JP4296533B2 - 窒素酸化物除去性能にすぐれた酸化チタン光触媒 - Google Patents

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Description

【0001】
【従来の技術】
光触媒は、その表面に光が当たると脱臭、分解、殺菌、抗菌などの機能を発現する物質である。酸化チタンなどの光半導体は、そのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光を照射すると伝導帯に電子を、価電子帯に正孔を生じる。その生成した電子及び正孔は、水と酸素の存在下で酸化、還元反応を起こし、主に酸化によって大気中の汚染物質の分解や脱臭、殺菌作用などを示すようになる。
近年工場や自動車などから大気中に排出される窒素酸化物を微粒子状アナタース形酸化チタンの光触媒能による酸化作用を用いて、低減する試みが種々なされている。これは、光触媒の酸化作用によりNOが一旦NO2 に酸化され、次にこのNO2 をNO3 - まで酸化し、このNO3 - を降雨等による水との反応により硝酸として回収し、大気中の窒素酸化物を低減させる試みである。しかし、その際問題となるのが、酸化過程の途中で生成するNO2 である。酸化チタン光触媒ではこのNO2 を、NO3 - まで酸化せずNO2 で排出してしまうことがしばしば確認されている。例えば、特開平10−174881は、酸化チタンの光触媒能を使って、有害物質の除去、特に窒素酸化物の除去を目的にしたものであるが、NOの除去に関しては記載があるものの、NO2 の生成に関しての記載はない。NO2 は、その毒性の高さから環境基準が厳しく定められている化合物であるが、従来の酸化チタンの光触媒能のみではNOの低減はできても、NO3 - に酸化される前に光触媒から脱離した毒性の高いNO2 が、そのまま自然界に排出されてしまうという問題があった。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来の微粒子状アナタース形酸化チタンでは、NOの酸化によって生じるNO2 を生成させることなく、長期的かつ効果的に窒素酸化物を除去することは困難であった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、酸化チタンの表面に水和酸化銅をCuO 換算でTiO2 に対して0.1〜30wt%、好ましくは0.5〜5.0wt%被覆することにより、従来の未被覆微粒子状アナタース形酸化チタンより窒素酸化物の除去能に優れ、NOの酸化によって生成されるNO2 を低減することができる(以下本効果)酸化チタン光触媒の開発に成功した。水和酸化銅の被覆量があまり少ないと、当然のことながら本効果は認められなかった。また、あまり多いと水和酸化銅が、酸化チタン表面全体を覆ってしまうため、酸化チタンと窒素酸化物との接触が妨げられるため本効果はやはり低下した。
【0004】
更に、光触媒のpHを7〜9、好ましくはpHを8〜9にする事により本効果がいっそう向上することを見いだした。pHが弱塩基領域にあると、光触媒体への窒素酸化物の吸着能が増大し、酸化チタンの活性サイトに、より被酸化物を近づける役割をしていると考えられた。ここでのpHとは粉体状の光触媒を水に懸濁させた液のpHを意味し、実際はJIS K5116に規定されている方法で測定した。
【0005】
本発明の光触媒は、窒素酸化物を吸着する能力が被覆していない酸化チタンより優れており、また、本発明の光触媒体は、繰り返しその光触媒能の評価をしても、光触媒能の低下は観測されなかった。このことより、本発明の光触媒の水和酸化銅は、単に窒素酸化物を吸着しているのではなく、酸化チタンの光触媒能を助ける役割も果たしていると考えられる。しかし、その機構などの詳細については分かっていない。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における、光触媒としては、光触媒能が優れ、かつ低コストで人体に対する害が少ないという理由から、酸化チタンが用いられる。光触媒能を有する酸化チタンとしては、例えば、二酸化チタン、含水酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸、低次酸化チタンなどいずれもが使用可能である。酸化チタンの結晶形としては、無定形、アナタース形、ルチル形、ブルッカイト形のいずれでも良いが、特に光触媒能が高いアナタース形が望ましい。この酸化チタンの粒子径としては、X線回折で求められる結晶粒子径が1〜100nm、特に5〜20nmの範囲内が好ましい。
【0007】
本発明における、水和酸化銅の被覆方法は特に限定されない。一般的にはコスト、被覆状態から湿式法によって行われる。これは、四塩化チタンまたは硫酸チタニルの熱加水分解によって得られるメタチタン酸の水性スラリーか、または既成の未被覆酸化チタンの水性スラリーから出発する。このスラリーへ水溶性銅化合物を添加し、酸又は、塩基による中和反応により水和酸化銅を析出させ、析出した水和酸化銅により酸化チタン粒子の被覆を行う。水溶性銅化合物としては、水溶性のものであればいずれでも良く、硫酸塩、塩化物、硝酸塩、酢酸塩などが挙げられる。中和反応に用いる酸、塩基としては、硫酸、塩酸、硝酸、水酸化ナトリウム、アンモニア水などが使用できる。また、光触媒粒子の懸濁液の濃度、水溶性銅化合物を水溶液として用いるときの濃度、中和反応に用いる酸、塩基の濃度は適宜設定することができる。
【0008】
本発明の光触媒体は、光触媒能を有する酸化チタン粒子をコアとし、これにCuO換算した水和酸化銅のTiO2 に対する重量比が0.1〜30wt%、好ましくは、0.5〜5.0wt%となるように水和酸化銅を被覆した物である。
【0009】
また、光触媒体のpHは、7.0〜9.0、好ましくは8.0〜9.0が好ましい。pHが弱塩基領域にあると、光触媒体への窒素酸化物の吸着能が増大し、酸化チタンの活性サイトに、より被酸化物を近づける役割をしていると考えられ、光触媒体の窒素酸化物除去能が向上した。
【0010】
本発明の光触媒は、窒素酸化物の存在下、該光触媒にそのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ波長の光の照射と、水及び酸素が供給され続ける限り窒素酸化物を除去する能力を有する。本発明の光触媒は、使用場面に応じて、金属、セラミックス、ガラス等の無機物、ポリマー、布、紙、板やそれらの原料繊維等の有機物からなる支持体に、必要に応じてバインダーを用いて浸漬、塗布、吹きつけ、溶射、圧着等の手段により保持あるいは被覆した状態、あるいは、該粉末をカプセルに内包した状態で用いることもできる。前記支持体の大きさ、形状、色相などは特にとらわれる必要が無く、用途に応じてどのような物でも用いることができる。また、前記バインダーとしては、アルキルシリケート、フッ素系ポリマー、シリコン系ポリマー等を用いることができる。バンドギャップ以上のエネルギーを持つ光としては、紫外線を含んでいる光が好ましく、太陽光、蛍光灯、ブラックライト、水銀灯などを用いることができるが特に限定されるものではない。
【0011】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0012】
光触媒の作成方法
実施例1
硫酸チタニル水溶液を熱加水分解、ろ過、洗浄してメタチタン酸スラリーを作成し、このメタチタン酸スラリー(TiO2 換算で200g/L)500mLを40℃まで昇温した溶液に、硫酸銅5水和物3.1gを水20gに溶解させた水溶液を添加した。40℃で30分間撹拌後、28%アンモニア水溶液でpH=6.8に調節を行った。その後40℃で30分撹拌し、濾過、水洗を行い、得られたケーキをスラリー(TiO2 換算で100g/L)にし80℃に昇温後28%アンモニア水溶液でpH=9.0に調整し80℃で30分撹拌を行った。その後濾過、水洗を行い、得られたケーキを110℃で乾燥し、ミキサーを用いて粉砕を行い、実施例1の光触媒を得た。得られた粉体の特性を表1にまとめて示す。
【0013】
実施例2
実施例1において、硫酸銅5水和物を0.31gとした以外は実施例1と同様に処理して実施例2の光触媒を得た。得られた粉体の特性を表1にまとめて示す。
【0014】
実施例3
実施例1と同様の方法でメタチタン酸スラリーを作成した。このメタチタン酸スラリー(TiO2 換算で200g/L)1000mLを40℃まで昇温した溶液に、28%アンモニア水溶液を加えてpH=7.0に調節を行い、40℃で30分撹拌した。その後濾過、水洗を行い、得られたケーキを110℃で乾燥後、450℃で2時間焼成した。焼成した粉体をミキサーを用いて粉砕した。この得られた酸化チタンをスラリー(TiO2 換算で200g/L)500mLとし、硫酸銅5水和物3.1gを水20gに溶解させた水溶液を添加した。40℃で30分間撹拌後、28%アンモニア水溶液でpH=6.8に調節を行った。その後40℃で30分撹拌し、濾過、水洗を行い、得られたケーキをスラリー(TiO2 換算で100g/L)にし80℃に昇温後28%アンモニア水溶液でpH=9.0に調整し80℃で30分撹拌を行った。その後濾過、水洗を行い、得られたケーキを110℃で乾燥し、ミキサーを用いて粉砕を行い、実施例3の光触媒を得た。得られた粉体の特性を表1にまとめて示す。
【0015】
実施例4
硫酸チタニル水溶液を熱加水分解してメタチタン酸スラリーを作成し、このメタチタン酸スラリー(TiO2 換算で200g/L)500mLを40℃まで昇温した溶液に、硫酸銅5水和物3.1gを水20gに溶解させた水溶液を添加した。40℃で30分間撹拌後、28%アンモニア水溶液でpH=6.8に調節を行った。その後40℃で30分撹拌し、濾過、水洗を行い、得られたケーキをスラリー(TiO2 換算で100g/L)にし80℃に昇温後28%アンモニア水溶液でpH=7.0に調整し80℃で30分撹拌を行った。その後濾過、水洗を行い、得られたケーキを110℃で乾燥し、得られた粉末をミキサーを用いて粉砕を行い、実施例4の光触媒体を得た。得られた粉体の特性を表1にまとめて示す。
【0016】
比較例1
実施例1において、硫酸銅水溶液を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に処理して比較例1の光触媒体を得た。得られた粉体の特性を表1にまとめて示す。
【0017】
比較例2
実施例1において、硫酸銅5水和物316gを2000mlの水に溶解させた以外は実施例1と同様に処理して比較例2の光触媒を得た。得られた粉体の特性を表1にまとめて示す。
【0018】
比較例3
硫酸チタニル水溶液を熱加水分解してメタチタン酸スラリーを作成し、このメタチタン酸スラリー(TiO2 換算で200g/L)1000mLを40℃まで昇温した溶液に、28%アンモニア水溶液を加えてpH=7.0に調節を行い、40℃で30分撹拌した。その後濾過、水洗を行い、得られたケーキを110℃で乾燥後、700℃で2時間焼成した。焼成した粉体をミキサーを用いて粉砕した。この得られた酸化チタンをスラリー(TiO2 換算で200g/L)500mLとし、硫酸銅5水和物3.1gを水20gに溶解させた水溶液を添加した。40℃で30分間撹拌後、28%アンモニア水溶液でpH=6.8に調節を行った。その後40℃で30分撹拌し、濾過、水洗を行い、得られたケーキをスラリー(TiO2 換算で100g/L)にし80℃に昇温後28%アンモニア水溶液でpH=9.0に調整し80℃で30分撹拌を行った。その後濾過、水洗を行い、得られたケーキを110℃で乾燥し、ミキサーを用いて粉砕を行い、比較例3の光触媒を得た。得られた粉体の特性を表1にまとめて示す。
【0019】
光触媒混合塗料を塗布した金属板
実施例5
200mLマヨネーズ瓶に実施例1の光触媒9.3gとバインダーとしてKP−854(信越化学製、シリカ系バインダー、固形分22.8%、商品名)40.7gを入れ、ガラスビーズ(直径1.5mm)200gを加えペイントコンディショナー(レッドデビル社製、Model No.5400)により700rpmで1時間分散した後、金属板(HT板、5cm×10cm)にバーコーター(安田精機製作所製、オートマチックフィルムアプリケーター No.542−AB型)により膜厚が約10μmになるように塗布し、110℃、1時間乾燥した。
【0020】
実施例6
実施例5において、実施例1の粉体に変えて実施例2の粉体を用いたことを除き、実施例5と同様にして酸化チタン配合塗料を塗布した金属板を作成した。
【0021】
実施例7
実施例5において、実施例1の粉体に変えて実施例3の粉体を用いたことを除き、実施例5と同様にして酸化チタン配合塗料を塗布した金属板を作成した。
【0022】
実施例8
実施例5において、実施例1の粉体に変えて実施例4の粉体を用いたことを除き、実施例5と同様にして酸化チタン配合塗料を塗布した金属板を作成した。
【0023】
比較例4
実施例5において、実施例1の粉体に変えて比較例1の粉体を用いたことを除き、実施例5と同様にして酸化チタン配合塗料を塗布した金属板を作成した。
【0024】
比較例5
実施例5において、実施例1の粉体に変えて比較例2の粉体を用いたことを除き、実施例5と同様にして酸化チタン配合塗料を塗布した金属板を作成した。
【0025】
比較例6
実施例5において、実施例1の粉体に変えて比較例3の粉体を用いたことを除き、実施例5と同様にして酸化チタン配合塗料を塗布した金属板を作成した。
【0026】
酸化チタン混合セメントを塗布したスレート板
実施例9
セメント(太平洋セメント製)26gと実施例1で得られた光触媒4gをミキサーにてよく混合し、水8gを加えよく混ぜた。得られたセメントモルタルを乾燥後の固形分が7.0gとなるようにスレート板(5cm×10cm)に塗り、110℃で15分乾燥し酸化チタン配合セメントを塗布したスレート板を作成した。
【0027】
実施例10
実施例9において、実施例1の粉体に変えて実施例2の粉体を用いたことを除き、実施例9と同様にして酸化チタン配合セメントを塗布したスレート板を作成した。
【0028】
実施例11
実施例9において、実施例1の粉体に変えて実施例3の粉体を用いたことを除き、実施例9と同様にして酸化チタン配合セメントを塗布したスレート板を作成した。
【0029】
実施例12
実施例9において、実施例1の粉体に変えて実施例4の粉体を用いたことを除き、実施例9と同様にして酸化チタン配合セメントを塗布したスレート板を作成した。
【0030】
比較例7
実施例9において、実施例1の粉体に変えて比較例1の粉体を用いたことを除き、実施例9と同様にして酸化チタン配合セメントを塗布したスレート板を作成した。
【0031】
比較例8
実施例9において、実施例1の粉体に変えて比較例2の粉体を用いたことを 除き、実施例9と同様にして酸化チタン配合セメントを塗布したスレート板を作成した。
【0032】
比較例9
実施例9において、実施例1の粉体に変えて比較例3の粉体を用いたことを除き、実施例9と同様にして酸化チタン配合セメントを塗布したスレート板を作成した。
【0033】
【表1】
Figure 0004296533
【0034】
光触媒の分析方法
結晶形及び結晶粒子径は、X線回折((株)リガク製 RAD-IIB)にて測定した。
CuOの被覆量は、蛍光X線((株)リガク製 3270E)で測定した。pHは、JIS K 5116に従い測定した。
【0035】
粉体の窒素酸化物除去性能評価方法
実施例及び比較例で得られた粉体サンプル0.5gをシャーレ(面積13.8cm2)にとり、そこに純水10mLを加えて超音波で十分に分散させたのち110℃で1時間乾燥させた。その後以下の方法で光触媒能を評価した。
【0036】
光触媒能評価は、まず上記光触媒を塗布したシャーレ(13.8cm2、1枚)を内容積450cm3 (30cm×5cm×3cm)の反応容器内にセットし、光の照射がない状態でNOの標準ガス(濃度2000ppm程度)を空気で1.0ppmに希釈したNOガスをガス流量0.8L/分で15分間流し、NOガスの濃度が安定(吸着が平衡に達した)したことを確認した後、光照射を開始した。光源は10Wブラックライトを用い、試料表面の紫外線強度が2.0mW/cm2 になるように光源から試料までの距離を設定した。測定は光照射開始時から、10分おきにNOとNO2 ガス濃度変化を記録し1時間測定を行った。NOとNO2 の濃度測定は、化学発光式NOx計(堀場製作所製、商品名APNA−360)を用いた。実施例と比較例の触媒能の結果は表2に示す。
【0037】
塗膜での窒素酸化物の除去能の評価方法
光触媒能の評価は、反応容器内にセットした光触媒塗布済みシャーレを光触媒混合塗料を塗布した金属板(5cm×10cm)に変えた以外は、粉体の評価方法と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0038】
セメントでの窒素酸化物除去能の評価方法
光触媒能の評価は、反応容器内にセットした光触媒を塗布したシャーレを光触媒混合セメントを塗布したスレート板(5cm×10cm)に変えた以外は、粉体の評価方法と同様にして評価した。結果を表2に示す。
【0039】
一酸化窒素の除去量と二酸化窒素及び硝酸イオンの生成量は、以下の式により算出した。
NO除去量=(f/22.4)∫([NO]0 −[NO])dt
NO2 生成量=(f/22.4)∫([NO2])dt
NO3 生成量=NO除去量−NO2 生成量
f :標準状態(0℃、1.013hPa)に換算した空気流量(L/min)
[NO]0 :一酸化窒素の供給濃度(vol ppm)
[NO] :試験容器出口における一酸化窒素濃度(vol ppm)
[NO2] :試験容器出口における二酸化窒素濃度(vol ppm)
t :除去操作の時間(min)
【0040】
【表2】
Figure 0004296533
【0041】
NO2 の生成は、低い値の方が良く、NO3 の生成は、高い値の方がよい。今回の評価において、作成した光触媒の実施例と比較例とを比べると、水和酸化銅を被覆することにより、NO2 とNO3 の値は良好な値を示している。特に、NO2 の低減は、顕著であり実施例1と比較例1を比べてみても、水和酸化銅で酸化チタンを被覆する事により、NO2 の生成は約4分の1にまで低減されている。
【0042】
前にも述べたが、本発明の光触媒は窒素酸化物を吸着する能力が水和酸化銅を被覆していない酸化チタンより優れており、さらに光触媒のpHを弱塩基性領域にすることで窒素酸化物の吸着能を更に高めることができた。これにより、酸化チタンの窒素酸化物の吸着量が増大したため、より多くの被酸化物を酸化チタンの活性サイトに近づけられるために触媒能が向上したと考えられる。また、本発明の光触媒は、繰り返しその光触媒能の評価をしても、光触媒能の低下は観測されなかったことより被覆した水和酸化銅は、単に窒素酸化物を吸着しているのではなく、酸化チタンの光触媒能を助ける役割もしていると考えられる。しかし、その機構などの詳細については分かっていない。
【0043】
今回の実施例において作成した光触媒は、窒素酸化物に対して、非常に高い光触媒能を有していることがわかった。今回は、塗料及びセメントへ本発明の光触媒を混合・評価し、従来の光触媒用酸化チタンより高いNOガス除去能とNOの酸化によって生成されるNO2 の低減が確認された。このことから、前述した現在考えられている他の除去方法に本発明の光触媒用いても、今回と同様の効果が得られるものと推測される。

Claims (5)

  1. 微粒子酸化チタンの表面に、TiO2 に換算した酸化チタンに対しCuOに換算して0.1〜30wt%の水和酸化銅を被覆してなり、被覆後の微粒子酸化チタンの結晶子径が100nm以下である窒素酸化物除去用酸化チタン光触媒。
  2. CuOに換算した水和酸化銅の被覆量が0.5〜5.0wt%である請求項1の酸化チタン光触媒。
  3. 微粒子酸化チタンの結晶形がアナタース形である請求項1または2の酸化チタン光触媒。
  4. 被覆後の微粒子酸化チタンのpHが7〜9である請求項1ないし3のいずれかの酸化チタン光触媒。
  5. 請求項1ないし4のいずれかの酸化チタン光触媒を支持体に固定してなる窒素酸化物除去用光化学リアクター。
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