JP3981757B2 - 光触媒体およびそれを用いてなる光触媒体コーティング剤 - Google Patents

光触媒体およびそれを用いてなる光触媒体コーティング剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光触媒体およびそれを用いてなる光触媒体コーティング剤に関するものである。詳細には、可視光線の照射によって持続的に高い活性を示す光触媒体および建材などに光触媒機能を付与するときに使用する光触媒体コーティング剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体に紫外線を照射すると強い還元作用を持つ電子と強い酸化作用を持つ正孔が生成し、半導体に接触した分子種を酸化還元作用により分解する。このような作用を光触媒作用と呼び、この光触媒作用を利用することによって、大気中の有機溶剤などを分解除去することができる。光触媒作用を示す物質として酸化チタンが注目され、酸化チタンからなる光触媒体が市販されている。しかし、現在市販されている光触媒体は、可視光線を照射する場合には十分な活性を示すものではなかった。
【0003】
そこで本発明者らは光触媒の活性向上について検討して、先に、表面にタングステン酸化物を有し、かつ高い比表面積をもつ特定の酸化チタンが、可視光線の照射に対して高い光触媒活性を示すことを見出している(特願2000−321026)。この酸化チタンは、高い活性を示すものであるが、酢酸などの有機物の分解に適用したときには経時的に活性が低下することがわかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決して、持続的に高い活性を示す光触媒体およびそれを用いてなる光触媒体コーティング剤を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、酸化チタンの光触媒活性の更なる向上について検討を行った結果、酸化チタン表面の金属化合物の分布状態が触媒寿命に影響することを見出して、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、酸化チタンを主成分とし、その表面の一部に酸化チタン以外の金属化合物が存在することを特徴とする光触媒体を提供するものである。
【0007】
また本発明は、前記の光触媒体と溶液を含む光触媒体コーティング剤を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の光触媒体は、酸化チタンを主成分とするものである。主成分である酸化チタンは、通常、TiO2なる組成式で表され、主結晶相がアナターゼである。またこの光触媒体は、その表面の一部に酸化チタン以外の金属化合物が存在するものである。このような要件を満たすことにより、本発明の光触媒体は持続的に高い活性を示すものとなる。
【0009】
本発明の光触媒体は、主成分が酸化チタンであり、かつ表面の一部に酸化チタン以外の金属化合物が存在するものであれば、用途、使用方法に応じて、粉体、膜のような各種形態をとることができる。以下、形態別に、図面に基づいて説明する。粉体の光触媒体としては、例えば、図1に示すように、酸化チタン以外の金属化合物が存在する表面部分1と前記金属化合物が存在しない表面部分2とをもつ酸化チタン粒子3が集まったもの、図2に示すように、表面の全部に前記金属化合物が担持された酸化チタン粒子4と表面にチタン以外の金属元素をもたない酸化チタン粒子5とを混合したもの、図3に示すように、表面の一部に前記金属化合物が担持された酸化チタン粒子6と表面にチタン以外の金属元素をもたない酸化チタン粒子7を混合したもの、図4に示すように、表面の全部に前記金属化合物が担持された酸化チタン粒子9と表面の一部に前記金属化合物が担持された酸化チタン粒子10を混合したものなどが挙げられる。表面の一部に別の金属化合物が担持された酸化チタン粒子の模式図を図5に、表面全体に別の金属化合物が担持された酸化チタン粒子の模式図を図6に、表面にチタン以外の金属元素をもたない酸化チタン粒子の模式図を図7に示す。図5に示す酸化チタン粒子12では、酸化チタン自身が表面に現れている部分10と金属化合物が存在する部分11がある。図6に示す酸化チタン粒子15では、酸化チタン層13、金属化合物表面層14がある。図7に示す酸化チタン粒子16では、内部の層と表面層の実質的な組成の差異はない。ここでは、球状のものについて示したが、この粉体を構成する粒子は、棒状、繊維状、板状など各種の形状をもつことができる。光触媒体膜としては、例えば、図8に示すように、酸化チタン以外の金属化合物が存在する格子状部分17と該金属化合物が存在しない島状部分18とからなる表面をもつもの、図9に示すように、該金属化合物が存在する島状部分19と該金属化合物が存在しない格子状部分20とからなる表面をもつもの、図10に示すように、該金属化合物が存在する部分21と該金属化合物が存在しない部分22とがモザイク状に配置された表面をもつもの、図11に示すように、該金属化合物が存在する部分23と該金属化合物が存在しない部分24とが縞状に配置された表面をもつもの、または図12に示すように、該金属化合物が存在する表面をもつ酸化チタン粒子25と表面にチタン以外の金属元素をもたない酸化チタン粒子26をランダムに配置したものなどが挙げられる。ここで示した酸化チタン以外の金属化合物の存在分布は、例えば、光触媒体について、透過型電子顕微鏡により粒子を撮影し、得られる写真の透過率の異なる部分を調べる方法、または電子プローブX線マイクロアナライザーのような面分析装置を用いる方法などにより求めることができる。
【0010】
酸化チタン表面に存在させられる金属化合物は、酸性金属化合物または塩基性金属化合物である。このうち、酸性金属化合物は、ブレンステッド酸点、ルイス酸点またはそれらの両方を有するものであり、具体例としては、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズのような金属の1元系酸化物、珪素−亜鉛、珪素−ジルコニウム、珪素−マグネシウム、珪素−カルシウム、珪素−ガリウム、珪素−アルミニウム、珪素−ランタン、珪素−チタン、チタン−亜鉛、チタン−銅、チタン−亜鉛、チタン−アルミニウム、チタン−ジルコニウム、チタン−鉛、チタン−ビスマス、チタン−鉄、亜鉛−マグネシウム、亜鉛−アルミニウム、亜鉛−ジルコニウム、亜鉛−鉛、亜鉛−アンチモンのような2種金属の複合酸化物である。酸性金属化合物は、前記のもののほか、酸点をもつ金属酸化物であれば3種以上の金属の複合酸化物も適用できる。光触媒体の主成分である酸化チタン表面に存在させるものは、これらの酸性金属化合物の1種であってもよいし、2種以上組み合わせたものであってもよい。これらの酸性金属化合物の中でも、特に、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、アルミニウム、スズのような金属の1元系酸化物の適用が推奨される。
【0011】
金属化合物のもう一方の塩基性金属化合物は、ブレンステッド塩基点、ルイス塩基点またはそれらの両方を有するものであり、例えば、アルカリ、アルカリ土類、希土類、亜鉛のような元素の酸化物、水酸化物または炭酸塩などであり、具体例としては、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ランタン、酸化セリウム、酸化亜鉛、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ランタン、水酸化セリウム、水酸化亜鉛、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ランタン、炭酸セリウム、炭酸亜鉛である。光触媒体の主成分である酸化チタン表面に存在させるものは、これらの塩基性金属化合物の1種であってもよいし、2種以上組み合わせたものであってもよい。またこの酸化チタン表面には、塩基性金属化合物と上で示した酸性金属化合物の両方を存在させてもよい。
【0012】
上で示した金属化合物の量は、通常、光触媒体の主成分である酸化チタン中のチタン量を基準に金属元素換算で0.05mol%以上であり、好ましくは0.1mol%以上、より好ましくは0.5mol%以上である。この金属化合物の量があまり多くなると、光触媒体の活性が低下することがあるので、30mol%以下、さらには10mol%以下、とりわけ4mol%以下であることが好ましい。この金属化合物として、酸性金属化合物と塩基性金属化合物の両方が用いられる場合、これらの合計量は、酸化チタン中のチタン量を基準に金属元素換算で0.05mol%以上、さらには0.1mol%以上、とりわけ0.5mol%以上であることが好ましく、また30mol%以下、さらには10mol%以下、とりわけ4mol%以下であることが好ましい。このとき、酸性金属化合物と塩基性金属化合物の量比は、通常、前者が30〜70mol%、後者が70〜30mol%である。この金属化合物は、その全てが酸化チタン表面または表面近傍に存在していることが好ましいが、酸化チタン表面の一部に存在していれば、すなわち前記金属化合物が存在しない表面部分があれば、残りのものは酸化チタンの内部に存在していてもよい。
【0013】
また本発明の光触媒体は、酸化チタン以外の金属化合物が担持された酸化チタン粒子と、前記金属化合物が担持されていない酸化チタン粒子とからなるものであることが好ましい。金属化合物担持酸化チタン粒子と担持されていない酸化チタン粒子の量比は、通常、前者10〜90重量%、後者90〜10重量%である。金属化合物担持酸化チタン粒子は、その平均粒子径が、通常100μm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下であり、また1nm以上であることが好ましい。他の金属化合物が担持されていない酸化チタン粒子についても、その平均粒子径が、通常100μm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下であり、また1nm以上であることが好ましい。中でも、酸化チタンと金属化合物被覆酸化チタン粒子は、同程度の平均粒子径をもつことが推奨される。これらの粒子径が同程度であると、より高い活性を示す光触媒体を得ることができる。なお光触媒体の平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いる方法、または透過型電子顕微鏡により得られた光触媒体粒子写真を画像解析する方法などにより求めることができる。
【0014】
さらに本発明の光触媒体は、これをX線光電子分光法(以下、XPSという。)により4回分析し、チタンの電子状態について、2回目と4回目の分析のスペクトルを求め、それぞれのスペクトルのうち結合エネルギー458〜460eVにあるピークを求め、2回目の分析のスペクトルにあるピークの半価幅をAとし、4回目の分析のスペクトルにあるピークの半価幅をBとしたとき、下式(I)X=(A−B)/A (I)
により算出される指数Xが0.05以上、さらには0.08以上であることが好ましい。このような特定の指数Xをも具備する光触媒体は、可視光線の照射に対して優れた活性を示す。
【0015】
表面の一部に酸化チタン以外の金属化合物が存在する本発明の光触媒体は、例えば、酸化チタン粒子と、金属化合物担持酸化チタン粒子を混合する方法で得ることができる。ここで用いる酸化チタン粒子は、オキシ硫酸チタン、硫酸チタン、オキシ塩化チタン、塩化チタンのようなチタン化合物の水溶液と塩基を反応させ、この生成物を焼成することにより調製することができる。このときに用いる塩基としては、アンモニア、アミンなどが挙げられ、その塩基の使用量は、水溶液中のチタン化合物を水酸化チタンに変えるのに必要な塩基の化学量論量に対し、1.2倍以上、さらには2倍以上が好ましく、また20倍以下、さらには10倍以下であることが好ましい。反応温度は通常10℃以上、60℃以下であり、また焼成温度は通常300℃以上、好ましくは350℃以上であり、600℃以下、さらには500℃以下が好ましい。得られる酸化チタン粒子には、必要に応じて粉砕、分級、篩別、造粒などの粒度調整が施される。
【0016】
一方、酸化チタン粒子と混合される金属化合物担持酸化チタン粒子は、例えば、前記の方法で得られる酸化チタン粒子を、上で示した酸性金属化合物または塩基性金属化合物からなる金属化合物の溶液もしくはスラリーに接触させた後、加熱することにより調製することができる。酸化チタン粒子と接触させる金属化合物には、上で示したものの他、焼成によって前記酸性金属化合物または前記塩基性金属化合物になるものが挙げられ、例えば、金属の硫酸塩、炭酸塩、塩化物、有機酸塩、水酸化物もしくはアルコキシドまたは金属酸のアンモニウム塩など、焼成することにより酸性金属化合物を構成するものがある。加熱は、通常200℃以上、好ましくは250℃以上、また600℃以下、好ましくは500℃以下で行われる。金属化合物被覆酸化チタン粒子にも、必要に応じて粉砕、分級、篩別、造粒などの粒度調整が施される。
【0017】
また本発明の光触媒体は、ガラス、金属、セラミックス、樹脂のような基材の表面に、蒸着法、スパッタ法、スプレー法、塗布法などによって酸化チタン膜を形成し、この酸化チタン膜上に上で示した酸性金属化合物または塩基性金属化合物からなる被膜を部分的に形成する方法で得ることもできる。酸性金属化合物または塩基性金属化合物からなる被膜の形成は、蒸着法、スパッタ法、スプレー法、塗布法などにより行うことができる。
【0018】
表面の一部に酸化チタン以外の金属化合物が存在する本発明の光触媒体の使用例としては、可視光線を透過するガラス容器内に光触媒体と被処理物を入れ、光源を用いて光触媒体に波長430nm以上である可視光線を照射する方法などが挙げられる。照射時間は、光源の光線強度および被処理物の種類や濃度に応じて適宜選択すればよい。用いる光源は、波長が430nm以上である可視光線を照射できるものであれば制限されるものではなく、例えば、太陽光線、蛍光灯、ハロゲンランプ、ブラックライト、キセノンランプ、水銀灯またはナトリウムランプなどが適用できる。
【0019】
本発明の光触媒体コーティング剤は、特定の前記光触媒体と溶媒を含む。
【0020】
この光触媒体コーティング剤は、建築材料、自動車材料などに光触媒体を塗布することを容易にし、かつこれらの材料に高い光触媒活性を付与することを可能とする。このコーティング剤を塗布した建築材料および自動車材料は、大気中のNOxを分解したり、有臭物質(例えば、硫化水素、イソ酪酸、酢酸)を分解したり、水中の有機溶剤、農薬、界面活性剤を分解したり、または細菌(例えば、放射菌)、藻類、黴類などの増殖を抑制することに適用できる。光触媒体コーティング剤の調製に用いる溶媒としては、酸化チタン表面に存在する金属化合物を溶解することがなく、かつ塗布後に蒸発して光触媒体に残存しないものが好ましく、例えば、水、塩酸、硝酸のような酸、エタノール、メタノール、2−プロパノール、ブタノールのようなアルコール類、アセトン、2−ブタノンのようなケトン類などが挙げられる。この光触媒体コーティング剤は、例えば、上で示した光触媒体を水、アルコール類、ケトン類のような溶媒に分散させてスラリー化する方法、または光触媒体を希塩酸のような酸で解膠させる方法などによって調製することができる。光触媒体コーティング剤の光触媒体含有量は、塗布対象である材料の種類、所望とする塗布膜の厚みなどに応じて適宜選択すればよく、通常0.1〜30重量%程度である。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。本実施例では、酢酸に対する光触媒体の光分解作用について述べるが、本発明は本実施例に限定されるものではない。なお、光触媒体の物性測定は以下の方法で行った。
(1)主結晶相:
X線回折装置(商品名“RAD-IIA”、理学電機製)を用いて、試料のX線回折スペクトルを測定し、このピークデータから相対ピークの最も高いものを主結晶相とした。
【0022】
(2)平均粒子径:
透過型電子顕微鏡を用いて、試料の写真を撮影し、この写真にある任意に粒子10ヶについて直径を測定し、これらの直径の平均値を平均粒子径とした。
【0023】
(3)指数X〔=(A−B)/A〕:
光電子分光測定装置(商品名“XPS-7000”、理学電機製)を用い、X線源:MgKα 8kV 30mA ナロースキャン、pass E=10eV、step E=0.04eV、真空度:5×10-6Pa、温度:室温、Ti2pピークの位置:C1s=284.6eVで補正、サンプルの保持:カーボンテープを使用の条件で、チタンの電子状態(Ti2p2/3)を1回あたり60秒で2回分析(1回目、2回目)、酸素の電子状態(O1s)を1回あたり47秒で2回分析、炭素(C1s)の電子状態を1回あたり47秒で2回分析、チタンの電子状態(Ti2p2/3)を1回あたり60秒で2回分析(3回目、4回目)、酸素(O1s)の電子状態を1回あたり47秒で2回分析、炭素(C1s)の電子状態を1回あたり47秒で2回分析、を順に行ってXPSスペクトルを測定した。2回目のXPSスペクトルのピークの中で結合エネルギー458〜460eVにあるピークの半価幅Aと、4回目のXPSスペクトルのピークの中で結合エネルギー458〜460eVにあるピークの半価幅Bを求め、これらの値をもとに前記式(I)により指数Xを算出した。前記の一連の分析は、分析時および分析と分析との間、光触媒体を大気中に暴露させることなく行った。
【0024】
実施例1
〔酸化チタン粒子Aの調製〕
オキシ硫酸チタン(添川理化学製)90gをイオン交換水360gに溶解させて、オキシ硫酸チタン水溶液を得た。ステンレス製反応容器にイオン交換水400gを入れた後、400rpmで攪拌しながら、上で得られたオキシ硫酸チタン水溶液450gを5ml/min、25%アンモニア水(試薬特級、和光純薬工業製)450gを5ml/minで添加し、反応させて、スラリーを得た。容器内の液の温度は、オキシ硫酸チタン水溶液およびアンモニア水の添加を開始したときが25℃、終了したときが55℃であった。このときに使用したアンモニア水の量は、オキシ硫酸チタンを水酸化チタンに変えるのに必要な塩基の化学量論量の2倍であった。上で得られたスラリーを濾過し、得られた固形物をイオン交換水で洗浄し、乾燥して粉末を得た。この粉末を400℃の空気中で3時間焼成した後、空気中で室温まで徐冷して、酸化チタン粒子Aを得た。この酸化チタン粒子Aは、含水率が15重量%であった。
【0025】
〔酸化チタン粒子Bの調製〕
オキシ硫酸チタン(テイカ製)3388gを水2258重量部に溶解させて、オキシ硫酸チタン水溶液を得た。ステンレス製反応容器にイオン交換水4700gを入れた後、107rpmで攪拌しながら、上で得られたオキシ硫酸チタン水溶液5646gを13ml/min、25%アンモニア水(試薬特級、和光純薬工業製)7383gを17ml/minで添加し、反応させて、スラリーを得た。容器内の液の温度は、オキシ硫酸チタン水溶液およびアンモニア水の添加を開始したときが25℃、終了したときが55℃であった。このときに使用したアンモニア水の量は、オキシ硫酸チタンを水酸化チタンに変えるのに必要な塩基の化学量論量の2倍であった。上で得られたスラリーを濾過し、得られた固形物をイオン交換水で洗浄し、乾燥して、粉末を得た。この粉末を450℃の空気中で1時間焼成した後、空気中で室温まで徐冷して、酸化チタン粒子を得た。この酸化チタン粒子は、含水率が15重量%であった。パラタングステン酸アンモニウム5水和物((NH4)101241・5H2O、和光純薬工業製)30gを水690gに溶解して、パラタングステン酸アンモニウム水溶液を得た。この水溶液に、上で得られた酸化チタン粒子100gを添加し、常温常圧下で20分間攪拌した。この混合物をさらに攪拌しながら減圧し、55℃で水分を蒸発させて乾燥し、390℃の空気中で1時間焼成した後、空気中で室温まで徐冷して、酸化タングステン担持酸化チタン粒子Bを得た。この酸化チタン粒子Bは、含水率が15重量%であった。
【0026】
〔光触媒体の調製〕
上の酸化チタン粒子Aと酸化チタン粒子Bを乾燥重量比1:1で混合して、光触媒体を得た。この光触媒体は、主結晶相がアナターゼであり、酸化タングステンの量が、酸化チタン中のチタン量を基準に、タングステン元素換算で4.7mol%であり、平均粒子径が20nmであった。またこの光触媒体は、その半価幅Aが1.79eV、半価幅Bが1.44eVであり、指数Xが0.196であった。
【0027】
〔光触媒体の活性評価〕
直径8cm、高さ10cm、容量約0.5リットルの密閉式ガラス製容器内に、直径5cmのガラス製シャーレを設置し、そのシャーレ上に、上で得られた光触媒体0.3gを置いた。容器内を酸素20容量%と窒素80容量%とからなる混合ガスで満たし、酢酸を4.46μmol封入し、容器の外から可視光線を照射した。可視光線の照射には、500Wキセノンランプ(商品名“ランプUXL-500SX”、ウシオ電機製)を取り付けた光源装置(商品名“オプティカルモジュレックスSX-UI500XQ”、ウシオ電機製)に、波長約430nm以下の紫外線をカットするフィルター(商品名“Y-45”、旭テクノガラス製)と波長約830nm以上の赤外線をカットするフィルター(商品名“スーパーゴールドフィルター”、ウシオ電機製)とを装着したものを光源として用いた。可視光線の照射により酢酸が分解して二酸化炭素が発生する。容器内の二酸化炭素濃度を光音響マルチガスモニタ(型番“1312型”、INNOVA製)で測定して、光触媒体の酢酸に対する光分解作用を評価した。光照射を10時間行った後の容器内の二酸化炭素濃度は1132ppmであった。
【0028】
実施例2
オキシ硫酸チタン(テイカ製)3388gを水2258gに溶解させた後、35%過酸化水素水(キシダ製)1340gを添加して、オキシ硫酸チタン水溶液を得た。ステンレス製反応容器にイオン交換水4700gを入れた後、107rpmで攪拌しながら、このオキシ硫酸チタン水溶液6986gを15ml/min、25%アンモニア水(試薬特級、和光純薬工業製)7383gを18ml/minで添加し、反応させて、スラリーを得た。容器内の液の温度は、オキシ硫酸チタン水溶液およびアンモニア水の添加を開始したときが25℃、終了したときが55℃であった。このときに使用したアンモニア水の量は、オキシ硫酸チタンを水酸化チタンに変えるのに必要な塩基の化学量論量の2倍であった。上で得られたスラリーを濾過し、得られた固形物をイオン交換水で洗浄し、乾燥して、粉末を得た。この粉末を370℃の空気中で1時間焼成した後、空気中で室温まで徐冷して、酸化チタン粒子Cを得た。この酸化チタン粒子Cは、含水率が15重量%であった。
【0029】
パラタングステン酸アンモニウム5水和物((NH4)101241・5H2O、和光純薬工業製)9.1gを水224.7gに溶解して、パラタングステン酸アンモニウム水溶液を得た。この水溶液に、上で得られた酸化チタン粒子C 66gを添加し、常温常圧下で20分間攪拌した。この混合物をさらに攪拌しながら減圧し、55℃で水分を蒸発させて乾燥し、425℃の空気中で1時間焼成した後、空気中で室温まで徐冷して、タングステン担持酸化チタン粒子Dを得た。この酸化チタン粒子Dは、含水率が15重量%であった。
【0030】
上の酸化チタン粒子Cと酸化チタン粒子Dを乾燥重量比8:2で混合して得られた光触媒体について、実施例1の〔光触媒体の評価〕と同一条件で、活性評価を行った。光照射を10時間行った後の容器内の二酸化炭素濃度は1228ppmであった。このとき用いた光触媒体は、主結晶相がアナターゼであり、酸化タングステンの量が、酸化チタン中のチタン量を基準に、タングステン元素換算で0.9mol%であり、平均粒子径が20nmであった。
【0031】
参考例1
実施例1の〔酸化チタンBの調製〕と同じ操作を行って得られた酸化チタンについて、実施例1の〔光触媒体の評価〕と同一条件で、活性評価を行った。光照射を10時間行った後の容器内の二酸化炭素濃度は585ppmであった。このとき用いた光触媒体は、酸化タングステンの量が、酸化チタン中のチタン量を基準に、タングステン元素換算で10.8mol%であり、平均粒子径が20nmであった。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、酢酸のようなカルボン酸などを持続的に分解することができる高活性の光触媒体が提供される。また本発明によれば、建築材料や自動車材料などに前記の高活性光触媒体を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 金属化合物が存在する表面部分と金属化合物が存在しない表面部分をもつ本発明の光触媒体粒子を示す図。
【図2】 表面の全部に金属化合物が担持された酸化チタン粒子と酸化チタン粒子との混合物からなる本発明の光触媒体粒子を示す図。
【図3】 表面の一部に金属化合物が担持された酸化チタン粒子と酸化チタン粒子との混合物からなる本発明の光触媒体粒子を示す図。
【図4】 表面の全部に金属化合物が担持された酸化チタン粒子と表面の一部に金属化合物が担持された酸化チタン粒子との混合物からなる本発明の光触媒体粒子を示す図。
【図5】 金属化合物が存在する表面部分と金属化合物が存在しない表面部分をもつ酸化チタン粒子の模式図。
【図6】 表面の全部に金属化合物が担持された酸化チタン粒子の模式図。
【図7】 表面にチタン以外の金属元素をもたない酸化チタン粒子の模式図。
【図8】 金属化合物が存在する格子状部分をもつ本発明の光触媒体膜を示す図。
【図9】 金属化合物が存在する島状部分をもつ本発明の光触媒体膜を示す図。
【図10】 金属化合物がモザイク状に配置された表面をもつ本発明の光触媒体膜を示す図。
【図11】 金属化合物が縞状に配置された表面をもつ本発明の光触媒体膜を示す図。
【図12】 金属化合物がランダムに配置された表面をもつ本発明の光触媒体膜を示す図。
【符号の説明】
13 酸化チタン層
14 金属化合物表面層

Claims (6)

  1. タングステンの1元系酸化物が担持された酸化チタン粒子と該1元系酸化物が担持されていない酸化チタン粒子とからなることを特徴とする光触媒体。
  2. 酸化チタンは、その主結晶相がアナターゼである請求項1記載の光触媒体。
  3. タングステンの1元系酸化物は、その量が酸化チタン中のチタン量を基準にタングステン元素換算で0.05mol%以上である請求項1または請求項2に記載の光触媒体。
  4. タングステンの1元系酸化物が担持された酸化チタン粒子と、該1元系酸化物が担持されていない酸化チタン粒子との量比が、前者10〜90重量%、後者90〜10重量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光触媒体。
  5. 酸化チタン粒子は、その平均粒子径が100μm以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の光触媒体。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光触媒体と溶媒を含む光触媒体コーティング剤。
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