JP2008044850A - 酸化珪素膜で被覆された光触媒を含む抗菌消臭噴霧液 - Google Patents

酸化珪素膜で被覆された光触媒を含む抗菌消臭噴霧液 Download PDF

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Abstract

【課題】 脱臭、抗菌作用等という要求を満足できる光触媒機能を保持しながら、光触媒と接触するバインダー、樹脂板や繊維等の有機重合体でできた基材の分解、劣化を抑制した光触媒を含有した抗菌消臭噴霧液を提供する。
【解決手段】 光触媒活性を有する基体と、該基体を被覆する、実質的に細孔を有さない酸化珪素膜とを有しアルカリ金属含有量が1ppm以上、1000ppm以下である光触媒を使用する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、酸化珪素膜で被覆された光触媒を含有した抗菌消臭噴霧液に関する。
大気中における香りや、窒素酸化物、アンモニア等の無機化合物、有機ハロゲン、アルデヒド類、低級脂肪酸等の有機化合物等の臭気あるいは汚染物質に対する関心は近年益々高くなってきている。特に消臭を目的としたスプレーは、その手軽さがうけて多用されている。その主成分としては、安全性と自然志向の面から天然物質系の消臭成分が主に使用されている。これら天然物質系の成分は、消臭作用が明確でないものもあるが化学的消臭作用を利用したものが多い。化学的消臭作用は、化学反応たとえば悪臭成分を中和、酸化、還元反応などにより無臭化していくもので、ある程度の速効性は期待できるが、各種悪臭成分に対しての消臭が必要であり、1回の処理で持続性のある消臭効果は望めないという問題がある。また、持続効果のある脱臭剤としては、触媒系脱臭剤や人工酵素も開発されているが、加工方法が限定され、脱臭製品の形態も限られるのが実情である。
このような現状において、触媒作用が強く、脱臭効果も大きく、しかも無色で無毒の酸化チタン光触媒を用いる試みが近年なされている。光触媒とは、結晶性酸化チタンにバンドギャップ以上のエネルギーを有する波長の光を当てると、光励起されて電子と正孔ができ、この電子及び正孔により酸化チタン表面にスーパーオキシドや水酸ラジカルが生成し強い酸化力を発現する物質である。この光触媒反応を利用して、酸化チタンに吸着された汚染成分や悪臭成分を酸化分解して無害化したり、さらには油等の有機物を分解して二酸化炭素と水に変えるといういわゆる防汚効果や殺菌効果を基材に付与することが知られている。
結晶性酸化チタン、特にアナターゼ型の酸化チタンは、光触媒反応に基づいて種々の優れた作用を示すので、バインダー等により基材に光触媒を固定させて、防汚、脱臭、抗菌作用を付与する方法や有機重合体等の基材表面に光触媒が含有、分散されている膜を形成した複合材が開発されている。
しかし光触媒は、バインダーや塗膜構成成分を、さらには基材が樹脂板や繊維等の有機化合物の場合には基材自体も、光触媒作用により分解してしまう。バインダーや塗膜構成成分が分解、劣化すると、光触媒性部材はひび割れ、き裂が生じて基材から剥離したり、光触媒が基材自体に作用する場合には、基材自体の劣化脆化を招いてしまう。
従って、塗料の白色顔料として使用されている酸化チタンには、光触媒活性が低いルチル型の酸化チタンを使用したり、更には酸化チタンの表面をシリカやアルミナで被覆することにより光触媒作用による樹脂の劣化を防止するような工夫がなされている。そこで、表面被覆剤に関しても同様の手法が考えられる。例えば、多孔質無機物質を被覆した光触媒を基材表面に固定化する方法も考案されており、多孔質無機物でコーティングした酸化チタン光触媒を、有機系樹脂と配合してなる消臭スプレー(特許文献1を参照)のような提案もなされている。しかしこの方法では酸化チタンのような光触媒粒子を多孔質無機物で厚く被覆しており光触媒の本来の性能を大きく低下させることが考えられる。また光触媒粒子と、銀、銅、亜鉛から選ばれる少なくとも一種の抗菌金属、または抗菌金属の化合物からなる無機系抗菌剤と、天然抽出物などの有機系消臭成分と、溶媒と、を含んでなる抗菌消臭処理用組成物を、形状の異なる複数の噴出開孔部を備えた噴出形態制御部を有する容器内に充填した抗菌消臭スプレーの提案(特許文献2を参照)もなされている。しかし光触媒粒子についての詳細な記載はなく、また光触媒粒子に加え銀のような無機系抗菌剤および天然物由来の消臭成分を相当量用いており継続的に発生する臭気あるいは汚染物質に対しては、分解する能力に乏しく、消臭性能はまだ不十分であると、推察される。
新規な触媒として、オルガノハイドロジェンポリシロキサンを、気相で光触媒に供給してシリカ系被膜を形成することや、被覆しても光照射条件での殺菌活性が、もとの光触媒の活性よりも高まることが開示されている(特許文献3を参照)。また、アンモニアガス、アミン系ガスなどの塩基性ガスを選択的に除去する酸化チタン光触媒が記載されている(特許文献4を参照)。同文献記載の光触媒は、光触媒活性を有する酸化チタン粒子よりなるコアと、該コアを取り巻くシリカ水和物の被覆層を有している。この被覆層は、塩基性ガスを選択的に吸着し、これを酸化チタンコアの活性サイトへ効率的に供給することによって光触媒全体の塩基性ガス除去能力を高めるように機能するとされている。
しかしながら、特許文献3、4に記載されている光触媒では、有機物質に対する光分解性能も十分でなく、特許文献4に記載されている光触媒では塩基性ガス以外の有害なガスに対する吸着能力が不十分であった。これは、特許文献5に記載の方法で得られた光触媒の構造またはシリカ水和物の被膜層の機械的強度や耐久性が不十分であることによるものと考えられる。
特開平9−164188号公報 特開2005−237784号公報 特開昭62−260717号公報 特開2002−159865号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、脱臭、抗菌作用等という要求を満足できる光触媒機能を保持しながら、光触媒と接触するバインダー、樹脂板や繊維等の有機重合体でできた基材の分解、劣化を抑制した光触媒を含有した抗菌消臭噴霧液を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意検討した結果、光触媒活性を有する基体と、該基体を被覆する、実質的に細孔を有さない酸化珪素膜とを有しアルカリ金属含有量が1ppm以上、1000ppm以下である光触媒を使用することにより、必要な光触媒活性を保持しつつ、バインダー、樹脂板や繊維等の有機重合体でできた機材の分解、劣化が抑制できることを見出し、発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、光触媒活性を有する基体と、
該基体を被覆する、実質的に細孔を有しない酸化珪素膜とを有し、
アルカリ金属含有量が1ppm以上1000ppm以下である光触媒を含有することを特徴とする消臭噴霧液に関するものである。
本発明によれば、光触媒機能を保持しながら、酸化チタンである市販の光触媒を含有した場合には困難とされる、光触媒と接触するバインダー、樹脂板や繊維等の有機重合体でできた基材の分解、劣化を抑制した抗菌消臭噴霧液を提供することができる。
本発明の抗菌消臭噴霧液は、光触媒活性を有する基体と、この基体を被覆する実質的に細孔を有さない酸化珪素膜とを有するものであり、アルカリ金属含有量が1ppm以上、1000ppm以下である光触媒(以下、適宜「酸化珪素被覆光触媒」と略記する)を含有することを特徴とする。
酸化珪素被覆光触媒とは、光触媒機能を有する基体の表面を酸化珪素からなる膜で被覆したものを意味する。したがって、酸化珪素の存在下で後から光触媒を形成して製造される、酸化珪素に光触媒を固定化したものや、酸化珪素と光触媒を同一容器中で並行して形成させた複合体は、含まれない。
酸化珪素膜が基体を被覆する態様は特に制限されず、基体の一部を被覆する態様、全部を被覆する態様のいずれも含むが、有機材が劣化しにくい点からは、基体の表面が酸化珪素からなる膜で一様に被覆されていることが好ましい。
ここで、酸化珪素膜とは、未焼成の膜および焼成後の膜いずれの形態でも良い。本発明においては、焼成後の酸化珪素の焼成膜が好ましい。
光触媒活性を有する基体(以下、適宜「基体」と略記する。)としては、金属化合物光半導体を用いることができる。金属化合物光半導体としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステンおよびチタン酸ストロンチウムなどがあり、このうち、光触媒活性に優れており、無害かつ安定性にも優れる酸化チタンが好ましい。酸化チタンとしては、例えば、非晶質、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型等が挙げられる。このうち、光触媒活性に優れているアナターゼ型あるいはルチル型、または、これらの混合物がより好ましく、これらに非晶質が少量含まれていてもかまわない。
基体として、金属化合物光半導体に1種以上の遷移金属を添加したもの、金属化合物光半導体に14族、15族、および/または16族の典型元素を1種以上添加したもの、2種以上の金属化合物からなる光半導体、2種以上の金属化合物光半導体の混合物も使用できる。
さらに、基体としては、金属化合物光半導体の粒子を用いることが好ましいが、また、基体の比表面積は、30m/g以上が好ましく、より好ましくは120〜400m/gであり、最も好ましくは120〜300m/gの金属化合物光半導体を含有するものが好ましい。基体の比表面積が上記範囲内にある場合、良好な触媒活性が維持され得る。
なお、基体が粒子として明確に認識できる場合、基体の比表面積は、一般的なBET法により算出することができる。そうでない場合、基体の比表面積は、X線回折分析とシェラー式による算出、あるいは電子顕微鏡を用いた一次粒子の観察から求まる一次粒子径を元にして、球形換算で「表面積」を算出し、かつ、X線や電子線の回折分析から結晶相を把握してその結晶相の真密度と前記球形換算から求まる体積とから「重量」を算出することによって、比表面積を求めることが可能である。
基体が粒子である場合、その一次粒子径は1nm以上50nm以下が好ましく、2nm以上30nm以下がより好ましい。基体の一次粒子径がこの範囲内にある場合、良好な触媒活性が維持され得る。
本発明において、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられる。これらのアルカリ金属は1種を含んでいてもよく、これらを2種以上含んでいても良い。このうち、ナトリウムおよび/またはカリウムが好ましく、ナトリウムがより好ましい。
光触媒中のアルカリ金属含有量は、原子吸光光度計(AA)、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP)、蛍光X線分析装置(XRF)等を用いて定量可能である。酸化珪素被覆光触媒中のアルカリ金属含有量は1ppm以上が好ましく、10ppm以上がより好ましい。1ppm以上であれば、光分解活性の向上効果が得られ、10ppm以上であれば、この光分解活性の向上効果が顕著となる。アルカリ金属を所定量含有することにより光分解活性が向上する理由については必ずしも明らかではないが、分解目的物の吸着率が向上することによるものと考えられる。一方、アルカリ金属含有量の上限については、1000ppm以下が好ましく、500ppm以下がより好ましく、200ppm以下がさらに好ましい。1000ppm以下とすることにより、酸化珪素膜の溶出を抑制できる。また、500ppm以下とすることで、800℃をこえる温度領域における焼成処理での光触媒の焼結の発生を抑制でき、200ppm以下とすることで光触媒の焼結をさらに進行しにくくできる。
また、酸化珪素膜に含まれるアルカリ金属含有量は1ppm以上500ppm以下が好ましく、1ppm以上200ppm以下がより好ましい。
「実質的に細孔を有さない」とは、酸化珪素膜で被覆された光触媒を製造した際に原料として使用する光触媒活性を有する基体と、この光触媒活性を有する基体を用いて調製した酸化珪素膜で被覆された光触媒とについて、20〜500オングストロームの領域で細孔径分布を比較した場合に、酸化珪素膜に細孔が実質的に存在しないことを意味する。
具体的には、光触媒活性を有する基体、並びに、酸化珪素膜で被覆された光触媒の細孔径分布を、窒素吸着法等の細孔分布測定によって把握し、これらを比較することによって酸化珪素膜に細孔が実質的に存在しないか否かを判定できる。
窒素吸着法での把握方法をより具体的に述べると、以下の(1)〜(4)の手法によって酸化珪素膜の細孔の有無を判定することができる。ここでは、基体として、光触媒粒子を用いる例を挙げて説明する。
(1)光触媒粒子を、200℃で乾燥した後、脱着過程でのN吸着等温線を測定する。
(2)酸化珪素膜で被覆された光触媒の脱着過程でのN吸着等温線を測定する。
(3)BJH(Barrett−Joyner−Halenda)法で、前記二つのN吸着等温線を解析して、20〜500オングストロームの領域のlog微分細孔容積分布曲線を求める。
(4)二つのlog微分細孔容積分布曲線を比較し、酸化珪素膜で被覆された光触媒のlog微分細孔容積が、光触媒粒子のlog微分細孔容積よりも0.1ml/g以上大きい領域が存在しない場合には、酸化珪素膜に細孔が実質的にないと判定し、0.1ml/g以上大きい領域が存在する場合には、酸化珪素膜に細孔が有ると判定する。なお、0.1ml/g以上とするのは、窒素吸着法による細孔分布測定では、log微分細孔容積値で約0.1ml/g幅の測定誤差が生じることが多いためである。
20〜500オングストロームの範囲で2つのlog微分細孔容積分布曲線を比較すれば、酸化珪素膜の細孔の有無を実質的に判定することができる。
なお、二つのlog微分細孔容積分布曲線を比較し、10〜1000オングストロームの領域で酸化珪素膜で被覆された光触媒のlog微分細孔容積が、光触媒粒子のlog微分細孔容積よりも0.1ml/g以上大きい領域が存在しないことがより好ましい。
ここで、酸化珪素膜に細孔が存在する場合、光分解活性が向上し難い。この理由は必ずしも明らかではないが、細孔の存在によって酸化珪素膜での光の散乱や反射が起こりやすくなり、光触媒活性を有する基体に到達する紫外線の光量が減少し、光触媒励起による正孔と電子の生成量が減少することによるものと推察される。また、同じ酸化珪素量で被覆した場合、細孔有りのものは、細孔無しのものに比べ、細孔の容積の分だけ酸化珪素膜の厚さが増す結果、光触媒活性を有する基体と分解対象物である有機物との物理的距離が大きくなるため、充分な光分解活性が得られないものと推察される。
本発明に係る酸化珪素被覆光触媒の表面積1m当りの珪素担持量は、酸化珪素被覆光触媒が含有する珪素量と、酸化珪素被覆光触媒の表面積から算出される計算値である。酸化珪素被覆光触媒の表面積1m当りの珪素担持量は、その表面積1m当りの珪素担持量が0.10mg以上、2.0mg以下であり、好ましくは0.12mg以上、1.5mg以下、より好ましくは0.16mg以上、1.25mg以下、さらに好ましくは0.18mg以上、1.25mg以下である。0.10mg未満では、酸化珪素膜による光触媒活性向上効果が小さい。一方、2.0mgを超えると、酸化珪素被覆光触媒に占める基体の割合が低下しすぎるので、光触媒機能がほとんど向上しない。珪素担持量を上記範囲とすることで、酸化珪素膜による光触媒活性向上効果が顕著になる。
基体および酸化珪素被覆光触媒の表面積は、露点−195.8℃以下の乾燥ガス気流下、150℃で15分加熱処理した後に、窒素吸脱着によるBET法比表面積測定装置を用いて測定することができる。
本発明の酸化珪素被覆光触媒の製造方法は、水系媒体中に存在させた基体に珪酸塩を用いて酸化珪素膜を被覆する際、基体と珪酸塩の両方を含む混合液のpHを5以下に維持することを特徴とする。
上記製造方法において、水系媒体としては、水、あるいは水を主成分とし、脂肪族アルコール類、脂肪族エーテル類等のうち、水に溶解可能な有機溶媒を含む混合液が挙げられる。水系媒体を具体的に例示するとすれば、水、並びに、水とメチルアルコール、水とエチルアルコール、水とイソプロパノール等の混合液が挙げられる。これらの中では水が好ましい。また、これらの水および混合液は、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。更に、水系媒体には、光触媒の分散性あるいは溶解性を向上させるために、脂肪族アルコール類、脂肪族エーテル類等のうち、水に溶解可能な有機溶媒、並びに脂肪族アミン類、脂肪族ポリエーテル類およびゼラチン類等の界面活性剤を混ぜることもできる。
珪酸塩としては、珪酸および/またはそのオリゴマーの塩を用い、2種以上を混合して用いても良い。ナトリウム塩およびカリウム塩は、工業的に入手容易である点から好ましく、溶解工程を省略できるので珪酸ナトリウム水溶液(JIS K1408“水ガラス”)がさらに好ましい。
水系媒体中に存在させた基体に珪酸塩を用いて酸化珪素膜を被覆する際には、水系媒体、基体、および珪酸塩を混合し、続けてこの混合液を熟成する。
具体的に示すと、
(i)基体を含む水系媒体と珪酸塩、
(ii)珪酸塩を含む水系媒体と基体、および
(iii)基体を含む水系媒体と珪酸塩を含む水系媒体、
の少なくともいずれか一組を混合する工程、並びにこの混合液を熟成する工程からなる被覆方法である。熟成する工程では、基体に対する酸化珪素膜の被覆が徐々に進むこととなる。
この際、基体および珪酸塩の両方を含む水系媒体のpHを5以下に維持することが必要であり、pH以下の酸性領域とすることがより好ましい。基体の非存在下でpH5以下を維持した場合、珪酸、珪酸イオンおよび/またはこれらのオリゴマーから、珪酸化合物の縮合物が単独では析出しにくい。一方、基体の存在下でpH5以下を維持した場合、基体の表面が珪酸化合物の縮合触媒として作用し、酸化珪素膜が基体の表面にのみ速やかに生成される。すなわち、pHが5以下の酸性領域は、珪酸化合物を含む溶液を安定に存在させることができ、かつ、基体の表面に酸化珪素を膜状に形成可能な領域である。
pH11以上の塩基性領域においても、pH5以下の酸性領域と同様に珪酸、珪酸イオンおよび/またはこれらのオリゴマーを含む液を熟成した際に、珪酸化合物の縮合物は析出しにくい。また、用いた珪酸塩のうちの一部しか酸化珪素膜を形成しないので、好ましくない。また、pH6〜11の領域は、珪酸化合物の縮合物、すなわち、酸化珪素微粒子および/またはゲル等が生じやすいため、酸化珪素膜が多孔質となったり、基体の表面上で局所的に酸化珪素が形成されるので好ましくない。
水系媒体中にアルコール等の有機媒体が存在する場合には、水用のpH電極ではpHを正確に測定できないので、有機媒体を含む水溶液用のpH電極を用いて測定する。別途、有機媒体を同体積の水で置き換えてpHを測定することも可能である。
基体と珪酸塩の両方を含む混合液を、pH5以下に維持する方法としては、基体、珪酸塩、水系溶媒の混合および熟成を行う際、水系媒体のpHを常時測定し、適宜、酸および塩基を加えて調整する方法でも構わない。しかし、製造に用いる珪酸塩に含まれる塩基成分の総量を中和した上でpH5以下となるに十分な量の酸を予め水系媒体中に存在させておくことが簡便である。
酸は、どのような酸でも使用可能であるが、塩酸、硝酸、硫酸等の鉱酸が好適に用いられる。酸は、1種のみを用いても、2種以上を混合して用いても良い。この中で塩酸、硝酸が好ましい。硫酸を使用する場合、光触媒中の硫黄含有量が多く残存すると、吸着効率が経時劣化することがある。光触媒中の硫黄含有量は、光触媒の全重量を基準として、0.5重量%以下が好ましく、0.4重量%以下がより好ましい。
塩基は、珪酸塩に含まれる塩基成分の総量を中和した上でpH5以下となるのに十分な量の酸を予め水系媒体中に存在させておく前述した方法を使用する場合には、特に別途用いる必要は無い。しかしながら、塩基を用いる場合は、どのような塩基でも使用可能である。なかでも、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物が好適に用いられる。
混合溶液を熟成し、基体に対して酸化珪素膜を被覆する際の反応温度および反応時間等の反応条件は、目的とする酸化珪素被覆光触媒の生成に悪影響を与えない条件であれば特に限定されない。反応温度は10℃以上200℃以下であることが好ましく、20℃以上80℃以下であることがより好ましい。10℃未満であると、珪酸化合物の縮合が進行し難くなることにより、酸化珪素膜の生成が著しく遅延し、酸化珪素被覆光触媒の生産性の悪化を招くことがある。200℃より高温であると、珪酸化合物の縮合物、すなわち、酸化珪素微粒子および/またはゲル等が生じやすいため、酸化珪素膜が多孔質となったり、基体表面上で局所的に酸化珪素が形成されてしまうことがある。
熟成時間は、10分以上、500時間以下であることが好ましく、1時間以上、100時間以下であることがより好ましい。10分未満であると、酸化珪素膜による被覆が充分に進行せず、被膜による光分解活性の向上効果が充分に得られない場合がある。500時間より長時間であると、光触媒機能を有する基体は、酸化珪素膜により充分に被覆され、光分解機能も向上するが、酸化珪素被覆光触媒の生産性が悪化することがある。
また、混合液中に含まれる光触媒活性を有する基体の濃度は1重量%以上50重量%以下であることが好ましく、5重量%以上30重量%以下であることがより好ましい。1重量%未満であると、酸化珪素被覆光触媒の生産性が悪くなり、50重量%より高濃度であると基体に対する酸化珪素膜の被覆が均一に進行せず、光分解活性の向上効果が充分に得られないことがある。混合液中に含まれる珪素の濃度は0.05重量%以上5重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以上3重量%以下であることがより好ましい。珪素濃度が0.05重量%未満であると、珪酸化合物の縮合が遅延し、基体に対する酸化珪素膜の被覆が充分でなくなることがある。珪素濃度が5重量%より高濃度であると、基体に対する酸化珪素膜の被覆が均一に進行しないことがある。
本発明の酸化珪素被覆光触媒の製造方法において、光触媒活性を有する基体および珪酸塩の使用量の比率は、前記基体の表面積1m当りの珪素原子として、0.01mg/m以上、0.50mg/m以下であることが好ましい。この範囲の比率で製造すれば、前記基体の表面に酸化珪素膜を形成する工程、すなわち、前記基体を含む水系媒体と珪酸塩、珪酸塩を含む水系媒体と前記基体、および前記基体を含む水系媒体と珪酸塩を含む水系媒体、の少なくともいずれか一組を混合し熟成する工程において、基体の表面に所望の酸化珪素膜を形成できると共に、基体の表面で縮合せずに未反応で残った、珪酸、珪酸イオン、および/またはこれらのオリゴマーの量を少なく抑えられるので、細孔を有する酸化珪素膜が形成されることが少ない。0.50mg/m以上、5.0mg/m以下の範囲では、比率が大きくなるほど、未反応物の量が増え、細孔を有する酸化珪素膜が形成されることがあるが、未反応物の縮合が進行して細孔が生じることに対して、処理時間を短くすることで回避することが可能である。
本発明の酸化珪素被覆光触媒の製造方法をより具体的に示すとすれば、例えば、
(工程a)基体を含む水系媒体と珪酸塩、珪酸塩を含む水系媒体と基体、および基体を含む水系媒体と珪酸塩を含む水系媒体、の少なくともいずれか一組を混合する工程、
(工程b)この混合液を熟成し、前記基体に対して酸化珪素膜を被覆する工程、
(工程c)混合液を中和せずに、酸化珪素被覆光触媒を水系媒体から分離および洗浄する工程、
(工程d)酸化珪素被覆光触媒を乾燥および/または焼成する工程、からなり、
かつ、工程a並びに工程bにおいて、前記基体および珪酸塩の両方を含む水系媒体のpHを5以下に維持する製造方法が挙げられる。
水系媒体から酸化珪素被覆光触媒を分離する際に、中和すると、洗浄工程でのアルカリ金属分の低減効率が悪くなる点、並びに水系媒体中に溶解したまま残った珪素化合物が縮合、ゲル化して多孔質シリカ膜が形成される点が問題となる。予め珪酸塩溶液を脱アルカリし、この脱アルカリした液を調製して製造に用いること、並びに光触媒機能を有する基体および珪酸塩の使用量の比率を小さくすること、によって上記の問題を回避あるいは極小化することも可能である。しかしながら、中和せずに酸化珪素被覆光触媒を水系媒体から分離すると、上記問題を回避でき、かつ製法が簡便なので好ましい。
酸化珪素被覆光触媒の混合液からの分離方法は特に限定されないが、例えば、自然濾過法、減圧濾過法、加圧濾過法、遠心分離法などの公知の方法が好適に利用できる。
酸化珪素被覆光触媒の洗浄方法は特に限定されないが、例えば、純水への再分散化とろ過の繰り返し、イオン交換処理による脱塩洗浄、などが好適に利用できる。また、酸化珪素被覆光触媒の用途によっては、洗浄工程を省略することも可能である。
酸化珪素被覆光触媒の乾燥方法は特に限定されないが、例えば、風乾、減圧乾燥、加熱乾燥、噴霧乾燥、などが好適に利用できる。また、酸化珪素被覆光触媒の用途によっては、乾燥工程を省略することも可能である。
酸化珪素被覆光触媒の焼成方法は特に限定されないが、例えば、減圧焼成、空気焼成、窒素焼成等が好適に利用できる。通常、焼成は200℃以上1200℃以下の温度で実施できるが、400℃以上1000℃以下が好ましく、400℃以上800℃以下がより好ましい。焼成温度が200℃未満であると、基体表面上に所望の酸化珪素の焼成膜が生成せず、不安定な構造となってしまう。さらに、多量の水が酸化珪素周辺に存在することにより、ガスに対する吸着性能が充分に発揮されず、同時に充分な光分解活性も得られない。焼成温度が1200℃より高温であると、酸化珪素被覆光触媒の焼結が進行し、充分な光分解活性が得られない。
酸化珪素被覆光触媒に含有される水分含有量は、7重量%以下であることが好ましい。5重量%以下がさらに好ましく、4重量%以下が最も好ましい。水分含有量が7重量%以上であると、多量の水が酸化珪素周辺に存在することにより、ガスに対する吸着性能が充分に発揮されず、同時に充分な光分解活性も得られない。
このようにして得られた酸化珪素被覆光触媒は、酢酸等の酸性ガス、アンモニア等の塩基性ガス、トルエン等の非極性ガスいずれも吸着でき、光触媒性能にも優れている。
上記のように、本発明の酸化珪素被覆光触媒の製造方法は、実質的に細孔を有さない酸化珪素膜を得るために、pHを低くするとともに、珪酸塩の濃度、基体の濃度、使用する酸性溶液、膜形成後の焼成温度、焼成時間等の条件を適宜選択することが重要となる。
本発明の酸化珪素被覆光触媒は、従来の酸化チタンと比較してバインダー、樹脂板や繊維等の有機重合体でできた基材の分解劣化が抑制されているので、粉末剥離等の不具合が防止され、長期にわたりその効果が持続する。また本来、紫外線により分解劣化を示すような重合物の場合には、表面に固定担持されている実質的に細孔を有さない酸化珪素膜で被覆された光触媒が紫外線を吸収することにより、基材に到達する紫外線が減じられ、結果として、耐光性、耐紫外線性が改善されるという効果が得られる場合もある。
次に、本発明の酸化珪素被覆光触媒を含有する抗菌消臭噴霧液について説明する。
本発明の抗菌消臭噴霧液は、上記本発明の酸化珪素被覆光触媒とバインダーとを主成分として含有する。そして、吸着系脱臭剤、無機系抗菌剤、有機系消臭成分、、抗菌剤、防汚剤、撥水剤、撥油剤、着色剤などの1種又は2種以上を目的に応じて配合して構わない。本発明に用いられる吸着系脱臭剤とは、物理吸着剤、化学吸着剤、物理化学吸着剤などで、悪臭物質を吸着し脱臭効果を発揮するものを指し、無色又は白色で無毒なものが好適である。このような吸着系脱臭剤としては、ゼオライト(親水性・疎水性)、活性白土、酸性白土、ハイドロタルサイト、セピオライト、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカと酸化亜鉛の組成物、活性炭などが挙げられる。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。無機系抗菌剤とは銀、銅、亜鉛等の抗菌金属あるいはその金属化合物である。有機系消臭成分として、茶、笹、ヨモギ、シソ、ローズマリー等の抽出成分等の天然抽出物、あるいは人工合成品のいずれも使用できる。
消臭成分として、光触媒の他に吸着系脱臭剤、無機系抗菌剤、有機系消臭成分を配合して使用する場合、光触媒と吸着系脱臭剤を配合したものの配合比率は、スプレーの使用場所での即効性の要求度によって重量比で、光触媒:吸着系脱臭剤:無機系抗菌剤:有機系消臭成分の比は1:0〜1:0〜0.1:0〜0.5の割合の範囲で適宜決定されるが、1:0〜0.6:0〜0.05:0〜0.3の割合が望ましい。光触媒成分一定量に対し、吸着系脱臭剤、無機系抗菌剤、有機系消臭成分が多くなると即効性は向上するが、光触媒による臭気成分の分解能は低下する。
本発明に用いられるバインダーは、上記本発明の酸化珪素被覆光触媒および吸着系脱臭剤の消臭成分を対象物表面に固着・付着処理可能とするバインダーとしての機能を持つ造膜性をもつ樹脂を言う。更には、臭気分子、酸素、水分子をよく通す樹脂が好適である。具体的には、一般に造膜後タック性がなく塗工用として調製された樹脂は使用可能であり、例えばアクリル酸系樹脂、シリコン系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド樹脂、さらにはデンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂が挙げられる。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
バインダーの形態は、溶剤系、エマルジョン系、無溶剤系のいずれでも配合可能であり、バインダーの種類や消臭成分の種類、配合比などに応じ適宜選択される。一方、バインダーに配合される消臭成分の粒子径は、できるかぎり小さいものが良いが、スプレーノズルの孔径を考慮し最大粒子径を50μm以下にする必要があり、好ましくは、20μm以下が好適である。50μm以上では、しばしばノズル詰まりが発生する。またバインダーと消臭成分の配合比は、使用される樹脂の形態、固形分濃度、粘度などの物性により適宜決定される。バインダーと消臭成分の配合比は、消臭成分に対するバインダーの樹脂固形分の割合として、好ましくは5〜80重量%、より好ましくは10〜60重量%に配合、調整される。5重量%未満では、バインダーとしての固着・付着機能が低下する。また80重量%を越えると消臭成分の量が少ないため、所望の効果を得るために多量の散布が必要となり好ましくない。
本発明の抗菌消臭噴霧液は、酸化珪素被覆光触媒と有機系樹脂等のバインダーの配合物を溶媒と一緒に、手動式のハンドスプレーあるいは、エアゾール方式のスプレーなど、公知の噴霧容器に封入することで、手軽に噴霧して対象物表面に抗菌消臭成分を固着処理できる抗菌消臭スプレーを構成することができる。溶媒としては人体に影響のないものであれば極性、非極性溶媒いずれも用いることができるが、水、エチルアルコール、若しくは水とエチルアルコールの混合溶媒等が好ましい。
エアゾール式スプレーの場合は、スプレーガスとともに缶に圧入される。
本発明の酸化珪素被覆光触媒が光触媒機能を維持しながら基材やバインダーの劣化を抑制する理由に関しては不明であるが、以下のことが考えられる。すなわち、光触媒活性を有する基体、例えば酸化チタンの表面を酸化珪素膜が被覆しており、樹脂等の重合体と光触媒活性を有する基体である酸化チタンの直接接触が避けられるためと推察される。
以上のように、本発明の酸化珪素被覆光触媒を含む抗菌消臭噴霧液は、汚染性有機物質の酸化分解、抗菌という触媒活性を保持しつつ、一方でバインダー、樹脂等の有機重合体の分解、劣化が抑制できるので、自動車内のシート、マット、プラスチック部材、家庭内のカーテン、マット、ソファ、カーペット、衣類、寝具などに吹きかけて、それらの基材に抗菌消臭処理を施すことができる。また、臭いが気になる空間に向けてスプレーすることで、該空間の消臭を行うことができる。
以下、本発明を実施例、比較例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
[光触媒の調製]
光触媒を作製し、その性状を評価した。はじめに評価方法について説明する。
(i)アルカリ金属含有量
アルカリ金属含有量は、蛍光X線分析器(LAB CENTER XRE−1700、島津製作所)を用いて測定し、本測定で検出されたものに関して、原子吸光光度計(Z−5000,日立製作所)を用いて定量した。なお、検出されなかったアルカリ金属については、記載を省略した。
(ii)珪素含有量
珪素含有量は、蛍光X線分析法(LAB CENTER XRE−1700,島津製作所)を用いて定量した。
(iii)比表面積
比表面積はBET法比表面積測定装置により測定した。
以下、光触媒の製造例について説明する。
なお、以下に示す光触媒は、光触媒27を除き、原料二酸化チタンを酸化珪素の焼成膜により被覆した構造を有するものである。すなわち、原料二酸化チタンの表面に酸化珪素前駆体膜を形成した後、焼成を行い、酸化珪素焼成膜を形成したものである。
(光触媒1)
ガラスフラスコに水200gと1N塩酸水溶液66.9gを加え、二酸化チタン(ST−01、石原産業株式会社、吸着水分量9重量%、BET法比表面積測定装置による比表面積300m/g)24.5gを分散させて、A液とした。ビーカー内に水100gと水ガラス1号(SiO含有量35〜38重量%、JIS−K1408)10.7gを加え、攪拌しB液とした。A液を35℃に保持し、攪拌しているところに、B液を2ml/分で滴下し、混合液Cを得た。この時点における混合液CのpHは2.3であった。混合液Cを35℃に保持したまま3日間攪拌を継続した。この後、混合液Cを減圧ろ過し、得られた濾物を、500mLの水への再分散化、および減圧ろ過を4回繰り返して洗浄した後、室温で2日間放置した。得られた固形物を乳鉢で粉砕した後、600℃、3時間焼成処理を施し、光触媒1を得た。この光触媒1のナトリウム含有量を原子吸光光度計(Z−5000,日立製作所)にて定量したところ、ナトリウム含有量は87ppmであった。また、この光触媒1の珪素含有量、硫黄含有量を蛍光X線分析法(LAB CENTER XRE−1700,島津製作所)にて定量したところ、珪素含有量6.9重量%、硫黄含有量0.06重量%であった。比表面積をBET法比表面積測定装置により測定したところ、212.8m/gであった。よって、光触媒1の表面積1m当りの珪素担持量は0.33mgであった。光触媒1の細孔分布を測定した結果を図1に示す。
(光触媒2)
二酸化チタンの量を82.1gとし、混合液CのpHが4.0となった以外は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒2を得た。この光触媒2は、ナトリウム含有量56ppm、珪素含有量2.4重量%、比表面積133.8m/gであった。よって、光触媒2の表面積1m当りの珪素担持量は0.18mgであった。
(光触媒3)
二酸化チタンの量を38.9gとし、混合液CのpHが2.8となった以外は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒3を得た。この光触媒3は、ナトリウム含有量85ppm、珪素含有量4.6重量%、比表面積194.9m/gであった。よって、光触媒3の表面積1m当りの珪素担持量は0.24mgであった。
(光触媒4)
二酸化チタンの量を12.2gとし、混合液CのpHが2.5となった以外は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒4を得た。この光触媒4は、ナトリウム含有量160ppm、珪素含有量9.6重量%、比表面積244.2m/gであった。よって、光触媒4の表面積1m当りの珪素担持量は0.39mgであった。
(光触媒5)
二酸化チタンとして、P25(日本アエロジル株式会社、アナターゼ:ルチル比が8:2の混合体、純度99.5%、BET法比表面積測定装置による比表面積50m/g)を75.0g使用したこと、珪酸ナトリウム水溶液を6.5g使用したこと、混合液CのpHが2.6となった以外は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒5を得た。この光触媒5は、ナトリウム含有量34ppm、珪素含有量1.4重量%、硫黄含有量は検出されず、比表面積61.1m/gであった。よって、光触媒5の表面積1m当りの珪素担持量は0.22mgであった。光触媒5の細孔分布を測定した結果を図2に示す。
(光触媒6)
二酸化チタンとして、PC−102(チタン工業株式会社、アナターゼ型、吸着水分量5%、BET法比表面積測定装置による比表面積137m/g)を70.5g使用したこと、混合液CのpHが3.8となったこと、そして混合液Cを16時間攪拌して熟成した他は、光触媒1と同様にして、光触媒6を得た。この光触媒6は、ナトリウム含有量12ppm、珪素含有量2.2重量%、硫黄含有量0.19重量%、比表面積127.8m/gであった。よって、光触媒6の表面積1m当りの珪素担持量は0.18mgであった。
(光触媒7)
二酸化チタンとして、AMT−100(テイカ株式会社、アナターゼ型、吸着水分量11%、BET法比表面積測定装置による比表面積290m/g)を25.0g使用したこと、混合液CのpHが2.4となった他は、光触媒6の製法と同様にして、光触媒7を得た。この光触媒7は、ナトリウム含有量17ppm、珪素含有量5.5重量%、硫黄含有量0.07重量%、比表面積207.2m/gであった。よって、光触媒7の表面積1m当りの珪素担持量は0.27mgであった。
(光触媒8)
二酸化チタンとして、TKP−101(テイカ株式会社、アナターゼ型、吸着水分量11%、BET法比表面積測定装置による比表面積300m/g)を25.0g使用したこと、混合液CのpHが2.1となった他は、光触媒7の製法と同様にして、光触媒8を得た。この光触媒8は、ナトリウム含有量50ppm、珪素含有量6.7重量%、硫黄含有量0.38重量%、比表面積194.2m/gであった。よって、光触媒8の表面積1m当りの珪素担持量は0.34mgであった。
(光触媒9)
混合液Cを16時間攪拌して熟成した他は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒9を得た。この光触媒9は、ナトリウム含有量180ppm、珪素含有量5.7重量%、比表面積246.2m/gであった。よって、光触媒9の表面積1m当りの珪素含有量は0.23mgであった。
(光触媒10)
500mLの水への再分散化および減圧ろ過を7回繰り返して洗浄した以外は、光触媒8の製法と同様にして、光触媒10を得た。この光触媒10は、ナトリウム含有量120ppm、珪素含有量5.7重量%、比表面積231.4m/gであった。よって、光触媒10の表面積1m当りの珪素担持量は0.25mgであった。
(光触媒11)
500mLの水への再分散化および減圧ろ過を1回行うことで洗浄した以外は、光触媒8の製法と同様にして、光触媒11を得た。この光触媒11は、ナトリウム含有量210ppm、珪素含有量5.7重量%、比表面積231.4m/gであった。よって、光触媒11の表面積1m当りの珪素担持量は0.24mgであった。
(光触媒12)
400℃、3時間焼成処理を施した他は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒12を得た。この光触媒12は、ナトリウム含有量93ppm、珪素含有量6.9重量%、比表面積255.5m/gであった。よって、光触媒12の表面積1m当りの珪素担持量は0.27mgであった。
(光触媒13)
800℃、3時間焼成処理を施した他は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒13を得た。この光触媒13は、ナトリウム含有量98ppm、珪素含有量6.9重量%、比表面積150.7m/gであった。よって、光触媒13の表面積1m当りの珪素担持量は0.46mgであった。
(光触媒14)
900℃、3時間焼成処理を施した他は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒14を得た。この光触媒14は、ナトリウム含有量96ppm、珪素含有量6.9重量%、比表面積108.2m/gであった。よって、光触媒14の表面積1m当りの珪素担持量は0.64mgであった。
(光触媒15)
1000℃、3時間焼成処理を施した他は、光触媒1の製法と同様にして、光触媒15を得た。この光触媒15は、ナトリウム含有量92ppm、珪素含有量6.9重量%、比表面積55.3m/gであった。よって、光触媒15の表面積1m当りの珪素担持量は1.25mgであった。光触媒15の細孔分布を測定した結果を図3に示す。
(光触媒16)
1規定塩酸水溶液の代わりに同量の1規定硝酸水溶液を用いたこと、混合液CのpHが3.2になったことの他は、光触媒9の製法と同様にして、光触媒16を得た。この光触媒16は、ナトリウム含有量480ppm、珪素含有量6.7重量%、比表面積207.4m/gであった。よって、光触媒16の表面積1m当りの珪素担持量は0.32mgであった。
(光触媒17)
1規定塩酸水溶液66.9gの代わりに1規定硝酸水溶液81.7gを用いたこと、異なる組成の珪酸ナトリウム水溶液(SiO含有量29.1重量%、NaO含有量9.5重量%、JIS K1408“水ガラス3号”)13.3gを用いたこと、の他は、光触媒9の製法と同様にして、光触媒17を得た。この光触媒17は、ナトリウム含有量150ppm、珪素含有量3.4重量%、比表面積210.5m/gであった。よって、光触媒17の表面積1m当りの珪素担持量は0.16mgであった。
(光触媒18)
焼成温度を600℃の代わりに200℃にしたこと、の他は、光触媒2の製法と同様にして、光触媒18を得た。この光触媒18は、ナトリウム含有量56ppm、珪素含有量2.4重量%、比表面積237.3m/gであった。よって、光触媒18の表面積1m当りの珪素担持量は0.10mgであった。
(光触媒19)
水ガラス3号の代わりにケイ酸カリウム溶液(和光純薬工業、SiO含有量28重量%)13.8gを用いたことの他は、光触媒17の製法と同様の方法で、光触媒19を得た。この光触媒19のナトリウム、カリウム含有量を原子吸光光度計(Z−5000,日立製作所)にて定量したところ、ナトリウム含有量は74ppm、カリウム含有量は90ppmであった。この結果、光触媒19は、その酸化珪素膜中にカリウムを含有していることが確認された。また、この光触媒19の珪素含有量を蛍光X線分析法(LAB CENTER XRE−1700,島津製作所)にて定量したところ、珪素含有量は4.9重量%であり、比表面積をBET法比表面積測定装置により測定したところ193.9m/gであった。よって、光触媒19の表面積1m当りの珪素担持量は0.25mgであった。光触媒19の細孔分布を測定した結果を図4に示す。
(光触媒20)
市販の二酸化チタン(石原産業株式会社、ST−01)を200℃、3時間乾燥し、光触媒20を得た。この光触媒20は、ナトリウム含有量1400ppm、比表面積214.3m/gであった。
(光触媒21)
市販の二酸化チタン(日本アエロジル株式会社、P25)を200℃、3時間乾燥し、光触媒21を得た。この光触媒21はアルカリ金属が検出されなかった。比表面積50.2m/gであった。
この結果、光触媒5は、その焼成酸化珪素膜中にナトリウムを、光触媒19はその焼成酸化珪素膜中にカリウムを含有していることが確認された。
ナトリウム含有量あるいは20〜500オングストロームの領域における、酸化珪素膜由来の細孔の有無による性能の差異を確認するために光触媒22〜26の調製を行った。
(光触媒22)
特許文献3(特開昭62−260717号)の実施例(製造例1)に則して、二酸化チタンとしてST−01(石原産業株式会社、吸着水分量9重量%、比表面積300m/g)を用いて実施し、光触媒22を得た。この光触媒22は、ナトリウム含有量1200ppm、珪素含有量5.8重量%、比表面積187.3m/gであった。よって、光触媒22の表面積1m当りの珪素担持量は0.31mgであった。光触媒22の細孔分布を測定した結果を図5に示す。
(光触媒23)
特許文献3(特開昭62−260717号)の実施例(製造例1)に則して、二酸化チタンとしてP25(日本アエロジル株式会社、純度99.5%、比表面積50.8m/g)を用いて実施し、光触媒23を得た。この光触媒23はアルカリ金属が検出されなかった。また、この光触媒23は、珪素含有量2.2重量%、比表面積38.7m/gであった。よって、光触媒23の表面積1m当りの珪素担持量は0.56mgであった。光触媒23の細孔分布を測定した結果を図6に示す。
(光触媒24)
ガラスフラスコに水250gと0.1N水酸化ナトリウム水溶液0.05gを加え、二酸化チタン(ST−01、石原産業株式会社、吸着水分量9重量%、比表面積300m/g)24.5gを分散させて、A液とした。ビーカー内に水100gと珪酸ナトリウム水溶液(SiO含有量36.1重量%、NaO含有量17.7重量%、JIS K1408“水ガラス1号”)10.7gを加え、攪拌しB液とした。A液を35℃に保持し、攪拌しているところに、B液を2ml/分で滴下し、混合液Cを得た。この時点における混合液CのpHは11.5であった。混合液Cを35℃に保持したまま3日間攪拌を継続した。この後、混合液Cを減圧ろ過し、得られた濾物を、500mLの水への再分散化、および減圧ろ過を4回繰り返して洗浄した後、室温で2日間放置した。得られた固形物を乳鉢で粉砕した後、600℃、3時間焼成処理を施し、光触媒24を得た。この光触媒24は、ナトリウム含有量14000ppm、珪素含有量3.4重量%、比表面積126.1m/gであった。よって、光触媒24の表面積1m当りの珪素担持量は0.27mgであった。光触媒24の細孔分布を測定した結果を図7に示す。
(光触媒25)
ガラスフラスコに水100gを入れ、二酸化チタン(P−25、日本アエロジル株式会社、純度99.5%、BET法比表面積測定装置による比表面積50.8m/g)10.0gを分散させて、A液とした。これに4規定水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10.5に調整した。そして、液温75℃まで加熱し、75℃を維持したまま、珪酸ナトリウム水溶液(SiO含有量29.1重量%、NaO含有量9.5重量%、JIS K1408“水ガラス3号”)14.8gを加え、攪拌しB液とした。B液を90℃まで加熱し、90℃を維持したまま、1規定の硫酸水溶液を2ml/分の速度で滴下し、C液とした。硫酸水溶液の滴下に伴い、混合液のpHは10.5から少しずつ酸性側へ低下し、最終的にC液のpHは5となった。その後、C液を90℃に保持したまま1時間攪拌を継続して熟成した。次に、熟成後のC液を減圧ろ過し、得られた濾物を、250mLの水への再分散化、および減圧ろ過を4回繰り返して洗浄した後、120℃で3時間乾燥した。得られた固形物を乳鉢で粉砕した後、600℃、3時間焼成処理を施し、光触媒25を得た。この光触媒25は、ナトリウム含有量2500ppm、珪素含有量13.0重量%、比表面積68.4m/gであった。よって、光触媒25の表面積1m当りの珪素担持量は1.90mgであった。
(光触媒26)
ガラスフラスコに水100gを入れ、二酸化チタン(ST−01、石原産業株式会社、吸着水分量9重量%、BET法比表面積測定装置による比表面積300m/g)4.2gを分散させて、A液とした。ビーカー内に水43gと珪酸ナトリウム水溶液(SiO含有量29.1重量%、NaO含有量9.5重量%、JIS K1408“水ガラス3号”)5.6gを加え、攪拌しB液とした。次に、A液を35℃に保持し、攪拌しているところに、B液を2ml/分の速度で滴下した。この時、混合液のpHが6〜8になるように、適宜1規定硝酸水溶液を滴下した。B液の滴下完了時における混合液のpHは7.0であった。その後、混合液を35℃に保持したまま16時間攪拌を継続して熟成した。この後、混合液を減圧ろ過し、得られた濾物を、250mLの水への再分散化、および減圧ろ過を4回繰り返して洗浄した後、120℃で3時間乾燥した。得られた固形物を乳鉢で粉砕した後、600℃、3時間焼成処理を施し、光触媒26を得た。この光触媒26は、ナトリウム含有量5900ppm、珪素含有量12.0重量%、比表面積258.3m/gであった。よって、光触媒26の表面積1m当りの珪素担持量は0.47mgであった。光触媒26の細孔分布を測定した結果を図8に示す。
(光触媒27)
シリカ水和物被膜との差異を確認するために特許文献4の実施例1を参考にして、硫酸チタニル水溶液を熱加水分解して結晶粒子径6nmのメタチタン酸スラリーを作成した。このメタチタン酸スラリー(TiO換算で100g/l)100mlを40℃に昇温し、SiOとして200g/lのケイ酸ナトリウム水溶液5ml(SiO/TiO重量比=0.1)を一定速度で10分を要して添加した。添加後、水酸化ナトリウムでpH4.0に調節し、40℃を維持しながら30分攪拌した。その後スラリーを濾過、水洗し、得られたケーキを110℃で12時間乾燥した後、サンプルミルを用いて粉砕し、光触媒27を得た。この光触媒27は、ナトリウム含有量210ppm、珪素含有量5.1重量%、比表面積140.0m/gであった。よって、光触媒27の表面積1m当りの珪素担持量は0.36mgであった。得られた光触媒27の特性をまとめて表1に示す。
<光触媒1〜27の評価>
[1.メチレンブルー光分解活性評価]
光触媒1〜27を、メチレンブルー水溶液に懸濁させた。その後、光照射を行い、液中のメチレンブルー濃度を分光分析で定量することにより、光分解活性を試験した。詳細な試験操作方法は、次のとおりである。
(光触媒懸濁液の調製)
あらかじめフッ素樹脂製攪拌子を入れた100ccポリエチレン製広口びんに、濃度40×10−6mol/Lのメチレンブルー水溶液を45g量りこんだ。次に、マグネチックスターラーによる攪拌下、10mgの光触媒を加えた。そして、5分間激しく攪拌した後に、液が飛び散らない程度に攪拌強度を調整し、攪拌を継続した。
(予備吸着処理)
光触媒を加え終わった瞬間を起点として、60分間、光照射せずに、攪拌し続けた。60分経過後、懸濁液を3.0cc採取し、光照射前サンプルとした。
(光分解処理)
予備吸着処理後の懸濁液を3.5cc抜き出し、あらかじめフッ素樹脂製攪拌子を入れた石英製標準分光セル(東ソー・クォーツ株式会社、外寸12.5×12.5×45mm、光路幅10mm、光路長10mm、容積4.5cc)に入れ、マグネチックスターラーで攪拌した。次に、分光セルの外部/横方向から光を5分間照射した。光照射は、光源装置SX−UI151XQ(ウシオ電機株式会社、150Wクセノンショートアークランプ)を光源として、純水を満たした石英製フィルター容器越しに行った。照射光量は、紫外線照度計UVD−365PD(ウシオ電機株式会社、試験波長365nm)で、5.0mW/cmであった。照射後、分光セル内の懸濁液を回収し、光照射後サンプルとした。
(メチレンブルーの定量)
オールプラスチックス製10ccシリンジにメンブレンフィルター(東洋濾紙株式会社、DISMIC−13HP)を装着した。これに、光照射前後のサンプル懸濁液をそれぞれ入れ、ピストンで押出して光触媒を除去した。その際、前半量のろ液は廃棄し、後半量のろ液を、可視光分析用セミマイクロ型ディスポセル(ポリスチレン製、光路幅4mm、光路長10mm、容積1.5cc)に採取した。そして、紫外可視分光分析装置(UV−2500、島津製作所)を使用して、波長680ナノメートルの吸光度を測定し、メチレンブルー濃度を算定した。
光分解活性は、光照射前のメチレンブルー濃度に対する光照射後のメチレンブルー濃度で評価した。光分解活性としてのメチレンブルー除去率を表1に示した。また、メチレンブルーの仕込濃度(光触媒を加える前のメチレンブルーの濃度)を基準として、光照射前のメチレンブルー濃度から、メチレンブルー吸着率を算出し、表1に併記した。
[2.細孔分布測定による酸化珪素膜由来の細孔有無の判定]
オートソーブ(カンタクローム社製)を使用し、液体窒素下(77K)における脱着過程での光触媒1〜27の窒素吸着等温線を測定した。
各光触媒の前処理として、100℃での真空脱気を行った。次に各光触媒の測定結果をBJH法で解析し、log微分細孔容積分布曲線を求めた。
次に、光触媒1〜27の酸化珪素膜由来の細孔の有無を判定した。具体的には、原料として使用した光触媒と、この光触媒を基体(ベース触媒)として用いて調製した、酸化珪素膜で被覆された光触媒のlog微分細孔容積分布曲線を比較して、酸化珪素膜由来の細孔の有無を判定した。
光触媒1〜27の20〜500オングストロームの領域における、酸化珪素膜由来の細孔の有無を表1に示す。
Figure 2008044850
光触媒1〜19は、良好な触媒活性を示すことが確認された。
[3.示差熱天秤分析]
酸化珪素被覆光触媒の水分含有量を調べるために、示差熱天秤分析(サーモプラスTG8120、リガク)を行った。流速50ml/分の空気気流中、室温から600℃まで、10℃/分で昇温し、その際の重量減少率を測定した。
各試料は乾燥あるいは焼成後の水分吸着の影響をできるだけ排除するため、乾燥あるいは焼成し冷却1時間後に測定した。光触媒1、5、18、27の水分含有量を表2に示す。
Figure 2008044850
上記で得られた光触媒のうちの一部について、噴霧液を調製した後、缶に充填することにより、スプレーを作製し、評価を行った。
光触媒1を20重量部、バインダーとして水溶性アクリル樹脂ウォーターゾル「S−753」(固形分50%、粘度1200cp:大日本インキ株式会社製)を20重量部、水60重量部配合し噴霧液を得た。光触媒:バインダー比は、1:0.5となる。この噴霧液を常法により噴霧ガスとしてLPGを使用し、液とガス量(重量比)を1:1として500ml容缶のエアゾールスプレーを得た(スプレー1)。
光触媒5を使用する他は、スプレー1の場合と同じ操作を行い、スプレー2を得た。
光触媒19を使用する他は、スプレー1の場合と同じ操作を行い、スプレー3を得た。
(比較例1)
光触媒20を使用する他は、スプレー1の場合と同じ操作を行い、スプレー4を得た。
(比較例2)
光触媒24を使用する他は、スプレー1の場合と同じ操作を行い、スプレー5を得た。
スプレー1を用いて、10cm×10cmの木綿の布に光触媒が1g/m付着するように均一に吹き付けスプレー処理した(布1)。
スプレー2を用いた他は、布1の場合と同じ操作を行い、布2を得た。
スプレー3を用いた他は、布1の場合と同じ操作を行い、布3を得た。
(比較例3)
スプレー4を用いた他は、布1の場合と同じ操作を行い、布4を得た。
(比較例4)
スプレー5を用いた他は、布1の場合と同じ操作を行い、布5を得た。
〔光触媒性能評価〕
(1)消臭性
布1から5を、それぞれ5リットルテドラーバッグに入れ、20ppmのアセトアルデヒドを含む模擬ガスを3リットル充填し、0.5mW/cm2の紫外線を5時間照射した後アセトアルデヒド濃度を測定した。結果を表1に示す。
(2)抗菌性
布1から5を、それぞれ室内暗所にて、24時間大気中に放置し、その後、3時間、ガラス窓の室内側に吊るし、ガラス窓越しに太陽光を照射した。その後、フードスタンプ(一般細菌用標準寒天培地、日水製薬株式会社製)を用いて布上の生菌を採取し、培養後のコロニーの面積により下記基準で抗菌性を判定した。
○:コロニーの発生なし
×:コロニーの発生あり
(3)劣化性
布1から5をそれぞれガラス窓の室内側に吊るし、日中、ガラス窓越しに太陽光が照射される条件で、2ヶ月間放置した。その後、布の表面変化を観察し下記基準で判定した。
○:変化なし
×:劣化あり(チョーキング発生)
Figure 2008044850
スプレー1を、180cm×120cmのレースのカーテン(白色)に、噴霧液量として30g噴霧し風乾を行った(カーテン1)。
(比較例5)
スプレー4を使用する他は、カーテン1の場合と同じの操作を行い、カーテン(白色)に噴霧し風乾を行った(カーテン2)。
[室内臭気および外観評価]
カーテンを6畳間の180cm×180cmの太陽光が照射されるガラス窓面に吊るし、室内の臭気状況確認、カーテンの外観を観察した。
カーテン1:2日後より、室内の臭気がなくなりその効果は6ヶ月後も持続しており、外観に違いは見られなかった。
カーテン2:2日後より、室内の臭気がなくなったが、スプレー後3ヶ月を過ぎた頃から再び臭気が感じられる様になり、光触媒成分が一部カーテンから剥がれ落ちていた。
光触媒1のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒20)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒5のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒21)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒15のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒20)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒19のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒20)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒22のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒20)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒23のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒21)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒24のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒20)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。 光触媒26のlog微分細孔容積分布曲線(実線)と、この光触媒の基体に該当する酸化珪素膜を有しない光触媒(光触媒20)のlog微分細孔容積分布曲線(点線)とを示す図である。

Claims (13)

  1. 光触媒を含む抗菌消臭噴霧液であって、
    前記光触媒は、
    光触媒活性を有する基体と、
    該基体を被覆する、実質的に細孔を有さない酸化珪素膜とを有し、
    前記光触媒のアルカリ金属含有量が1ppm以上1000ppm以下である
    ことを特徴とする抗菌消臭噴霧液。
  2. 前記酸化珪素膜が、酸化珪素の焼成膜であることを特徴とする、請求項1に記載の抗菌消臭噴霧液。
  3. 前記酸化珪素膜が、200℃以上1200℃以下の温度で焼成して得られる焼成膜であることを特徴とする、請求項2に記載の抗菌消臭噴霧液。
  4. 前記アルカリ金属含有量が10ppm以上1000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗菌消臭噴霧液。
  5. 窒素吸着法による20〜500オングストロームの領域の細孔径分布測定において、酸化珪素膜由来の細孔がないことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の抗菌消臭噴霧液。
  6. 前記基体が、アナターゼ型、ルチル型、あるいはこれらの混合物を含む酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗菌消臭噴霧液。
  7. 前記アルカリ金属が、ナトリウムおよび/またはカリウムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の抗菌消臭噴霧液。
  8. 前記光触媒の表面積1mあたりの珪素担持量が、0.10mg以上、2.0mg以下であることを特徴とする特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の抗菌消臭噴霧液。
  9. 前記基体の比表面積が120m/g以上、400m/g以下であることを特徴とする請求項8に記載の抗菌消臭噴霧液。
  10. 硫黄元素の含有量が、光触媒の全体重量を基準として、0.5重量%以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗菌消臭噴霧液。
  11. 前記酸化珪素膜にアルカリ金属が含まれることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗菌消臭噴霧液。
  12. 前記酸化珪素膜に含まれるアルカリ金属の含有量が、光触媒の全体重量を基準として、1ppm以上200ppm以下であることを特徴とする、請求項11に記載の抗菌消臭噴霧液。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の抗菌消臭噴霧液と溶媒を含有してなることを特徴とする、抗菌消臭スプレー。
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