JP4531920B2 - 多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法 - Google Patents

多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4531920B2
JP4531920B2 JP2000102459A JP2000102459A JP4531920B2 JP 4531920 B2 JP4531920 B2 JP 4531920B2 JP 2000102459 A JP2000102459 A JP 2000102459A JP 2000102459 A JP2000102459 A JP 2000102459A JP 4531920 B2 JP4531920 B2 JP 4531920B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
photocatalyst
coated
porous ceramic
mixed slurry
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2000102459A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001286728A (ja
Inventor
宏 二村
茂巳 今泉
浩司 林
典男 山下
俊光 梅村
広文 桜井
美弥子 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Gifu Prefecture
Original Assignee
Gifu Prefecture
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Gifu Prefecture filed Critical Gifu Prefecture
Priority to JP2000102459A priority Critical patent/JP4531920B2/ja
Publication of JP2001286728A publication Critical patent/JP2001286728A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4531920B2 publication Critical patent/JP4531920B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、悪臭、空気中の有害物質、汚れの分解除去、廃水処理、浄水処理、抗菌、抗カビ等の環境浄化材料として用いられる多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、酸化チタン等の光触媒は光を照射することで強力な酸化還元力を発揮し、消臭、水質浄化、抗菌等の機能を発現させることが知られており、環境浄化素材として広く使用されるとともに、現在、例えば繊維、塗料、合成樹脂等の有機素材への用途展開が見込まれている。この光触媒はそのまま有機素材に応用すると有機素材までも分解してしまうため、有機素材に応用する場合には光触媒の表面を多孔質セラミックスよりなる被膜で被覆したものが提案されている。
【0003】
この多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒を製造する際には、まずエタノール、メタノール、イソプロパノール等の有機溶媒にセラミックスの前駆体を溶解した後、これに界面活性剤を添加して分散媒を調製する。次いで、この分散媒に光触媒を加えてボールミル、サンドミル等により溶液中に均一に分散させた後、光触媒が分散された分散媒を酸又はアルカリ触媒を含む水溶液に添加し、濾別して、乾燥後に加熱焼成することにより多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒が製造される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した製造方法においては有機溶媒を使用したことから乾燥時の取り扱いが容易ではない。そこで、取り扱いが容易であり、高温で乾燥することができるため、溶媒に水を使用することが提案されている。しかし、溶媒に水を使用した場合、セラミックスの前駆体の分散性が悪い、前駆体が水中で急速な加水分解反応を起こす等の理由により被膜の孔が不均一に形成されて、光触媒の機能を十分に発揮できなかったり、光触媒を担時する有機素材を劣化させたりするという問題があった。
【0005】
この発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、被膜に細孔をより均一に形成することができ、光触媒の機能を十分に維持することができるとともに、光触媒を担時する有機素材の劣化を抑制することができる多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法の発明は、光触媒の表面を、光触媒作用に対して不活性で、かつ多数の細孔を有する多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法であって、セラミックスの前駆体である金属アルコキシド1molに対して多価アルコールを1.5mol以上、2mol未満を添加した親水化反応により親水化して膜材を調製するとともに、この膜材に対して水と光触媒を添加して混合スラリーを調製し、この混合スラリーを乾燥させ、乾燥物を調製した後、この乾燥物を加熱焼成するものである。
【0007】
請求項2に記載の多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法の発明は、請求項1に記載の発明において、前記乾燥物は、混合スラリーを噴霧乾燥装置を使用して噴霧乾燥することにより得られる粉末であるものである。
【0008】
請求項3に記載の多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法の発明は、請求項1に記載の発明において、前記金属アルコキシドは、アルミニウム、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、チタニウムのアルコキシド及びそれらの混合物のアルコキシドである。
【0009】
請求項4に記載の多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法の発明は、請求項1に記載の発明において、前記親水化反応は、下記一般式(1)で表されるものである。
【化2】
Figure 0004531920
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒はほぼ球状をなす光触媒と、光触媒の表面を被覆する被膜とから構成されている。この被膜はその全面に多数の細孔を有しており、これら細孔を通して光触媒の一部が外部に露出されている。ここで、多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒を、これ以降は単に被覆光触媒と記載する。
【0011】
前記光触媒には優れた光触媒機能を有し、化学的に安定で、かつ無害であるものが使用されており、このような条件を満たす材料として、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化鉄(Fe23)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)等が挙げられる。また、光触媒を導電性物質とともに使用することにより触媒効果が向上するため、光触媒の表面に白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、銅、鉄、亜鉛等の金属を担持させるのがより好ましい。
【0012】
前記被膜には光触媒作用に対して不活性なアルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネシア、カルシア及びアモルファスのチタニアの少なくとも1種であるセラミックスが使用されている。さらに、この被膜には被膜を貫通する多数の細孔が全体に渡って形成されており、光触媒の一部がこの細孔を通じて外部に露出されるとともに、この細孔の孔径以下の物質は細孔を通過して被膜内へ入り込むことにより光触媒に吸着されるようになっている。そして、光触媒は光が照射された際、吸着した物質に対して強力な酸化還元力を発揮するようになっている。
【0013】
次に、上記被覆光触媒の製造方法について説明する。
さて、被覆光触媒を製造する際には、まず、前記セラミックスの前駆体である金属アルコキシドが酸触媒の存在下で多価アルコールによる親水化反応により親水化される。
【0014】
前記金属アルコキシドとしては、アルミニウム、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、チタニウム等のアルコキシド及びそれらの混合物のアルコキシドが挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールが挙げられる。この実施形態では金属アルコキシドとして、金属が珪素であるテトラエチルオルトシリケート(TEOS)が使用されて、多価アルコールとしては主にエチレングリコール(EG)が使用される。なお、テトラエチルオルトシリケートに代えて、テトラメチルオルトシリケート、テトラブチルオルトシリケート等を使用してもよい。このときの親水化反応の反応式を化3に示す。
【0015】
【化3】
Figure 0004531920
化3に示したように、TEOSは分子の末端の−Cが親水基である−COHに置換されることにより、親水化TEOSとなる。上記反応式から、4つのアルコキシ基の全てを置換するには、理論的にはTEOS1molに対してEGを2mol反応させる。TEOSに十分な親水性を付与するには4つのアルコキシ基のうち少なくとも2つのアルコキシ基の末端を置換すればよいため、TEOS1molに対してEGを1.5mol以上、2mol未満で反応させることが好ましい。EGが1.5mol未満の場合には、分子の末端の一部が置換されないTEOSが存在する可能性があるため十分な親水化が行われない。また、EGを2mol以上添加しても親水化反応に影響はない。
【0016】
親水化反応を開始するとき、TEOS及びEGを混合した液体は2層に分離した状態にあるが、反応後には無色透明で均一な液体となる。なお、この反応は常温でも進行するが、親水化TEOSの他に副生成物として生成されたエタノールを蒸発させて除去するために75〜80℃に加熱することが好ましい。
【0017】
さらに、上記TEOSの親水化反応時に多孔質化剤として有機高分子が添加されることにより膜材が調製される。添加される有機高分子としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、セルロース、セルロース誘導体等の水溶性ポリマーが挙げられる。この実施形態では、所定の分子量を有し、常温で液体であることから、膜材への添加が容易な分子量が400のポリエチレングリコール(PEG)が使用される。なお、有機高分子はTEOSの親水化反応後に添加してもよい。
【0018】
上記のようにして調製された膜材に対し、水が流速を調整しながら加えられて膜材水和液が調製された後、膜材水和液に光触媒が投入され、均一となるように混合されて混合スラリーが調製される。膜材に対して水を加えるときには、まず、膜材とほぼ等量となるまで水が緩やかに加えられる。この後、所定量となるまで水が素速く加えられる。このとき、等量となるまで水を加える時間と、所定量となるまで水を加える時間とがほぼ等しくなるように、最初は遅い流速で水が加えられ、この後は速い流速で水が加えられることにより、膜材が水中で均一に分散される。その後、膜材水和液に光触媒を加えて攪拌すると、液中において光触媒が均一に分散され、その表面が膜材により被覆される。
【0019】
なお、上記とは逆に水に対して膜材を加えた場合には、水に対する親水化TEOSの急激な水和反応により液体が白濁し、液中にコロイド状の粒子が形成されて膜材が均一に分散しないため、水に対して膜材を加える方法は好ましくない。
【0020】
上記混合スラリーを噴霧乾燥させ、粉末状の乾燥物を調製した後、この乾燥物を加熱焼成することによって被覆光触媒が製造される。
混合スラリーを噴霧乾燥するときには噴霧乾燥装置(スプレードライヤー)が使用される。噴霧乾燥装置は加熱状態の乾燥室内でノズルから混合スラリーを吹き出し、微粒子状の液滴にした状態でこの液滴を熱風に接触させることにより液滴を乾燥させ、膜材で被覆された光触媒よりなる粉末状の乾燥物を得る装置である。噴霧乾燥装置には微粒化装置の特徴によりディスクアトマイザー、二流体ノズル、四流体ノズル等の種類があり、光触媒の粒径に応じて使い分けされる。
【0021】
上記乾燥物は陶磁器製の焼成容器としてのコウ鉢(ムライト製)内に装填され、その状態で加熱焼成される。ここでコウ鉢の構成について説明する。
図1及び図2に示すように、コウ鉢11は上面が開口された四角箱状をなし、その内部には乾燥物15を収容するための収容室12が形成されている。収容室12内には格子状をなすステンレス鋼(SUS310S)製の仕切り板13が収納されており、仕切り板13により収容室12が複数の仕切室14に区分けされている。これら仕切室14内には装填された乾燥物15が収容されている。
【0022】
1つの仕切室14内に収容される乾燥物15の容量は30〜40cm3の範囲内であることが好ましい。容量が30cm3未満の場合には加熱焼成後に得られる被覆光触媒の量が少なく、不経済であり、40cm3よりも多い場合には加熱焼成が不十分となるおそれがある。このとき、乾燥物15よりなる層の厚みは10〜40mm程度とすることがさらに好ましい。
【0023】
仕切り板13と乾燥物15の間には隙間16が形成されており、この隙間16から乾燥物15に対し、加熱焼成に必要な酸素が十分に供給される。なお、図2では隙間16をわかりやすく示すため誇張して描かれており、実質上の隙間16は乾燥物15の各粒子と仕切り板13との間で形成される。
【0024】
乾燥物15を加熱焼成するときの反応式を化2に示す。
【0025】
【化4】
Figure 0004531920
化4に示したように、加熱焼成することにより分子中の有機分が焼失した親水化TEOSが焼結され、光触媒作用に対して不活性なシリカ(SiO)の膜がTiO粒子の表面に形成されて、TiO粒子が被覆される。このとき、親水化TEOSの有機分、膜材中に混入されたPEG等といった膜材中の有機物が焼失することにより膜の全面に多数の細孔が形成され、この実施形態の被覆光触媒が形成される。また、加熱焼成時に有機物が焼失することにより生ずる二酸化炭素は前記隙間16から外部に放出される。
【0026】
前記実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 上記した被覆光触媒の製造方法によれば、セラミックスの前駆体であるTEOSを親水化反応により親水化TEOSとしたことから、この親水化TEOSが調製された混合スラリー中においてTiO2とともに均一に分散される。このため、被膜に細孔をより均一に形成することができ、光触媒の機能を十分に維持することができるとともに、光触媒を担時する有機素材の劣化を抑制することができる被覆光触媒を製造することができる。
【0027】
・ 混合スラリーを噴霧乾燥することにより、濾過処理等により造粒を行わずとも、微粒子状の乾燥物を得ることができ、被覆光触媒をより短時間でさらに効率よく製造することができる。
【0028】
・ 膜材と水とを混合する際、最初は膜材に対し水を緩やかに加え、膜材と水とがほぼ等量となった後、膜材に対し水を素速く加えることにより、膜材を水に対してより均一に分散させることができる。加えて、膜材と水を混合した後、光触媒を加えて混合スラリーを調製することにより、混合スラリー中で光触媒がより均一に分散されるため、膜材により光触媒の表面をさらに均一に被覆することができる。
【0029】
・ コウ鉢11内を仕切り板13により複数の仕切室14に区画形成し、各仕切室14内で粉末状の乾燥物を加熱焼成することにより、仕切り板13と乾燥物の各粒子の間に形成された隙間から十分な酸素を供給することができるとともに、加熱焼成時に生ずる二酸化炭素を効率よく排気することができるため、膜材中の有機物を確実に燃焼させて均一な細孔を形成することができる。
【0030】
【実施例】
以下、参考例、実施例及び比較例を挙げ、前記実施形態をさらに具体的に説明する。なお、この発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1)
TEOS1molに対し、エチレングリコール(EG)2molを加え、これに塩酸0.4gを添加した後、加熱、攪拌してTEOSの親水化反応を行った。親水化反応においては、反応開始時には2層に分離した状態にあるTEOS及びEGが無色の均一な液体となったときが反応の終了とした。この得られた無色の均一な液体に水をゆっくりと添加し、攪拌した。これを参考例1の試料とした。
参考例2)
参考例1において、エチレングリコールに代え、ジエチレングリコールを使用し、同様の比率及び操作を行った。これを参考例2の試料とした。
参考例3)
参考例1において、エチレングリコールに代え、トリエチレングリコールを使用し、同様の比率及び操作を行った。これを参考例3の試料とした。
参考例4)
参考例1において、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールを任意の比で混合した混合溶液を使用し、同様の操作を行った。これを参考例4の試料とした。
(TEOSの親水化に使用する多価アルコールの評価)
参考例1〜4で得られた膜材の状態を目視により観察した。その結果、参考例1〜4は水と完全に混和し、無色で均一な膜材が得られた。この結果からTEOSの親水化にはエチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールのいずれを使用しても好適であることが示された。なお、親水化反応を行わずにTEOS1molに水をゆっくりと添加し、攪拌した場合も観察したが、この場合TEOS及び水は二層に分離したままで混和しなかった。
(実施例5)
<膜材水和液の調製工程>
容量が200lのポリエチレン製タンク内にTEOS(コルコート社製)を15kg、EGを6.5kg及び塩酸を30g投入した。これに対し、分子量400のポリエチレングリコール(PEG)を約15重量%となるように3.8kg加え、白濁が消え、無色透明で均一な液体となるまで攪拌して親水化TEOSよりなる膜材を得た。この後、25lの水をタンク内に0.8l/分の流速で供給し、白濁が消えた後、さらに167lの水をタンク内に6l/分の流速で供給して、水に対する親水化TEOSの濃度が約0.3mol/lの膜材水和液を調製した。
<混合スラリーの調製工程>
上記のようにして得られた膜材水和液にTiO(日本アエロジル社製の商品名P−25)を25kg加えて2時間攪拌して混合スラリーを調製した。その後、得られた混合スラリーの全量を容量が400lのアルミナ製ボールミルに投入し、直径が3mmのチタニアボールを使用して16時間湿式粉砕を行った。このとき、混合スラリー中におけるTiOの平均粒径は0.5μmとなった。
<噴霧乾燥工程>
上記のようにして得られた混合スラリーを噴霧装置にディスク回転型噴霧装置(ニロアトマイザー社製)を使用した空気加熱型スプレードライヤー(マツボー社製)に投入し、噴霧乾燥を行った。このとき、ディスクを18000回転、熱風の入口での温度を320℃、出口での温度を110℃に設定した。このようにして、混合スラリーから32kgの粉末状の乾燥物を得た。
<加熱焼成工程>
上記の乾燥物15を、図1及び図2に示すような仕切り板13が内部に収容されたコウ鉢11の各仕切室14内にそれぞれ36cmずつ装填し、都市ガス型焼成炉(ナリタテクノ社製)を使用して、500℃で16時間加熱焼成を行い、被覆光触媒を得た。このとき得られた被覆光触媒の全重量は27kgであり、平均粒径は14μmであった。これを実施例5の試料とした。
(実施例6)
<膜材水和液の調製工程>
容量が200lのポリエチレン製タンク内にTEOS(コルコート社製)を5kg、EGを2.2kg及び塩酸を10g投入し、分子量400のポリエチレングリコール(PEG)を約15重量%となるように1.3kg加えて、白濁が消え、無色透明で均一な液体となるまで攪拌した。この後、10lの水をタンク内に0.3l/分の流速で供給し、白濁が消えた後、さらに182lの水をタンク内に6l/分の流速で供給して、水に対する親水化TEOSの濃度が約0.1mol/lの膜材水和液を調製した。
【0031】
上記のようにして得られた膜材水和液に対し、実施例5と同様に混合スラリーの調製工程、噴霧乾燥工程及び加熱焼成工程を実施した。このとき、噴霧乾燥工程で得た乾燥物の全重量は30kgであり、加熱焼成工程で得た被覆光触媒の全重量は25kgであり、平均粒径は14μmであった。これを実施例6の試料とした。
(実施例7)
実施例5と同様に膜材水和液の調製工程を実施した。その後、参考例1と同様に混合スラリーを調製し、直径が3mmのチタニアボールを充填した容量が20lの湿式粉砕機アトライター(三井鉱産社製)を使用して、TiOの平均粒径が0.5μmとなるように6時間湿式粉砕を行った。そして、実施例5と同様に噴霧乾燥工程及び加熱焼成工程を実施して平均粒径が14μmの被覆光触媒を得た。これを実施例7の試料とした。
(実施例8)
実施例6と同様に膜材水和液の調製工程を実施した。その後、実施例7と同様に混合スラリーを調製し、湿式粉砕を行った。そして、実施例5と同様に噴霧乾燥工程及び加熱焼成工程を実施して平均粒径が14μmの被覆光触媒を得た。これを実施例8の試料とした。
(実施例9)
実施例5と同様に膜材水和液の調製工程及び混合スラリーの調製工程を実施した。その後、噴霧装置に二流体ノズル型噴霧装置(アンハイドロ社製)を使用し、ノズル圧を6kg/cmに設定するとともに、熱風の温度が実施例5と同様に設定された空気加熱型スプレードライヤーに投入して噴霧乾燥を行った。そして、実施例5と同様に加熱焼成工程を実施して平均粒径が8μmの被覆光触媒を得た。これを実施例9の試料とした。
(実施例10)
実施例6と同様に膜材水和液の調製工程及び混合スラリーの調製工程を実施した。その後、実施例9と同様に噴霧乾燥を行った。そして、実施例5と同様に加熱焼成工程を実施して平均粒径が8μmの被覆光触媒を得た。これを実施例10の試料とした。
(実施例11)
実施例5と同様に膜材水和液の調製工程及び混合スラリーの調製工程を実施した。その後、噴霧装置に四流体ノズル型噴霧装置(藤崎電機社製)を使用した空気加熱型スプレードライヤーにて、ノズル圧及び熱風の温度を実施例9と同様に設定して噴霧乾燥を行った。そして、実施例5と同様に加熱焼成工程を実施して平均粒径が2.6μmの被覆光触媒を得た。これを実施例11の試料とした。
(実施例12)
実施例6と同様に膜材水和液の調製工程及び混合スラリーの調製工程を実施した。その後、実施例11と同様に噴霧乾燥を行った。そして、実施例5と同様に加熱焼成工程を実施して平均粒径が2.6μmの被覆光触媒を得た。これを実施例12の試料とした。
(実施例13)
実施例5と同様に膜材水和液の調製工程、混合スラリーの調製工程及び噴霧乾燥工程を実施した。その後、仕切り板13を省略したコウ鉢11の収容室12内に乾燥物15を充填し、実施例5と同様に加熱焼成を行い、被覆光触媒を得た。このとき得られた被覆光触媒の全重量は27kgであった。これを実施例13の試料とした。
(被覆光触媒の性能評価)
実施例5〜13で得られた1gの試料を100ppmのアセトアルデヒドが循環する系内に放置した。これら各試料に紫外線強度が1.3mW/cmの紫外線を照射し、一定時間ごとにガスクロマトグラフを使用して定量することにより、アセトアルデヒドの分解能力を測定した。
【0032】
次に、これら試料をウレタン樹脂に混合し、これをガラス板に塗布した。これら試料に対し、耐光試験機を使用して紫外線強度が15mW/cm2の紫外線を照射し、一定時間ごとに重量測定を行ってウレタン樹脂の残存量を求めた。
【0033】
そして、多孔質セラミックスの被膜により被覆しない状態のTiO2粒子に対し、上記と同様にしてアセトアルデヒドの分解能力及びウレタン樹脂の残存量を求め、各試料との比較を行った。
【0034】
その結果、実施例5〜12はアセトアルデヒドの分解能力の測定では70分後にアセトアルデヒドを1ppmまで分解し、ウレタン樹脂の残存量の測定では100時間後に90%の樹脂が残存していた。これに対し、実施例13ではアセトアルデヒドの分解能力の測定ではアセトアルデヒドをほとんど分解せず、ウレタン樹脂の残存量の測定では100時間後に90%の樹脂が残存していた。また、被膜により被覆しない状態のTiO2粒子はアセトアルデヒドの分解能力の測定ではアセトアルデヒドをほとんど分解し、ウレタン樹脂の残存量の測定では100時間後にウレタン樹脂がほとんど残存していなかった。
【0035】
この結果から実施例5〜12の被覆光触媒は樹脂の劣化を効果的に抑制しつつ、高度な光触媒作用を有することが示された。また、実施例13の結果から、仕切り板13を省略して加熱焼成を行った場合、酸素の供給及び二酸化炭素の排気が十分に行われないため膜材中の有機物が十分に燃焼せず、セラミック膜の表面に細孔が形成されないことが示された。
(実施例14)
実施例5と同様にTEOS、EG及び塩酸を投入した後、分子量400のPEGを約25重量%となるように加え、この後、実施例5と同様に膜材水和液を調製した後、混合スラリーの調製工程、噴霧乾燥工程及び加熱焼成工程を実施した。これを実施例14の試料とした。
(実施例15)
実施例5と同様にTEOS、EG及び塩酸を投入した後、分子量400のPEGを約10重量%となるように加え、この後、実施例5と同様に膜材水和液を調製した後、混合スラリーの調製工程、噴霧乾燥工程及び加熱焼成工程を実施した。これを実施例15の試料とした。
(PEG添加量の変化による被覆光触媒の性能評価)
実施例14及び15で得られた試料を前記被覆光触媒の性能評価と同様の方法でアセトアルデヒドの分解能力及びウレタン樹脂の残存量を測定した。その結果、実施例15は実施例14と比較してウレタン樹脂の残存量は少ないが、アセトアルデヒドの分解能力は高いことが示された。このため、PEG添加量により、樹脂の劣化を抑制する機能と光触媒機能とを制御することができることが示された。
【0036】
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 混合スラリーを調製するとき、水に光触媒を添加してスラリーを調製した後、膜材に対してこのスラリー添加して混合スラリーを調製してもよい。
【0037】
・ 前記焼成容器は陶磁器製のコウ鉢11に限定されず、例えば仕切り板13と同様のステンレス鋼より形成された四角形状の箱、有底円筒状の筒等としてもよい。
【0038】
・ 膜材を調製する際、多孔質化剤としてPEG等の水溶性ポリマー以外に有機側鎖を有するシラン系アルコキシドであるA−187(日本ユニカ社製シランカップリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を使用してもよい。このように構成した場合、PEGの使用量を低減するか、あるいはPEGを使用せずとも多孔質セラミックスの被膜を形成することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。
請求項1〜4に記載の発明の多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法によれば、被膜に細孔をより均一に形成することができ、光触媒の機能を十分に維持することができるとともに、光触媒を担時する有機素材の劣化を抑制することができる。
【0043】
請求項2に記載の発明の多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、スラリーから微粒子状の粉末を直接得ることができ、多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒を短時間で効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ムライト製のコウ鉢を示す斜視図。
【図2】 図1の2−2線における断面図。
【符号の説明】
11…焼成容器としてのコウ鉢、13…仕切り板、14…仕切室。

Claims (4)

  1. 光触媒の表面を、光触媒作用に対して不活性で、かつ多数の細孔を有する多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法であって、
    セラミックスの前駆体である金属アルコキシド1molに対して多価アルコールを1.5mol以上、2mol未満を添加した親水化反応により親水化して膜材を調製するとともに、この膜材に対して水と光触媒を添加して混合スラリーを調製し、この混合スラリーを乾燥させ、乾燥物を調製した後、この乾燥物を加熱焼成する多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法。
  2. 前記乾燥物は、混合スラリーを噴霧乾燥装置を使用して噴霧乾燥することにより得られる粉末である請求項1に記載の多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法。
  3. 前記金属アルコキシドは、アルミニウム、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、チタニウムのアルコキシド及びそれらの混合物のアルコキシドである請求項1に記載の多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法。
  4. 前記親水化反応は、下記一般式(1)で表されるものであることを特徴とする請求項1に記載の多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法。
    Figure 0004531920
JP2000102459A 2000-04-04 2000-04-04 多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法 Expired - Fee Related JP4531920B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000102459A JP4531920B2 (ja) 2000-04-04 2000-04-04 多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000102459A JP4531920B2 (ja) 2000-04-04 2000-04-04 多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001286728A JP2001286728A (ja) 2001-10-16
JP4531920B2 true JP4531920B2 (ja) 2010-08-25

Family

ID=18616337

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000102459A Expired - Fee Related JP4531920B2 (ja) 2000-04-04 2000-04-04 多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4531920B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002249512A (ja) * 2001-02-27 2002-09-06 Sekisui Chem Co Ltd 微粒子粉末の製造方法及び微粒子粉末
JP5065636B2 (ja) * 2006-08-11 2012-11-07 関西ペイント株式会社 光半導体微粒子の製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08196903A (ja) * 1995-01-24 1996-08-06 Agency Of Ind Science & Technol 多孔質光触媒及びその製造方法
JPH09276706A (ja) * 1996-04-17 1997-10-28 Agency Of Ind Science & Technol 光触媒粒子及びその製造方法
JPH11197513A (ja) * 1998-01-13 1999-07-27 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 複合光触媒微粒子およびその製造方法ならびに有機物成形体
JPH11290692A (ja) * 1998-04-06 1999-10-26 Agency Of Ind Science & Technol 光触媒及びその製造方法並びに光触媒含有成形体及びその製造方法
JP2000001631A (ja) * 1998-04-14 2000-01-07 Agency Of Ind Science & Technol 光触媒を含む塗料組成物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08196903A (ja) * 1995-01-24 1996-08-06 Agency Of Ind Science & Technol 多孔質光触媒及びその製造方法
JPH09276706A (ja) * 1996-04-17 1997-10-28 Agency Of Ind Science & Technol 光触媒粒子及びその製造方法
JPH11197513A (ja) * 1998-01-13 1999-07-27 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 複合光触媒微粒子およびその製造方法ならびに有機物成形体
JPH11290692A (ja) * 1998-04-06 1999-10-26 Agency Of Ind Science & Technol 光触媒及びその製造方法並びに光触媒含有成形体及びその製造方法
JP2000001631A (ja) * 1998-04-14 2000-01-07 Agency Of Ind Science & Technol 光触媒を含む塗料組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001286728A (ja) 2001-10-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3852284B2 (ja) 光触媒機能を有する機能材の製造方法およびそのための装置
JP3454817B2 (ja) 可視光応答性塗料、塗膜及び物品
ES2209182T3 (es) Uso de una composicion fotocatalitica para eliminar sustancias nocivas del aire.
JP4686536B2 (ja) 光触媒、その製造方法、光触媒を含有する分散液および光触媒塗料組成物
JP2012192323A (ja) 浄化材及びその製造方法
US20090156394A1 (en) Inorganic sintered material containing photocatalyst covered with silicon oxide film
CA2643730C (en) Visible light-responsive photocatalyst, method for producing same, photocatalyst coating agent using same, and photocatalyst dispersion
JP4531920B2 (ja) 多孔質セラミックスの被膜により被覆した光触媒の製造方法
JP2945926B2 (ja) 光触媒粒子及びその製造方法
JPH11290692A (ja) 光触媒及びその製造方法並びに光触媒含有成形体及びその製造方法
JP2002045650A (ja) 調湿・光触媒内装壁材及びその製造方法並びに調湿・光触媒内装壁材用コーティング組成物
JP4540971B2 (ja) 中性酸化チタンゾルおよびその製造方法
JP5358433B2 (ja) 複合体及びその製造方法並びにそれを含む組成物
JP2008043829A (ja) 酸化珪素膜で被覆された光触媒を含有する調湿セラミックス材料
JP3978636B2 (ja) 光触媒膜形成用コーティング組成物
JP2010150434A (ja) 耐候性・耐汚染性エマルション塗料の製造方法とその塗膜
JP2004305947A (ja) アナターゼ形酸化チタン光触媒担持シリカゲル及びその製法
JP2003024748A (ja) 光触媒性反応装置
JP2008221111A (ja) 光触媒フィルタ及びその製造方法
RU2482912C1 (ru) Способ получения фильтрующе-сорбирующего материала с фотокаталитическими свойствами
JP6685328B2 (ja) 光触媒コーティングされた顆粒およびそれを作る方法
JP3806998B2 (ja) 光触媒組成物とその形成剤および光触媒組成物付き基体
Kim et al. Preparation of TiO 2/SiO 2 hollow spheres and their activity in methylene blue photodecomposition
JP4296533B2 (ja) 窒素酸化物除去性能にすぐれた酸化チタン光触媒
JP2003170061A (ja) 多孔質光触媒

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040409

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20070226

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070306

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20070226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070404

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070605

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070803

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090707

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090904

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100511

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100610

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130618

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees