JP3944152B2 - 水質汚染有機物質の除去方法 - Google Patents

水質汚染有機物質の除去方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3944152B2
JP3944152B2 JP2003375324A JP2003375324A JP3944152B2 JP 3944152 B2 JP3944152 B2 JP 3944152B2 JP 2003375324 A JP2003375324 A JP 2003375324A JP 2003375324 A JP2003375324 A JP 2003375324A JP 3944152 B2 JP3944152 B2 JP 3944152B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titanium oxide
water
oxide precursor
titanium
aqueous solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003375324A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005137988A (ja
Inventor
佳己 岡田
裕明 西島
利治 真壁
正一 安保
弘己 山下
ネポリアン バーナードショウ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chiyoda Corp
Original Assignee
Chiyoda Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chiyoda Corp filed Critical Chiyoda Corp
Priority to JP2003375324A priority Critical patent/JP3944152B2/ja
Publication of JP2005137988A publication Critical patent/JP2005137988A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3944152B2 publication Critical patent/JP3944152B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W10/00Technologies for wastewater treatment
    • Y02W10/30Wastewater or sewage treatment systems using renewable energies
    • Y02W10/37Wastewater or sewage treatment systems using renewable energies using solar energy

Description

この発明は、光触媒酸化チタンを用いて排水処理、浄水処理、殺菌・藻処理等の処理を必要とする種々の被処理水中の水質汚染有機物質を除去する方法に係り、特にアナタース型結晶とルチル型結晶との比率が制御された光触媒酸化チタンを用いて被処理水中の水質汚染有機物質を除去する水質汚染有機物質の除去方法に関する。
近年、空気中に飛散する悪臭や有害物質を分解して除去したり、あるいは、排水処理や浄水処理等を行うための環境浄化材料として、更には、種々の基材の表面に優れた親水性を付与するための親水性付与剤として、温度、pH値、ガス雰囲気、毒性等の反応条件の制約が少なく、しかも、高活性で取扱が容易であることから、光触媒活性を有する酸化チタン(チタニア)が着目されており、例えば、アルデヒド、メルカプタン、アンモニア、各種のアミン類等の悪臭物質や有害物質の分解脱臭や、NOX、SOX、PCB、ダイオキシン、有機ハロゲン化合物、有機リン化合物、界面活性剤等の有害物質の分解除去や、各種の菌類や藻類等の殺菌・藻処理等の用途を始めとして、建築材料や土木材料等の親水性処理等の多くの用途に応用されている。
そして、このような酸化チタンを工業的に製造する方法については、大別すると、精製した四塩化チタンの水溶液を高温(800〜1,000℃)の酸素雰囲気下に噴霧して四塩化チタンを酸化し、酸化チタン粒子を得る気相法と、水酸基を有する酸化チタン前駆体を製造してこの酸化チタン前駆体を500℃以上で焼成する液相法とが知られている(清野 学著技報堂出版発行「酸化チタン−物性と応用技術」pp18-27(1991.6.25))。
しかしながら、前者の気相法においては、得られる製品が既に酸化チタン粒子であることから、光触媒として利用する際にその目的に応じて種々の剤形や形態に加工する、いわゆる二次加工がし難いという問題があり、また、液相法においては、酸化チタン前駆体の状態で種々の剤形や形態に加工することができ、二次加工が容易ではあるが、500℃以上で焼成する際に酸化チタン前駆体における酸化チタンの結晶形態が比較的光触媒活性の高いアナタース型から比較的光触媒活性の低いルチル型に転移し、これらアナタース型結晶とルチル型結晶の存在比率が変化し、焼成時に光触媒活性が低下するという問題がある。
ところで、酸化チタンが高い光触媒活性を発現する原因については必ずしも明らかではないが、純粋なアナタース型の酸化チタンと純粋なルチル型の酸化チタンとを用い、それぞれの混合割合を変えて触媒組成物を調製し、光触媒活性を評価した結果、アナタース型酸化チタンとルチル型酸化チタンとが混在し、その混合状態が光触媒活性を支配する重要な因子になっていることが報告されている(触媒 Vol.45, No.1, pp35-37(2003))。
しかしながら、アナタース型結晶とルチル型結晶の比率が制御された酸化チタンを工業的に製造するための方法については知られていない。
清野 学著技報堂出版発行「酸化チタン−物性と応用技術」pp18-27(1991.6.25) 触媒 Vol.45, No.1, pp35-37(2003)
そこで、本発明者らは、酸化チタン前駆体を500℃以上の温度で焼成して得られ、種々の剤形や形態に加工する際の二次加工が容易であり、しかも、アナタース型結晶とルチル型結晶との比率が制御された光触媒酸化チタンを用い、排水処理、浄水処理、殺菌・藻処理等の処理を必要とする被処理水中の水質汚染有機物質を酸化分解することについて鋭意検討した結果、酸化チタン前駆体スラリー中に酸性水溶液を添加してpH値を酸化チタン前駆体の溶解領域に降下させると共にチタン原料を追加する操作と、この操作で得られたチタン含有酸性水溶液に塩基性水溶液を添加してpH値を酸化チタン前駆体の析出領域に上昇させる操作とからなるpHスイング操作を少なくとも3回以上繰り返して酸化チタン前駆体を調製し、この酸化チタン前駆体を500℃以上の高温で焼成して得られたアナタース型結晶とルチル型結晶との比率が制御された光触媒酸化チタンを用いることにより、被処理水中の水質汚染有機物質を効率良く酸化分解することができることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、500℃以上の高温で焼成して得られ、光触媒として用いる際に要求される種々の剤形や形態に二次加工することが容易であって、アナタース型結晶とルチル型結晶との比率が制御された光触媒酸化チタンを用い、排水処理、浄水処理、殺菌・藻処理等の処理を必要とする被処理水中の水質汚染有機物質を効率良く酸化分解することができる水質汚染有機物質の除去方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、チタン含有酸性水溶液に塩基性水溶液を添加して水酸基を有する酸化チタン前駆体を析出させた後、得られた酸化チタン前駆体スラリー中に、酸性水溶液を添加してpH値を酸化チタン前駆体の溶解領域に降下させると共にチタン原料を追加する操作と、この操作で得られたチタン含有酸性水溶液に塩基性水溶液を添加してpH値を酸化チタン前駆体の析出領域に上昇させる操作とからなるpHスイング操作を少なくとも3回以上繰り返して酸化チタン前駆体とし、この酸化チタン前駆体を500℃以上の高温で焼成して得られたアナタース型結晶とルチル型結晶との比率が制御された光触媒酸化チタンを用い、被処理水中の水質汚染有機物質を酸化分解することを特徴とする水質汚染有機物質の除去方法である。
本発明において、酸化チタン前駆体を製造する際に用いられるチタン原料については、特に制限は無く、例えば、チタンの塩化物、弗化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、蓚酸塩、フッ酸塩、ケイ酸塩、ヨウ素酸塩等のチタン塩、チタン酸、チタンのオキソ酸塩及びチタンのアルコキシド類等を挙げることができ、好ましいものとしては、例えば、四塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル、三塩化チタン、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンプロポキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、オルトチタン酸、メタチタン酸、四臭化チタン、四弗化チタン、三弗化チタン、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム等を挙げることができる。これらのチタン原料は、その1種のみを単独で使用できるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。
また、この酸化チタン前駆体の製造に用いる酸性水溶液や塩基性水溶液としては、例えば、四塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル、三塩化チタン、四臭化チタン、四弗化チタン、三弗化チタン等の他に、硝酸、塩酸、硫酸等の酸性水溶液や、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の塩基性水溶液を挙げることができ、これらの酸性水溶液及び塩基性水溶液についても、その1種のみを単独で使用できるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。これらの酸性水溶液及び塩基性水溶液は、上記のチタン原料のみでは所定のpH値に制御できない場合には、チタン原料と共に用いて、pH値を最適に制御することにも用いられる。
更に、酸化チタン前駆体を製造する際に用いる溶媒は、基本的には水であるが、特に制限されるものではなく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサン等の水溶性有機溶剤の水溶液等を用いることもできる。
ここで、この酸化チタン前駆体を製造する際の反応条件については、製造時の水系溶媒中におけるチタン濃度が酸化チタン換算で通常0.1〜15wt%、好ましくは0.5〜10wt%であるのがよく、また、反応温度が常温から300℃、好ましくは常温から180℃、より好ましくは常温から300℃であり、また、反応圧力は原則的に常圧(0MPa)であり、使用する溶媒系と反応温度の条件下で液相を維持する圧力があれば十分である。
本発明においては、チタン含有酸性水溶液に塩基性水溶液を添加して水酸基を有する酸化チタン前駆体を析出させた後、得られた酸化チタン前駆体スラリー中に、酸性水溶液を添加してpH値を酸化チタン前駆体の溶解領域に降下させる操作と、この操作で得られたチタン含有酸性水溶液に塩基性水溶液を添加してpH値を酸化チタン前駆体の析出領域に上昇させる操作とからなるpHスイング操作を少なくとも3回以上、好ましくは5回以上、より好ましくは7回以上繰り返す必要がある。このpHスイングの繰返し回数が多いほど、500℃以上で焼成した際のアナタース型結晶(An)からルチル型結晶(Ru)への転移が抑制され、得られた光触媒酸化チタンにおけるアナタース型結晶(An)とルチル型結晶(Ru)の比率(An/Ru)が大きくなる。
ここで、具体的なpHスイング操作の方法は、チタン含有酸性水溶液に塩基性水溶液を添加して水酸基を有する酸化チタン前駆体を析出させ、得られた酸化チタン前駆体スラリー中に、酸性水溶液の添加と塩基性水溶液の添加とを交互に行って、酸化チタン前駆体の溶解領域であるpH3.5以下、好ましくは0.5≦pH≦2.0と酸化チタン前駆体の析出領域であるpH7以上、好ましくは7.0≦pH≦8.5との間をスイングさせるものである。また、酸性水溶液の添加後には微細な粒子が溶解消失するに十分な時間、通常3〜60分、好ましくは5〜20分間保持し、塩基性水溶液の転化後には粒子成長に十分な熟成時間、通常3〜30分、好ましくは5〜15分間保持して熟成時間を設けるのがよい。
本発明の酸化チタン前駆体は、上記のpHスイング操作によって得られた酸化チタン前駆体スラリーをろ過し、必要により脱水・乾燥し、また、必要により洗浄して得られるものであり、この際に、酸化チタン前駆体を固形物基準で含水量10〜200wt%、好ましくは50〜100wt%にまで脱水あるいは乾燥され、必要に応じて洗浄を行う場合には、湿潤ケーキを再度水に分散して濾過する操作を繰り返すことによって洗浄することができる。洗浄の際には、この操作を好ましくは1〜3回繰り返すことで合成時に生じた水酸化チタン以外の化合物を除去することができる。こうして得られた酸化チタン前駆体は、次いで光触媒として用いる際に要求される種々の剤形や形態に二次加工される。
この酸化チタン前駆体の二次加工については、特に制限されるものではなく、例えば、湿潤ケーキのまま所望の形状に成形して焼成することや、湿潤ケーキを所望の濃度に水等の溶媒中に分散させて塗布した後に焼成する等を例示することができ、これらの使用形態は応用される製品の必要に応じて様々な形態で利用することが可能である。特に、光触媒酸化チタンを被処理水中に存在させて水質汚染有機物質を効率よく酸化分解して、排水処理、浄水処理、殺菌・藻処理等の処理を行うためには、被処理水との接触、及び光を受光する幾何表面積が大きなことが好ましく、タイルやパネル等の形状に酸化チタン前駆体を成形したり、光源のカバーガラスや光源を挿入する円筒等の筒状形状に成形された基材に酸化チタン前駆体を塗布等の方法によって固定加工することが効果的である。この際、基材等の表面に酸化チタン前駆体を固定する手段については特に制限はなく、酸化チタン前駆体を分散せた溶液を塗布あるいは噴霧してもよく、あるいは酸化チタン前駆体を成形した固体を基材等の表面に接着するようにしてもよい。また、酸化チタン前駆体を好ましくは0.01〜10mm、より好ましくは0.1〜1mm程度の粒子径に粉末状又は顆粒状に製剤してから焼成して得られた光触媒酸化チタンを被処理水中に粉末状又は顆粒状で分散させて処理することも可能である。
このように二次加工して得られた光触媒用酸化チタン前駆体は、次に、更に温度40〜350℃、好ましくは80〜200℃で0.5〜24時間、好ましくは0.5〜5時間乾燥した後、温度120〜1000℃、好ましくは500〜800℃で0.5〜48時間、好ましくは1〜5時間焼成され、光触媒として用いる酸化チタンとされる。この焼成温度については、高くなればなるほどアナタース型結晶(An)がルチル型結晶(Ru)に転移し、アナタース型結晶(An)とルチル型結晶(Ru)との比率(An/Ru)が低下する傾向があるので、光触媒酸化チタンとして望まれるアナタース型結晶(An)とルチル型結晶(Ru)との比率(An/Ru)に応じて、適当な焼成温度と時間を選択するのがよい。
本発明により、アナタース型結晶(An)とルチル型結晶(Ru)との比率(An/Ru)が50%以上で高い光触媒活性を有する酸化チタンを製造する場合には、pHスイングの繰返し数を5回以上、好ましくは7回以上とするのがよく、また、焼成温度については、更に好ましくは550〜800℃とするのがよい。
また、本発明において、上記のように焼成前に前駆体を加工するのではなく、焼成した後に粉体化した光触媒酸化チタンも種々の方法により水質汚染有機物質の酸化分解に、利用することができる。例えば、平板状、パイプ状等の各種基材の表面に、前駆体を焼成後に粉化した光触媒酸化チタンを固定することによって、水質汚染有機物質の除去を行うようにしてもよい。この際、基材等の表面に光触媒酸化チタンを固定する手段については特に制限はなく、酸化チタン粉末を分散せた溶液を塗布あるいは噴霧してもよく、あるいは光触媒酸化チタンを成形した固体を基材等の表面に接着するようにしてもよい。
本発明において、上記のようにして得られた光触媒酸化チタンを用いて被処理水中の水質汚染有機物質を酸化分解する際に、この光触媒酸化チタンに供する光源については、確実に光触媒酸化チタンをバンド・ギャップより大きなエネルギーを持つ光(およそ380nm以下の波長を持つ光)で照射できればよく、具体的には、太陽光や、バンド・ギャップより大きなエネルギーを持つ人工的光源等を挙げることができ、排水処理、浄水処理、殺菌・藻処理等の処理を必要とする被処理水に対する水質汚染有機物質除去方法の具体的な適用操作を考慮して適宜選択できる。
本発明の水質汚染有機物質の除去方法は、例えば、工業製品や食品等の種々の製造業や産業廃棄物処理等の処理工場、レストラン等の厨房、病院等の排水処理、水道水等の浄水処理、水槽、湖沼等の藻類の除去や繁殖防止等の光触媒作用によって生成する水酸化ラジカルや酸素アニオンによる分解が有効で、それらの処理が必要な排水処理に広く応用することが可能であり、これらの水質汚染有機物質を効率良く分解して除去するのに適している。
本発明の水質汚染有機物質の除去方法は、500℃以上の高温で焼成して得られ、光触媒として用いる際に要求される種々の剤形や形態に二次加工することが容易であるだけでなく、製造時のpHスイング操作の繰返し数によってアナタース型結晶とルチル型結晶との比率が制御された光触媒酸化チタンを用いるので、
高活性であり、排水処理、浄水処理、殺菌・藻処理等の処理を必要とする被処理水中の水質汚染有機物質を効率良く分解して除去することができる。
以下、実施例(実験例及び試験例)に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
実験例1〜18
純水で製造した氷を粉砕して容器に入れ、この容器内に四塩化チタン(TiCl4)500gを添加して粉砕した氷と混合し、更に容器内に純水を添加して溶液全体を1,000mlとし、四塩化チタン水溶液(溶液A)を調製した。
また、28wt%-アンモニア水を同量の純水で希釈し、14wt%-アンモニア水(溶液B)を調製した。
次に、35Lの反応容器に純水20Lを入れて75℃まで加熱し、更に撹拌下に上記溶液Aの500mlを添加して混合した。得られた溶液のpH値は1.1であった。
続いて、反応容器中には撹拌下に上記溶液Bの710mlを一度に添加した。得られた溶液はpH値8.5となり、この操作により溶液中に酸化チタン前駆体が析出し、溶液はスラリー状になった。
このようにして得られた酸化チタン前駆体スラリーに、撹拌下に500mlの溶液Aを添加し、pH値を1.1に低下させて5分間保持し、次いで撹拌下に720mlの溶液Bを添加し、pH値を8.5に上昇させて5分間保持するpHスイング操作を表1に示す回数だけ繰り返し、酸化チタン前駆体スラリーを得た。
実験例1〜18の酸化チタン前駆体スラリーを濾過し、酸化チタン前駆体の湿潤ケーキを得た後、各湿潤ケーキをそれぞれ20Lの純水中に分散させて30分間撹拌した後再び濾過する洗浄操作を3回実施し、湿潤ケーキ中に残存する塩化アンモニウムを除去した。
得られた各実験例1〜18の湿潤ケーキを120℃で3時間乾燥し、各実験例1〜18の酸化チタン前駆体を得た。
上記実験例1〜18で得られた各酸化チタン前駆体について、空気流通下にそれぞれ表1に示す温度及び時間の条件で焼成し、冷却した後に粉砕して酸化チタン粉末を得た。
得られた各実験例1〜18の光触媒酸化チタンについて、窒素吸着によりBET表面積(m2/g)を測定すると共に、水銀圧入法ポロシメトリーにより細孔分布測定〔細孔容積(cc/g)及び平均細孔径(nm)〕を行い、更にX線回折計(PHLIPS社製XPERT SYSTEM/APD-1700)を用いてX線回折(XRD)パターンを測定し、各酸化チタン粉末中におけるアナタース型結晶(An)の最強干渉ピークの強度IAnとルチル型結晶(Ru)の最強干渉ピークの強度IRuから、一般的に用いられる次の(1)式からアナタース型結晶の含有量(重量%)を求め、アナタース型結晶の含有量とルチル型結晶の含有量の和を100としてルチル型結晶の含有量を求めた。またこれらから、アナタース型結晶の比率(An/Ru)を計算した。
アナタース型結晶含有率(重量%)=100/[1+1.265(IRu/IAn)]……(1)
これらの結果を表1に示す。
〔試験例1〕
〔2-プロパノール光触媒分解反応試験(液相試験)〕
また、上記各酸化チタン粉末について、下記の2-プロパノール光触媒分解反応試験(液相試験)を行い、光触媒活性を調べた。
耐熱性と光透過性に優れた直径2cm×長さ20cmの大きさの石英ガラス製反応セル内に上記各実験例1〜18の光触媒酸化チタン50mgと2-プロパノール水溶液又は2-ヘキサノール水溶液25ml(65μmol)を入れ、酸素を30分間バブリングした後(酸素雰囲気下)、撹拌して懸濁させながら室温下に1時間光照射し、2-プロパノールの減少率(%)を求めた。この際に、反応セルにはその上部にラバーセプタム(直径2.1cm)を取り付け、また、光照射は、光源の高圧水銀灯(100W)を反応セルから約6cm離して〔デジタル照度計(東京光電社製LX-1330)を高圧水銀灯に対して平行に設置して測定した時の照度が約6150Lux〕行った。
表1に反応開始1時間後における2-プロパノールの分解率(%)を示す。
〔試験例2〕
実験例3及び7の各酸化チタン前駆体から得られた酸化チタン粉末を用い、上記2-プロパノール光触媒分解反応試験(液相試験)において2-プロパノールが完全に炭酸ガス(CO2)に分解されるまでの経時変化を測定し、市販の光触媒酸化チタン粉末〔JRC-TIO-4(P-25)〕(比較例1)と比較した。
結果を図1〜図3に示す。
Figure 0003944152
表1に示す結果から明らかなように、焼成温度が同じである場合には、pHスイングの繰返し回数が多くなればなるほど、比較的高い光触媒活性が発現することが分かる。また、pHスイングが3回の実験例1〜4又はpHスイングが4回の実験例5〜8の場合についてみると、実験例3のルチル型結晶(Ru)8重量%又は実験例7のルチル型結晶(Ru)13重量%の割合で混在させた方が、実験例1及び2のアナターゼ型結晶(An)100重量%の場合又は実験例5又は6のアナターゼ型結晶(An)100重量%の場合より、また、実験例4のルチル型結晶(Ru)95重量%の場合又は実験例8のルチル型結晶(Ru)97重量%の場合より、それぞれ光触媒活性が高いことが分かる。
本発明の水質汚染有機物質の除去方法によれば、単に光触媒として用いる際に要求される種々の剤形や形態に二次加工することが容易であるばかりでなく、500℃以上の高温で焼成してアナタース型結晶とルチル型結晶との比率が制御され、結果として光触媒活性が制御された光触媒酸化チタンを用いるので、高活性であり、排水処理、浄水処理、殺菌・藻処理等の処理を必要とする被処理水中の有機汚染物質を効率良く酸化分解して除去することができる。
図1は、実験例3の酸化チタン前駆体から得られた酸化チタン粉末を用いて行った2-プロパノール光触媒分解反応試験(液相試験)において、2-プロパノールが完全に炭酸ガス(CO2)に分解されるまでの経時変化を示すグラフ図である。
図2は、実験例7の酸化チタン前駆体から得られた酸化チタン粉末を用いて行った図1と同様のグラフ図である。
図3は、比較例1の市販の光触媒酸化チタン粉末〔JRC-TIO-4(P-25)〕を用いて行った図1と同様のグラフ図である。

Claims (7)

  1. チタン含有酸性水溶液に塩基性水溶液を添加して水酸基を有する酸化チタン前駆体を析出させた後、得られた酸化チタン前駆体スラリー中に、酸性の原料水溶液を添加してpH値を酸化チタン前駆体の溶解領域に降下させると共に原料を追加投入する操作と、この操作で得られたチタン含有酸性水溶液に塩基性水溶液を添加してpH値を酸化チタン前駆体の析出領域に上昇させる操作とからなるpHスイング操作を少なくとも3回以上7回以下の範囲で繰り返して得られた酸化チタン前駆体であり、このpHスイング操作の回数と得られた酸化チタン前駆体を500℃以上600℃以下の高温で焼成する際の温度と時間によって、焼成後にアナタース型結晶(An)とルチル型結晶(Ru)との比率(An/Ru)が1.7〜11.5の範囲内に制御され、かつ、BET表面積が42m 2 /g以上である光触媒酸化チタンを用い、処理水中の水質汚染有機物質を酸化分解することを特徴とする水質汚染有機物質の除去方法。
  2. 酸化チタン前駆体の溶解領域のpH値が3.5以下であり、酸化チタン前駆体の析出領域のpH値が7以上である請求項1に記載の水質汚染有機物質の除去方法。
  3. 処理水中の水質汚染有機物質の酸化分解を、処理水中に粉末状又は顆粒状の光触媒酸化チタンを分散させて行う請求項1又は2に記載の水質汚染有機物質の除去方法。
  4. 処理水中の水質汚染有機物質の酸化分解を、光源ランプが挿入される筒状形状に成形された光触媒酸化チタン又は成形した支持体に固定された光触媒酸化チタンを用いて行う請求項1又は2に記載の水質汚染有機物質の除去方法。
  5. 処理水中の水質汚染有機物質の酸化分解を、光源ランプのカバーガラスに固定された光触媒酸化チタンを用いて行う請求項1又は2に記載の水質汚染有機物質の除去方法。
  6. 光触媒酸化チタンに供する光源が、太陽光又はバンド・ギャップより大きなエネルギーを持つ人工的光源である請求項1〜5のいずれかに記載の水質汚染有機物質の除去方法。
  7. 処理水中の水質汚染有機物質が、有機化学物質又は微生物である請求項1〜6のいずれかに記載の水質汚染有機物質の除去方法。
JP2003375324A 2003-11-05 2003-11-05 水質汚染有機物質の除去方法 Expired - Lifetime JP3944152B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003375324A JP3944152B2 (ja) 2003-11-05 2003-11-05 水質汚染有機物質の除去方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003375324A JP3944152B2 (ja) 2003-11-05 2003-11-05 水質汚染有機物質の除去方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005137988A JP2005137988A (ja) 2005-06-02
JP3944152B2 true JP3944152B2 (ja) 2007-07-11

Family

ID=34686727

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003375324A Expired - Lifetime JP3944152B2 (ja) 2003-11-05 2003-11-05 水質汚染有機物質の除去方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3944152B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5023483B2 (ja) * 2005-12-09 2012-09-12 トヨタ自動車株式会社 燃料電池用電極の製造方法、及びこれを備えた固体高分子型燃料電池
JP6082895B1 (ja) * 2016-01-15 2017-02-22 株式会社光触媒研究所 光触媒機能を有する二酸化チタンのみにより構成された固形物からなる固形光触媒材及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005137988A (ja) 2005-06-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2445635B1 (en) Method for the preparation doped catalytic carbonaceous composite materials
US8791044B2 (en) Doped titanium dioxide as a visible and sun light photo catalyst
JP3959213B2 (ja) 酸化チタン、それを用いてなる光触媒体及び光触媒体コーティング剤
KR100430405B1 (ko) 광촉매용 미립 이산화티타늄 분말의 제조방법
JP2909403B2 (ja) 光触媒用酸化チタンおよびその製造方法
EP1162172A1 (en) Silica gel carrying titanium oxide photocatalyst in high concentration and method for preparation thereof
JP2517874B2 (ja) 酸化チタン薄膜光触媒の製造方法
JP2832342B2 (ja) 光触媒粒子及びその製造方法
WO2003048048A1 (en) Titanium dioxide photocatalyst and a method of preparation and uses of the same
Dubey et al. Photo/piezo-catalytic performance of 0.5 Ba (Zr0. 2Ti0. 8) O3-0.5 (Ba0. 7Sr0. 3) TiO3 ceramic
JP5627006B2 (ja) 光触媒およびその製造方法
JPH09276706A (ja) 光触媒粒子及びその製造方法
JP3567693B2 (ja) 固定化光触媒の製造方法および有害物質の分解・除去方法
JP3944152B2 (ja) 水質汚染有機物質の除去方法
CN110090657B (zh) 一种海泡石复合催化剂及其制备方法、新型类芬顿体系及其应用
JP2012096152A (ja) 光触媒
JP2003190811A (ja) 光触媒体、その製造方法およびそれを用いてなる光触媒体コーティング剤
JP3908717B2 (ja) 大気汚染物質の除去方法
JP2005329360A (ja) 浄化材及びその製造方法
JP3940393B2 (ja) 光触媒酸化チタンの製造方法
JP4296533B2 (ja) 窒素酸化物除去性能にすぐれた酸化チタン光触媒
JP4580197B2 (ja) 広い波長領域において光触媒活性を有する酸化チタン光触媒およびその製造方法
JPH10137593A (ja) 高光触媒活性アナタース形微粒子酸化チタンおよびその製造方法
JPH11244706A (ja) アナタース型酸化チタンからなる光触媒及びその製造方法
JP2000202303A (ja) ホ―ランダイト型光触媒および該触媒を用いた水中のフェノ―ル除去方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051101

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060509

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060704

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070403

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070406

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100413

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110413

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120413

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120413

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130413

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130413

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140413

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250