JPH11179211A - 酸化チタン系光触媒とその製造方法、多機能部材および使用方法 - Google Patents

酸化チタン系光触媒とその製造方法、多機能部材および使用方法

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JPH11179211A
JPH11179211A JP9356720A JP35672097A JPH11179211A JP H11179211 A JPH11179211 A JP H11179211A JP 9356720 A JP9356720 A JP 9356720A JP 35672097 A JP35672097 A JP 35672097A JP H11179211 A JPH11179211 A JP H11179211A
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titanium oxide
zirconium
oxide
titanium
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JP9356720A
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Yasuhiro Masaki
康浩 正木
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた光触媒活性を備える酸化チタン系光触媒
とその製造方法および酸化チタン系光触媒が支持体に固
定された多機能部材ならびに酸化チタン系光触媒および
その多機能部材の使用方法の提供。 【解決手段】(1)酸化チタンおよび結晶質のチタン酸
ジルコニウムを主体とし、ジルコニウムとチタンの原子
%比(Zr/Ti)が0.001以上0.5以下の酸化
チタン系光触媒。 (2)チタン化合物とジルコニウム化合物との反応生成
物を大気雰囲気下で焼成することによる上記(1)の酸
化チタン系光触媒の製造方法。 (3)支持体の表面に、上記(1)の酸化チタン系光触
媒が固定された光触媒作用を備える多機能部材。 (4)上記(1)の酸化チタン系光触媒または上記
(3)の多機能部材により、光照射下で大気中もしくは
水中の物質または前記多機能部材表面に付着した物質を
処理する光触媒の使用方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた光触媒作用
を持つ酸化チタン系光触媒とその製造方法およびこの光
触媒が支持体の表面に固定された多機能部材ならびに光
触媒および多機能部材の使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体にそのバンドギャップ以上のエネ
ルギーを持った光を照射すると、照射面に強い還元作用
を持つ電子と強い酸化作用を持つ正孔が生じる。物質が
このような状態の半導体の表面に接触すると、半導体の
持つ強い酸化還元作用を受けて分解される。
【0003】最近、このような半導体の光触媒作用を、
大気中、水中などに含まれる有害物質の分解や無害化、
生活空間における防臭、防泥、殺菌等の様々な環境浄化
に利用する技術の開発が精力的に進められている。この
ような目的に使用される半導体光触媒には、比較的高い
光触媒活性を持ち、また安全性に優れ、化学的に安定な
酸化チタンが最も適していると考えられている。
【0004】しかし、従来の酸化チタンは、酸化チタン
そのものの光触媒活性が十分とはいえない。さらに、上
述の環境浄化に適用する場合には、光触媒を支持体に固
定化した状態で使用するのが一般的であるが、その方法
では、光触媒としての作用を発揮する光触媒の表面積
(実反応面積)が制限されるので、光触媒効率をあまり
大きくできないという問題がある。これらの問題を解決
するために、さらに光触媒活性の高い酸化チタンの開発
が望まれている。
【0005】酸化チタンの光触媒活性を向上させる技術
としては、白金、パラジウム、ルテニウム等の貴金属を
酸化チタンに添加する方法が試みられてきた(例えば、
季刊化学総説(1994)、No.23 、p.69〜70)。しかし、こ
のような改良された光触媒を用いても、汚染物質などを
効果的に除去するには、多量の光触媒が必要であり、高
価な貴金属類の添加はコスト上昇を招くので、商業規模
での使用は困難であった。
【0006】また、特開平9−75745号公報では、
2種類以上の半導体光触媒からなる光反応用触媒が開示
されている。この光反応用触媒は公知の半導体の粉末を
混合したもので、複数の半導体光触媒が反応に関与する
ことによる相乗効果に基づいて光触媒活性が向上すると
している。しかし、半導体の粉末を混合しただけなので
各粒子は独立しており、半導体同士が相互作用を及ぼす
ことはなく、必ずしも十分な活性の向上には至っていな
い。
【0007】Environ.Sci.Technol.,Vol.30(1996),P.64
7 には、酸化チタンに酸化ジルコニウムを添加した二元
系酸化物光触媒が報告されている。この光触媒は、比表
面積が大きく、さらに表面に生じる酸点が触媒活性サイ
トとして機能すると推定し、その結果光触媒活性が向上
するとしている。また、非晶質であるチタン酸ジルコニ
ウムは酸化チタンの活性向上には寄与しないとしてい
る。しかし、この光触媒の場合にも、商業規模での実用
に耐えるだけの光触媒活性が得られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、支持体に固
定することなく単体で用いることが可能で、優れた光触
媒活性を備える酸化チタン系光触媒とその製造方法およ
び酸化チタン系光触媒が支持体に固定された多機能部材
ならびに酸化チタン系光触媒およびその多機能部材の使
用方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)の光触媒、下記(2)のその製造方法および下記
(3)の多機能部材ならびに下記(4)の使用方法にあ
る。
【0010】(1)酸化チタンおよび結晶質のチタン酸
ジルコニウムを主体とし、ジルコニウムとチタンの原子
%比(Zr/Ti)が0.001以上0.5以下の酸化
チタン系光触媒。
【0011】この光触媒には、ハフニウム酸化物、ほう
素酸化物および亜鉛酸化物のうちの少なくとも1種の酸
化物が含まれていてもよい。
【0012】(2)チタン化合物とジルコニウム化合物
との反応生成物を大気雰囲気下で焼成することによる上
記(1)の酸化チタン系光触媒の製造方法。
【0013】(3)支持体の表面に、上記(1)の酸化
チタン系光触媒が固定された光触媒作用を備える多機能
部材。
【0014】(4)上記(1)の酸化チタン系光触媒ま
たは上記(3)の多機能部材により、光照射下で大気中
もしくは水中の物質または前記多機能部材表面に付着し
た物質を処理する光触媒の使用方法。
【0015】本発明の光触媒は、下記の構成上の特徴
および下記の作用上の特徴を持っている。したがっ
て、優れた光触媒活性が得られる。
【0016】 本発明の光触媒は、おもに酸化チタン
と結晶質のチタン酸ジルコニウムで構成されている。さ
らに、Tiに対するZrの原子%比(以下、Tiに対す
る金属元素の比は原子%比を意味する)が0.001以
上0.05以下である。
【0017】 一般に光触媒の活性を高めるには、光
励起による電子と正孔の生成、すなわち電子と正孔の分
離(電荷分離)の効率を高めてやることが得策である。
【0018】例えば、植物における光合成系では、光励
起体と複数の電子伝達体とが植物葉緑体内に存在してお
り、それらの電子的相互作用によって電子と正孔は効果
的に引き離され、安定かつ長寿命の電荷分離状態が達成
されていることはよく知られている。同じく、本発明の
光触媒でも結晶性のチタン酸ジルコニウムを酸化チタン
粒子の内外に配置させ、この二つの半導体の電子的相互
作用を利用して光触媒の電荷分離の効率が高くなるよう
にしている。また、本発明の光触媒では、チタン化合物
とジルコニウム化合物が反応して生成した結晶性のチタ
ン酸ジルコニウムの一部は酸化チタン粒子にTi−O−
Zr結合を介して強固に結合しており、言い換えるなら
ば酸化チタン粒子のバインダーの役目をもなし、光触媒
粒子は完全に一体化されたネットワーク構造をとってい
る。そのため、前述の電子的相互作用はネットワーク内
すべてに及んでおり、電子と正孔はより効果的に粒子内
で引きはなされる。その結果、光触媒の電荷分離の効率
はさらに高くなり、光触媒性能は飛躍的に増進される。
【0019】さらに、結晶性のチタン酸ジルコニウムの
存在は、酸化チタン粒子の成長を抑える効果があり、そ
の結果、酸化チタン内部で光生成した電子と正孔の粒子
内での電荷再結合の確率を低くするという効果もある。
【0020】なお、チタン酸ジルコニウムが結晶質から
非晶質になるにつれて、半導体内部に電荷再結合を誘発
する格子欠陥などが存在する可能性が高くなるためチタ
ン酸ジルコニウムと酸化チタンとの電子的相互作用が弱
くなり、電荷分離の効率が高まらず、光触媒活性の向上
効果は減少する。完全に非晶質の場合には、光触媒活性
の本質的な活性向上作用はなくなる。
【0021】このように、本発明の光触媒では、結晶質
のチタン酸ジルコニウムを酸化チタン粒子の内外に効果
的に配置し(すなわち、両者を単に混合するのではな
く、Ti−O−Zr結合を介して一体化させ)、光触媒
性能の向上効果が最大限に発現されるように酸化チタン
粒子とチタン酸ジルコニウムとを共存させているのであ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の酸化チタン系光触媒、そ
の製造方法および多機能部材とそれらの使用方法につい
て具体的に説明する。
【0023】(1)酸化チタン系光触媒 本発明の酸化チタン系光触媒は、酸化チタンと結晶質の
チタン酸ジルコニウムを主体として構成される。「主体
として」というのは、後述するように、非晶質のチタン
酸ジルコニウムや、ハフニウム、ほう素等の酸化物が含
まれる場合もあるからである。
【0024】光触媒中の酸化チタンは、非晶質でも結晶
質でもよい。結晶質の場合、アナターゼ型、ルチル型の
いずれでもよい。これらの結晶型は、チタン化合物、ジ
ルコニウム化合物を含む配合材を焼成する際の焼成温度
の選択によって、目標の結晶型にすることができる。
【0025】光触媒中のジルコニウム酸化物は、結晶質
のチタン酸ジルコニウムとして存在させる。ただし、調
製法によってはチタン酸ジルコニウムは完全に結晶化し
ないことがあるが、わずかでも結晶質のものが含まれる
と活性の向上が認められる。
【0026】本発明の酸化チタン系光触媒に含まれるT
iとZrの関係は、チタン酸ジルコニウムとして存在す
るZrと酸化チタンおよびチタン酸ジルコニウムとして
存在するTiの比(Zr/Ti)で表したとき、0.0
01以上0.5以下であることが必要である。0.00
1未満では酸化チタンとの電子的相互作用がきわめて弱
く、一方、0.5を超えると酸化チタンの光触媒作用よ
りもチタン酸ジルコニウムの光触媒作用の方が顕著に現
れ、酸化チタンの優れた光触媒作用が発現されにくいた
め、いずれにせよ高い光触媒活性は得られない。Zr/
Tiのより好ましい範囲は、0.01以上0.3以下で
ある。
【0027】また、本発明の光触媒には、ハフニウム酸
化物、ほう素酸化物および亜鉛酸化物のうちの少なくと
も1種を添加してもよい。これらの金属酸化物は、光触
媒活性の向上、反応選択性の向上、光触媒の劣化防止等
の作用を持つほか、後述する光触媒焼成用の配合材を支
持体へ塗布する前に行う粉砕の際の被粉砕性の向上等に
有効である。
【0028】これらの酸化物の含有量は、光触媒中のT
iに対する原子%比(M/Ti、MはHf、BまたはZ
nを表す)で0.3以下が好ましい。0.3を超えて含
有させると、酸化チタンおよびチタン酸ジルコニウムの
構造が崩れやすくなり、光触媒活性が低下する場合があ
るからである。なお、これらの酸化物を添加する場合の
下限は、0.001とするのが望ましい。
【0029】(2)酸化チタン系光触媒の製造方法 上記の本発明の光触媒は、以下に述べる方法によって製
造することができる。
【0030】配合原料中のチタンに対するジルコニウム
の比(Zr/Ti)が0.001以上0.5以下の範囲
になるように、チタン化合物とジルコニウム化合物の配
合量を決定する。この条件で求められた量のチタン化合
物とジルコニウム化合物とをアルコールや水等の溶媒中
で、あるいは空気中でよく混合する(以下、「単に接触
させる」と記す)。この接触させる操作によって、チタ
ン化合物とジルコニウム化合物は反応を起こし、光触媒
の前駆物質となる。この前駆物質から必要に応じて溶媒
などを除き、室温から100℃前後の温度で乾燥する。
【0031】つぎに、得られた生成物を大気雰囲気下で
焼成することによって、本発明の光触媒を製造する。Z
r/Tiが上記の範囲内の場合には、特別な条件の調製
法を採らなくても、結晶質のチタン酸ジルコニウムを含
み、高い光触媒活性を有する酸化チタン系光触媒が得ら
れる。
【0032】なお、より活性に富んだ光触媒を得るに
は、前記の光触媒の前駆物質をさらに水中もしくは空気
中の水分、または硝酸、塩酸等の酸によって反応(加水
分解等)させた後、必要に応じて溶媒などを除き、乾燥
後、所定の温度で焼成するのがよい。
【0033】また、チタン化合物とジルコニウム化合物
を混合して得られた前駆物質を、必要に応じて加水分解
等の反応を起こさせた後、80℃から100℃程度の温
度範囲で2時間以上、より好ましくは10時間以上加熱
あるいは加熱環流し、必要に応じて溶媒などを除き、得
られた生成物を乾燥後焼成する方法によれば、さらに高
活性な酸化チタン系光触媒を得ることができる。
【0034】焼成温度は、50℃以上900℃以下が好
ましい。50℃未満では光触媒粒子の内外に残留した溶
媒や反応副生成物などの有機物が蒸発、飛散しにくくな
り、光触媒反応の際、これらの分解が併発するため、分
解しようとする対象物の分解効率が悪くなる。また、焼
成温度が900℃を超えると製造コストの面から不利に
なる。より好ましくは、100℃以上800℃以下であ
る。このような温度範囲での焼成によって効果的に結晶
性のチタン酸ジルコニウムが生成するため、高い活性を
持った光触媒が得られる。
【0035】上記の製造方法で用いるチタン化合物とし
ては、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−n−ブ
トキシド、チタンテトラ−i−プロポキシド等のチタン
アルコキシド、硫酸チタン、四塩化チタン等の酸化物前
駆物質、これらの物質が部分的に加水分解したもの、さ
らには水酸化チタン、水和酸化チタンおよび酸化チタン
微粒子などが挙げられる。
【0036】酸化チタン微粒子は、非晶質、結晶質、あ
るいはこれらが混在したもののいずれでもよい。結晶質
の場合は、その結晶型はアナターゼ、ルチルおよびブル
ッカイトのいずれでもよく、それらの2種以上が混在し
たものでもよい。
【0037】また、水酸化チタン、水和酸化チタンおよ
び酸化チタン微粒子の形態は、粉末であってもよいし、
これらを分散させた懸濁液、あるいは高度に分散させた
ゾル液のいずれでもよい。
【0038】酸化チタン微粒子の大きさ(粒径)は20
0nm以下が好ましい。これより大きいと溶媒中での分
散性も悪く、また高い光触媒活性を有する本発明の光触
媒が得られないことが多いからである。より好ましくは
100nm以下、さらに好ましくは50nm以下であ
る。
【0039】酸化チタン微粒子は市販のものでもよい
が、より高活性な本発明の光触媒を得るには、前述のチ
タンアルコキシド、四塩化チタン等の酸化物前駆物質に
あらかじめ加水分解などの処理を施し、調製したものが
より好ましい。
【0040】ジルコニウム化合物としては、ジルコニウ
ムテトラ−n−プロポキシド、ジルコニウム−n−テト
ラブトキシド等のジルコニウムアルコキシド、四塩化ジ
ルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム等の酸化物前駆物
質、非晶質の酸化ジルコニウム微粒子、および部分的に
あるいは完全に結晶質からなる酸化ジルコニウム微粒
子、同じく微粒子状のチタン酸ジルコニウム等が好適で
ある。
【0041】チタン酸ジルコニウムは、結晶質、非晶質
あるいはこれらが混在したもののいずれでもよい。非晶
質の場合には、チタン化合物と接触させた後の焼成の段
階で結晶化させる。
【0042】また、上記の酸化ジルコニウム微粒子、チ
タン酸ジルコニウム微粒子の形態は、粉末であってもよ
いし、これらを分散させた懸濁液、あるいは高度に分散
させたゾル液のいずれでもよい。
【0043】酸化ジルコニウム微粒子、チタン酸ジルコ
ニウム微粒子の大きさ(粒径)は、200nm以下のも
のが好ましい。200nmを超えると溶媒中での分散性
が悪く、また、高い光触媒活性を有する本発明の光触媒
が得られないことが多いからである。より好ましくは、
100nm以下、さらに好ましくは50nm以下であ
る。
【0044】酸化ジルコニウム微粒子は市販品でも良い
が、より高活性な光触媒とするには、上記のジルコニウ
ムアルコキシド、オキシ塩化ジルコニウムなどの酸化物
前駆物質を加水分解などの操作によって調製したものが
好ましい。同じく微粒子状のチタン酸ジルコニウムにつ
いても、アルコキシド類等、適当なチタン化合物とジル
コニウム化合物からゾルゲル法などによって調製したも
ののほうがよい。
【0045】ゾルゲル法や含浸法などの操作によって、
チタン化合物とジルコニウム化合物を溶液中で接触させ
る場合には、それぞれ前述の酸化物前駆物質同士、酸化
物微粒子同士、または酸化物前駆物質と酸化物微粒子の
組み合わせのいずれでもよい。ただし、両方の化合物が
部分加水分解物を含まない、完全に酸化物微粒子同士の
場合には、少なくとも一方が結晶質である必要がある。
双方が非晶質の場合には、結晶質のチタン酸ジルコニウ
ムが得られないからである。
【0046】なお、固体状の化合物を混練等によって接
触させる場合には、少なくとも一方が粉末状の酸化物で
なければ混練できない。このような場合でも、上記のい
ずれかの組み合わせとし、適正な焼成温度を選ぶことに
よって、結晶質のチタン酸ジルコニウムを含む酸化チタ
ンが得られる。
【0047】光触媒にハフニウム、ほう素、亜鉛等の酸
化物を含有させる場合には、チタン化合物とジルコニウ
ム化合物との接触の際に、これらの金属の酸化物の微粒
子またはその前駆物質、例えばアルコキシド類、硝酸塩
等を添加する方法を採るのがよい。また、これらの金属
酸化物を添加し混練する方法でもよい。さらに、焼成後
の光触媒に金属酸化物のアルコキシド類、硝酸塩などの
酸化物前駆物質を含浸させ、その前駆物質が酸化物にな
るような温度で再度焼成する方法を採ってもよい。その
場合の焼成温度は、基本的には前述の焼成温度範囲内の
温度で差し支えないが、ハフニウム、ホウ素、亜鉛等の
酸化物の前駆物質を用い、大気中での焼成によって酸化
物とする場合は、その前駆物質が完全に酸化物となる温
度以上で焼成する必要がある。
【0048】(3)多機能部材 本発明の酸化チタン系光触媒が支持体の表面に固定され
た本発明の多機能部材について説明する。
【0049】多機能部材を製造するための光触媒の固定
化は、通常の顔料の塗布で知られているような公知の結
着剤を用いる方法および結着剤を用いない方法のいずれ
の方法でも行うことができる。
【0050】結着材を用いて多機能部材を製造するに
は、まず、アルコール、エーテル等の有機溶剤または水
に、適当な結着材と、本発明の光触媒または前述したチ
タン化合物およびジルコニウム化合物のそれぞれのアル
コキシド、金属塩、微粒子またはそれらの反応生成物を
含む光触媒形成用配合剤とを混合し、次いで、その混合
材をガラスビーズなどの粉砕剤を使って均一に分散させ
た塗布剤を調製し、支持体に塗布する。一方、結着剤を
用いずに多機能部材を製造するには、前記の光触媒形成
用配合剤を水またはアルコール、エーテル等の溶剤に分
散させたものを塗布液として、直接、支持体に塗布す
る。
【0051】これらの方法で支持体に光触媒を塗布した
後、必要に応じて乾燥し、さらに焼成することによっ
て、酸化チタン系光触媒が支持体に強固に結着した高い
光触媒性能を有する多機能部材が得られる。
【0052】焼成温度は、結着剤利用時には、結着剤あ
るいは支持体の熱分解温度未満とするが好ましく、具体
的には50℃から250℃の温度範囲が望ましい。一
方、結着材を使用しない場合は、基本的には支持体の劣
化温度によって決定されるが、50℃から900℃の温
度範囲が好ましい。
【0053】なお、結着剤には、熱可塑性を持つアクリ
ル系樹脂、アルミナ、チタニア、マグネシア等の金属酸
化物ゲルおよび熱硬化性のあるフッ素系樹脂、エポキシ
樹脂等が利用できる。
【0054】また、前記の配合剤を支持体に塗布する方
法としては、スピンコーティング、ディップコーティン
グ、スプレーコーティング、バーコーティング、ロール
コーティング等の方法のいずれを利用してもよい。
【0055】支持体としては、鉄、クロム、ニッケル、
アルミニウム、チタン、白金、モリブデン等、またはそ
れらの元素を主成分とする合金等の金属材料、セラミッ
ク、陶磁器、ガラス、石英等の無機材料、樹脂、木材、
活性炭等の有機材料などが適している。これらの材料
は、単独で用いてもよく、2種以上を複合材として用い
てもよい。
【0056】支持体の形状は、多機能部材としての用途
等に応じて決めるのがよい。厚板、薄板などの板状、ビ
ーズのような球状またはそのまま製品として使用される
ような複雑な形状であってもよい。なお、支持体の表面
性状は、多孔質でも緻密質でもよい。
【0057】(4)光触媒および多機能部材の使用方法 上記(1)の光触媒および(3)の光触媒作用を持つ多
機能部材は、酸化チタンのバンドギャップより高いエネ
ルギーの光を照射することによって、光触媒作用を発現
し、様々な有害物質、付着物質などの分解、除去、無害
化などに優れた効果を発揮する。
【0058】ここで、有害物質とは、人体に有害とされ
ている物質のことである。具体的には、NOx(窒素酸
化物)、SOx(硫黄酸化物)、フロン、アンモニア、
硫化水素などの大気中に含まれるガス、アルデヒド類、
アミン類、メルカプタン類、アルコール類、BTX(ベ
ンゼン、トルエン、キシレン)、フェノール類等の有機
化合物、トリハロメタン、トリクロロエチレン、フロン
等の有機ハロゲン化合物、除草剤、殺菌剤、殺虫剤等の
種々の農薬、蛋白質やアミノ酸等の種々の生物学的酸素
要求物質、界面活性剤のほか、シアン化合物、硫黄化合
物等の無機化合物、種々の重金属イオン、さらには細
菌、放線菌、菌類、藻類等の微生物および上記物質のう
ち水中に含まれるものが挙げられる。
【0059】また、付着物質には、光触媒または多機能
部材の表面に直接付着するものが対象となり、大腸菌、
ブドウ球菌、緑濃菌、カビ等の菌類、油、タバコのヤ
ニ、指紋、雨筋、泥などがある。
【0060】バンドギャップより高いエネルギーを持つ
光としては、紫外線を含む光が好ましく、具体的な光源
には、太陽光や、蛍光灯、ブラックライト、水銀灯、キ
セノン灯などがある。特に、波長が300〜400nm
の近紫外線を含む光が好ましい。光の照射量や照射時間
などは、処理対象物質の量などによって最適な条件を選
択するのがよい。
【0061】
【実施例】(実施例1)本発明の光触媒(5種)および
比較例の光触媒(2種)を製造し、X線回折法による結
晶型の調査および酢酸を分解させることによる光触媒と
しての性能調査を行った。
【0062】表1に、本発明例(試験No.1〜3、
6、7)および比較例(試験No.4、5)のおもな配
合条件を示す。
【0063】
【表1】
【0064】試験No.1〜5の光触媒の製造方法はつ
ぎのとおりである。
【0065】まず、チタンイソプロポキシド127.8
gとジルコニウムプロポキシド(70%含有1−プロパ
ノール溶液)を脱水エタノール(16g)に加えた混合
液を調製した。ここで、試験No.毎にジルコニウムプ
ロポキシドの量を変えて、焼成後の光触媒のZr/Ti
を変化させるようにした。ジルコニウムプロポキシドの
量および焼成後の光触媒のZr/Tiの値は表1に示す
とおりであり、Zr/Tiの値の範囲は0〜0.60で
ある。
【0066】つぎに、この混合液を室温下で30分間撹
拌した後、750mlの蒸留水中に滴下した。さらに、
硝酸を4.3ml加え、約80℃で20時間撹拌を続け
た後、溶媒を真空下で除去し、得られた反応生成物を1
00℃で5時間乾燥した。この反応生成物を、600℃
で5時間焼成することにより光触媒を得た。
【0067】試験No.6および7では、上記試験N
o.1〜5とは製造方法を変えて光触媒を製造した。
【0068】試験No.6では、まず、チタン化合物、
ジルコニウム化合物としてそれぞれ酸化チタン微粒子ゾ
ルと酸化ジルコニウム微粒子ゾルを別途調製した。
【0069】酸化チタン微粒子ゾルは、以下の方法によ
り調製した。すなわち、チタンイソプロポキシド80g
を16mlのイソプロパノールに加えた混合液を、激し
く撹拌している蒸留水500mlに滴下し、その後硝酸
(60%)5gを加え、次いで80℃で24時間撹拌
し、真空下で濃縮することにより、半透明の酸化チタン
微粒子ゾルを得た(固形分15重量%)。このゾルに含
まれる二酸化チタンは、X線回折の結果、すでに結晶化
状態にあった。
【0070】酸化ジルコニウム微粒子ゾルは、以下の方
法により調製した。すなわち、テフロン製内筒管(10
0ml)にオキシ塩化ジルコニウム90gと蒸留水23
ml(濃度4mol/l(リットル))を入れ、10分
間撹拌した後、オートクレーブに仕込み、静置条件下、
195℃で4日間加熱した。得られた白濁液から未反応
のオキシ塩化ジルコニウムを除き、その後、pHを5付
近に調整することによって、半透明の酸化ジルコニウム
ゾルを得た(固形分6重量%)。このゾルに含まれる酸
化ジルコニウムは、X線回折の結果、高結晶化状態にあ
った。
【0071】次に、上記の酸化チタン微粒子ゾル100
ml、酸化ジルコニウム微粒子ゾル45mlを混合し
(Zr/Ti=0.12)、80℃で24時間撹拌し、
その後、真空下で水を除去し、得られた生成物を100
℃で5時間乾燥した。この反応生成物を600℃で5時
間焼成して光触媒を得た。
【0072】試験No.7では、チタンイソプロポキシ
ド17.4g(0.06mol)とジルコニウムプロポ
キシド28.08g(70%含有2−プロパノール溶
液:0.06mol)を脱水2−プロパノール5gに混
合した。室温で1時間撹拌した後、平底シャーレに入れ
3日間放置し、空気中の水分で加水分解させることによ
って、わずかに白濁したゲルを得た。このゲルを100
℃で5時間乾燥した後、450℃で5時間焼成すること
によりチタン酸ジルコニウムを得た。さらに、このチタ
ン酸ジルコニウム10gに、市販の酸化チタン微粉末
3.9gを加え、乳鉢を用いて十分に混練した後、65
0℃で5時間焼成した。この方法によって、金属比(Z
r/Ti)で0.50の割合のTiとZrを含む本発明
の光触媒を得た。
【0073】上記の7種類の試験材について、X線回折
法による結晶型の同定および酢酸の分解試験を行った。
酢酸の分解試験方法はつぎのとおりである。
【0074】パイレクッス製の反応管(内容量10c
c)に、光触媒10mgと6.6mM酢酸水溶液2ml
(酢酸含有量13.2μmol)を入れ、酸素を20分
間通気した後セプタム栓をした。つぎに、温度20℃で
磁気撹拌しながら、500W超高圧水銀灯により1時間
光照射した。その後、水溶液に含まれる酢酸の量をイオ
ンクロマトグラフを用いて分析し、酢酸の減少量(分解
量)を求めて、光触媒としての性能を評価した。
【0075】図1に、試験No.1、2、4〜6につい
て、X線回折における検出角と二次X線強度との関係を
表すチャート図を示す。また、表1に、X線回折による
結晶型の測定結果および酢酸の減少量をまとめて示し
た。
【0076】図1に示した試験No.1、2および6の
本発明例の場合には、酸化チタンのアナタース型の結晶
を示すピークのほかに、チタン酸ジルコニウムのd10
0(2θ=30.59゜、図1ではやや高角側にシフト
している)のピークが認められた。これに対して、試験
No.4および5の比較例の場合には、チタン酸ジルコ
ニウムの結晶に相当するピークが認められなかった。こ
の結果から、本発明の光触媒には、チタン酸ジルコニウ
ムの結晶が存在することが確認された。
【0077】上記の図1の結果および表1から明らかな
ように、本発明例の試験No.1〜3、6および7につ
いては、酸化チタンは結晶化しており、アナターゼ型、
ルチル型またはその両者の混合型となっていた。また、
上述したように、チタン酸ジルコニウムも結晶化してい
た。
【0078】これらの本発明例では、酢酸分解試験にお
ける酢酸の減少量は7.6〜10.0μmolで、減少
率は58〜76%であった。
【0079】これに対して、比較例の試験No.4はZ
rを含まないため酢酸の減少率が5%で、光触媒として
の機能がほとんど発揮されていなかった。また、試験N
o.5は、Zr/Tiが0.60と本発明で規定する範
囲を超えているために、酢酸の減少率は11%で、本発
明例に比べて極めて不良であった。
【0080】(実施例2)本発明の酸化チタン系光触媒
に対して、ハフニウム酸化物(試験No.11)、亜鉛
酸化物(同12)およびほう素酸化物(同13)を含有
させた場合の効果を調査した。
【0081】試験No.11については、つぎの方法で
光触媒を製造した。ハフニウムエトキシド(1.38
g)を脱水エタノール3mlに混ぜ、十分に撹拌した
後、この混合液を実施例1の試験No.1で製造した光
触媒6gに含浸させた。その後、加熱によりエタノール
を留去し、得られた固形物を600℃で4時間焼成する
ことによって、ハフニウム酸化物をHf/Tiで0.0
5含む本発明例の光触媒を得た。
【0082】試験No.12では、硝酸亜鉛0.66g
を蒸留水5mlに溶かし、この混合液を実施例1の試験
No.1で製造した光触媒6gに含浸させた。その後、
溶媒を加熱により留去し、得られた固形物を500℃で
4時間焼成することにより、酸化亜鉛をZn/Tiで
0.05含む本発明例の光触媒を得た。
【0083】試験No.13では、チタンイソプロポキ
シド17.4gとジルコニウムプロポキシド70%含有
1ープロパノール溶液7g、さらにトリエチルボレート
0.44gを脱水2−プロパノール5gに加えて混合
し、室温で1時間撹拌した後、平底シャーレに入れ、3
日間放置し、空気中の水分で加水分解させることによっ
て、白濁したゲルを得た。このゲルを100℃で5時間
乾燥した後、600℃で4時間焼成することにより、ほ
う素酸化物をB/Tiで0.05含む本発明例の光触媒
を得た。
【0084】これらの光触媒について、実施例1の場合
と同じ方法で、酢酸の分解試験を行った。表2に、おも
な製造条件および酢酸分解試験結果をまとめて示す。
【0085】
【表2】
【0086】酢酸の減少率は74〜77%で、前述の実
施例1の中でZr/Tiの値がほぼ同一の場合と比べる
と、いずれも高めであった。したがって、珪素、亜鉛、
ほう素などの酸化物を含む場合には、光触媒活性が向上
することが分かった。
【0087】(実施例3)光触媒を支持体に固定した多
機能部材(試験No.21および22)を作製し、その
抗菌効果を調査することにより多機能部材としての性能
を評価した。
【0088】試験No.21および22で用いた多機能
部材(試験材)の製造方法はつぎのとおりである。
【0089】試験No.21は、実施例1の試験No.
1で製造した光触媒をステンレス鋼(JIS SUS3
04)の鋼板に固定した例である。まず、上記の光触媒
5gを市販のアルミナゾル(アルミナ含有量:30重量
%)100mlに分散させ、さらにガラスビーズ(径
2.0〜2.5mm)5gを入れペイントコンディショ
ナーを用いて微粉砕し、よく混合した後、ガラスビーズ
を除くことにより、多機能部材製造用の塗布液を得た。
その液をバーコーター(番目14)を用いて、ステンレ
ス鋼板(縦横50mm、厚さ1mm)に塗布した。11
0℃で30分間乾燥した後、予め250℃に設定した電
熱炉で10分間熱処理することにより、上記の光触媒が
表面に固定された多機能部材を得た。
【0090】試験No.22は、実施例2の試験No.
12の亜鉛酸化物を含む光触媒を樹脂系の塗装鋼板に固
定した例である。まず、上記の光触媒5gと市販のフッ
素系ポリマー(ルミフロンLF)1gとをまぜ、イソシ
アネート系硬化剤0.1gと溶媒としてキシレン12m
lとを混ぜ、ペイントコンディショナーで十分に混合
し、多機能部材製造用の塗布液を得た。この液をバーコ
ーター(番目10)を用いて、塗装鋼板(縦横50m
m、厚さ1mm)に塗布し、130℃で30分間乾燥さ
せて、上記の光触媒が表面に固定化された多機能部材を
得た。
【0091】これらの試験材を対象に、大腸菌(Escher
ichia coli W3110株)に対する抗菌性を以下の方法で評
価した。
【0092】試験材の表面を70%エタノールで殺菌し
た後、大腸菌を2.5×105 個/ml含む生理食塩水
0.2ml(大腸菌数:5×104 個)を、0.025
mlづつ8滴に分けて試験材の表面に滴下した。つぎ
に、相対湿度95%の条件下で250W超高圧水銀灯か
ら、減光フィルター、UVフィルターを通して30分間
光照射を行った。この時試験材の表面における波長36
6nmの紫外線強度は1.5mW/cm2 であった。
【0093】その後、試験材の上の菌液を生理食塩水
9.8mlで洗い流し、その液を標準寒天培地に希釈沫
塗し、35℃で48時間培養した後、生育したコロニー
を計数することによって生菌数を測定した。
【0094】その結果、生存していた大腸菌の数は、試
験No.21の場合は2.25×103 個、試験No.
22の場合は1.0×103 にすぎず、減少率はそれぞ
れ95%、98%に達していた。
【0095】なお、比較のために、上記実施例の場合と
同数の大腸菌(5×104 個)を含む生理食塩水を、酸
化チタン光触媒をコーティングしていないステンレス鋼
板の表面に滴下して30分間光照射したものと、上記の
試験No.21で調製した試験材の表面に滴下して30
分間暗所に置いたものについて、上述の方法で生菌数を
測定した。その結果、生存していた生菌数は、前者では
5.1×104 個、後者では4.3×104 個であり、
生菌数の変化はほとんど認められなかった。
【0096】これらの結果から、本発明の光触媒は、優
れた抗菌作用を持っていることが裏付けられた。
【0097】(実施例4)光触媒を支持体に固定した多
機能部材(試験No.23および24)を用いて毒性と
臭気が強いアセトアルデヒドの分解試験を行い、その性
能を調査した。
【0098】試験No.23および24で用いた多機能
部材(試験材)の製造方法はつぎのとおりである。
【0099】試験No.23および24のいずれも実施
例1の試験No.6の光触媒をステンレス鋼板に固定し
た例である。まず、水に分散させた上記の光触媒用の配
合剤(ゾル中の固形分14重量%)にその全量と等量の
アルコールを加え、塗布液とした。その液をスピンコー
ターを用いてステンレス鋼板(縦横50mm、厚さ1m
m)に塗布した。110℃で30分間乾燥した後、あら
かじめ所定温度に設定した電熱炉で10分間熱処理を施
し、本発明の光触媒が表面に固定された多機能部材を得
た。試験No.23では、その熱処理温度を200℃と
し、試験No.24では500℃とした。
【0100】アセトアルデヒドの分解試験はつぎの方法
で行った。石英製反応セル(容量100cm3 )に試験
材を入れ、閉鎖循環ラインに接続した(合計内容積87
0cm3 )。空気で希釈したアセトアルデヒド(約50
ppm)を系内に導入し、循環させながら250W超高
圧水銀灯から減光フィルター、UVフィルターを通して
光照射を行った。この時、試験材表面の波長366nm
における紫外線強度は、0.8mW/cm2 であった。
光照射を行いながらアセトアルデヒドの濃度をラインに
接続したガスクロマトグラフを用いて定量した。
【0101】その結果、90分間の光照射でアセトアル
デヒドの濃度は、No.23では約1.0ppmまで、
No.24では検出限界(0.2ppm)以下にまで減
少していた。この結果から、本発明の光触媒が表面に固
定された多機能部材は、アセトアルデヒドのような、毒
性があり、刺激臭のあるガスの分解作用も備えているこ
とが確認された。
【0102】
【発明の効果】本発明の酸化チタン系光触媒は、結晶質
のチタン酸ジルコニウムを含んでいるので、従来の酸化
チタン光触媒より高い光触媒活性を持っている。したが
って、この光触媒およびこの光触媒が支持体に固定され
た本発明の多機能部材は、大気中や水中に含まれる有害
物質の分解や無害化、生活空間における防臭、殺菌(抗
菌)等に極めて有効である。さらに、製造コストの上昇
がほとんどなく、商業規模での製造も容易であり、実用
的な価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における試験No.1、2、4〜6に
ついてX線回折を行った結果のチャート図であり、二次
X線の検出角と強度との関係を示す図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化チタンおよび結晶質のチタン酸ジルコ
    ニウムを主体とし、ジルコニウムとチタンの原子%比
    (Zr/Ti)が0.001以上0.5以下であること
    を特徴とする酸化チタン系光触媒。
  2. 【請求項2】ハフニウム酸化物、ほう素酸化物および亜
    鉛酸化物のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とす
    る請求項1に記載の酸化チタン系光触媒。
  3. 【請求項3】チタン化合物とジルコニウム化合物との反
    応生成物を大気雰囲気下で焼成することを特徴とする請
    求項1または請求項2に記載の酸化チタン系光触媒の製
    造方法。
  4. 【請求項4】支持体の表面に、請求項1または請求項2
    に記載の酸化チタン系光触媒が固定されていることを特
    徴とする光触媒作用を備える多機能部材。
  5. 【請求項5】請求項1もしくは請求項2に記載の酸化チ
    タン系光触媒または請求項4に記載の多機能部材によ
    り、光照射下で大気中もしくは水中の物質または前記多
    機能部材表面に付着した物質を処理することを特徴とす
    る光触媒の使用方法。
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