JPH09239277A - 光触媒粉体およびそれを用いた光触媒体ならびにそれらを用いた環境浄化方法 - Google Patents

光触媒粉体およびそれを用いた光触媒体ならびにそれらを用いた環境浄化方法

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JPH09239277A
JPH09239277A JP8083243A JP8324396A JPH09239277A JP H09239277 A JPH09239277 A JP H09239277A JP 8083243 A JP8083243 A JP 8083243A JP 8324396 A JP8324396 A JP 8324396A JP H09239277 A JPH09239277 A JP H09239277A
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photocatalytic
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Mitsuru Watanabe
満 渡辺
Akira Fujishima
昭 藤嶋
Kazuhito Hashimoto
和仁 橋本
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Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
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Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光触媒機能を損なうことなく、あらゆる支持
体に強固に、かつ、長期間にわたって固着できる光触媒
粉体を得ること。 【解決手段】 光触媒粒子の表面上に、光不活性物質を
島状に担持してなる光触媒粉体である。また、この光触
媒粉体を支持体に固着してなる光触媒体である。 【効果】 本発明の光触媒粉体は、光不活性物質の立体
的障害により、支持体との直接的な接触をさけることが
できる部分で光触媒粒子を固着させることができるの
で、紙、繊維等の酸化力に対して弱い支持体にも光触媒
粒子を強固に、かつ、長期間にわたって固着できる。ま
た、本発明の光触媒粉体を支持体に固着してなる光触媒
体は、環境汚染物質を効率よく、かつ、簡易に浄化する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒粉体および
それを支持体に固着してなる光触媒体ならびにそれらを
用いた環境浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンなどの光触媒粒子に、そのバ
ンドギャップ以上のエネルギーを有する光を照射すると
その表面に正孔と電子が発生する。特に、その生じた正
孔はオゾンよりも強力な酸化力を有しており、抗菌や有
機物の分解など様々な化学反応を引き起こす。この光触
媒機能を利用して、工業排水、生活排水等の汚水の浄化
や大気中に含まれる有害物質の分解・浄化、抗菌等の環
境浄化への応用が試みられている。この光触媒粒子を用
いる際には、処理系からの分離操作や取り扱いのしやす
さなどの為に光触媒粒子をそれよりも大きな支持体上に
固着させて用いる場合が多い。光触媒粒子を支持体に固
着させる方法としては、光触媒粒子を支持体に付着させ
た後高温で加熱して焼結する方法や、高温に熱した支持
体上に有機チタネートを吹き付け支持体上で熱分解させ
て光触媒体とする方法などがよく知られている。また、
特開平4−284851号には光触媒粒子とフッ素樹脂
を積層圧着させる方法、特開平4−334552号には
光触媒粒子をフッ素樹脂ポリマーに熱融着させる方法が
記載されている。さらに特開平5−49861号には多
孔性膜と支持体で光触媒層をはさむ方法や、特公平5−
3360号には光触媒粒子を多孔性支持体に付着させて
使用する方法が記載されている。また、光触媒粒子を衣
服や紙などに混ぜ込み固着させることも考えられてい
る。この場合には、衣服や紙の原料繊維と光触媒粒子と
を混合し、次いで、紡糸したり、抄造したりする方法が
採られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、光触媒
粒子を支持体に固着する前記の従来方法では、 光触媒粒子を加熱して固着する場合には、耐熱性を有
する支持体にしか用いることができないこと。さらに、
加熱により光触媒粒子の光触媒機能が低下しやすいこ
と。 光触媒粒子を有機バインダを用いて固着したり、衣服
や紙などに混ぜ込む場合には、光触媒粒子の強力な光触
媒機能により、有機バインダや原料繊維を分解してしま
い、固着強度の低下や商品の変質を招き、実用に耐えう
る性能を維持できないこと。また、色物の衣服や紙など
に混ぜ込むと、染料そのものの分解が起こり色あせの原
因となること。等の問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、光触媒粒
子の表面上に光不活性物質を島状に担持させた光触媒粉
体はその光触媒機能を損なうことなく、あらゆる支持体
に強固に、かつ、長期間にわたって固着できることを見
出し、本発明を完成した。光触媒粒子に光不活性物質を
島状に担持させることにより、本発明の光触媒粉体は、
光触媒粒子の表面上に形成した光不活性な部分を介して
支持体上に固着することができるため、酸化力に耐性の
ない弱い支持体であっても、支持体は光触媒粒子の酸化
力の影響を受けることなく安定して光触媒粒子を固着す
ることが可能であり、しかも、光触媒粒子の表面上の光
活性な部分は十分に残っているので、抗菌作用、脱臭、
防汚などの光触媒機能を十分に発揮することができる。
【0005】すなわち、本発明は、その光触媒機能を損
なうことなく、あらゆる支持体に強固に、かつ、長期間
にわたって固着できる光触媒粉体およびそれを支持体に
固着してなる光触媒体を提供することにある。さらに、
本発明は、前記の光触媒粉体または光触媒体を用いた環
境浄化方法を提供することにある。
【0006】本発明は、光触媒粒子の表面上に、光不活
性物質を島状に担持してなることを特徴とする光触媒粉
体である。本発明において、島状に担持した状態とは、
光触媒粒子の表面が一部分露出するように光不活性物質
が付着している状態をいい、光不活性物質の担持面積は
光触媒粒子の表面積の5〜80%程度が好ましく、10
〜80%程度がより好ましく、20〜70%程度がもっ
とも好ましい。光不活性物質が島状に担持されているこ
とは、電子顕微鏡観察により確認することができる。本
発明において、光不活性物質とは、光触媒反応に用いる
光によっては半導性、触媒性を全くあるいはほとんど発
現しない物質のことである。このような光不活性物質と
しては、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウ
ムなどの金属酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化ジル
コニウムなどの金属水酸化物や含水酸化物、リン酸アル
ミニウム、リン酸カルシウムなどのリン酸塩、セメン
ト、石灰、琺瑯用フリットなどの無機系バインダ、モン
モリロナイト、カオリン、タルク、雲母、セピオライト
などの粘土化合物等の金属化合物を挙げることができ、
これらの金属化合物の1種または2種以上を用いること
ができる。本発明においては、光不活性物質としては、
珪素、アルミニウムおよびジルコニウムからなる群より
選ばれる元素の少なくとも1種の化合物が好ましく、特
に、アルミニウムの化合物がもっとも好ましい。光不活
性物質の担持量は、光触媒粉体の重量に対して、0.1
〜30重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5
〜20重量%の範囲であり、もっとも好ましくは1.0
〜15重量%の範囲である。光不活性物質の担持量が前
記範囲より少ないと光触媒粒子の表面上には光活性な部
分が多く、その部分が支持体に接触して支持体の酸化劣
化を引き起こしやすくなるため好ましくなく、また、前
記範囲より多いと光触媒粒子の表面が光不活性物質によ
り覆い尽くされ光触媒機能が発現されにくいため好まし
くない。
【0007】本発明において、光触媒粒子とはそのバン
ドギャップ以上のエネルギーを有する光を照射すると光
触媒機能を発現する粒子のことであり、酸化チタン、酸
化亜鉛、酸化タングステン、酸化鉄、チタン酸ストロン
チウムなどの公知の金属化合物半導体を1種または2種
以上用いることができる。特に、優れた光触媒機能を有
し、化学的に安定でかつ無害である酸化チタンが望まし
い。さらに、光触媒粒子の光触媒機能を向上させるため
に、その内部および/またはその表面にV、Fe、C
o、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pt及びAgから
なる群より選ばれる元素の少なくとも1種の金属及び/
またはその化合物を含有させてもよい。本発明におい
て、光触媒粒子の粒子径は、優れた光触媒機能を有し、
かつ、光不活性物質を担持するうえで、0.005〜
0.5μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.01
〜0.5μmの範囲、もっとも好ましくは0.01〜
0.3μmの範囲である。
【0008】本発明において、光触媒粒子は公知の方法
で得られるものを用いることができる。例えば酸化チタ
ン粒子を得る方法としては、硫酸チタン、硫酸チタニ
ル、塩化チタンやチタンアルコキシド等を、必要に応じ
て核形成用種子の存在下で加熱加水分解する方法、塩
化チタンやチタンアルコキシド等を気相酸化する方法、
硫酸チタン、硫酸チタニル、塩化チタンやチタンアル
コキシド等にアルカリを添加して中和析出する方法など
がある。また、必要に応じて生成した酸化チタン粒子を
焼成したり水熱処理を行うこともできる。特にで得ら
れた酸化チタン粒子を100℃以上で水熱処理したもの
などは高い光触媒機能を有するものが得られるので好ま
しい。本発明において酸化チタンとは、酸化チタンの
他、含水酸化チタン、水和酸化チタン、オルソチタン
酸、メタチタン酸、水酸化チタンと一般によばれるもの
を含み、結晶型はなんら問わない。
【0009】本発明の光触媒粉体を製造するには、例え
ば、(1)光触媒粒子を水中に分散させた懸濁液に、光
不活性物質あるいは光不活性物質となる物質を添加し、
次いで、酸やアルカリで中和して、光触媒粒子の表面に
島状に析出させる方法、(2)光触媒粒子を水中に分散
させた懸濁液に、光不活性物質あるいは光不活性物質と
なる物質を添加し、次いで、濾過乾燥や蒸発乾固して、
光触媒粒子の表面に島状に担持させる方法、(3)気相
酸化法を用いて光不活性物質を光触媒粒子の表面上に島
状に担持させる方法などを用いることができる。これら
の方法に用いる光不活性物質あるいは光不活性物質とな
る物質としては、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸アルミ
ニウム、珪酸ジルコニウム、塩化珪素、オキシ硝酸ジル
コニウム、オキシ塩化ジルコニウムなどの無機化合物、
メチルシロキサンやポリメチルシロキサンなどの有機化
合物を用いることができる。このようにして得られた光
触媒粉体を、必要に応じて、濾過し、洗浄し、乾燥した
り、あるいは焼成したりしてもよい。
【0010】次に、本発明は、前記光触媒粉体を支持体
に固着してなることを特徴とする光触媒体である。本発
明の光触媒粉体を光触媒反応に用いるには、粉体の状態
で用いることもできるが、取り扱いのしやすさの点で支
持体に固着して光触媒体として用いるのが好ましい。支
持体としては、金属、セラミックス、ガラスなどの無機
物、ポリマ、布、紙、板やそれらの原料繊維などの有機
物を用いることができる。特に、支持体として紙を用い
た光触媒体は障子、ふすま、壁紙などの建具に利用して
室内の光脱臭、防汚、抗菌を行うことができるほか、軽
量であり加工が容易であるため冷暖房機や換気扇のフィ
ルターなどの種々の用途に利用できるという優れた利点
を有するものである。支持体の大きさ、形状や色相など
には、特にとらわれる必要がなく、用途に応じてどのよ
うなものでも用いることができる。本発明の光触媒体
は、前記の本発明の光触媒粉体を水や有機溶媒に懸濁さ
せ、必要に応じてバインダを添加して、支持体に浸漬し
たり、塗布したり、吹きつけたりした後乾燥して得るこ
とができる。このようにして得られた光触媒体を、必要
に応じて、焼成してもよい。
【0011】次に、本発明は、前記の光触媒粉体または
それを支持体に固着してなる光触媒体に、光照射下、環
境汚染物質を接触させて該環境汚染物質を浄化する方法
である。前記の環境汚染物質としては、油、有機物など
の水質汚濁物質、アンモニア、メルカプタン、アルデヒ
ド、アミン、硫化水素、炭化水素、硫黄酸化物、窒素酸
化物などの大気汚染物質、細菌、菌、微生物、各種の汚
れ成分などの環境悪化物質などを対象とすることができ
る。これらの環境汚染物質を、送風機や送液機を用いた
り、自然対流や移動を利用したりして、光触媒粉末また
は光触媒体に接触させて、光触媒機能により浄化する。
本発明の浄化方法に用いる光源としては、光触媒粒子の
バンドギャップ以上のエネルギーを有する光を放射でき
る光源が必要であり、例えば、太陽などの自然光源、紫
外線ランプ、ブラックライト、水銀ランプ、キセノンラ
ンプ、蛍光灯、白熱灯などの人工光源を用いることがで
きる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の光触媒粉体と光触媒体の
概念図を図1、図2に示す。光不活性物質1を光触媒粒
子2の表面に島状に担持することにより、支持体3との
直接的な接触がない部分で光触媒粒子2は固着され、か
つ、光不活性物質1が担持されていない光触媒粒子表面
にて、抗菌・脱臭・有機物分解・防汚などの光触媒機能
を発揮させることができる。次に、従来の光触媒粉体と
光触媒体の概念図を図3に示す。光触媒粒子2と支持体
3とが直接接触しているため、光触媒粒子2の光触媒機
能により支持体3が分解され、光触媒粒子2が支持体3
から脱離してしまう。
【0013】
【実施例】
実施例1 硫酸チタニルを加熱加水分解して得た酸性酸化チタンゾ
ル(石原産業株式会社製、CS−N)に水酸化ナトリウ
ムを加えpH7に調整した後濾過、洗浄を行った。次い
で、得られた酸化チタン湿ケーキに水を加えてTiO2
に換算して100g/lのスラリーを調製した。このス
ラリーに水酸化ナトリウムを加えpH10に調整した
後、オートクレーブで150℃の温度で3時間水熱処理
をした。次いで、水熱処理後のスラリーに硝酸を加えて
中和し、pHを7に調整した後、濾過し、洗浄を行っ
た。この酸化チタンの粒子径は20nmであった。これ
をTiO2 に換算して200g/lの酸化チタンスラリ
ーを調製した。また別に、アルミン酸ソーダ(NaAl
2 ・H2 O、ナカライテスク社製)を1N水酸化ナト
リウム水溶液に60℃に加温しながら溶解し、Al2
3 換算で100g/lのアルミン酸ナトリウム水溶液を
調製した。次いで、前記の酸化チタンスラリーを500
ml(TiO2 換算で100g)採取し、このスラリー
中に、前記のアルミン酸ナトリウム水溶液Bを70ml
(Al2 3 換算で7g、酸化チタン重量基準で7%)
を徐々に添加した後、純水を430ml加えてTiO2
に換算して100g/lの混合スラリーを作成した。こ
の混合スラリーのpHは12.8であった。次いで、こ
の混合スラリーを60℃に加温し、30分間保持したの
ち、1N硫酸水溶液で中和し、pHを7に下げ、引続
き、1時間熟成を行った。この後、室温まで徐冷し、再
度pH7に調整した後濾過し、濾液の導電率が10μS
になるまで純水で洗浄し、110℃の温度で1晩乾燥
後、乳鉢で粉砕して、本発明のアルミナ7重量%処理酸
化チタン光触媒粉体(試料A)を得た。
【0014】実施例2 実施例1において、アルミン酸ナトリウム水溶液の添加
量を100ml、純水添加量を400mlとしたこと以
外は、実施例1と同様に処理して、アルミナ10重量%
処理酸化チタン光触媒粉体(試料B)を得た。
【0015】実施例3 実施例1において、アルミン酸ナトリウム水溶液の添加
量を150ml、純水添加量を300mlとしたこと以
外は、実施例1と同様に処理して、アルミナ15重量%
処理酸化チタン光触媒粉体(試料C)を得た。
【0016】実施例4 実施例1において、アルミン酸ナトリウム水溶液に代え
て珪酸ナトリウム水溶液(SiO2 換算で30重量%)
33mlを用いたこと、純水添加量を367mlとした
こと以外は、実施例1と同様に処理して、シリカ10重
量%処理酸化チタン光触媒粉体(試料D)を得た。
【0017】比較例1 実施例1において、酸化チタンスラリーを濾過し、乾燥
した後、乳鉢で粉砕して得た未処理酸化チタン粉体を比
較試料(試料E)として用いた。
【0018】比較例2 市販品の酸化チタンP−25(Degussa社製 未
処理酸化チタン粉体、粒子径20nm)を比較試料(試
料F)として用いた。
【0019】前記の実施例及び比較例で得られた光触媒
粉体(試料A〜F)を電子顕微鏡で観察したところ、実
施例1〜4で得られた試料A〜Dでは、光不活性物質
(アルミナまたはシリカ)が光触媒粒子(酸化チタン)
の表面上に島状に担持されていた。一方、比較例1、比
較例2で得られた試料E、試料Fでは、光不活性物質は
担持されていなかった。
【0020】次に、前記の実施例および比較例で得られ
た光触媒粉体(試料A、EおよびF)をそれぞれ濾紙に
固着した光触媒体を以下の方法で得た。まず、前記の実
施例及び比較例で得られた光触媒粉体(試料A、Eおよ
びF)3gをそれぞれ70mlマヨネーズ瓶に入れ全量
30mlとなるように純水を加えた。これにガラスビー
ズを40g入れ、蓋をした後ペイントシェイカーで30
分間よく振とうし、次いで、ガラスビーズを除去して光
触媒分散液を得た。この光触媒分散液2mlにさらに純
水を20ml加え良く撹拌した後、あらかじめ油性マジ
ックインキ(赤色)で染色しておいた濾紙(Whatm
ann製No:1、面積9cm2 )上に塗布し、その
後、80℃で乾燥させて光触媒担持紙(光触媒体)を作
成した。
【0021】この光触媒担持紙上の紫外線(365n
m)の強度が0.5mW/cm2 となるようにこれにブ
ラックライト光を照射し、一定時間後の紙の拡散反射ス
ペクトルを分光光度計(島津分光光度計UV−3101
PC 積分球使用)で測定し退色性の経時変化をみた。
実施例1の試料Aの結果を図6に、比較例1の試料Eの
結果を図7に、比較例2の試料Fの結果を図8に、それ
ぞれ示す。実施例1の試料Aを用いた場合、図6より明
らかなように、色の変化(退色性)は認められず、試料
Aによる染料の分解は認められなかった。この結果か
ら、さらに光照射を続けても、染料や紙の繊維の分解は
起こりにくいと考えられる。一方、比較例1、2の試料
E、Fを用いた場合には、図7、図8より明らかなよう
に、色の変化が短時間で認められ、試料による染料の分
解が起こっていることがわかった。この状態で光照射を
続ければ、試料により染料がさらに分解され、さらには
紙の繊維も分解されると推定される。
【0022】次に、試料の光触媒機能を次の方法で調べ
た。まず、前記の実施例及び比較例で得られた光触媒粉
体(試料A〜F)をそれぞれ0.4g採取し、一辺3c
m(面積9cm2 )の正方形のセルに均一に敷き詰め
た。これを、別個に0.5lのパイレックス製ガラス容
器に入れ封入した後、初期濃度が約200ppmとなる
ように、5%アセトアルデヒドガスを注入した。これを
暗所で30分間放置して、試料にアセトアルデヒドを飽
和吸着させた。次いで、試料表面の紫外線強度(365
nm)が2mW/cm2 となるようにHg−Xe灯(3
65nm透過フィルター 東芝UVD36Bを挿入)を
照射して、アセトアルデヒドの分解反応速度を調べた。
なお、アセトアルデヒドガス濃度はガスクロマトグラフ
ィーにより定量した。その結果を図9及び表1に示す。
この結果から、実施例1〜4の試料A〜Dの光触媒機能
は、比較例のものに比べ、同程度かまたはやや劣るもの
の実施には差支えないことがわかった。以上のことか
ら、本発明の光触媒体は、従来の光触媒体に比し、光不
活性物質を担持しているにもかかわらず遜色ない光触媒
機能を有し、かつ、支持体への影響については顕著な改
善効果が認められる。このことは、光触媒粒子の表面上
に、光不活性物質が島状に分布して存在し、その光不活
性物質を介して支持体と接触する構造をとっていること
を示すものである。
【0023】
【表1】
【0024】次に、試料の光不活性物質の表面担持率を
次の方法で調べた。まず、実施例および比較例で得られ
た光触媒粉体(試料A、B、E)をそれぞれ0.4g採
取し一辺3cmの正方形のセルに均一に敷きつめた。こ
れを別個に0.5lのパイレックス製ガラス容器に入れ
封入した後、初期濃度が50、100、500、100
0、2000、3000ppmとなるように5%アルデ
ヒドガスをそれぞれ注入した。これを暗所で2時間吸着
させた後、気相残留濃度をガスクロマトグラフィーによ
り測定した。この気相残留濃度から各試料の吸着平衡濃
度および吸着量を求め、次に、これらの値を用いてラン
グミュアー吸着等温式から吸着係数を算出した。光不活
性物質の表面担持率は、光不活性物質を担持していない
試料の吸着係数と各試料の吸着係数との減少率から算出
した。実施例1の試料Aでは、光不活性物質の表面担持
率は32%であり、実施例2の試料Bのそれは47%で
あった。なお、実施例3の試料C、実施例4の試料Dも
同様に測定したところ、光不活性物質の表面担持率はそ
れぞれ60%、50%程度であった。
【0025】
【表2】
【0026】
【発明の効果】本発明は、光触媒粒子の表面上に、光不
活性物質を島状に担持してなることを特徴とする光触媒
粉体であって、光不活性物質の立体的障害により、支持
体との直接的な接触をさけることができる部分で光触媒
粒子を固着させることができるので、紙、繊維等の酸化
力に対して弱い支持体にも光触媒粒子を強固に、かつ、
長期間にわたって固着できる。本発明の光触媒粉体を支
持体に固着してなる光触媒体は、優れた光触媒機能を有
しており、かつ、取り扱いやすいものであって、環境汚
染物質を効率よく、かつ簡易に浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光触媒粉体の概念図である。
【図2】本発明の光触媒粉体の概念図である。
【図3】従来の光触媒粉体の概念図である。
【図4】実施例1で得られた試料Aの粒子構造を示す電
子顕微鏡写真である。
【図5】比較例1で得られた試料Eの粒子構造を示す電
子顕微鏡写真である。
【図6】実施例1で得られた試料Aを用いた場合の退色
性の経時変化を示すグラフである。
【図7】比較例1で得られた試料Eを用いた場合の退色
性の経時変化を示すグラフである。
【図8】比較例2で得られた試料Fを用いた場合の退色
性の経時変化を示すグラフである。
【図9】実施例及び比較例で得られた試料A、B、E及
びFを用いた場合の残留するアセトアルデヒドの濃度変
化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 光不活性物質 2 光触媒粒子 3 支持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤嶋 昭 神奈川県川崎市中原区中丸子710番地5 (72)発明者 橋本 和仁 神奈川県横浜市栄区小菅ケ谷町2000番地の 10南小菅ケ谷住宅2棟506号

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒粒子の表面上に光不活性物質を島
    状に担持してなることを特徴とする光触媒粉体。
  2. 【請求項2】 光不活性物質の担持面積が、光触媒粒子
    の表面積の5〜80%であることを特徴とする請求項1
    に記載の光触媒粉体。
  3. 【請求項3】 光不活性物質を0.1〜30重量%担持
    してなることを特徴とする請求項1に記載の光触媒粉
    体。
  4. 【請求項4】 光不活性物質が、珪素、アルミニウムお
    よびジルコニウムからなる群より選ばれる元素の少なく
    とも1種の化合物であることを特徴とする請求項1に記
    載の光触媒粉体。
  5. 【請求項5】 光触媒粒子が酸化チタン粒子であること
    を特徴とする請求項1に記載の光触媒粉体。
  6. 【請求項6】 光触媒粒子の粒子径が、0.005〜
    0.5μmであることを特徴とする請求項1に記載の光
    触媒粉体。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の光触媒粉体を支持体に
    固着してなることを特徴とする光触媒体。
  8. 【請求項8】 支持体が紙であることを特徴とする請求
    項6に記載の光触媒体。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の光触媒粉体または請求
    項6に記載の光触媒体に光照射下、環境汚染物質を接触
    させることを特徴とする環境浄化方法。
JP8083243A 1996-03-11 1996-03-11 光触媒粉体およびそれを用いた光触媒体ならびにそれらを用いた環境浄化方法 Pending JPH09239277A (ja)

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