JPH11197513A - 複合光触媒微粒子およびその製造方法ならびに有機物成形体 - Google Patents

複合光触媒微粒子およびその製造方法ならびに有機物成形体

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JPH11197513A
JPH11197513A JP10004670A JP467098A JPH11197513A JP H11197513 A JPH11197513 A JP H11197513A JP 10004670 A JP10004670 A JP 10004670A JP 467098 A JP467098 A JP 467098A JP H11197513 A JPH11197513 A JP H11197513A
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photocatalyst fine
composite photocatalyst
composite
porous
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JP10004670A
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Koji Ono
宏次 大野
Atsushi Kishimoto
淳 岸本
Mitsumasa Saito
光正 斉藤
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機系支持体や有機系担持体等を分解せず
に、悪臭成分、汚れ成分、環境汚染物質等の除去に優れ
た複合光触媒微粒子およびその製造方法ならびに有機物
成形体を提供できるようにすることを課題とする。 【解決手段】 多孔質セラミックスにより表面被覆さ
れた光触媒微粒子からなる複合光触媒微粒子、多孔質セ
ラミックスの前駆体の溶液中に光触媒微粒子を高分散さ
せ、該光触媒微粒子を核として前記前駆体を反応させ
て、前記光触媒微粒子の表面に多孔質セラミックスを生
成させる複合光触媒微粒子の製造方法、前記複合光触媒
微粒子を少なくとも表層部に添加した有機物成形体を構
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機系支持体や有
機系担持体等を分解せずに、悪臭成分、汚れ成分、環境
汚染物質の除去等に優れ、かつ優れた透明性を有する塗
布膜や樹脂成形体等を得ることができる複合光触媒微粒
子およびその製造方法ならびに有機物成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、大気汚染や酸性雨の原因
物質であるNOx やSOx の除去、または煙草の悪臭の
原因物質であるアセトアルデヒド、メラミン塗料の塗膜
から放出されるホルムアルデヒド等の分解のように、環
境汚染の原因である有機物、窒素酸化物、硫黄酸化物等
を除去または分解して環境を浄化することに役立つた
め、酸化チタン系酸化触媒が注目されている。TiO2
(酸化チタン)は光や熱エネルギの照射を受けると電子
と正孔が分離する。この時、発生した正孔は表面へ拡散
し、OHラジカルとなり、表面に接触した物質とだけ反
応して、その物質を酸化する。
【0003】〔問題点〕アナターゼ型のTiO2 に代表
される光触媒微粒子は、紫外線を吸収することにより生
成する正孔の強い酸化力により、悪臭成分や汚れ、環境
汚染物質の除去等、さまざまな目的に利用されている。
しかし、一方で、その強すぎる酸化力のため、有機系の
支持体や担持体を分解してしまうため、ポリテトラフル
オロエチレン等の一部の材料を除いて、有機系材料を支
持体や担持体として用いることができなかった。
【0004】また、TiO2 光触媒微粒子にSiO2
材料を被覆することにより複合光触媒微粒子を形成して
TiO2 光触媒微粒子の強すぎる酸化力を抑えていた
が、SiO2 系材料の被覆により光触媒活性の効果が低
下するようになる。さらに、複合光触媒微粒子では、T
iO2 系光触媒微粒子にSiO2 系材料等を被覆させる
時に、光触媒微粒子同士が凝集して、可視光線の波長よ
りもかなり大きな粒径を有する粒子が製造され、透明塗
布膜、透明樹脂成形体等に添加させた場合には、その透
明性が低下するようになる。等、種々の問題点があっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における前記問題点を解消するためのものであり、その
ための課題は、有機系支持体や有機系担持体等を分解せ
ずに、悪臭成分、汚れ成分、環境汚染物質等の除去等に
優れた複合光触媒微粒子およびその製造方法ならびに優
れた透明性を有する有機物成形体を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明における請求項1
に係る複合光触媒微粒子は、多孔質セラミックスにより
表面被覆された光触媒微粒子からなることを特徴とする
ものである。
【0007】また、請求項2に係る複合光触媒微粒子
は、前記複合光触媒微粒子の平均粒子径が 1〜100 nm
であることを特徴とする。
【0008】また、請求項3に係る複合光触媒微粒子
は、前記光触媒微粒子がTiO2 であることを特徴とす
る。
【0009】また、請求項4に係る複合光触媒微粒子
は、前記多孔質セラミックスがSiO 2 、Al2 3
ZrO2 、MgO、B2 3 、酸化鉄、ホウケイ酸ガラ
ス、ソーダライムガラスのうちの少なくとも1種からな
ることを特徴とする。
【0010】また、請求項5に係る複合光触媒微粒子
は、前記多孔質セラミックスにより表面被覆された複合
光触媒微粒子の比表面積が、表面被覆されていない前記
光触媒微粒子の比表面積の 1.5倍以上であることを特徴
とする。
【0011】また、請求項6に係る複合光触媒微粒子の
製造方法は、多孔質セラミックスの前駆体の溶液中に光
触媒微粒子を高分散させ、該光触媒微粒子を核として前
記前駆体を反応させて、前記光触媒微粒子の表面に多孔
質セラミックスを生成させることを特徴とする。
【0012】また、請求項7に係る複合光触媒微粒子の
製造方法は、前記多孔質セラミックスの前駆体が、テト
ラメトキシシラン、テトラエトキシシランであることを
特徴とする。
【0013】また、請求項8に係る有機物成形体は、請
求項1〜5のいずれかに記載の複合光触媒微粒子を少な
くとも表層部に添加したことを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。ただし、この実施の形態は、発明の趣旨
をより良く理解させるため具体的に説明するものであ
り、特に指定のない限り、発明内容を限定するものでは
ない。
【0015】光触媒微粒子を核とし多孔質セラミックを
外殻相とした複合光触媒微粒子は、例えばテトラメトキ
シシランまたはテトラエトキシシランを含む水溶性有機
溶媒等のような多孔質セラミックの前駆体の溶液中に、
ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリエス
テル酸塩等の界面活性剤を添加し、光触媒微粒子を加
え、ボールミル、サンドミル等の粉砕機により高い解砕
力を与えて光触媒微粒子を分散粒子径が 100nm以下に
まで分散させ、この光触媒微粒子が高分散された水溶性
有機溶媒を酸またはアルカリ触媒を含む溶液中に添加
し、濾別し、乾燥後、焼成することにより得られる。
【0016】このようにして複合光触媒微粒子を生成す
ることにより、極めて粒径が小さく分散性の良い、有機
物中に添加しても当該有機物を分解せず、かつ、臭いや
汚れに対して高い光触媒活性を有する複合光触媒微粒子
となる。
【0017】もし、多孔質セラミックを光触媒微粒子の
表面に形成する前に、予め光触媒微粒子を高分散させて
おかなければ、凝集した状態のままで光触媒微粒子が多
孔質セラミック形成処理されてしまうため、得られる粒
子は粒径が大きなものとなる。
【0018】この場合には、後の分散操作により粒子径
100nm以下の一次粒子にまで高分散させることができ
ず、透明塗布膜、透明樹脂成形体等に添加した場合に、
優れた透明性が得られなくなり、また、微小化を目的と
して強力な解砕力を加えた場合には、多孔質セラミック
層が光触媒微粒子の表面から脱落し、マトリックス有機
物との隔離を達成させることができない。
【0019】また、加水分解時に、多孔質とせずに緻密
なセラミックス層、例えば緻密なシリカ層を生成させた
場合には、光触媒活性そのものが失われてしまうため、
目的とする複合光触媒微粒子が得られない。複合光触媒
微粒子は、多孔質セラミックス層の物理吸着によって、
効率的に悪臭成分、汚れ成分等を分解することができる
ため、多孔質セラミックス層を形成しない光触媒微粒子
に比較して、早期に悪臭成分、汚れ成分等を除去するこ
とができる。
【0020】光触媒微粒子の表面に多孔質セラミック層
を生成させるためには、酸触媒を用いてテトラアルコキ
シシランを加水分解させたり、予めポリエチレングリコ
ールのような有機高分子を加えておき、焼成時に焼失さ
せて、セラミック層を多孔質化する等の方法に因らなけ
ればならない。
【0021】セラミック層を多孔質化するには、通常、
多孔質セラミックを得るために用いられている方法を採
用すれば良く、前記の方法に限定されたものではない。
このようにして処理された複合光触媒微粒子は、元の光
触媒微粒子に対して比表面積が 1.5倍以上の比表面積を
有するものとなる。
【0022】このようにして生成された複合光触媒微粒
子は、有機物中に添加しても、光触媒微粒子と当該有機
物が直接に接触しないため、当該有機物を分解せず、か
つ、外殻が多孔質であるため、悪臭成分を吸着しやす
く、細孔内に侵入した悪臭成分や、汚れ成分を光触媒効
果によって分解する。
【0023】また、粒子径が 100nm以下と可視光線の
波長よりも小さく、かつ、分散性も良好であるため、一
次粒子に近い状態にまで高分散させることができ、透明
塗布膜を透明樹脂成形体等に添加した場合に、高い透明
性を得ることができる。
【0024】光触媒微粒子には、TiO2 および/また
はZnOを使用することができ、特に、光触媒活性の高
いTiO2 を用いることが好ましい。また、多孔質セラ
ミックには、SiO2 、Al2 3 、ZrO2 、Mg
O、B 2 3 、酸化鉄、ホウケイ酸ガラス、ソーダライ
ムガラスのうちの少なくとも1種以上を用いることがで
きる。特に、多孔質セラミックス層の形成の容易さの点
でSiO2 を用いることが好ましい。
【0025】多孔質セラミックスの前駆体としては、水
または有機溶媒に溶解するものであれば、適宜、使用す
ることができる。多孔質セラミックスがSiO2 の場合
は、特に、テトラメトキシシラン(オルトケイ酸テトラ
メチル)またはテトラエトキシシラン(オルトケイ酸テ
トラエチル)を前駆体として用いて、多孔質SiO2
光触媒微粒子に表面被覆させることが好ましい。
【0026】光触媒微粒子は、平均一次粒子径 1〜100
nm、比表面積 1500 〜 15 m2 /gのものが好まし
い。光触媒微粒子の平均一次粒子径が 100nmを超える
場合には、平均粒子径が 1〜100 nmの複合光触媒微粒
子を得ることができない。
【0027】多孔質セラミックスで被覆された複合光触
媒微粒子は、平均粒子径 1〜100 nm、比表面積 2250
〜 22.5 m2 /gが好ましい。この平均粒子径が 100n
mを超える場合には、悪臭成分、汚れ成分等との接触面
積が低下し、それらの除去効果を十分発揮することがで
きない。また、透明塗布膜、透明樹脂成形体等に添加さ
せた場合には、透明性の点で不十分なものとなり、意匠
性を損なう。
【0028】この多孔質セラミックスで表面被覆された
複合光触媒微粒子の比表面積は、表面被覆されていない
光触媒微粒子の比表面積の 1.5倍以上であることが好ま
しい。この比表面積の比率が 1.5倍未満の場合には、多
孔質による悪臭成分、汚れ成分等の吸着という効果が十
分に期待できない。
【0029】
【実施例】〔実施例1〕平均一次粒子径 7nmのTiO
2 微粒子を 40 重量部、リン酸エステル系界面活性剤 2
重量部、エタノール 28 重量部、テトラエトキシシラン
30 重量部を、直径 1mmのガラスビーズ 100重量部と
ともにボールミルで一昼夜混合分散し、TiO2 のテト
ラエトキシシラン溶液分散液を得た。この液に1%硝酸
水溶液 10 重量部を加え、テトラエトキシシランを加水
分解させた後、濾過、乾燥後、 400℃で一時間焼成し、
粒子径 20 nmの複合光触媒微粒子(1) を得た。得られ
た複合光触媒微粒子(1) 30 重量部、ポリカルボン酸系
分散剤 1重量部、水 69 重量部と直径1mmのガラスビ
ーズ 100重量部をボールミルで一昼夜混合分散し、分散
液(1) を得た。
【0030】〔実施例2〕平均一次粒子径 7nmのTi
2 微粒子を 40 重量部、ポリエーテル系界面活性剤 4
重量部、エタノール 6重量部、トルエン 20 重量部、ジ
ルコニウムテトラブトキシド 30 重量部を、直径 1mm
のガラスビーズ 100重量部とともにボールミルで一昼夜
混合分散し、TiO2 のジルコニウムテトラブトキシド
溶液分散液を得た。この液に2%硝酸水溶液 5重量部を
加え、ジルコニウムテトラブトキシドを加水分解させた
後、濾過、乾燥後、 400℃で一時間焼成し、粒子径 12
nmの複合光触媒微粒子(2) を得た。得られた複合光触
媒微粒子(2) 30 重量部、スルホン酸系分散剤 1重量
部、水69 重量部と直径1mmのガラスビーズ 100重量
部をボールミルで一昼夜混合分散し、分散液(2) を得
た。
【0031】〔実施例3〕実施例1に記載の方法で得た
複合光触媒微粒子(1) 30 重量部、リン酸エステル系界
面活性剤 2重量部、トルエン 68 重量部を、直径1mm
のガラスビーズ 100重量部とともにサンドミルで混合分
散し、分散液(3) を得た。
【0032】〔比較例1〕複合光触媒微粒子(1) のかわ
りに未処理の平均一次粒子径 7nmのTiO2 微粒子を
用いて、実施例1の後半に記載の方法で分散液(4) を得
た。 〔比較例2〕複合光触媒微粒子(2) のかわりに未処理の
平均一次粒子径 7nmのTiO2 微粒子を用いて、実施
例2の後半に記載の方法で分散液(5) を得た。 〔比較例3〕複合光触媒微粒子(1) のかわりに未処理の
平均一次粒子径 7nmのTiO2 微粒子を用いて、実施
例3に記載の方法で分散液(6) を得た。
【0033】〔複合光触媒微粒子の特性評価〕 (表面セラミックの多孔質の確認)実施例1および2で
得た複合光触媒微粒子 (1)および(2) と、比較例の未処
理TiO2 微粒子の比表面積を B.E.T. 法により求め
た。この結果を表1に示す。この表1より、複合光触媒
微粒子 (1)および(2) は多孔質セラミック表面被覆され
ていることが分かる。
【0034】
【表1】
【0035】(光触媒活性評価)実施例1および実施例
2で得た複合光触媒微粒子 (1)および(2) と比較例の未
処理TiO2 微粒子との光触媒活性をアセトアルデヒド
の分解活性で調べた。分解活性を調べる消臭試験は、試
料 50 mgを容量3リットルのテドラーバッグに入れ、
100ppm濃度のアセトアルデヒドガスを導入し、強度
0.1mW/cm2 の紫外線照射下でのアセトアルデヒド
ガス濃度の減少をガステック社製のガス検知管を用いて
測定した。対照として市販のSiO2 微粒子(比表面積
250m 2 /g)を用いた。この結果を図1に示す。この
図1より、複合光触媒微粒子 (1)および(2) に多孔質セ
ラミック処理したことによる光触媒活性の低下は見られ
ず、物理吸着により初期の濃度減少は未処理TiO2
粒子よりも早いことが分かる。
【0036】〔有機物成形体への適用〕 (布への適用)実施例1、実施例2、比較例1、比較例
2で得た分散液( (1),(2) ,(4) ,(5) )2 重量部、
アクリルエマルジョン樹脂 0.4重量部(樹脂分)、水 9
7.6 重量部の混合液に、平織り木綿布を浸漬後、絞り率
100%でパディング処理を行い、乾燥後 160℃で 2分間
キュアリングし、それぞれ試料布とした。
【0037】(布の消臭試験)消臭試験は、試料布 2g
を容量3リットルのテドラーバッグに入れ、 100ppm
濃度のアセトアルデヒドガスを導入し、強度 0.1mW/
cm2 の紫外線照射下で、アセトアルデヒドガス濃度の
経時変化をガステック社製のガス検知管を用いて測定し
た。比較のために未処理の布および空のテドラーバッグ
におけるガス濃度変化も測定した。この結果を図2に示
す。
【0038】(布の樹脂との隔離度合いの評価)試験布
の劣化を、消臭試験に用いたのと同様の試験布および未
処理布について、強度 0.1mW/cm2 の紫外線照射を
行い、それぞれ黄変度で評価した。この結果を表2に示
す。
【0039】
【表2】
【0040】(フィルムへの適用)実施例2、比較例1
で得た分散液( (3),(6) ) 50 重量部、フッ素変性ア
クリルラッカー樹脂 10 重量部(樹脂分)、キシレン 4
0 重量部を混合して作製した塗料を、ポリエステルフィ
ルムに塗工して、それぞれ試験フィルムを作製した。
【0041】(フィルムの消臭試験)消臭試験は、 10
× 10 cmサイズに切った試験フィルムを容量3リット
ルのテドラーバッグに入れ、 100ppm濃度のアセトア
ルデヒドガスを導入し、強度0.1mW/cm2 の紫外線
照射を行い、アセトアルデヒドガス濃度の経時変化をガ
ステック社製のガス検知管を用いて測定した。比較のた
めに樹脂のみを塗工したフィルムおよび空のテドラーバ
ッグにおけるガス濃度変化も測定した。この結果を図3
に示す。
【0042】(フィルムの樹脂との隔離度合いの評価)
フィルムに塗工した樹脂および生地としてのフィルムの
劣化を、消臭試験に用いたのと同様のフィルムについ
て、強度 0.1mW/cm2 の紫外線照射を行い、それぞ
れ黄変度と膜の耐擦傷性で評価した。この結果を表3に
示す。
【0043】
【表3】 注) ΔY1 :黄変度 耐擦傷性 :布で擦って変化なし × :布で擦ると剥げる
【0044】以上のように、実施の形態によれば、光触
媒活性を損なうことなく、かつ、基材に用いられている
有機物を分解することのない、多孔質セラミックで処理
された複合光触媒微粒子を得ることができ、比表面積が
大きい多孔質セラミックで被覆されているために、特に
ガスの消臭効果が優れている。さらに、この複合光触媒
微粒子の粒径は、可視光線の波長に比して充分に小さい
ため、高分散状態で透明塗布膜、透明樹脂成形体に添加
した場合には、極めて透明性の高い膜が得られ、基材の
意匠性を損なうことがなくなる。
【0045】
【発明の効果】以上のように本発明では、請求項1に係
る複合光触媒微粒子では、光触媒微粒子が多孔質セラミ
ックスにより表面被覆されてなるから、有機物中に添加
しても、直接に基材と光触媒微粒子が接触することがな
く、光触媒微粒子が基材である有機物を分解せず、しか
も複合光触媒微粒子が多孔質セラミックスにより外殻を
形成したことにより悪臭成分を吸着し易く、細孔内に侵
入した悪臭成分や汚れ成分を光触媒効果によって分解す
ることができる。
【0046】請求項2に係る複合光触媒微粒子では、前
記複合光触媒微粒子の平均粒子径が1〜100 nmである
ことにより、複合光触媒微粒子が可視光線の波長よりも
小さいため、透明塗布膜、透明樹脂成形体に添加した場
合には、高い透明性を得ることができる。
【0047】請求項3に係る複合光触媒微粒子では、前
記光触媒微粒子がTiO2 であるから、製造性および作
業性が容易で安価にできる。
【0048】請求項4に係る複合光触媒微粒子では、前
記多孔質セラミックスがSiO2 、Al2 3 、ZrO
2 、MgO、B2 3 、酸化鉄、ホウケイ酸ガラス、ソ
ーダライムガラスのうちの少なくとも1種からなること
により、有機物を分解させることなく、光触媒活性のあ
る微粒子を有機物に添加することができ、光触媒微粒子
の適用範囲を広げ、悪臭成分、汚れ成分あるいは環境汚
染物質の除去に優れた効果を発揮することができる。
【0049】請求項5に係る複合光触媒微粒子では、前
記多孔質セラミックスにより表面被覆された光触媒微粒
子の比表面積が、表面被覆されていない前記光触媒微粒
子の比表面積の 1.5倍以上であることにより、悪臭成
分、汚れ成分あるいは環境汚染物質を効果的に吸着する
ことができ、これらを光触媒微粒子によって分解させる
ことができる。
【0050】請求項6に係る複合光触媒微粒子の製造方
法では、多孔質セラミックスの前駆体の溶液中に光触媒
微粒子を高分散させ、該光触媒微粒子を核として前記前
駆体を反応させて、前記光触媒微粒子の表面に多孔質セ
ラミックスを生成させることにより、多孔質セラミック
スで外殻を形成した複合光触媒微粒子が形成できて、有
機物中に添加しても、直接に基材と光触媒微粒子とが接
触することがなく、光触媒微粒子が基材である有機物を
分解することがない複合光触媒微粒子を得ることができ
る。
【0051】請求項7に係る複合光触媒微粒子の製造方
法では、前記多孔質セラミックスの前駆体が、テトラメ
トキシシラン、テトラエトキシシランであることから、
光触媒微粒子の周囲を多孔質シリカ層で被覆した複合材
料が形成でき、有機物を分解することなく光触媒活性を
発揮することができる複合光触媒微粒子を生成すること
ができる。
【0052】請求項8に係る有機物成形体では、請求項
1〜5のいずれかに記載の複合光触媒微粒子を少なくと
も表層部に添加したことにより、耐久性のある光触媒活
性を有する有機物成形体を提供でき、外殻を形成した多
孔質セラミックスにより悪臭成分等を容易に吸着し、細
孔内に侵入した悪臭成分や汚れ成分等を光触媒効果によ
って分解することができる、環境浄化性能の高い製品を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施例1,2の複合光触媒微粒子
に対する消臭試験の結果を示すグラフである。
【図2】本発明による複合光触媒微粒子を添加した布に
対する消臭試験の結果を示すグラフである。
【図3】本発明による複合光触媒微粒子を添加したフィ
ルムに対する消臭試験の結果を示すグラフである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多孔質セラミックスにより表面被覆された
    光触媒微粒子からなることを特徴とする複合光触媒微粒
    子。
  2. 【請求項2】前記複合光触媒微粒子の平均粒子径が 1〜
    100 nmであることを特徴とする請求項1記載の複合光
    触媒微粒子。
  3. 【請求項3】前記光触媒微粒子がTiO2 であることを
    特徴とする請求項1記載の複合光触媒微粒子。
  4. 【請求項4】前記多孔質セラミックスがSiO2 、Al
    2 3 、ZrO2 、MgO、B2 3 、酸化鉄、ホウケ
    イ酸ガラス、ソーダライムガラスのうちの少なくとも1
    種からなることを特徴とする請求項1記載の複合光触媒
    微粒子。
  5. 【請求項5】前記多孔質セラミックスにより表面被覆さ
    れた複合光触媒微粒子の比表面積が、表面被覆されてい
    ない前記光触媒微粒子の比表面積の 1.5倍以上であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の複合光触媒微粒子。
  6. 【請求項6】多孔質セラミックスの前駆体の溶液中に光
    触媒微粒子を高分散させ、該光触媒微粒子を核として前
    記前駆体を反応させて、前記光触媒微粒子の表面に多孔
    質セラミックスを生成させることを特徴とする複合光触
    媒微粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】前記多孔質セラミックスの前駆体が、テト
    ラメトキシシランまたはテトラエトキシシランであるこ
    とを特徴とする請求項6記載の複合光触媒微粒子の製造
    方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜5のいずれかに記載の複合光触
    媒微粒子を少なくとも表層部に添加したことを特徴とす
    る有機物成形体。
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