JP4801853B2 - スピン処理装置およびスピン処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は基板を周方向に回転させながらこの基板を処理するスピン処理装置およびスピン処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、半導体装置や液晶表示装置の製造過程においては、基板としての半導体ウエハや液晶用ガラス基板に回路パターンを形成するための成膜プロセスやフォトプロセスがある。これらのプロセスでは、上記基板に対して成膜処理と洗浄処理とが繰り返し行なわれる。基板に各処理を行うためにはスピン処理装置が用いられる。このスピン処理装置はカップ体を有し、このカップ体内には回転駆動される回転体が設けられている。この回転体には保持機構が設けられ、この保持機構には基板が着脱可能に保持されている。
【0003】
上記保持機構に保持された基板は回転体とともに回転しながら順次処理されることになる。基板を処理する場合、回路パターンが形成される上面に向けて上部処理液用ノズルから処理液が噴射される。また、基板は上面だけでなく、下面の清浄度が要求されることがあるので、そのような場合には基板の下面に向けて洗浄用の処理液を噴射する下部処理液用ノズルが配置される。上記基板の下面側に下部処理液用ノズルを配置する場合、上記回転体に保持された基板の下面に対向する位置にノズルヘッドを設け、このノズルヘッドに下部処理液用ノズルや基板の下面を乾燥処理するための気体を噴射する下部気体用ノズルを設けるようにしている。
【0004】
基板の処理工程では、複数種の処理液が用いられることがあるため、上記ノズルヘッドには複数の下部処理液用ノズルが設けられており、これら下部処理液用ノズルからは各処理工程で噴射する処理液が基板の下面の径方向中心部に向って傾斜して噴射されるようになっている。
【0005】
各処理工程で噴射された処理液は、その都度上記気体用ノズルから基板の下面の径方向中心部に向って傾斜して噴射される気体と、上記基板の回転により生じる遠心力によって乾燥処理されることになる。
【0006】
従来、下部気体用ノズルは、上記複数の下部処理液用ノズルのうちの1つと基板の回転中心を挟んで対向するよう周方向に180度ずれた位置に設けられている。そのため、基板を処理液によって処理する際、気体用ノズルに下部処理液用ノズルから噴射された処理液が浸入することがある。その結果、この下部処理液用ノズルから処理液を噴射して基板を処理した後にこの基板を乾燥処理するために下部気体用ノズルから気体を噴射させると、この下部気体用ノズルに浸入した処理液が基板に向かって飛散しその一部が基板の下面に付着して基板の汚れや乾燥ムラの原因になることがある。そこで、基板を処理液で処理する間、下部気体用ノズルから終始気体を噴射させ、この下部気体用ノズルに処理液が浸入するのを防止している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、下部気体用ノズルと対向する位置に設けられた下部処理液用ノズルから処理液を噴射する場合に、処理液の噴射方向が気体の噴射方向と反対になる。つまり、下部処理液用ノズルから噴射された処理液に下部気体用ノズルから噴射された気体が衝突する。そのため、基板の下面に噴射された処理液は下部気体用ノズルから噴射された気体によって干渉され基板の下面の径方向に迅速かつ十分に行きわたらない。その結果、基板の下面の処理が全面にわたって均一に行なわれないことがある。
【0008】
この発明は下部処理液用ノズルから噴射された処理液が基板の下面全体に迅速かつ十分に行きわたるとともに、下部気体用ノズルに処理液が浸入するのを防止できるようにしたスピン処理装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、回転駆動される回転体に保持された基板の下面の径方向中心部に向って傾斜して処理液および気体をそれぞれ噴射するスピン処理装置において、
前記基板の下面側に配置され、その径方向中心部を前記基板の回転中心に合わせられたノズルヘッドと、
前記ノズルヘッドにおける、前記径方向中心部を中心とした周方向に設けられ、前記基板の下面の径方向中心部に向って傾斜して処理液を噴射する複数の下部処理液用ノズルと、
前記ノズルヘッドにおける前記周方向上に位置し、前記複数の下部処理液用ノズルの各々に対して、前記周方向における右側または左側の少なくとも一方における隣位置且つ近傍に少なくとも1つが位置するように設けられ、前記基板の下面の径方向中心部に向って傾斜して気体を噴射する複数の下部気体用ノズルと、
前記複数の下部処理液用ノズルの一から前記基板の下面の径方向中心部に向けて前記処理液を噴射するときに、当該一の下部処理液用ノズルの近傍に位置する下部気体用ノズルから前記処理液を噴射方向に付勢するための気体を噴射させる制御手段と、
を備えることを特徴とするスピン処理装置にある。
【0010】
請求項2の発明は、上記制御手段は、上記各下部処理液用ノズルから噴射される処理液の流量を調節する複数の処理液流量調節弁と、上記各下部気体用ノズルから噴射される気体の流量を調節する複数の気体流量調節弁と、上記複数の処理液流量調節弁と複数の気体流量調節弁の開度を制御する制御装置とからなることを特徴とするスピン処理装置にある。
【0011】
請求項3の発明は、回転駆動される回転体に保持された基板の下面の径方向中心部に向って傾斜して処理液および気体をそれぞれ噴射して前記基板を処理するスピン処理方法において、
前記基板の下面側に配置されその径方向中心部を前記基板の回転中心に合わせられたノズルヘッドにおける、前記径方向中心部を中心とした周方向に設けられ、前記基板の下面の径方向中心部に向って傾斜して処理液を噴射する複数の下部処理液用ノズルの一から、前記基板の径方向中心部に向って処理液を噴射し、
前記ノズルヘッドにおける前記周方向上に位置し、前記複数の下部処理液用ノズルの各々に対して、前記周方向における右側または左側の少なくとも一方における隣位置且つ近傍に少なくとも1つが位置するように設けられ、前記基板の下面の径方向中心部に向って傾斜して気体を噴射する複数の下部気体用ノズルのうち、前記処理液を噴射する一の前記下部処理液用ノズルの近傍に位置する前記下部気体用ノズルから前記処理液を噴射方向に付勢するための気体を噴射する
ことを特徴とするスピン処理方法にある。
【0014】
この発明によれば、基板の下面の径方向中心部に処理液を噴射する下部処理液用ノズルと、気体を噴射する下部気体用ノズルを、基板の回転中心を通る径方向に対してずらして設けたため、上記下部処理液用ノズルから噴射された処理液が上記下部気体用ノズルから噴射された気体によって干渉され難くなるから、上記処理液は基板の下面に全面にわたって均一に供給されることになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図2に示すこの発明のスピン処理装置はカップ体1を有する。このカップ体1は載置板2上に設けられた下カップ3と、この下カップ3の上側に図示しない上下駆動機構によって上下駆動自在に設けられた上カップ4とからなる。
【0017】
上記下カップ3の底壁の中心部と載置板2とにはこれらを貫通する通孔5が形成されており、また上記下カップ3の周壁3aは上記上カップ4の二重構造の周壁4aにスライド自在に嵌挿し、これら周壁によってラビリンス構造をなしている。
【0018】
上記上カップ4の上面は開口していて、この上カップ4が下降方向に駆動されることで、後述するようにカップ体1内で処理された基板としてのたとえば半導体ウエハUを取り出したり、未処理の半導体ウエハUを供給できるようになっている。さらに、上記下カップ3の底壁には周方向に所定間隔で複数の排出管6の一端が接続され、他端は図示しない吸引ポンプに連通している。それによって、上記半導体ウエハUを洗浄処理したり、乾燥処理することで上記カップ体1内で飛散する処理液が排出されるようになっている。
【0019】
上記カップ体1の下面側には板状のベース7が配置されている。このベース7には上記カップ体1の通孔5と対応する位置に取付孔8が形成されていて、この取付孔8には駆動手段を構成するパルス制御モータ9の固定子9aの上端部が嵌入固定されている。
【0020】
上記固定子9aは筒状をなしていて、その内部には同じく筒状の回転子9bが回転自在に嵌挿されている。この回転子9bの上端面には筒状の連結体11が下端面を接合させて一体的に固定されている。この連結体11の下端面には上記固定子9aの内径寸法よりも大径な鍔部11aが形成されている。この鍔部11aは上記固定子9aの上端面に摺動自在に接合しており、それによって回転子9bの回転を阻止することなくこの回転子9bが固定子9aから抜け落ちるのを規制している。
【0021】
上記連結体11は上記カップ体1の通孔5からその内部に突出し、上端面には円板状の回転体12が取り付け固定されている。この回転体12は図1に示すように下板13aと上板13bとを接合させた二重板構造をなしていて、その中心部には通孔14が形成されている。
【0022】
図2に示すように、上記下カップ3の通孔5の周辺部には環状壁3bが突設され、上記回転体12の外周面には上記環状壁3bの外周面に内周面を対向させた環状壁12bが垂設され、これら環状壁3b、12bによって処理液が回転体12の下面側に回り込むのを防止するラビリンス構造をなしている。
【0023】
上記回転体12の上面には周方向に所定間隔、この実施の形態では60度間隔で6つのボス部15(図1に2つだけ示す)が突設されている。このボス部15には滑り軸受16が嵌入されていて、この滑り軸受16には保持部材17が回転自在に挿入支持されている。
【0024】
上記保持部材17は、図1に示すように上部が上記ボス部15の外形寸法とほぼ同径の大径部18に形成され、この大径部18の下面に上記滑り軸受16に支持される軸部19が一体形成されてなる。上記大径部18の上面には中心部に円錐状の支持ピン21が突設され、径方向周辺部である偏心位置には逆テーパ状のロックピン22が突設されている。
【0025】
上記6本の保持部材17の支持ピン21上には上記半導体ウエハUが下面を支持されて載置される。その状態で上記ロックピン22が半導体ウエハUの外周面に当接することで、その半導体ウエハUは回転体12と一体的に保持されるようになっている。
【0026】
図2に示すように、上記回転子9bの内部には中空状の固定軸41が挿通されている。この固定軸41の下端部は上記パルス制御モータ9の下方に配置された支持部材42の取付孔42aに嵌入固定されている。
【0027】
上記固定軸41の上端部は上記回転体12の通孔14に対向位置する。図1に示すように、この固定軸41の上端には径方向中心部を上記半導体ウエハUの回転中心と合わせてノズルヘッド46が嵌入固定されている。このノズルヘッド46は回転体12の上面側に突出していて、その外周部には上記通孔14の周辺部に突設された環状壁47を内部に収容する環状溝48が下面に開放して形成されている。つまり、環状壁47と環状溝48とでラビリンス構造を形成しており、回転体12の上面側で飛散する処理液が通孔14を通り、固定軸41に沿ってカップ体1の外部へ流出するのを阻止している。
【0028】
上記ノズルヘッド46には図3と図4に示すように、その上面に開放した凹部51が形成されている。この凹部51は上部から下部に行くに連れて小径となる円錐形状に形成されている。ノズルヘッド46の上面の上記凹部51の周辺部は径方向外方に向って低く傾斜した傾斜面52に形成されている。
【0029】
上記凹部51の底部には排液部を形成する排液孔53の一端が開口している。この排液孔53の他端には排液管54(図1に示す)の一端が接続されている。この排液管54の他端は上記排出管6と同様、図示しない吸引ポンプに接続されている。
【0030】
上記ノズルヘッド46には、先端を上記凹部51の内面に開口させた、3つの下部処理液用ノズル55(第1、第2、第3の下部処理液用ノズル55A、55B、55C)と2つの下部気体用ノズル56(第1、第2の下部気体用ノズル56A、56B)とが上記凹部51の周方向に一定間隔、この実施の形態ではこれら5つのノズル55A、55B、55C、56A、56Bが正5角形の各頂点に位置するように周方向に72度の間隔で設けられている。
【0031】
その結果、第1、第2の下部気体用ノズル56A、56Bは、第1、第2、第3の下部処理液用ノズル55A、55B、55Cとノズルヘッド46の径方向中心部を通る各径方向に対して周方向に位置をずらして配置されている。それによって、各下部気体用ノズル56A、56Bから噴射される気体と各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cから噴射される処理液とが正面衝突しないようになっている。
【0032】
また、上記各下部気体用ノズル56A、56Bは、上記各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cの周方向隣り側、つまり各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cの右側又は、左側のどちらか一方に少なくとも1つが位置するように配置されている。
【0033】
上記各ノズル55A、55B、55C、56A、56Bは、図4に示すように上記ノズルヘッド46に穿設された管路からなり、各先端が凹部51の内面に開口させたノズル孔55a、55b、55c、56a、56bとなっている。また、各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cおよび各下部気体用ノズル56A、56Bの各基端は、図3と図4に示すように上記ノズルヘッド46の下面にそれぞれ開口して設けられた、第1、第2、第3の処理液用ノズル接続孔57A、57B、57Cおよび第1、第2の気体用ノズル接続孔58A、58Bにそれぞれ連通している。
【0034】
各処理液用ノズル接続孔57A、57B、57Cにはそれぞれ処理液供給管59が接続され、各気体用ノズル接続孔58A、58Bにはそれぞれ気体供給管60接続されている。
【0035】
基板処理時には各処理液供給管59を通じて所定の下部処理液用ノズル55から所定の処理液が保持部材17に保持された半導体ウエハUの下面に向けて噴射され、乾燥処理時には所定の下部気体用ノズル56から各気体供給管60を通じて窒素ガスやアルゴンガスなどの気体が噴射されるようになっている。
【0036】
上記各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cは、各処理工程で使用される異なった処理液を半導体ウエハUの下面に向けてそれぞれ噴射する。つまり、一処理工程において、各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cのうちの1つからその時の処理に応じた種類の処理液が半導体ウエハUの下面に向けて噴射されるようになっている。
【0037】
上記各ノズル55A、55B、55C、56A、56Bの噴射方向はノズルヘッド46の軸線Oに対して所定の角度で傾斜している。すなわち、上記各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cは、保持部材17に保持された半導体ウエハUの回転中心つまり半導体ウエハUの径方向中心部に向って傾斜して処理液を噴射するようになっている。また、上記各下部気体用ノズル56A、56Bからは半導体ウエハUの回転中心に向って傾斜して気体を噴射されるようになっている。
【0038】
半導体ウエハUの下面に処理液を噴射して処理した後、半導体ウエハUの下面に付着した処理液は上記各下部気体用ノズル56A、56Bからの気体の噴射と半導体ウエハUの回転によって乾燥される。乾燥処理時、上記各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cからの処理液の噴射は停止している。
【0039】
半導体ウエハUの下面に向けて上記所定の下部処理液用ノズル55から処理液を噴射して半導体ウエハUの下面を処理するとき、上記所定の下部処理液用ノズル55の側方、つまりこの下部処理液用ノズル55の左側または右側に位置する一方の下部気体用ノズル56から、半導体ウエハUの下面に向けて気体を噴射する。この気体の噴射方向は上記処理液を噴射する所定の下部処理液用ノズル55からの処理液の噴射方向とほぼ同方向なので、その気体は噴射された処理液をその噴射方向に付勢するから、半導体ウエハUの下面全体に迅速かつ十分に処理液を拡散させることができる。
【0040】
一方、他方の下部気体用ノズル56からは、上記一方の下部気体用ノズル56から噴射される気体よりも十分に低い圧力で気体を噴射する。それによって、上記下部処理液用ノズル55から半導体ウエハUの下面に向けて噴射された処理液が他方の下部気体用ノズル56に浸入するのが防止される。
【0041】
他方の下部気体用ノズル56から噴射される気体の噴射方向も処理液の噴射方向とノズルヘッド46の径方向に対してずれているので、上記各下部処理液用ノズル55から噴射される処理液の流れを妨げることがほとんどない。
【0042】
なお、上記第1、第2の下部気体用ノズル56A、56Bに挟まれた下部処理液用ノズル55Cから半導体ウエハUの下面に向けて処理液を噴射するときは、上記第1、第2の下部気体用ノズル56A、56Bの両方から気体を十分な圧力で噴射させ、その勢いによって上記処理液用ノズル55Cから噴射される処理液を付勢するようにしてもよい。
【0043】
各ノズル55A、55B、55C、56A、56Bからの処理液および気体の上記のような噴射制御は制御手段61によって行なわれる。
【0044】
この制御手段61は、図4に示すように上記各処理液供給管59の中途部にそれぞれ設けられた各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cからの処理液の供給量を調節する処理液流量調節弁62(1つのみ図示)と、上記各気体供給管60の中途部にそれぞれ設けられた各下部気体用ノズル56A、56Bからの気体の供給量を調節する気体流量調節弁63(1つのみ図示)と、これら各流量調節弁62、63の開度を制御する制御装置64によって構成されている。
【0045】
なお、処理液は半導体ウエハUの回転中心からわずかにずれた位置に向けて噴射するようにしてもよく、その場合半導体ウエハUの裏面で反射した処理液が凹部51内に滴下する角度で処理液を噴射することが好ましい。同様に、気体も半導体ウエハUの回転中心からわずかにずれた位置に向けて噴射するようにしてもよい。
【0046】
図3に示すように上記凹部51の内面には上下方向に沿う複数の案内溝64が周方向に所定間隔で形成されている。この案内溝64は半導体ウエハUで反射して凹部51に滴下した処理液を、凹部51の内面に沿って排液孔53へ円滑に案内することになる。
【0047】
さらに、ノズルヘッド46の上面には、周方向に180度間隔で、一対の取付溝65が径方向に沿って形成されている。この取付溝65の先端は上記凹部51の内面に連通している。この取付溝65にはそれぞれ羽根66が先端部を上記凹部51内に突出させて設けられている。
【0048】
上記羽根66は、上記半導体ウエハUが回転体12とともに回転したときに、この半導体ウエハUの下面に生じる気流を凹部51内へ導入する形状になっている。それによって、とくに乾燥処理時に半導体ウエハUの下面側に浮遊するミスト状の処理液を効率よく凹部51内へ導入して排出できるようになっている。
【0049】
図1に示すように、上記回転体12の上面側には乱流防止カバー67が設けられている。この乱流防止カバー67は上記保持部材17に保持された半導体ウエハUの下面側に位置し、周辺部には上記保持部材17の上部を露出させる第1の開口部68が形成され、中心部には上記ノズルヘッド46の凹部51に連通する第2の開口部69が形成されている。第2の開口部69の周辺部は凹部51内に入り込むよう折り曲げられた遮蔽部70に形成されている。なお、遮蔽部70
はノズルヘッド46の凹部51内面に対して非接触となっている。
【0050】
上記乱流防止カバー67によって回転体12の凹凸状の上面が覆われている。それによって、回転体12の回転に伴う乱流の発生が抑制されるから、半導体ウエハUを洗浄した塵埃を含む処理液がカップ体1内であらゆる方向に飛散し、たとえば半導体ウエハUの下面側に舞い込んで付着するのを防止できるようになっている。とくに、上記乱流防止カバー67の上面と半導体ウエハUの下面との隙間を所定の寸法に設定すると、乱流の抑制効果が高くなる。
【0051】
さらに、乱流防止カバー67にノズルヘッド46の凹部51内に入り込む遮蔽部70を形成したことで、第2の開口部69によって生じるノズルヘッド46と乱流防止カバー67との隙間を閉塞することができる。
【0052】
それによって、洗浄処理時にカップ体1内に飛散する処理液が乱流防止カバー67の内面側に入り込んで付着し、その処理液が乾燥処理時に飛散して半導体ウエハUに付着するということを防止できる。
【0053】
回転体12の保持部材22によって保持された半導体ウエハUの上方には、上部処理液用ノズル71および上部気体用ノズル72が配置されている。上部処理液用ノズル71からは上記半導体ウエハUの上面に向けて処理液が噴射され、上部気体用ノズル72からは窒素ガスやアルゴンガスなどの乾燥用の気体が噴射されるようになっている。
【0054】
つぎに、上記構成のスピン処理装置によって半導体ウエハUの下面を処理する場合について説明する。
【0055】
回転体12に半導体ウエハUを保持したならば、半導体ウエハUの下面の径方向中心部に向けて下部処理液用ノズル55から処理を噴射して、半導体ウエハUの下面を処理する。この実施の形態では、半導体ウエハUの処理形態に適した処理液が上記各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cのうちの1つから噴射される。
【0056】
つまり、上記制御装置64によって各処理液供給管59の中途部にそれぞれ設けられた各処理液流量調節弁62の開度を制御することで、上記各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cのうちの1つから所望する処理液を半導体ウエハUの下面に向って噴射し、半導体ウエハUの下面を処理することになる。
【0057】
半導体ウエハUの下面に第1の下部処理液用ノズル55Aから処理液を噴射させる場合、制御装置64によって、上記第1の下部処理液用ノズル55Aに処理液を供給する処理液供給管59の中途部に設けられた処理液流量調節弁62の開度を制御して第1の下部処理液用ノズル55Aに処理液を供給する。
【0058】
これと同時に、制御装置64によって上記第1の下部気体用ノズル56Aに気体を供給する気体供給管60の中途部に設けられた気体流量弁63の開度を制御して、上記第1の下部処理液用ノズル55Aの周方向右側に配置された第1の下部気体用ノズル56Aから半導体ウエハUの下面に向けて気体を噴射させる。
【0059】
それによって、上記第1の下部気体用ノズル56Aから噴射された気体は第1の下部処理液用ノズル55Aから噴射された処理液を噴射方向に付勢するから、処理液は半導体ウエハUの下面の径方向中心部から外方に向って迅速かつ十分に流れることになる。
【0060】
その結果、半導体ウエハUの下面全体を処理液によって確実に処理することができる。また、半導体ウエハUの下面に第2の下部処理液用ノズル55Bまたは第3の下部処理液用ノズル55Cから処理液を噴射させる場合は、これらノズル55B、55Cの間に位置する第2の下部気体用ノズル56Bから気体を噴射させれば良い。
【0061】
なお、第3の下部処理液用ノズル55Cから処理液を噴射させる場合は第1の下部気体用ノズル56Aから気体を噴射させても良い。
【0062】
各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cから噴射されて半導体ウエハUの下面で反射した処理液のほとんどはノズルヘッド46の凹部51内に滴下する。この凹部51の形状は円錐状であり、しかも内面には上下方向に沿って案内溝62が形成されている。
【0063】
そのため、凹部51に滴下した処理液はその底部に形成された排液孔53へ円滑に導かれ、排液管54から排出されることになる。
【0064】
半導体ウエハUの下面を第1の下部処理液用ノズル55Aから処理液を噴射して処理する際、上記第1の下部気体用ノズル56Aからは処理液を噴射方向に付勢する圧力で気体を噴射するが、第2の下部気体用ノズル56Bからは気体を十分に低い圧力で噴射させておく。
【0065】
それによって、第1の下部気体用ノズル56のノズル孔56aはもちろんのこと、第2の下部気体用ノズル56Bのノズル孔56bにも処理液が入り込むのを防止できる。
【0066】
そのため、処理液による処理の後、半導体ウエハUの下面を乾燥処理するために第1、第2の下部気体用ノズル56A、56Bから半導体ウエハUの下面に向って気体を噴射したとき、各下部気体用ノズル56A、56Bから半導体ウエハUの下面に向って処理液が飛散し半導体ウエハUの下面が汚染されるのを防止することができる。
【0067】
各下部気体用ノズル56A、56Bは、各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cとノズルヘッド46の各径方向に対し位置をずらして設けられている。
そのため、各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cによって半導体ウエハUの下面を処理する際、各下部気体用ノズル56A、56Bから気体を噴射しても、気体が各下部処理液用ノズル55A、55B、55Cから噴射される処理液に干渉されずらくなっている。
【0068】
その結果、処理液が半導体ウエハUの下面の径方向中途部で滞留し難くなるから、半導体ウエハUの下面全体をほぼ均一に処理することが可能となる。
【0069】
半導体ウエハUの下面の処理液による処理が終了したならば、第1、第2の下部気体用ノズル56A、56Bのうち、少なくとも1つから乾燥用の気体を噴射しながら回転体12とともに半導体ウエハUを高速回転させる。
【0070】
それによって、半導体ウエハUの上下面に付着した処理液を遠心力と気体の流れとによって除去できるから、この半導体ウエハUの下面が乾燥処理される。
【0071】
図5はこの発明の第2の実施の形態を示す。
【0072】
この実施の形態は、上記第1の実施の形態におけるノズルヘッド46の変形例であって、図5に示すようにこの実施の形態のノズルヘッド46Aには、上記凹部51の内面に開口させた、5つの下部処理液用ノズル73(第1乃至第5の下部処理液用ノズル73A〜73E)と3つの下部気体用ノズル74(第1乃至第3の下部気体用ノズル74A〜74C)とが周方向に一定間隔、つまりこれら8つのノズルは正8角形の各頂点に位置するように、周方向に45度の間隔で設けられている。
【0073】
また、各下部気体用ノズル74A〜74Cは、各下部処理液用ノズル73A〜73Eの周方向隣り側、つまり各下部処理液用ノズル73A〜73Eの左側又は右側に少なくとも1つが位置するように設けられる。
【0074】
このため、半導体ウエハUの下面に処理液を噴射している各下部処理液用ノズル73A〜73Eとその左側又は右側に配置された第1乃至第3の下部気体用ノズル74A〜74Cとの周方向の角度を上記第1の実施の形態に比べて小さくできるから、上記気体の噴射によって上記処理液の噴射を付勢する際により大きな効果が得られる。
【0075】
なお、この第2の実施の形態において、各下部処理液用ノズル73A〜73Eへの処理液の供給量と、下部気体用ノズル74A〜74Cへの気体の供給量の制御は、第1の実施の形態と同様に行われる。
【0076】
この発明は上記各実施の形態に限定されず、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、基板としては半導体ウエハに限られず、液晶表示装置用のガラス基板であってもよく、要は高精度に洗浄処理することが要求される基板であれば、この発明を適用することができる。
【0077】
また、下部処理液用ノズルおよび下部気体用ノズルの数は上記各実施の形態に示された数に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で変えることができる。
【0078】
さらに、下部液体用ノズルから噴射される処理液を下部気体用ノズルから噴射される気体によって付勢する場合、下部液体用ノズルに対する下部気体用ノズルの周方向における角度は小さい方が好ましいが、第1の実施の形態に示された72度以上であってもよく、たとえば90度程度であっても処理液を噴射方向に付勢することは可能である。
【0079】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、下部処理液用ノズルから基板の下面に向けて噴射された処理液の流れが下部気体用ノズルから噴射される気体によって妨げられるのを防止したから、処理液を基板の下面全面に迅速かつ十分に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を示すスピン処理装置の側面断面図。
【図2】回転体の部分の拡大断面図。
【図3】ノズルヘッドの平面図。
【図4】図3のX―X線に沿う断面図。
【図5】この発明の第2の実施の形態を示すノズルヘッドの平面図。
【符号の説明】
1…カップ体
12…回転体
17…保持部材
46…ノズルヘッド
55A…第1の下部処理液用ノズル
55B…第2の下部処理液用ノズル
55C…第3の下部処理液用ノズル
56A…第1の下部気体用ノズル
56B…第2の下部気体用ノズル
59…処理液供給管
60…気体供給管
62…処理液流量調節弁
63…気体流用調節弁
64…制御装置
Claims (3)
- 回転駆動される回転体に保持された基板の下面の径方向中心部に向って傾斜して処理液および気体をそれぞれ噴射するスピン処理装置において、
前記基板の下面側に配置され、その径方向中心部を前記基板の回転中心に合わせられたノズルヘッドと、
前記ノズルヘッドにおける、前記径方向中心部を中心とした周方向に設けられ、前記基板の下面の径方向中心部に向って傾斜して処理液を噴射する複数の下部処理液用ノズルと、
前記ノズルヘッドにおける前記周方向上に位置し、前記複数の下部処理液用ノズルの各々に対して、前記周方向における右側または左側の少なくとも一方における隣位置且つ近傍に少なくとも1つが位置するように設けられ、前記基板の下面の径方向中心部に向って傾斜して気体を噴射する複数の下部気体用ノズルと、
前記複数の下部処理液用ノズルの一から前記基板の下面の径方向中心部に向けて前記処理液を噴射するときに、当該一の下部処理液用ノズルの近傍に位置する下部気体用ノズルから前記処理液を噴射方向に付勢するための気体を噴射させる制御手段と、
を備えることを特徴とするスピン処理装置。 - 上記制御手段は、上記各下部処理液用ノズルから噴射される処理液の流量を調節する複数の処理液流量調節弁と、
上記各下部気体用ノズルから噴射される気体の流量を調節する複数の気体流量調節弁と、
上記複数の処理液流量調節弁と複数の気体流量調節弁の開度を制御する制御装置と
からなることを特徴とする請求項1記載のスピン処理装置。 - 回転駆動される回転体に保持された基板の下面の径方向中心部に向って傾斜して処理液および気体をそれぞれ噴射して前記基板を処理するスピン処理方法において、
前記基板の下面側に配置されその径方向中心部を前記基板の回転中心に合わせられたノズルヘッドにおける、前記径方向中心部を中心とした周方向に設けられ、前記基板の下面の径方向中心部に向って傾斜して処理液を噴射する複数の下部処理液用ノズルの一から、前記基板の径方向中心部に向って処理液を噴射し、
前記ノズルヘッドにおける前記周方向上に位置し、前記複数の下部処理液用ノズルの各々に対して、前記周方向における右側または左側の少なくとも一方における隣位置且つ近傍に少なくとも1つが位置するように設けられ、前記基板の下面の径方向中心部に向って傾斜して気体を噴射する複数の下部気体用ノズルのうち、前記処理液を噴射する一の前記下部処理液用ノズルの近傍に位置する前記下部気体用ノズルから前記処理液を噴射方向に付勢するための気体を噴射する
ことを特徴とするスピン処理方法。
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