JP3864223B2 - 環境材料の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた環境浄化作用を有する環境材料に関するものであり、更に詳しくは、悪臭の除去や空気中の有害物質又は汚れの分解・除去、廃水処理や浄水処理、或いは水の殺菌や殺藻等の機能を有する環境材料の製造方法であって、例えば、有機繊維又はプラスチックス等に練り込み等により添加して好適に使用することができる環境材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、居住空間や作業空間での悪臭や、自動車の排気ガス等の有害物質による汚染が深刻な問題となっている。また、生活排水や産業排水等による水質汚染、特に、現在行われている活性汚泥法等の水処理方法では処理が難しい有機塩素系の溶剤やゴルフ場の農薬等による水源の汚染等が、広範囲に進行しており、これらによる環境汚染が重大な社会問題となっている。
【0003】
従来、悪臭を防止する方法或いは空気中の有害物質を除去する方法として、酸やアルカリ等の吸収液や吸着剤等に吸収或いは吸着させる方法がよく行われているが、これらの方法は、その廃液や使用済みの吸着剤の処理が問題であり、二次公害を起こす恐れがある。また、芳香剤の臭いが食品に移って芳香剤自体の臭いによる被害が出る恐れがある等の欠点を持っている(非特許文献1参照)。
【0004】
酸化チタンに光を照射すると、強い還元作用を持つ電子と強い酸化作用を持つ正孔とが生成し、接触してくる分子種を酸化還元作用により分解する。酸化チタンのこのような作用、即ち、光触媒作用を利用することによって、水中に溶解している有機溶剤、農薬や界面活性剤等を分解・除去することができる。この方法は、酸化チタンと光とを利用するだけで繰り返し使用することができ、反応生成物は無害な炭酸ガス等であり、微生物を用いる生物処理等の方法に比べて、温度、pH、ガス雰囲気、毒性等の反応条件の制約が少なく、しかも、生物処理等の方法では処理しにくい有機ハロゲン化合物や有機リン化合物のようなものでも容易に分解・除去できるという長所を持っている。
【0005】
しかし、これまで行われてきた酸化チタン光触媒による有機物の分解・除去の研究では、光触媒として酸化チタンの粉末がそのまま用いられていた(非特許文献2〜4参照)。そのため、使用後の光触媒の回収が困難である等、取り扱いや使用が難しく、なかなか、それを実用化することができなかった。
【0006】
そのため、酸化チタン光触媒を取り扱いの容易な繊維やプラスチックス等の媒体に練り込んで使用することが試みられたが、その強力な光触媒作用によって有害有機物や環境汚染物質だけでなく繊維やプラスチックス自身も分解され極めて劣化しやすいため、繊維やプラスチックスに練り込んだ形での使用は不可能であった。また、抗菌、抗かび材料として用いる場合、流水下等では、菌が光触媒に付着しにくいため、効果が発揮しにくく、効率が悪いという問題があった。
【0007】
そこで、本発明者らは、この問題を解決するために、酸化チタンからなる表面を持つ基材を疑似体液に浸漬することにより、この基材表面にリン酸カルシウムを担持した光触媒環境材料を開発した(特許文献1参照)。該光触媒環境材料は、表面の酸化チタンをリン酸カルシウムが部分的に覆っており、酸化チタンが部分的に露出した状態となっているため、光の照射によって酸化チタン表面に生成した電子と正孔の酸化還元作用により、悪臭や空気中の有害物質或いは水中に溶解している有機溶剤や農薬等の環境を汚染している有機化合物を容易に分解・除去することができる。
【0008】
【非特許文献1】
西田耕之助、平凡社「大百科辞典」1巻、P136(1984)
【非特許文献2】
A. L. Pruden and D. F. Ollis, Journal of Catalysis, Vol. 82, 404 (1983)
【非特許文献3】
H. Hidaka, H. Jou, K. Nohara, J. Zhao, Chemosphere, Vol. 25, 1589 (1992)
【非特許文献4】
久永輝明、原田賢二、田中啓一、工業用水、第379号、12(1990)
【特許文献1】
特開平10−244166
【0009】
そして、リン酸カルシウムが光触媒として不活性であるため、有機繊維やプラスチックス等の媒体に練り込み等により添加して使用する場合でも、有機繊維やプラスチックス等の媒体と接触するのは光触媒として不活性なリン酸カルシウムであるため、リン酸カルシウムに保護されて繊維やプラスチックス自身の分解を生じにくく、長期間その効果を持続させることができる。更に、リン酸カルシウムが雑菌等を吸着する性質をもつため、吸着した雑菌等を、光の照射により酸化チタンに生ずる強力な酸化力によって確実に、しかも、効率良く死滅・分解することができる。
しかしながら、酸化チタンからなる表面を持つ基材を疑似体液に浸漬するという光触媒環境材料の製造方法は、疑似体液の調製が面倒であり、製造に数日から数週間という長時間の労力を要するという欠点があった。また、疑似体液を長時間、加熱・保温する必要があり、エネルギー消費が大きいという欠点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況の中で、本発明者は、従来技術に鑑みて、上記従来技術の諸問題を抜本的に解決することを目標として鋭意研究を重ねた結果、疑似体液を使用することなく、カルシウムイオン、リン酸イオン及び/又はリン酸水素イオンを含む水溶液を使用し、その中に酸化チタンからなる表面を持つ基材を浸漬し、マイクロ波を照射することによって、この基材の表面にリン酸カルシウムを担持した環境材料を迅速に製造できることを見出し、本発明に至ったものである。
本発明は、悪臭の除去や、空気中の有害物質又は汚れの分解除去、水処理や抗菌や抗かび等、環境の浄化を効果的、かつ経済的で安全に行うことができ、しかも、有機繊維やプラスチックス等の媒体に練り込み等により添加して使用した場合でも、媒体の劣化を生ずることなく耐久性の面からも優れた特性を有する環境材料を簡便で迅速かつ省エネルギーで製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)基材の表面にリン酸カルシウムを担持させた環境材料を迅速に、かつ省エネルギーで製造する方法であって、酸化チタンからなる表面を持つ基材を、カルシウムイオン、リン酸イオン及び/又はリン酸水素イオンを含む水溶液に浸漬し、マイクロ波を照射してリン酸カルシウムの生成速度を大きくすることにより、この基材の表面に多孔質リン酸カルシウムを迅速に担持せしめることを特徴とする環境材料の製造方法。
(2)前記基材を、カルシウムイオン、リン酸イオン及び/又はリン酸水素イオンを含む水溶液に浸漬し、マイクロ波を照射した後、40〜600℃で乾燥することを特徴とする前記(に記載の環境材料の製造方法。
(3)カルシウムイオンの濃度が0.5〜100mM、リン酸イオン及び/又はリン酸水素イオンの濃度が1〜50mMであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の環境材料の製造方法。
(4)基材を浸漬する溶液のpHが6から9であることを特徴とする前記(1)、(2)又は(3)に記載の環境材料の製造方法。
(5)マイクロ波の周波数が2.45GHzであることを特徴とする前記(1)、(2)、(3)又は(4)に記載の環境材料の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明の酸化チタンからなる表面を持つ基材は、酸化チタンそのもの或いは基材に酸化チタンを担持したもの等の表面に酸化チタンを含有するものであり、それに用いられる基材としては、活性炭、活性アルミナ、シリカゲル、ゼオライト、粘土焼結体、ガラス、セラミックス、金属、プラスチックス等の種々のものが挙げられるが、光を透過するという点で、シリカゲルやガラスが特に好ましい。また、ケイ素やチタンを含有しているものが望ましく、酸化チタンのみから成るものでも良い。
【0013】
本発明に用いられる基材の形状は、粒状、板状、円筒状、角柱状、円錐状、球状、瓢箪状、ラグビーボール状等、どのような形状であっても良い。また、その大きさは、どのような大きさでも良いが、有機繊維やプラスチック等に練り込むことを考える場合は、サブミクロンの小さな粒子が好ましい。
上記基材表面への酸化チタンの担持は、蒸着、PVD、CVD、スパッタリング、ゾルゲル法等による酸化チタンゾルのコーティング、超微粒子の酸化チタンの固着等、種々の方法によって行うことができる。
【0014】
本発明に用いられる酸化チタンとしては、二酸化チタンだけでなく、チタンと酸素が不定比の酸化チタン、酸素欠陥型の二酸化チタン、部分的に酸素を窒化した二酸化チタン、金属イオンをドープした酸化チタン等が好適なものとして例示される。酸化チタンの結晶形は、光触媒として高性能である点で、アナターゼであることが好ましい。ルチルやブルッカイト、非晶質(アモルファス)のものは、光触媒としての活性が低いため、好ましくない。また、酸化チタンの表面に、白金やロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、銅、亜鉛等の金属が担持されたものでも良く、それによって、化学物質の酸化分解速度が更に大きくなり、殺菌、殺藻作用も大きくなる。
【0015】
本発明に用いられる、表面が酸化チタンで覆われている基材を浸漬するための水溶液は、カルシウムイオン、リン酸イオン又はリン酸水素イオンを含む水溶液であり、塩化カルシウム等のカルシウム塩や、リン酸、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸水素ナトリウム等のリン酸塩を水に溶解して調製されるが、水溶性の塩だけでなく、石膏等水にあまり溶けない塩や、貝殻、カルシウムやリンを含む廃棄物等も利用できる。こういったカルシウムやリンを含む物質を水溶液に添加しておくと、カルシウムやリンが水溶液に補充されていくし、廃棄物の有効利用にもなる。また、水溶液には、カルシウムイオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン以外の陽イオン、陰イオンが含有されていても良い。
【0016】
本発明に用いられる水溶液中のカルシウムイオンの濃度は0.5〜100mM、リン酸イオン及び/又はリン酸水素イオンの濃度は1〜50mMであることが望ましく、これより濃度が高いと、生成するリン酸カルシウムの強度が低くなり、脆くなってしまう可能性がある。
基材を浸漬する水溶液の温度は、マイクロ波によって容易に昇温され、温度が高い方がリン酸カルシウムの生成速度が大きくなる。また、基材を浸漬する溶液のpHは、6から9、特に7から7.5が好ましい。pHが、6以下か、9以上になると、リン酸カルシウムが生成しにくくなる。
【0017】
本発明に用いられるマイクロ波の周波数に制限はなく、30GHzや90GHz等でも良いが、電波法による規制から家庭用の電子レンジに使用されている2.45GHzが最も利用しやすい。マイクロ波の照射時間は、数分間から数時間で十分である。
前記基材を、カルシウムイオン、リン酸イオン及び/又はリン酸水素イオンを含む水溶液に浸漬し、マイクロ波を照射した後、電気炉、ガス炉などにより40〜600℃で乾燥する。
本発明において、環境材料とは、悪臭の除去や空気中の有害物質又は汚れの分解・除去、廃水処理や浄化処理、或いは水の殺菌、殺藻等のいわゆる環境浄化機能を有する環境浄化材料を意味するものとして定義される。
【0018】
また、上記環境材料を、有機繊維、プラスチック等の媒体に練り込んで使用した場合、これらの有機繊維、プラスチック等と接触している部分が光触媒として不活性なリン酸カルシウムであるため、上記有機繊維、プラスチックス等の分解を生じることなく、悪臭やNOx 等の空気中の有害物質、或いは水中に溶解している有機溶剤や農薬等の、環境を汚染している有機化合物を吸着し、これらは、蛍光灯、白熱灯、ブラックライト、UVランプ、水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ等からの人工光や太陽光の照射によって酸化チタンに生成した電子と正孔の酸化還元作用によって迅速に、かつ連続的に分解・除去することができる。
【0019】
本発明による環境材料は、ポリエチレンやナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンテレフタレート、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルアセタール樹脂、ポリアセテート、ABS樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース、セルロース誘導体、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチン、尿素樹脂、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フェノール樹脂、セルロイド、キチン、デンプンシート等の、あるゆる種類の有機繊維、プラスチックス或いはそれらの共重合体に添加して使用することが可能である。
【0020】
本発明の環境浄化製品として、繊維製品、プラスチックス製品、紙製品、陶磁器製品、ガラス製品、コンクリート製品、革製品、塗料、インク、木・竹製品、造花、人工観葉植物、インテリア製品、アクセサリー、電気製品、シート類、バッグ類などが挙げられる。
【0021】
【作用】
本発明の方法により、酸化チタンからなる表面を持つ基材を、カルシウムイオン、リン酸イオン及び/又はリン酸水素イオンを含む水溶液の中に浸漬し、マイクロ波を照射すると、マイクロ波の加熱作用、撹拌作用等の作用効果により、基材の表面に水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ化アパタイト等のリン酸カルシウムが従来の約100分の1の短時間で生成し、これにより、高性能の環境材料を迅速に、かつ省エネルギーで製造することができる。
【0022】
【実施例】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
チタンテトライソプロポキシドに水と硝酸とを添加して透明な酸化チタンゾルを調製し、これを、担体である直径約1cmの粒状アルミナに、ディップコーティング法によりコーティングした後、550℃で焼成した。このコーティングと焼成の作業を3回繰り返すことによって、表面が酸化チタン膜で覆われた基材を得た。一方、KHPO・3H OとCaClを蒸留水に溶解し、塩酸と硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを用いてpHを調整し、Ca2+2.5mMとHPO 2−2.0mMを含有したpH7.1の水溶液を調製し、その中に上記基材を入れ、300Wの出力で2.45GHzのマイクロ波を1時間照射した後、乾燥することにより、環境材料を調製した。これにより得られた環境材料を分析電子顕微鏡で観察した結果、その表面は島状の水酸アパタイトで覆われていた。マイクロ波を照射しない場合には、環境材料の調製に10日かかった。この環境浄化材料を花瓶の中に水と共に20個入れて蛍光灯を点灯した下で2カ月放置したが、その表面にぬめりは生じず、雑菌や藻も生えてこなかった。これに対し、上記環境浄化材料を入れない場合は、1日で藻がはえてぬめりが生じた。
【0023】
実施例2
粒子径30nmの二酸化チタン微粒子にプラズマ照射し、酸素欠陥を持つ酸化チタン粒子を調製した。一方、KHPO・3HOとCaClを蒸留水に溶解し、炭酸水素ナトリウムと水酸化カリウム、硫酸、フッ酸を用いてpHを調整し、Ca2+10.0mMとF6.0mM、HCO 4.2mM、HPO 2−−4.0mMを含有したpH7.3の水溶液を200ml調製し、その中に上記酸化チタン5gを入れてよく分散し、500Wの出力で2.45GHzのマイクロ波を30分間照射した後、乾燥して、環境材料を調製した。これにより得られた環境材料について粉末X線回折装置による分析を行った結果、水酸アパタイトと炭酸アパタイト及びフッ化アパタイトの生成が認められた。上記環境浄化材料をポリエステルに練り込み、繊維に紡糸して防臭効果を調べた。
【0024】
即ち、内容積36リットルの密閉容器に、上記繊維により織成された10cm角のポリエステルシートを入れ、悪臭物質としてアセトアルデヒド100ppmを注射器で導入し、太陽光と波長分布が似ている300Wのキセノンランプの光を照射した。6時間後、密閉容器の中に含まれるアセトアルデヒドの濃度をガスクロマトグラフで調べたところ、アセトアルデヒドの濃度は1ppmに減少しており、表面がアパタイトで覆われていない酸化チタンをそのまま練り込んで使用した場合と同様の防臭効果が得られた。また、耐久性を調べるために、この実験を繰り返した結果、酸化チタンをそのまま練り込んで使用した場合に、ポリエステルシートが直ぐに劣化したのに対し、上記の環境浄化材料を使用した場合のポリエステルシートの寿命はその20倍であった。
【0025】
実施例3
アンモニアを含んだ空気中でチタンのターゲットをスパッターすることにより、パイレックス(登録商標)ガラスの基板に部分的に窒化した酸化チタン膜を調製した。一方、KHPO・3HOとCaClを蒸留水に溶解し、炭酸水素ナトリウムと水酸化カリウム、硫酸、塩酸を用いてpHを調整し、Ca2+50.0mMとHCO 25.0mM、HPO 2−25.0mMを含有したpH7.4の水溶液を調製し、その中に上記基材を入れ、500Wの出力で2.45GHzのマイクロ波を40分間照射した後、乾燥して、環境材料を調製した。これにより得られた環境材料を分析電子顕微鏡で観察した結果、水酸アパタイトと炭酸アパタイトの混合物で表面が覆われていた。この環境浄化材料の抗菌及び抗かび効果を次のように調べた。即ち、まず、肉エキスブイヨン培地で培養した大腸菌の菌液(菌濃度50個/ml)1mlを環境浄化材料の上に滴下し、その上に透明フイルムを乗せ、20Wの蛍光灯を点灯しながら37℃で6時間静置培養した。そして、リン酸暖衡液を加え、振とうした後、1ml取り出し、混釈平板培養法により、生残菌数を測定した。その結果、99.9%以上の減菌率が得られた。
【0026】
実施例4
HPO・3HOとCaClを蒸留水に溶解し、水酸化ナトリウムと水酸化カリウム、硫酸、フッ酸を用いてpHを調整し、Ca2+80.0mMとF30.0mM、HPO 2−50.0mMを含有したpH7.2の水溶液を500ml調製し、その中にクロムイオンをドープした粒子径50nmの酸化チタン5gを入れてよく分散し、500Wの出力で2.45GHzのマイクロ波を40分間照射した後、乾燥して、環境材料を調製した。これにより得られた環境材料について粉末X線回折装置による分析を行った結果、水酸アパタイトとフッ化アパタイトの生成が認められた。得られた環境浄化材料を用いて染色廃液の脱色を行った。即ち、モデル廃液としてメチルオレンジ200ppmの水溶液3mlを石英セルに入れた後、上記環境浄化材料2gを入れ、500Wの超高圧水銀ランプを照射して、UV−可視吸収スペクトルを測定した。その結果、45分後、完全に脱色されて無色透明になった。
【0027】
【発明の効果】
本発明による環境材料の製造方法は、酸化チタンからなる表面を持つ基材を、カルシウムイオン、リン酸イオン及び/又はリン酸水素イオンを含む水溶液の中に浸漬し、マイクロ波を照射するという非常に簡便な方法で、基材の表面に水酸アパタイト、炭酸アパタイト、フッ化アパタイト等のリン酸カルシウムを担持した高性能の環境材料を迅速にかつ省エネルギーで製造することを可能としたものである。本発明の製造方法によって得られた環境材料は、酸化チタンからなる基材の表面を多孔質のリン酸カルシウム膜が部分的に覆っており、基材表面の酸化チタンに光が照射されるため、光の照射によって生成した電子と正孔の酸化還元作用により、悪臭や空気中の有害物質或いは水中に溶解している有機溶剤や農薬等の環境を汚染している有機化合物を容易に分解・除去することができる。
【0028】
そして、リン酸カルシウムが多孔質なため、リン酸カルシウム膜で覆われていないものとほとんど変わらない光触媒作用を得ることができる。しかも、環境を汚染している有機化合物を吸着するため、これを上記光触媒作用によって確実、かつ効果的に分解・除去することができる。従って、本発明の環境材料は、例えば、悪臭や煙草の煙、NOx、SOxのような、空気中に存在する有害物質の分解・除去、水中に溶解している有機溶剤や農薬のような有機化合物の分解・除去、廃水処理や浄水処理、汚れの防止等の環境浄化に極めて有効である。しかも、上記酸化チタンは、塗料や化粧品、歯磨き粉等にも使用され、食品添加物としても認められているものであって、無害、かつ安全であり、安価で耐光性や耐久性にも優れている。
【0029】
更に、リン酸カルシウム膜が蛋白質やアミノ酸、細菌、ウィルス等を吸着する性質をもつため、吸着した蛋白質やアミノ酸、細菌、ウィルス等を、光の照射により酸化チタンに生ずる強力な酸化力によって確実に、しかも、効率良く、死滅・分解することができる。従って、本発明による環境材料は、有機繊維やプラスチックス等の媒体に添加することにより、例えば、自動車の車内や居間、台所、トイレ等の脱臭や、廃水処理、プールや貯水の浄水だけでなく、菌やかびの繁殖防止、食品の腐敗防止等、非常に幅広い用途に適用でき、しかも、化学薬品やオゾンのような有害な物質を使用せず、電灯の光や自然光等の光を照射するだけで、低コストで省エネルギー的、かつ安全に、メンテナンスフリーで長期間使用することができる。

Claims (5)

  1. 基材の表面にリン酸カルシウムを担持させた環境材料を迅速に、かつ省エネルギーで製造する方法であって、酸化チタンからなる表面を持つ基材を、カルシウムイオン、リン酸イオン及び/又はリン酸水素イオンを含む水溶液に浸漬し、マイクロ波を照射してリン酸カルシウムの生成速度を大きくすることにより、この基材の表面に多孔質リン酸カルシウムを迅速に担持せしめることを特徴とする環境材料の製造方法。
  2. 前記基材を、カルシウムイオン、リン酸イオン及び/又はリン酸水素イオンを含む水溶液に浸漬し、マイクロ波を照射した後、40〜600℃で乾燥することを特徴とする請求項1に記載の環境材料の製造方法。
  3. カルシウムイオンの濃度が0.5〜100mM、リン酸イオン及び/又はリン酸水素イオンの濃度が1〜50mMであることを特徴とする請求項1又は2に記載の環境材料の製造方法。
  4. 基材を浸漬する溶液のpHが6から9であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の環境材料の製造方法。
  5. マイクロ波の周波数が2.45GHzであることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の環境材料の製造方法。
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