JP4800813B2 - 光触媒アパタイト組成物及びその製造方法ならびに物品 - Google Patents

光触媒アパタイト組成物及びその製造方法ならびに物品 Download PDF

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Description

本発明は、アパタイトに基づく光触媒に関し、さらに詳しく述べると、アパタイトの奏する生体親和性及び吸着特性に加えて光触媒機能を発現し、さらには暗所(紫外線が照射されていない状態)において優れた抗菌性を発現することのできる光触媒アパタイト組成物とその製造方法に関する。本発明は、また、このような光触媒アパタイト組成物を使用した物品に関する。本発明の光触媒アパタイト組成物は、例えば、空気清浄機、エアコンのフィルター、壁紙等の物品に有利に使用することができる。これらの物品は、特に病院、保健所等の抗菌性を必要とする場所での使用に有用である。
酸化チタン等の半導体物質は、光触媒機能を奏することが知られている。すなわち、このような半導体物質では、価電子帯と伝導帯のバンドギャップに相当する波長の光エネルギーをそれが吸収すると、励起により価電子帯の電子が伝導帯に移り、価電子帯に正孔が発生する。伝導帯では、半導体物質の表面になんらかの物質(例えば有機物)が吸着せしめられているとして、それに移ってきた電子が半導体物質表面の有機物に移動してそれを還元し、また、価電子帯では、そこに発生した正孔が電子を奪い取り、有機物の酸化を行う。特に酸化チタンにおいては、価電子帯の正孔が非常に強い酸化力を有しているので、有機物を最終的には水と二酸化炭素に分解してしまう能力がある。このような酸化チタンの光触媒機能(酸化分解機能)を利用して、酸化チタン膜を抗菌剤、殺菌剤、脱臭剤、環境浄化剤などとして使用することが行われている。例えば、特許文献1は、基材の表面に例えば酸化チタン(TiО)等の光触媒性金属酸化物を含む光触媒コーティング組成物物を塗布した後、基材表面を急速加熱して、光触媒性金属酸化物を基材表面上に固定させることを特徴とする、光触媒機能を有する機能材、例えばタイル、衛生陶器等を製造する方法を記載している。
近年,空気清浄機やエアコンのフィルターにも光触媒が使用されている製品が出現しており、また、かかるフィルターの製造にも酸化チタンが光触媒として使用されている。例えば、特許文献2は、シート状に成形された基材(好ましくは、紙、織布、不織布又はプラスチックフォーム)中に、非晶質燐酸カルシウム(好ましくは、結晶水を含む燐酸三カルシウム)と光半導体組成物(好ましくは、酸化チタン、硫化カドミウム等)とを分散して含むか、さもなければそのような基材に非晶質燐酸カルシウムと光半導体組成物が接着剤を介して接着されていることを特徴とするフィルターを記載している。しかしながら、酸化チタン自体には吸着能力がないために、多くのフィルターの場合、活性炭に代表される吸着剤が併用されている。しかし,活性炭上に吸着した有機物がすべて酸化チタンによって分解できるわけではなく,分解できるのは活性炭粒子と酸化チタン粒子が隣接している部分に吸着した有機物のみである。そのため,分解効率があまり良くない。
一方,酸化チタンの代わりに、それ自体に吸着能力を有する光触媒アパタイトを使用することも提案されている。例えば、カルシウムヒドロキシアパタイトCa10(PO(OH)は、歯や骨のような生体硬組織の主成分であり、さまざまなカチオンやアニオンとイオン交換しやく、したがって、高い生体親和性及び吸着特性を有している。カルシウムヒドロキシアパタイトは、特に、蛋白質などの有機物を特異的に吸着する能力を有している。実際に、光触媒アパタイトは、酸化チタン粒子とは対照的に、すべての部分で吸着及び分解に関与できるので、分解効率が低下することがない。
光触媒アパタイトについての具体例を示すと、例えば特許文献3は、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、ガラス、フォームセラミックス、フォームプラスチック等の基材を用意し、その基材の表面に酸化チタンからなる膜を形成するかもしくは酸化チタン粒子からなる基材を用意し、その酸化チタン膜又は酸化チタン粒子の表面に多孔質燐酸カルシウム(好ましくは、ヒドロキシアパタイト、弗化アパタイト等)をコートしたことを特徴とする環境浄化材料、具体的には悪臭の除去や空気中の有害物質又は汚れの分解除去、廃水処理、水の殺菌などを行うための材料を記載している。
しかしながら、酸化チタン及び光触媒アパタイトには、これらの材料に共通の課題を有している。すなわち、これらの材料は、抗菌性の面から考察した場合、暗所(例えば、紫外線が照射されていないかもしくは紫外線の存在していない状態)に配置されたときには、抗菌性をほとんど発現することができない。また、光触媒アパタイトに至っては、それに紫外線が当たっている場合においても抗菌性はわずかしか認められない。
また、特許文献4は、例えばヒドロキシアパタイト等の結晶性イオン交換体からなる担体に例えば銀等の金属イオンが担持されている金属イオン担持結晶性イオン交換体を含有することを特徴とする抗菌剤(例えば、銀アパタイト)を記載している。しかしながら、この銀アパタイトは、抗菌性を示すことができるが、それ自体に光触媒機能がないので、光触媒活性はなく、よって、VOC(揮発性有機化合物)等の除去には使用できない。また、この銀アパタイトに限らず、一般的に知られた抗菌剤も含めて、ウィルス等を分解する機能も有していないので、使用中にウィルスの残骸等が堆積していくと、本来の抗菌作用等を発揮できなくなる。
国際公開第00/06300号パンフレット(特許請求の範囲) 特開平10−33921号公報(特許請求の範囲) 特開平10−244166号公報(特許請求の範囲) 特開平11−156215号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、従来抗菌剤として一般的に使用されている酸化チタンや光触媒アパタイトの問題点を解決して、カルシウムヒドロキシアパタイトを始めとした各種のアパタイトの奏する触媒機能をさらに発展させて、VOC等の各種の有機物あるいはウィルス等の特定の被吸着物質に対する優れた分解特性及び吸着特性を長期間にわたって維持することができ、かつ暗所においても昼光下におけると同様に優れた抗菌性を発現できる光触媒アパタイトを提供することにある。
また、本発明の目的は、本発明の優れた光触媒アパタイトを簡便にかつ高い信頼性をもって製造することのできる方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、VOC等の各種の有機物あるいはウィルス等の特定の被吸着物質に対する優れた分解特性及び吸着特性を長期間にわたって維持する機能と、暗所においても昼光下におけると同様に優れた抗菌性を発現できる機能とを備えた物品あるいは製品を提供することにある。
本発明のこれらの目的やその他の目的は、以下の詳細な説明から容易に理解することができるであろう。
本発明は、その1つの面において、光触媒作用を有する金属酸化物及び抗菌性を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれている光触媒アパタイトからなることを特徴とする光触媒アパタイト組成物にある。
また、本発明は、そのもう1つの面において、光触媒作用を有する金属酸化物及び抗菌性を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれている光触媒アパタイトからなる光触媒アパタイト組成物を製造する方法であって、下記の工程:
光触媒作用を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれた光触媒アパタイトを調製することと、
抗菌性を有する金属イオンに由来する金属塩の溶液を調製することと、
前記光触媒アパタイトを前記金属塩の溶液に浸漬してイオン交換を行うことと、
得られた反応生成物を300℃以上の温度で熱処理することと、
を含んでなることを特徴とする光触媒アパタイト組成物の製造方法にある。
さらに、本発明は、そのもう1つの面において、光触媒作用を有する金属酸化物及び抗菌性を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれている光触媒アパタイトからなる光触媒アパタイト組成物を製造する方法であって、下記の工程:
光触媒作用を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれた光触媒アパタイトを調製するに必要な出発物質及び抗菌性を有する金属イオンに由来する金属塩を含む溶液を調製することと、
前記出発物質及び前記金属塩をアンモニア水の存在下において共沈法により反応させること、
得られた反応生成物を300℃以上の温度で熱処理することと、
を含んでなることを特徴とする光触媒アパタイト組成物の製造方法にある。
さらにまた、本発明は、そのもう1つの面において、本発明による光触媒アパタイト組成物を含むことを特徴とする光触媒及び抗菌性を有する物品にある。
本発明によれば、以下の詳細な説明から理解されるように、暗所においても昼光下におけると同様に優れた抗菌性を発現できる光触媒アパタイトを提供することができる。また、この光触媒アパタイトは、VOC等の各種の有機物あるいはウィルス等の特定の被吸着物質に対する優れた分解特性及び吸着特性を発揮し、かつそれらの特性を長期間にわたって維持することができる。
また、本発明によれば、このような高性能な光触媒アパタイトを簡便にかつ高い信頼性をもって製造することができる。
さらに、本発明によれば、高性能な光触媒アパタイトをコーティングなどの形で被覆したり構成材料中に組み込んだりすることで、VOC等の各種の有機物あるいはウィルス等の特定の被吸着物質に対する優れた分解特性及び吸着特性を長期間にわたって維持する機能と、暗所においても昼光下におけると同様に優れた抗菌性を発現できる機能とを備えた物品あるいは製品を提供することができる。例えば、本発明の物品の典型例としては、内装材(例えば、家屋等の壁紙、自動車の内装材など)や、外装材などを挙げることができる。特に本発明の物品は、有害物質除去性、悪臭除去性、汚染除去性、抗菌性などに優れ、とりわけウィルスなどの分解性及び抗菌性に顕著に優れているので、病院、診療所、介護施設、保健所等の抗菌性を必要とする場所において、あるいはそのような施設などで用いられる器具等の製造において、有利に使用することができる。
本発明による光触媒アパタイト組成物及びその製造方法ならびに物品は、それぞれ、いろいろな形態で有利に実施することができる。以下、本発明の好ましい実施の形態を説明するが、本発明は、下記の形態に限定されるものではない。
本発明による光触媒アパタイト組成物は、光触媒作用を有する金属酸化物がアパタイト結晶構造中に組み込まれている光触媒アパタイトからなることに加えて、そのアパタイト結晶構造中にさらに、抗菌性を有する金属イオンがドープされていることを特徴とする。
本発明の実施において、光触媒アパタイト組成物は、任意の手法で調製することができる。一例を示すと、光触媒作用を有する金属酸化物がアパタイト結晶構造中に組み込まれ光触媒アパタイト(言わば、光触媒アパタイト組成物の前駆体)を例えば共沈法によって調製し、その後、得られた光触媒アパタイトと抗菌性を有する金属イオンに由来する金属塩とを出発物質として、浸漬法によって目的とする光触媒アパタイト組成物(例えば、銀イオン又は銅イオンをドープした光触媒アパタイト)を調製することができる。また、別法によれば、光触媒作用を有する金属酸化物がアパタイト結晶構造中に組み込まれ光触媒アパタイトを調製するのに必要な物質と抗菌性を有する金属イオンに由来する金属塩とを出発物質として使用して、これらの物質を共沈法によって反応させることによって、目的とする光触媒アパタイト組成物(例えば、銀イオン又は銅イオンをドープした光触媒アパタイト)を調製することができる。
光触媒作用を有する金属酸化物がアパタイト結晶構造中に組み込まれ光触媒アパタイトを出発物質として使用する場合、光触媒アパタイトのアパタイトは、基本的に、次のような一般式によって表すことができる。
(BO
上式において、Aは、Ca、Co、Ni、Cu、Al、La、Cr、Fe、Mgなどの各種の金属原子を表し、Bは、P、Sなどの原子を表し、そしてXは、水酸基(−OH)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl)などである。このようなアパタイトの例としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないけれども、アパタイト、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、クロロアパタイト、燐酸三カルシウム、燐酸水素カルシウムなどである。本発明の実施において好適に用いることのできるアパタイトは、上式中のXが水酸基であるヒドロキシアパタイトであり、さらに好ましくは、上式中のXが水酸基でありかつAがカルシウム(Ca)であるカルシウムヒドロキシアパタイト(CaHAP)、すなわち、Ca10(PO(OH)である。したがって、以下における本発明のアパタイトの説明は、特にCaHAPを参照して説明することにする。
本発明の光触媒アパタイトでは、必要に応じてその他の技法を使用してもよいが、有利には、アパタイトと光触媒作用を有する金属イオンとを共沈法により原子レベルで複合化することによって、アパタイト結晶中の金属イオンの一部を光触媒作用を有する金属イオンとイオン交換することができる。イオン交換を導入することによって、有機物等の特定の被吸着物質の吸着サイトであるアパタイト領域と、光触媒作用に依存した被吸着物質分解サイトを、同一結晶面上において原子レベルのスケールで混在することができ、したがって、被吸着物質の吸着と分解が同時にかつ均一に効率的に行われるからである。
光触媒アパタイトは、いろいろな形態で調製することができる。例えば、一般的には、調製条件に応じて粒径を異にするいろいろな粉体の形で形成することができるが、場合によっては、任意の基材の上に薄膜の形で形成することもできる。
本発明に従いアパタイト結晶中の金属イオンの一部を光触媒作用を有する水溶性金属塩の金属イオンとイオン交換する場合に、光触媒作用を有する水溶性金属塩としては、この技術分野において有用性が知られている各種の水溶性金属塩を使用することができるが、好ましくは、チタン、ジルコニウム、鉄、タングステンなどの金属の水溶性金属塩を使用することができる。
本発明者らの知見によると、水溶性金属塩を使用してイオン交換を行う場合、その水溶性金属塩の金属イオンの含有量は、所望とする結果に応じて広く変更することができるというものの、通常、アパタイト結晶中の金属イオンとの比で、最高で15モル%である。金属イオンの含有量は、Caイオン等の金属イオン比で一般的には3〜11モル%の範囲であることが好ましく、10モル%前後あるいはそれ以下であることが最も好ましい。
本発明による光触媒アパタイト組成物は、上記した光触媒アパタイトのアパタイト結晶構造中にさらに、抗菌性を有する金属イオンをドープしたものである。本発明者らは、光触媒アパタイトに抗菌性がないという問題を解決するために鋭意研究した結果、光触媒アパタイトに抗菌性を有する金属イオンである銀イオンや銅イオンなどをドーピングすることが有効であるということを発見し、本発明を完成した。
ここで、抗菌性を有する金属イオンは、好ましくは、銀イオン、銅イオンなどである。これらの金属イオンは、単独で使用下もよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの金属イオンは、通常、金属塩の形でかつその溶液の形で有利に用いられる。例えば、硝酸塩、アンモニウム塩などの金属塩が有利に用いられ、また、金属塩の溶液は、通常、水溶液である。
上記したような金属イオンをアパタイト結晶構造中にドーピンブする場合、本発明では大きく分けて、2つの方法、すなわち、浸漬法又は共沈法を使い分けることができる。これらの方法については以下においてさらに詳細に説明するが、光触媒作用を有する金属酸化物がアパタイト結晶構造中に組み込まれた光触媒アパタイトがすでに調製されているかもしくは商業的に入手可能で、その既製の光触媒アパタイトを出発物質として使用するときには、浸漬法を使用する。例えば、抗菌性を有する金属イオン(例えば、銀イオン、銅イオン等)を含む水溶液にすでに調製してあるかもしくは市販の光触媒アパタイトを浸漬し、スターラーで数分間攪拌し、濾過、洗浄、乾燥、そして熱処理(通常、少なくとも300℃)することで,銀イオン又は銅イオンをドープした光触媒アパタイト粉体を得ることができる。金属イオン源としては,硝酸銀(銀イオンの場合)や硝酸銅(銅イオンの場合)といった硝酸塩が望ましい。
ここで、光触媒アパタイトを浸漬する硝酸銀水溶液や硝酸銅の水溶液の濃度は、使用とする出発物質や処理条件などに応じて広い範囲で変更することができるが、通常、約1×10−5〜1×10−2モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは、約1×10-4〜1×10-3モルの範囲である。また、スターラーでの攪拌時間は、通常、3〜5分程度が好ましい。硝酸銀水溶液や硝酸銅水溶液の濃度が高すぎると、抗菌性は向上するが光触媒活性は低下する。また、反対に硝酸銀水溶液や硝酸銅水溶液の濃度が低すぎると、光触媒活性は高いが抗菌性が低下する。熱処理の温度は、通常、少なくとも300℃であり、好ましくは300〜700℃である。なお、イオン交換自体は、非常に高速で進行可能であるため、5分以上の攪拌を行っても、得られる効果に差は見られない。
一方、光触媒作用を有する金属酸化物がアパタイト結晶構造中に組み込まれた光触媒アパタイトが調製されておらず、その調製に必要な物質(例えば、硝酸カルシウム、リン酸、硫酸チタン等)からスタートするときには、共沈法を使用する。例えば、硝酸カルシウム、リン酸及び硫酸チタンと硝酸銀又は硝酸銅とを含む水溶液にアンモニア水を添加して共沈処理を行った後、熟成、濾過、洗浄、乾燥、そして熱処理(通常、少なくとも300℃)することで,銀イオン又は銅イオンをドープした光触媒アパタイト粉体を得ることができる。熱処理の温度は、通常、少なくとも300℃であり、好ましくは300〜700℃である。
上記の手法(浸漬法又は共沈法)で調製した光触媒アパタイトは、以下において明らかにするように、優れた暗所抗菌性を示すことができる。また、この光触媒アパタイトは、それをアセトアルデヒドを用いた気相分解試験で評価すると,ドープされた銀イオンや銅イオンの濃度に由来して、抗菌性を有しない光触媒アパタイトの場合の10〜80%の光触媒活性を得ることができ、満足し得る光触媒活性をもつことが確認できた。さらに、抗菌性に関しては,銀イオンをドープした光触媒アパタイトのみが、暗所において大腸菌数を減少させ得るということが確認できた。
本発明は、したがって、光触媒アパタイト組成物に加えて、光触媒作用を有する金属酸化物及び抗菌性を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれている光触媒アパタイトからなる光触媒アパタイト組成物を製造する方法にある。
本発明による光触媒アパタイト組成物の製造方法は、1つの好ましい態様において、下記の工程:
光触媒作用を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれた光触媒アパタイトを調製することと、
抗菌性を有する金属イオンに由来する金属塩の溶液を調製することと、
前記光触媒アパタイトを前記金属塩の溶液に浸漬してイオン交換を行うことと、
得られた反応生成物を300℃以上の温度で熱処理することと、
を含んでなることを特徴とする。この光触媒アパタイト組成物の製造方法は、例えば、図1を参照して説明することができる。
まず、光触媒アパタイト及び硝酸銀水溶液を用意する。光触媒アパタイトは、通常粉末であり、攪拌し易い粒径、例えば約0.1〜100μmの粒径をもっているものが好ましい。光触媒アパタイトは、市販されているものであってもよく、さもなければ、本発明の実施のために調製したものであってもよい。硝酸銀水溶液は、いろいろな濃度で使用することができるが、通常、約1×10-5〜1×10-3モルの濃度で使用することが好ましい。
次いで、硝酸銀水溶液に光触媒アパタイトを添加し、均一の分解するように入念に攪拌する。攪拌時間は、約3〜8分間である。攪拌工程の間に光触媒アパタイトと硝酸銀の間でイオン交換が進行し、沈殿が生成する。次いで、生成した沈殿を濾過によって濾取し、イオン交換水や蒸留水で洗浄して硝酸分を除去する。
洗浄が完了した後、固形分を約80〜120℃の温度のオーブンで乾燥させる。十分な乾燥が完了した後、さらに熱処理を行う。熱処理は、電気炉中で、約300〜700℃の温度で1時間前後にわたって実施する。このような一連の処理工程を経て、銀イオンをドープした光触媒アパタイトを得ることができる。なお、ここでは硝酸銀水溶液を出発物質として使用したが、その代わりに硝酸銅溶液を使用すると、銅イオンをドープした光触媒アパタイトを得ることができる。
本発明による光触媒アパタイト組成物の製造方法は、もう1つの好ましい態様において、下記の工程:
光触媒作用を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれた光触媒アパタイトを調製するに必要な出発物質及び抗菌性を有する金属イオンに由来する金属塩を含む溶液を調製することと、
前記出発物質及び前記金属塩をアンモニア水の存在下において共沈法により反応させること、
得られた反応生成物を300℃以上の温度で熱処理することと、
を含んでなることを特徴とする。この光触媒アパタイト組成物の製造方法は、例えば、図2を参照して説明することができる。
まず、光触媒アパタイトの調整に必要な出発物質と硝酸銀水溶液を用意する。脱炭酸ガス処理をした純水に光触媒アパタイトの出発物質である硝酸カルシウム及び硫酸チタンを所定量で混合する。この場合の所定量とは、例えば、それをXmetalとした場合、Xmetal=Ti/(Ti+Ca)=0.03〜0.11(モル比)となるような量である。なお、この規定は交換される金属原子がTiで、アパタイトの金属原子(先に一般式で示したアパタイトのAに相当)がCaである場合について示してあるが、本発明の実施において可能なその他の金属の組み合わせにもこの規定が有効である。また、Ti等の金属とCa等の金属の合計濃度は、0.1モルになるように調整するのが好ましい。次いで、得られた混合物にリン酸を添加するが、リン酸は、必要ならば、硝酸カルシウム及び硫酸チタンとほぼ同時に混合してもよい。次いで、共沈処理のため、アンモニア水を添加してpH値を調整する。このときのpH値は、約9であることが好ましい。
共沈処理の完了後、得られた懸濁液を熟成(エージング)する。熟成は、例えば約100℃で6時間にわたって行うことができる。その後、生成した沈殿を濾過によって濾取し、イオン交換水や蒸留水で洗浄して硝酸分を除去する。
洗浄が完了した後、固形分を約80〜120℃の温度のオーブンで乾燥させる。十分な乾燥が完了した後、さらに熱処理を行う。熱処理は、電気炉中で、約300〜700℃の温度で1時間前後にわたって実施する。このような一連の処理工程を経て、銀イオンをドープした光触媒アパタイトを得ることができる。なお、ここでは硝酸銀水溶液を出発物質として使用したが、その代わりに硝酸銅溶液を使用すると、銅イオンをドープした光触媒アパタイトを得ることができる。
本発明による抗菌性金属ドープ光触媒アパタイトは、その使途や、製造条件、その他のファクタに応じていろいろな形状及び寸法で提供することができる。適当な形状としては、例えば、粒子、タブレット、ロッド、プレート、ブロック、シート、フィルム、薄膜などを挙げることができる。また、このアパタイトが、シート、フィルム、薄膜などの場合、それらの材料は、単独で使用してもよく、さもなければ、高機能複合構造体を構成するために、基材と組み合わせて、特に基材の片面又は両面にコーティング、皮膜などの形で被覆した形で使用してもよい。ここで使用する基材としては、以下に列挙するものに限定されるわけではないが、例えば、紙(合成紙等も含む)、織布又は不織布、木材、ガラス、金属、セラミックス、プラスチック等の各種の材料の箔、フィルム、シート、板など、その他を挙げることができる。これらの基材は、必要に応じて、多孔質であってもよい。本発明の金属ドープ光触媒アパタイトは、特に、基材の表面に薄膜として成膜された形や、基材中に練り込んだりした形で有利に使用することができる。
本発明は、抗菌性金属ドープの光触媒アパタイトとその製造方法に加えて、そのような光触媒アパタイトを使用した物品にある。本発明の物品としては、以下に列挙するものに限定されないが、空気清浄機、エアコン、温風暖房機などのフィルター、壁紙、建材等の内装材や外装材、自動車の内装材などを挙げることができる。また、優れた抗菌性等を利用して、病院、診療所、介護施設等の内装材や、それらの施設で使用される備品などにも本発明の物品を有利に使用することができる。もちろん、必要ならば、本発明の物品は、コンピュータの周辺機器、例えばキーボード、マウス、筐体、タッチパネルなどであってもよい。
引き続いて、本発明をその実施例を参照して説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものでないことは言うまでもない。
実施例1
本例では、浸漬法によって銀イオンドープ光触媒アパタイトを調製した。
300ミリリットル(mL)の硝酸銀水溶液(1×10−5モル)に3gの市販の光触媒アパタイト(Ti−CaHAP;商品名「PHOTOHAP PCAP-100」;白色粉末、平均粒径:3〜8μm;太平化学産業社製)を添加し、マグネチックスターラーで5分間攪拌した。濾過し、純水で洗浄した後、100℃のオーブンで十分乾燥させた。その後、650℃の電気炉で1時間熱処理を行った。得られた生成物を分析したところ、銀イオンをドープした光触媒アパタイト(Ti−CaHAP)であることが確認された。
実施例2
本例では、共沈法によって銀イオンドープ光触媒アパタイトを調製した。
1Lの脱炭酸ガス処理をした純水を用意し、窒素雰囲気下、その純水に対して0.1モルの硝酸カルシウムと、Ti/(Ti+Ca)が0.1(モル比)となる異なる量の硫酸チタンと、0.06モルの燐酸と、300mLの硝酸銀水溶液(1×10−5モル)とを添加し、得られた混合物を入念に混合した。次いで、15モル/Lのアンモニア水を添加して混合物のpH値を9.0となるように調整した。引き続いて、得られた懸濁液をテフロン(登録商標)瓶に移し、100℃で6時間にわたって熟成を行った。沈殿が生成した懸濁液を濾過し、濾取した沈殿を5Lの純水で洗浄し、さらに70℃のドライオーブン中で12時間にわたって乾燥した。得られた生成物を分析したところ、銀イオンをドープした光触媒アパタイト(Ti−CaHAP)であることが確認された。
評価試験例
次いで、光触媒アパタイトの光触媒活性及び暗所抗菌性を下記の手順に従って評価した。
〔光触媒活性の評価〕
(1)サンプルの調製
評価試験に供するため、市販のTi−CaHAP及び実施例1又は2の製造方法で作製した銀イオンドープTi−CaHAPからなる下記の5種類のサンプルを調製した。
サンプルI:
銀イオンドープTi−CaHAP(Ca/Ti/Ag=9/0.9/1)、共沈法による。
サンプルII:
銀イオンドープTi−CaHAP(硝酸銀濃度:1×10−3モル)、浸漬法による。
サンプルIII:
銀イオンドープTi−CaHAP(硝酸銀濃度:1×10−4モル)、浸漬法による。
サンプルVI:
銀イオンドープTi−CaHAP(硝酸銀濃度:1×10−5モル)、浸漬法による。
サンプルV:
Ti−CaHAP(商品名「PHOTOHAP PCAP-100」、太平化学産業社製)
それぞれのサンプルを加圧成形して、平板状の試験片(幅50mm×長さ70mm)を作製した。
(2)評価試験
石英ガラスの蓋を備えた容積500mLのデシケータを用意した。試験片を入れた後、蓋を閉めてデシケータを密閉した。ガス導入口より合成空気(窒素70%、酸素30%)を導入して密閉デシケータの内部を合成空気で置換した。ガス洗浄瓶にアセトアルデヒド(CHCHO)を入れ、合成空気をバブリングして発生するアセトアルデヒドをサンプリング用のテドラー(登録商標)バッグに捕集した。次いで、合成空気で置換したデシケータに、6mLのアセトアルデヒドガスをシリンジで注入し、シリンジを用いて、デシケータ中のアセトアルデヒド濃度を約10,000ppmに調整した。デシケータを暗所で2時間程度放置して、吸着平衡に達するようにした。
次いで、デシケータ中のガスをシリンジで抜き取り(1mL)、アセトアルデヒドガス及びその分解により発生した炭酸ガス(CO)の濃度をガスクロマトグラフィにより測定した。図3にプロットするような炭酸ガス濃度(初期)が得られた。さらに続けて、暗所に1時間放置後において上記と同様の測定を実施したところ、同じく図3にプロットするような炭酸ガス濃度(暗所1H)が得られた。その後、デシケータの上方から光量1mW/cmの紫外線光を1時間、2時間、3時間、4時間及び5時間にわたって照射した。光源は、ブラックライトであった。その都度、上記と同様の測定を実施したところ、同じく図3にプロットするような炭酸ガス濃度(UV−1H〜UV−5H)が得られた。
図3にプロットした評価結果から、本発明による光触媒アパタイト(銀イオンドープTi−CaHAP)の光触媒活性は、化学合成した市販の光触媒アパタイト(Ti−CaHAP;サンプルV)の80%程度であるが、特性的に問題はないことが確認された。
〔暗所抗菌性の評価〕
(1)サンプルの調製
評価試験に供するため、光触媒活性の評価試験で調製したサンプルII(銀ドープTi−CaHAP)及びサンプルV(Ti−CaHAP)を使用して下記の5種類のサンプルを調製した。
サンプルA:
本試験のための塗料を塗料製造会社に特注して調製した。比較のため、光触媒アパタイトの配合を省略した。
サンプルB:
サンプルAの塗料に、サンプルV(Ti−CaHAP)を5%の量で配合した。
サンプルC:
サンプルAの塗料に、サンプルV(Ti−CaHAP)を10%の量で配合した。
サンプルD:
サンプルAの塗料に、サンプルII(銀ドープTi−CaHAP)を5%の量で配合した。
サンプルE:
比較のため、塗料に代えてPE(ポリエチレン)を使用した。
(2)評価試験
本試験は、抗菌製品技術協議会編、試験法「抗菌製品の抗菌力評価試験法III(2003年度版)光照射フィルム密着法、区分I」に準拠して試験片を作製し、実施した。なお、試験片の抗菌力の試験は、次の1菌種で実施した。
大腸菌: Escherichia coli NBRC3972
それぞれの試験片について、初期(0H)及び24時間後(24H)のそれぞれについて大腸菌数の変化を調べたところ、図4にプロットするような測定結果が得られた。図4にプロットした評価結果から、光触媒粉体を5%の量で練り込んだ塗料のなかでは、銀イオンをドープした光触媒アパタイトのみが著しく大腸菌数が減少したことがわかる。
以上、本発明を特にその最良の形態について説明した。最後のまとめとして、本発明の構成及びそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
(付記1)光触媒作用を有する金属酸化物及び抗菌性を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれている光触媒アパタイトからなることを特徴とする光触媒アパタイト組成物。
(付記2)前記金属イオンは、銀イオン及び(又は)銅イオンであることを特徴とする付記1に記載の光触媒アパタイト組成物。
(付記3)前記金属イオンは、浸漬法又は共沈法によってアパタイト結晶構造中にドープされたものであることを特徴とする付記1又は2に記載の光触媒アパタイト組成物。
(付記4)前記光触媒アパタイトは、前記金属イオンをアパタイト結晶構造中にドープした後にさらに、300℃以上の温度で熱処理されたものであることを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の光触媒アパタイト組成物。
(付記5)前記金属酸化物を構成する金属イオンは、チタンであることを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の光触媒アパタイト組成物。
(付記6)前記金属イオンは、前記アパタイト結晶中の金属イオンとの比で10モル%以下の量で含まれていることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の光触媒アパタイト組成物。
(付記7)前記アパタイトは、カルシウムヒドロキシアパタイトであることを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の光触媒アパタイト組成物。
(付記8)粉末の形態をとることを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載の光触媒アパタイト組成物。
(付記9)コーティング材の形態をとることを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載の光触媒アパタイト組成物。
(付記10)光触媒作用を有する金属酸化物及び抗菌性を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれている光触媒アパタイトからなる光触媒アパタイト組成物を製造する方法であって、下記の工程:
光触媒作用を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれた光触媒アパタイトを調製することと、
抗菌性を有する金属イオンに由来する金属塩の溶液を調製することと、
前記光触媒アパタイトを前記金属塩の溶液に浸漬してイオン交換を行うことと、
得られた反応生成物を300℃以上の温度で熱処理することと、
を含んでなることを特徴とする光触媒アパタイト組成物の製造方法。
(付記11)光触媒作用を有する金属酸化物及び抗菌性を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれている光触媒アパタイトからなる光触媒アパタイト組成物を製造する方法であって、下記の工程:
光触媒作用を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれた光触媒アパタイトを調製するに必要な出発物質及び抗菌性を有する金属イオンに由来する金属塩を含む溶液を調製することと、
前記出発物質及び前記金属塩をアンモニア水の存在下において共沈法により反応させること、
得られた反応生成物を300℃以上の温度で熱処理することと、
を含んでなることを特徴とする光触媒アパタイト組成物の製造方法。
(付記12)前記金属イオンは、銀イオン及び(又は)銅イオンであることを特徴とする付記10又は11に記載の光触媒アパタイト組成物の製造方法。
(付記13)前記アパタイトは、カルシウムヒドロキシアパタイトであることを特徴とする付記10〜12のいずれか1項に記載の光触媒アパタイト組成物の製造方法。
(付記14)付記1〜7のいずれか1項に記載の光触媒アパタイト組成物を含むことを特徴とする光触媒及び抗菌性を有する物品。
(付記15)前記光触媒アパタイト組成物が薄膜として前記物品の表面に被覆されていることを特徴とする付記14に記載の物品。
(付記16)前記光触媒アパタイト組成物が前記物品の構成材料中に配合されていることを特徴とする付記14に記載の物品。
本発明による光触媒アパタイト組成物の製造方法の好ましい一態様を示したフローシートである。 本発明による光触媒アパタイト組成物の製造方法のもう1つの好ましい態様を示したフローシートである。 実施例で作製した異なる銀ドープ光触媒アパタイトについて、光触媒活性の評価結果をプロットしたグラフである。 実施例で作製した異なる銀ドープ光触媒アパタイトについて、暗所抗菌性の評価結果をプロットしたグラフである。

Claims (11)

  1. 光触媒作用を有する金属酸化物及びイオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれている光触媒アパタイト組成物。
  2. 前記イオンは、浸漬法又は共沈法によってアパタイト結晶構造中にドープされたものであることを特徴とする請求項1に記載の光触媒アパタイト組成物。
  3. 前記金属酸化物を構成する金属イオンは、チタンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光触媒アパタイト組成物。
  4. 前記アパタイトは、カルシウムヒドロキシアパタイトであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光触媒アパタイト組成物。
  5. 光触媒作用を有する金属酸化物及びイオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれている光触媒アパタイト組成物を製造する方法であって、下記の工程:
    光触媒作用を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれた光触媒アパタイトを調製することと、
    イオンに由来する塩の溶液を調製することと、
    前記光触媒アパタイトを前記塩の溶液に浸漬してイオン交換を行うことと、
    得られた反応生成物を熱処理することと、
    を含んでなることを特徴とする光触媒アパタイト組成物の製造方法。
  6. 反応生成物を300℃以上の温度で熱処理することを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
  7. 光触媒作用を有する金属酸化物及びイオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれている光触媒アパタイト組成物を製造する方法であって、下記の工程:
    光触媒作用を有する金属イオンがアパタイト結晶構造中に組み込まれた光触媒アパタイトを調製するに必要な出発物質及びイオンに由来する塩を含む溶液を調製することと、
    前記出発物質及び前記塩をアンモニア水の存在下において共沈法により反応させること、
    得られた反応生成物を熱処理することと、
    を含んでなることを特徴とする光触媒アパタイト組成物の製造方法。
  8. 反応生成物を300℃以上の温度で熱処理することを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の光触媒アパタイト組成物を含むことを特徴とする物品。
  10. 前記光触媒アパタイト組成物が薄膜として前記物品の表面に被覆されていることを特徴とする請求項に記載の物品。
  11. 前記光触媒アパタイト組成物が前記物品の構成材料中に配合されていることを特徴とする請求項に記載の物品。
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