JPH105598A - 光触媒粉体およびそれを用いた光触媒体ならびにそれらの製造方法、それらを用いた環境浄化方法 - Google Patents

光触媒粉体およびそれを用いた光触媒体ならびにそれらの製造方法、それらを用いた環境浄化方法

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JPH105598A
JPH105598A JP8188927A JP18892796A JPH105598A JP H105598 A JPH105598 A JP H105598A JP 8188927 A JP8188927 A JP 8188927A JP 18892796 A JP18892796 A JP 18892796A JP H105598 A JPH105598 A JP H105598A
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photocatalyst
photocatalyst powder
substance
sample
powder
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JP8188927A
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Inventor
Hajime Murakami
肇 村上
Mitsuru Watanabe
満 渡辺
Akira Fujishima
昭 藤嶋
Kazuhito Hashimoto
和仁 橋本
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Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Original Assignee
Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】光触媒機能を損なうことなく、あらゆる支持体
に強固に、且つ、長期間にわたって光触媒粒子を固着す
る。 【構成】光触媒粒子を光不活性物質からなる多孔質壁で
内包させる。 【効果】光触媒粒子の外側に形成した光不活性物質から
なる多孔質壁を介して光触媒粒子を支持体上に固着する
ことができるので、紙、繊維等の光触媒機能に対して弱
い支持体にも光触媒粒子を強固に、且つ、長期間にわた
って固着することができる。また、前記の多孔質壁の孔
を通して有害物質などが光触媒粒子に接触して分解され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒粉体および
それを支持体に固着してなる光触媒体ならびにそれらの
製造方法、それらを用いた環境浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化チタンなどの光触媒粒子に、そのバ
ンドギャップ以上のエネルギーを有する光を照射すると
その内部に正孔と電子が発生する。特に、その生じた正
孔はオゾンよりも強力な酸化力を有しており、抗菌や有
機物の分解など様々な化学反応を引き起こす。この光触
媒機能を利用して、工業排水、生活排水等の汚水の浄化
や大気中に含まれる有害物質の分解・浄化、抗菌等の環
境浄化への応用が試みられている。光触媒粒子を用いる
際には、処理系からの分離操作や取り扱いのしやすさな
どのために、光触媒粒子を成形して成形体として用いた
り、光触媒粒子をそれよりも大きな支持体上に固着させ
て用いたりする場合が多い。光触媒粒子を成形する方法
としては、粘土鉱物などの成形助剤を用いて成形する方
法が良く知られている。また、光触媒粒子を支持体に固
着させる方法としては、光触媒粒子を支持体に付着させ
た後高温で加熱して焼結する方法や、高温に熱した支持
体上に有機チタネートを吹き付け支持体上で熱分解させ
て光触媒体とする方法などが良く知られている。また、
特開平4−284851号には光触媒粒子とフッ素樹脂
を積層圧着させる方法、特開平4−334552号には
光触媒粒子をフッ素樹脂ポリマーに熱融着させる方法が
記載されている。更に特開平5−49861号には多孔
性膜と支持体で光触媒層をはさむ方法が記載されてい
る。また、光触媒粒子を衣服や紙などに混ぜ込み固着さ
せることも考えられている。この場合には、衣服や紙の
原料繊維と光触媒粒子とを混合し、次いで、紡糸した
り、抄造したりする方法が採られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、光触媒
粒子を支持体に固着する前記の従来方法では、 光触媒粒子を加熱して固着する場合には、耐熱性を有
する支持体にしか用いることができないこと。更に、加
熱により光触媒粒子の光触媒機能が低下しやすいこと。 光触媒粒子を有機バインダを用いて固着したり、衣服
や紙などに混ぜ込む場合には、光触媒粒子の強力な光触
媒機能により、有機バインダや原料繊維を分解してしま
い、固着強度の低下や商品の変質を招き、実用に耐えう
る性能を維持できないこと。また、色物の衣服や紙など
に混ぜ込むと、染料そのものの分解が起こり色あせの原
因となること。 光触媒粒子をバインダを用いて支持体に固着するに
は、光触媒粒子とバインダとを溶媒中で混合した塗料組
成物を調製し、次いで、該塗料組成物を支持体に塗布ま
たは吹き付けするが、光触媒粒子は比表面積が大きいの
で塗料化が難しいこと、更に、支持体に固着した際の成
膜性が悪く、光触媒粒子が支持体から剥離すること。 等の問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、その光触
媒機能を十分発揮でき、更には、その光触媒機能を損な
うことなく、あらゆる支持体に強固に、且つ、長期間に
わたって固着できる光触媒粉体を探索した結果、光触媒
粒子を光不活性物質からなる多孔質壁で内包してなる光
触媒粉体は、孔から有害物質などが侵入し、光触媒粒子
に接触することができ、所望の光触媒機能が得られるこ
と、更には、光触媒粒子の外側に形成した光不活性物質
からなる多孔質壁を介して支持体上に固着することがで
きるため、酸化力に耐性のない弱い支持体であっても、
支持体は光触媒粒子の酸化力の影響を受けることなく安
定して光触媒粒子を固着することが可能であることなど
を見出し、本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、その光触媒機能を十
分発揮でき、更には、その光触媒機能を損なうことな
く、あらゆる支持体に強固に、且つ、長期間にわたって
固着できる光触媒粉体およびそれを支持体に固着してな
る光触媒体を提供することにある。また、本発明は、前
記の光触媒粉体または光触媒体を効率良く製造する方法
を提供することにある。更に、本発明は、前記の光触媒
粉体または光触媒体を用いた環境浄化方法を提供するこ
とにある。
【0006】本発明は、光触媒粒子を光不活性物質から
なる多孔質壁で内包してなる光触媒粉体である。内包し
た状態とは、光触媒粒子を光不活性物質からなる壁で包
み込んだ状態をいい、このような状態は、顕微鏡観察に
より確認することができる。本発明の光触媒粉体の形状
は微小球であることが好ましく、その直径は用途に応じ
て適宜設定することができるが、0.05μm〜10m
mの範囲が好ましく、より好ましくは0.1μm〜2m
mの範囲である。後述する好ましい第二の方法、すなわ
ち、W/O型乳濁液中に有機物質を含有させる方法で
は、直径が30〜500μmの範囲の最適な、更には、
直径が50〜200μmの範囲のより最適な光触媒粉体
が得られる。しかも、この好ましい第二の方法で得られ
た光触媒粉体を電子顕微鏡で観察すると、光触媒粉体の
表面には1〜10μmの細かい光触媒粉体が析出した状
態であることがわかった。このような形態をとることに
より、照射される光をより一層有効に利用できる。
【0007】本発明において、内包される光触媒粒子と
はそのバンドギャップ以上のエネルギーを有する光を照
射すると光触媒機能を発現する粒子のことであり、酸化
チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化鉄、チタン
酸ストロンチウムなどの公知の金属化合物半導体を一種
または二種以上用いることができる。特に、優れた光触
媒機能を有し、化学的に安定で且つ無害である酸化チタ
ンが望ましい。酸化チタンとは、酸化チタンの他、含水
酸化チタン、水和酸化チタン、オルソチタン酸、メタチ
タン酸、水酸化チタンと一般によばれるものを含み、結
晶型はなんら問わない。更に、光触媒粒子の光触媒機能
を向上させるために、その内部および/またはその表面
にV、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、P
t、PdおよびAgからなる群より選ばれる元素の少な
くとも一種の金属および/またはその化合物を含有させ
ても良い。内包される光触媒粒子の粒径は、優れた光触
媒機能を有することから微細なものが好ましく、より好
ましくは5〜500nmの範囲、更に好ましくは10〜
500nmの範囲、最も好ましくは10〜300nmの
範囲である。従って、より好ましい光触媒粒子は、微細
な酸化チタン、すなわち、粒径が5〜500nmの範囲
の酸化チタンである。更に好ましい光触媒粒子は、微細
な酸化チタン、すなわち、粒径が5〜500nmの範囲
の酸化チタンであって、その内部および/またはその表
面にV、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、
Pt、PdおよびAgからなる群より選ばれる元素の少
なくとも一種の金属および/またはその化合物を含有さ
せたものである。
【0008】光触媒粒子を内包する光不活性物質とは、
光触媒反応に用いる光によっては半導性、触媒性を全く
あるいはほとんど発現しない物質のことである。このよ
うな光不活性物質としては、珪素、アルミニウム、ジル
コニウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウムおよ
びマグネシウムからなる群より選ばれる元素の少なくと
も一種の化合物が好ましい。前記の化合物としては、具
体的には、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニ
ウムなどの酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化ジルコ
ニウムなどの水酸化物や含水酸化物、リン酸アルミニウ
ム、リン酸カルシウムなどのリン酸塩、珪酸カルシウ
ム、珪酸アルミニウム、珪酸ジルコニウム、珪酸バリウ
ム、珪酸ストロンチウム、珪酸マグネシウムなどの珪酸
塩、セメント、石灰、琺瑯用フリットなどの珪酸塩含有
物質、モンモリロナイト、カオリン、タルク、雲母、セ
ピオライトなどの含水珪酸塩を挙げることができ、これ
らの化合物の一種または二種以上を用いることができ
る。光不活性物質としては、珪酸カルシウム、珪酸アル
ミニウム、珪酸ジルコニウム、珪酸バリウム、珪酸スト
ロンチウム、珪酸マグネシウムの少なくとも一種がより
好ましい。光不活性物質の量は、前記の光触媒粉体の重
量に対して、0.5〜80重量%の範囲が好ましく、よ
り好ましくは1.0〜80重量%の範囲であり、最も好
ましくは1.5〜80重量%の範囲である。光不活性物
質の量が前記範囲より少ないと光触媒粒子をうまく内包
することが困難で、光触媒粒子と支持体との接触による
支持体の劣化が起こりやすくなるため好ましくなく、ま
た、前記範囲より多いと内包された光触媒粒子まで光が
効率的に到達しにくくなり光触媒粉体の光触媒機能が低
下するため好ましくない。
【0009】前記光不活性物質の内包壁は多孔質状に形
成され、有害物質などを含有した流体が通過する程度の
大きさが必要である。多孔質の孔径は0.5〜2nm程
度のマイクロ孔、2〜50nm程度のメソ孔、50nm
以上のマクロ孔であっても良いが、流体の圧力損失を低
く抑えるうえから、50nm以上のマクロ孔が好まし
い。一方、内包された光触媒粒子が多孔質壁の外側に流
失しないようにするうえから、多孔質の孔径は、光触媒
粒子の大きさの0.1〜0.8倍程度が好ましい。多孔
質壁の孔の全面積は、孔を含めた皮膜の全面積の5〜8
0%であることが好ましく、より好ましくは20〜70
%である。孔の全面積が前記範囲より小さいと有害物質
などの侵入速度が遅く、しかも、圧力損失が大きくなる
ため好ましくなく、また、前記範囲より大きいと光触媒
粒子に支持体が接触しやすくなるため好ましくない。
【0010】次に、本発明は、前記の光触媒粉体と溶媒
とバインダとを含有してなることを特徴とする塗料組成
物であって、後述する光触媒体を得るための組成物であ
る。溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族系、
ブタノール、IPA、エタノール等のアルコール系、シ
クロヘキサン等の炭化水素系、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、MBKおよび水などを用いることができる。また、
バインダとしては、有機系バインダ、無機系バインダの
いずれでも使用することができる。有機系バインダとし
ては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹
脂、酢酸ビニル樹脂、PVA、尿素樹脂、フェノール樹
脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、紫外線硬化樹脂、
電子線硬化樹脂などが挙げられる。また、無機系バイン
ダとしては、シリコーン系樹脂、セメント、水ガラス、
ホウロウなどが挙げられる。前記の光触媒粉体、溶媒、
バインダとを公知の方法を用いて塗料化して組成物を得
る。塗料組成物中の光触媒粉体の量は、PWCで表し
て、5〜98重量%、好ましくは25〜98重量%、よ
り好ましくは30〜98重量%、更に好ましくは40〜
98重量%である。光触媒粉体の量が前記の下限範囲よ
り少ないと、光触媒機能が充分得られないため好ましく
なく、また、前記の上限範囲より多いと塗料化できにく
いため好ましくない。なお、本発明の塗料組成物には、
適宜、分散剤、分散安定化剤、カップリング剤、硬化
剤、架橋剤、重合開始剤等を配合させてもよい。
【0011】次に、本発明は、前記光触媒粉体を支持体
に固着してなることを特徴とする光触媒体である。本発
明の光触媒粉体を光触媒反応に用いるには、粉体の状態
で用いることもできるが、取り扱いやすさの点で支持体
に固着して光触媒体として用いるのが好ましい。支持体
としては、金属、セラミックス、ガラスなどの無機物、
ポリマ、布、紙、板やそれらの原料繊維などの有機物を
用いることができる。特に、支持体として紙を用いた光
触媒体は障子、ふすま、壁紙などの建具に利用して室内
の光脱臭、防汚、抗菌を行うことができるほか、軽量で
あり加工が容易であるため冷暖房機や換気扇のフィルタ
ーなどの種々の用途に利用できるという優れた利点を有
するものである。支持体の大きさ、形状や色相などに
は、特にとらわれる必要がなく、用途に応じてどのよう
なものでも用いることができる。
【0012】次に、本発明は、前記光触媒粉体をバイン
ダを介して支持体に固着してなることを特徴とする光触
媒体である。本発明の光触媒粉体は、光不活性物質から
なる多孔質壁で光触媒粒子を内包しているため、バイン
ダを介して支持体に固着した場合にもバインダと光触媒
粒子が直接接触することはないので、バインダには特に
制約はなく、有機系バインダ、無機系バインダのいずれ
でも使用することができる。有機系バインダとしては、
アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸
ビニル樹脂、PVA、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ
素樹脂、ポリウレタン樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬
化樹脂などが挙げられる。また、無機系バインダとして
は、シリコーン系樹脂、セメント、水ガラス、ホウロウ
などが挙げられる。
【0013】前記の光触媒粉体は、公知技術である無機
質マイクロカプセルの調製法を用いて製造することがで
きるが、その調製法の一つである懸濁法(W/Oエマル
ション法)を用いると、微細な光触媒粒子でも内包させ
ることができ、しかも、強固な多孔質壁を形成すること
ができることから好ましい方法である。すなわち、本発
明の第一の方法は、光不活性物質となる化合物、光触媒
粒子懸濁液および疎水性有機溶媒とを混合して得られた
W/O型乳濁液と、該化合物と反応して水不溶性光不活
性沈殿を生成する物質の水溶液とを混合して生成物を
得、次いで該生成物を乾燥することを特徴とする光触媒
粉体の製造方法である。本発明において、光触媒粒子は
公知の方法で得られるものを用いることができる。例え
ば酸化チタン粒子を得る方法としては、(1)硫酸チタ
ン、硫酸チタニル、塩化チタンやチタンアルコキシド等
を、必要に応じて核形成用種子の存在下で加熱加水分解
する方法、(2)塩化チタンやチタンアルコキシド等を
気相酸化する方法、(3)硫酸チタン、硫酸チタニル、
塩化チタンやチタンアルコキシド等にアルカリを添加し
て中和析出する方法などがある。また、必要に応じて生
成した酸化チタン粒子を焼成したり水熱処理を行うこと
もできる。特に(1)で得られた酸化チタン粒子を10
0℃以上で水熱処理したものなどは高い光触媒機能を有
するものが得られるので好ましい。
【0014】光不活性物質となる化合物としては、例え
ば、珪酸リチウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪
酸ルビジウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水
素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属の珪
酸塩もしくは炭酸塩、塩化マグネシウム、塩化カルシウ
ム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、臭化マグネシ
ウム、臭化カルシウム、臭化ストロンチウム、臭化バリ
ウム等のアルカリ土類金属のハロゲン化物、珪酸アルミ
ニウム、珪酸ジルコニウム、塩化珪素、オキシ硝酸ジル
コニウム、オキシ塩化ジルコニウム、更には、メチルシ
ロキサン、ポリメチルシロキサン等の有機シリケートな
どが挙げられ、これら化合物の一種または二種以上を用
いることができる。疎水性有機溶媒としては、例えば、
ヘキサン、デカン、ヘキサデカン、イソヘキサン、イソ
ヘプタン等の脂肪族飽和炭化水素、ヘキセン、オクテ
ン、ジメチルブタジエン、ヘプチン等の脂肪族不飽和炭
化水素、ベンゼン、トルエン、ドデシルベンゼン、シメ
ン、スチレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、シ
クロヘキセン、シクロノナン等の脂環式炭化水素などが
挙げられ、これら疎水性有機溶媒の一種または二種以上
を用いることができる。前記の光不活性物質となる化合
物、光触媒粒子懸濁液および疎水性有機溶媒とを混合し
てW/O型乳濁液を調製する。得られたW/O型乳濁液
と、その中に含有している光不活性物質となる化合物と
反応して水不溶性光不活性沈殿を生成する物質の水溶液
とを混合する。水不溶性光不活性沈殿を生成する物質と
しては、例えば、塩酸、硫酸等の酸、水酸化ナトリウム
等の塩基、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等のアル
カリ土類金属のハロゲン化物などが挙げられ、使用する
光不活性物質となる化合物の種類に応じて適宜選択でき
る。次いで、混合して得られた生成物を乾燥する。乾燥
は、大気中、不活性雰囲気中、還元性雰囲気中等任意の
雰囲気で行うことができ、乾燥の温度は室温〜200℃
で行うことができる。
【0015】本発明の好ましい第二の方法は、光不活性
物質となる化合物、光触媒粒子懸濁液および疎水性有機
溶媒とを混合して得られたW/O型乳濁液中に、有機物
質を含有させることである。この有機物質は光不活性物
質に含有され、その後の乾燥や焼成により分解し除去さ
れて、光不活性物質からなる多孔質壁の孔の面積を拡張
することができる。有機物質としては、アルギン繊維、
ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールゼラチ
ン、アラビアゴム等の有機高分子、アルギン酸アルカリ
金属塩などが挙げられ、これら有機物質の一種または二
種以上を用いることができる。有機物質の添加量は、光
不活性物質となる化合物に対して0.1〜80重量%の
範囲が好ましく、より好ましくは1.0〜50重量%の
範囲で、最も好ましくは2.0〜20重量%の範囲であ
る。有機物質の添加量がこの範囲より多いと光触媒粒子
を光不活性物質でうまく内包することができず、また少
ないと多孔性の改善効果が得られない。
【0016】また、本発明の好ましい第三の方法は、前
記のW/O型乳濁液と、その中に含有している光不活性
物質となる化合物と反応して水不溶性光不活性沈殿を生
成する物質の水溶液とを混合して得られた生成物、また
は該生成物を乾燥して得られた乾燥物を、200〜70
0℃の温度、好ましくは200〜600℃の温度で焼成
することである。焼成は、大気中、不活性雰囲気中、還
元性雰囲気中等任意の雰囲気で行うことができる。前記
の好ましい第二の方法により、W/O型乳濁液中に有機
物質を含有させた場合には、含有した有機物質が分解す
る温度より高い温度で焼成するが、通常200〜600
℃が好ましい。焼成する温度が700℃より高いと得ら
れる光触媒粉体の光触媒機能が劣化するため好ましくな
い。
【0017】また、本発明の好ましい第四の方法は、前
記のW/O型乳濁液と、その中に含有している光不活性
物質となる化合物と反応して水不溶性光不活性沈殿を生
成する物質の水溶液とを混合して得られた生成物、また
は該生成物を乾燥して得られた乾燥物、更には、200
〜700℃の温度で焼成して得られた前記の焼成物を鉱
酸で処理することである。この鉱酸処理により、光不活
性物質を一部溶解して多孔質壁の孔の面積を拡張した
り、光触媒機能をより一層向上させたりすることができ
る。鉱酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸等が挙げ
られ、これらの一種または二種以上を組み合わせて用い
ることができる。鉱酸処理は、光触媒粉体の懸濁液と該
鉱酸の溶液を混合したり、該鉱酸の溶液に光触媒粉体を
浸漬したりして行うことができ、その後、乾燥する。乾
燥の温度は室温〜200℃で行うことができる。このよ
うにして得られた光触媒粉体を、必要に応じて、200
〜700℃の温度で焼成しても良い。
【0018】更に、前記のW/O型乳濁液に界面活性剤
を含有させると、得られる光触媒粉体の粒径を制御でき
るため、好ましい態様である。界面活性剤は公知のもの
を用いることができ、例えば、ソルビダントリステアレ
ート、ソルビダンモノステアレート、ソルビダントリオ
レート、ソルビダンモノオレート、ソルビダントリラウ
レート、ソルビダンモノラウレート、ポリオキシエチレ
ンソルビダンモノオレートなどが挙げられ、これら界面
活性剤を一種または二種以上を用いることができる。
【0019】次に、前記の光触媒体は、公知技術の方法
を用いて製造することができるが、前記の塗料組成物を
用いると、所望の光触媒体が得られるため好ましい方法
である。すなわち、本発明の光触媒体の製造方法は、前
記の光触媒粉体と溶媒とバインダとを含有してなる塗料
組成物を支持体に塗布または吹き付けし、次いで、乾燥
することを特徴とする光触媒体の製造方法である。塗料
組成物を支持体に塗布または吹き付けするには、例え
ば、含浸法、ディップコーティング法、スピナーコーテ
ィング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティ
ング法、ワイヤバーコーティング法、リバースロールコ
ーティング法などの通常の方法で塗布したり、または、
スプレーコーティング法などの通常の方法で吹き付けす
ることができる。乾燥は、大気中、不活性雰囲気中、還
元性雰囲気中等任意の雰囲気で行うことができ、乾燥の
温度は室温〜200℃で行うことができる。このように
して得られた光触媒体を、必要に応じて、200〜70
0℃の温度で焼成しても良い。
【0020】次に、本発明は、前記光触媒粉体あるいは
前記光触媒体に光照射下、環境汚染物質を接触させるこ
とを特徴とする環境浄化方法である。前記の環境汚染物
質としては、油、有機物などの水質汚濁物質、アンモニ
ア、メルカプタン、アルデヒド、アミン、硫化水素、炭
化水素、硫黄酸化物、窒素酸化物などの大気汚染物質、
細菌、菌、微生物、各種の汚れ成分などの環境悪化物質
などを対象とすることができる。これらの環境汚染物質
を、送風機や送液機を用いたり、自然対流や移動を利用
したりして、光触媒粉体または光触媒体に接触させて、
光触媒機能により浄化する。本発明の浄化方法に用いる
光源としては、光触媒粒子のバンドギャップ以上のエネ
ルギーを有する光を放射できる光源が必要であり、例え
ば、太陽などの自然光源、紫外線ランプ、ブラックライ
ト、水銀ランプ、キセノンランプ、蛍光灯、白熱灯など
の人工光源を用いることができる。光は、光不活性物質
からなる多孔質壁を透過したり、光不活性物質の粒子表
面で散乱したり、多孔質壁の孔から侵入したりして、内
包された光触媒粒子に到達する。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の光触媒粉体と光触媒体の
概念図を図1に示す。本発明は、光触媒粒子3を光不活
性物質からなる多孔質壁2で内包してなる光触媒粉体で
あって、支持体1との直接的な接触がない部分で光触媒
粒子3は固着され、且つ光不活性物質からなる多孔質壁
2に存在する孔を通して有害物質が光触媒粒子3と接触
できるため、光触媒粒子表面にて、抗菌・脱臭・有機物
分解・防汚などの光触媒機能を発揮させることができ
る。次に、従来の光触媒粉体と光触媒体の概念図を図2
に示す。光触媒粒子3と支持体1とが直接接触している
ため、光触媒粒子3の光触媒機能により支持体1が分解
され、光触媒粒子3が支持体1から脱離してしまう。
【0022】
【実施例】
実施例1 光触媒粒子として酸化チタン(石原産業社製、ST−1
1、粒径20nm)(試料S)5gと、光不活性物質と
なる化合物として、SiO2 として4モル/lの濃度の
珪酸ナトリウム水溶液4.7mlと、純水5.3mlと
を混合し、マグネティックスターラーで30分攪拌して
酸化チタン懸濁液を作成した。一方、疎水性有機溶媒と
してベンゼン100gを用い、その中に界面活性剤とし
てソルビダンモノステアレート(ナカライテスク社製、
Span60)1gとポリオキシエチレンソルビダンモ
ノオレート(ナカライテスク社製、Tween80)2
gを溶解した疎水性有機溶媒を作成した。前記の疎水性
有機溶媒25mlと前記酸化チタン懸濁液5mlを混合
し、ホモジナイザーで5分間攪拌しW/O型乳濁液を
得、次いで、1.5モル/lの塩化カルシウム水溶液2
0mlを添加した。得られた生成物を濾過分別し、メタ
ノールで洗浄した後、110℃の温度で一昼夜乾燥し、
本発明の光触媒粉体(試料A)を得た。試料Aの光不活
性物質(珪酸カルシウム)の量は22.8重量%であ
り、また、その形状は8μmの直径を有する球状であっ
た。試料Aの電子顕微鏡写真を図3に示した。また試料
Aの粒子の内部構造を調べるために、試料Aを粉砕処理
して珪酸カルシウムからなる多孔質壁の一部を破壊した
試料の電子顕微鏡写真を図4に示した。
【0023】実施例2 実施例1で得られた光触媒粉体(試料A)1gを1規定
の塩酸水溶液10ml中に2時間浸漬した後、純水で洗
浄し、110℃の温度で5時間乾燥して本発明の光触媒
粉体(試料B)を得た。試料Bの光不活性物質(珪酸カ
ルシウム)の量は20.0重量%であり、また、その形
状は8μmの直径を有する球状であった。
【0024】実施例3 実施例1において、酸化チタン懸濁液中に、有機物質と
して200g/lの濃度のアルギン酸ナトリウム水溶液
を2.2g添加したこと、および110℃で一昼夜乾燥
した後450℃の温度で1時間焼成したこと以外は実施
例1と同様に処理して、本発明の光触媒粉体(試料C)
を得た。試料Cの光不活性物質(珪酸カルシウム)の量
は21.3重量%であり、また、その形状は110μm
の直径を有する球状であった。
【0025】実施例4 実施例3で得られた光触媒粉体(試料C)1gを1規定
の塩酸水溶液10ml中に2時間浸漬した後、純水で洗
浄し、110℃の温度で5時間乾燥して本発明の光触媒
粉体(試料D)を得た。試料Dの光不活性物質(珪酸カ
ルシウム)の量は19.7重量%であり、また、その形
状は110μmの直径を有する球状であった。試料Dの
電子顕微鏡写真を図5に示した。
【0026】比較例1 実施例1で得られた試料Sを乾燥して、比較試料(試料
E)として用いた。
【0027】比較例2 比較例1で得られた試料Eを更に450℃の温度で1時
間焼成して、比較試料(試料F)を得た。
【0028】前記の実施例で得られた光触媒粉体(試料
A〜D)を電子顕微鏡で観察したところ、光触媒粒子
(酸化チタン)は光不活性物質(珪酸カルシウム)から
なる多孔質壁で内包されていた。
【0029】次に、前記の実施例および比較例で得られ
た光触媒粉体(試料A〜F)の光触媒機能を次の方法で
調べた。まず、試料A〜Fを各々0.4g採取し、一辺
3cm(面積9cm2 )の正方形のセルに均一に敷き詰
めた。これを、別個に0.5lのパイレックス製ガラス
容器に入れ封入した後、初期濃度が約200ppmとな
るように、5%アセトアルデヒドガスを注入した。これ
を暗所で30分間放置して、試料にアセトアルデヒドを
飽和吸着させた。次いで、試料表面の紫外線(365n
m)の強度が2mW/cm2 となるようにHg−Xe灯
(365nm透過フィルター 東芝UVD36Bを挿
入)を照射して、アセトアルデヒドの分解反応速度を調
べた。なお、アセトアルデヒドガス濃度はガスクロマト
グラフィーにより定量した。結果を図6、図7および表
1に示す。この結果から、実施例1〜4の試料A〜D
は、比較例のものに比べ、同程度かまたはやや劣るもの
の実施には差し支えないことがわかった。
【0030】
【表1】
【0031】次に、実施例1〜4で得られた本発明の光
触媒粉体(試料A〜D)の孔を含めた皮膜の全面積に対
する孔の全面積の割合(光触媒露出度)を次の方法で調
べた。まず、シアニン色素(NK3422、日本感光色
素研究所製)をエタノールに溶解して、10-6〜10-3
モル/lの濃度の溶液を調整した。これらの色素溶液
に、標準試料として市販の酸化チタン粉体(Degus
sa社製P−25、窒素吸着法により求めた表面積は5
0.0m2 /gであった。)を浸漬させ、平衡吸着させ
た。次いで、前記の色素溶液を遠心分離して、標準試料
を分離し、色素溶液中の色素濃度を比色定量して、標準
試料の色素吸着量を求め、次いで吸着等温線を作成し、
それを解析して、飽和吸着量を算出し、前記の表面積よ
り、色素1分子の吸着断面積は152平方オングストロ
ームであることがわかった。なお、ここで用いた色素は
その分子構造より酸化チタンには吸着するが、珪酸カル
シウムには吸着しないものである。次に、実施例で得ら
れた光触媒粉体(試料A〜D)の色素吸着量を以下の方
法で求めた。シアニン色素(NK3422、日本感光色
素研究所製)62.5mgをエタノール250mlに溶
解した色素溶液を20ml採取し、その中に実施例で得
られた光触媒粉体(試料A〜D)を各々0.1gを添加
し、真空脱気し、一昼夜暗所に保存した後、サンプレッ
プフィルター(LCR13−LG)を通して上澄み液を
採取し分光光度計により吸光度を求め色素吸着量を算出
した。これと前記吸着断面積、およびこれら試料A〜D
の窒素吸着法により求めた表面積より各々の試料の光触
媒露出度を求めた。その結果、試料A〜Dの酸化チタン
露出度は、各々、34%、36%、46%、48%であ
った。
【0032】実施例5 油性インキで染色したパルプ繊維1.5gと純水500
mlをミキサーで良く混合した後、実施例4で得られた
光触媒粉体(試料D)0.3gを添加し、混合し秤量約
100g/m2 となるよう抄紙し、120℃の温度で3
時間乾燥して、本発明の光触媒体(光触媒粉体担持紙)
(試料G)を得た。
【0033】比較例3 実施例5において、試料Dの代わりに比較例1で得られ
た光触媒粉体(試料E)を用いたこと以外は、実施例5
と同様に処理して光触媒体(光触媒粉体担持紙)(試料
H)を得た。
【0034】実施例5および比較例3で得られた光触媒
粉体担持紙(試料GおよびH)の光照射による退色性を
以下の方法で調べた。すなわち、光触媒粉体担持紙上の
紫外線(365nm)の強度が0.5mW/cm2 とな
るようにブラックライト光を照射し、一定時間後の紙の
拡散反射スペクトルを分光光度計(島津分光光度計UV
−3101PC 積分球使用)で測定し退色性の経時変
化をみた。実施例5の試料Gの結果を図8に、比較例3
の試料Hの結果を図9にそれぞれ示した。実施例5の試
料Gを用いた場合、図8より明らかなように、色の変化
(退色性)は認められず、試料Gによる油性インキの分
解は認められなかった。この結果から、更に光照射を続
けても、油性インキやパルプ繊維の分解は起こりにくい
と考えられる。一方、比較例3の試料Hを用いた場合、
図9より明らかなように、色の変化(退色性)が認めら
れ、試料Eによる油性インキの分解が起こっていること
がわかった。この状態で光照射を続ければ、試料Eによ
り油性インキが更に分解され、更にはパルプ繊維も分解
されると推定される。
【0035】実施例6 実施例2で得られた光触媒粉体(試料B)10.0g、
酢酸ビニル−アクリルコポリマ30.0gおよびイオン
交換水20.0gをペイントシェーカーで1時間浸とう
して十分混合し、分散して塗料組成物(PWC50重量
%)を得た。得られた塗料組成物を亜鉛鋼板に乾燥膜厚
が30μmとなるように塗布した後、120℃の温度で
10分間乾燥して、本発明の光触媒体(試料I)を得
た。
【0036】比較例4 実施例6において、試料Dの代わりに比較例1で得られ
た光触媒粉体(試料E)を用いたこと以外は、実施例6
と同様に処理して光触媒体(試料J)を得た。
【0037】実施例6および比較例4で得られた光触媒
体(試料IおよびJ)を各々3lのガラス容器に入れた
後、アセトアルデヒドガスを500ppmの濃度となる
ように注入した。次いで、試料表面の紫外線強度が5m
W/cm2 となるように殺菌灯を2時間照射したとこ
ろ、容器中のアセトアルデヒドガス濃度は試料Iおよび
Jで各々8ppm(除去率98%)、10ppm(除去
率98%)を示した。この操作を20回繰り返した(累
積濃度10000ppm、累積照射時間40時間)とこ
ろ、除去率は何れも98%を維持していた。光照射後の
試料IおよびJの塗膜の性状を観察したところ、本発明
の試料Iの塗膜には何ら異常が認められなかったが、一
方、試料Jでは塗膜中の樹脂が分解し、酸化チタンが剥
離する、いわゆるチョーキング(白亜化)状態であっ
た。
【0038】実施例7 酸化チタン(石原産業社製、ST−21、粒径20n
m)を100g/lの懸濁液とし、次いで、水酸化ナト
リウムを添加して懸濁液のpHを12に調整した後、A
gとして0.1重量%に相当する硝酸銀水溶液を添加
し、攪拌した後、塩酸を添加して懸濁液のpHを7に調
整した。次いで、得られた生成物を濾過し、洗浄し、1
20℃の温度で乾燥して、銀化合物を担持した酸化チタ
ン(試料T)を得た。光触媒粒子として前記の酸化チタ
ン(試料T)100gと、光不活性物質となる化合物と
して、SiO2 として4モル/lの濃度の珪酸ナトリウ
ム水溶液1lとを混合して酸化チタン懸濁液を作成し
た。一方、疎水性有機溶媒として5%流動パラフィンを
用い、その中に界面活性剤としてソルビダンモノステア
レート(ナカライテスク社製、Span60)40gと
ポリオキシエチレンソルビダンモノオレート(ナカライ
テスク社製、Tween80)80gを溶解した疎水性
有機溶媒4lを作成した。前記の疎水性有機溶媒と前記
酸化チタン懸濁液を混合し、ホモジナイザーで5分間攪
拌しW/O型乳濁液を得、次いで、0.5モル/lの炭
酸アンモニウム水溶液15lを添加して反応させた後、
3時間放置した。次いで、得られた生成物を濾過分別
し、110℃の温度で一昼夜乾燥し、本発明の光触媒粉
体(試料K)を得た。試料Kの光不活性物質(酸化珪
素)の量は68.4重量%であり、また、その形状は5
μmの直径を有する球状であった。
【0039】比較例5 実施例7で得られた試料Tを乾燥して、比較試料(試料
L)として用いた。
【0040】実施例8 実施例7で得られた光触媒粉体(試料K)10.0g、
酢酸ビニル−アクリルコポリマ30.0gおよびイオン
交換水20.0gをペイントシェーカーで1時間浸とう
して十分混合し、分散して塗料組成物(PWC50重量
%)を得た。得られた塗料組成物を亜鉛鋼板に乾燥膜厚
が30μmとなるように塗布した後、120℃の温度で
10分間乾燥して、本発明の光触媒体(試料M)を得
た。
【0041】比較例6 実施例8において、試料Kの代わりに比較例5で得られ
た光触媒粉体(試料L)を用いたこと以外は、実施例8
と同様に処理して光触媒体(試料N)を得た。
【0042】実施例8および比較例6で得られた光触媒
体(試料MおよびN)を各々3lのガラス容器に入れた
後、アセトアルデヒドガスを500ppmの濃度となる
ように注入した。次いで、試料表面の紫外線強度が5m
W/cm2 となるように殺菌灯を2時間照射したとこ
ろ、容器中のアセトアルデヒドガス濃度は試料Mおよび
Nで各々3ppm(除去率99.4%)を示した。この
操作を20回繰り返した(累積濃度10000ppm、
累積照射時間40時間)ところ、除去率は何れも96%
を維持していた。光照射後の試料MおよびNの塗膜の性
状を観察したところ、本発明の試料Mの塗膜には何ら異
常が認められなかったが、一方、試料Nでは塗膜中の樹
脂が分解し、酸化チタンが剥離する、いわゆるチョーキ
ング(白亜化)状態であった。
【0043】実施例9 実施例7で得られた光触媒粉体(試料K)10.0g、
トリメチロールメラミン14.3g、有機アミン酸塩
0.14gおよびイオン交換水200gをペイントシェ
ーカーで1時間浸とうして十分混合し、分散して塗料組
成物(PWC50重量%)を得た。得られた塗料組成物
にアクリル繊維織物を浸し、軽く絞り、次いで、120
℃の温度で5分間乾燥して、本発明の光触媒体(光触媒
粉体担持布帛)(試料O)を得た。なお、試料O中の光
触媒粉体の付着量は1.4重量%であった。
【0044】比較例7 実施例9において、試料Kの代わりに比較例5で得られ
た光触媒粉体(試料L)を用いたこと以外は、実施例9
と同様に処理して光触媒体(光触媒粉体担持布帛)(試
料P)を得た。なお、試料P中の光触媒粉体の付着量は
1.6重量%であった。
【0045】実施例9および比較例7で得られた光触媒
体(試料OおよびP)を各々3lのガラス容器に入れた
後、アセトアルデヒドガスを500ppmの濃度となる
ように注入した。次いで、試料表面の紫外線強度が5m
W/cm2 となるように殺菌灯を2時間照射したとこ
ろ、容器中のアセトアルデヒドガス濃度は試料Oおよび
Pで各々除去率が86%を示した。光照射後の試料Oお
よびPの布帛の性状を観察したところ、本発明の試料O
の塗膜には何ら異常が認められなかったが、一方、試料
Pでは黄変が認められ、試料Pをもむと光触媒粉体が簡
単に脱離した。
【0046】なお、実施例7、8および9で得られた光
触媒粉体(試料K)、光触媒体(試料M、O)を用い
て、暗条件下での抗菌効果を調べた結果、前記の試料の
いずれもが抗菌効果を有することを確認した。また、光
照射下での抗菌効果を同様に調べた結果、暗条件下での
各試料に比べて、より一層優れた抗菌効果を有すること
を確認した。なお、実施例7において、銀化合物に代え
て銅化合物を担持した酸化チタンを調製し、アセトアル
デヒドの除去効果および抗菌効果を同様に調べた結果、
銀化合物を担持した酸化チタンと同様の効果を有するこ
とを確認した。
【0047】
【発明の効果】本発明は、光触媒粒子を光不活性物質か
らなる多孔質壁で内包してなることを特徴とする光触媒
粉体であって、孔から有害物質などが侵入し、光触媒粒
子に接触することができ、所望の光触媒機能が得られる
こと、更には、光触媒粒子の外側に形成した光不活性物
質からなる多孔質壁を介して支持体上に固着することが
できるため、紙、繊維等の酸化力に対して弱い支持体に
も光触媒粒子を強固に、且つ、長期間にわたって固着で
きる。また、本発明は、前記光触媒粒子を支持体に固着
してなることを特徴とする光触媒体であって、所望の光
触媒機能を有し、且つ、処理系からの分離操作や取り扱
いのしやすいものである。また、本発明は、前記の光触
媒粉体と溶媒とバインダとを含有してなることを特徴と
する塗料組成物であって、光触媒粉体をあらゆる支持体
に、長期間にわたって固着することできる。また、本発
明は、前記光触媒粉体および光触媒体の製造方法であっ
て、これら光触媒粉体および光触媒体を容易に、且つ、
安価に製造することができる。更に、本発明は、前記光
触媒粉体あるいは前記光触媒体を用いた環境浄化方法で
あって、環境汚染物質を効率良く、且つ簡易に浄化する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光触媒粉体および光触媒体の概念図で
ある。
【図2】従来の光触媒粉体および光触媒体の概念図であ
る。
【図3】実施例1で得られた試料Aの粒子構造を示す電
子顕微鏡写真である。
【図4】実施例1で得られた試料Aを粉砕処理した後の
試料の粒子構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例4で得られた試料Dの粒子構造を示す電
子顕微鏡写真である。
【図6】実施例および比較例で得られた試料A、Bおよ
びEを用いた場合の残留するアセトアルデヒドの濃度変
化を示すグラフである。
【図7】実施例および比較例で得られた試料C、Dおよ
びFを用いた場合の残留するアセトアルデヒドの濃度変
化を示すグラフである。
【図8】実施例5で得られた試料Gの退色性の経時変化
を示すグラフである。
【図9】比較例3で得られた試料Hの退色性の経時変化
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 支持体 2 光不活性物質からなる多孔質壁 3 光触媒粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 満 滋賀県草津市西渋川二丁目3番1号 石原 産業株式会社中央研究所内 (72)発明者 藤嶋 昭 神奈川県川崎市中原区中丸子710番地5 (72)発明者 橋本 和仁 神奈川県横浜市栄区飯島町2073番地2 ニ ューシティ本郷台D棟213号

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光触媒粒子を光不活性物質からなる多孔質
    壁で内包してなることを特徴とする光触媒粉体。
  2. 【請求項2】光触媒粒子の粒径が5〜500nmである
    ことを特徴とする請求項1に記載の光触媒粉体。
  3. 【請求項3】光不活性物質が、珪素、アルミニウム、ジ
    ルコニウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウムお
    よびマグネシウムからなる群より選ばれる元素の少なく
    とも一種の化合物であることを特徴とする請求項1に記
    載の光触媒粉体。
  4. 【請求項4】光触媒粉体の直径が30〜500μmであ
    ることを特徴とする請求項1に記載の光触媒粉体。
  5. 【請求項5】多孔質壁の孔の面積が、該多孔質壁の全面
    積に対して5〜80%であることを特徴とする請求項1
    に記載の光触媒粉体。
  6. 【請求項6】請求項1に記載の光触媒粉体と溶媒とバイ
    ンダとを含有してなることを特徴とする塗料組成物。
  7. 【請求項7】請求項1に記載の光触媒粉体を支持体に固
    着してなることを特徴とする光触媒体。
  8. 【請求項8】請求項1に記載の光触媒粉体をバインダを
    介して支持体に固着してなることを特徴とする光触媒
    体。
  9. 【請求項9】光不活性物質となる化合物、光触媒粒子懸
    濁液および疎水性有機溶媒とを混合して得られたW/O
    型乳濁液と、該化合物と反応して水不溶性光不活性沈殿
    を生成する物質の水溶液とを混合して生成物を得、次い
    で該生成物を乾燥することを特徴とする光触媒粉体の製
    造方法。
  10. 【請求項10】光不活性物質となる化合物、光触媒粒子
    懸濁液、有機物質および疎水性有機溶媒とを混合して得
    られたW/O型乳濁液を用いることを特徴とする請求項
    9に記載の光触媒粉体の製造方法。
  11. 【請求項11】請求項9に記載した生成物または該生成
    物を乾燥して得られた乾燥物を、200〜700℃の温
    度で焼成することを特徴とする光触媒粉体の製造方法。
  12. 【請求項12】請求項9に記載した生成物または該生成
    物を乾燥して得られた乾燥物、あるいは請求項11に記
    載した焼成物を、鉱酸で処理することを特徴とする光触
    媒粉体の製造方法。
  13. 【請求項13】請求項1に記載の光触媒粉体と溶媒とバ
    インダとを含有してなる塗料組成物を支持体に塗布また
    は吹き付けし、次いで、乾燥することを特徴とする光触
    媒体の製造方法。
  14. 【請求項14】請求項1に記載の光触媒粉体あるいは請
    求項7または8に記載の光触媒体に光照射下、環境汚染
    物質を接触させることを特徴とする環境浄化方法。
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