JP4579354B2 - スピン処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はワ−クを回転させながら洗浄や乾燥などの処理を行うスピン処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、半導体装置や液晶表示装置の製造過程においては、ワ−クとしての半導体ウエハや矩形状の液晶用ガラス基板に回路パタ−ンを形成するための成膜プロセスやフォトプロセスがある。これらのプロセスでは、上記ワ−クの薬液処理、洗浄液による洗浄処理および乾燥処理などが繰り返し行われる。
【0003】
上記ワ−クに上述した各種の処理を行うには、スピン処理装置が用いられる。このスピン処理装置は、回転駆動される回転テ−ブルを有し、この回転テ−ブルの周辺部には周方向に所定間隔で複数の保持部材が立設されている。各保持部材の上端には上記ワ−クの周縁部を保持するために保持部としてのピンが設けられている。
【0004】
上記ワ−クを処理する場合、このワ−クの周縁部を上記保持部材のピンによって保持したならば、このワ−クを回転テ−ブルとともに回転させる。そして、ワ−クの上面側と下面側に向けて処理液あるいは洗浄液を供給することで、このワ−クを処理あるいは洗浄することができ、さらに処理液や洗浄液を供給せずに、上記回転テ−ブルを高速回転させることで、上記ワ−クを乾燥処理することができる。
【0005】
ワークの上面側は、スピン処理装置が設置されるクリーンルームの天井からのダウンフローによってその上面の中心部分から径方向外方に沿う気体の流れが生じる。そのため、ワーク上面の洗浄液はワークの回転による遠心力とダウンフローによって確実に除去されるから、乾燥処理後に、いわゆるウオータマークといわれるしみが生じることはほとんどない。
【0006】
しかしながら、ワークの下面側はダウンフローが作用しない。そのため、回転に伴なう遠心力だけでは洗浄液が確実に除去されないため、乾燥処理後に洗浄液の残りがしみとなる、ウオータマークが生じるということがあった。
【0007】
ワークの下面の乾燥不良を防止するため、ワークの下面側に乾燥用の気体を吹き付けるということが考えられている。しかしながら、ワークの下面側に乾燥用の気体を単に吹き付けたのではその気体がワークの下面の中心部部分から径方向外方へ沿う流れとならないから、洗浄液が残留してしみができるということが避けられない。
【0008】
さらに、保持部材に保持されたワ−クの下面側には比較的大きな空間部が形成され、この空間部の気体流は、回転テ−ブルを回転させることで保持部材が風を切るために乱流になり易い。
【0009】
そのため、そのことによってもワークの下面側に洗浄液が残留してしみが発生するということがあったり、上面側の空気を下面側に巻き込み、その気体流に含まれるミストがワークに付着してしみや汚れになるなどのことがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、ワ−クを回転テ−ブルに保持し、この回転テ−ブルを回転させながら上記ワ−クを乾燥処理する場合、このワ−クの下面側には洗浄液が残り易いから、それによってしみの発生を招くということがあり、またワークの下面に気体を単に吹き付けても、その下面に付着した洗浄液を確実に除去してしみの発生を防止するということができなかった。
【0011】
この発明の目的は、回転テ−ブルに保持されたワ−クの下面に付着した液体を確実に乾燥除去できるようにすることで、上記ワークの下面に洗浄液によるしみが発生することがないようにしたスピ処理装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ワ−クを回転させて処理するスピン処理装置において、
回転駆動される回転テ−ブルと、
この回転テ−ブルの周辺部に周方向に所定間隔で設けられ上端に上記ワ−クの周縁部を保持する保持部が設けられた複数の保持部材と、
この保持部材に保持されたワークの下面側に設けられ、上記ワークの下面を乾燥させる気体を噴出する気体供給手段であって、上記気体の噴出方向が、上記ワークの下面側の径方向中心から外れた位置から径方向中心部に向かって傾斜する、気体供給手段を具備し、
上記回転テーブルには、内径寸法が上記回転テーブルの外径寸法と同じに形成された円筒状の周壁部と、この周壁部の上端開口を閉塞し上記ワークの下面と対向する鏡板部とが形成されて上記保持部材を収容し、上記回転テーブルの回転に伴う上記ワークの下面側における乱流発生を防止する規制部材が設けられ、上記気体供給手段からの気体が、上記鏡板部に形成された開口を通って上記ワークの下面側に導かれることを特徴とする。
【0014】
請求項1の発明によれば、ワークの下面に、この下面の中心から外れた位置から径方向中心に向けて乾燥用の気体を噴出させるようにしたことで、ワークの下面には径方向中心部から外方に向かって気体を流すことができる。そのため、ワークの下面に付着した洗浄液をその下面から確実に除去できるから、乾燥によるしみが生じるのを防止することができる。
【0015】
また、回転テーブルに、ワークの下面側における気体の流れを規制する規制部材を設けたことで、ワークの下面側に乱流が発生しにくくなり、しかも規制部材に形成された開口部からワークの下面に向けて乾燥用の気体が供給されることで、この気体によるワークの下面の乾燥を効率よく行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図2に示すこの発明のスピン処理装置は本体ベ−ス1を有する。この本体ベ−ス1には円筒状の支持体2が上下方向に貫通して設けられている。この支持体2には同じく円筒状の回転軸3が中途部を上下一対の軸受4によって回転自在に支持されて設けられている。
【0017】
上記回転軸3の下端部は上記支持体2から突出し、その下端部には従動プ−リ5が嵌着されている。この従動プ−リ5の近傍にはステップモ−タ6が配設されている。このステップモ−タ6の回転軸6aには駆動プ−リ7が嵌着され、この駆動プ−リ7と上記従動プ−リ5とにはベルト8が張設されている。したがって、上記ステップモ−タ6が作動すれば、上記回転軸3が回転駆動されるようになっている。
【0018】
上記回転軸3の上端には回転テ−ブル9がねじ9aによって着脱自在に取り付けられている。図1に示すようにこの回転テ−ブル9には周方向に90度間隔で4本の保持部材11がブッシュ12を介して回転自在に立設されている。上記保持部材11は図2に示すように円筒部13を有する。この円筒部13は上端が閉塞され、下端が開口している。円筒部13からは支軸14が下端部を突出させて垂設され、この支軸14が上記ブッシュ12に回転自在に支持されている。
【0019】
上記円筒部13の上面には保持部を形成する支持ピン16と、この支持ピン16に比べて背の高い逆テ−パ状のロックピン17とが立設されている。支持ピン16は上記支軸14と軸中心をほぼ一致させており、ロックピン17は上記軸線に対して偏心して設けられている。
【0020】
上記構成の4本の保持部材11には図1と図2に示すようにワ−クとしての半導体ウエハ21が保持される。つまり、半導体ウエハ21はその裏面の周辺部が上記支持ピン16に支持されて設けられる。半導体ウエハ21が支持ピン16に支持された状態で上記保持部材11は図示しないばねによって回転方向に付勢されている。
【0021】
それによって、上記保持部材11に設けられたロックピン17が偏心回転して上記半導体ウエハ21の外周面に当接するから、半導体ウエハ21は径方向にずれ動くことなく保持されることになる。
【0022】
上記回転テ−ブル9の中心部分には図1に示すように通孔25が形成されている。この通孔25の個所には円錐状の下部ノズル体26が設けられている。この下部ノズル体26は上記通孔25に非接触状態で嵌挿される中心部26aと、この中心部26aの外周面に螺合された、上記通孔25よりも大径な傘部26bとからなる。
【0023】
上記回転テ−ブル9の上記通孔25の周辺部には環状の第1のシ−ル壁20aが突設され、上記傘部26bの下面には上記第1のシ−ル壁20aの外周面に離間対向する環状の第2のシ−ル壁20bが垂設されている。
【0024】
上記下部ノズル体26の傘部26bは回転軸3の上端面を覆うから、半導体ウエハ21を洗浄した洗浄液が回転軸3の内部に浸入するのを阻止するようになっている。
【0025】
上記下部ノズル体26の傘部26bは回転テ−ブル9の上面を覆っているが、この傘部26bは中心部26aに着脱自在に螺合されている。そのため、上記中心部26aから傘部26bを外すことで、上記回転テ−ブル9を回転軸3の上端に取着したねじ9aを露出させることができる。それによって、このねじ9aを緩めて上記回転テ−ブル9を回転軸3から取り外すことができるようになっている。
【0026】
上記中心部26aの外周面と傘部26bの内周面とにはそれぞれ段部が形成され、これらの段部間には中心部26aと傘部26bとの間の液密を確保するためのパッキング26cが介装されている。また、上記下部ノズル体26の中心部26aにはその上面に開放した第1のノズル孔27が上下方向に貫通して形成されている。
【0027】
上記下部ノズル体26の中心部26aの下端部にはブラケット31が嵌着されている。このブラケット31は上記回転軸3内の上部に軸受29によって回転自在に支持されている。
【0028】
また、回転軸3の内部の上記ブラケット31の下方には、上記軸受29と図2に示す他の軸受32とによって上下端部が回転自在に支持されたハウジング33が挿通されている。このハウジング33と上記ブラケット31は一体的に結合され、固定軸を構成している。ハウジング33の下端部は上記回転軸3から突出し、上記ベ−ス本体1の下面側に結合された取付板1aに固定されている。
【0029】
上記ハウジング33には貫通孔36aが穿設され、この貫通孔36a には上記第1のノズル孔27に一端を接続した供給チュ−ブ35が挿通されている。
なお、上記下部ノズル体26は上記ハウジング33と図示しない連結ロッドによって一体的に結合されている。それによって、上記回転軸3とともに上記回転テ−ブル9が回転駆動されても、上記下部ノズル体26とハウジング33とは回転しないようになっている。
【0030】
上記供給チュ−ブ35の他端は図示しない洗浄液の供給部に連通している。したがって、第1のノズル孔27からは、上記供給チュ−ブ35からの洗浄液を保持部材11に保持された半導体ウエハ21の下面側に沿って流すことができるようになっている。
【0031】
上記半導体ウエハ21の上面側には上部ノズル体38が配置されている。
この上部ノズル体38からは上記半導体ウエハ21の上面中央部分に向けて洗浄液が噴射される。それによって、半導体ウエハ21の上面が洗浄されるようになっている。つまり、半導体ウエハ21は上面だけでなく裏面も同時に洗浄処理できるようになっている。
【0032】
なお、上部ノズル体38から半導体ウエハ21へは、洗浄液に代わり薬液を噴射してもよく、また第1のノズル孔27からは洗浄液に代わり薬液を噴射するようにしてもよい。
【0033】
上記回転テ−ブル9の下面側で、上記回転軸3の上部外周面には円筒状のロック筒体41が上下一対の軸受40によって回転自在に設けられている。図1に示すように、このロック筒体41の上端にはフランジ42が設けられ、このフランジ42には径方向外方に向かって4つのア−ム39(2つのみ図示)が周方向に90度間隔で突設され、各ア−ム39の先端部分にはそれぞれスライド溝36が径方向に沿って形成されている。各スライド溝36には、嵌合孔37aが形成されたコマ37がスライド自在に設けられている。
【0034】
上記コマ37の嵌合孔37aには係止ピン43が着脱自在に嵌合される。この係止ピン43はレバ−44の一端に突設されている。このレバ−44の他端は上記保持部材11の支軸14の上記回転テ−ブル9の下面側に突出した下端部に連結固定されている。
【0035】
したがって、上記ロック筒体41を所定方向、たとえば時計方向に回転させ、コマ37および係止ピン43を介して上記レバ−44を回動させれば、このレバ−44に連結された上記支軸14を介して上記保持部材11を回動させることができる。
【0036】
それによって、ロックピン17が偏心回転するから、支持ピン16に支持された半導体ウエハ21の外周面に上記ロックピン17を当接させ、半導体ウエハ21の支持状態をロックできる。つまり、上記ロックピン17は、上記支持ピン16に支持された半導体ウエハ21が径方向にずれ動くのを阻止する。
【0037】
なお、上記ロック筒体41を反時計方向に回動させれば、上記ロックピン17による半導体ウエハ21のロック状態を解除することができる。
上記ロックピン17による半導体ウエハ21のロックおよびロックの解除、つまりロック筒体41の回動は解除機構51によって行われる。この解除機構51は図2に示すように上記回転軸3の外周面に設けられた第1の係止片52と、上記ロック筒体41の外周面に設けられた第2の係止片53とを有する。
【0038】
第1の係止片52と第2の係止片53との間には図示しないばねが張設されている。このばねは上記第2の係止片53を介してロック筒体41を第1の係止片52の方向に付勢している。つまり、ロック筒体41を反時計方向に付勢している。したがって、ばねはロック筒体41を回動させるから、係止ピン43およびレバ−44を介して回転テ−ブル9に設けられた保持部材11が回動させられ、そのロックピン17が半導体ウエハ21の外周面に当接するロック状態になる。
【0039】
ロックピン17による半導体ウエハ21のロック状態の解除は、上記回転軸3を所定の回転角度で停止させたならば、上記第1の係止片52を保持し、その状態で、第2の係止片53をばねの付勢力に抗して押圧する。
【0040】
それによって、上記ロック筒体41はばねの付勢力に抗して回転させられるから、係止ピン43およびレバ−44を介して保持部材11がロック時とは逆方向に回転させられる。したがって、ロックピン17が偏心回転して半導体ウエハ21のロック状態を解除するようになっている。
【0041】
図2に示すように上記回転軸3の下端部外周面にはドグ71が設けられ、このドグ71はマイクロフォトセンサ72によって検知される。このマイクロフォトセンサ72の検知信号で上記ステップモ−タ6による回転軸3の回転角度が制御される。つまり、半導体ウエハ21のロック状態を解除するときに、第1の係止片52と第2の係止片53とが所定の位置になるよう回転軸3の回転角度を制御できるようになっている。
【0042】
上記本体ベ−ス1の上面側には上記回転軸3の上部が遊挿される通孔75aが形成され内部に上記回転軸3を収容した下カップ75と、上記保持部材11に保持された半導体ウエハ21の上面側周辺部を覆うとともに上面に開口部76aが形成された上カップ76とが設けられている。上カップ76は上下動自在に設けられ、図示しない上下駆動シリンダのロッド77が連結されている。このシリンダが作動することで上カップ76が上下駆動される。
【0043】
上記上カップ76を下降させると、その上面開口部から保持部材11の上部が突出する。したがって、図示しないロボットによって上記保持部材11へ未処理の半導体ウエハ21を供給したり、乾燥処理された半導体ウエハ21を取り出すことができるようになっている。さらに、下カップ75には排出管78が接続されている。この排出管78は下カップ75内部の洗浄液や雰囲気を排出する。
【0044】
図1に示すように、上記下カップ75の通孔75aの周辺部には、上記回転テ−ブル9の下面周辺部に対向するリング状の対向部材81が設けられている。この対向部材81の上面周辺部には内周壁82aと、この内周壁82aよりも背の低い外周壁82bとによって環状溝83が形成されている。この環状溝83の底部には液体Lの供給管84が接続されていて、上記環状溝83に液体Lを供給するようになっている。環状溝83を形成する外周壁82bは内周壁82aよりも背が低いから、上記環状溝83に供給された液体Lは外側へオ−バフロ−することになる。
【0045】
上記回転テ−ブル9の下面周辺部には上記環状溝83に入り込むシ−ル壁85が全周に亘って設けられている。上記シ−ル壁85が液体Lが収容された環状溝83に挿入されることで、上記回転テ−ブル9の下面側と外周側とが気密に遮断される。
【0046】
それによって、塵埃を含む外気が上記下カップ75の通孔75a部分から下カップ75内へ流入するのが阻止されるとともに、上下のカップ75、76内に飛散した洗浄液や薬液などの処理液が上記下カップ75の通孔75aから外部へ流出するのが防止される。
【0047】
処理液が酸性度の高い液体の場合、各カップ75、76や回転テ−ブル9は耐酸性を有する、たとえば弗素樹脂などの材料によって作られているので、腐蝕されることはないが、その洗浄液が下カップ75から外部に流出して金属で作られた他の部品に付着すると、その部品が腐蝕される虞があり、また軸受部分などの可動部に浸入すると、その可動部が早期に損傷することがある。しかしながら、上述したシ−ル構造によって、下カップ75内から洗浄液が外部に流出するのが阻止されているから、そのような不都合が生じることがない。
【0048】
上記回転軸3内に設けられたハウジング33には窒素などの不活性ガスの供給管91が設けられている。この供給管91は上記ブラケット31の上面側と下部ノズル体26の下面側との間の第1の空間部92aに連通している。上記ブラケット31の周壁には、この外周面と回転軸3の内周面との間の第2の空間部92bに連通する連通孔93が形成されている。
【0049】
したがって、上記供給管91から上記第1の空間部92aに供給された不活性ガスは上記連通孔93から第2の空間部92bへ流れ、この第2の空間部92bから下部ノズル体26の下面側に沿って流出する。つまり、上記第2の空間部92bは不活性ガスによって正圧になるから、その圧力で上記第2の空間部92bに洗浄液が流入するのが防止される。
【0050】
さらに、上記下部ノズル体26には気体供給手段としての第2のノズル孔91aが穿設されている。この第2のノズル孔91aは上記供給管91から上記第2の空間部92bに供給された不活性ガスの一部を上記半導体ウエハ21の下面に向けて噴出するようになっている。
【0051】
つまり、上記第2のノズル孔91aは下部ノズル体26の中心軸から径方向外方へ所定寸法ずれた位置、つまり半導体ウエハ21の径方向中心部から外れた位置に穿設されていて、下部ノズル体26の上面に開口する先端部分は上記半導体ウエハ21の下面の中心に向かうよう傾斜している。
【0052】
したがって、上記第2のノズル孔91a からは不活性ガスが上記半導体ウエハ21の下面の中心部に斜め下方向から噴射されるから、その不活性ガスによって半導体ウエハ21の下面が乾燥処理されるようになっている。
【0053】
図2に示すように上記回転軸3を回転自在に支持した支持体2の周壁には図示しない吸引ポンプに接続される第1の吸引孔95aが穿設されている。上記回転軸3の周壁の上記第1の吸引孔95aと対向する部位には第2の吸引孔95bが穿設されている。さらに、上記回転軸3の周壁の、上記ロック筒体41と対向する部分には第3の吸引孔95cが穿設されている。
【0054】
したがって、上記第1の吸引孔95aに接続された吸引ポンプの吸引力により、上記回転軸3を支持体2に回転自在に支持した軸受4と、上記回転軸3をハウジング33に回転自在に支持した軸受29、32と、上記ロック筒体41を上記回転軸3に回転自在に支持した軸受40とで発生する塵埃が排出されるから、上記各軸受で発生した塵埃が周囲に飛散するのが防止されるようになっている。
【0055】
上記回転テ−ブル9には、上記保持部材11に保持された半導体ウエハ21の下面に空気流が発生するのを規制する規制部材101が設けられている。この規制部材101は、内径寸法が上記回転テ−ブル9の外形寸法とほぼ同じに形成された円筒状の周壁部102と、この周壁部102の上端開口を閉塞した鏡板部103とが一体的に形成されてなる。
【0056】
上記鏡板部103には、図3に示すように周辺部に上記支持ピン16とロックピン17とを突出させる4つの第1の開口部104が周方向に90度間隔で形成され、中央部には上記第1のノズル孔27からの洗浄液と上記第2のノズル孔91aからの不活性ガスを半導体ウエハ21の下面側に噴出させるための第2の開口部105が形成されている。
【0057】
そして、上記規制部材101は、図1に示すようにその周壁部102の下端部を回転テ−ブル9の外周面に外嵌させ、これらの接合部分をねじ106で結合することで、その内部に保持部材11を収容するとともに、鏡板部103の開口部104から上記支持ピン16とロックピン17とを突出させて上記回転テ−ブル9に設けられている。
【0058】
それによって、上記規制部材101は、半導体ウエハ21の下面と鏡板部103の上面との間にわずかな間隔、たとえば数mm程度の間隔の第1の空間部S1を残して回転テ−ブル9の上面側の第2の空間部S2を閉塞している。つまり、規制部材101は保持部材11を内部に収容して回転テ−ブル9の上面側と半導体ウエハ21の下面側との間の第2の空間部S2 を閉塞している。
【0059】
つぎに、上記構成のスピン処理装置によって半導体ウエハ21を洗浄及び乾燥処理する場合について図1と図2を参照して説明する。
まず、半導体ウエハ21を回転テ−ブル9の上面に立設された4本の保持部材11によって保持する。つまり、半導体ウエハ21の下面周辺部を支持ピン16によって支持するとともに、外周面にロックピン17を当接させることで、上記半導体ウエハ21を回転テ−ブル9に保持する。上記ロックピン17は逆テ−パ状であるから、半導体ウエハ21を径方向にずれないように保持するだけでなく、支持ピン16から浮き上がるのも阻止する。
【0060】
回転テ−ブル9に半導体ウエハ21を保持したならば、ステップモ−タ6を作動させて回転軸3とともに上記回転テ−ブル9を回転させる。それと同時に、上部ノズル体38および下部ノズル体26の第1のノズル孔27から洗浄液を半導体ウエハ21の上面と下面に向けてそれぞれ噴出させれば、この半導体ウエハ21の上面と下面とを同時に洗浄することができる。
【0061】
上記回転テ−ブル9の上面側の第2の空間部S2は規制部材101によって第1の空間部S1を残して閉塞され、しかも半導体ウエハ21の下面側の上記第1の空間部S1はその規制部材101の鏡板部103によって間隔(高さ寸法)が十分に狭められている。
【0062】
そのため、回転テ−ブル9が回転しても、保持部材11によって半導体ウエハ21の下面側の第2の空間部S2に乱流が発生するのが規制されるばかりか、第1の空間部S1に空気流が生じることもほとんどない。
【0063】
したがって、半導体ウエハ21の上面側を洗浄液で洗浄することでパ−ティクルやミストが発生しても、それらが半導体ウエハ21の下面側に流れ込んで付着するのが防止される。また、半導体ウエハ21の下面側に供給された洗浄液はその下面や規制部材101の鏡板部103の上面に沿って第1の空間部S1から流出し、その流れが乱れることがないから、半導体ウエハ21の下面を洗浄した洗浄液に含まれるパ−ティクルがその下面に再付着することもない。
【0064】
半導体ウエハ21の上面と下面とを洗浄したならば、上部ノズル体38あるいは図示しない別のノズル体38から半導体ウエハ21の上面に純水を供給するとともに、第1のノズル孔27から半導体ウエハ21の下面に純水を供給し、上下両面をリンスする。ついで、半導体ウエハ21を高速回転させることで、乾燥処理を行う。
【0065】
その際、半導体ウエハ21の上面側は、クリーンルームにおけるダウンフローによって清浄な空気の流れがあるから良好に乾燥処理されることになる。これに対して半導体ウエハ21の下面側の第1の空間部S1の高さ寸法は規制部材101の鏡板部103によって十分に狭められているため、空気流がほとんど発生しない。
【0066】
そのため、上記第1の空間部S1に半導体ウエハ21の上面を洗浄した洗浄液が回り込んで下面を汚すということはないものの、半導体ウエハ21の下面は乾燥処理されにくくなる。しかしながら、第2のノズル孔91aから不活性ガスを供給することで、半導体ウエハ21の下面は良好に乾燥処理されることになる。
【0067】
つまり、上記半導体ウエハ21の下面には、第2のノズル孔91aから不活性ガスが半導体ウエハ21の径方向中心からずれた位置から径方向中心部に向かうよう、斜め方向に噴射される。そのため、半導体ウエハ21の下面では、第2のノズル孔91aから噴射された不活性ガスが径方向中心部から外周に向かって流れるから、その不活性ガスの流れによって半導体ウエハ21の下面に付着した洗浄液はその下面から良好に排除されることになる。しかも、半導体ウエハ21が高速回転されることで遠心力が発生するから、その遠心力によっても半導体ウエハ21の下面から洗浄液が排除される。
【0068】
そのため、半導体ウエハ21の下面からは洗浄液が確実に排除され、洗浄液が残留するということがなくなるから、半導体ウエハ21の下面にウオータマークによるしみが生じることがない。
【0069】
しかも、半導体ウエハ21の下面側を、規制部材101によって高さ寸法が数ミリの第1の空間部S1に形成したから、第2のノズル孔91aから半導体ウエハ21の下面側に噴射される不活性ガスの量がわずかであっても、その不活性ガスを半導体ウエハ21の下面に沿って所定の流速で流すことができるから、半導体ウエハ21の下面を効率よく乾燥処理することができる。
【0070】
この発明は上記一実施の形態に限定されるものでなく、たとえばワ−クとしては半導体ウエハに代わり液晶用ガラス基板であってもよく、また規制部材は周壁部と鏡板部とが一体あるいは別体のいずれであってもよく、さらに規制部材は半導体ウエハの下面側の隙間を小さくする鏡板部だけであってもよい。
【0071】
さらに、ワークの下面に吹き付ける気体としては不活性ガスに限られず、清浄な空気などであってもよく、要はワークに要求される品質を損なうことがない気体であればよい。
【0072】
【発明の効果】
以上述べたように請求項1の発明によれば、ワークの下面に、この下面の中心から外れた位置から径方向中心に向けて乾燥用の気体を噴出させるようにしたから、ワークの下面に径方向中心部から外方に向かって気体を流すことができる。
【0073】
そのため、ワークの下面に付着した洗浄液を確実に除去することができるから、ワークの下面に残留した洗浄液によってしみが生じるのが防止される。
また、回転テーブルに、ワークの下面側における気体の流れを規制する規制部材を設けた。
【0074】
そのため、ワークの下面側に乱流が発生しにくくなるから、ミストやパーティクルを含む気体が上面側から下面側へ回り込んで下面を汚染するのを防止することができるばかりか、ワークの下面側の空間部は規制部材によって規制されるため、規制部材に形成された開口部からワークの下面に向けて供給される乾燥用の気体を、流速や流量などの点で効率よくワークに作用させることができるから、そのことによってもワークの下面の乾燥を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態の要部を示す拡大断面図。
【図2】同じく処理装置の全体構造を示す断面図。
【図3】同じく規制部材の斜視図。
【符号の説明】
9…回転テ−ブル
11…保持部材
16…支持ピン(保持手段)
17…ロックピン(保持手段)
21…半導体ウエハ(ワ−ク)
91a…第2のノズル孔(気体供給手段)
101…規制部材
105…第2の開口部
Claims (1)
- ワ−クを回転させて処理するスピン処理装置において、
回転駆動される回転テ−ブルと、
この回転テ−ブルの周辺部に周方向に所定間隔で設けられ上端に上記ワ−クの周縁部を保持する保持部が設けられた複数の保持部材と、
この保持部材に保持されたワークの下面側に設けられ、上記ワークの下面を乾燥させる気体を噴出する気体供給手段であって、上記気体の噴出方向が、上記ワークの下面側の径方向中心から外れた位置から径方向中心部に向かって傾斜する、気体供給手段を具備し、
上記回転テーブルには、内径寸法が上記回転テーブルの外径寸法と同じに形成された円筒状の周壁部と、この周壁部の上端開口を閉塞し上記ワークの下面と対向する鏡板部とが形成されて上記保持部材を収容し、上記回転テーブルの回転に伴う上記ワークの下面側における乱流発生を防止する規制部材が設けられ、上記気体供給手段からの気体が、上記鏡板部に形成された開口を通って上記ワークの下面側に導かれることを特徴とするスピン処理装置。
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-
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