JP4802497B2 - 水素化反応方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不均一系触媒水素化反応方法に関する。
不均一系接触水素化反応は、気体−液体−固体表面の三相が関与する複雑な反応系であり、従来、どのような気液流動状態において、高い生産性が得られるかを開示した技術は見あたらない。
たとえば、灌液流条件下(即ち、tricle条件下)での重油直接脱硫装置に関して記載した文献がある(化学工学34巻12号1260頁(1970)参照)。この文献は、固定床での残渣油脱硫では、化学工学上の問題は数多く未解決であり、特に、流動状態や液混合はスケールアップに重要な影響を有することについて記載しており、更に、水素ガスの溶解度の実測が必要であること、液相反応であり、硫黄化合物が巨大な分子であるので、触媒活性と細孔分布との関係を求める必要性を説いている。この文献には、硫黄含有量の高い原料について、ホールドアップ量に関する化学的な検討がなされている。しかし、エステル基、炭素−炭素二重結合を含む有機化合物等の水素化反応についての記載はない。
また、油脂または脂肪酸エステルからなる原料をエステル還元して飽和アルコールを製造するに際して、あらかじめニッケル金属或いは銅金属を含有する触媒を水素ガスと共に上記原料に接触せしめて脱硫し、油脂又は脂肪酸エステルの硫黄含有量を0.6ppm以下にした低硫黄分濃度原料が、原料の蒸留によって得た同じ硫黄含有量の原料を使用した場合と同等の還元反応性を有する旨の技術が開示されている(日本国特許第2544552号公報(請求項、段落0023〜0025)、日本国特許第2846450号公報(請求項)、日本国特許第2934073号公報(請求項、段落0017)参照)。
しかし、これら日本国特許では、水素化反応自体は、液相懸濁床又は固定床反応方式を用いた従来公知の方法を採用しており、硫黄含有量を低減した原料を、銅系エステル還元触媒の存在下で、従来公知の方法に従って対応するアルコールへと水素化することが記載されているに過ぎない。
不均一系触媒水素化反応は、気体−液体−固体表面の三相が関与する複雑な反応系であり、従来、どのような状態において、高い生産性が得られるかを開示した技術はなかった。
また、本出願人の先願に係る技術として、亜鉛−クロム系又は亜鉛−クロム−アルミニウム系の複合金属酸化物触媒を使用し、不飽和アルデヒド、不飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸エステルを水素化して不飽和アルコールを製造するに際し、該複合金属酸化物触媒中の銅含有量とニッケル含有量を一定量以下とする方法がある(日本国特開2001−89403号公報(請求項1,2、段落0022、0023)参照)。該方法においては、特定組成の該触媒の破壊強度が20〜500kg/cm、横破壊強度が1cmあたり2〜10kgでかつ嵩比重1.0〜1.8を有するのが好ましいとされている。この方法は、触媒中の銅含有量及びニッケル含有量の重要性、並びに、触媒の破壊強度に着目しているだけであって、反応系内の気液流動状態についての記載はない。
本発明は、各種の原料の水素化に汎用的に適用でき、しかも、生産性の高い不均一系触媒水素化反応方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、水素ガスと液相の被水素化物質の両者を上方から流下させる固体触媒充填管式反応塔を用いて、灌液流条件下での水素化反応において、単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量を反応条件下において0.005×10−3 〜0.14×10−3 /mとすると共に、触媒1個当たりの最小触媒強度が1.0kg以上の固体触媒を使用すると、各種の原料の水素化反応において、高生産性をもたらすことを見いだした。
本発明は、かかる知見に基づき、更に検討を重ねて完成されたものであり、以下に示す不均一系触媒水素化反応方法を提供するものである。
項1 水素ガスと被水素化物質を含む液相とを上方から並流で流下させる固体触媒充填式反応塔を用い、灌液流条件下で該被水素化物質を水素化する不均一系触媒水素化反応方法であって、該反応塔に充填されている単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量が反応条件下において0.005×10−3 〜0.14×10−3 /mであり、下記式
触媒強度=A−2σ
[式中、Aは、上記触媒100個について、JIS Z 8841−1993の「圧壊強度試験方法」に記載の方法に従って測定された最小圧壊強度の平均値を示し、σは最小圧壊強度の標準偏差値を示す。]
により求められる触媒強度が1.0kg以上であることを特徴とする不均一系触媒水素化反応方法。
項2 被水素化物質が、エステル基、炭素−炭素二重結合、芳香族環、ニトリル基、酸アミド基及び酸イミド基からなる群から選択される少なくとも一つの基を含有する有機化合物である上記項1に記載の不均一系触媒水素化反応方法。
項3 水素化反応が、飽和又は不飽和脂肪酸アルキルエステルの飽和アルコールへの還元反応、不飽和脂肪酸アルキルエステルの不飽和アルコールへの還元反応、脂肪族又は脂環族ジカルボン酸ジアルキルエステルの脂肪族又は脂環族ジオールへの還元反応、ジカルボン酸無水物のラクトン系化合物への還元反応、又はラクトン系化合物の脂肪族ジオールへの還元反応である上記項1に記載の不均一系触媒水素化反応方法。
項4 水素化反応が、飽和又は不飽和脂肪酸アルキルエステルの飽和アルコールへの還元反応、不飽和脂肪酸アルキルエステルの不飽和アルコールへの還元反応、又は脂肪族又は脂環族ジカルボン酸ジアルキルエステルの脂肪族又は脂環族ジオールへの還元反応である上記項1に記載の不均一系触媒水素化反応方法。
項5 水素化反応が、炭素−炭素二重結合の水素化反応、芳香族化合物の核水素化反応、ニトリル化合物のアミンへの水素化反応、酸アミド化合物のアミンへの水素化反応、又は酸イミド化合物のアミンへの水素化反応である上記項1に記載の不均一系触媒水素化反応方法。
項6 水素化反応に供する被水素化物質中に含有される塩素原子と硫黄原子の合計含有量が5ppm以下である上記項1〜5のいずれかに記載の不均一系触媒水素化反応方法。
項7 固体触媒が、銅、亜鉛、ニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウム及びこれらの酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種を担持した固体触媒である上記項1〜6のいずれかに記載の不均一系触媒水素化反応方法。
項8 固体触媒が、銅、亜鉛、ニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウム及びこれらの酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種、並びにクロム、モリブデン、タングステン、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、ケイ素及びこれらの酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種を担持した固体触媒である上記項1〜7のいずれかに記載の不均一系触媒水素化反応方法。
項9 固体触媒が、銅、クロム、亜鉛、ニッケル、ルテニウム及びこれらの酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種を担持した固体触媒である上記項1〜8のいずれかに記載の不均一系触媒水素化反応方法。
項10 固体触媒の形状が、円柱、中空式円柱、三葉柱、四葉柱式及び球形からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、その最小長さが1〜10mmである上記項1〜9のいずれかに記載の不均一系触媒水素化反応方法。
項11 反応塔内の液相中の溶存水素濃度が、0.01〜5.0kmol/mである上記項1〜10のいずれかに記載の不均一系触媒水素化反応方法。
項12 水素化反応の定常状態において、液相中の溶存水素濃度が、反応塔内の触媒層の最高地点から1m下の地点において、液相の飽和水素濃度の10〜100%に調整されている上記項1に記載の不均一系触媒水素化反応方法。
項13 水素化反応が、
(a) (1)油脂、油脂由来の飽和又は不飽和脂肪酸、該飽和又は不飽和脂肪酸のアルキルエステル、(2)不飽和脂肪酸又はそのアルキルエステル、(6)炭素炭素二重結合を含有する化合物(特に、不飽和脂肪酸、不飽和アルコール)中の二重結合の水素化反応、
(b) (7)芳香族化合物の核水素化反応、又は
(c) (1)油脂、油脂由来の飽和脂肪酸、該飽和脂肪酸のアルキルエステル、(2)不飽和脂肪酸又はそのアルキルエステル、(3)脂肪族ジカルボン酸ジアルキルエステル、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの反応生成物(オリゴマー)、(4)脂環族ジカルボン酸ジアルキルエステルから選ばれるカルボン酸エステルから飽和アルコールへの水素化反応
であり、液相中の溶存水素濃度が、反応塔内の触媒層の最高地点から1m下の地点において、液相の飽和水素濃度の10〜60%に調整されている上記項1に記載の不均一系触媒水素化反応方法。
項14 水素化反応が、
(i) (1)不飽和カルボン酸エステルから不飽和アルコールへの水素化反応、
(ii) 共役ジエン化合物を原料として、共役ジエンをモノエンに水素化し、共役ジエン化合物を含有しない不飽和アルコールを製造するための水素化反応、又は
(iii) 炭素数8〜22の飽和アルコール中にわずかに残存する炭素−炭素二重結合を水素化してヨウ素価を低減して、品位の高い飽和アルコールを製造するための水素化反応
であって、液相中の溶存水素濃度が、反応塔内の触媒層の最高地点から1m下の地点において、液相の飽和水素濃度の50〜100%に調整されている上記項1に記載の不均一系触媒水素化反応方法。
図1は、本発明の灌液流条件を示す模式図である。
図2は、三葉柱形状の固体触媒の平面図であり、Rは最小長さを示す。
図3は、四葉柱形状の固体触媒の平面図であり、Lは最小長さを示す。
図4は、各実施例及び各比較例で使用した反応装置の概略図である。
図1〜図4において使用されている符号の意味は、次の通りである。
100 液相
102 固体触媒
103 固体触媒
104 固体触媒
110 固体触媒
111 固体触媒
S 空間
a 水素ガス導入用配管
b 水素ガスリサイクル用配管
c 水素化生成物取り出し用配管
1 反応器
2 反応器
3 反応器
4 反応器
5 高圧気液分離器
6 低圧気液分離器
7 高圧気液分離器
8 高圧気液分離器
9 高圧気液分離器
10 熱交換器
11 固体触媒充填層
12 固体触媒充填層
13 固体触媒充填層
14 固体触媒充填層
15 熱交換器
16 水素ガス循環機
17 水素ガス予熱器
18 原料予熱器
20 水素ガス圧縮機
61 圧力計。
発明の詳細な記述
被水素化物質及び水素化生成物
本発明の水素化反応において原料として使用する被水素化物質は、エステル基、炭素−炭素二重結合、芳香族環、ニトリル基、酸アミド基及び酸イミド基からなる群から選択される少なくとも一つの基を含有する有機化合物である。
特に、被水素化物質としては、(1)油脂、油脂由来の飽和又は不飽和脂肪酸、該飽和又は不飽和脂肪酸のアルキルエステル、(2)不飽和脂肪酸又はそのアルキルエステル、(3)脂肪族ジカルボン酸ジアルキルエステル、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの反応生成物(オリゴマー)、(4)脂環族ジカルボン酸ジアルキルエステル、(5)ジカルボン酸無水物、(6)炭素炭素二重結合を含有する化合物(不飽和脂肪酸、不飽和アルコール等)、(7)芳香族化合物の芳香核を含有する化合物、(8)ニトリル化合物、酸アミド化合物、(9)酸イミド化合物等が挙げられる。
本発明に係る水素化反応としては、飽和又は不飽和脂肪酸アルキルエステルの飽和アルコールへの還元反応、不飽和脂肪酸アルキルエステルの不飽和アルコールへの還元反応、脂肪族又は脂環族ジカルボン酸ジアルキルエステルの脂肪族又は脂環族ジオールへの還元反応、ジカルボン酸無水物をラクトン系化合物とする還元反応、ラクトン系化合物を脂肪族ジオールとする還元反応、炭素−炭素二重結合を水素化する反応、芳香族化合物の核水素化反応、ニトリル化合物のアミンへの水素化反応、酸アミド化合物のアミンへの水素化反応、酸イミド化合物のピロリジン化合物やアミンへの水素化反応等が推奨される。
以下、これら原料及び該原料を本発明に従って水素化(還元)して得られる生成物について、詳しく説明する。以下の記載において、「低級アルキル」は、特に断らない限り、炭素数1〜4のアルキル基を指すものとする。
<飽和又は不飽和脂肪酸、そのトリグリセリドおよび低級アルキルエステル>
本発明方法は、飽和又は不飽和脂肪酸、そのトリグリセリドおよびその低級アルキルエステルからなる群から選ばれる原料から炭素数8〜22の飽和アルコールを製造するのに使用できる。
本発明において、炭素数8〜22の飽和アルコールを製造するための原料としては、ヤシ油、パームカーネル油、パーム油、オリーブ油、大豆油、低エルシン菜種油、高エルシン菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、米糠油、亜麻仁油等;大豆油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、オリーブ油、米糠油等の使用済み揚げ油;牛脂、豚脂、鶏脂、魚油等の炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸のトリグリセリド(油脂)、これら油脂から得られる炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸、及び該炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸の低級アルキルエステル等から選ばれる少なくとも1種が例示される。
なかでも、該飽和又は不飽和脂肪酸の低級アルキルエステル、特に、メチルエステルが還元反応原料として好ましい。また、還元反応を行う前に、脂肪酸低級アルキルエステル(特にメチルエステル)や脂肪酸などの段階で蒸留や冷却固体分別により、特定の炭素数成分を濃縮分離して還元反応原料とすることもできる。
上記飽和又は不飽和脂肪酸、そのトリグリセリドおよびその低級アルキルエステルからなる群から選ばれる原料から炭素数8〜22の飽和アルコールを製造するには、通常、後述の銅系固体触媒を使用して、本発明の不均一系接触水素化反応を行うのが好ましい。
<不飽和脂肪酸、そのトリグリセリドおよびその低級アルキルエステル>
本発明方法は不飽和脂肪酸、そのトリグリセリドおよびその低級アルキルエステルからなる群から選ばれる原料から炭素数16〜22の不飽和アルコールを製造するのに使用できる。
製造される該不飽和アルコールとしては、分子内に不飽和結合を少なくとも1個以上(特に1〜3個)有している炭素数16〜22の不飽和アルコールが例示される。具体的には、エライジルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール等が例示される。
上記不飽和アルコールを製造するための原料としては、ヤシ油、パームカーネル油、パーム油、オリーブ油、大豆油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、米糠油、亜麻仁油等;大豆油、菜種油、サフラワー油、トウモロコシ油、綿実油、ひまわり油、オリーブ油、米糠油等の使用済み揚げ油;牛脂、豚脂、鶏脂、魚油等の炭素数16〜22の不飽和脂肪酸トリグリセリド(油脂)、これら油脂から得られる炭素数16〜22の不飽和脂肪酸及び該炭素数16〜22の不飽和脂肪酸低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種が例示される。特に、該不飽和脂肪酸の低級アルキルエステル、特にメチルエステルが還元反応原料として好ましい。
当該還元反応原料のうち、上記不飽和脂肪酸は、上記油脂を常法に従って加水分解することにより得ることができる。また、上記不飽和脂肪酸アルキルエステルは、こうして得られる不飽和脂肪酸を、低級アルコール(例えば、メチルアルコール等のC−Cアルコール)でエステル化することにより得られ、また、植物性油脂とメチルアルコール等のC−Cアルコールとのエステル交換反応により得ることもできる。
通常、不飽和脂肪酸、そのトリグリセリドおよびその低級アルキルエステルからなる群から選ばれる原料は、これを蒸留するか、または必要に応じて冷却固体分別操作に供することにより、ヨウ素価40〜200の還元反応原料とするのが好ましい。
さらに、還元反応時や還元反応物を蒸留する際に生じる不飽和脂肪酸と不飽和アルコールの蝋エステル(長鎖不飽和脂肪酸と長鎖不飽和アルコールとのエステル、即ちワックスエステル)も還元反応原料として使用することができる。
上記原料から炭素数16〜22の不飽和アルコールを製造するには、後述の亜鉛系固体触媒を使用して、本発明の不均一系接触水素化反応を行うのが好ましい。
<脂肪族ジカルボン酸ジアルキルエステル、ヒドロキシアルカン酸およびその低級アルキルエステル、ラクトン>
本発明方法は、脂肪族ジカルボン酸ジアルキルエステル、ヒドロキシアルカン酸、その低級アルキルエステル、ラクトン等から、炭素数3〜22の脂肪族ジオールを製造するのに使用できる。
製造される上記炭素数3〜22の脂肪族ジオールとしては、具体的には、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール等が例示される。
かかる脂肪族ジオールを製造する場合、原料としては、(a)二重結合を少なくとも1個(特に1〜2個)有していてもよい炭素数3〜22の脂肪族ジカルボン酸のジ低級アルキルエステル、(b)1個の水酸基を有する炭素数3〜22の脂肪族モノカルボン酸の低級アルキルエステル、(c)二重結合を少なくとも1個(特に1〜2個)有していてもよい炭素数3〜22の脂肪族ジカルボン酸と、1個の水酸基を有する炭素数3〜22の脂肪族モノカルボン酸または水素化生成物である炭素数3〜22の脂肪族ジオールとの反応により生成するオリゴエステル又は(d)1個の水酸基を有する炭素数3〜22の脂肪族モノカルボン酸から得られるラクトン等が例示される。低級アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が例示され、なかでも特にメチル基が好ましい。
例えば、1,3−プロパンジオールを製造する場合、1,3−プロパンジオールの原料として、アクリル酸低級アルキルエステル(例えばメチルエステル)の二重結合への水付加物である1−ヒドロキシプロパン酸低級アルキルエステル(例えばメチルエステル)を用いることができる。また、1−ヒドロキシプロパン酸低級エステルの脱メチルアルコール縮合物(特に、オリゴエステル)も用いることができる。更に、1−ヒドロキシプロパン酸とその還元生成物である1,3−プロパンジオールとの縮合物(特に、オリゴエステル)を用いることもできる。
また、1,4−ブタンジオールを製造する場合、1,4−ブタンジオールの原料としては、具体的には、マレイン酸ジ低級アルキルエステル、コハク酸ジ低級アルキルエステル、γ−ブチロラクトン等が例示される。
また、アルキル基(炭素数1〜4)置換1,4−ブタンジオールを製造する場合、その原料としては、具体的には、アルキル基(炭素数1〜4)置換マレイン酸ジアルキル(炭素数1〜4)エステル、アルキル基(炭素数1〜4)置換コハク酸ジアルキル(炭素数1〜4)エステル、アルキル基(炭素数1〜4)置換γ−ブチロラクトンが例示できる。上記アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状または分岐鎖状アルキル基が例示され、その置換位置は、特に限定されるものではない。
また、1,6−ヘキサンジオールを製造する場合、その原料としては、具体的には、アジピン酸ジ低級アルキルエステル、ε−カプロラクトン、1−ヒドロキシカプロン酸及び/又は1−ヒドロキシカプロン酸低級アルキルエステルを脱水エステル化縮合及び/又はエステル交換反応して得たオリゴマー等が例示され、また、1,6−ヘキサンジオールと1−ヒドロキシカプロン酸及び/又は1−ヒドロキシカプロン酸低級アルキルエステルとのオリゴマー、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とのオリゴエステル等が例示される。
上記原料を使用して脂肪族ジオールを製造するには、通常、後述の銅系固体触媒を使用して、本発明の不均一系接触水素化反応を行うのが好ましい。
<脂環族ジカルボン酸ジアルキルエステル>
また、本発明方法は、脂環族ジカルボン酸ジ(C−C10)アルキルエステルから炭素数8〜12の脂環族ジオールを製造するのに使用できる。
製造される上記炭素数8〜12の脂環族ジオールとしては、具体的には、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール等が例示される。
かかる脂環族ジオールを製造する場合、原料としては、分子内に二重結合を少なくとも1個(特に1〜2個)有していてもよい脂環族ジカルボン酸ジ(C−C10)アルキルエステルが例示される。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等の脂環族基等が例示される。
例えば、1,2−シクロヘキサンジメタノールを製造する場合、原料としては、具体的には、Δ−テトラヒドロフタル酸ジ(C−C10)アルキルエステル、1,2−ヘキサヒドロフタル酸ジ(C−C10)アルキルエステル等が例示される。
また、1,4−シクロヘキサンジメタノールを製造する場合、原料としては、具体的には、1,4−ヘキサヒドロフタル酸ジ(C−C10)アルキルエステルが例示される。
さらに、1,5−デカリンジメタノールや2,6−デカリンジメタノールを製造する場合、原料としては、具体的には、それぞれ1,5−デカリンジカルボン酸ジ(C−C)アルキルエステル、2,6−デカリンジカルボン酸ジ(C−C)アルキルエステルが例示される。
通常、上記脂環族ジカルボン酸ジアルキルエステルを原料として用いて脂環族ジオールを製造するには、後述の銅系固体触媒を使用して、本発明の不均一系接触水素化反応を行うのが好ましい。
<ジカルボン酸無水物>
本発明は、ジカルボン酸無水物から、分子内エステル化反応生成物であるγ−ブチロラクトン系化合物を製造するのに使用できる。γ−ブチロラクトン系化合物としては、具体的には、γ−ブチロラクトン、フタリド、ヘキサヒドロフタリド等が例示される。
γ−ブチロラクトン系化合物を製造する場合、原料としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、Δ−テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物等が例示される。
通常、上記ジカルボン酸無水物を使用して上記のようなγ−ブチロラクトン系化合物を製造するには、後述のニッケル系固体触媒又は後述の貴金属系固体触媒を使用して、本発明の不均一系接触水素化反応を行うのが好ましい。
<二重結合の水素化>
本発明は、炭素−炭素二重結合を水素化する反応に適用できる。
例えば、本発明方法は、不飽和脂肪酸のグリセリドである油脂から硬化油脂を製造するのに使用でき、また、炭素数8〜22の飽和アルコール中にわずかに残存する炭素−炭素二重結合を水素化して、ヨウ素価を低減して、品位の高い飽和アルコールを製造するプロセスに適用できる。これらの場合は、通常、ニッケル系固体触媒を使用して、本発明の不均一触媒水素化反応を行うのが好ましい。
また、本発明方法は、分子内に共役二重結合を含む不飽和アルコール(C16−C22、特にC18)を原料として、該不飽和アルコール中の共役ジエンをモノエンに水素化し、共役ジエン化合物を含有しない不飽和アルコールを製造するプロセスに適用できる。かかる不飽和アルコールは経時安定性や耐熱性に優れている。この場合は、通常、銅系固体触媒を使用して、本発明の不均一触媒水素化反応を行うのが好ましい。
更に本発明方法は、マレイン酸無水物を水素化してコハク酸無水物を製造するプロセス、Δ−テトラヒドロフタル酸無水物を水素化してヘキサヒドロフタル酸無水物を製造するプロセス、Δ−テトラヒドロフタル酸ジアルキル(直鎖又は分岐の炭素数1〜13)エステルを水素化してヘキサヒドロフタル酸ジアルキル(直鎖又は分岐の炭素数1〜13)エステルを製造するプロセス等に適用できる。この場合は、通常、後述のニッケル系固体触媒又は後述の貴金属系固体触媒を使用して、本発明の不均一触媒水素化反応を行うのが好ましい。
<芳香族化合物又は複素環化合物の核水素化>
本発明は、芳香族化合物の核水素化反応に適用できる。原料である芳香族化合物としては、ベンゼン環、ナフタレン環を含有する化合物が例示できる。
{シクロヘキサンジカルボン酸ジ(C−C13)アルキルの製造}
シクロヘキサンジカルボン酸ジ(C−C13)アルキルを製造する場合、原料として、テレフタル酸ジ(C−C13)アルキル、イソフタル酸ジ(C−C13)アルキル、テレフタル酸ジ(C−C13)アルキル等が例示される。
−C13アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、iso−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等の脂環族基等が例示される。
{シクロヘキサン環又は飽和縮合環を有する化合物の製造}
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、メチルエチルシクロヘキサン、デカリン、石油系炭素数8留分の芳香族炭化水素を核水素化した化合物(例えば、新日本理化社製、商品名「リカソルブ800」)、石油系炭素数9留分の芳香族炭化水素を核水素化した化合物(例えば、新日本理化社製、商品名「リカソルブ900」)、石油系炭素数10留分の芳香族炭化水素を核水素化した化合物等を製造する場合、原料として、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、ナフタレン、石油系炭素数8留分の芳香族炭化水素、石油系炭素数9留分の芳香族炭化水素、石油系炭素数10留分の芳香族炭化水素等が例示される。
{脂環族モノオールの製造}
シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノール、エチルシクロヘキサノール、t−ブチルシクロヘキサノール、ジ(t−ブチル)シクロヘキサノール、4−シクロヘキシルシクロヘキサノール及びこれらの位置異性体等を製造する場合、原料として、フェノール、o、m、p−クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、o−t−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、2,4−ジ(t−ブチル)フェノール、2,6−ジ(t−ブチル)フェノール、p−フェニルフェノール等が例示される。
{脂環族ジオールの製造}
1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、4,4’−ビス(シクロヘキサノール)、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールZを製造する場合、原料として、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、4,4’−ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールZ等が例示される。
{脂環族ジアミンの製造}
1,2−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−ビスアミノメチレンシクロヘキサン、1,4−ビスアミノメチレンンシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂環族ジアミン製造する場合、原料として、o−フェニレンジアミン,m−フェニレンジアミン,p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン等が例示される。
また、本発明方法は、不飽和結合を少なくとも1個(特に1〜5個)有する複素環化合物の複素環水素化反応にも適用できる。かかる複素環化合物としては、ピリジン、ニコチン酸メチル等のピリジン化合物、キノリン等のキノリン化合物、フルフリルアルデヒド、フランカルボン酸等のフラン化合物等が例示される。
特に、本発明方法によれば、ピリジンからピペリジンを、ニコチン酸メチルからヘキサヒドロニコチン酸メチルを、キノリンからデカヒドロキノリンを、フルフリルアルデヒドからテトラヒドロフルフリルアルコールを、フランカルボン酸からテトラヒドロフルフリルカルボン酸を製造することができる。
上記芳香族化合物又は不飽和の複素環化合物を原料として使用する場合、通常、後述のニッケル系固体触媒又は後述の貴金属系固体触媒を使用して、本発明の不均一触媒水素化反応を行うのが好ましい。
<ニトリル化合物、酸アミド化合物からアミンの製造>
本発明方法は、ニトリル化合物のアミンへの水素化反応に適用できる。原料であるニトリル化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的には、ブチロニトリル、ラウリロニトリル、ステアロニトリル等が例示される。
また、本発明方法は、酸アミド化合物のアミンへの水素化反応に適用できる。原料である酸アミドとしては、特に限定されるものではないが、具体的には、酪酸アミド、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド等が例示される。
これらの場合、通常、後述のニッケル系固体触媒又は後述の貴金属系固体触媒を使用して、ニトリル化合物又は酸アミド化合物から本発明の不均一触媒水素化反応によりアミンを製造するのが好ましい。
<酸イミド化合物原料>
本発明は、酸イミドのピロリジン化合物やアミンへの水素化反応に適用できる。例えば、Δ−テトラヒドロフタル酸イミド及び/又はヘキサヒドロフタル酸イミドを水素化して、オクタヒドロイソインドールを製造することができる。
この場合、通常、後述の銅系固体触媒又は後述の貴金属系固体触媒を使用して、酸イミド化合物から本発明の不均一触媒水素化反応によりピロリジン化合物やアミンを製造するのが好ましい。
本発明においては、上記の不均一触媒水素化反応の中でも、水素化反応が、飽和(不飽和)脂肪酸アルキルエステルの飽和アルコールへの還元反応、不飽和脂肪酸アルキルエステルの不飽和アルコールへの還元反応、脂肪族又は脂環族ジカルボン酸ジエステルの脂肪族又は脂環族ジオールへの還元反応、ラクトン系化合物を脂肪族ジオールとする還元反応、炭素−炭素二重結合を水素化する反応、芳香族化合物の核水素化反応は、特に、本発明に好適である。
<被水素化物質の硫黄と塩素含有量>
本発明における水素化反応に供する被水素化物質としては、上記各種の化合物が使用できるが、特に、塩素原子と硫黄原子の含有重量が合計で5ppm以下、好ましくは3ppm以下、特に好ましくは1ppm以下、更に好ましくは0.3ppm以下であるのが有利である。
上記の塩素原子と硫黄原子の含有重量が合計で5ppm以下であると、頻繁に固体触媒を交換する必要がなく、より合理的なプロセスとなる。
本発明者の研究によると、塩素原子による触媒被毒は、硫黄原子による触媒被毒とは全く現象が異なるものであることが見出されている。即ち、硫黄化合物は、水素化反応条件下における触媒金属との反応が極めて速く、金属硫化物として、触媒層最上部に局在している。一方、塩素原子は、移動(migration)という挙動をとることがある。例えば、触媒金属と反応して生成した金属塩化物は反応液中に溶解して、触媒層の下方向に拡散して、被毒領域(触媒不活性領域)を拡大する傾向があり、また、有機塩素化合物は、触媒との反応が遅く、結果として触媒層下部に到達して上記移動(migration)と同じ挙動となる。
本発明者は、硫黄と塩素という全く挙動の異なる2種の被毒物質の共存下において、塩素原子と硫黄原子の含有重量が合計で5ppm以下の原料が有効であることを見出したものである。
{塩素原子混入の原因と塩素原子含量低減方法}
塩素原子が含まれる原因としては、食塩(NaCl)や塩酸根などの無機化合物の混入の場合と有機塩素化合物の混入の場合がある。
食塩の混入に関しては、特に被水素化物質が植物などの天然物由来の場合は、天然物が被水素化物質の産生活動に食塩を必要とするものが多く、根元的な問題である。エステル交換触媒の中和やエステル化触媒に塩酸を使用したために、塩素原子が混入する場合もある。無機化合物は一般に水洗で低減除去できる。
一方、天然物からこれらの原料(被水素化物質)を分離する工程や、加工過程において、塩素化合物が原料と反応して、有機塩素化合物となることもある。例えば、牛脂や豚脂の製造工程では、解体した牛や豚の血液や肉汁と共に高温で加熱される為、食塩が一部有機化してしまい、牛脂や豚脂に由来する脂肪酸は有機塩素を含有している。又、回収した植物系揚げ油(通称、植物二号油)も、食塩を含有する食材と高温で接触した結果、有機塩素を含有している。又、ヤシ油に起因した脂肪酸も天然由来の有機塩素を含有している。これらの有機塩素化合物は、塩素原子量が35.4と炭素の原子量の3倍に相当することに起因して、分子量が大きくて蒸気圧が低い為、精密蒸留で低減除去できる。
最も好ましい方法は、これらの塩素を含有しない原料を使用することであるが、原料価格と供給安定性などを考慮して、選択することができる。
{硫黄原子混入の原因と硫黄原子含量低減方法}
また、硫黄原子は、p−トルエンスルホン酸や硫酸をエステル交換触媒中和やエステル化触媒に使用したために混入する場合がある。これらの化合物は一般に水洗で低減除去できる。
天然物に起因する原料の場合は、シスチンなどの蛋白質由来の硫黄化合物が混入する。牛脂、豚脂、ヤシ油、パーム油、パーム核油はかかる蛋白質由来の硫黄化合物を含有しており、そのままでは、本発明に供給する脂肪酸やメチルエステルに硫黄化合物が混入する。これらの蛋白質由来の硫黄化合物は蒸留によって低減除去できる。
一方、石油系、石炭系の原料の場合は、その原料の川上原料の製造工程に硫黄化合物含有量が左右されている場合が多く、原料選別が好ましい方法である。例えば、炭素−炭素二重結合を水素化する反応に用いる、Δ−テトラヒドロフタル酸無水物やΔ−3−メチルテトラヒドロフタル酸無水物の場合は、共役ジエン化合物と無水マレイン酸のディールス・アルダー反応によって製造されるが、共役ジエン化合物のブタジエンやイソプレン中に二硫化炭素などの硫黄化合物が混入していることが多く、原料を選別するのが好ましい。また、芳香族化合物の核水素化に関する反応原料は、石油系のものは深脱硫した極度低硫黄分の原料を選択するのが好ましい。石炭系の場合は、チオフェンなどの硫黄化合物が大量に含有されていることが多く、本発明で使用しない方が好ましい。
固体触媒
本発明に用いる固体触媒としては、水素化反応に使用されている公知の固体触媒が使用できるが、これらの中でも、銅、亜鉛、ニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウム及びこれらの酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種を担持した固体触媒が例示される。また、かかる固体触媒には、助触媒としてクロム、モリブデン、タングステン、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、ニッケル、ケイ素及びこれらの酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を更に担持させてもよい。
かかる固体触媒に使用する担体としては、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、チタニア、珪藻土、白土、活性炭、カーボン、グラファイト、ゼオライト、モンモリロナイト等の粘土類、珪酸アルカリ土類塩等の担体が例示される。
本発明で使用する固体触媒は、それ自体いずれも公知の触媒である。また、これらの触媒は、そのまま用いることもできるが、使用する前に還元処理等の適当な活性化処理をした後で反応に供することが好ましい。還元処理等の活性化処理は、慣用されている方法で行うことができる。
<銅系触媒>
銅系触媒としては、銅、銅−亜鉛、銅−クロム、銅−亜鉛−クロム及びこれらの酸化物から選ばれる1種又は2種以上の触媒、並びにこれら銅系触媒にモリブデン、タングステン、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、ケイ素及びこれらの酸化物を添加した変性触媒を担持した固体触媒が例示される。
具体的には、銅酸化物、銅−亜鉛−クロム酸化物、銅−クロム−亜鉛−マグネシウム酸化物、銅−亜鉛−クロム−バリウム酸化物、銅−亜鉛酸化物、銅−亜鉛−マグネシウム酸化物、銅−亜鉛−アルミニウム酸化物、銅−クロム酸化物、銅−クロム−マグネシウム酸化物、銅−クロム−マンガン酸化物、銅−クロム−バリウム酸化物、銅−クロム−バリウム−マグネシウム酸化物、銅−クロム−マンガン−バリウム酸化物、銅−クロム−マンガン−マグネシウム酸化物等を担持した固体触媒が例示される。
また、銅−カルシウム−珪酸、銅−マンガン−珪酸、銅−バリウム−珪酸、銅−カルシウム−バリウム−珪酸、銅−カルシウム−バリウム−マンガン−珪酸の形で珪酸アルカリ土類金属に担持した固体触媒が例示される。
これらの銅系固体触媒は、飽和又は不飽和脂肪酸エステルの飽和アルコールへの還元反応に好適に用いることができる。
本明細書及び請求の範囲において、上記銅−クロム酸化物等の「M1−M2酸化物」なる表記は、金属M1の酸化物と金属M2の酸化物とを含む触媒を表す。例えば、「銅−クロム酸化物」は、銅酸化物とクロム酸化物を含む触媒を表す。同様に、銅−亜鉛−アルミニウム酸化物等の「M1−M2−M3酸化物」なる表記は、金属M1の酸化物と金属M2の酸化物と金属M3の酸化物とを含む触媒を表す。例えば「銅−亜鉛−アルミニウム酸化物」は、酸化銅と酸化亜鉛とアルミニウム酸化物を含む触媒を表す。他の類似の表現も同様である。
<亜鉛系触媒>
亜鉛系触媒としては、亜鉛−クロム酸化物、亜鉛−アルミニウム酸化物、亜鉛−アルミニウム−クロム酸化物、亜鉛−クロム−マンガン酸化物、亜鉛−鉄酸化物、亜鉛−鉄−アルミニウム酸化物等が例示される。これらの亜鉛系固体触媒は、不飽和脂肪酸エステルを不飽和アルコールへの還元反応に好適に用いることができる。
<ニッケル系触媒>
ニッケル系触媒としては、ニッケル−珪藻土、ニッケル−クロム酸化物等が例示できる。これらのニッケル系固体触媒は、二重結合の水素化反応や核水素化反応に好適に用いることができる。
<貴金属系触媒>
ルテニウム、パラジウム、白金、ロジウム又はこれらの酸化物等を含有する貴金属系固体触媒としては、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、活性炭、カーボン、グラファイト等の担体に、これら金属又は該金属の酸化物を担持した固体触媒が例示される。これらの貴金属系固体触媒は、種々の水素化反応に有効な触媒であり、なかでも特に、二重結合の水素化反応や核水素化反応に有効である。
<触媒の形状>
本発明に用いられる固体触媒の形状は、円柱、中空式円柱、三葉柱、四葉柱及び球形等であるのが好ましく、異なる2種以上の形状の固体触媒を使用してもよい。
特に、その最小長さが1〜10mm程度の固体触媒が推奨される。ここで、本明細書及び請求の範囲において、「最小長さ」とは、例えば、直径5mmの球形触媒であれば、その直径5mmが最小長さであり、また直径3mm×高さ5mmの円柱形触媒であれば、その直径3mmが最小長さである。更に、中空式円柱、例えば、外径3mm(内径2mm)×高さ5mm中空式円柱の場合は、その内径ではなく、その外径3mmが最小長さである。三葉柱の場合は図2に示すサイズ(R)が最小長さであり、四葉柱の場合は図3に示すサイズ(L)が最小長さである(いずれも高さ(軸線方向の長さ)の方がR又はLよりも大きいものとする)。
最小長さが、10mmを越えると反応器中の固体触媒の触媒外形表面積が小さくなるため生産性が低下する傾向にある。1mm未満では、固体触媒が詰まりすぎた状態となり、圧力損失が大きくなるため灌液流を形成しにくくなる傾向がある。
<触媒の製法>
これらの固体触媒の製造法は、特に限定されることはなく、転動造粒法、圧縮成型法、押し出し成形法、溶融造粒法等の従来公知の方法が例示でき、具体的には、粉末やペーストを打錠機、造粒機、押出成型器、油中球状成型器等により容易に製造することができる。
<触媒の強度>
本発明の固体触媒は、触媒1個当たりの触媒強度が1.0kg以上の固体触媒を充填使用することが必須条件である。
本発明における触媒強度とは、最小圧壊強度を100個の触媒について個々に測定して、その平均値Aと標準偏差値(σ)を算出し、式:A−2σにより求められる強度である。本発明では該触媒強度が1.0kg以上、特に1.5〜4.0kgであることが重要である。
本明細書において、最小圧壊強度を測定するには、JIS Z−8841−1993の「3.1圧壊強度試験方法の方法」に従って測定する。
本発明において、「最小圧壊強度」とは、本発明で使用する円柱、中空式円柱、三葉柱、四葉柱の固体触媒を、縦方向(軸線方向)から圧縮して測定した圧壊強度及び横方向(半径方向、即ち軸線方向と垂直な方向)から圧縮して測定した圧壊強度のうち、小さい方の圧壊強度を指す。一般に圧壊強度が最も弱い方向は、固体触媒が円柱、中空式円柱、三葉柱、四葉柱等の形状を有する場合は横方向(軸線方向と垂直な方向)である。
なお、球、立方体等のように対称性の高い形状を有する固体触媒にあっては、一般に圧縮方向によって圧壊強度の差はないので、本明細書においては、上記JIS規格の方法により測定された圧壊強度を最小圧壊強度と呼ぶものとする。
上記触媒強度が、1.0kgより弱いと、触媒の損傷による触媒流出や著しくは反応缶や接続配管が閉塞に至る傾向が認められる。また、平均値(A)が高い触媒であっても、標準偏差値(σ)が大きい場合、即ち、強度が小さい触媒の比率が大きいとこれらの弱い触媒が損傷して、触媒流失や装置閉塞に至る傾向があり、強度のバラツキまで加味した固体触媒が有効である。本発明の範囲では、このようなことは生起しない。
なお、前記式A−2σにより求められる触媒強度は、任意の100個の触媒において、97.5%以上の固体触媒の最小圧壊強度が1kg以上であることを統計的に表したものである。
水素化反応方法
本発明の不均一系触媒水素化反応方法は、上記の触媒の存在下、前記被水素化物質を原料として用いて、灌液流条件下で、水素ガスと被水素化物質とを上方から並流で流下させる方法であり、以下にその詳細を述べる。
本発明の灌液流とは、液相(即ち、液状の被水素化物質)が固体触媒上を重力の作用で膜状に流下し、固体触媒粒子表面を流下する膜状の液相と水平方向の隣接する固体触媒粒子上を流下する膜状の液相との間の空間を水素ガスが連続流となって、該液相と並流で下方に流れる状態を示す。
その一例を図1に示す。図1において、液相100は固体触媒粒子102の表面に沿って膜状に流れ、その下の固体触媒粒子103の表面に沿って膜状に流下し、更に固体触媒粒子103の下の固体触媒粒子104(及びそれに続く固体触媒粒子)の表面に沿って膜状に流下する。同様に、液相100は、固体触媒粒子102に隣接する固体触媒粒子110の表面に沿って膜状に流れ、その下の固体触媒粒子111(及びそれに続く固体触媒粒子)の表面に沿って膜状に流下する。
このように固体触媒粒子102、103、104(およびそれに続く固体触媒粒子)の表面に沿って流下する膜状の液相と、これら固体触媒粒子102,103,104(およびそれに続く固体触媒粒子)に隣接する固体触媒粒子110、111(およびそれに続く固体触媒粒子)の表面に沿って流下する膜状の液相との間の空間Sを、水素ガスが連続流として流下する。図1においては、球形の固体触媒を使用した例を示しているが、他の形状の固体触媒の場合も、上記説明が同様に当てはまる。
このような灌液流条件は、管直径、原料供給速度と水素ガス供給速度、水素ガス圧力、触媒の寸法などによって変化する。
本発明の固体触媒を使用した場合、通常、反応塔断面積1m当たりの原料供給速度が、反応条件下、0.4〜40m/h程度(好ましくは1〜30m/h程度、より好ましくは2〜30m/h程度)、反応塔断面積1m当たりの水素ガス供給速度が、反応条件下、4〜4000m/h程度(好ましくは10〜2000m/h程度、より好ましくは40〜1000m/h程度)の範囲内で灌液流が得られる。
水素ガス供給速度がこれより大きいと、液相(被水素化物質)の一部が液滴となって流れる噴霧流となり本発明の高生産性が得られない。原料供給量がこれより大きいと、脈動流となる。脈動流が生じると、圧損失が大きくなる現象と固体触媒が流動化する現象により、固体触媒相互が衝突して破砕する為、本発明の不均一系触媒水素化反応方法にとって好ましくない。さらに、原料供給量が増加すると、原料が連続相となり、ガスが分散して気泡となって流れる気泡流となり、本発明の高生産性が得られない。
上記の灌液流条件を採用することに加えて、本発明では、単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量が、水素化反応が定常状態となった時点以降において、反応条件下において、0.005×10−3 〜0.14×10−3 /m程度、好ましくは0.05×10−3 〜0.12×10−3 /m程度であることが重要である。触媒外形表面積当たりの動的液相保持量が、0.14×10−3 /mより大きいと液相保持量の多すぎる部分と液相保持量の少ない部分が交互に流れる脈動流となる傾向があり、一方、0.005×10−3 /mより少ないと原料供給速度が少なすぎて原理的に高生産性が得られないか、ガス流量が大きすぎて前述の噴霧流を形成してしまう。
単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量を、0.005×10−3 〜0.14×10−3 /m程度の範囲に調整するには、上記灌液流条件を採用することに加えて、更に、充填する固体触媒の大きさ(最小長さ)及び形状等を調整することにより行うことができる。
本発明の「触媒外形表面積」とは、固体触媒の外形の表面積であり、巨視的にみた場合の固体触媒粒子の表面積である。具体的には、触媒外形表面積は、例えば半径がrで高さがhの円筒形の触媒の場合は上下の円の部分の面積2πrと側面積2πrhの合計であり、また、例えば半径rの球形の場合4πrである。微視的に見た触媒の細孔を含む表面積と区別する為に、上記の用語を使用することとする。従って、「単位触媒外形表面積当たり」とは、反応塔に充填されている複数の触媒の触媒外形表面積の合計1m当たりという意味である。
また、本発明における「動的液相保持量」とは、全ホールドアップ量から、静的保持量を減じたものである。
実際の反応塔内において、固体触媒同士が接触し合う触媒点近傍の反応液は、下降並流する水素ガスに対して、固体触媒の陰になることや、表面張力などの因子によって、ほとんど静止している状態であり、生産への寄与は少なく、これを考慮に入れない。これを静的保持量と称する。
例えば、図1において、液相(被水素化物質)100は、固体触媒102と固体触媒103との間の空間においては、固体触媒102の陰になることや、表面張力などの因子によって、固体触媒102と固体触媒103との間の空間に滞留してほとんど静止している。このような滞留してほとんど静止している液相の量を静的液相保持量という。
本発明の触媒外形表面積当たりの動的液相保持量とは、下降する水素ガスと並流で各触媒の表面に沿って膜状に流下していく液相の合計量を示す。従って、上記静的液相保持量と動的液相保持量との合計が、全ホールドアップ量である。
実際には、反応条件下で、水素ガスの供給は継続したまま、液相の供給を停止した時に、反応塔の下部より排出されてくる液重量(W)を計測することにより、動的液相保持量を測定できる。即ち、Wが動的液相保持量である。
更に、本発明では、上記のように触媒外形表面積当たりの動的液相保持量が0.005×10−3 〜0.14×10−3 /mであって、且つ、液相中の溶存水素濃度が0.01〜5.0kmol/m、特に0.3〜5.0kmol/mであるのが好ましい。更に、本発明では、水素化反応が定常状態となった時点以降において、液相中の溶存水素濃度を、反応塔内の触媒層の最高地点から1m下の地点において、液相の飽和水素濃度の10〜100%に調整するのが好ましい。
特に反応が激しい製造方法、例えば、(1)油脂、油脂由来の飽和又は不飽和脂肪酸、該飽和又は不飽和脂肪酸のアルキルエステル、(2)不飽和脂肪酸又はそのアルキルエステル、(6)炭素−炭素二重結合を含有する化合物(不飽和脂肪酸、不飽和アルコール等)等の二重結合の水素化反応のように大量の二重結合を水素化するプロセス、(7)芳香族化合物の水素化反応のような核水素化プロセス、(1)油脂、油脂由来の飽和脂肪酸、該飽和脂肪酸のアルキルエステル、(2)不飽和脂肪酸又はそのアルキルエステル、(3)脂肪族ジカルボン酸ジアルキルエステル、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとの反応生成物(オリゴマー)、(4)脂環族ジカルボン酸ジアルキルエステル等の水素化反応のような、カルボン酸エステルからの飽和アルコールの製造プロセス等においては、液相中の溶存水素濃度を、反応塔内の触媒層の最高地点から1m下の地点において、液相の飽和水素濃度の10〜60%に調整するのが好ましい。
また、(1)不飽和カルボン酸エステルからの不飽和アルコールの製造プロセスのように反応選択性を保持するために低い反応活性の触媒を選択するプロセス;共役ジエン化合物を原料として、共役ジエンをモノエンに水素化し、共役ジエン化合物を含有しない不飽和アルコールを製造するプロセスのようにマイルドな反応条件を選択するプロセス;炭素数8〜22の飽和アルコール中にわずかに残存する炭素−炭素二重結合を水素化してヨウ素価を低減して、品位の高い飽和アルコールを製造するプロセスのように反応量が非常に少ないプロセスなどの場合においては、液相中の溶存水素濃度を、反応塔内の触媒層の最高地点から1m下の地点において、液相の飽和水素濃度の50〜100%に調整するのが好ましい。
ここで、上記溶存水素濃度及び飽和水素濃度は、それぞれ、当該水素化反応の温度及び圧力における濃度を指す。
本発明において、「液相の飽和水素濃度」とは、反応基質自身に溶解し得る最大水素濃度を示しており、設定する反応条件下において、触媒の無い状態で、水素ガスと液相を十分に接触させて得られる飽和水素濃度である。
本発明の溶存水素濃度は、ガス相の水素分子が液相中に溶解した結果として、被水素化物質と共に固体触媒に接触する液相中の水素濃度である。詳しくは、動的な因子によって支配され、水素ガスの液への溶解速度、液相の中で固体触媒表面に拡散していく速度、固体触媒表面で水素ガスから活性状態になる速度、活性状態の水素が反応基質と反応する速度等々の複雑な因子が組み合わさった結果、液相中に「溶存」した水素分子として検知される。
本発明においては、溶存水素濃度は飽和水素濃度に対して、10〜100%とすることが好適である。常に溶存水素濃度が飽和水素濃度の100%である条件が好ましく、反応塔下部においては実際に100%を示している。これに対して、反応上部においては、反応基質と水素分子との反応量が非常に大きく、溶存水素濃度が低くなりがちである。本発明者の研究によると、反応塔上部1m地点において、液相中の溶存水素濃度10%以上を保持することが高生産性を得るのに有利であることが判った。
上記のように、溶存水素濃度を0.01〜5.0kmol/mに調整すること、並びに、液相中の溶存水素濃度を、反応塔内の触媒層の最高地点から1m下の地点において、液相の飽和水素濃度の10〜100%に調整するには、次のようにして行うことができる。
溶存水素濃度範囲、及び、溶存水素濃度と飽和水素濃度との比率は、極めて多くの要因の影響を受けるために、種々の方法を採用でき、例えば、次のようなファクターを考慮して容易に行うことができる。即ち、固体触媒に関しては、低活性触媒の選択、触媒の活性種濃度低減、触媒外形表面積低減、動的液相保持量低減は、水素濃度を高める傾向がある。水素ガス供給方法に関しては、水素圧力上昇、水素流量増大は、溶存水素濃度を高める傾向がある。被水素化物質供給方法に関しては、反応基質濃度低減、反応原料供給量低減は溶存水素濃度を高める傾向がある。従って、設定する反応条件下で、これらのファクターと、上記溶存水素濃度(更には、溶存水素濃度と飽和水素濃度との比率)との間にどのような関係があるかを予め調べておき、生成物の種類に応じて、これらの条件を適宜選択することにより容易に行うことができる。
<反応温度、反応圧力、反応溶媒など>
水素化反応の反応温度及び反応圧力は、水素化反応が完結できる条件であれば特に限定されないが、実用的な反応速度が得られる条件として、反応温度としては、通常、50〜350℃程度、好ましくは50〜300℃程度の範囲であり、反応圧力としては、通常、常圧〜35MPa程度、好ましくは0.9〜30MPa程度の範囲が推奨される。
上記の水素化反応は、通常、無溶媒で実施されるが、原料及び/又は反応生成物の融点が高く取り扱いが困難な場合や、反応性や選択性の向上及び反応熱の効率的な除去等を目的として溶媒を使用することができる。
反応原料の融点が高く、反応生成物の融点が低い場合には、溶媒として、反応生成物そのものを使用することも有効な方法である。また、反応熱が非常に大きい核水素化反応の場合、溶媒や反応生成物そのもので希釈して供給する方法も採用できる。
溶媒としては、通常、水素化反応に対して反応不活性であり、原料及び反応生成物と反応しない溶媒の中から適宜選択することができる。具体的には、水、炭素数1〜10のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのジオール類、ジグライム、トリグライムなどのエーテル系溶媒、メチルプロピレングリコール、ブチルセロソルブ等のエーテルアルコール、炭素数5〜10のパラフィン、シクロパラフィン炭化水素類等が使用でき、核水素化反応以外の場合は、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等も使用できる。
溶媒の使用量は、特に制限はないが、重量基準で、原料である被水素化物質1重量部に対して0.05〜100重量部の範囲、好ましくは0.1〜50重量部の範囲である。
<反応塔>
本発明に用いられる反応塔としては、固体触媒を充填した場合に均一な灌液流を形成する任意の形状のものが使用できる。かかる均一な灌液流を形成するためには、例えば、上部にバブルキャップ式分散板などの供給液を均一に固体触媒に供給する設備を設置すればよい。さらに、偏流を防止する目的で、分散板付きの比較的短い塔を直列に接続するか、または再分散装置を設置した長い反応塔を採用することが好ましい。
反応装置の長さ及び直径は、原料の種類、反応のタイプ、生産量、装置の建造コストや操作性等に応じて適宜選択すればよいが、一般には直径が2〜200cm程度、特に3〜100cm程度、触媒層の長さが2〜20m程度、特に3〜15m程度の反応器を使用するのが好ましい。
また、反応装置としてマルチチューブ型反応器を使用することもでき、その場合は、直径が2〜20cm程度、好ましくは2〜10cm程度、触媒層の長さが2〜20m程度、好ましくは3〜15m程度のチューブ型反応器を10〜1000本、好ましくは20〜500本使用したマルチチューブ型反応器を使用するのが好ましい。
また、反応熱を除熱する目的で、反応塔の途中に冷却用の水素ガスを導入する配管を接続するプロセスとするか、または、最も反応の激しい時期の除熱を行う熱交換器を直列に接続するプロセスを選択することが好ましい。
以下に、実施例及び比較例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。
各実施例及び比較例において、「%」は特に断らない限り「重量%」を指す。
1)装置
図4に示すような装置を用いる。即ち、直径40cmの触媒充填高さ1mの反応器1、直径40cmの触媒充填高さ3mの反応器2、3及び4を高圧気液分離器5、7及び8を経由して直列に接続した。各々の反応塔の上部にバブルキャップ式の分散板(図示せず)を水平に設置した。
下記の実施例及び比較例においては、次の操作を行った。予め、水素気流中で活性化した触媒が充填されている反応塔1,2,3,4に、水素ガス圧縮機20及び水素ガス循環機16を用いて、所定圧力に加圧した水素ガスを所定流量で流しておく。昇温を開始し、所定の反応温度より20〜50℃低い温度に達したときに原料供給を開始し、昇温を継続する。水素化生成物を高圧気液分離器9に接続している水素化生成物取り出し用配管cから連続的に抜き出し、反応粗物タンク90に収容する。所定温度に達した時点を反応開始時間とする。水素化反応によって消費された量に相当する水素ガスを新たに連続的に供給して所定圧力を維持する。通常10時間程度で定常状態に達する。
なお、下記の実施例では、触媒充填高さ1mの反応器1を使用しているので、反応塔の触媒層最高点から1m下の地点における溶存水素濃度を測定することができる装置となっているが、工業的に実施する場合は、再分散装置を設置した一体型の反応塔としてもよい。
2)反応率の測定
反応器1、2、3及び4からなる反応塔(触媒充填層11〜14の高さの合計10m)の最終部(即ち、反応塔4)に連結されている高圧気液分離器9より採取される反応最終粗物の反応率を測定した。
エステル還元による飽和又は不飽和アルコールの製造の場合は、鹸化価(JIS K−0070)、ヨウ素価(JIS K−0070)の測定結果に基づき反応率を求めた。また、核水素化反応については、GLC測定結果に基づき反応率を求めた。
3)単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量の測定
触媒充填高さ1mの反応器1に接続している高圧気液分離器5の底部に低圧気液分離器6を設置し、高圧気液分離器5から次反応器2への移動を一次的に停止して、反応器中の触媒に保持されている液体量の全量を低圧気液分離器6に捕捉することにより、灌液流条件下の単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量を測定した。
なお、触媒外径表面積は、使用する触媒10個の寸法(直径及び高さ)を測定し、寸法の平均値を求め、該平均値から計算により求めた。
4)反応塔上部の触媒層の最高地点から1m下の地点における液相中の溶存水素濃度の測定
触媒充填高さ1mの反応器1に接続している高圧気液分離器5の底部に低圧気液分離器6を設置し、密封した状態で反応液(液相)を一定量抜き出した。装着している圧力計の指針変化によって高圧時に溶存していた水素ガスの量を測定して、溶存モル数を算出した。
即ち、高圧気液分離器5内の反応液(液相)において、溶存水素濃度は反応器1(即ち、触媒層の最高地点から1mの地点)での反応状況に応じた濃度となっている。この反応器1内の液相を、低圧気液分離器6に移送すると、該液相中に溶解していた水素分子がガス状態となって放出され、装着している圧力計61の指針変化(圧力増)として現れる。低圧気液分離器6の空間体積と圧力増から、高圧気液分離器5中の液相の溶存水素濃度を算出した。
以下、「反応塔上部の触媒層の最高地点から1m下の地点」を、「反応塔上部1m地点」と略記する。
5)液相の飽和水素濃度の測定
上記4)の方法で採取した触媒を含有しない反応液を、攪拌機付きバッチ式オートクレーブに入れて、撹拌しながら水素ガスを供給し、当該温度、当該圧力における液相の飽和水素濃度を測定した。
6)触媒強度の測定
木屋式デジタル硬度計(木屋製作所製、商品名「KHT−20型」)を用いて、JIS Z8841−1993の「3.1圧壊強度試験方法」に記載の方法に従って、各実施例で使用する円柱形の固体触媒の縦方向(軸線方向)から圧縮して測定された圧壊強度と横方向(軸線方向に垂直な方向)から圧縮して測定された圧壊強度を比較した。
上記圧壊強度の測定原理は、静止している直径25mmの試料台の上に、被測定物質である固体触媒粒子1個を置き、可動式の直径5mmの加圧面を上部から1mm/秒の速度で下降させ、被測定物質に押しつけて破壊するときの強度を測定するものである。測定装置の仕様は、次の通りであった。破壊強度検出機構=静電容量式シングルポイントロードセル、読み取り限度=0.05kgf。
各実施例で使用した固体触媒については、横方向から圧縮して測定した圧壊強度が、縦方向から圧縮して測定した圧壊強度よりも小さかったので、横方向から圧縮して測定した圧壊強度を「最小圧壊強度」とした。
固体触媒の最小圧壊強度を100個の固体触媒について測定し、その平均値Aと標準偏差σを算出した。以下の式により算出した値を触媒強度(kg)とした:
触媒強度(kg)=A−2σ
上記式中、Aは最小圧壊強度の平均値を示し、σは最小圧壊強度の標準偏差値を示す。
また、下記の実施例及び比較例において、原料供給速度、水素ガス速度及び動的液相保持量の値は、反応条件下での値である。
実施例1:飽和脂肪酸エステルから飽和アルコールへの水素化反応
反応器1、2、3及び4に、直径3mm×高さ3mmの打錠成型器で製造した円柱形の銅−クロム酸化物触媒(嵩比重1.1kg/リットル)を充填した。
該触媒を活性化するために、事前に水素化処理を施した。より詳しくは、反応器中を窒素ガス置換した後、窒素気流中で150℃に昇温した。10時間かけて、徐々に水素ガス100%になるように、段階的に水素ガス濃度を増加させながら、窒素−水素混合ガスを流した。水素ガス100%になった後、220℃まで昇温した。水素ガス循環機16を作動させて、原料の供給を開始直前の時点で、水素ガス供給速度を下記所定速度と同一とした。
パーム核油由来のラウリン酸メチル(硫黄含有量0.05ppm、塩素含有量0.20ppm)を、原料タンクTに入れ、反応塔断面積1m当たりの原料供給速度15m/hで、反応塔断面積1m当たりの水素ガス速度800m/h、温度220℃、圧力18MPaで、反応器1、2、3及び4へと順次、高圧気液分離器5、7及び8を経由して原料及び水素ガスを供給し、灌液流条件下で500時間運転し、水素化生成物としてラウリルアルコール粗物を得た。
反応成績は、表1の通りであった。
Figure 0004802497
なお、鹸化価反応率は、反応粗物の鹸化価(SVx)と原料の鹸化価(SV)から下記式(1)に従って測定した(以下の表においても同じ)。
鹸化価反応率(モル%)=[(SV−SVx)/SV]×100 (1)
反応開始後10時間で、定常状態に達していたことが確認された。その時点で、反応塔上部1m地点の高圧気液分離器5に設置した低圧気液分離器6に一定量の反応粗物液相を採取して動的液相保持量と溶存水素濃度を測定した。
単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量は、0.09×10−3 /mであった。溶存水素濃度は、0.8kmol/mであった。
ここで得た反応粗物液相500mlを別途の1000mlバッチ式オートクレーブに入れて、撹拌下、水素ガスを供給し、220℃に加熱し、18MPaでの飽和水素濃度を測定したところ、1.5kmol/mであった。即ち、反応塔上部1m地点における溶存水素濃度は、液相の飽和水素濃度の53%であった。
充填した触媒強度が最も弱い方向は横強度であり、最小圧壊強度の平均値A=6.1kg、σ=2.0であり、(A−2σ)=2.1kgであった。500時間運転した後の固体触媒の破砕は見られず、圧力損失の変動も観測されなかった。
比較例1
反応塔断面積1m当たり、水素ガス速度5000m/hにおいて、原料供給速度を脈動流が生起する流量である反応塔断面積1m当たり50m/hとした以外は、実施例1と同様に操作した。
単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量は、0.15×10−3 /mであった。50時間で反応器4の高圧気液分離器9の圧力が低下し、逆に、反応器1に供給する水素ガス配管の圧力が上昇してきた。反応を停止して、反応塔を開放し、触媒を検査したところ、各々の反応塔底部の触媒が破砕されて、底部配管が閉塞寸前であった。
比較例2
直径3mm×高さ3mmの円柱形の銅−クロム酸化物触媒を、反応器1〜4に充填した。充填した触媒の強度の最も弱い方向は横強度であり、最小圧壊強度の平均値A=5.2kg、σ=2.5であり、(A−2σ)=0.2kgであった。
この触媒を使用した以外は実施例1と同様に反応したところ、200時間で反応器4の高圧気液分離器9の圧力が低下し、逆に、反応器1に供給する水素ガス配管の圧力が上昇してきた。反応を停止して、反応塔を開放し、触媒を検査したところ、各々の反応塔底部の触媒が破砕されて、底部配管が閉塞寸前であった。
比較例3
直径3mm×高さ3mmの円柱形の銅−クロム酸化物触媒を反応器1〜4に充填した。充填した触媒の強度が最も弱い方向は横強度であり、最小圧壊強度の平均値A=8.1kg、σ=4.0であり、(A−2σ)=0.1kgであった。
この触媒を使用した以外は実施例1と同様に運転したところ、100時間で反応器4の高圧気液分離器9の圧力が低下し、逆に、反応器1に供給する水素ガス配管の圧力が上昇してきた。反応を停止して、反応塔を開放し、触媒を検査したところ、各々の反応塔底部の触媒が一部破砕されて、底部配管が閉塞寸前であった。
実施例2:不飽和脂肪酸アルキルエステルから飽和アルコールへの水素化反応
パーム油を加水分解した脂肪酸を蒸留し、冷却固体分別して得た不飽和脂肪酸(ヨウ素価98.3、glc組成 C14:0.6%、C16:5.0%、C18F0:1.8%、C18F1:74.5%、C18F2:18.0%、 C20F1:0.1%;ここで、F1、F2等の表記(Fn)は、不飽和脂肪酸が二重結合をn個有することを示す。以下の記載においても同じ)をメチルアルコールとp−トルエンスルホン酸でエステル化し、水洗したメチルエステル(硫黄含有量0.5ppm、塩素含有量0.7ppm)を原料として使用した。
該原料を使用し、反応塔断面積1m当たりの水素ガス速度を400m/hとする以外は実施例1と同様にして、灌液流条件下で500時間連続して運転を行い、水素化生成物としてパームアルコール粗物を得た。反応は異常なく進行した。反応結果を、表2に示す。
Figure 0004802497
反応開始後10時間で、定常状態に達していたことが確認された。その時点で、反応塔上部1m地点の高圧気液分離器5に設置した低圧気液分離器6に一定量の反応粗物液相を採取して動的液相保持量と溶存水素濃度を測定した。
単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量は、0.10×10−3 /mであった。液相中の溶存水素濃度は、0.7kmol/mであった。
ここで得た反応粗物液相500mlを、1000mlバッチ式オートクレーブに入れて、撹拌下、水素ガスを供給し、220℃に加熱し、18MPaでの飽和水素濃度を測定したところ、1.5kmol/mであった。即ち、反応塔上部1m地点における液相中の溶存水素濃度は、液相の飽和水素濃度の47%であった。
充填した触媒の強度が最も弱い方向は横強度であり、最小圧壊強度の平均値A=6.1kg、σ=2.0であり、(A−2σ)=2.1kgであった。500時間運転した後の固体触媒の破砕は見られず、圧力損失の変動も観測されなかった。
実施例3
牛脂/豚脂混合油脂を加水分解した脂肪酸(ヨウ素価57.0、glc組成C12:0.1%、C14:2.2%、C16F0:22.6%、C16F1:4.8%、C18F0:13.7%、C18F1:46.3%、C18F2:5.1%、 C18F3:0.6%、C20F2:0.4%、C15の脂肪酸、C17の脂肪酸及びC19の脂肪酸の合計4.2%)をメチルアルコールとp−トルエンスルホン酸でエステル化し、水洗したメチルエステル(硫黄含有量2.5ppm、塩素含有量1.0ppm)を原料として使用した。
該原料を使用し、反応塔断面積1m当たりの原料供給速度を10m/h、反応塔断面積1m当たりの水素ガス速度1000m/hとした以外は実施例1と同様にして灌液流条件下で500時間連続して運転を行い、牛豚混脂アルコール粗物を製造した。反応結果を表3に示す。
Figure 0004802497
反応開始後10時間で、定常状態に達していたことが確認された。その時点で、反応塔上部1m地点の高圧気液分離器5に設置した低圧気液分離器6に一定量の反応粗物液相を採取して動的液相保持量と溶存水素濃度を測定した。
単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量は、0.08×10−3 /mであった。液相中の溶存水素濃度は、1.1kmol/mであった。
ここで得た反応粗物液相500mlを、1000mlバッチ式オートクレーブに入れて、撹拌下、水素ガスを供給し、220℃に加熱し、18MPaでの飽和水素濃度を測定したところ、1.5kmol/mであった。即ち、反応塔上部1m地点における液相体積当たりの溶存水素濃度は、液相の飽和水素濃度の73%であった。
充填した触媒の強度が最も弱い方向は横強度であり、最小圧壊強度の平均値A=6.1kg、σ=2.0であり、(A−2σ)=2.1kgであった。500時間運転した後の固体触媒の破砕は見られず、圧力損失の変動も観測されなかった。
実施例4
植物二号油(ヨウ素価119.5、glc組成C14:0.4%、C16:12.0%、C16F1:0.7%、C18:4.3%、C18F1:40.8%、C18F2:34.1%、C18F3:7.3%、C20F1:0.4%)をメチルアルコールと水酸化ナトリウムでエステル交換し、10%塩酸で中和し、水洗して得たメチルエステル(硫黄含有量3.3ppm、塩素含有量4.2ppm)を原料として使用した。
該原料を使用した以外は実施例1と同様にして灌液流条件下で500時間連続して運転を行い、植物油還元アルコール粗物を製造した。
反応結果を下記表4に示す。表4から判るように、硫黄含有量、塩素含有量が高いので、長時間運転すると、触媒活性が低下する。ただし、反応初期はよい結果が得られる。
Figure 0004802497
反応開始後10時間で、定常状態に達していたことが確認された。その時点で、反応塔上部1m地点の高圧気液分離器5に設置した低圧気液分離器6に一定量の反応粗物液相を採取して動的液相保持量と溶存水素濃度を測定した。
単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量は、0.09×10−3 /mであった。液相中の溶存水素濃度は、0.8kmol/mであった。
ここで得た反応粗物液相500mlを、1000mlバッチ式オートクレーブに入れて、撹拌下、水素ガスを供給し、220℃に加熱し、18MPaでの飽和水素濃度を測定したところ、1.5kmol/mであった。即ち、反応塔上部1m地点における液相体積当たりの溶存水素濃度は、液相の飽和水素濃度の53%であった。
充填した触媒の強度が最も弱い方向は横強度であり、最小圧壊強度の平均値A=6.1kg、σ=2.0であり、(A−2σ)=2.1kgであった。500時間反応した後の固体触媒の破砕は見られず、圧力損失の変動も観測されなかった。
実施例5:飽和アルコールへの水素化
各々の反応塔に、直径3mm×高さ3mmの打錠成型器で製造したタブレット型銅酸化物−珪酸カルシウム触媒(嵩比重1.5kg/l)を充填した。
パーム核油をメチルアルコールと水酸化ナトリウムでエステル交換し、蒸留して得た飽和脂肪酸メチル(glc組成 C12:75%、C14:25%)(硫黄含有量0.2ppm、塩素含有量0.5ppm)を、反応塔断面積1m当たりの原料供給速度15m/h、反応塔断面積1m当たりの水素ガス速度800m/h、温度190℃、圧力20MPaとした以外は実施例1と同様にして灌液流条件下で500時間連続して運転を行い、水素化生成物として分留パーム核油アルコール粗物を得た。反応結果を表5に示す。
Figure 0004802497
反応開始後、10時間では定常状態に達していたことが確認された。その時点で反応塔上部1m地点の高圧気液分離器5に設置した低圧気液分離器6に一定量の反応粗物液相を採取して動的液相保持量と溶存水素濃度を測定した。
単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量は、0.09×10−3 /mであった。液相体積当たりの溶存水素濃度が、0.8kmol/mであった。
ここで得た反応粗物液相500mlを別途の1000mlバッチ式オートクレーブに入れて、190℃に加熱し、20MPaでの飽和水素濃度を測定したところ、1.6kmol/mであった。即ち、反応塔上部1m地点における液相体積当たりの溶存水素濃度は、液相の飽和水素濃度の50%であった。
充填した触媒強度が最も弱い方向は、横強度であり、最小圧壊強度の平均値A=10.3kg、σ=3.5であり、(A−2σ)=3.3kgであった。500時間反応した後の固体触媒の破砕は見られず、圧力損失の変動も観測されなかった。
実施例6:飽和アルコールへの水素化
各々の反応塔に、直径3mm×高さ3mmの打錠成型器で製造したタブレット型銅−亜鉛−アルミニウム酸化物触媒(嵩比重1.6kg/l)を充填した。
パーム核油をメチルアルコールと水酸化ナトリウムでエステル交換し、蒸留して得た飽和脂肪酸メチル(glc組成 C12:75%、C14:25%)(硫黄含有量0.2ppm、塩素含有量0.5ppm)を、反応塔断面積1m当たりの原料供給速度15m/h、反応塔断面積1m当たりの水素ガス速度800m/h、温度230℃、圧力20MPaとした以外は実施例1と同様にして灌液流条件下で500時間連続して運転を行い、水素化生成物として分留パーム核油アルコール粗物を得た。反応結果を表6に示す。
Figure 0004802497
反応開始後、10時間では定常状態に達していた事が確認された。その時点で反応塔上部1m地点の高圧気液分離器5に設置した低圧気液分離器6に一定量の反応粗物液相を採取して動的液相保持量と溶存水素濃度を測定した。
単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量は、0.09×10−3 /m2であった。液相体積当たりの溶存水素濃度が、0.8kmol/mであった。
ここで得た反応粗物液相500mlを別途の1000mlバッチ式オートクレーブに入れて、230℃に加熱し、20MPaでの飽和水素濃度を測定したところ、1.6kmol/mであった。即ち、反応塔上部1m地点における液相体積当たりの溶存水素濃度は、液相の飽和水素濃度の50%であった。
充填した触媒強度が最も弱い方向は、横強度であり、最小圧壊強度の平均値A=6.6kg、σ=2.5であり、(A−2σ)=1.6kgであった。500時間反応した後の固体触媒の破砕は見られず、圧力損失の変動も観測されなかった。
実施例7:ジカルボン酸ジエステルからジオールへの水素化反応
セバチン酸ジメチル(硫黄含有量0.05ppm、塩素含有量0.05ppm)を供給した以外は、実施例1と同様にして、灌液流条件下で500時間連続して反応を行い、対応するジオールである1,10−デカンジオール粗物を得た。反応結果を下記表7に示す。表7から、反応は、異常なく進行し、優れた効果を発揮することが判る。
Figure 0004802497
反応開始後、10時間で、定常状態に達していたことが確認された。その時点で、反応塔上部1m地点の高圧気液分離器5に設置した低圧気液分離器6に一定量の反応粗物液相を採取して液相保持量と溶存水素濃度を測定した。
単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量は、0.09×10−3 /mであった。液相中の溶存水素濃度は、0.6kmol/mであった。
ここで得た反応粗物液相500mlを、1000mlバッチ式オートクレーブに入れて、撹拌下、水素ガスを供給し、220℃に加熱し、18MPaでの飽和水素濃度を測定したところ、1.4kmol/mであった。即ち、反応塔上部1m地点における液相中の溶存水素濃度は、液相の飽和水素濃度の43%であった。
充填した触媒の強度が最も弱い方向は横強度であり、最小圧壊強度の平均値A=6.1kg、σ=2.0であり、(A−2σ)=2.1kgであった。500時間反応した後の固体触媒の破砕は見られず、圧力損失の変動も観測されなかった。
実施例8
反応器1〜4に、直径5mm×高さ5mmの打錠成型器で製造した円柱形の亜鉛−クロム酸化物触媒(嵩比重1.4kg/l)を充填した。
パームカーネル油を加水分解した脂肪酸を蒸留し、冷却固体分別して得た不飽和脂肪酸(ヨウ素価93.4、glc組成C12:0.6%、C14:0.6%、C16:5.5%、C18:1.4%、C18F1:78.5%、C18F2:11.8%、 C18F3:0.5%、C20F2:0.3%)(商品名:PALMAC750:アシッドケム社)をメチルアルコールと無触媒でエステル化したメチルエステル(硫黄含有量0.05ppm、塩素含有量0.05ppm)を原料として使用した。
該原料を使用し、反応塔断面積1m当たりの供給速度2.1m/h、反応塔断面積1m当たりの水素ガス供給速度80m/h、温度270℃、圧力25MPaにて、灌液流条件下で500時間反応し、水素化生成物としてパーム核不飽和アルコール粗物を得た。反応成績を下記表8に示す。
Figure 0004802497
反応開始後10時間で定常状態に達していたことを確認した。その時点で、反応塔上部1m地点の高圧気液分離器5に設置した低圧気液分離器6に一定量の反応粗物液相を採取して液相保持量と溶存水素濃度を測定した。
単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量は、0.07×10−3 /mであった。液相中の溶存水素濃度は1.5kmol/mであった。
ここで得た反応粗物液相500mlを、1000mlバッチ式オートクレーブに入れて、撹拌下、水素ガスを供給し、270℃に加熱し、25MPaでの飽和水素濃度を測定したところ、1.5kmol/mであった。即ち、反応塔上部1m地点における液相中の溶存水素濃度は、液相の飽和水素濃度の100%であった。
充填した触媒の強度が最も弱い方向は横強度であり、最小圧壊強度の平均値A=9.4kg、σ=3.2であり、(A−2σ)=3.0kgであった。500時間反応した後の固体触媒の破砕は見られず、圧力損失の変動も観測されなかった。
実施例9
反応器1〜4に、直径3mm×長さ3mmの打錠成形機で製造した円柱形の0.5重量%ルテニウム−アルミナ触媒を充填した。
メチレンジアニリンの50重量%ジグライム溶液(硫黄含有量0.01ppm以下(検出限界以下)、塩素含有量0.01ppm以下(検出限界以下)を使用し、反応塔断面積1m当たりの原料供給速度15m/h、反応塔断面積1m当たりの水素ガス速度60m/h、温度130℃、圧力10MPaで、灌液流条件下で500時間反応し、核水素化生成物としてビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン粗物を得た。反応成績を下記表9に示す。
Figure 0004802497
反応開始後、10時間では定常状態に達していた。その時点で、反応塔上部1m地点の高圧気液分離器5に設置した低圧気液分離器6に一定量の反応粗物液相を採取して液相保持量と溶存水素濃度を測定した。
単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量は、0.09×10−3 /mであった。液相中の溶存水素濃度は、0.5kmol/mであった。
ここで得た反応粗物液相500mlを、1000mlバッチ式オートクレーブに入れて、撹拌下、水素ガスを供給し、220℃に加熱し、25MPaでの飽和水素濃度を測定したところ、2.0kmol/mであった。即ち、反応塔上部1m地点における液相中の溶存水素濃度は、液相の飽和水素濃度の25%であった。
充填した触媒の強度が最も弱い方向は横強度であり、最小圧壊強度の平均値A=9.4kg、σ=3.2であり、(A−2σ)=3.0kgであった。500時間運転した後の固体触媒の破砕は見られず、圧力損失の変動も観測されなかった。
本発明より飽和又は不飽和脂肪酸アルキルエステルの飽和アルコールへの還元反応、不飽和脂肪酸アルキルエステルの不飽和アルコールへの還元反応、脂肪族又は脂環族ジカルボン酸ジアルキルエステルの脂肪族又は脂環族ジオールへの還元反応、ジカルボン酸無水物のラクトン系化合物への還元反応、ラクトン系化合物の脂肪族ジオールへの還元反応、炭素−炭素二重結合の水素化反応、芳香族化合物の核水素化反応、ニトリル化合物のアミンへの水素化反応、酸アミド化合物のアミンへの水素化反応、酸イミド化合物のアミンへの水素化反応等の不均一系触媒水素化反応を長期間安定した、高い生産性を有する方法として実施することができる。

Claims (10)

  1. 水素ガスと被水素化物質を含む液相とを上方から並流で流下させる固体触媒充填式反応塔を用い、灌液流条件下で該被水素化物質を水素化する不均一系触媒水素化反応方法であって、該反応塔に充填されている固体触媒の単位触媒外形表面積当たりの動的液相保持量が反応条件下において0.005×10−3〜0.14×10−3/mであり、下記式
    触媒強度=A−2σ
    [式中、Aは、上記触媒100個についてJIS Z 8841−1993の「圧壊強度試験方法」に記載の方法に従って測定された最小圧壊強度の平均値を示し、σは標準偏差値を示す。]
    により求められる触媒強度が1.0〜4.0gであり、
    水素化反応に供する被水素化物質中に含有される塩素原子と硫黄原子の合計含有量が5ppm以下であり、
    水素化反応が、飽和又は不飽和脂肪酸アルキルエステルの飽和アルコールへの還元反応、脂肪族ジカルボン酸ジアルキルエステルの脂肪族ジオールへの還元反応、又は脂環族ジカルボン酸ジアルキルエステルの脂環族ジオールへの還元反応であって、固体触媒が、銅−カルシウム−珪酸、銅−亜鉛−アルミニウム酸化物、及び銅−クロム酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であるか、又は
    水素化反応が不飽和脂肪酸アルキルエステルの不飽和アルコールへの還元反応であって、固体触媒が、亜鉛−クロム酸化物である
    ことを特徴とする不均一系触媒水素化反応方法。
  2. 水素化反応が、炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸の炭素数1〜4のアルキルエステルの炭素数8〜22の飽和アルコールへの還元反応、二重結合を少なくとも1個有していてもよい炭素数3〜22の脂肪族ジカルボン酸のジ(C−Cアルキル)エステルの炭素数3〜22の脂肪族ジオールへの還元反応、又は分子内に二重結合を少なくとも1個有していてもよい炭素数8〜12の脂環族ジカルボン酸のジ(C−C10アルキル)エステルの炭素数8〜12の脂環族ジオールへの還元反応であって、固体触媒が、銅−カルシウム−珪酸、銅−亜鉛−アルミニウム酸化物、及び銅−クロム酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であるか、又は
    炭素数16〜22の不飽和脂肪酸の炭素数1〜4のアルキルエステルの炭素数16〜22の不飽和アルコールへの還元反応であって、固体触媒が、亜鉛−クロム酸化物である
    請求項1に記載の不均一系触媒水素化反応方法。
  3. 水素化反応が、炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸の炭素数1〜4のアルキルエステルの炭素数8〜22の飽和アルコールへの還元反応、又は二重結合を少なくとも1個有していてもよい炭素数3〜22の脂肪族ジカルボン酸のジ(C−Cアルキル)エステルの炭素数3〜22の脂肪族ジオールへの還元反応であ
    って、固体触媒が、銅−カルシウム−珪酸、銅−亜鉛−アルミニウム酸化物、及び銅−クロム酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種であるか、又は
    炭素数16〜22の不飽和脂肪酸の炭素数1〜4のアルキルエステルの炭素数16〜22の不飽和アルコールへの還元反応であって、固体触媒が、亜鉛−クロム酸化物である
    請求項1に記載の不均一系触媒水素化反応方法。
  4. 水素化反応が、炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸の炭素数1〜4のアルキルエステルの炭素数8〜22の飽和アルコールへの還元反応、又は二重結合を少なくとも1個有していてもよい炭素数3〜22の脂肪族ジカルボン酸のジ(C−Cアルキル)エステルの炭素数3〜22の脂肪族ジオールへの還元反応であって、固体触媒が、銅−カルシウム−珪酸、銅−亜鉛−アルミニウム酸化物、及び銅−クロム酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である
    請求項1に記載の不均一系触媒水素化反応方法。
  5. 水素化反応に供する被水素化物質中に含有される塩素原子と硫黄原子の合計含有量が3ppm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の不均一系触媒水素化反応方法
  6. 固体触媒の形状が、円柱、中空式円柱、三葉柱、四葉柱式及び球形からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、その最小長さが1〜10mmである請求項1〜のいずれかに記載の不均一系触媒水素化反応方法。
  7. 反応塔内の液相中の溶存水素濃度が、0.01〜5.0kmol/mである請求項1〜のいずれかに記載の不均一系触媒水素化反応方法。
  8. 水素化反応の定常状態において、液相中の溶存水素濃度が、反応塔内の触媒層の最高地点から1m下の地点において、液相の飽和水素濃度の10〜100%に調整されている請求項1に記載の不均一系触媒水素化反応方法。
  9. 水素化反応が、
    (c) (1)油脂由来の飽和脂肪酸のアルキルエステル、(2)不飽和脂肪酸アルキルエステル、(3)脂肪族ジカルボン酸ジアルキルエステル及び(4)脂環族ジカルボン酸ジアルキルエステルから選ばれるカルボン酸エステルからの水素化反応
    であり、液相中の溶存水素濃度が、反応塔内の触媒層の最高地点から1m下の地点において、液相の飽和水素濃度の10〜60%に調整されている請求項1に記載の不均一系触媒水素化反応方法。
  10. 水素化反応が、
    不飽和カルボン酸エステルから不飽和アルコールへの水素化反応であって、液相中の溶存水素濃度が、反応塔内の触媒層の最高地点から1m下の地点において、液相の飽和水素濃度の50〜100%に調整されている請求項1に記載の不均一系触媒水素化反応方法。
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