JP2002240305A - インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッドの製造方法

Info

Publication number
JP2002240305A
JP2002240305A JP2001042091A JP2001042091A JP2002240305A JP 2002240305 A JP2002240305 A JP 2002240305A JP 2001042091 A JP2001042091 A JP 2001042091A JP 2001042091 A JP2001042091 A JP 2001042091A JP 2002240305 A JP2002240305 A JP 2002240305A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
jet head
ink jet
adhesive
head
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001042091A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Nomori
弘之 野守
Hiroshi Takeuchi
寛 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2001042091A priority Critical patent/JP2002240305A/ja
Publication of JP2002240305A publication Critical patent/JP2002240305A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】熱硬化型の接着剤で二つのインクジェットヘッ
ド用部材を接合した場合に、駆動効率が低下せず駆動電
圧が高くならないインクジェットヘッドの製造方法の提
供。 【解決手段】熱膨張率の異なる2つのインクジェットヘ
ッド用部材を熱硬化性型接着剤で接合して製造するイン
クジェットヘッドの製造方法において、前記熱膨張率の
低い方のインクジェットヘッド用部材の側から加熱す
る。好ましくは、熱膨張率の高い方のインクジェットヘ
ッド用部材の側から冷却することである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動効率に優れる
インクジェットヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】小液滴のインクを飛翔させ、対象物に付
着させるインクジェット技術は、紙、フィルム、布に文
字や画像をプリントするプリンタ、FAX、コピー機な
ど広い分野に応用されている。
【0003】インクを小液滴にして飛翔させるインクジ
ェットヘッドの製造工程では、異種材料を接着すること
が多い。
【0004】接着剤の性能として、架橋密度が高く、硬
化後の弾性率が高く、耐インクに優れることが要求さ
れ、一般に硬化温度が高いほどこれらの性能が優れる。
【0005】主剤と硬化剤を別に保存して使用時に混合
する2液性の接着剤は、均一な混合が難しく、安定な生
産が難しい。あらかじめ主剤と硬化剤を混合した1液性
の接着剤では低温で保管して常温で接着するものもある
が、保存の安定性に欠けるため、室温で保存が可能な1
液性の接着剤は加熱硬化型である。
【0006】これらの理由からインクジェットヘッドの
製造の際、たとえば、ヘッドとカバープレートの接着や
ヘッドと基材との接着の際に、熱硬化型の接着剤が多く
使用されている。
【0007】一方、インクジェットヘッド用部材とし
て、近年、充填密度が大きく、圧電定数が大きく、加工
性に優れることから、強誘電性材料、一般にはチタン酸
ジルコン酸鉛(商品名:PZT)からなる圧電素子が用
いられている。
【0008】
【問題を解決しようとする課題】しかるに、かかる圧電
素子を一方のインクジェットヘッド用部材に用い、これ
と他方のインクジェットヘッド用部材とを熱硬化型の接
着剤で接着してインクジェットヘッドを製造すると、イ
ンクジェットヘッドの駆動効率が低下し、駆動電圧が上
昇することがある。駆動電圧が高いと、高容量の駆動回
路が必要になる問題、ヘッドの電極でのオーム損や誘電
損失でヘッド温度が上昇し、インク粘度が変化して吐出
が不安定になる問題、圧電素子に加わる電界が一定値を
越えると、その圧電特性が失われる問題がある。
【0009】そこで、本発明は、熱硬化型の接着剤で二
つのインクジェットヘッド用部材を接合した場合に、駆
動効率が低下せず駆動電圧が高くならないインクジェッ
トヘッドの製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する請求
項1に記載のインクジェットヘッドの製造方法は、熱膨
張率の異なる2つのインクジェットヘッド用部材を熱硬
化性型接着剤で接合して製造するインクジェットヘッド
の製造方法において、前記熱膨張率の低い方のインクジ
ェットヘッド用部材の側から加熱することを特徴とする
インクジェットヘッドの製造方法である。
【0011】請求項2記載の発明は、前記熱膨張率の高
い方のインクジェットヘッド用部材の側から冷却するこ
とを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの
製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るインクジェッ
トヘッドの製造方法の実施の形態について説明する。
【0013】本発明のインクジェットヘッドの製造方法
においては、熱膨張率の異なる2つのインクジェットヘ
ッド用部材を熱硬化性型接着剤で接合して製造する際
に、熱膨張率の低い方のインクジェットヘッド用部材の
側から加熱することを特徴としている。
【0014】かかる加熱において、熱膨張率の高い部材
の側は加熱せずに開放状態にしておく態様、熱膨張率の
高い部材の側から冷却する態様が好ましい態様として挙
げられるが、中でも熱膨張率の高い部材の側を冷却する
態様はインクジェットヘッドの駆動効率を上昇させる上
でより好ましい。
【0015】本発明において、加熱と共に加圧すること
がインクジェットヘッドの駆動効率をより上昇させる上
で好ましい。加圧する圧力としては、0.3〜100k
g/cm2の範囲が好ましい。
【0016】本発明において、加熱の際に使用できる加
熱手段としては、ホットプレート等のような加熱具が挙
げられ、加熱・加圧面に圧着して使用できる加熱具が好
ましい。また圧電素子側を冷却する冷却手段としては、
アルミニウムブロックに水を流して冷却する手法が挙げ
られる。
【0017】本発明に用いられる接着剤は熱硬化型接着
剤であれば特に限定されないが、本発明では、中でも接
着強度、ガラス転移点、硬化温度、耐インク性、可使時
間等から、1液、中温硬化型(80〜100℃)のエポ
キシ接着剤が好ましく用いられる。市販品としては、た
とえば3ボンド社製「2202」、「2206」、「2
217B」等、田岡化学社製「AH3041W」、「A
H−3063R」等、長瀬チバ社製「A−1002」な
どが挙げられる。
【0018】本発明における圧電素子に用いられる強誘
電性材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(結晶やセラ
ミックス)の他、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ロッ
シェル塩等の結晶やセラミックス材料、ポリフッ化ビニ
リデン等の高分子材料が挙げられる。
【0019】本発明の製造方法によって製造されたイン
クジェットヘッドで吐出させることのできるインクに
は、例えば、水性溶媒に水溶性染料を溶解させた水性染
料インク、油性溶媒に油溶性染料を溶解させた油性染料
インク、水性溶媒に水に不溶または難溶の染料を分散さ
せた分散染料インク、水性溶媒または油性溶媒に顔料を
分散させた水性または油性の顔料インクなどが挙げられ
る。
【0020】本発明の製造方法によって製造されたイン
クジェットヘッドは、通常の印字用のインク以外にもさ
まざまな化合物をそのまま、または溶媒に溶解又は分散
させて吐出することができ、液晶用カラーフィルターの
製造、有機ELディスプレイの製造などに応用すること
ができる。
【0021】以下に、本発明を適用できるインクジェッ
トヘッドの具体的な実施形態について説明する。
【0022】図1はシェアモード型のインクジェットヘ
ッドの斜視図、図2は圧電素子の変形を示す図、図3は
接着剤層を含めた部分断面図である。
【0023】インクジェットヘッド1は、基材2、分極
した圧電素子2b、カバープレート4、ノズルプレート
5及び供給プレート6によりヘッド本体が構成される。
【0024】かかるインクジェットヘッド1を製造する
には、基材2と分極した圧電素子2bを貼り合わせ、ダ
イシングソーを用いて圧電素子2bに溝を切ることによ
り、溝2a及び圧電素子2bの壁(シェアモード変形
壁)を複数形成し、この溝2aの両隔壁となる圧電素子
2bの内側に電極3(図2、図3参照)を設け、カバー
プレート4(図3参照)を接合して溝2aの天井を封鎖
した後、溝2aの長さ方向と直交する方向に沿って切断
して適宜長さのヘッドチップを複数形成し、次いで、各
ヘッドチップにおける溝2aの出口側をノズルプレート
5で覆い、入口側をインクの流動を制限する部材である
供給プレート6で覆い、インクを吐出させるためのエネ
ルギーを発生させる圧力室Aと空気室Bを交互に複数形
成し、供給プレート6側にインク供給部7を接続して製
造する。
【0025】ノズルプレート5には、圧力室Aに対応す
る部分にノズル孔5aが形成される。このノズル孔5a
を吐出方向に細くなるように形成すると、インクの流動
抵抗が低くなり、また気泡が排出され易いので好まし
い。供給プレート6には、圧力室Aに対応する部分にイ
ンク導入口6aが形成される。インク導入口6aの大き
さは、圧力室断面と同じ大きさにすると、ここに気泡が
停滞しないので好ましいが、インク導入口6aを絞るこ
とにより圧力室A内のインクの圧力波の振動や、ノズル
孔5a内のインクメニスカスの振動を抑制することがで
き、インク吐出後の圧力室A内やノズル孔5a内のイン
クの状態が早く初期状態に復帰するので、高速駆動を行
う場合には、たとえばインク導入口6aの大きさをノズ
ル孔5aと同じ大きさにすると駆動が安定するので好ま
しい。
【0026】溝2aは、長さ0.5〜10.0mm、深
さ50〜1000μm、幅10〜1000μm程度にす
るのが好ましく、印刷密度の倍の密度で設ける。例え
ば、180dpiで印刷したければ、25400/36
0=70μm間隔に設ける。空気室Bの溝幅は、圧力室
Aの溝幅より狭い方が、ノズル密度を高めることができ
るので好ましい。しかし、必要に応じて空気室Bの溝幅
を適宜選択することが好ましい。
【0027】このように、ヘッド本体に圧力室Aと空気
室Bを圧電素子2bからなる隔壁で区画して交互に複数
形成している。ヘッド本体は、圧力室Aの出口側にイン
クを吐出するノズル孔5aを有すると共に、圧力室Aの
入口側にノズル孔5aと対向する位置にインク導入口6
aを有し、このインク導入口6aからノズル孔5aへイ
ンクを供給する圧力室A兼インク流路が形成されてい
る。
【0028】インクジェットヘッドの電極3の形成は、
例えば、圧電素子2bの頭頂部に保護膜を設けた後、溝
隔壁の延長面と一定の角度をなす面内にある蒸発源か
ら、電極となる金属を蒸発させて圧電素子2b全面に金
属を蒸着し、この金属の蒸着後に保護膜を除去して電極
3を形成する。このようにすることにより、簡単に溝隔
壁に電極3を形成することができる。
【0029】電極3となる金属には、例えば、金、銀、
アルミニウム、パラジウム、ニッケル、クロム、タンタ
ル、チタン等を用いることができる。特に、電気的特
性、耐蝕性、加工性の点から、金、アルミニウム、ニッ
ケルクロム合金が好ましい。また、無電解メッキにより
金、銀、銅、ニッケルの電極を形成してもよい。
【0030】圧力室A及び空気室Bの左右隔壁(圧電素
子)に別々に形成した電極3を互いに繋ぐ接続電極の形
成には、例えば、圧電素子2bにカバープレート4を接
合した後にインク供給側端面とカバープレート4の上面
を感光性樹脂層でマスクし、基材2の溝2aの底壁部の
一端を蒸着して各溝内部の両隔壁に設けた電極3と連通
する接続電極を形成することにより、簡単に各溝内部の
両隔壁に設置された電極3,3と連通する接続電極を形
成することができる。
【0031】そして、各溝2a内部の両隔壁に設けられ
た電極3,3と接続電極を含む面に絶縁膜を被着して、
電極3,3及び接続電極を絶縁することができる。これ
は、圧力室Aの電極に電圧を掛け、導電性のインクを使
用する場合に、短絡して吐出できなくなったり、インク
を電気分解して気泡を発生させたり、電極を腐蝕させた
りすることを防止するためである。
【0032】この絶縁膜としては、ポリパラキシリレン
被膜(以下、パリレン膜という。)を用いることが好ま
しい。このパリレン膜は、固体のジパラキシリレンダイ
マーを蒸着源とするCVD(Chemical Vapour Depositi
on)法により形成する。即ち、ジパラキシリレンダイマ
ーが気化、熱分解して発生したジラジカルパラキシリレ
ンが、ヘッド基体上に吸着し重合反応して被膜を形成す
るものである。
【0033】パリレン膜を設けた圧力室Aに気泡が混入
すると、パリレン膜面に付着してこびりつき、抜けにく
い。このためパリレン膜の表面を酸素プラズマ処理し
て、親水化することが好ましい。
【0034】本実施の形態では、ヘッド本体に圧力室A
と空気室Bを圧電素子2bからなる隔壁(シェアモード
変形壁)で区画して交互に複数形成されており、圧電素
子2bの変形の影響が、空気室Bで遮断され、他の圧力
室Aに及ばないので、全圧力室Aから同時に吐出でき、
高い周波数で駆動できるようになっている。しかし、空
気室Bを設けずに隣り合う圧力室Aを同時に吐出しない
ように位相をずらして駆動することも可能である。更
に、圧力室Aにインク導入口6aからノズル孔5aへイ
ンクを供給するストレートなインク流路を形成すること
により、インク流路に屈曲部を持たないので、ここに、
気泡が停滞しないようにしているが、カバープレートや
基材にインク導入口を設ける構成も可能である。
【0035】本実施の形態のインクジェットヘッド1に
使用する強誘電性材料からなる圧電素子としては、チタ
ン酸ジルコン酸鉛(以下、PZTという。)が、充填密
度が大きく、圧電定数が大きく、加工性が良いので好ま
しい。PZTは、焼成後、温度を下げると、急に結晶構
造が変化して、原子がズレ、片側がプラス、反対側がマ
イナスという双極子の形の細かい結晶の集まりになる。
こうした自発分極は方向がランダムで、極性を互いに打
ち消しあっているので、更に分極処理が必要となる。
【0036】分極処理は、PZTの薄板を電極で挟み、
シリコン油中に漬けて、10〜35kv/cm程度の高
電界を掛けて分極する。分極したPZTに、図3に示す
ように分極方向に直角に電圧を掛けると、圧電素子(P
ZT)の隔壁が圧電滑り効果により、斜め方向にくの字
形にせん断変形して、圧力室Aの容積が膨張して、イン
ク供給部7からインクが圧力室Aに供給される。この
時、圧力室A内に負の圧力波が発生して、インク中を伝
わり、時間L/v(L:圧力室の長さ、vインク中の音
速)経過すると、圧力波が圧力室A末端に到達して反射
され、位相が反転して正の圧力波になる。この時、電極
に印加した電圧をグランドに落とすと、圧電素子の隔壁
の変形が無くなり、圧力室Aの容積が縮小してインクに
圧力が掛かる。反転した正の圧力波と、壁からの圧力が
加え合わさって、高い圧力がインクに掛かり、ノズル孔
5aからインクが吐出される。圧電素子の変形量が大き
い程、インクに掛かる力が大きくなり、インク滴の吐出
速度が早くなり、吐出の直進性が高くなり、画像の解像
度が向上する。
【0037】圧電素子2bの変形を大きくするために
は、1枚のPZTを使用して、図2(a)に示すよう
に、その上半分に電極3を設けて、上半分を変形させる
よりも、図2(b)に示すように2枚のPZTを、分極
方向が反対になるように接合して、全面に電極3を設
け、2枚のPZTに電圧を掛けて使用することが好まし
い。これはシェブロン型として特公平6−61936号
公報、特公平6−6375号公報に開示されている。2
枚のPZTを分極方向が反対になるように接合して使用
すると、1枚のPZTの場合よりせん断変形量が倍にな
るので、同じ変形量を得るには、駆動電圧が1/2で済
む。反対方向に分極した2枚のPZTを接合し、それを
基材2に接合して隔壁を形成し、圧力室Aの電極3に電
圧を掛ける場合には、隔壁の全面に電極を設け、溝2a
の底部には設けないようにすることが好ましい。
【0038】本実施の形態では、図3に示すように、こ
の分極した2枚の圧電素子を接着剤80で接合した圧電
素子2bを用い、それを基材2に接着剤8で接合してか
らダイシングソーを用いて溝を形成することによって、
隔壁により区切られるインク流路を備えたヘッド本体を
形成し、隔壁の側面に金属を蒸着させて電極3を形成
し、溝2aの長さ方向と直交する方向に沿って適宜長さ
に切断してヘッドチップを複数形成した後、各ヘッドチ
ップにカバープレート4を接着剤8で接合して覆ってい
る。
【0039】圧電素子と圧電素子間の接着剤80による
接合では、接着剤層の硬化後の厚みを10〜15μm以
下にすることが好ましく、これにより2枚の圧電素子間
の接着の信頼性が十分となり、インクもれを起こし難
く、電極の接続が阻害される虞れを少なくできる。ま
た、基材2と圧電素子間の接着剤8による接合、及びカ
バープレート4とヘッド本体間の接着剤8による接合で
は、接着剤層の硬化後の厚みを2μm以下にすることが
好ましく、これにより圧電素子隔壁の変形を吸収してし
まう虞れを少なくできる。
【0040】このようにして、2枚の圧電素子を分極方
向が反対になるように接着剤で接合した圧電素子2b
を、基材2に接着剤で接合した後にダイシングソーを用
いて溝2aを形成して、溝2aの両隔壁に電極3を設け
てから、溝2aの天井をカバープレート4で塞ぐように
接着剤で接合し、溝2aの入口、出口を、インク導入口
6aを持つ供給プレート6とノズル孔5aを持つノズル
プレート5で塞ぐようにそれぞれ接着剤で接合する。
【0041】基材2及びカバープレート4には、非圧電
性非金属材料、例えば、脱分極したPZT、フォルステ
ライト(2MgO・SiO2)、ホトベール(住金ホト
ンセラミックス社製のホウケ酸ガラスを主成分にフッ素
金雲母及びジルコニアを含む特殊セラミック)、MgO
−TiO2−CaOの3成分系セラミック、BaTi
3、焼結アルミナ、石英ガラス類、焼結コーデュライ
ト、焼結ムライトのいずれか、またはジルコニア、安定
化ジルコニア、部分安定化ジルコニア、ジルコニア強化
セラミックス、正方晶ジルコニア多結晶体、窒化アルミ
ニウム、シリコン、窒化シリコン、シリコンカーバイド
等を使用することが好ましい。
【0042】また、ノズルプレート5及び供給プレート
6は、例えば、ステンレス等の金属や、ポリイミド、ポ
リエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホ
ン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート等
の樹脂が使用される。ノズルプレート5および供給プレ
ート6は接着前にレーザー穿孔、機械穿孔によりノズル
孔5aまたはインク導入口6aを形成してもよいし、接
着後にレーザー穿孔によりノズル孔5aまたはインク導
入口6aを形成してもよい。
【0043】ノズルプレート5のノズル孔5aの径は5
〜50μm程度であり、接着剤がノズル孔5a内に付着
すると吐出しなくなったり、吐出されるインク滴が小さ
くなったりして性能に重大な影響を及ぼす。また、ノズ
ルプレート5には複数の圧力室Aに対応して複数のノズ
ル孔5aが開けられる。したがって、ノズルプレート5
の接着剤による接合に要求される位置精度は、ノズル孔
5aの径、ノズルプレート5を接合する面のインク流路
または圧力室Aの大きさなどによって異なるが、通常の
インクジェットヘッドではノズル径以下の精度であるこ
とが好ましい。ノズル孔の間隔は10〜1000μm
で、64〜1024程度のノズル孔が開けられているも
のが多いが、更にノズルの数は多くなる傾向にある。プ
リントしようとする紙幅全体を一度にプリントする方式
のものでは、例えば7000ノズル、全幅が30cmの
ものが知られており、この場合30cmの範囲で10μ
m程度の位置精度であることが好ましい。
【0044】またノズルプレート5の吐出側の面は撥イ
ンク処理されることが多いが、接着前の接着面に撥イン
ク処理させると接着剤による十分な接合が行われなくな
る可能性があるので、接着前に撥インク処理を行う場合
は、接着面が撥インク処理されないようにすることが好
ましい。
【0045】いずれの場合においても、接着剤による接
合を行う際には、接着剤の塗設面は親水化処理をして濡
れ性を増しておくことが好ましい。濡れ性を増す処理と
しては界面活性剤や、酸又はアルカリによる洗浄や、オ
ゾン処理、コロナ放電処理、プラズマ処理が好ましい。
【0046】各インクジェットヘッド用部材同士を熱硬
化型接着剤を用いて接合するに際しては、熱膨張率の低
い方の部材の側から加熱を行うことにより接着剤を硬化
させる。本実施形態において、インクジェットヘッド用
部材同士の接合としては、基材2と圧電素子2bとの接
合、該接合部材とカバープレートとの接合がそれぞれ挙
げられ、これらの接合時において、それぞれ熱膨張率の
低い方の部材の側から加熱を行うことにより接着剤を硬
化させる。このとき、熱膨張率の高い部材の側は加熱せ
ずに開放状態としておいてもよいが、冷却手段によって
冷却することが好ましい。
【0047】なお、本実施の形態では、基材2と圧電素
子2bを別部材で構成し、両者を接着剤で接合した例を
示したが、分極した厚さの異なる2枚のPZT基板を貼
り合わせた圧電素子のヘッド基板を用意し、薄いPZT
基板側から厚いPZT基板の途中までダイシングソー等
により溝2aを形成する構成を採用することもできる。
この場合にはヘッド構造が単純になる。
【0048】
【実施例】以下、本発明の実施例により本発明を例証す
るが、本発明はかかる実施例によって何ら限定されるも
のではない。
【0049】以下の接合及びの各工程を含む手法
で、以下に示す条件で図2(a)に示す非シェブロン構
造のシェアモードタイプのインクジェットヘッドを製造
した。
【0050】まず、基材(フォルステライト:2MgO
・SiO2、厚さ1mm、線膨張係数10ppm/℃)
とPZT(厚さ200μm、線膨張係数3ppm/℃)
を、以下に示す接着剤を用いて接合する(接合)。次
いで、PZTの側から深さ200μm、幅70μmの溝
を切り、電極を形成し、パリレン処理する。上記基材と
PZTとの接合部材に対して、カバープレート(脱分極
したPZT、厚さ1mm、線膨張係数2ppm/℃)
を、以下に示す接着剤を用いて接合する(接合)。そ
の後、溝の長さが3mmとなるように、溝の長さ方向と
直交する方向に沿って切断してヘッドチップを形成し、
このヘッドチップに対し、ノズルプレート(100μm
厚のポリイミドに、直径30μmのノズル孔を形成した
もの)を接着(ヘッドチップとノズルプレートの両側か
ら加熱、圧力は1kg/cm2)し、電極の取り出しと
インク流路の接着(常温硬化タイプシリコン接着剤)を
行い、インクジェットヘッドを構成した。
【0051】〔接着剤〕 熱硬化型接着剤:田岡化学テクノダインAH3041W
(田岡化学社製)
【0052】〔接合時の接着剤の加熱条件〕 加熱温度:100℃(接着剤部分の温度) 加熱加圧時間:60分 圧力:10kg/cm2 加熱方法:以下のA〜Cの加熱方法を採用した。
【0053】A(本発明加熱):熱膨張率の低い方の部
材の側から加熱し、熱膨張率の高い方の部材の側はアル
ミニウムブロックに水を流して15℃に冷却した。 B(本発明加熱):熱膨張率の低い方の部材の側から加
熱し、熱膨張率の高い方の部材の側はそのまま放置し
た。 C(比較加熱):熱膨張率の高低に関わらず、両部材の
側から加熱・加圧した。
【0054】実験例1〜6 上記接合の各工程において、表1に示すようにA〜
Cの各加熱方法を採用してそれぞれインクジェットヘッ
ドを製造した。
【0055】製造された各インクジェットヘッドについ
て、インクを吐出速度7m/secで吐出させた時の駆
動電圧を測定した。その結果を表1に示す。
【0056】なお、インクは、色材を含まない出射評価
用のダミーインクを調整して用いた。組成は、グリセリ
ン10%、ジエチレングリコール10%、トリエチレン
グリコールモノブチルエーテル10%、界面活性剤(日
信化学社製オルフィンE1010)0.1%、残りが水
である。
【0057】
【表1】
【0058】表1から、実験例1〜4(本発明)では、
接合の全ての接合工程において、熱膨張率の低い方
の部材の側から加熱を行っているため、駆動電圧が低下
している。特に、実験例1では、一方の熱膨張率の高い
方の部材の側は常に冷却しているため、更に駆動電圧が
低下しており、最も駆動効率が良くなっている。
【0059】これに対し、接合時に熱膨張率の高い方の
部材の側からも加熱を行う工程を含んでいる実験例5、
6(比較例)では、駆動電圧が上昇し、圧電特性が劣化
していることがわかる。駆動電圧は低い方がよいが、実
験例5、6のように接合のために接着のために熱膨張率
の高い方の部材の側からも加熱を行うと駆動効率が低下
し、駆動電圧が上昇する。これは、熱膨張率の高い方の
部材の側からも加熱を行うと、接合する2つの部材の熱
膨張率の差から、加熱接着後に常温に戻したときに、接
合した2つの部材に恰もバイメタルのように変形させる
力が働き、このときに圧電素子に加わる応力が、圧電素
子の圧電効果を低下させることによるものであると考え
られる。
【0060】なお、駆動電圧が低い方がよい理由は、駆
動電圧が高いと、高容量の駆動回路が必要になること、
ヘッドの電極でのオーム損や誘電損失でヘッド温度が上
昇し、インク粘度が変化して吐出は不安定になること、
圧電素子に加わる電界が一定値を越えると圧電素子の圧
電特性が失われるからである。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、熱硬化型の接着剤で二
つのインクジェットヘッド用部材を接着した場合に、駆
動効率が低下せず駆動電圧が高くならないインクジェッ
トヘッドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シェアモード型インクジェットヘッドの斜視図
【図2】シェアモード型インクジェットヘッドの圧電素
子の変形を示す図
【図3】シェアモード型インクジェットヘッドの接着剤
層を示す部分断面図
【符号の説明】
1:インクジェットヘッド 2:基材 2a:溝 2b:圧電素子 3:電極 4:カバープレート 5:ノズルプレート 5a:ノズル孔 6:供給プレート 6a:インク導入口 7:インク供給部 A:圧力室 B:空気室

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱膨張率の異なる2つのインクジェットヘ
    ッド用部材を熱硬化性型接着剤で接合して製造するイン
    クジェットヘッドの製造方法において、前記熱膨張率の
    低い方のインクジェットヘッド用部材の側から加熱する
    ことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】前記熱膨張率の高い方のインクジェットヘ
    ッド用部材の側から冷却することを特徴とする請求項1
    記載のインクジェットヘッドの製造方法。
JP2001042091A 2001-02-19 2001-02-19 インクジェットヘッドの製造方法 Pending JP2002240305A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001042091A JP2002240305A (ja) 2001-02-19 2001-02-19 インクジェットヘッドの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001042091A JP2002240305A (ja) 2001-02-19 2001-02-19 インクジェットヘッドの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002240305A true JP2002240305A (ja) 2002-08-28

Family

ID=18904440

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001042091A Pending JP2002240305A (ja) 2001-02-19 2001-02-19 インクジェットヘッドの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002240305A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005096422A (ja) * 2003-08-19 2005-04-14 Canon Inc インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法
US7971358B2 (en) 2003-08-19 2011-07-05 Canon Kabushiki Kaisha Tank unit, ink jet recording head and method of manufacturing tank unit and ink jet recording head
US8573753B2 (en) 2011-08-26 2013-11-05 Toshiba Tec Kabushiki Kaisha Inkjet head and method of manufacturing the inkjet head

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09213740A (ja) * 1996-01-29 1997-08-15 Citizen Watch Co Ltd 液晶表示装置における液晶駆動用半導体装置の実装方法
JP2000263787A (ja) * 1998-12-04 2000-09-26 Konica Corp インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドプリンタ並びにインクジェットヘッドの製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09213740A (ja) * 1996-01-29 1997-08-15 Citizen Watch Co Ltd 液晶表示装置における液晶駆動用半導体装置の実装方法
JP2000263787A (ja) * 1998-12-04 2000-09-26 Konica Corp インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドプリンタ並びにインクジェットヘッドの製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005096422A (ja) * 2003-08-19 2005-04-14 Canon Inc インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法
JP4548713B2 (ja) * 2003-08-19 2010-09-22 キヤノン株式会社 インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法
US7971358B2 (en) 2003-08-19 2011-07-05 Canon Kabushiki Kaisha Tank unit, ink jet recording head and method of manufacturing tank unit and ink jet recording head
US8573753B2 (en) 2011-08-26 2013-11-05 Toshiba Tec Kabushiki Kaisha Inkjet head and method of manufacturing the inkjet head

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3726909B2 (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法
JP2873287B1 (ja) インクジェット記録ヘッドおよびその製造方法
JP2009233927A (ja) インクジェットヘッドの製造方法
JP4737375B2 (ja) アクチュエータ装置の製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法並びに液体噴射装置の製造方法
KR20080033099A (ko) 액츄에이터 장치의 제조 방법, 액츄에이터 장치 및 액체분사 헤드
JP2006231909A (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP2004001431A (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP4396192B2 (ja) インクジェット記録ヘッド
JP2006255972A (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP2002240304A (ja) インクジェットヘッドの製造方法
JP3729244B2 (ja) インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドプリンタ並びにインクジェットヘッドの製造方法
JP2002240305A (ja) インクジェットヘッドの製造方法
JP2002103614A (ja) インクジェットヘッド
JP2004154987A (ja) 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
JP2011091234A (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置及びアクチュエーター装置
US7887164B2 (en) Liquid jet head, a liquid jet apparatus and a piezoelectric element
KR100816169B1 (ko) 액츄에이터 장치의 제조 방법 및 액츄에이터 장치 및 액체분사 헤드 및 액체 분사 장치
JP2000168082A (ja) インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法
JP5429482B2 (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JPH06238897A (ja) インクジェットプリンターヘッド
JP2009076819A (ja) アクチュエータ装置及び液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置
JP2004224035A (ja) 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
JP2007267550A (ja) 圧電アクチュエータおよびその分極方法
US20090152236A1 (en) Method for manufacturing liquid ejecting head and liquid ejecting apparatus
JP4284913B2 (ja) インクジェットヘッドおよびその製造方法ならびにインクジェット式記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100921

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101005

A02 Decision of refusal

Effective date: 20110308

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02