JP6082895B1 - 光触媒機能を有する二酸化チタンのみにより構成された固形物からなる固形光触媒材及びその製造方法 - Google Patents

光触媒機能を有する二酸化チタンのみにより構成された固形物からなる固形光触媒材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光触媒機能を有する二酸化チタンのみにより構成された固形物(担体を有しない)からなる固形光触媒材、及びその製造方法を提供する。【解決手段】ルチル型結晶を含まず、アナターゼ型結晶(ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい)の二酸化チタンのみにより構成された固形物からなり、以下のi)〜vi); i)細孔分布が5nm〜15nm、ii)比表面積が70〜110m2/g、iii)真密度が3.90±1.0g/cm3、iv)嵩比重が1.3〜1.6、v)ビッカース硬度が600〜800Hv、vi)結晶粒径が50〜80nm、の各数値を満たす固形光触媒材、及びその製造方法。【効果】上記固形物の外殻から内芯まで全て同じアナターゼ型結晶(ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい)の二酸化チタンのみにより構成された固形物からなる担体の添加を必要としない新しいタイプの固形光触媒材の提供を実現できる。【選択図】図6

Description

本発明は、光触媒機能を有する二酸化チタンのみにより構成された固形物からなる固形光触媒材と、その製造方法に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、紫外線に応答して、水・空気などの環境浄化に供するための光触媒機能を有する二酸化チタンのみにより構成された固形物(担体を有しない)からなる固形光触媒材、及びその製造方法に関するものである。本発明の固形光触媒材は、特に、発展途上国などの、飲料水を河川や池などの水に依存する地域において、簡便な施設・システムで、それらの水を光触媒による抗菌作用を利用して浄化処理して、雑菌が繁殖しない、安全な飲料水を調製し、提供することを可能とする新技術を提供するものとして有用である。
従来、紫外光・可視光などの活性光線照射により触媒作用を示す光触媒は、例えば、有害物質を除去する大気浄化材料や、悪臭を分解する脱臭材料や、水中に溶け込んだ有機化合物を分解・除去する浄水材料などとして広く利用されている。また、当該光触媒は、光触媒の酸化作用を利用した抗菌材料や、窓ガラスや外壁などの汚れを防ぐ防汚材料などとしても応用されている。
従来、先行技術として、例えば、特許文献1には、シリカゲルの多孔性を利用して、該シリカゲルの内奧まで二酸化チタンを担持させたシリカ担体とすることで光触媒作用の高効率化を可能にする光触媒担持シリカゲルが記載されている。しかし、この種の光触媒担持シリカゲルは、気層での利用はともかく、長期の水中での利用は、シリカ担体が水に溶解して無くなってしまうという問題があるため、水中使用については、実験室では利用することは可能であるが、耐久性上、実利用は困難である。
また、他の先行技術として、例えば、特許文献2には、ガラスビーズを担体に、その表面に二酸化チタンを薄膜として成膜することで光触媒を固定化した光触媒薄膜製品が記載されている。しかし、この種の光触媒薄膜は、水中使用の場合、固定床での利用では、流路圧損のため、流量を要する実利用には不向きであり、また、流動床での利用では、光触媒薄膜自体が互いに擦れあって剥離してしまうため、いずれも実利用には供し得ない。
また、他の先行技術として、例えば、特許文献3には、粉状の二酸化チタンを圧縮固形化して、顆粒状、或いはペレット化した形態の光触媒製品が、ドライクリーニング排液の処理に利用される例が記載されている。しかし、この種の光触媒製品は、粉状の二酸化チタンを圧力で固めて固形化したものであることから、その硬度や、抗破壊強度に限度があり、本発明製品の有する実利用に供し得るような特定の硬度や、抗破壊強度のものとはその品質が大きく異なっている。
また、他の先行技術として、例えば、特許文献4には、二酸化チタンの表面にリン酸カルシウム結晶を析出させた複合材料を、漂白殺菌材として用いるための当該複合材料の製造方法が記載されている。しかし、この種の担体を有する複合材料は、純二酸化チタン結晶のみにより構成される固形物からなる本発明の固形光触媒材とは、その構造が本質的に異なるものであり、特に、水浄化・空気浄化のような用途に供する上で好適なものではない。
また、他の先行技術として、例えば、特許文献5には、使用済みガラスなどの担体に連続多孔質処理を施して形成される連続微細発泡体に、光触媒を塗布は含浸して製造される浄化材が記載されている。しかし、この種の担体を有する浄化材は、純二酸化チタンのみにより構成された固形物からなる本発明の固形光触媒材とは、その構造が大きく異なるものであり、しかも、二酸化チタン結晶の含有量は、本発明製品とは比較にならないほど微小なレベルのものであり、本発明の固形光触媒材が特徴としているような優れた水浄化・空気浄化性能を具備した製品とはなり得ない。
特開平11−138017号公報「光触媒シリカゲルおよびその製造方法」出願人:工業技術院長、新東工業株式会社 特開2001−046883号公報「光触媒機能を有するシリカゲル成形体およびその製造方法」出願人:新東工業株式会社 特開2002−282704号公報「酸化チタン担持光触媒シリカゲルおよびその製造方法」出願人:新東ブイセラックス株式会社 特許第2,883,761号「雑菌繁殖防止体」 出願人:工業技術院長、(株)光触媒研究所 特開2001−347258号公報「産廃処理方法とそれに用いる廃液処理装置およびこれを用いた洗浄装置」出願人:ヤマハ株式会社 特開2003−82393号公報「洗浄材」出願人:独立行政法人産業技術総合研究所 実用新案登録第3171431号「エコ浄化材」出願人:有限会社ピーエムシーサービス
一般に、二酸化チタンは、殆どの場合、粉体の形態で販売されている。しかし、光触媒を製造するには、粉体のままでは使用できず、バインダ(結合剤)による固型化や、担体に担持して固定化するなど、何らかのバインダ(結合剤)や担体に固定化することが必要である。しかし、固定化された粉体には、バインダ(結合剤)や担体が夾雑物となり、二酸化チタンの光触媒性能を十分に発揮しきれないという問題がある。
また、ゾルゲル法などにより薄膜として形成された二酸化チタンは、結晶がいきなり板状・球状などの担体に担持されて用いられるため、比較的に、その光触媒としての機能性は高いといえる。しかし、薄膜であるために、該薄膜が互いに擦れあう流動床などでは、薄膜が剥離したり衝突したりすることにより壊れて、その機能が消失してしまう、という問題があり、また、固定床では、薄膜表面でしか機能性が発揮されないため、粉体に比べて、光触媒の絶対量において、機能性が不足となる、という問題がある。
そこで、当技術分野においては、ゾルゲル法などにより薄膜として形成された二酸化チタンによる強力な光触媒機能と、固定化法により固定化された粉体混合物の多量の二酸化チタンによる量を同時に保有し、かつ薄膜が互いに擦れあっても剥離せず、衝突により壊れても、その機能性を失うことがない、という、これらの両者の手法の特徴を兼ね備えた新しいタイプの光触媒の開発が強く必要とされてきた。このような状況の中で、本発明者が鋭意検討を積み重ねる過程で、以下の特定の技術的手段を採用することにより、当技術分野における上述の課題を有効に解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、光触媒機能を有する二酸化チタンのみにより構成された固形物(担体を有しない)からなる新しいタイプの固形光触媒材と、その製造方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、上記固形物の外殻から内芯まで全て同じ結晶から構成され、ルチル型結晶を含まず、アナターゼ型結晶(ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい)の二酸化チタンのみにより構成された固形物からなる固形光触媒材であって、以下の(i)〜(vi);
(i)細孔径(ポアサイズ)2〜28nm、
(ii)比表面積が70〜110m/g、
(iii)真密度が3.90±1.0g/cm
(iv)嵩比重が1.3〜1.6、
(v)ビッカース硬度が600〜800Hv、
(vi)結晶粒径が1025nm、
の数値を満たす固形光触媒材と、その製造方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)光触媒機能を有する二酸化チタンのみにより構成された固形物(担体を有しない)からなる固形光触媒材であって、
ルチル型結晶を含まず、アナターゼ型結晶(ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい)の二酸化チタンのみにより構成され、以下の(i)〜(vi);
(i)細孔径(ポアサイズ)が2〜28nm、
(ii)比表面積が70〜110m/g、
(iii)真密度が3.90±1.0g/cm
(iv)嵩比重が1.3〜1.6、
(v)ビッカース硬度が600〜800Hv、
(vi)結晶粒径が10〜25nm、
の各数値を満たすことを特徴とする固形光触媒材。
(2)上記固形物の外殻から内芯まで全て同じアナターゼ型結晶(ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい)の二酸化チタンのみにより構成された固形物からなる、前記(1)に記載の固形光触媒材。
(3)光触媒に対する活性光線を、0.8mJ/cmsecの強度で照射した場合に、常温・常圧で、アセトルデヒドが、JISR1701−2試験法により、5.0μmol/h以上分解除去できる光触媒活性を有する、前記(1)又は(2)に記載の固形光触媒材。
(4)窒素吸着によるBET比表面積が、110m/gの比表面積を保有する、前記(1)から(3)のいずれかに記載の固形光触媒材。
(5)ゾルゲル法に基づいて調製した二酸化チタンコロイダルゲル分散液に、有機固形分の核形成材を添加、混合して、高粘性のスラリーを調製し、次いで、この高粘性スラリーの水分を、温度20〜60℃の雰囲気下で除去して、湿潤ゲルを調製し、得られた湿潤ゲルを、温度500〜650℃で焼成することにより、形態がフレーク状の固形物を調製すること、上記有機固形分の核形成材として、活性炭、セルロース、又はポリビニルアルコールから選択されるフロック形成凝集材を用いること、を特徴とする固形光触媒材の製造方法。
(6)湿潤ゲルを、焼成することにより、板状ないし不定形のフレーク状の固形物を調製する、前記(5)に記載の固形光触媒材の製造方法。
(7)フレーク状の固形物を、温水で洗浄、乾燥し、次いで、これを分級して粒度を整えて、板状ないし不定形のフレーク光触媒を調製する、前記(6)に記載の固形光触媒材の製造方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
ここで、本発明の固形光触媒材について説明すると、本発明の固形光触媒材は、ルチル型結晶を含まず、アナターゼ型結晶(ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい)の二酸化チタンのみにより構成される固形物からなる固形光触媒材であって、結晶分布が5nm〜15nm、比表面積が70〜110m/g、真密度が3.90±1.0g/cm、嵩比重が1.3〜1.6、ビッカース硬度が600〜800Hv、結晶粒径が50〜80nm、の各数値を満たす固形光触媒材に係るものである。
本発明の固形光触媒材は、一般に、光触媒で用いられる「担体」成分を有せず、該固形光触媒材を構成する固形物の外殻から内芯まで全て同じ結晶から構成される二酸化チタン光触媒材であり、ルチル型結晶を含まず、アナターゼ型結晶(ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい)のみにより構成される固形物からなる固形光触媒材である。本発明の固形光触媒材は、被表面が70〜110m/gという高い比表面積を有することで吸着機能に優れており、また、ビッカース硬度が600〜800Hvで、高硬度であり、相互に擦れあっても壊れない高耐久性を有するという特徴を有する。
本発明の固形光触媒材の光触媒活性について説明すると、例えば、そのアルデヒド分解能を調べるために、本発明の固形光触媒材(フレーク触媒;ソリッドフレーク)によるアルデヒド分散テスト(JIS R1701−2試験法による)を行った場合の、アセトアルデヒドとCO濃度の変化を図1に示す。図に示した計算式の、Qa=Ra×[A0]×f×1.016×60/(100×22.4)において、
式中、Qaは、求めるべき数値(μmol/h)、
Raは、アセトアルデヒド除去率(%)、
[A0]は、導入ガス濃度、
fは、ガス流量(=1L/min)、をそれぞれ示す。
上記計算式による計算の結果、本発明の固形光触媒材(フレーク触媒)によるアセトアルデヒド除去量は、7.55μmol/hであったが、この数値は、光触媒工業会の認証基準値の44倍の高い活性を持っていることを示す。
次に、SEM観察による、本発明の固形光触媒材を構成する二酸化チタン結晶の粒子径の測定結果を図2に示す。図は、画像の鮮明度が不足している部分があるとしても、この図より、結晶粒径は、0.5μm×1/20=25nmと読み取れる。また、AFM原子間力顕微鏡による、本発明の固形光触媒材を構成する二酸化チタン結晶の粒子径の測定結果を図3に示す。この図より、結晶粒径は、200nm×1/20=10nmと読み取れる。
次に、窒素吸着による、本発明の固形光触媒材の比表面積の測定結果を図4に示す。図において、BET比表面積は、Belsorp−max(Microtracbell社製)により測定したものである。また、本発明の固形光触媒材(フレーク触媒)の外観を図5示す。また、本発明の固形光触媒材のX線回折による結晶型の分析結果を図6に示す。これらの図より、本発明の固形光触媒材が純度が95〜98%のアナターゼ型結晶のみにより構成された固形物からなることが明確に理解できる。ここでは、アナターゼ型結晶の他に、ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい。
本発明の固形光触媒材の光触媒活性については、光触媒に対する活性光線(紫外線)を、例えば、強度0.8mJ/cm secの強度で照射した場合に、常温・常圧で、例えば、アセトアルデヒドが、JIS R1701−2試験法により、5.0μmol/h以上分解除去できるという光触媒活性を有している。
次に、本発明の固形光触媒材の製造方法の基本的な原理について説明する。まず、本発明の固形光触媒材の製造方法では、一般的なゾルゲル法に基づく手法により、二酸化チタンコロイダル分散ゾルを調製するが、この場合、これをゲル化するまで水分を蒸発させて焼成するだけでは、二酸化チタンコロイダル分散ゲルは固型化せず、二酸化チタン白色粉体となるだけである。
本発明者は、鋭意研究を進める過程で、この二酸化チタンコロイダル分散ゾルから水分を離脱させた湿潤ゲルが縮重合していく過程で、二酸化チタン結晶がより緊密な結合状態を形成するには、核となる核形成材の存在が不可欠であり、ここに、焼成後には燃焼して消滅する有機固形分の核形成材を含有させることが有効であるとの知見を見出した。すなわち、この有機固形分の核形成材の要件としては、当該核形成材を、二酸化チタンコロイダル分散ゾルに、添加、混合した後もゾルの流動性を失わないように、その粒状径が小さく、水との親和性が高い物質、例えば、活性炭、セルロース、ポリビニルアルコールから選択されるフロック形成凝集材が有効であるとの知見を得た。本発明では、結晶を凝集してフロックを形成する物質をフロック形成凝集材と称することとする。
これらの有機固形分の核形成材を選択することで、二酸化チタンコロイダル分散ゾルによる高粘性のスラリーを形成し、これを乾燥していく過程で、該高粘性のスラリー中の核となってその周囲に二酸化チタン結晶が纏わりついて結晶同士が網目構造を形成していくことで、焼成後も結晶結合分子が二酸化チタン粉末とならず、構成成分の混合比を調整することで、膜状に網目構造を形成して有機固形分を覆う形態が得られることが判明した(図7参照)。これを焼成すると、核となる有機固形分が燃焼して、残存物として無機結晶体である二酸化チタンの構造体を得ることができる(図8参照)。
次に、本発明の固形光触媒材の製造プロセス実施の態様について具体的に説明すると、本発明の固形光触媒材の製造方法においては、まず、一般的なゾルゲル法に基づいて、二酸化チタンコロイダル分散液を調製する。この場合、例えば、チタンイソプロポキシド溶液を、純水中に滴下、混合した後、濃硝酸などの酸で分散し、濃縮して、二酸化チタンコロイダル分散液を調製する。
次いで、得られた二酸化チタンコロイダル分散液に、核形成材として、例えば、燃焼して消滅する有機固形分の活性炭や、セルロース、ポリビニルアルコールなどのフロック形成凝集材を添加、混合して、高粘性のスラリーを調製する。この場合、核形成材としては、上記二酸化チタンコロイダル分散液から上記高粘性スラリーと同等の高粘性のスラリーを調製できるものであればよく、上記の活性炭や、セルロース、ポリビニルアルコールに限らず、それらと同効の成分であれば、同様に使用することができる。次いで、この高粘性スラリーの水分を、温度20〜60℃、例えば、温度20〜50℃の雰囲気下で除去して、例えば、黒色湿潤ゲルなどの湿潤ゲルを調製する。
次に、この黒色湿潤ゲルなどの湿潤ゲルを、例えば、600℃で1時間焼成する。それによって、乳白色などで、大きさがさまざまなフレーク状の形態の固形材を調製する。次いで、得られたフレーク状の形態の固形材を、例えば、80〜100℃の温水で洗浄、乾燥して、フレーク触媒を調製し、これを分級して、粒度を整えることにより、完成した光触媒製品としての固形光触媒材を調製する。上記工程により得られる固形光触媒材は、その形態が、板状ないし不定形であり、純度が95〜98%のアナターゼ型結晶の二酸化チタンのみから構成される固形物からなるという特徴を有する。この場合、結晶として、アナターゼ型結晶の他に、ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい。
次に、本発明の固形光触媒材の有用性について説明する。本発明の上述の固形光触媒材(フレーク触媒;ソリッドフレーク)の特性データから明らかなように、本発明の固形光触媒材は、例えば、紫外線に応答して、水・空気などの環境浄化に供するための高レベルの光触媒能を有する。このことから、当該光触媒機能を利用して、一般に光触媒製品として公知又は非公知の各種の光触媒製品用の固形光触媒材として広く使用することが可能である。
また、本発明の固形光触媒材は、公知の二酸化チタン系光触媒に不可避的に使用される当該二酸化チタン系光触媒を担持するための担体を使用する必要がないことから、その製造施設や製造プロセスないし製造システムが、既存の光触媒と比較して、簡便であるという利点を有する。しかも、本発明の固形光触媒材は、アナターゼ型結晶(ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい)の二酸化チタンのみから構成される固形物として、優れた耐久性を有することから、水中での利用、特に、長期の水中での利用でも、安定的に使用することが可能であり、気層での利用はもとより、特に、水中使用で必要とされる固定床や流動床での利用が可能であり、かつ、水の浄化処理に使用した後の固形光触媒材を再生し、再利用することが容易であるという特徴を有する。
このような特徴を持つ、本発明の固形光触媒材の具体的な応用領域として、例えば、発展途上国などの、飲料水に用いる水を河川や池の水に依存する地域において、それらの水を光触媒による抗菌作用を利用して浄化処理して、雑菌が繁殖しない、安全な飲料水用の水として供給することを可能とする、簡便な水の浄化システムを構築するための基本技術として有用である。
このような簡便な水の浄化システムを構築する上で、本発明の固形光触媒材は、光触媒を担体に担持させる工程や、その材料が不要であることから、部品点数や製造工程の点、かつ、コスト的な点で有利であり、とりわけ、発展途上国などの、原地での生産と、原地での利用に優位性を有するという、既存の光触媒にはない格別の特徴を有する。このことから、本発明は、特に、地球の温暖化や砂漠地帯の拡大に伴う、水資源の枯渇や、安全な飲料用水の欠乏の問題を有効に解決するための、簡便な光触媒による抗菌作用を利用した浄化システムを構築することを可能とする新技術として有用である。
本発明により、以下のような効果が奏される。
(1)光触媒機能を有する二酸化チタンのみにより構成された固形物(担体を有しない)からなる新しいタイプの固形光触媒材を提供することができる。
(2)上記固形物の外殻から内芯までルチル型結晶を含まず、全て同じアナターゼ型結晶(ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい)による二酸化チタンのみにより構成される固形物からなる固形光触媒材を提供することができる。
(3)本発明の固形光触媒材(光触媒ソリッドフレーク;フレーク触媒)によるアセトアルデヒド除去量は、7.55μmol/hであり、光触媒工業会の認定基準値の44倍の高い活性を有する。
(4)本発明の固形光触媒材(光触媒ソリッドフレーク;フレーク触媒)は、ゾルゲル法に基づいて調製した二酸化チタンコロイダル分散液を利用して、格別な施設を設置することなく、簡便なシステムを用いて、製造し、利用することができる。
(5)本発明によれば、簡便なシステムで、発展途上国などの、飲料水を河川や池などの水に依存する地域において、太陽光の照射下などで、それらの水を光触媒による抗菌作用により浄化処理して、雑菌が繁殖しない、安全な飲料水を調製し、提供することができる。
(6)水の浄化処理に使用した後の固形光触媒材を、(焼却処理などの)簡便な操作で、容易に再生し、再利用することが可能である。
本発明の固形光触媒材(光触媒ソリッドフレーク;フレーク触媒)によるアセトアルデヒド分解テスト(JIS R1701−2試験法による)を実施した結果、得られたアセトアルデヒドとCO濃度の変化を示す。 図に示した計算式の、Qa=Ra×[A0]×f×1.016×60/(100×22.4)において、式中、Qaは、求めるべき数値(μmol/h)、Raは、アセトアルデヒド除去率(%)、[A0]は、導入ガス濃度、fは、ガス流量(=1L/min)、をそれぞれ示す。 上記計算式による計算の結果、フレーク触媒(固形光触媒材)によるアルデヒド除去量は、7.55μmol/hであったが、これは、光触媒工業会の認証基準値の44倍の高い活性を持っていることを示す。 SEM観察による、二酸化チタン結晶粒子径の測定結果を示す。 図は、画像鮮明度が不足している部分があるとしても、結晶粒径:0.5μm×1/20=25nmと読み取れる。 AFM原子間力顕微鏡による、二酸化チタン結晶粒子径の測定結果を示す。 図より、結晶粒径:200nm×1/20=10nmと読み取れる。 窒素吸着による、フレーク触媒の比表面積の測定結果を示す。 BET比表面積は、Belsorp−max(Microtracbell社製)により測定した。 フレーク触媒の外観を示す。 X線回折によるフレーク触媒の結晶型の分析結果を示す。 図の結果より、本製品がアナターゼ型結晶(ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい)のみにより構成されていることが明確に理解できる。 二酸化チタンコロイダル分散ゾルから水分を離脱させた湿潤ゲルが縮重合していく過程で形成される二酸化チタン結晶の緊密な結合状態を模式的に示した図を示す。 左図;焼成前の湿潤ゲルの外観(有機固形分の膨らみが観察される)と、右図;焼成後の二酸化チタンの構造体の外観(有機固形分が燃えた孔が観察される)を示す。 二酸化チタン結晶の細孔径(ポアサイズ)の分布を示す。 Belsorp−max(Microtracbell社製)により測定した。図に示すように、細孔径(ポアサイズ)は、10nm近傍を最多とし、2nmから28nmに至る分布を示すことが分かった 固形光触媒材の処理機能についての実験例を示す。図に示す循環実験より、フレーク触媒は、繰り返し使用に耐えることが証明された。 固形光触媒材による光触媒水処理機能試験の結果(JIS R1704試験法による)を示す。 光触媒水処理機能試験で使用した試験装置(平面図)を示す。 光触媒水処理機能試験で使用した試験装置(正面図)を示す。
次に、本発明について実施例及び試験例を示して具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例及び試験例によって何ら限定されるものではない。
まず、二酸化チタンのコロイダル分散液を得るために、一般的なゾルゲル法に基づいて、二酸化チタンコロイダル分散液を調製した。当該コロイダル分散液は、例えば、文献[=作花澄夫:ゾルゲル法の科学]に記載されている方法と同様にして、以下の方法により調製した。すなわち、チタンイソプロポキシド95%溶液300gを、80℃の純水1,600g中に滴下、混合した後、濃硝酸13gで分散し、該分散液を濃縮して、形成されたコロイド分散液600gを得た。
こうして得られた二酸化チタンコロイダル分散液600gに、核形成材として、活性炭(二葉化学製)60gを添加、混合して、高粘性のスラリーを調製し、該高粘性スラリーの水分を、温度20〜50℃の雰囲気下で除去して、黒色の湿潤ゲル100gを得た。
この黒色湿潤ゲルを、600℃で1時間焼成することで、乳白色で、大きさは様々なフレーク状の形態の固形材30gを得た。二酸化チタンコロイダル分散液そのものが強酸性のため、得られたフレーク状の固形材を、80〜100℃の温水で洗浄、乾燥して、固形光触媒材(フレーク触媒)を調製した。次いで、これを分級して所定の粒度に整えることで、光触媒製品としての固形光触媒材(フレーク触媒)を完成品として得た。
こうして得られた固形光触媒材(フレーク触媒)の形態は、大きさが2〜5mm、厚さが0.5〜1.2mmの板状ないし不定形であり、ビッカース硬度が700Hv、鉛筆引っ掻き硬度が9Hの堅い固形物であり、その組成は、純度が95〜98%のアナターゼ型結晶の二酸化チタンであり、1次結晶粒径が10〜20nmの結晶が結合して、固形化したものであることが、X線回折、及びAFM撮像による観察より確認された。この場合、アナターゼ型結晶の他に、ブルッカイト型結晶が含まれることが観察された。
得られた固形光触媒材は、固形物でありながら、そのBET比表面積は、110m/gであり、粉体二酸化チタンP25(ドイツ、エボニック社製)とほぼ同等であることが、BETで観察された。
実施例1と同様にして、二酸化チタンコロイダル分散液を以下のように調製した。すなわち、チタンテトライソプロポキシド95%溶液300gを、80℃純水1,600g中に滴下、混合した後、濃硝酸13gで分散し、濃縮して、形成されたコロイド液600gを得た。
こうして得られた二酸化チタンコロイダル分散液600gに、核形成材として、活性炭(二葉化学製)60gを添加、混合して、高粘性のスラリーを調製し、該高粘性スラリーの水分を、温度20〜50℃雰囲気下で除去して、黒色の湿潤ゲル100gを得た。
この黒色湿潤ゲルを、600℃で1時間焼成することで、乳白色で、大きさは様々なフレーク状の光触媒固形材(フレーク触媒)30gが得られた。二酸化チタンコロイダル液そのものが強酸性のため、得られたフレークを、80〜100℃の温水で洗浄、乾燥して、フレーク触媒を完成した後、これを分級して、所定の粒度に整えることで、光触媒製品としての固形光触媒材(フレーク触媒)を完成品として得た。
こうして得られた固形光触媒材(フレーク触媒)の形態は、大きさが2〜5mm、厚さが0.5〜1.2mmの板状ないし不定形であって、ビッカース硬度が700Hv、鉛筆引っ掻き硬度が9Hの堅い固形物であり、その組成は、純度が95〜98%のアナターゼ型結晶の二酸化チタンであり、1次結晶粒径が10〜20nmの結晶が結合して、固形化したものであることが、X線回折、及びAFM撮像による観察より確認された。この場合、アナターゼ型結晶の他に、ブルッカイト型結晶が含まれることが観察された。
得られた固形光触媒材(フレーク触媒)は、固形物でありながら、そのBET比表面積は、110m/gであり、粉体二酸化チタンP25(ドイツ、エボニック社製)とほぼ同等(同等の吸着機能を有する)であることが、BETで観察された。
実施例1と同様にして、二酸化チタン結晶分散ゾルを以下のように調製した。すなわち、チタンエトキシド95%溶液500gを、80℃の純水1,800g中に滴下、混合した後、塩酸18gで分散し、濃縮して、形成されたコロイド液800gを得た。
こうして得られた二酸化チタンコロイダル分散液800gに、核形成材として、人工セルロース「セオラスTG101」(旭化成ケミカル製)80gを添加、混合して、高粘性のスラリーを調製し、該高粘性スラリーの水分を、温度20〜50℃雰囲気下で除去して、白色の湿潤ゲル150gを得た。
この白色湿潤ゲルを、600℃で1時間焼成することで、乳白色で、大きさは様々なフレーク状の形態の固形材50gが得られた。二酸化チタンコロイダル液そのものが強酸性のため、得られたフレークを、80〜100℃の温水で洗浄、乾燥して、固形光触媒材(フレーク触媒)を完成した後、これを分級して、所定の粒度に整えることで、光触媒製品としての固形光触媒材(フレーク触媒)が完成品として得られた。
実施例1と同様にして、二酸化チタン結晶分散ゾルを以下のように調製した。すなわち、チタンイソプロポキシド95%溶液400gを、80℃の純水1,700g中に滴下、混合した後、1規定水酸化ナトリウム32gで分散し、濃縮して、形成されたコロイド液700gを得た。
こうして得られた二酸化チタンコロイダル分散液700gに、核形成材として、ポリビニルアルコール(和光純薬製)75gを添加、混合して、高粘性のスラリーを調製し、高粘性スラリーの水分を、温度20〜50℃雰囲気下で除去し、白色の湿潤ゲル160gを得た。
この白色湿潤ゲルを、600℃で1時間焼成することで、乳白色で、大きさは様々なフレーク状の形態の固形材40gが得られた。二酸化チタンコロイダル液そのものが強酸性のため、得られたフレークを、80〜100℃温水で洗浄、乾燥して、フレーク触媒を完成した後、これを分級して、所定の粒度に整えることで、光触媒製品としての固形光触媒材(フレーク触媒)が完成品として得られた。
次に、試験例に基づいて本発明を具体的に説明する。
[試験例]
(1)アセトアルデヒド分散テスト
固形光触媒材(光触媒ソリッドフレーク;フレーク触媒)を用いて、アセトアルデヒド分散テスト(JIS R1701−2試験による)を実施して、アセトアルデヒドとCO濃度の変化を調べた。
図1に、その結果を示す。図に示した計算式の、Qa=Ra×[A0]×f×1.016×60/(100×22.4)において、Qaは、求めるべき数値(μmol/h)、Raは、アセトアルデヒド除去率(%)、[A0]は、導入ガス濃度、fは、ガス流量(=1L/min)、をそれぞれ示す。
上記計算式による計算の結果、フレーク触媒によるアセトアルデヒド除去量は、7.55μmol/hであった。この数値は、光触媒工業会の認証基準値の44倍の高い活性を持っていることを示す。
(2)SEM観察による二酸化チタン結晶粒径の改定
フレーク触媒を構成する二酸化チタン結晶の粒子径をSEM観察により調べた。図2に、その結果を示す。図は、画像鮮明度が十分ではない部分があるとしても、図より、結晶粒径は、0.5μm×1/20=25mと読み取れる。
(3)AFM原子間力顕微鏡による二酸化チタン結晶粒子径の測定
フレーク触媒を構成する二酸化チタン結晶の粒子径をAFM原子間力顕微鏡により調べた。図3に、その結果を示す。図より、結晶粒径は、200nm×1/20=10nmと読み取れる。
(4)窒素吸着によるBET比表面積の測定
フレーク触媒を構成する二酸化チタン結晶のBET比表面積を窒素吸着法により調べた。その際に、BET比表面積は、Belsorp−max(Microtracbell社製)を用いて測定した。図4に、その結果を示す。BET比表面積は、110m/gと観察される。
(5)フレーク触媒の外観
フレーク触媒の形態を測定した。図5に、フレーク触媒の外観を示す。図より、フレーク触媒は、大きさが2〜5mm、厚さが、0.5〜1.2mmの板状ないし不定形の外観の図形物であることが観察される。
(6)X線回折による結晶型の分析
フレーク触媒を形成する二酸化チタン結晶の結晶型をX線回折により分析した。図6に、その結果を示す。図より、フレーク触媒が、純度95〜98%のアナターゼ型結晶(ブルッカイト型結晶が含まれる)の二酸化チタンのみで構成されていることが明確に観察される。
(7)湿潤ゲルの焼成前と、焼成後の外観
フレーク触媒を製造する過程で、二酸化チタン結晶がより緊密な結合状態を形成するための核となる有機ピグメントを添加、混合して調製した高粘性スラリーの水分を除去した焼成前の湿潤ゲルの外観と、これを焼成した後の有機ピグメントが燃焼して消滅した後の外観を調べた。
図8に、その結果を示す。図中、左は、焼成前(有機ピグメントの膨らみを有する)の外観を示し、右は、焼成後(有機ピグメントが燃えた孔を有する)の外観を示す。
(8)細孔径(ポアサイズ)の測定
フレーク触媒を構成する二酸化チタン結晶の細孔径を調べた。その際に、Belsorp−max(Microtracbell社製)を用いて、細孔径(BJHポアサイズ)を測定した。図9に、その結果を示す。図より、細孔径(ポアサイズ)10nm近傍を最多とし、2nmから28nmの範囲に分布することが示され
(9)フレーク触媒の処理機能についての循環実験
フレーク触媒を繰り返し使用した場合の光触媒機能の耐性を調べた。その際に、およそ100×100mmの範囲に敷き詰めたフレーク触媒にジメチルスルホキシド(DMSO)水溶液を循環し、出口、入口でのDMSO濃度、及びDMSOが光触媒酸化されて生ずるメタンスルホン酸(MSA)の濃度を、ガスクロマトグラフにより検出、測定した。図10〜11に、本循環実験に用いた閉鎖循環式光触媒反応装置を示し、図13に、蟻酸を試料として、その濃度を毎時1回イオンクロマトフラフに測定した結果(14回)を示す。
図において、実験条件は、実験液容量:500mL、蟻酸濃度:1×10−3mol/L、紫外線強度:2.0mW/cm、使用触媒量:24g/50cm触媒管、触媒管規格:パイレックス(登録商標)管(外径12mm、t=1mm)500mm、循環流速:50mL/min、とした。図に示した時間経過による濃度変化から、フレーク触媒が、水中でDMSOを酸化分解していることが確認される。図より、フレーク触媒は、繰り返し使用に耐えることが証明された。
(10)水処理機能試験
フレーク触媒による水処理機能を光触媒水処理機能試験(JIS R1704試験法)により調べた。図11に、その結果を示す。
図12、図13に、光触媒水処理機能試験で使用した試験装置の平面図、正面図をそれぞれ示す。
以上詳述したとり、本発明は、光触媒機能を有する二酸化チタンのみにより構成された固形物からなる固形光触媒材と、その製造方法に係るものであり、本発明によって、1)光触媒機能を有する二酸化チタンのみより形成された固形物(担体を有さず)からなる新しいタイプの固形光触媒を提供することができる、2)固形物の外殻から内芯までルチル型結晶を含まず、全て同じアナターゼ型結晶(ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい)の二酸化チタンのみにより構成される固形物からなる固形光触媒材を提供することができる、3)本発明の固形光触媒材(フレーク触媒)によるアセトアルデヒド除去量は、7.55μmol/hであり、光触媒工業会の認定基準値の44倍の高い活性を有する、4)本発明の固形光触媒材(フレーク触媒)は、ゾルゲル法に基づいて調製した二酸化チタンコロイダル分散液を利用して、格別な施設を設置することなく、簡便なシステムで安全な飲料水を調製し、利用に供することができる、5)本発明によれば、簡便なシステムで、発展途上国などの、飲料水を河川や池などの水に依存する地域において、太陽光の照射下などで、それらの水を光触媒による抗菌作用を利用して浄化処理して、雑菌が繁殖しない、安全な飲料水を調製し、提供することができる、6)水の浄化処理に使用した後の固形光触媒材を、(焼却処理などの)簡便な操作で、容易に再生し、再利用することが可能である、という産業上の利用性が期待できる。

Claims (7)

  1. 光触媒機能を有する二酸化チタンのみにより構成された固形物(担体を有しない)からなる固形光触媒材であって、
    ルチル型結晶を含まず、アナターゼ型結晶(ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい)の二酸化チタンのみにより構成され、以下の(i)〜(vi);
    (i)細孔径(ポアサイズ)が2〜28nm、
    (ii)比表面積が70〜110m/g、
    (iii)真密度が3.90±1.0g/cm
    (iv)嵩比重が1.3〜1.6、
    (v)ビッカース硬度が600〜800Hv、
    (vi)結晶粒径が10〜25nm、
    の各数値を満たすことを特徴とする固形光触媒材。
  2. 上記固形物の外殻から内芯まで全て同じアナターゼ型結晶(ブルッカイト型結晶が含まれていてもよい)の二酸化チタンのみにより構成された固形物からなる、請求項1に記載の固形光触媒材。
  3. 光触媒に対する活性光線を、0.8mJ/cmsecの強度で照射した場合に、常温・常圧で、アセトルデヒドが、JISR1701−2試験法により、5.0μmol/h以上分解除去できる光触媒活性を有する、請求項1又は2に記載の固形光触媒材。
  4. 窒素吸着によるBET比表面積が、110m/gの比表面積を保有する、請求項1から3のいずれかに記載の固形光触媒材。
  5. ゾルゲル法に基づいて調製した二酸化チタンコロイダルゲル分散液に、有機固形分の核形成材を添加、混合して、高粘性のスラリーを調製し、次いで、この高粘性スラリーの水分を、温度20〜60℃の雰囲気下で除去して、湿潤ゲルを調製し、得られた湿潤ゲルを、温度500〜650℃で焼成することにより、形態がフレーク状の固形物を調製すること、上記有機固形分の核形成材として、活性炭、セルロース、又はポリビニルアルコールから選択されるフロック形成凝集材を用いること、を特徴とする固形光触媒材の製造方法。
  6. 湿潤ゲルを、焼成することにより、板状ないし不定形のフレーク状の固形物を調製する、請求項5に記載の固形光触媒材の製造方法。
  7. フレーク状の固形物を、温水で洗浄、乾燥し、次いで、これを分級して粒度を整えて、板状ないし不定形のフレーク光触媒を調製する、請求項6に記載の固形光触媒材の製造方法。
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