JP2007267550A - 圧電アクチュエータおよびその分極方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体吐出量のばらつきが少なく、かつ変位の駆動劣化が抑制された圧電アクチュエータおよびその分極方法を提供することである。
【解決手段】互いに隣接する変位素子7間に位置する圧電セラミック層5bが、振動板2の主面に垂直な方向に対して斜め方向に分極されている圧電アクチュエータ1である。圧電アクチュエータ1の分極方法であって、互いに隣接する変位素子7を第1の変位素子および第2の変位素子としたとき、前記第1の変位素子の駆動電極と、前記第2の変位素子のコモン電極との間に分極電圧を印加する分極処理を行って、第1の変位素子および第2の変位素子間に位置する圧電セラミック層5bを、振動板2の主面に垂直な方向に対して斜め方向に分極する。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電アクチュエータおよびその分極方法に関し、特に微小液滴を噴出させたり、微小液体を送出するための液体吐出装置や文字や画像の印刷に用いるインクジェット式プリンタに搭載される印刷ヘッドに好適に使用できる圧電アクチュエータおよびその分極方法に関する。
近時、パーソナルコンピューターの普及やマルチメディアの発達に伴って、情報を記録媒体に出力する記録装置として、インクジェット方式の記録装置の利用が急速に拡大している。該記録装置は、コンシューマ向けの小型プリンタだけでなく、例えば電子回路の形成や液晶ディスプレイ用のカラーフィルタの製造、有機ELディスプレイの製造といった工業用途にも、広く利用されている。
インクジェット方式の記録装置においては、インクジェットヘッドを主操作方向に移動させると共に、記録紙や基板等を、上記主走査方向と交差する副走査方向に移動させながら、記録情報に応じてインクジェットヘッドを駆動させて、当該インクジェットヘッドのノズル開口から断続的にインク滴を吐出させることにより記録が行われる。例えば、小型プリンタの場合には、記録紙等の表面に文字や画像が記録される。また、工業用の記録装置の場合には、基板等の表面に電子回路、液晶ディスプレイのカラーフィルタ、有機ELディスプレイの発光セル等が形成される。
かかるインクジェット方式の記録装置には、液体を吐出させるための液体吐出装置が、印刷ヘッドとして搭載されている。この種の印刷ヘッドには、インクが充填されたインク流路内に加圧手段としてのヒーターを備え、このヒーターによりインクを加熱して沸騰させ、インク流路内に発生する気泡によってインクを加圧し、液体吐出孔より、インク滴として吐出させるサーマルヘッド方式と、インクが充填されるインク流路の一部の壁を変位素子によって屈曲変位させ、機械的にインク流路内のインクを加圧し、液体吐出孔よりインク滴として吐出させる圧電方式が一般的に知られている。
圧電方式を利用したインクジェットプリンタに用いられるインクジェットヘッドは、例えば図6(a)に示したように、アクチュエータ51が、流路部材53の上に設けられた構造を有する(例えば、特許文献1、2参照)。流路部材53は、複数の液体加圧室53aが隔壁53bによって仕切られ、液体加圧室53aはアクチュエータ51に当接するように並設されている。
圧電アクチュエータ51は、振動板52上に、コモン電極54、圧電セラミック層55および駆動電極56がこの順に積層され、駆動電極56とコモン電極54とで圧電セラミック層55を挟持して構成される変位素子57が複数形成されている。また、駆動電極56は、図6(b)に示したように、圧電セラミック層55の表面にマトリックス状に配置され、液体加圧室53aの直上に駆動電極56が配置している。
駆動電極56は、図6(b)に示したように、液体加圧室53aの上に配置された変位電極56aと、変位電極56aと接続し、かつ外部配線と接続するための引出電極56bとからなり、外部配線接続基板からの外部配線が接続される(不図示)。また、コモン電極54も、外部配線回路と接続するための接続端子59に電気的に接続している。
上記のような印刷ヘッドは、コモン電極54と所定の駆動電極56との間に電圧を印加して、駆動電極56直下の圧電セラミック層55を変位させることにより、変位領域57aが対応する液体加圧室53aの方向に凸になるように変形し、液体加圧室53a内のインクを加圧して、流路部材53の底面に開口した液体吐出口58よりインク滴を吐出することができる。
しかしながら、コモン電極54と所定の変位電極56aとの間に電圧を印加すると、変位電極56aに接続する引出電極56bと共通電極54の間にも電界が発生し、変位素子57の外部において圧電セラミック層55の変位による伸縮変形が発生し、内部応力を発生させる。この内部応力によって変位素子57の変位量にばらつきが生じ、液体吐出量にばらつきを生じさせるという問題があった。
特開平11−34321号公報 特開平11−34323号公報
上記問題を解決するために、本出願人は、下記に示す圧電アクチュエータを特願2005−202704において提案している。すなわち、この圧電アクチュエータは、圧電セラミック層の表面に、前記駆動電極の各々にそれぞれ隣接するように設けられた複数の接地端子及び複数の電圧端子を具備し、各接地端子と各コモン電極とをビア電極を介してそれぞれ電気的に接続するとともに、各電圧端子と各駆動電極とをそれぞれ電気的に接続し、前記コモン電極と前記駆動電極の間に電圧を印加することによって、前記コモン電極、前記駆動電極及びこれらに挟持される圧電セラミック層によって構成される変位素子を変位させるようにしたものである。
このような圧電アクチュエータによると、変位素子以外の部位において不要な変位が抑制されて液体吐出量のばらつきが低減し、駆動初期の変位は良好である。
しかしながら、コモン電極と駆動電極との間に電圧を印加して圧電素子に発生するユニモルフ振動を繰り返し続けると、その変位量が低下するという駆動劣化の問題が発生するおそれがあった。
本発明の課題は、液体吐出量のばらつきが少なく、かつ変位の駆動劣化が抑制された圧電アクチュエータおよびその分極方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)振動板と、該振動板の主面上に設けられた複数のコモン電極と、該複数のコモン電極を覆うように前記振動板の主面上に設けられた圧電セラミック層と、該圧電セラミック層上に前記複数のコモン電極の各々と対向するように設けられた複数の駆動電極とを備え、この駆動電極と前記コモン電極とで前記圧電セラミック層を挟持して構成される変位素子を複数形成した圧電アクチュエータであって、互いに隣接する変位素子間に位置する圧電セラミック層が、前記振動板の主面に垂直な方向に対して斜め方向に分極されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
(2)振動板と、該振動板の主面上に設けられた複数のコモン電極と、該複数のコモン電極を覆うように前記振動板の主面上に設けられた圧電セラミック層と、該圧電セラミック層上に前記複数のコモン電極の各々と対向するように設けられた複数の駆動電極とを備え、前記コモン電極および駆動電極で前記圧電セラミック層を挟持してなる複数の変位素子が形成された圧電アクチュエータの分極方法であって、互いに隣接する変位素子を第1の変位素子および第2の変位素子としたとき、前記第1の変位素子の駆動電極と、前記第2の変位素子のコモン電極との間に分極電圧を印加する分極処理を行って、第1の変位素子および第2の変位素子間に位置する圧電セラミック層を、前記振動板の主面に垂直な方向に対して斜め方向に分極することを特徴とする圧電アクチュエータの分極方法。
(3)前記分極処理を行った後、前記第1の変位素子のコモン電極と、前記第2の変位素子の駆動電極との間に分極電圧を印加する分極処理を行う前記(2)記載の圧電アクチュエータの分極方法。
(4)前記複数の変位素子を振動板の主面上にマトリックス状に配列させ、互いに隣接する複数の変位素子間において、それぞれ前記分極処理を行う前記(2)または(3)記載の圧電アクチュエータの分極方法。
(5)前記(1)記載の圧電アクチュエータが、複数のインク加圧室を有する流路部材の表面に、該インク加圧室の直上に前記アクチュエータの変位素子が配置するように接合されてなり、前記変位素子の変位によってインクを吐出させることを特徴とするインクジェットヘッド。
上記(1)記載の圧電アクチュエータによれば、互いに隣接する変位素子間に位置する圧電セラミックス層(すなわち駆動に寄与しない圧電セラミック層)が、所定の斜め方向に分極されているので、ユニモルフ振動を繰り返しても、液体吐出量のばらつきが少なく、かつ変位の駆動劣化を抑制することができるという効果がある。
上記(2)記載の圧電アクチュエータの分極方法によれば、互いに隣接する変位素子を第1の変位素子および第2の変位素子としたとき、第1の変位素子の駆動電極と、第2の変位素子のコモン電極との間で分極処理を行うため、繰り返しユニモルフ振動を繰り返しても、液体吐出量のばらつきが少なく、かつ変位の駆動劣化を抑制することができる。
上記(3)記載の圧電アクチュエータの分極方法によれば、前記第1の変位素子のコモン電極と、前記第2の変位素子の駆動電極との間に分極処理を行うので、いわゆるたすきがけのように電圧を印加して分極処理を行うことになり、互いに隣接する変位素子間の圧電セラミック層を、効率よく所定の斜め方向に分極することができ、その結果、液体吐出量のばらつきおよび変位の駆動劣化を、より効果的に抑制することができる。
上記(4)記載の圧電アクチュエータの分極方法によれば、互いに隣接する複数の変位素子間において、それぞれ前記分極処理を行うので、変位素子の周囲において、所定の斜め方向に分極された部位が増えるため、さらに液体吐出量のばらつきと変位の駆動劣化を低減することが可能となる。
上記(5)記載のインクジェットヘッドによれば、前記所定の圧電アクチュエータを備えているので、液体吐出量のばらつきが少なく、かつ変位の駆動劣化が抑制されたインクジェットヘッドとなる。
<圧電アクチュエータ>
以下、本発明の圧電アクチュエータの一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1(a)は、本実施形態にかかる圧電アクチュエータを示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A'線断面図である。図1(a),(b)に示すように、この圧電アクチュエータ1は、振動板2と、該振動板2の主面上に設けられた複数のコモン電極4aと、該複数のコモン電極4aを覆うように振動板2の主面上に設けられた圧電セラミック層5と、該圧電セラミック層5上に複数のコモン電極4aの各々と対向するように設けられた複数の駆動電極6aとを備えている。駆動電極6aは、圧電セラミック層5の表面に2次元的かつ規則的(すなわちマトリックス状)に複数配列されている。
そして、圧電アクチュエータ1には、駆動電極6aとコモン電極4aで圧電セラミック層5を挟持して構成される変位素子7が複数形成されている。これにより、駆動電極6aおよびコモン電極4a間に電圧を印加すると、該電圧が印加された駆動電極6aとコモン電極4aに挟持された部位の圧電セラミック層5aが変位する。具体的には、駆動電極6aに駆動電極を印加すると、振動板2により積層方向と直交する方向の変位が抑制されるので、変位素子7は積層方向に屈曲する。すなわち、圧電アクチュエータ1はユニモルフ型のアクチュエータとして駆動する。
ここで、圧電アクチュエータ1において、互いに隣接する各変位素子7間に位置する圧電セラミック層5bが、振動板2の主面に垂直な方向に対して斜め方向に分極されていることが重要である。これにより、液体吐出量のばらつきが少なく、かつ変位の駆動劣化が抑制される。この理由としては、下記のような理由が推察される。
すなわち、圧電アクチュエータ1における圧電セラミック層5は、駆動電極6aとコモン電極4aで挟持された部分の圧電セラミック層5aが駆動部を構成する。また、変位素子7を除く部分、すなわち互いに隣接する変位素子7間に位置する圧電セラミック層5bが、駆動に寄与しない非駆動部(非活性部)を構成する。
上記のような構成において、互いに隣接する圧電素子7間に位置する圧電セラミックス層5bを所定の斜め方向に分極すると、駆動部周辺における非駆動部の圧電セラミック層5bの結晶方位(c軸結晶方位)が基板面方向(すなわち振動板2の厚み方向に対して垂直方向)に揃う構成となる。その結果、駆動時における変位の低下原因である非駆動部のドメイン回転が抑制され、ユニモルフ振動を繰り返しても変位の駆動劣化を抑制することができる。これに対し、互いに隣接する変位素子7間に位置する圧電セラミック層5bが、所定の斜め方向に分極されていないと、液体吐出量がばらつくと共に、駆動が劣化する。
なお、圧電アクチュエータ1をユニモルフ型のアクチュエータとする上で、コモン電極4aと駆動電極6aで挟持された圧電セラミック層5aは、積層方向に分極される。
圧電アクチュエータ1の厚みZは、変位量を大きくするという点で100μm以下、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下であるのがよい。また、厚みZの下限値は、取扱中や作動中に破損しない程度の機械的強度を有する上で20μm以上、好ましくは25μm以上、より好ましくは30μm以上であるのがよい。
(コモン電極・駆動電極)
コモン電極4aと駆動電極6aの形成数は同数であり、かつ圧電セラミック層5を介して対向するように配置される。また、コモン電極4aには、コモン接続部4bが接続され、該コモン接続部4bはビア電極4cの一端と電気的に接続し、ビア電極4cの他端は圧電セラミック層5表面に設けられた接地端子4dと電気的に接続する。そして、接地端子4dは、外部配線回路(不図示)に接続される。すなわち、コモン電極4aは、コモン接続部4b、ビア電極4cおよび接地端子4dを介して外部配線回路に電気的に接続している。
また、駆動電極6aには、接地端子4dと重ならない位置に電圧接続部6bが設けられ、該電圧接続部6bは電圧端子6dと電気的に接続し、該電圧端子6dは外部配線回路(不図示)に接続される。すなわち、駆動電極6aは、電圧接続部6bおよび電圧端子6dを介して外部配線回路に電気的に接続している。
ここで、コモン接続部4bが駆動電極6aに対向しないこと、およびコモン接続部4bと電圧接続部6bがお互いに対向しないことが好ましい。このような配置にすると、駆動電極6aおよびコモン電極4aの間に電圧を印加しても、コモン接続部4bや電圧接続部6bには、圧電セラミックス5を挟んで対向する電極が配置していない。このため、これらの部分は圧電振動せず伸縮変形しないので、不要振動を抑制して、いわゆるクロストークを低減することができ、その結果、圧電アクチュエータ1の変位量ばらつきを低減することができる。
また、コモン電極4aが駆動電極6aと略同一の形状であることが好ましい。これにより、積層による電極の位置ずれを吸収でき、静電容量のばらつきを抑制することが容易になる。ここで、略同一の形状とは、一方の電極がわずかに大きい場合または両電極4a、6aが同じ大きさであり、しかも両電極4a、6aは略相似形であることを意味している。
なお、電圧接続部6bがコモン電極4aに対向しないように、コモン電極4aと駆動電極6aとが略同一の形状であることが望ましいが、駆動電極6aの位置がずれても所望の面積領域を分極し活性化することを可能とする上で、コモン電極4aが駆動電極6aと略相似形状で、コモン電極4aがわずかに駆動電極6aよりも大きいことが好ましい。コモン電極4aを、駆動電極6aよりもわずかに大きくした場合には、コモン電極4aと電圧接続部6bとの間で対向する部位が生じるが、この領域をできるだけ小さくすることが好ましい。
また、駆動電極6aがコモン電極4aの外側にはみ出さないように、すなわち駆動電極6aがコモン電極4aの内側に投影されるようにこれらを配置するのが好ましい。これにより、電圧端子6dおよび接地端子4cに当設する部位の圧電セラミック層5には電界はかからないので、これらの部分が圧電振動するのを防止することができる。よって、駆動電極6aを高密度に配置しても、隣接する駆動電極6aの下部の圧電セラミック層5における圧電振動に影響を与えて所望の圧電振動を妨げることがないので、集積度が高くても変位量ばらつきを小さく抑えることができる。
また、コモン電極4aと駆動電極6aとは相似形状であり、駆動電極6aをコモン電極4aよりもわずかに小さくし、駆動電極6aをコモン電極4aに投影した場合の投影図形が、コモン電極4aの周縁からはみ出さないように配置することが好ましい。これにより、駆動電極6aの位置が多少ずれても、所望の面積領域を分極し活性化することができる。
コモン電極4a、コモン接続部4bの厚みは0.5μm以上、好ましくは1μm以上であるのがよい。これにより、圧電アクチュエータ1の剛性を向上させて反り変形の抑制効果を高めることができる。駆動電極6aの厚みは2μm以下、好ましくは1μm以下であるのがよく、接地端子4dの厚みは5μm以上、好ましくは10μm以上であるのがよい。
コモン電極4aおよびコモン接続部4bは、同一材料により形成されるのが好ましい。例えばAu、Ag、Cu,Cr、Pd、Ptなどの金属またはこれらのうち少なくとも1種以上を主成分とする合金などを用いるのが好ましく、密着強度を高めるという点で、特にAg−Pd合金、さらに圧電セラミック層5と同じ材料(例えばペロブスカイト結晶構造型の圧電セラミック)を微量添加して用いるのがより好ましい。
ビア電極4c、接地端子4dおよび電圧端子6dとしては、例えばAu、Ag、Cu、Cr、Pd、Ptなどの金属またはこれらの少なくとも1種以上を主成分とする合金などを用いることができ、好ましくはAuまたはAgを主成分とする金属(もしくは合金)であるのがよい。
駆動電極6aおよび電圧接続部6bは、同一材料により形成されるのが好ましい。例えばAu、Ag、Cu、Cr、Pd、Ptなどの金属、またはこれらのうち少なくとも1種以上を主成分とする合金などを用いるのが好ましく、薄層化しても高い導電性が得られるという点で、特にAuを用いるのが好ましい。
(圧電セラミック層・振動板)
圧電セラミック層5は、圧電性を示すセラミックス、例えばチタン酸ジルコン酸鉛化合物[PbZrTiO3系化合物(PZT系)]、チタン酸鉛化合物、チタン酸バリウム化合物などのペロブスカイト結晶構造型の圧電材料、Bi層状化合物やタングステンブロンズ構造物質、Nb酸アルカリ化合物のペロブスカイト構造化合物を好適に用いることができる。
上記で例示したものの内、Pbを含むジルコン酸チタン酸鉛(PZT)やチタン酸鉛(PT)が電極(コモン電極4a,駆動電極6a)との濡れ性を高めると共に、電極との密着強度を高める点で好適である。さらに、Aサイト構成元素としてPbを含有し、かつBサイト構成元素としてZrおよびTiを含有する結晶であるジルコン酸チタン酸鉛(PZT)等のジルコン酸チタン酸鉛系化合物が、より絶対値の高い圧電定数d31を有する安定な圧電焼結体(圧電アクチュエータ1)を得るうえで好ましい。
特に、ジルコン酸チタン酸鉛系化合物などの圧電セラミックス(すなわち、圧電セラミック層5および振動板2)のAサイトとBサイトの組成比が{Aサイト/Bサイト}≦1であるのが好ましい。これにより、圧電セラミック層5の結晶形が正方晶になるので、互いに隣接する圧電素子7間に位置する圧電セラミックス層5bを所定の斜め方向に分極すると、駆動部周辺における非駆動部の圧電セラミック層5bの結晶方位(c軸結晶方位)が、基板面方向(すなわち振動板2の厚み方向に対して垂直方向)に揃う構成とすることができる。
振動板2は、種々のセラミックや金属、あるいはこれらの複合体を用いることができるが、圧電セラミック層5との接合強度を高めかつ熱膨張係数差を小さくできるという点で、振動板2にも圧電セラミック層5と略同一材料を使用することが望ましい。例えば、PT、PZT等の圧電体、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックスを用いることができる。これらの中でも、熱膨張係数の差を小さくするため、圧電セラミック層5に使用される圧電体と略同一材料を用いることが好ましい。一般に、振動板2は、コモン電極4a、圧電セラミック層5などと同時に焼成して得ることができる。
圧電セラミック層5および振動板2は、Sr、Ba、Ni、Sb、Nb、Zn、Yb及びTeのうち少なくとも1種を含むことが好ましい。これによって、より安定した圧電焼結体(圧電アクチュエータ1)を得ることがでる。このような圧電セラミック層5および振動板2としては、例えば副成分としてPb(Zn1/3Sb2/3)O3及びPb(Ni1/2Te1/2)O3を固溶してなるものを例示できる。
また、圧電セラミック層5および振動板2は、特に、Aサイト構成元素として、さらにアルカリ土類元素を含有することが望ましい。アルカリ土類元素としては、Ba、Srが高い変位を得られる点で好ましく、Baを0.02〜0.08モル、Srを0.02〜0.12モル含むことが、正方晶組成が主体の組成の場合に大きな変位を得るうえで有利である。
このような圧電セラミック層5および振動板2としては、例えばPb1-x-ySrxBay(Zn1/3Sb2/3a(Ni1/2Te1/2bZr1-a-b-cTic3+α重量%Pb1/2NbO3(0≦x≦0.14、0≦y≦0.14、0.05≦a≦0.1、0.002≦b≦0.01、0.44≦c≦0.50、α=0.1〜1.0)等で表されものが挙げられる。
圧電セラミック層5の厚みは、低電圧化という点で、30μm以下にするのがよく、取扱中や作動中に破損しない程度の機械的強度を有する上で、好ましくは10〜20μmの範囲であるのがよい。振動板2の厚みは5〜50μm、好ましくは10〜30μm程度であるのがよい。これにより、圧電アクチュエータ1をユニモルフ型にすることができる。
また、圧電セラミック層5および振動板2は、c軸の格子定数が0.4085nm〜0.4100nmであることが好ましい。c軸の格子定数を上記範囲内に調整するには、例えばコモン電極4aのAg/PdのAg比率を90体積%以下にする、あるいはPZT原料調合時のAサイトとBサイトの組成比を1以下にすればよい。
<製造方法>
次に、上記で説明した圧電アクチュエータ1の製造方法について、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を圧電セラミックスとして用いた場合について説明する。まず、チタン酸ジルコン酸鉛化合物(例えば純度99%、平均粒子径1μm以下の粉末)、チタン酸鉛化合物(例えば純度99%、平均粒子径1μm以下の粉末)、チタン酸バリウム化合物(例えば純度99%、平均粒子径1μm以下の粉末)などの圧電セラミックスを主成分とする原料粉体を準備し、これらを混合してスラリーを作製する。得られたスラリーを用いて、グリーンシートを作製する。グリーンシートの作製方法は、例えばドクターブレード法、ロールコータ等の周知のテープ成形方法を採用することができる。
次いで、作製したグリーンシートのうち、焼成後に振動板2となるグリーンシートの主面に、導体ペーストの塗布層を形成し、焼成後にコモン電極4aおよびコモン接続部4bとなる金属パターンを形成する。金属パターンの形成方法は、例えばスクリーン印刷法等を例示することができるが、他の公知の手法を採用することも可能である。
一方、焼成後に圧電セラミック層5となる他のグリーンシートに、ビア導体を充填するためのビアホールを穿孔して形成する。ビアホールの穿孔方法は、例えばパンチング、レーザー加工等の周知の手法を採用することができる。得られたビアホールには、所望のビア導体を充填する。なお、ビアホールへのビア導体の充填は、焼成前であっても、焼成後であってもよい。すなわち、焼成前にビア導体を充填し、グリーンシートと同時に焼成することもできるが、ビア導体を形成する前に焼成し、焼結体のビアホールに導体ペーストを充填して加熱処理を行ってビア導体を形成することもできる。
次に、これらのグリーンシートを積層し、密着させて積層成形体を得る。この積層成形体を所定の形状に切断した後、900〜1100℃程度で焼成して、コモン電極4aおよびビア電極4cを内蔵する積層圧電体を作製する。
この積層圧電体の表面に、スクリーン印刷法等の方法により導体ペーストを印刷して、駆動電極6aおよび電圧接続部6bとなる金属パターンを形成し、600〜850℃程度で熱処理する。最後に、接地端子4d、電圧端子6dとなる金属パターンをスクリーン印刷法等により形成して600〜850℃程度で熱処理する。これにより、分極前の圧電アクチュエータ1を得ることができる。なお、接地端子4d、駆動電極6a、電圧接続部6bおよび電圧端子6dは、それぞれ同一の導体ペーストを使用する等の方法により、1回の熱処理で作製することも可能である。
<分極方法>
次に、上記で得た分極前の圧電アクチュエータ1の分極方法について、図面を参照して詳細に説明する。図2および図3は、本実施形態にかかる圧電アクチュエータの分極方法を説明するための概略説明図である。なお、図2および図3においては、前述した図1の構成と同一または同等な部分には同一の符号を付して説明は省略する。
まず、図2(a)に示すように、互いに隣接する変位素子7を第1の変位素子7aおよび第2の変位素子7bとしたとき、第1の変位素子7aの駆動電極6aと、第2の変位素子7bのコモン電極4aとの間に分極電圧を印加する分極処理を行って、第1の変位素子7aおよび第2の変位素子7b間に位置する圧電セラミック層5bを、振動板2の主面に垂直な方向[図2(a)中の矢印Aに示す方向]に対して、斜め方向[図2(a)中の矢印Bに示す方向]に分極する。これにより、ユニモルフ振動を繰り返しても、液体吐出量のばらつきが少なく、かつ変位の駆動劣化を抑制することができる。この理由としては、上記で説明した通り、駆動部(圧電セラミック層5a)周辺の非駆動部(圧電セラミック層5b)のc軸結晶方位が基板面方向(すなわち振動板2の厚み方向に対して垂直方向)に揃うため、駆動時において変位の低下原因であるドメインの回転を抑制することができ、その結果、繰り返しユニモルフ振動を繰り返しても変位の駆動劣化を抑制することができるものと推察される。
分極条件としては、圧電アクチュエータ1の組成や厚み等に応じて、任意に選定すればよく、特に限定されるものではないが、例えば1〜5kv/mm程度の直流電圧を、1〜30分間程度印加して分極を行えばよい。
前記分極処理を行った後、図2(b)に示すように、第1の変位素子7aのコモン電極4aと、第2の変位素子7bの駆動電極6aとの間に、前記矢印Bに示す方向と同様にして、分極電圧を印加する分極処理を行うのが好ましい[図2(b)中の矢印Cに示す方向]。これにより、変位素子間の圧電セラミック層5bを、効率よく所定の斜め方向に分極することができ、変位の駆動劣化をより効果的に抑制することができる。
また、変位素子7を振動板の主面上にマトリックス状に配列させ、互いに隣接する複数の変位素子7間において、それぞれ前記分極処理を行うことが好ましい。具体的には、図3に示すように、変位素子7cと、該変位素子7cに近接する変位素子7d〜7kの各々との間で、前記分極処理を行うのが好ましい。これにより、変位素子7cの周囲において所定の斜め方向に分極された部位が増えるため、さらに変位の駆動劣化を低減することが可能となる。
そして、圧電アクチュエータ1をユニモルフ型のアクチュエータとする上で、図2(c)に示すように、コモン電極4aと駆動電極6aで挟持された圧電セラミック層5aを、積層方向[図2(c)中の矢印Dに示す方向]に分極する。この分極の条件としては、前記矢印B,Cに示す方向で例示した分極条件と同じ条件を例示することができる。
なお、分極する順番は、特に限定されるものではなく、例えば、まず圧電セラミック層5aを積層方向に分極した後、圧電セラミック層5bを所定の斜め方向に分極してもよい。
<インクジェットヘッド>
本発明の圧電アクチュエータは、上記で説明したように、一基板(振動板)上に複数の変位素子を備えているので、インクジェットヘッドとして好適に用いることができる。以下、本発明の圧電アクチュエータを備えたインクジェットヘッドの一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図4は、本実施形態にかかるインクジェットヘッドを示す概略断面図である。なお、図4においては、前述した図1〜図3の構成と同一または同等な部分には同一の符号を付して説明は省略する。
図4に示すように、このインクジェットヘッド21は、圧電アクチュエータ1を流路部材23の上に設け、圧電アクチュエータ1の上に外部回路と接続するためのフレキシブル配線回路26に接続している。流路部材23は、隔壁23bによってインク加圧室23aを複数形成するとともに、各インク加圧室23aには、インク吐出口28が連通している。
流路部材23は、例えば厚み30〜100μm程度の薄板を積層して作製することができる。各薄板は、エッチングや金型による打ち抜き等の方法によって形成された微細な溝や孔を備えており、複数の薄板を積層することによって、各薄板に形成された溝や孔が、インク加圧室23a、インク吐出口28及びインク流路(不図示)等を構成するように組み合わせることができる。
上記のような薄板の材料としては、例えばステンレス板、アルミニウム板、モリブデン板などの金属材料、シリコン等の半導体材料、またはアルミナや炭化珪素等のセラミックス材料等が挙げられ、特に、導電性を有し、かつ安価で精密加工のできる金属材料を用いることが好ましい。
次に、変位素子7とインク加圧室23aとの位置がそれぞれ揃うように、すなわちコモン電極4aおよび駆動電極6aが、インク加圧室23aの真上に配置するように、例えばエポキシ樹脂などで圧電アクチュエータ1と流路部材23を接合する。さらに、圧電アクチュエ―タ1に対して、外部回路に接続するためにフレキシブル配線基板26が配設され、フレキシブル配線基板26を構成する個別端子25aおよび25bが、接地端子4dおよび電圧端子6dとそれぞれ接続される。
上記のような構成のインクジェットヘッド21は、圧電アクチュエータ1を備えているので、液体吐出量のばらつきが少なく、かつ変位の駆動劣化が抑制されたインクジェットヘッドとなる。さらに、上記で説明した通り、圧電アクチュエータ1における駆動電極6aとコモン電極4aが対向しないため、不要な伸縮変形による不要振動の発生を抑制することができ、不要振動の影響によるインク吐出量のばらつきを低減することができる。従って、インク加圧室を高密度に配置するような流路部材を用いる場合であっても、いわゆるクロストークを抑制し、インク吐出量のばらつきを低減し、安定したインク吐出性能を得ることができる。
また、インクジェットヘッド21は、安価なICを用いてインクジェットヘッドを実現することができる。このインクジェットヘッドは変位特性に優れるので、高速で高精度な吐出というという特徴が得られ、その結果、高速印刷に好適なインクジェットヘッドを提供することができる。さらに、このインクジェットヘッドをプリンタに搭載することによって、例えばこのインクジェットヘッドにインクを供給するインクタンクと、記録紙に印刷するための記録紙搬送機構とを備えているプリンタでは、従来に比べて高速・高精度の印刷を容易に達成することができる。
以上、本発明の一実施形態について示したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更や改良したものにも適用できることは言うまでもない。例えば、上記の実施形態では、振動板2および圧電セラミック層5が、いずれも1層で構成されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、振動板および/または圧電セラミック層が複数層で構成されていてもよい。この場合には、圧電アクチュエータの厚みを簡単に調整することができる。また、内部に電極等の配線回路層を形成してもよい。
また、上記で説明した通り、振動板2は圧電セラミック層5の圧電セラミックスと略同一の材料であるのが好ましいが、振動板2および圧電セラミック層5の圧電セラミックス組成は完全に一致している必要はなく、本発明の効果、すなわち液体吐出量のばらつきが少なく、かつ変位の駆動劣化が抑制された圧電アクチュエータとすることができる範囲内で、その組成が異なっていてもよい。
また、流路部材23および圧電アクチュエータ1を、接着層を介して積層接着する場合について説明したが、流路部材と圧電アクチュエータとが一体形成されたインクジェットヘッド、すなわち流路一体型の圧電アクチュエータ(流路一体型磁器)であってもよい。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(圧電アクチュエータの作製)
まず、図1に示したような構成の圧電アクチュエータを作製した。すなわち、純度99%以上、平均粒径が0.5μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PbZrTiO3)粉末を、バインダおよび有機溶剤とともに混合して圧電材料のスラリーを調合した。このスラリーを用いて、ロールコータ法にて厚み30μmのグリ―ンシートを作製した。このグリーンシートは、圧電体層用および振動板用の両方に使用した。
一方、Ag−Pd合金粉末を含有する導体ペーストを調製し、得られたグリーンシートのうち、第一のグリーンシートの表面に導電性ペーストをスクリーン印刷により印刷して、コモン電極、コモン接続部となる金属パターンをそれぞれ形成した。
次いで、第一のグリーンシートと異なる第二のグリーンシートの所定位置に、ビアホールを打ち抜いてビアホールを形成し、ビアホールに導体ペーストを充填した。そして、第一のグリーンシート上に、第二のグリーンシートを積層し、加熱加圧して母体積層体を形成し、この母体積層体を切断して積層体を形成し、脱脂処理した後に酸素雰囲気中、1000℃、2時間の焼成を行い、圧電アクチュエータ本体を形成した。
次に、この圧電アクチュエータ本体の一方の表面にAuを主成分とする金属ペーストをスクリーン印刷して750℃で焼付けを行い、駆動電極、電圧接続部を形成した。さらに、Agを主成分とする金属ペーストをビアホールに充填してビア電極を形成した後、同じ導体ペーストをスクリーン印刷して600℃で焼付けを行い、接地端子を作製して、分極前の圧電アクチュエータを得た。なお、この圧電アクチュエータにおける複数の変位素子は、振動板の主面上にマトリックス状に配列させた。
上記で得た分極前の圧電アクチュエータについて、下記に示す方法で分極を行なった。すなわち、まず互いに隣接する変位素子を第1の変位素子および第2の変位素子としたとき、前記第1の変位素子の駆動電極と、前記第2の変位素子のコモン電極との間に分極電圧を印加する分極処理を行って、第1の変位素子および第2の変位素子間に位置する圧電セラミック層を、前記振動板の主面に垂直な方向に対して斜め方向に分極した。
ついで、前記分極処理を行った後、前記第1の変位素子のコモン電極と、前記第2の変位素子の駆動電極との間に分極電圧を印加する分極処理を行った。なお、互いに隣接する複数の変位素子間において、それぞれ前記分極処理を行った。そして、コモン電極と駆動電極で挟持された圧電セラミック層を、積層方向に分極した。各分極の条件は、4kv/mmの直流電圧を10分間それぞれ印加した。
上記で得た圧電アクチュエータについて、分極前後における圧電セラミック層の駆動部周辺の非駆動部の結晶配向度を下記に示す方向で評価した。
(結晶配向度の評価方法)
基板面方向は、局所X線回折装置にて測定し、PZT(すなわち焼成前の振動板)の(002)および(200)面の回折ピーク強度比率より、振動板と垂直方向のc軸配向度を算出して求めた。また、下記式(a)にて、圧電セラミック層における駆動部および非駆動部のPZT基板(すなわち焼成後の振動板)に対する結晶配向度を求めた。ついで、分極前後の駆動部周辺の非駆動部の結晶配向度を上記手法にて評価した。その結果、分極前の駆動部周辺の非駆動部の結晶配向度は58%であり、分極後の前記非駆動部の結晶配向度は39%であった。前記結晶配向度は、その値が小さいほど、駆動部周辺における非駆動部の圧電セラミック層の結晶方位(c軸結晶方位)が基板面方向(すなわち振動板の厚み方向に対して垂直方向)に揃っていることを意味する。
Figure 2007267550
次に、この圧電アクチュエータを流路部材にエポキシ系接着剤にて接合し、図4に示したインクジェットヘッドを得た。このインクジェットヘッドにおける圧電アクチュエータの変位量を下記に示す方法で評価した。その結果を図5に示す。
(変位量の評価方法)
コモン電極と駆動電極との間に25Vの直流電圧を印加し、室温にて周波数10kHzのsin波形で駆動した際の、変位量をレーザードップラー振動計により測定した。ついで、図5に示す各駆動回数における変位量を、式:[1−(駆動回数/駆動初期)]×100に当てはめ、変位低下率(%)を算出した。なお、前記駆動初期とは、駆動回数6サイクルにおける変位量を意味する。
[比較例1]
上記実施例1と同様にして分極前の圧電アクチュエータを得た。この圧電アクチュエータにおいて、互いに隣接する変位素子間に位置する圧電セラミック層を所定の斜め方向に分極しない以外は、上記実施例1と同様にしてコモン電極と駆動電極で挟持された圧電セラミック層を積層方向に分極した。この圧電アクチュエータについて、分極前後における圧電セラミック層の駆動部周辺の非駆動部の結晶配向度を、上記実施例1と同様にして評価した結果、分極前の駆動部周辺の非駆動部の結晶配向度は58%であり、分極後の前記非駆動部の結晶配向度は58%であった。
次に、この圧電アクチュエータを流路部材にエポキシ系接着剤にて接合し、図4に示したインクジェットヘッドを得た。このインクジェットヘッドにおける圧電アクチュエータの変位量を、上記実施例1と同様にして評価した。その結果を図5に示す。
図5から明らかなように、比較例1の圧電アクチュエータに対し、実施例1の圧電アクチュエータは、駆動劣化が抑制されているのがわかる。このため、実施例1の圧電アクチュエータおよびインクジェットヘッドは、液体吐出量のばらつきが少ないと期待される。
(a)は、本発明の一実施形態にかかる圧電アクチュエータを示す平面図であり、(b)は、(a)のA−A'線断面図である。 本発明の一実施形態にかかる圧電アクチュエータの分極方法を説明するための概略説明図である。 本発明の一実施形態にかかる圧電アクチュエータの分極方法を説明するための概略説明図である。 本発明の一実施形態にかかるインクジェットヘッドを示す概略断面図である。 実施例における変位低下率と駆動回数との関係を示すグラフである。 (a)は、従来のインクジェットヘッドを示す概略断面図であり、(b)は、その平面図である。
符号の説明
1 圧電アクチュエータ
2 振動板
3 共通電極
4a コモン電極
4b コモン接続部
4c ビア電極
4d 接地端子
5,5a,5b 圧電セラミック層
6a 駆動電極
6b 電圧接続部
6d 電圧端子
7,7a,7b 変位素子
21 インクジェットヘッド
23 流路部材
23a インク加圧室
23b 隔壁
26 フレキシブル配線回路
28 インク吐出口

Claims (5)

  1. 振動板と、
    該振動板の主面上に設けられた複数のコモン電極と、
    該複数のコモン電極を覆うように前記振動板の主面上に設けられた圧電セラミック層と、
    該圧電セラミック層上に前記複数のコモン電極の各々と対向するように設けられた複数の駆動電極とを備え、
    この駆動電極と前記コモン電極とで前記圧電セラミック層を挟持して構成される変位素子を複数形成した圧電アクチュエータであって、
    互いに隣接する変位素子間に位置する圧電セラミック層が、前記振動板の主面に垂直な方向に対して斜め方向に分極されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 振動板と、
    該振動板の主面上に設けられた複数のコモン電極と、
    該複数のコモン電極を覆うように前記振動板の主面上に設けられた圧電セラミック層と、
    該圧電セラミック層上に前記複数のコモン電極の各々と対向するように設けられた複数の駆動電極とを備え、
    前記コモン電極および駆動電極で前記圧電セラミック層を挟持してなる複数の変位素子が形成された圧電アクチュエータの分極方法であって、
    互いに隣接する変位素子を第1の変位素子および第2の変位素子としたとき、前記第1の変位素子の駆動電極と、前記第2の変位素子のコモン電極との間に分極電圧を印加する分極処理を行って、第1の変位素子および第2の変位素子間に位置する圧電セラミック層を、前記振動板の主面に垂直な方向に対して斜め方向に分極することを特徴とする圧電アクチュエータの分極方法。
  3. 前記分極処理を行った後、前記第1の変位素子のコモン電極と、前記第2の変位素子の駆動電極との間に分極電圧を印加する分極処理を行う請求項2記載の圧電アクチュエータの分極方法。
  4. 前記複数の変位素子を振動板の主面上にマトリックス状に配列させ、互いに隣接する複数の変位素子間において、それぞれ前記分極処理を行う請求項2または3記載の圧電アクチュエータの分極方法。
  5. 請求項1記載の圧電アクチュエータが、複数のインク加圧室を有する流路部材の表面に、該インク加圧室の直上に前記アクチュエータの変位素子が配置するように接合されてなり、前記変位素子の変位によってインクを吐出させることを特徴とするインクジェットヘッド。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012085456A (ja) * 2010-10-13 2012-04-26 Seiko Epson Corp 圧電型発電機とその製造方法、およびセンサーノード
JP2012201096A (ja) * 2011-03-28 2012-10-22 Kyocera Corp インクジェットヘッド及び記録装置
JP2017037875A (ja) * 2015-08-06 2017-02-16 Tdk株式会社 圧電素子及び圧電アクチュエータ

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