JP2005343725A - 多孔性焼結体の製造方法 - Google Patents

多孔性焼結体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005343725A
JP2005343725A JP2004163795A JP2004163795A JP2005343725A JP 2005343725 A JP2005343725 A JP 2005343725A JP 2004163795 A JP2004163795 A JP 2004163795A JP 2004163795 A JP2004163795 A JP 2004163795A JP 2005343725 A JP2005343725 A JP 2005343725A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titanium oxide
hydroxyapatite
sintered body
precursor
anatase
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004163795A
Other languages
English (en)
Inventor
Norio Nokita
楷夫 野北
Katsuhiko Asano
克彦 浅野
Hiroshi Motori
博 元利
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HAIROOMU KK
Original Assignee
HAIROOMU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by HAIROOMU KK filed Critical HAIROOMU KK
Priority to JP2004163795A priority Critical patent/JP2005343725A/ja
Publication of JP2005343725A publication Critical patent/JP2005343725A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】空気循環のない室内もしくは対流のない水中でも、有機物に起因する臭気並びにバクテリア・黴などの細菌類を吸着し、太陽光の力を借りて効果的に分解を行うことができ、且つトリハロメタンのような有害物を発生することもない焼結体を製造する。
【解決手段】
アナターゼ型酸化チタン前駆体及びハイドロキシアパタイト前駆体を混合して、550〜800℃、保持時間15分以上で焼結し、40〜75%の空隙率を形成する。また、アナターゼ型酸化チタン粉末:炭素粉末:ハイドロキシアパタイト粉末=1〜20wt%:1〜15wt%:残、を混合して、550〜800℃、保持時間15分以上で焼結し、40〜75%の空隙率を形成する。この場合、ハイドロキシアパタイトのCa/Pの組成比を1.66〜1.67の範囲にし、不純物であるNaとKの合計含有率を0.5wt%以下とすることが好ましく、焼結体の見掛密度を1.9以下とすることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、光触媒作用による汚染物質分解作用を有する多孔性焼結体の製造方法に関し、詳しくは、酸化チタン及びハイドロキシアパタイトを含有した多孔性焼結体の製造方法に関する。
室内の抗菌、脱臭、セルフクリーニングなど快適な生活を維持するために、例えば消臭剤噴霧法のフィトンチッドを用いて悪臭分子の固定を行う例(マスキング法)、プラズマによる分解脱臭、燃焼による分解あるいは光触媒による分解などがある。消臭剤噴霧は悪臭分子そのものを除去したわけではないし、プラズマ又は燃焼法による悪臭分子の分解は大きなエネルギーを必要とするなどの欠点を持っている。
また、飲料用原水の汚染も進み、浄水場に流れ込む農薬、バクテリアやその他の細菌・ウイルスなどの除去に曝気や塩素処理などで対応しているものの、塩素によるトリハロメタンの発生など、強烈な発ガン性物質の形成なども見られる。一方、上水だけでなく、下水、汚水、工業廃水、食品廃液、食品汚染等もその処理に莫大なエネルギーと費用が費やされている。
このような状況の中、半導体は基本的に光触媒としての性質があり、その中でも、酸化チタンは有機物分解光触媒として快適な環境を維持する技術として、近年多数出願されるようになってきた。
例えば、ガラスや金属表面に酸化チタン光触媒を薄膜コーティングし、大気中からの汚れを付着しにくくさせたり(特開平8−66635号公報)、酸化チタンの粉末に不活性物質をコートした後、塗料にブレンドして塗装面を汚染されにくくしたり(特開11−226422号公報)、あるいは人造植物の表面に、溶剤に分散させた酸化チタンを噴霧し、噴霧した人造植物で室内の悪臭やハウスダストを除去する等の方法がある(特開平9−209208号公報)。
一般に光触媒には、資源として豊富で安価な酸化チタンを用いることが多いが、用いられる性状は薄膜であるか粉末状態で用いられている。
しかしながら、酸化チタンには大気中あるいは水中のいずれであってもそれ自体が有機物を引き寄せる力はなく、酸化チタンに接した有機物だけを分解できるのみで、空気循環のない室内もしくは対流のない水中において、汚染物を積極的に除去する能力はなく、単に酸化チタン表面が汚染されにくいという効果でしかない。
入手できる酸化チタン自体は極めて細かな粉末であるため、大気中で用いた場合、風により飛散するし、水中でも分散しやすいため、水との分離が難しいという欠点を有しており、その取扱に難点があった。
一方、リン酸カルシウムは有機分子、ウイルス等に対する吸着性が高いことから吸着剤や脱臭剤として実用化がなされている。そこで、リン酸カルシウムと酸化チタンを複合化し、リン酸カルシウムの高い吸着性により有害物質(悪臭分子や大気汚染物質等)を吸着し、吸着した物質を酸化チタンの光触媒反応により分解する有害物質除去システムが開発されている。
例えば、
(1)特開平11−130412号公報(特許文献1)は、リン酸カルシウム系複合材及び同材の製造方法として、リン酸カルシウム及びチタンをそれぞれ酸に溶解し、混合したものをアルカリ中に滴下し析出させて得られたリン酸カルシウム複合材が開示されている。
しかしながら、この特許文献1の製法では、リン酸カルシウム及びチタンをそれぞれ酸に溶解しその後混合しているため、光触媒機能を有しないチタン酸カルシウムの生成反応を完全には抑制できず、光触媒機能を有する酸化チタンと吸着機能を有するリン酸カルシウムのそれぞれの特性を完全に生かすことができない。
(2)特開平10−244166号公報(特許文献2)には、酸化チタン粒子からなる基材等を擬似体液に浸漬して、この基材の表面に多孔質で有害物質を吸着し易くかつ光触媒として不活性なリン酸カルシウム膜を被覆することにより得られる、悪臭の除去や空気中の有害物質又は汚れの分解除去、廃水処理、水の殺菌などを行うための環境浄化材料が開示されている。
特開平11−130412号公報 特開平10−244166号公報
しかしながら、この環境浄化材料の場合には、酸化チタンの膜又は粒子の表面を燐酸カルシウムでコートした構造を有するので、そのコーティングがいかに多孔質であるとはいえ、下地となる酸化チタンにおいて満足し得るほどに十分に高い光触媒機能を発現させることができない。すなわち、十分な量の光が酸化チタンにとどかないので、酸化チタンは不活性なままであり、かえって酸化分解効率の低下を招くおそれがある。また、酸化チタンの上の燐酸カルシウムコーティングに吸着した有機物等も、そのコーティングのもつ吸着力の強さから、酸化チタンのところまで移動することなくそのコーティングの表面に留まっている可能性が高いので、光触媒による酸化分解を被ることがない。そうなると、いずれは吸着平衡に達するので、燐酸カルシウムコーティングの有機物等に対する吸着力が著しく低下することとなる。
本発明は、これら従来技術の持つ欠点を解決し、太陽光や紫外線の力を借りて大気中の有機系悪臭分子の分解または水中に含まれる有機系汚染物質を炭酸ガスと水等、無害な形に分解させ、塩素と結合したトリハロメタンのような有害物の発生を防止できる焼結体を提供することを目的とする。
さらに、本発明の目的は、空気循環のない室内もしくは対流のない水中でも有機物に起因する臭気並びにバクテリア・黴などの細菌類を引き寄せ、吸収並びに分解を行うことのできる焼結体を提供することである。
本発明の請求項1の多孔性焼結体の製造方法は、アナターゼ型酸化チタン前駆体及びハイドロキシアパタイト前駆体を混合して、550〜800℃、保持時間15分以上で焼結し、40〜75%の空隙率を有することを特徴とする。
請求項2に記載の多孔性焼結体の製造方法は、アナターゼ型酸化チタン粉末及びハイドロキシアパタイト前駆体を混合して、550〜800℃、保持時間15分以上で焼結し、40〜75%の空隙率を形成することを特徴とする。
請求項3に記載の多孔性焼結体の製造方法は、アナターゼ型酸化チタン粉末:炭素粉末:ハイドロキシアパタイト粉末=1〜20wt%:1〜15wt%:残、を混合して、550〜800℃、保持時間15分以上で焼結し、40〜75%の空隙率を形成することを特徴とする。
請求項4に記載の多孔性焼結体の製造方法は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記ハイドロキシアパタイトのCa/Pの組成比を1.66〜1.67の範囲にし、不純物であるNaとKの合計含有率を0.5wt%以下とすることを特徴とする。
請求項5に記載の多孔性焼結体の製造方法は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記焼結体の見掛密度を1.9以下とすることを特徴とする。
本発明によれば、空気循環のない室内もしくは対流のない水中でも、有機物に起因する臭気並びにバクテリア・黴などの細菌類を吸着し、太陽光の力を借りて効果的に分解を行うことができ、且つトリハロメタンのような有害物を発生することもない焼結体を提供することが可能である。
本発明の多孔性焼結体の製造方法によって製造される焼結体は、アナターゼ型酸化チタン及びハイドロキシアパタイトを主成分とし、空隙率40〜75%を形成することを特徴とする。
(酸化チタン)
焼結体の主要成分である酸化チタンとしては、ルチル型とアナターゼ型が存在するが、本発明においてはアナターゼ型酸化チタンであることが好ましい。すなわち、酸化チタンの結晶構造には、正方晶系に属する高温型のルチル型、低温型のアナターゼ型があるが、塗料などの工業材料に使用されているのは、ルチル型の酸化チタンである。一方、光活性はアナターゼ型の方が高いことが知られており、光触媒反応を用いる本発明においては、アナターゼ型酸化チタンを用いる。
前記アナターゼ型酸化チタンの焼結体中の含有率は、1〜25wt%であることが好ましい。さらに好ましくは、1〜15wt%である。含有率が1wt%未満であると光触媒としての機能が発現せず、25wt%を超えると相対的にハイドロキシアパタイト成分の含有率が低下するため、焼結体全体としての有機物吸着能力の低下、及び焼結体強度の低下を来すからである。
(ハイドロキシアパタイト(HAp))
焼結体のもう一つの主要成分であるハイドロキシアパタイトは、酸化チタンとハイドロキシアパタイトを主要成分とするので、前記アナターゼ型酸化チタン含有率に応じて残りの量だけハイドロキシアパタイトを存在させる。
ハイドロキシアパタイトは多孔質であり、蛋白質やアミノ酸、細菌、ウィルス等の有機系物質を吸着する性質を持つ。そのため、自動車の車内や居間、台所、トイレ等の脱臭や、廃水処理、プールや貯水の浄水だけでなく、菌やかびの繁殖防止、食品の腐敗防止にも有効である。従って、使用するハイドロキシアパタイトは、Ca10(PO)(OH)で表され、(HAp)とも表記される。
前記ハイドロキシアパタイトは、Ca/P比が1.66〜1.67であることが特に好ましい。Ca/P比を、1.66〜1.67とした理由は、この範囲のハイドロキシアパタイトは熱力学的に最も安定な相である。ハイドロキシアパタイトのCa/P比は、1.66〜1.67である。
また、焼結体中のNa+Kの含有量は0.5wt%以下とすることが好ましい。前記ハイドロキシアパタイト成分中には、不純物としてNa、K等が含まれることがある。Na、Kのリン酸化合物は水に対する溶解度が大きいため、本発明の焼結体中にNa、Kが多く混在していた場合、水中ではNa、Kが溶出するため焼結体の形状が崩れやすい。また溶出されたNa、Kによって酸化チタンが溶解されるなど好ましくない。従ってこれらを防ぐため、NaとKの合計含有率は0.5wt%以下とすることが好ましい。
さらに、焼結体の空隙率は40〜75%とすることが好ましい。焼結体の空隙率を40〜75%に限定した理由としては、空隙率が40%未満の場合、通気性若しくは水の透過性が悪く効率よく有機物の吸着・分解がなされず、一方空隙率が75%を超えると焼結体の強度が低下し、わずかな衝撃で砕けやすくなるからである。
空隙率は焼結前の成型でほぼ定まり、焼結での寸法収縮は一般焼結品の場合に比べてかなり小さい。プレス成型であれば、原料粉の顆粒化の程度並びに原料中の溶媒量、バインダー種類・割合などによって成型圧力を定め、密度コントロールするが出来る。スリップキャストでも同様に溶媒量・バインダー種類・割合などによって密度コントロールできる。その他の成型方法でも同様である。その場合、工業的に製作可能な密度範囲は40〜75%の範囲が好ましい。
本焼結体は、アナターゼ型酸化チタン粉末の周りにハイドロキシアパタイトが存在する場合や、それとは逆に、ハイドロキシアパタイトの周りのアナターゼ型酸化チタン粉末が存在する場合もある。また、ミクロ的には、アナターゼ型酸化チタン同士の凝集やハイドロキシアパタイト同士の凝集も見られる。
(顆粒状炭素)
本発明の焼結体は、アナターゼ型酸化チタンとハイドロキシアパタイトとを主成分として、さらに顆粒状炭素を全焼結体の15wt%以下の割合で含有させた焼結体とすることも好ましい。有機物の種類によってそれぞれ吸着能力に相違があるため、用いる環境によっては顆粒状炭素が存在することが効果的である場合がある。
また、ハイドロキシアパタイトの持つ有機物吸着能力は、顆粒状炭素と比較して、有機物の種類によって吸着能力に差があるため、ハイドロキシアパタイトが得意としない有機物に対しては顆粒状炭素で対処することができる。
なお、顆粒状炭素含有率が焼結体中において15wt%を超えると、焼結体強度を著しく損なうため15wt%以下とした。顆粒状炭素とは、賦活された炭素粉で、粒径が50μm以上のものをいう。
本発明に関する焼結体は、アナターゼ型酸化チタンとハイドロキシアパタイトとを主成分とするが、太陽光や紫外線ランプによる紫外線によって有機物分解作用を行わせる場合において、紫外線等が水中で充分な効果を発揮できる侵入深さはおよそ30mm程度である。よって、本発明の焼結体を水中で用いる場合には、焼結体は水面近傍に存在していることが好ましい。このため、前記焼結体の見掛密度は1.9以下とすることが好ましい。見掛密度が1.9を超えると空孔率が40%以下となり通気性もしくは水の透水性が悪くなるので、好ましくない。
また、本発明の焼結体は、体積が1mm以上とすることが好ましい。体積が1mm未満であると、焼結体の大きさが小さくなり大気中においては風にとばされやすく、水中にでは沈降分離に時間がかかることとなる。
本発明の焼結体の形状は顆粒状、タブレット状、ブロック状、円板状、球状等のいずれであってもよいが、前記のように体積が1mm以上となる必要がある。
なお、前記焼結体用原料粉中に顔料粉を混合することにより、焼結体に色彩を付けることもできる。例えば、黒色は酸化銅、グレーは酸化コバルト、緑色は酸化ニッケル等各種のものがある。
(焼結体製造方法)
次に、本発明の焼結体の製造方法を説明する。本発明の焼結体は、酸化チタンの前駆体(TiO・nHO)と、ハイドロキシアパタイトの前駆体(Ca10(PO)・nHO)を、水分を75wt%以上含んだ状態で混合し、自然乾燥後、550℃以上800℃以下の温度で、付着水ならびに結合水を除去して、酸化チタンの前駆体をアナターゼ型酸化チタンに、リン酸カルシューム前駆体をハイドロキシアパタイトに変換させて、焼結体製造用の混合原料粉とする。そしてその混合原料粉に再び加水又は湿し、鋳込み又は押し出し、あるいは射出成型、プレス成型などの方法により焼結体用の成型体を成型する。その後、成型体を乾燥・焼結を行い焼結体とする。
ここで、アナターゼ型酸化チタンの前駆体(TiO・nHO)の製造方法としては、原料として、硫酸チタンを用い、加水分解、焼成する。
また、ハイドロキシアパタイト前駆体(Ca10(PO)・nHO)の製造方法としては、水酸化カルシウム水溶液にリン酸水溶液をゆっくりと滴下しながら混合攪拌し、水素イオン指数が7〜8.5になるよう調整しながら、反応生成する。
水酸化カルシウム水溶液の濃度は、取扱の便宜を考えて、0.6mol/リットル以下とすることが望ましい。これ以上の濃度とすると、攪拌及び濾過に困難が伴う。なお、リン酸水溶液の濃度は、取扱の便宜を考えて、1/2程度に希釈することが望ましい。
反応生成物が生成後、12時間以上静置させた後、水分を除去してハイドロキシアパタイトの前駆体(Ca10(PO)・nHO)を生成する。ここで、前駆体とは、水和物の状態を言う。なお、顆粒状炭素を混合する場合は、予めアナターゼ型酸化チタンとハイドロキシアパタイトの混合粉に顆粒炭素を加え、乳鉢などで充分に混合する。また、アナターゼ型酸化チタンの前駆体に変えて、アナターゼ型酸化チタン粉末を用いて、ハイドロキシアパタイトの前駆体との反応により、焼結体製造用の混合原料粉とすることもできる。
焼結温度は、550℃〜800℃の範囲とすることが好ましい。その理由は下記のとおりである。すなわち、酸化チタンは一般に焼成温度が550℃付近でアナターゼ相、650℃から1000℃までの間ではアナターゼ相とルチル相の混相、1000℃以上でルチル相がそれぞれ生成される。そのため、焼結温度が550℃未満の場合、時間をかけても焼き固まらず、一方、焼結温度が800℃を超えた場合、酸化チタンの全てにルチル化を起こす可能性があるためである。
焼結の前に各前駆体をあらかじめ加熱し、酸化チタンをアナターゼ型前駆体からアナターゼ型酸化チタンに結晶化させ、リン酸カルシウム前駆体をハイドロキシアパタイトに結晶化させる。また、加熱工程で過剰な付着水や結合水の除去を行うことにより、再度水に浸しても水和物の状態に戻ることのない状態とする。
前記加熱済み原料粉は加水もしくは湿らした後にもしくは成型用バインダーを加えた後プレス、鋳込み、押し出しなどの成型を行い焼結を行う。焼結工程における昇温速度は、常温〜100℃までを3℃/min以下、特に1℃/min以下の速度で行うことが好ましい。常温〜100℃までの昇温速度が3℃/minを超えると、成型体であるハイドロキシアパタイト前駆体の細孔サイズと熱伝導率と水分の蒸発速度が相互に影響し、成型体を破壊し望ましくない。
また、100〜800℃までの昇温速度は、25℃/min以下、特に10℃/min以下であることが好ましい。100〜800℃までの昇温速度が25℃/minを超えた場合、成型体表面の収縮に起因するクラックを生じ、さらには成型体が破砕されるので望ましくない。
焼結は、550〜800℃で15分以上、好ましくは60分以上保持することが好ましい。前記昇温速度で550〜800℃で少なくとも15分保持しないと焼結が充分に進まないからである。
本発明の焼結体は、ハイドロキシアパタイト成分により大気中並びに水中での有機物の吸着作用を行わせ、アナターゼ型酸化チタン成分により太陽光中の紫外線の作用で吸着された有機物を分解させることが可能となる。
以下、本発明の焼結体について実施例および比較例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
(ハイドロキシアパタイト前駆体+アナターゼ型酸化チタン粉末)
6wt%水酸化カルシウム水溶液に50%リン酸水溶液をゆっくりと滴下しながら攪拌し、水素イオン指数が6.8〜7.5になるように混合した。12時間以上静置させた後、過剰の水を除きハイドロキシアパタイトの前駆体を製造した。アナターゼ型酸化チタン粉末を下記の割合で加えた。
ハイドロキシアパタイト前駆体:86wt%
酸化チタン粉末:14wt%
乾燥後、500℃で60分乾燥・結合水の除去を行った。それに再度加水しスラリー状にした後、アナターゼ型酸化チタン14wt%と、残りハイドロキシアパタイトとを混合した。混合後石膏型に鋳込み、乾燥後、石膏型から取り外し更に自然乾燥させた。
その後、550℃で2時間焼結した。なお、昇温速度は室温(25℃)〜100℃までは1℃/min、100〜550℃までは3℃/minとした。できあがった焼結体を取り出し、直径約0.4cmの球状試料を得た。
(実施例2)
(ハイドロキシアパタイト前駆体+アナターゼ型酸化チタン前駆体)
6wt%水酸化カルシウム水溶液に50%リン酸水溶液をゆっくりと滴下しながら攪拌し、水素イオン指数が6.8〜7.5になるように混合した。12時間以上静置させた後、過剰の水を除き、ハイドロキシアパタイト前駆体を製造した。同じくアナターゼ型酸化チタン前駆体を製造した。両前駆体を下記の割合で加えた。
ハイドロキシアパタイト前駆体:86wt%
酸化チタン前駆体:14wt%
乾燥後、670℃で60分乾燥・結合水の除去を行った。それに再度加水し、スラリー状にした後、アナターゼ型酸化チタンが15wt%、残りがハイドロキシアパタイトとなるように混合した。混合後石膏型に鋳込み、乾燥後、石膏型から取り外し更に自然乾燥させた。
その後、670℃で1時間焼結した。なお、昇温速度は室温(25℃)〜100℃までは1℃/min、100〜550℃までは3℃/minとした。できあがった焼結体は直径約0.4cmの球状試料とした。
(実施例3)
(ハイドロキシアパタイト前駆体+アナターゼ型酸化チタン粉末+顆粒状炭素)
6wt%水酸化カルシウム水溶液に50%リン酸水溶液をゆっくりと滴下しながら攪拌し、水素イオン指数が8.0〜9.5になるように混合した。12時間以上静置させた後、過剰の水を除きハイドロキシアパタイト前駆体を製造した。アナターゼ型酸化チタン粉末をハイドロキシアパタイト前駆体に加え、600℃で30分加熱・脱水を行い得られた混合粉に顆粒状炭素を下記の割合でさらに混合し、加水した後プレス成型を行った。
ハイドロキシアパタイト前駆体:85wt%
酸化チタン粉末:14wt%
顆粒状炭素:0.9wt%
自然乾燥後、794℃で4時間中性雰囲気(カーボンリッチ雰囲気)で焼結した。なお、昇温速度は室温(25℃)〜100℃までは1℃/min、100〜550℃までは1℃/minとした。794℃までは6℃/minで昇温させ、8hrホールドした後、冷却した。出来上がった焼結体を取り出し、直径約0.4cmの球状試料とした。
(比較例1)
上記焼結を1000℃で3時間行った以外は、実施例1と同様とした。
(比較例2)
チタン粉末を混合せず、ハイドロキシアパタイト成分のみを実施例1と同様に成型・焼結した。焼結は実施例3と同様の条件で行った。
(比較例3)
市販のゼオライト(新東北化学工業(株)製、天然ゼオライト、顆粒状)を試料とした。
(比較例4)
市販の活性炭(小林製薬(株)製、「キムコ」、顆粒状)を試料とした。
(評価方法)
水中での有機物付着と分解状況の評価は、パイロット社のブルーブラックインキ(RF−125−BB)を水で希釈し、濃度0.042wt%(インク原液を100%とした場合)とした溶液150g中に0.4gの球状試料を1個加えた。各試料とも評価開始から24時間は暗箱内に保管した後、ガラス越しの晴天時の太陽光を3時間/日、照射し、その他は室内放置した。インキ濃度が半減するまでの直射日光照射時間で表示した。照射時間が少ないほどインキ染料分解効率が高いことを示す。
なお、太陽光の照射は当時を中心としてその前後20日間で実施した。結果を表1に示す。インキ濃度の変化は、光透過率が最初の光透過率の2倍になる(インキ濃度が半減する)までに要する太陽光暴露時間(直射日光照射時間)で表した。
上記結果より、本発明の実施例1〜3は、全て直射日光照射時間が6.0時間でインキ濃度が半減したが、比較例1〜4の試料は、いずれも実施例の場合よりも倍以上の時間を要した。特に、試料番号5,6の比較例2,3は、26時間経過後も色調は退色しなかった。すなわち、本発明の実施例は、比較例に比べて格段に優れた有機物吸収と分解作用を有することが明らかであった。
Figure 2005343725
* 冬至を中心として前後20日間の太陽光で実施
** 新東北化学工業(株)社製 天然ゼオライト 顆粒状
*** 小林製薬(株)製 キムコ 顆粒状
本発明の焼結体は、光触媒機能を有する酸化チタンと多孔質で吸着機能を有する低温型ハイドロキシアパタイトがランダムに組み合わされて成型体となっている。悪臭や空気中の有害物質或いは水中に溶解している有機溶剤や農薬等の環境を汚染している有機化合物ハイドロキシアパタイトが吸着し、隣接する酸化チタンに光が照射されると光の照射によって生成した電子と正孔の酸化還元作用により、容易かつ低コスト、長期間に渡り前記有害物質を分解・除去することができる。
本発明の焼結体は、例えば、悪臭や煙草の煙、NOx、SOxのような空気中に存在する有害物質の分解・除去、水中に溶解している有機溶剤や農薬のような有機化合物の分解・除去、廃水処理や浄水処理、汚れの防止等の環境浄化に有効である。
また、本発明の焼結体は、自動車の車内や居間、台所、トイレ等の脱臭や、廃水処理、プールや貯水の浄水、菌やかびの繁殖防止、食品の腐敗防止等、幅広い用途に適用できる。
しかも、製造時に化学薬品等の有害な物質を使用せず、分解の結果トリハロメタン等の有害物質を発生することもなく安全である。
本発明の焼結体は吸着機能と分解機能を併せ持つため、夜間等暗い場所では汚染物質を吸着し、昼間等紫外線照射時に汚染物質を分解させることができ、昼夜を問わず効果が期待できる。

Claims (5)

  1. アナターゼ型酸化チタン前駆体及びハイドロキシアパタイト前駆体を混合して、
    550〜800℃、保持時間15分以上で焼結し、40〜75%の空隙率を形成することを特徴とする多孔性焼結体の製造方法。
  2. アナターゼ型酸化チタン粉末及びハイドロキシアパタイト前駆体を混合して、
    550〜800℃、保持時間15分以上で焼結し、40〜75%の空隙率を形成することを特徴とする多孔性焼結体の製造方法。
  3. アナターゼ型酸化チタン粉末:炭素粉末:ハイドロキシアパタイト粉末=1〜20wt%:1〜15wt%:残、を混合して、
    550〜800℃、保持時間15分以上で焼結し、40〜75%の空隙率を形成することを特徴とする多孔性焼結体の製造方法。
  4. 前記ハイドロキシアパタイトのCa/Pの組成比を1.66〜1.67の範囲にし、不純物であるNaとKの合計含有率を0.5wt%以下とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔性焼結体の製造方法。
  5. 前記焼結体の見掛密度を1.9以下とすることを特徴とする、
    請求項1〜4のいずれかに記載の多孔性焼結体の製造方法。
JP2004163795A 2004-06-01 2004-06-01 多孔性焼結体の製造方法 Pending JP2005343725A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004163795A JP2005343725A (ja) 2004-06-01 2004-06-01 多孔性焼結体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004163795A JP2005343725A (ja) 2004-06-01 2004-06-01 多孔性焼結体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005343725A true JP2005343725A (ja) 2005-12-15

Family

ID=35496444

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004163795A Pending JP2005343725A (ja) 2004-06-01 2004-06-01 多孔性焼結体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005343725A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013188652A (ja) * 2012-03-12 2013-09-26 Gifu Prefecture 揮発性有機ガスの分解方法
JP5851578B1 (ja) * 2014-08-27 2016-02-03 シャープ株式会社 光触媒組成物およびその製造方法
CN107460776A (zh) * 2017-07-28 2017-12-12 河南中烟工业有限责任公司 一种保润包灰卷烟纸的制备方法
CN107812946A (zh) * 2017-10-23 2018-03-20 宝鸡市铭坤有色金属有限公司 一种钛表面多孔结构层生物活性陶瓷膜的制备方法
CN116173993A (zh) * 2023-02-28 2023-05-30 武汉科技大学 贵金属负载阳离子掺杂型HAP在VOCs催化燃烧中的应用

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013188652A (ja) * 2012-03-12 2013-09-26 Gifu Prefecture 揮発性有機ガスの分解方法
JP5851578B1 (ja) * 2014-08-27 2016-02-03 シャープ株式会社 光触媒組成物およびその製造方法
WO2016031319A1 (ja) * 2014-08-27 2016-03-03 シャープ株式会社 光触媒組成物およびその製造方法
CN106794456A (zh) * 2014-08-27 2017-05-31 夏普株式会社 光催化剂组合物及其制造方法
CN106794456B (zh) * 2014-08-27 2020-03-06 夏普株式会社 光催化剂组合物及其制造方法
CN107460776A (zh) * 2017-07-28 2017-12-12 河南中烟工业有限责任公司 一种保润包灰卷烟纸的制备方法
CN107812946A (zh) * 2017-10-23 2018-03-20 宝鸡市铭坤有色金属有限公司 一种钛表面多孔结构层生物活性陶瓷膜的制备方法
CN116173993A (zh) * 2023-02-28 2023-05-30 武汉科技大学 贵金属负载阳离子掺杂型HAP在VOCs催化燃烧中的应用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10183277B2 (en) Photocatalytic composition for water purification
JP2636158B2 (ja) 酸化チタン多孔質薄膜光触媒及びその製造方法
JP2775399B2 (ja) 多孔質光触媒及びその製造方法
JP2600103B2 (ja) 光触媒フィルター及びその製造方法
CN102989436A (zh) 具有抗菌和空气净化功能的涂料
CN102423611A (zh) 紫外光催化氧化协同生物过滤去除VOCs的方法
CN1317346C (zh) 建筑材料用的抗菌防污涂料以及用其涂装的建筑材料
JP2945926B2 (ja) 光触媒粒子及びその製造方法
KR20190096466A (ko) 간수를 이용한 비소제거용 무소성 담체 및 그 제조방법
KR100956843B1 (ko) 항균성 광촉매, 광촉매 도포 항균 제품 및 그 제조방법
JP2005343725A (ja) 多孔性焼結体の製造方法
JP5403584B2 (ja) 再析出法で合成された耐候性を有する耐汚染材料とその製造方法
JP2001232206A (ja) 多孔質光触媒体とその製造方法
JPH09157549A (ja) コーティング剤組成物
JPH11197513A (ja) 複合光触媒微粒子およびその製造方法ならびに有機物成形体
JP2008136990A (ja) 多機能複合型光触媒二酸化チタン被膜材
JPH105598A (ja) 光触媒粉体およびそれを用いた光触媒体ならびにそれらの製造方法、それらを用いた環境浄化方法
KR101070854B1 (ko) 아파타이트가 표면에 코팅된 이산화티탄 광촉매를 이용한 점토재 내외장재 및 이의 제조방법
CN1480254A (zh) 光触媒复合新型炭吸附材料及其制法和用途
KR101675630B1 (ko) 항균성 광촉매, 광촉매 도포 항균제품 및 그 제조방법
JP2005349313A (ja) 複合体
JP4652776B2 (ja) 光触媒性複合組成物の製造方法、および光触媒性複合組成物
JP4580197B2 (ja) 広い波長領域において光触媒活性を有する酸化チタン光触媒およびその製造方法
JP3837517B2 (ja) 機能性吸着剤及びその製造方法
JP3864223B2 (ja) 環境材料の製造方法