JP2005254100A - 水質の浄化に用いる光触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】 水中の汚染物質を高度に除去するための光触媒材料を提供する。
【解決手段】 水中の汚染物質を除去するための中空ファイバ状の光触媒材料であって、前記中空ファイバの内径(r)が前記水中の汚染物質の大きさ(R)よりも大きいことを特徴とする光触媒材料を提供する。好ましくは前記中空ファイバの内径(r)が3nm〜8nmの範囲である。また、前記水中の汚染物質としては、環境ホルモン、発ガン性物質、農薬、重金属を含むイオンが挙げられる。
【選択図】 図3


Description

本発明は、生体に対して有毒な物質が含まれる水の浄化に用いる光触媒に係り、有害汚染物質の濃度が低い場合でも効率よく吸着、分解することのできる光触媒に関する発明である。
近年、高度な工業発展、大都市化に伴った環境汚染問題が地球規模で顕在化し、人類の生存を脅かす深刻な問題となっている。例えば、芳香族アミン等のがん原生物質の摂取による発癌の問題や、環境ホルモン等の内分泌撹乱物質の摂取による生殖異常などが報告されている。こういった問題は飲料水に帰属されるのみならず、食物連鎖に関連しているため、上水処理以外にも、下水処理、工業用排水処理、農業用水など様々な処理設備において対策しなければいけない大きな問題となっている。
環境ホルモンや発ガン性物質は濃度ppbオーダーの少量でも生体に顕著な悪影響を及ぼす。これらの汚染物質が含まれる水を浄化する方法として、オゾンや塩素ガスによる曝気が広く用いられている。しかしながら、これらのガスの曝気による浄化方法は、曝気ガスの酸化力不足から、中間生成物による2次被害が懸念されている。水中の汚染物質の浄化のためにオゾン処理を行うと、水中に含まれる比較的無害な臭素イオン(Br-)が人体に対して有毒で発ガン性のある臭素酸イオン(BrO3 -)に変化してしまうことが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
一方、光触媒による水質の浄化方法も提案されている。光触媒反応の特徴は反応が量子化されていることにある。つまり、光エネルギーは量子化されており、光が強くても弱くても波長が同じであれば個々の光子が持つエネルギーは同じである。代表的な光触媒である酸化チタンのバンドギャップのエネルギーに相当する400nmの光子のエネルギーは、約36,000Kの熱子に相当する。すなわち、どんなに弱い紫外線下でも酸化チタンの表面では36,000Kで進行する化学反応を起こすことができる。酸化チタンの正孔のエネルギーは対標準水素電極電位に換算して+3Vの位置にある。前記塩素ガスやオゾンの酸化還元電位は+1.36V、+2.07Vとなり、これらのガスに比較して酸化チタンの酸化力は極めて高い。したがって、酸化チタン光触媒においては、ほとんど全ての有機物を酸化分解し、無害化させることが可能である。
光触媒で水中の有害汚染物質を分解させる場合、光触媒材料の細孔径は汚染物質よりも大きく、かつ汚染物質を吸着し得る前記細孔径の実質表面積が大きいことが望ましい。細孔径が汚染物質よりも小さい場合、汚染物質が細孔内に進入できないため、汚染物質を吸着するためのサイトつまり有効表面積が小さくなってしまう。また、細孔径が汚染物質よりも大きくても、その有効表面積が小さいと、汚染物質の吸着量は少ない。水質汚染物質である環境ホルモン、ダイオキシン類等の分子を効率的に捕捉し分解するためには、これらの分子の大きさよりも大きい細孔径をもつメソポーラス材料であって、吸着に寄与する前記細孔径の有効表面積が大きい材料が好適である。
メソポーラス構造をもつ酸化チタンは、その出発原料の不安定性から製造が困難であると言われているが、例えば、チタンアルコキシドと水を混合したスラリーを水熱処理することで製造する方法が報告されている(例えば、特許文献1参照)。これらのメソポーラス材料の均一な径の細孔は等方的な粒子が凝集することによって作られる。これらの細孔は、粒子間の空隙に作られるため、液相界面から離れている内部の細孔への汚染物質の拡散は制限される。また、これらのメソポーラス材料は凝集粒が作る細孔のため、これらの粒子を水中で高度に分散させると粒子間に存在する空隙は消失する。つまり、これらのメソ−ポーラス材料を均一な細孔径を保ちつつ水中で高度に分散させることは不可能である。
中空ファイバ状の材料は、均一な細孔径をもつメソポーラス材料の一つとして様々な用途の展開に期待されている。これまで、中空ファイバ状のチタン系酸化物の作製や、結晶構造の解析が既に報告されている(たとえば、特許文献2、非特許文献2参照)。しかしながら、前記先行例の中空ファイバは互いに絡み合った粉末状のため、均一に分散することが困難であった。またこれらの中空ファイバ状のチタン系酸化物の特異な吸着特性や機能化の報告は無い。
特開2001−31422号公報 特開平10-152323号公報 W. H. Glaze et al. J. Am. Water Wks Assoc., 85, 96 (2002) L. M. Peng et al., Adv. Mater. 14, 1208 (2002) M. Miyauchi et al. Phys. Chem. Chem. Phys. 6, 865 (2004)
本発明は、水中の汚染物質を高度に除去するための光触媒材料を提供する。
水中の汚染物質を除去するための中空ファイバ状の光触媒であって、前記中空ファイバの内径(r)が前記水中の汚染物質の大きさ(R)よりも大きいことを特徴とする光触媒材料を提供する。
中空ファイバの内径(r)を汚染物質の大きさ(R)よりも大きく設計することで、汚染物質を効率的に中空ファイバ内に捕捉できる。また、光触媒活性を有しているため、中空ファイバ内に捕捉した汚染物質を光照射によって無害化することができる。本発明の中空ファイバからなる光触媒材料は一次元貫通孔を有しているので、材料内での汚染物質の拡散が速く、吸着能が高い。また、水中で安定に分散することができるため、汚染物質との接触効率が高い。
本発明によれば、環境ホルモン、発ガン性物質、農薬、重金属を含むイオン等の人体への悪影響がある環境汚染物質の無害化が可能となる。上水、下水、工業用水、農業用水、産業排水等の水質浄化用途へと適用することが可能な光触媒材料を提供できる。
本発明の水中の汚染物質を除去するための光触媒材料の形状は中空ファイバ状であって、前記中空ファイバの内径(r)が前記水中の汚染物質の大きさ(R)よりも大きい。この大きさに設計することで、汚染物質が中空ファイバの中に進入することが可能となる。また中空ファイバは一次元の貫通孔のため、汚染物質の細孔内への拡散は速く、汚染物質を効率的に吸着し得る。
本発明の光触媒材料は紫外線を照射することにより、酸化、還元反応が生じる。これらの反応によって、内部に入っている汚染物質や外側表面に吸着している汚染物質を分解することが可能である。本発明の中空ファイバ状光触媒の内径(r)は3nm〜8nm、外径は8〜30nm、長さは100nm〜1μmの範囲である。また、本発明の中空ファイバの壁厚は0.7nm〜15nmの範囲と薄いため、光の透過率が高く、高い透明性を有している。光触媒粒子を水中に分散して使用する場合、高い透明性を有していると、水面から深い場所に存在する粒子が十分に光励起できるため、高い効率で水質浄化をおこなうことができる。また、透明であることの実質的なメリットとして、汚染物質が着色している場合に、その汚染物質が中空ファイバの内部に入っているかどうか、あるいは、分解除去されたかどうかを、外部から分光光度計等で簡易的に観察することが可能である。中空ファイバの内部に入っている汚染物質を可視化できれば、必要なときに必要なだけの光照射をおこなえば良いため、省エネ効果へとつながる。
本発明の光触媒材料が浄化し得る物質として、環境ホルモン、発ガン性物質、農薬、重金属を含むイオン等が挙げられる。
環境ホルモンとは、内分泌撹乱物質の総称である。人体の中の内分泌系は神経系や免疫系などとともに体のバランスを保つために重要な制御機構で、さらに生殖や発生過程では性ホルモンが必要不可欠の役割を演じている。このホルモンバランスを崩す物質すなわち内分泌撹乱物質が生活環境中に微量でも存在した場合、生殖障害等、生体への悪影響を誘起する。環境ホルモンは、農薬等の殺生物剤、工業用物質、プラスチック、非意図的生成物、薬品等に含まれ、水質汚染源として懸念されている。環境ホルモンとして、例えば、ダイオキシン類、PCB等のポリハロゲン化ビフェニル類、ハロゲン化ベンゼン類、ハロゲン化フェノール類、ノニルフェノール類、ビスフェノール類、ハロゲン化トルエン類等が挙げられる。
発ガン性物質とは、生体に投与したとき、その体細胞のDNAに反応し、遺伝子レベルでの変化を引き起こして悪性腫瘍を発生させる物質の総称で、ガン原生物質ともいう。発ガン性物質の代表的なものとして、ベンゾピレン等の多核芳香族炭化水素、芳香族アミン、アミノアゾトルエン等のアゾ化合物、ブチルヒドロキシブチルニトロソアミン等のニトロソアミン系化合物等が挙げられる。また代表的な発ガン性物質として、例えば、トリハロメタンが知られ、発ガン性以外にも、腎毒性、腎臓腺腫、肝毒性を誘発すると言われている。トリハロメタンは下水処理場やし尿処理場の排水や水中に含まれているフミン質(有機態窒素化合物)や親水性酸などと消毒剤として用いられている塩素が反応して生じる消毒副生成物である。
農薬とは除草剤、殺虫剤などを総弥し、現在日本国内で使用されている農薬の種類は約350種類と言われている。特に、有機リン系の農薬は神経毒性の強い物質で、手足のしびれや神経麻痺を多発させる物質である。また、農薬の中には発ガン性のあるものや生殖障害を誘起するもので、ダイオキシン類が知られるが、ダイオキシン類は前記環境ホルモンや発ガン性物質の範疇にもあてはまる危険な物質である。また、ダイオキシン類は、ほとんどが体内から排出されず、唯一排出されるのが母乳となるため、子孫にその影響が伝わる点も危険である。
人体に悪影響を及ぼす重金属として、特に水銀、ヒ素、カドミウム、スズ、鉛、マンガン等を含むイオンは腎臓障害や胃腸障害を引き起こす物質として知られ、水銀による水俣病、カドミウムによるイタイイタイ病等の公害が問題となった。これらはバッテリー(自動車や家電製品などの)、乾電池、塗料、顔料、プラスチックなど様々な用途に使われ、環境汚染の原因となることが懸念されている。
本発明に係る中空ファイバの内径(r)は3nm〜8nmの範囲であるが、好適な中空ファイバの内径は除去の対象となる汚染物質の大きさに依存する。例えば、汚染物質が代表的な環境ホルモンとして知られるダイオキシン類の場合、官能基の種類にもよるがその大きさは0.6nm〜2nmである。中空ファイバ状の光触媒の内径を2nm以上に設計することで、全てのダイオキシン類を高度に吸着し得る材料を創出することができる。また、環境ホルモンとして知られるビスフェノールAやフタル酸エステルの分子の大きさはそれぞれ、0.43nm、0.55nmとなり、本発明の中空ファイバ状光触媒の内径よりも小さいため、効率よく吸着、分解することができる。分解は光触媒による酸化反応でも還元反応でも構わない。
発ガン性物質の大きさを例示すると、トリハロメタン(0.28nm)、トリクロロエタン(0.35nm)、トリクロロエチレン(0.32nm)、テトラクロロエチレン(0.42nm)となり、いずれも本発明の中空ファイバ状光触媒の内径よりも小さく、効率よく吸着、分解することができる。分解は光触媒による酸化反応でも還元反応でも構わない。
毒性の強い農薬物質の大きさとして、DDT(0.51nm)、PCB(0.40nm)、MEP(0.45nm)、パラコート(0.44nm)が知られているが、いずれも本発明の中空ファイバ状光触媒の内径よりも小さく、効率よく吸着、分解することができる。分解は光触媒による酸化反応でも還元反応でも構わない。
毒性の強い重金属イオンの大きさは、カドミウム(0.35nm)、水銀(0.44nm)、クロム(0.21nm)、鉛(0.34nm)、ヒ素(0.32nm)であるが、いずれも本発明の中空ファイバ状光触媒の内径よりも小さく、効率よく吸着、分解することができる。分解は光触媒による酸化反応でも還元反応でも構わないが、好ましくは、還元反応を利用する。還元反応によって、有害な重金属イオンは比較的無害な金属に変化する。
一方、対象とする汚染物質が飽和炭化水素の末端にアミン等の親水基が修飾された長鎖の飽和炭化水素イオンや分子を汚染物質の対象とした場合、これらのイオンは極性を持ち、水中ないし中空ファイバの中ではミセルを形成し得る。中空ファイバ内に吸着する際、親水部末端が中空ファイバの内壁に吸着し、一方の末端である疎水部は中空ファイバの中心部に向かって配向する。したがって、ミセルを形成した長鎖の飽和炭化水素イオンを好適に吸着するための中空ファイバの内径は、ミセルの大きさ、つまり、長鎖の飽和炭化水素イオンの長さの2倍に設計することが好ましい。例えば、長鎖の飽和炭化水素イオンがデシルアミンイオンである場合、その分子鎖長が1.7nmなので、中空ファイバの内径がアミンイオンの2倍、つまり約3.5nmの場合に選択的に吸着しうる。なお、ここで言う選択的とは内径より大きい粒子も若干吸着することを除外しない。
本発明に係る中空ファイバ状の光触媒材料の内径はBET吸着法による細孔径分布の測定や、TEMによる直接観察で測定することができる。
本発明に係る中空ファイバ状の光触媒材料は酸化チタン、チタン水酸化物、チタン酸塩、非晶質の酸化チタンから選ばれる少なくとも一種である。これらの材料はいずれも、光触媒活性(酸化−還元反応、光誘起親水化反応)を有している。また、これらの材料は、生体親和性の高い材料として知られ、生体に対して無毒である。本発明に係る中空ファイバ状の光触媒が酸化チタンの場合、ルチル型、アナターゼ型、ブルッカイト型、TiO2(B)が好適に使用できる。本発明に係る中空ファイバ状の光触媒がチタン酸塩の場合、三チタン酸、四チタン酸、五チタン酸、六チタン酸、七チタン酸、八チタン酸等のプロトンを含む多価チタン酸や、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸セシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の多価チタン酸塩であっても構わない。特に好ましい態様においては、本発明の中空ファイバ状の光触媒材料は巻物状の層状のチタン酸で構成されている。前記巻物状の層状のチタン酸は、均一な細孔径を有している。
前記中空ファイバの作製方法としては、例えば、酸化チタン粒子を水酸化ナトリウム水溶液中において、水熱処理する方法が好ましく用いられる。また、結晶性を高めて光触媒活性を向上させるため、熱処理をしても構わない。熱処理温度としては、50℃〜600℃が好適である。
本発明の光触媒を可視光化させたり、表面の固体酸性度をあげるため、前記中空ファイバの酸素位置に酸素以外のアニオンが置換、または格子間に酸素以外のアニオンが割り込み、または粒界部に酸素以外のアニオンが配してあっても構わない。アニオンを導入することによる可視化の発現機構は定かではないが、次のように予想される。ただし、以下の理論はあくまで予想であって、本発明はこの理論に限定されるものではない。中空ファイバに酸素よりも共有結合性の高い酸素以外のアニオンを導入した場合、価電子帯を形成する酸素の2p軌道よりも卑なポテンシャルに酸素以外のアニオンで形成される準位が出現する。この準位は中空ファイバの禁制帯(バンドギャップ)の中にあっても良いし、中空ファイバの酸素の2p軌道と混成しても構わない。このように酸素以外のアニオンを導入することによって新たに出現する準位によって、可視光の吸収が可能となる。酸素以外のアニオンを導入するサイトは、中空ファイバの酸素位置に置換、格子間に割り込み、粒界部のうちいずれか一項で構わない。
前記中空ファイバに導入するアニオンとして、特に好ましくは窒素を用いる。窒素を用いた場合、窒素の2p軌道が他のアニオンと比べて貴なポテンシャルを有し、正孔の酸化力が高いため、可視光での光触媒活性が高い。また、非特許文献3に開示されているように、窒素を導入することによって、材料表面の固体酸性を高めることができ、カチオン性分子の吸着性を上げることができたり、中性の水でも分散させることができる。
前記、酸素以外のアニオンを中空ファイバに導入する方法について述べる。中空ファイバを酸水溶液に接触させてプロトン化処理する工程と、酸素以外のアニオンを含む化合物を含有する水溶液に接触させる工程と、大気中で熱処理する工程を備えたことを特徴とする方法によって製造可能である。
酸素以外のアニオンを含む化合物を含有する水溶液に接触させる工程の前に、酸水溶液に接触させてプロトン化する工程をおこなうことで、中空ファイバを形成する結晶層の層間を拡大することができ、酸素以外のアニオンを導入しやすくなる。ここで用いる酸の種類としては、硝酸、塩酸、硫酸、過塩素酸、フッ酸、臭素酸、沃素酸、亜硝酸、酢酸、蓚酸などが挙げられる。また、導入したアニオンの安定化や、結晶性の向上のため、前記水溶液に接触後、大気中80℃以上で熱処理しても構わない。
前記酸素以外のアニオンを含む化合物として、好ましくは含窒素化合物を使用する。この場合、含窒素化合物中の窒素が中空ファイバへのドーパントとして働く。含窒素化合物としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン等のアルキルアミンやそのハロゲン酸塩、またはエチレンジアミン、プロパンジアミンなどのジアミン類、更に、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどの四級アンモニウム水酸化物、また、尿素やグアニジン等の化合物からなる群から選択される少なくとも一種を好適に使用することができる。
本発明の窒素を導入した中空ファイバ状の光触媒の更に好ましい製造方法として、前記含窒素化合物がアンモニアであって、前記大気中で熱処理する際の温度が300℃〜500℃である。アンモニアは分子径が小さく、中空ファイバ内に容易に浸透することができる。また、300℃〜500℃の熱処理によって窒素を安定化することができる。熱処理温度を300℃以上にすることで、格子振動により中空ファイバ内での窒素の拡散が促進されて容易にドープできる。また、前記加熱温度を500℃以下にすることで、ドープされた窒素が再酸化されて消失してしまうのを防いだり、中空ファイバの結晶相転移を防ぐことができる。
本発明に係る光触媒の酸素以外のアニオンを導入する方法として、前記中空ファイバを、アンモニア、炭化水素、りん酸、硫化水素、ホウ酸、フッ酸からなる群より選択される各種反応性ガスのうち少なくとも一つを含む気流中で熱処理する方法が挙げられる。各種反応性ガスで熱処理する際の温度は、300℃〜500℃であることが好ましい。300℃以上にすることで、中空ファイバ内におけるアニオンの拡散が促進され、容易にアニオンをドープすることが可能である。また、500℃以下にすることで、光触媒活性の低い金属の生成を防ぐことができる。また、結晶性を上げるため、前記各種反応性ガスで熱処理した後に、大気中で熱処理してもかまわない。大気中で熱処理する際の好ましい温度は200℃〜500℃である。200℃以上にすることで、中空ファイバの結晶性を上げることができ、また、500℃以下にすることで、中空ファイバの結晶相転移を防いだり、ドープされたアニオンが酸化されて消失しまうのを防ぐことができる。
酸素以外のアニオンが導入された本発明の光触媒は波長400nm以上の可視光の照射によって高度な光触媒活性を示す。したがって、太陽光や室内照明の照射下において、高度な光触媒活性を有する。可視光の波長よりも短い光の照射によっても光触媒機能を発揮することは言うまでもない。
本発明の光触媒材料の電荷分離を促進させるため、前記中空ファイバにPt, Pd, Ag, Cu, Au, Ni等の金属を担持させてもよい。前記金属を担持することによって光励起した電子正孔対が効率的に分離し、光触媒活性が増大する。また、特にAgやCuを担持した場合、抗菌性や防藻性も発揮する。
本発明の好ましい態様において、前記中空ファイバ状の光触媒材料は水中で分散されている。水中に均一分散させることで、汚染物質との接触確率を上げることができ、汚染物質に対する高度な吸着能が発現する。また、本発明はハニカムやフィルター等の多孔性担体の上に形成させても構わない。
中空ファイバ状の光触媒材料を水に分散させる方法として、例えば、前記中空ファイバを酸水溶液に接触させる工程の後、アミン水溶液に分散させる方法がある。酸水溶液に接触させることによって中空ファイバの内部ないし表面にプロトンが付加されて安定化し、その後、アミン水溶液を溶媒とすることで高度に分散した溶液を作製することができる。中空ファイバにプロトンを付加する方法として、中空ファイバを酸水溶液と接触させる方法が好適に用いられる。ここで用いる酸の種類としては、硝酸、塩酸、硫酸、過塩素酸、フッ酸、臭素酸、沃素酸、亜硝酸、酢酸、蓚酸などが挙げられる。また、アミン水溶液としては、たとえば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン等のアルキルアミンやそのハロゲン酸塩、またはエチレンジアミン、プロパンジアミンなどのジアミン類からなる郡から選択される少なくとも一種を好適に使用することができる。更に好ましい態様においては、前記アミンとして、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどの四級アンモニウム水酸化物のうち、少なくとも一項を好適に使用することができる。
本発明の光触媒による水質浄化の具体的な使用方法について以下に述べるが、本発明はこれらの具体的に方法になんら制限されるものではない。
本発明の光触媒を湖沼、河川、海湾、湖岸、川岸、海岸、流水路、貯水器内、濾過器内に設置したり、本発明の光触媒が固定化された担体を水中に投入して水中の汚染物質を吸着、分解することができる。前記担体としては、ガラス、セラミックス、金属等の基材や、多孔質の発泡体、ハニカム、ガラスやセラミックスの不織布、ガラス繊維、ガラスやシリカゲルなどのビーズ状物質等が好適に使用できる。また、本発明の光触媒を直接、水中に分散ないし懸濁させても構わない。前記水中に存在する光触媒に対し、光励起をともなう光照射をおこなって水を浄化する。本発明の光触媒を光励起するための光源として、例えば、蛍光灯、ブラックライト、殺菌ランプ、白熱電球、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、LED(白色、青、緑、赤)、レーザー光、太陽光等が好適に使用できる。本発明の光触媒を懸濁させて使用する場合、水質を浄化した後に、遠心分離やろ過によって光触媒を回収しても構わない。また、磁石で回収するために本発明の光触媒に磁性材料を固定化しても構わない。
また、他の水質浄化の具体的方法として、多孔質やハニカム等のフィルター状物質に本発明の光触媒を固定化し、被処理水をこのフィルターに流通させて処理しても構わない。光触媒に対し光照射をおこないながら被処理水を流通させても構わないし、被処理水を流通させた後に光触媒に対し光照射をしても構わない。
本発明によれば、環境ホルモンや発ガン性物質であるダイオキシン類やポリハロゲン化ビフェニル類、農薬、重金属を含むイオン等の環境汚染物質の無害化が可能となる。上水、下水、工業用水、農業用水、産業排水等の水質浄化用途へと適用することが可能な光触媒材料を提供できる。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例になんら制限されるものではない。
1.光触媒性材料の作製
1−1.中空ファイバの作製
酸化チタン粉末(商品名F6、昭和電工(株))0.64gを10M水酸化ナトリウム水溶液80mlに投入し、ガラス棒にて1分間攪拌することにより、白色懸濁液を得た。この白色懸濁液を100mlフッ素樹脂製容器に入れ、さらにステンレス製容器にこのフッ素樹脂製の容器を入れた。乾燥器の中にこのステンレス容器を入れて、110℃で20時間保持した。反応終了後、室温までステンレス容器を自然放冷させ、白色沈殿物を含む溶液を回収した。洗浄工程として、この白色沈殿物を含む溶液から、上澄み液をまずスポイトにて除去した。残った白色沈殿物に0.1M塩酸水溶液100mlを少量ずつ添加した。塩酸水溶液を全量添加後、室温(20℃)で3時間静置した。静置後、上澄み液を除去した。この洗浄工程を合計3回行い、上澄み液がpH7以下であることを確認した。これらの中和操作の後、残った白色沈殿物を蒸留水で2回洗浄することにより、白色粉末を得た。この白色粉末を走査型透過電子顕微鏡(日立製作所(株)、STEM S−5200)で観察したところ、15万倍の倍率において、この方法で得られる白色粉末が中空ファイバの集合体であり、各ファイバの中心部は直径3.5nmの中空構造になっていることを確認した。以後、この粉末試料を#1試料とする。
1−2.比較例の試料の作製
市販のアナターゼ型酸化チタン粉末(商品名:ST-01、石原産業(株))を#2試料とした。
また、前記市販のアナターゼ型酸化チタン(#2試料)の表面の固体酸性をあげるため、窒素ドープをおこなった。非特許文献3に従い、#2試料をアンモニア気流中で400℃、1時間の熱処理をおこない、淡黄色の試料(#3試料)を得た。#3試料の形態を走査型電子顕微鏡(日立製作所(株)、S−4000)で観察したところ、形態は#2試料とほぼ同様であった。
M. Miyauchi et al. Phys. Chem. Chem. Phys. 6, 865 (2004)
また、凝集粒の空隙からつくられる細孔をもつ、メソポーラス酸化チタンを下記の手順に従って作製した。蒸留水105gに、チタンテトライソプロポキシド(和光純薬工業製)4.29gと2−プロパノール(和光純薬工業社製)4.29gの混合液を滴下し、氷浴中で5分間攪拌させた後、室温で30分間攪拌させて白色沈殿を得た。この溶液に60%の硝酸を0.84g滴下後、80℃で8時間反応させ、室温で一昼夜保存させた。さらに、30分間の超音波分散処理を行ないTiO2 1wt%の白色透明のゾルを得た。このゾル45gにポリエチレングリコール20,000(和光純薬工業社製)を0.09g溶解させた。この溶液をロータリーエバポレータで乾燥後、500℃で30分間の焼成を行ないメソポーラス酸化チタン粉末を得た。得られた粉末を走査型電子顕微鏡(日立製作所(株)、S−4000)で観察したところ、粒径が約30nmの球状の粒子の凝集体であった。この粉末を#4試料とした。
また、前記#4試料の表面の固体酸性を上げるため、#3試料と同様に窒素ドープをおこなった。窒素ドープの方法は#3試料の場合と同様である。このようにして作製した窒素ドープしたメソポーラス酸化チタンを#5試料とした。#5試料を走査型電子顕微鏡(日立製作所(株)、S−4000)で観察したところ、形態は#4試料とほぼ同様で、粒径が約30nmの球状粒子の凝集体であった。
2.結晶構造の同定
前記試料を粉末X線回折装置(マック・サイエンス製、MXP-18)を用い、試料の結晶構造を同定した。この結果、#1試料はチタン酸化合物、#2〜#5試料はアナターゼ型酸化チタンであることがわかった。窒素ドープしたサンプルにおいては、特に、金属や窒化物のピークは見られなかった。
3.細孔径分布の測定
比表面積/細孔分布測定装置(アサップ2000,マイクロメリティックス社製)を用い、#1、#2、#4試料の細孔径分布を測定した。測定に際しては、試料約0.2gを用い、脱気は、110℃で10−3torr未満になるまで10時間行なった。細孔径分布の結果を図1に示したが、#1、#4試料は3.5nmに相当する急峻なピーク、#2試料は16nmに相当するピークが確認された。電子顕微鏡の観察結果と併せて判断すると、#2、#4試料の細孔は粒子間の空隙から構成されたものであるのに対し、#1試料の細孔は中空ファイバ状で一次元の貫通孔があることが明らかになった。#1試料は他の試料と比較して、細孔径分布が急峻であり、均一な一次元貫通孔を有していることが示唆された。比表面積の値は、#1試料が78m2/g、#2試料が320m2/g、#4試料が80m2/gであった。
4.粒子のゼータ電位の測定
粉末試料1mgを200gの10mmol/Lの塩化ナトリウム水溶液に添加し、攪拌した液のゼータ電位を電気泳動光散乱光度計(ELS-6000、大塚電子)によって各種pHで測定した。pHの調節は10mmol/Lの塩酸および水酸化ナトリウムを使用した。#1、#2、#3試料のゼータ電位の測定結果を図2に示す。ゼータ電位が0である場合を等電点と呼ぶが、等電点でのpHは、#1試料が5.5、#2試料が6.6、#3試料が2.8となった。一般に、酸化チタンの等電点でのpHは5〜7と報告されており、#2試料は従来の報告どおりの値となった。一方、本発明である#1試料はアナターゼ型酸化チタンよりも表面がアニオン性を帯びている。また、アナターゼ型酸化チタンに窒素ドープをおこなった#3試料は固体酸性を示すため、等電点のpHは2.8となった。
5.各種鎖長のアルキルアミンイオンの吸着特性
各種分子長のアルキルアミンイオン水溶液に、粉末サンプルを添加し、水溶液中のアルキルアミンイオンの濃度変化から粉末への吸着量を測定した。アルキルアミンは、エチルアミン(炭素鎖C=2)、ヘキシルアミン(C=6)、オクチルアミン(C=8)、デシルアミン(C=10)、ドデシルアミン(C=12)の5種類とした。前記各種アルキルアミンの濃度はいずれも0.2mM、50mLの水溶液中に中空ファイバ0.1gを添加し、暗所にてスターラーで攪拌した。このときの水溶液中の各種アミンイオン濃度をキャピラリー電気泳動システム(HP 3DCE、HEWLETT PACKARD)を用いて測定した。暗所にて吸着させる時間は吸着飽和に達するまで十分となる2時間とした。測定サンプルは、#1、#2、#3試料とした。
アミンイオンの分子長の2倍値(2R)と吸着量の関係を図3に示した。この結果、どの分子長のアミンイオンにおいても、本発明の#1試料の吸着容量は#2、#3試料よりも高いことが明らかになった。特に、#1試料において、中空ファイバの内径3.5nmの大きさに相当するデシルアミンイオンを特異的に吸着していることが明らかになった。ここで用いたアミンイオンは親水基と疎水基を有するので、水中または中空ファイバの中ではミセルを形成していると考えられる。ミセル径は分子長の約2倍であるため、内径と2Rが近いとき特に吸着量が増大すると考えられる。一方、アナターゼ型酸化チタン粉末である#2、#3試料においてはこのような特異的な挙動は観察されなかった。#3試料の比表面積(72m2/g)は#2試料(320m2/g)よりも低いにも関わらず、#3試料は#2試料よりも高い吸着能を示したが、#3試料の表面はアニオン性のため、カチオンであるアミンイオンの吸着能が高かったことが考えられる。
6.デシルアミンイオンの吸着特性(一次元貫通孔と凝集細孔の比較)
#1、#4、#5試料のデシルアミンの吸着特性を評価した。デシルアミンの濃度はいずれも0.2mMとし、50mLの水溶液中に試料0.1gを添加し、暗所にてスターラーで攪拌した。このときの水溶液中の各種アミンイオン濃度をキャピラリー電気泳動システム(HP 3DCE、HEWLETT PACKARD)を用いて測定した。
デシルアミンイオンの濃度変化を図4に示す。この結果、#1試料が最も高い吸着能を示した。#4、#5試料は3.5nmの細孔径を持っていて、比表面積も#1サンプルと同様にも関わらず、#1試料よりも吸着能は劣っていた。#4、#5試料の細孔は粒子間の空隙から形成されているため、デシルアミンの拡散が抑制されていると考えられる。一方、#1試料は一次元の貫通孔を有しているため、細孔内でのデシルアミンイオンの拡散が速いため、高度な吸着能を示した。
7.光触媒活性の評価
6.のデシルアミンの吸着実験の後、デシルアミンを吸着させた#1試料に対し、紫外線を照射した後、再び暗所にてデシルアミンイオンの吸着実験をおこなった。紫外線照射は水銀キセノンランプ(林時計工業、LA-210UV)を用い、照射時間は6時間、および72時間とした。デシルアミンイオンの濃度変化を図5に示したが、紫外線照射をおこなわなかったものは濃度0.13mMまでしか濃度が低下しなかったが、事前に紫外線を照射することによって良好な吸着特性が回復し、72時間照射したサンプルにおいては、濃度が0mMまで低下し、デシルアミンを吸着させる前の中空ファイバと同様の吸着特性を示した。以上の結果から、本発明の光触媒#1試料において、内包したデシルアミンイオンを光触媒作用によって分解させうることが明らかになった。
8.水中への分散
1.で作製した#1試料粉末を2M硝酸水溶液64ml中に添加し、室温で15時間マグネティックスターラーによって攪拌した。攪拌後、得られた半透明溶液を遠心分離機(佐久間製作所(株) M200−IVD)により5000rpmで30分遠心分離することで、プロトンを付加した白色ゲルを得た。さらに、この白色ゲルを0.1Mの水酸化テトラブチルアンモニウムの水溶液に加え、室温で24時間マグネティックスターラーによって攪拌し、半透明な溶液を得た。
この半透明な溶液の外観を写真で撮影し、図6に示した。図6のように安定な分散溶液(ゾル)が得られた。この溶液は室温中や10℃の冷蔵保管で3ヶ月以上にわたって安定であることを確認している。また、等電点(pH:5.5)よりも酸性、ないし、アルカリ性の領域で高度に分散することを確認している。
9.窒素ドープした中空ファイバの可視光応答性
9.1.窒素ドープした中空ファイバの作製
#1試料を2M硝酸水溶液64ml中に添加し、室温で15時間マグネティックスターラーによって攪拌した。攪拌後、得られた半透明溶液を遠心分離機(佐久間製作所(株) M200−IVD)により5000rpmで30分遠心分離することで、プロトンを付加した白色ゲルを得た。さらに、この白色ゲルを1Mのアンモニア水溶液に加え、室温で24時間経過後、前記と同様の遠心分離によって中空ファイバを回収して乾燥させた。乾燥した中空ファイバを大気中で400℃、30分間の熱処理をおこなった。この粉末を走査型透過電子顕微鏡(日立製作所(株)、STEM S−5200)で観察した結果、前記工程を経た粉末が中空ファイバの集合体であり、各ファイバの中心部は内径3.5nmの中空構造になっていることを確認した。また、この粉末を前述した3.細孔径分布の測定と同様に評価したところ、内径に相当する3.5nmにおいて、細孔径のピークが存在していた。得られた中空ファイバは、淡黄色を有しており、可視光を吸収することが明らかとなった。
9.2.可視光を照射した場合の光触媒活性の測定
イソプロパノールが酸化分解によってアセトンに変化する反応を利用して、本発明の中空ファイバの光触媒活性を評価した。0.3gの前記中空ファイバをガラス製のシャーレに均一に敷き、このシャーレを800mLのガラス製の反応用セル内に設置した。セル内を相対湿度50%の合成空気で置換した後、セル内にイソプロパノールを注入して暗所で2時間放置した。次いで、試料に光照射を行いながら、イソプロパノールと分解生成物であるアセトンおよび二酸化炭素の濃度変化を測定した。光源として250Wのキセノンランプ(林時計工業、LA-250Xe)を用い、紫外線カットフィルター(旭テクノグラス、Y-43)および長波長カットフィルター(旭テクノグラス、V-50)を介して、400〜500nmの波長域の可視光を試料に照射した。イソプロパノール、アセトン、二酸化炭素の濃度はマルチガスモニタ(Innova社、1312)で測定した。イソプロパノールの初期濃度は、中空ファイバを設置しない条件で500ppmとなるように設定した。
結果を図7に示した。可視光の照射によって、イソプロパノールが分解し、アセトンと二酸化炭素が発生していることが明らかとなった。
本発明によれば、生体に悪影響を及ぼす環境ホルモン、発ガン性物質、農薬、重金属を含む等の物質を無害化することができる。上水、下水、工業用水、農業用水、産業排水等の水質浄化用途へと適用することが可能な光触媒材料を提供できる。
本発明の光触媒材料の細孔径分布を示す図である。 本発明の光触媒材料のゼータ電位を示す図である。 本発明の光触媒材料における、各種鎖長のアミンイオンの吸着能を示す図である。 本発明の光触媒材料における、デシルアミンイオンの吸着特性を示す図である。 一度デシルアミンを吸着させた後の本発明の光触媒性部材を光照射したあと、もう一度デシルアミンイオンの吸着試験を行ったときの濃度変化を示す図である。 本発明の光触媒材料を水中で分散させた溶液を示す図である。 本発明の光触媒材料のイソプロパノール分解活性を示す図である。

Claims (8)

  1. 水中の汚染物質を除去するための中空ファイバ状の光触媒材料であって、前記中空ファイバの内径(r)が前記水中の汚染物質の大きさ(R)よりも大きいことを特徴とする光触媒材料。
  2. 前記中空ファイバの内径(r)が3nm〜8nmであることを特徴とする請求項1に記載の光触媒材料。
  3. 前記水中の汚染物質が、環境ホルモン、発ガン性物質、農薬、重金属を含むイオンからなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1ないし2に記載の光触媒材料。
  4. 前記中空ファイバが、酸化チタン、チタン水酸化物、チタン酸塩、非晶質の酸化チタンから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3に記載の光触媒材料。
  5. 前記中空ファイバが、巻物状の層状のチタン酸であることを特徴とする請求項1〜4に記載の光触媒性材料。
  6. 前記中空ファイバが水中で分散されていることを特徴とする請求項1〜5に記載の光触媒性材料。
  7. 前記中空ファイバの酸素位置に酸素以外のアニオンが置換、または格子間に酸素以外のアニオンが割り込み、または粒界部に酸素以外のアニオンが配してあることを特徴とする請求項1〜6に記載の光触媒材料。
  8. 前記酸素以外のアニオンが窒素であることを特徴とする請求項7に記載の光触媒材料。

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