体620と、給紙部650と、媒体P(記録用紙)を設置するトレイ621と、媒体Pを排出する排出口622と、装置本体620の上面に配置された操作パネル670と、を含むことができる。
ヘッドユニット630は、上述の液体噴射ヘッド1000から構成されるインクジェット式記録ヘッド(以下単に「ヘッド」ともいう)を有する。ヘッドユニット630は、さらに、ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ631と、ヘッドおよびインクカートリッジ631を搭載した運搬部(キャリッジ)632と、を備える。
駆動部610は、ヘッドユニット630を往復動させることができる。駆動部610は、ヘッドユニット630の駆動源となるキャリッジモータ641と、キャリッジモータ641の回転を受けて、ヘッドユニット630を往復動させる往復動機構642と、を有する。液体噴射ヘッド1000は、ヘッドユニット630の往復動の方向と、該ヘッドの各駆動ユニット100の積層する方向とが一致するようにヘッドユニット630に取り付けられている。
往復動機構642は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸644と、キャリッジガイド軸644と平行に延在するタイミングベルト643と、を備える。キャリッジガイド軸644は、キャリッジ632が自在に往復動できるようにしながら、キャリッジ632を支持している。さらに、キャリッジ632は、タイミングベルト643の一部に固定されている。キャリッジモータ641の作動により、タイミングベルト643を走行させると、キャリッジガイド軸644に導かれて、ヘッドユニット630が往復動する。この往復動の際に、ヘッドから適宜インクが吐出され、媒体Pへの印刷が行われる。
制御部660は、ヘッドユニット630、駆動部610、および給紙部650を制御することができる。
給紙部650は、媒体Pをトレイ621からヘッドユニット630側へ送り込むことができる。給紙部650は、その駆動源となる給紙モータ651と、給紙モータ651の作動により回転する給紙ローラ652とを備える。給紙ローラ652は、媒体Pの送り経路を挟んで上下に対向する従動ローラ652aおよび駆動ローラ652bを備える。駆動ローラ652bは、給紙モータ651に連結されている。制御部660によって給紙部650が駆動されると、媒体Pは、ヘッドユニット630の下方を通過するように送られる。
ヘッドユニット630、駆動部610、制御部660、および給紙部650は、装置本体620の内部に設けられている。
以上、本発明にかかる液体噴射装置の一例として、インクジェットプリンターとしてのインクジェット記録装置2000を説明したが、本発明にかかる液体噴射装置は、工業的にも利用することができる。この場合に吐出される液体(液状材料)としては、各種の機能性材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したものなどを用いることができる。たとえば、本発明の液体噴射装置は、例示したプリンター等の画像記録装置以外にも、液晶ディスプレー等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射装置、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)、電気泳動ディスプレー等の電極やカラーフィルターの形成に用いられる液体材料噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機材料噴射装置としても好適に用いられることができる。
6.実験例
以下に実験例を記載して本発明をさらに説明する。本発明は以下の実験例に限定されない。実験例に供した素子は、以下のように準備した。
まず、酸化ジルコニウムが成膜された基板の上に、白金をスパッタリングによって成膜し、パターニングによって下部電極を形成した。次いで、PZTおよび白金を順次成膜し、パターニングを行って、保護層、自己組織化単分子膜、およびパラキシリレン系樹脂層を有さないブランク圧電素子を同一条件で複数製作した。
ブランク圧電素子に、酸化アルミニウムのみを被覆した圧電素子を作製した。このとき、酸化アルミニウムは、スパッタリングによって成膜し、パターニングを行い上下の電極に配線を行った。酸化アルミニウムの層の厚みを換えて20、50、100、および200nmの厚みの酸化アルミニウム層を有する素子をそれぞれ作製した。
ブランク圧電素子に、酸化シリコンのみを被覆した圧電素子を作製した。このとき、酸化シリコンは、トリメトキシシランを原料とするCVDによって成膜し、パターニングを行い上下の電極に配線を行った。酸化シリコンの層の厚みを換えて20、50、100、および200nmの厚みの酸化シリコン層を有する素子をそれぞれ作製した。
ブランク圧電素子に、酸化シリコンおよびフッ化アルキルシランを被覆した圧電素子を作製した。このとき、酸化シリコンは、トリメトキシシランを原料とするCVDによって成膜し、パターニングを行い上下の電極に配線を行った。続いてその後、フッ化アルキルシランをCVDによって成膜した。酸化シリコンの層の厚みを換えて20、50、100、および200nmの厚みの酸化シリコン層を有する素子をそれぞれ作製した。いずれの素子においても、フッ化アルキルシランの層の厚みは、2〜3nmであった。
ブランク圧電素子に、パリレンC(poly−monochloro−paraxylylene)のみを被覆した圧電素子を作製した。このとき、パリレンCは、蒸着によって成膜し、パターニングを行い上下の電極に配線を行った。パリレンCの層の厚みを換えて20、50、100、および200nmの厚みのパリレンCの層を有する素子をそれぞれ作製した。
以上作製した素子を試料として、すべての試料について、耐圧および変位を測定した。耐圧の測定は、上部電極および下部電極に印加する電圧を高くしてゆき、絶縁破壊の電圧を読み取った。変位の測定は、上部電極および下部電極に電圧30Vを印加したときの基板(振動板)の変形量を読み取った。耐圧および変位の測定結果を各試料の被覆体の厚みに対してプロットした結果を、それぞれ、図13および図14に示した。
図13をみると、酸化シリコンのみで被覆した素子は、どの膜厚においても耐圧が低いことが分かる。これに対して、酸化シリコンをフッ化アルキルシランによって被覆した素子は、どの膜厚においても耐圧が高いことが分かる。一方、酸化アルミニウムのみで被覆した素子と、パリレンCのみで被覆した素子は、耐圧は中程度であったが、50nm程度よりも膜厚が小さい領域では、パリレンCのみで被覆した素子のほうが耐圧が優れていた。
図14をみると、酸化アルミニウムのみで被覆した素子は、どの膜厚においても、変位が小さいことが分かる。これに対して、パリレンCのみで被覆した素子は、どの膜厚においても、変位が大きいことが分かる。一方、酸化シリコンのみで被覆した素子と、酸化シリコンをフッ化アルキルシランで被覆した素子は、どの膜厚においても変位はほぼ同じで、かつ中程度の変位量を示した。
図13および図14から、以下のことが判明した。酸化シリコンをフッ化アルキルシランによって被覆した素子は、優れた耐圧かつ良好な変位量を有すること。パリレンCのみで被覆した素子は、優れた変位量かつ良好な耐圧を有すること。酸化アルミニウムのみで被覆した素子は、耐圧が良好であっても変位が不十分であること。酸化シリコンのみで被覆した素子は、変位は良好であっても耐圧が不十分であること。以上のように、保護層および自己組織化単分子膜を有する圧電素子、および、パラキシリレン系樹脂層を有する圧電素子は、変位が大きく、かつ、漏れ電流が低減されていることが判明した。ポリシロキサン系の材料を有する圧電素子も、パラキシリレン系樹脂層を有する圧電素子と同等の特性を示した。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。たとえば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(たとえば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10 基板、20,20a 下部電極、30,30a 圧電体層、
40,40a 上部電極、60 被覆層、62,72 開口部、
70 自己組織化単分子膜、100,200,300 圧電素子、400 圧力室基板、
402 圧力室、500 ノズル板、502 ノズル孔、610 駆動部、
620 装置本体、621 トレイ、622 排出口、630 ヘッドユニット、
631 インクカートリッジ、632 キャリッジ、641 キャリッジモータ、
642 往復動機構、643 タイミングベルト、644 キャリッジガイド軸、
650 給紙部、651 給紙モータ、652 給紙ローラ、660 制御部、
670 操作パネル、1000 液体噴射ヘッド、2000 インクジェット記録装置

Claims (8)

  1. 基板と、
    前記基板の上方に形成された下部電極と、
    前記下部電極の上方に形成された圧電体層と、
    前記圧電体層の上方に形成された上部電極と、
    前記圧電体層の側面に形成された保護層と、
    前記保護層の前記圧電体層と反対側の面に形成された自己組織化単分子膜と、
    を含む、圧電素子。
  2. 請求項1において、
    前記保護層の材質は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、および酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種である、圧電素子。
  3. 請求項1において、
    前記保護層の材質は、パラキシリレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、および有機/無機ハイブリッド系材料から選ばれる少なくとも1種である、圧電素子。
  4. 請求項1において、
    前記保護層の材質は、パラキシリレン系樹脂である、圧電素子。
  5. 請求項1において、
    前記保護層の材質は、有機/無機ハイブリッド系材料である、圧電素子。
  6. 基板と、
    前記基板の上方に形成された下部電極と、
    前記下部電極の上方に形成された圧電体層と、
    前記圧電体層の上方に形成された上部電極と、
    を含み、
    前記圧電体層の側面に、自己組織化単分子膜、パラキシリレン系樹脂層、および有機/無機ハイブリッド系材料層から選ばれる少なくとも1種が形成された、圧電素子。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の圧電素子を有する、液体噴射ヘッド。
  8. 請求項7に記載の液体噴射ヘッドを備えた、液体噴射装置。
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