JPH09276706A - 光触媒粒子及びその製造方法 - Google Patents

光触媒粒子及びその製造方法

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JPH09276706A
JPH09276706A JP8094991A JP9499196A JPH09276706A JP H09276706 A JPH09276706 A JP H09276706A JP 8094991 A JP8094991 A JP 8094991A JP 9499196 A JP9499196 A JP 9499196A JP H09276706 A JPH09276706 A JP H09276706A
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博史 垰田
Kazumi Kato
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Kazutomo Fujita
和朋 藤田
Shigemi Imaizumi
茂巳 今泉
Yoshinori Sugawara
吉規 菅原
Hiroichi Kato
博一 加藤
Kazuyuki Okumura
和之 奥村
Yoshitaka Kawashima
義隆 川島
Norio Yamashita
典男 山下
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Abstract

(57)【要約】 【課題】悪臭や空気中の有害物質、汚れの分解除去ある
いは廃水処理、抗菌抗かびなど、環境の浄化を効果的か
つ安全に行うことができ、しかも有機繊維やプラスチッ
クスなどに練り込みなどによって添加されて使用された
場合、耐久性の面からも優れた特性を示す光触媒粒子及
びその製造方法を提供する。 【解決手段】本発明の光触媒粒子は、有機高分子を添加
したセラミックスのゾル液でチタニア粒子表面をコーテ
ィングした後、加熱焼成することによって製造され、チ
タニア粒子の表面が光触媒として不活性なセラミックス
膜によって被覆され、しかもセラミックス膜表面が細孔
を有し、細孔の底に光触媒として活性なチタニアが露出
した状態となっているため、有機繊維やプラスチックス
などに練り込んで使用しても、有機繊維などに分解を生
じることなく、光の照射によって環境浄化を行うことが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機繊維やプラス
チックスなどに練り込みなどによって添加され、悪臭や
空気中の有害物質、汚れの分解除去あるいは廃水処理や
浄水処理、抗菌抗かびなどの環境浄化材料として用いら
れる光触媒粒子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従釆の技術】近年、居住空間や作業空間での悪臭や自
動車の排気ガスなどの有害物質による汚染が深刻な問題
となっている。また、生活排水や産業廃水などによる水
質汚染、特に、現在行われている活性汚泥法などの水処
理法では処理が難しい有機塩素系の溶剤やゴルフ場の農
薬などによる水源の汚染なども広範囲に進行しており、
環境汚染が重大な社会問題となっている。
【0003】従来、悪臭防止法あるいは空気中の有害物
質の除去法として、酸やアルカリなどの吸収液や吸着剤
などに吸収あるいは吸着させる方法がよく行われている
が、この方法は廃液や使用済みの吸着剤の処理が問題
で、二次公害を起こす恐れがある。また、芳香剤を使用
して悪臭を隠ぺいする方法もあるが芳香剤の臭いが食品
に移ったりして芳香剤自体の臭いによる被害が出る恐れ
があるなどの欠点を持っている( 例えば、西田耕之助、
平凡社「大百科事典」1巻、p136(1984)) 。
【0004】チタニアに光を照射すると強い還元作用を
持つ電子と強い酸化作用を持つ正孔が生成し、接触して
くる分子種を酸化還元作用により分解する。チタニアの
このような作用、すなわち光触媒作用を利用することに
よって、水中に溶解している有機溶剤、農薬や界面活性
剤などの環境汚染物質、空気中の有害物質や悪臭などの
分解除去を行うことができる。この方法はチタニアと光
を利用するだけで繰り返し使用でき、反応生成物は無害
な炭酸ガスなどであり、微生物を用いる生物処理などの
方法に比べて、温度、pH、ガス雰囲気、毒性などの反
応条件の制約が少なく、しかも生物処理法では処理しに
くい有機ハロゲン化合物や有機リン化合物のようなもの
でも容易に分解・除去できるという長所を持っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これまで行わ
れてきたチタニア光触媒による有機物の分解除去の研究
では、光触媒として粉末のものがそのまま用いられてい
た( 例えば、A.L. Pruden and D. F. 0LLis,Journal o
f Catalysis,Vol.82. 404 (1983)、H.Hidaka,H. Jou,
K. Nohara, J. Zhao,Chemosphere ,Vol.25,1589(19
92)、久永輝明、原田賢二、田中啓一、工業用水、第379
号、12(1990)) 。そのため、使用後の光触媒の回収が
困難など、取扱いや使用が難しく、なかなか実用化でき
なかった。そこで、チタニア光触媒を取扱いの容易な繊
維やプラスチックスなどに練り込んで使用することが試
みられたが、その強力な光触媒作用によって有害有機物
や環境汚染物質だけでなく繊維やプラスチックス自身も
分解されてしまうため、極めて劣化しやすく、繊維やプ
ラスチックスのような形での使用が不可能であった。
【0006】本発明は上記の点に鑑み、悪臭や空気中の
有害物質、汚れの分解除去あるいは廃水処理や浄水処
理、抗菌抗かびなど、環境の浄化を効果的かつ経済的に
安全に行うことができ、しかも有機繊維やプラスチック
スなどに練り込みなどになって添加されて使用された場
合、耐久性の面からも優れた特性を有する光触媒粒子及
びその製造方法の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記の目的を
達成するため、鋭意研究を重ねた結果、有機高分子を添
加したセラミックスのゾル液でチタニア粒子表面をコー
ティングした後、加熱焼成することによって製造した光
触媒粒子が、光触媒として不活性なセラミックス膜によ
ってチタニア粒子表面が被覆され、しかも焼成の際に有
機高分子が消失することによってセラミックス膜の表面
に細孔を生じ、細孔の底にチタニアが露出した状態とな
るため、有機繊維やプラスチックスなどに練り込みなど
によって添加されて使用された場合、光の照射によって
生成した電子と正孔の酸化還元作用により、悪臭や空気
中の有害物質あるいは水中に溶解している有機溶剤や農
薬などの環境を汚染している有機化合物を容易に分解除
去し、しかも有機繊維やプラスチックスと接触している
部分が光触媒として不活性なセラミックスであるため、
繊維やプラスチックス自身の分解を生じにくく、長期間
その効果を持続させることができることを見い出し、本
発明をなすに至った。
【0008】即ち、請求項1記載の発明は、チタニア粒
子の表面に細孔を有する、光触媒として不活性なセラミ
ックス膜をコートしたことを要旨としている。又、請求
項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、チタ
ニア粒子が白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、
銀、銅、鉄、亜鉛の内から選ばれた少なくとも一種の金
属を表面に担持したものであることを要旨としている。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の発明において、光触媒として不活性なセラミック
スがアルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネシア、カル
シア、及びアモルファスのチタニアの内から選ばれた少
なくとも一種のセラミックスであることを要旨としてい
る。
【0010】請求項4記載の発明は、請求項1〜3のう
ち何れかに記載の発明において、細孔の孔径が1nm〜
10μmであることを要旨としている。請求項5記載の
発明は、請求項1〜4のうち何れかに記載の発明におい
て、チタニア粒子の結晶形がアナターゼであることを要
旨としている。
【0011】請求項6記載の発明は、有機高分子を添加
したセラミックスのゾル液でチタニア粒子表面をコーテ
ィングした後、加熱焼成することを要旨としている。請
求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、セ
ラミックスのゾル液が金属アルコキシドとアルコールと
アルコールアミン類またはグリコール類から調製された
ものであることを要旨としている。
【0012】請求項8記載の発明は、請求項7記載の発
明において、金属アルコキシドがアルミニウム、珪素、
ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、チタニウム
のアルコキシドの内から選ばれた少なくとも一種の金属
アルコキシドであることを要旨としている。
【0013】請求項9記載の発明は、請求項6〜8のう
ち何れかに記載の発明において、セラミックスのゾル液
に対する有機高分子の添加量がその溶解度以下であるこ
とを要旨としている。
【0014】請求項10記載の発明は、請求項6〜9の
うち何れかに記載の発明において、有機高分子がポリエ
チレングリコールまたはポリエチレンオキサイドである
ことを要旨としている。
【0015】請求項11記載の発明は、請求項10記載
の発明において、ポリエチレングリコールまたはポリエ
チレンオキサイドとして分子量が1000以上のものを
用いることを要旨としている。
【0016】請求項12記載の発明は、請求項6〜11
のうち何れかに記載の発明において、チタニア粒子が白
金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、銀、銅、鉄、
亜鉛の内から選ばれた少なくとも一種の金属を表面に担
持したものであることを要旨としている。
【0017】請求項13記載の発明は、請求項6〜12
のうち何れかに記載の発明において、チタニア粒子表面
をコーティングした後における加熱焼成温度は700度
以下であることを要旨としている。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明におけるチタニア粒子とし
ては、結晶形がアナターゼのものやルチルのもの、ブル
ッカイトのもの、非晶質のもの、それらの混ざったもの
など、いろいろなものが挙げられるが、アナターゼのみ
から成っているものが特に好ましい。また、その粒径は
どのような大きさでもよいが、有機繊維やプラスチック
スなどに練り込むことを考えるとサブミクロンの小さな
ものが好ましい。
【0019】本発明に用いられるセラミックスのゾル液
は、超微粒子のセラミックスを水に懸濁させたり、アル
コールと金属塩や金属との反応などによって得られる金
属のアルコキシドを加水分解したり、金属のアルコキシ
ドに溶解した金属塩を加水分解したりすることによって
調製される。その際、モノエタノールアミンやジエタノ
ールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタ
ノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N
−ジメチルジアミノエタノール,ジイソブロバノールア
ミンなどのアルコールアミン類やジエチレングリコール
などのグリコール類を添加すると均一で透明な溶液が得
られ、それを用いることによって高性能の光触媒粒子を
製造することができる。
【0020】本発明に用いられるセラミックスのゾル溶
液を調製するための金属のアルコキシドとしては、アル
ミニウム、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、カルシ
ウム、チタニウム等のアルコキシド及びそれらの混合物
のアルコキシドが挙げられる。また、金属塩としては、
それらの金属の酢酸塩、蓚酸塩、2−エチルヘキサン酸
塩、ステアリン酸塩、乳酸塩、アセチル酢酸塩などの有
機酸塩が挙げられる。
【0021】本発明の光触媒粒子は、こうして得られた
セラミックスのゾル液に有機高分子を添加し、チタニア
粒子を加えるなどしてチタニア粒子表面をセラミックス
のゾル液でコーティングした後、噴霧乾燥などで乾燥
し、その後、加熱焼成することによって製造される。
【0022】本発明の光触媒粒子を製造する際の焼成温
度は、アモルファスのチタニアを担持させる場合で40
0℃以下、それ以外のセラミックスを担持させる場合に
は600℃以下、最大でも700℃以下が好ましい。焼
成温度が高いとセラミックスの粒成長が起こり、島の高
さが高くなるが、焼成温度が700℃より高い場合に
は、チタニアが光触媒として低活性なルチルの結晶形に
変わるため、好ましくない。
【0023】本発明に用いられるセラミックスのゾル液
に添加する有機高分子としては、ポリエチレングリコー
ルあるいはポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコ
ール、セルロース、セルロース誘導体などの水溶性ポリ
マーが挙げられるが、特にポリエチレングリコールまた
はポリエチレンオキサイドが好ましい。そして、その分
子量としては、1000以上のものが好ましく、その中
でも特に、1000、1500、2000、3000、
6000、8000、11000、13000、2万、
10万、30万、200万、250万のもの等が好まし
い。分子量が1000未満のものを用いた場合には、出
来上がったセラミックス膜が基板のチタニア粒子の表面
から剥離しやすくなり、きれいで丈夫な膜ができない。
【0024】本発明に用いられるセラミックスのゾル液
に添加する有機高分子の量は、その溶解度以下であるこ
とか好ましい。溶解度以上に添加した場合には、丸いき
れいな細孔にならず、また、きれいな膜ができない。
【0025】本発明の光触媒粒子の表面の細孔径の大き
さや細孔分布の密度は、セラミックスのゾル液への有機
高分子の添加量や分子量を変えることによって制御する
ことができる。添加量を少なくしたり、分子量の小さい
ものを使用した場合には光触媒粒子の表面の細孔が小さ
なものになり、添加量を多くしたり、分子量の大きなも
のを使用した場合には細孔が大きなものになる。そし
て、添加量が少ない場合には細孔の分布の密度がまばら
なものになるが、添加量が多い場合には細孔の分布が密
なものが得られる。また、分子量分布の広い有機高分子
を添加した場合には、表面に色々な孔径の細孔を持った
光触媒粒子が得られる。さらに、薄膜を積層することに
より、特異な三次元構造を持った光触媒粒子を得ること
もできる。
【0026】こうして得られた本発明による光触媒粒子
は、チタニア粒子の表面が光触媒として不活性なセラミ
ックス膜によって被覆され、しかもセラミックス膜表面
が細孔を有し、細孔の底に光触媒として活性なチタニア
が露出した状態となっているため、有機繊維やプラスチ
ックスなどに練り込んで使用した場合、有機繊維やプラ
スチックスと接触している部分が光触媒として不活性な
セラミックスであり、繊維やプラスチックス自身の分解
を生じることなく、悪臭やNOxなどの空気中の有害物
質あるいは水中に溶解している有機溶剤や農薬などの環
境を汚染している有機化合物を吸着し、蛍光灯、白熱
灯、ブラックライト、UVランプ、水銀灯、キセノンラ
ンプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプなどから
の人工光や太陽光の照射によってチタニアに生成した電
子と正孔の酸化還元作用によって迅速に、かつ連続的に
分解除去することができ、抗菌抗かびにも使用できる。
しかも、光を照射するだけで、低コスト・省エネルギー
的でかつメンテナンスフリーで使用できる。そして、チ
タニア粒子としてその表面に白金あるいはロジウム、ル
テニウム、パラジウム、銀、銅、鉄、亜鉛の金属を担持
したものを用いた場合には、その触媒作用により有機化
合物の分解除去効果や抗菌抗かび効果などの環境浄化効
果が一層増大する。
【0027】本発明による光触媒粒子は、ポリエチレン
やナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンオキシド、
ポリエチレングリコール、ボリエチレンテレフタレー
ト、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルアセ
タール樹脂、ポリアセテート、ABS樹脂、エポキシ樹
脂、酢酸ビニル樹脂、セルロース、セルロース誘導体、
ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリス
チレン、尿素樹脂、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデ
ン、フェノール樹脂、セルロイド、キチン、デンプンシ
ートなど、あらゆる種類の有機繊維やプラスチックスあ
るいはそれらの共重合体に適用可能である。
【0028】
【実施例】本発明の実施例の内で特に代表的なものを以
下に示す。 実施例1 テトラエトキシシラン0.02molを200mlの無
水エタノールで希釈し、攪拌しながら水0.2molと
分子量10万のポリエチレングリコール0.4gを添加
し、さらに硝酸0.004molを添加して透明なゾル
液を調製した。これに粒径約1μmのアナターゼ型チタ
ニア粒子5gを加え、超音波により分散させ、噴霧乾燥
した後、500℃で焼成した。得られた粒子の表面を分
析電子顕微鏡で観察したところ、シリカで覆われてお
り、その表面に約100nmの大きさの細孔の存在が認
められた。得られた粒子をナイロンに練り込み、シート
に成形して、タバコの煙などによる汚れの分解除去用シ
ートとして使用した結果、アナターゼ型チタニアをその
まま練り込んで使用した場合に比べ、汚れの分解除去効
果はほとんど変わらず、約10倍の寿命が得られた。
【0029】実施例2 アルミニウムトリイソプロポキシド0.12molを2
00mlのイソプロパノールで希釈し、攪拌しながら、
トリエタノールアミン0.12molと水1molを添
加し、さらに分子量1000のポリエチレングリコール
2.5gを添加して透明なゾル液を調製した。これに粒
径約40nmの70%アナターゼ型30%ルチル型チタ
ニア粒子5gを加え、超音波により分散させた、噴霧乾
燥した後、450℃で焼成した。得られた粒子の表面を
分析電子顕微鏡で観察したところ、アルミナで覆われて
おり、その表面に約10nmの大きさの細孔の存在が認
められた。得られた粒子をポリエステルに練り込み、繊
維に紡糸して防臭繊維として使用した結果、アナターゼ
型チタニアをそのまま練り込んで使用した場合に比べ、
防臭効果はほとんど変わらず、約15倍の寿命が得られ
た。
【0030】実施例3 ジルコニウムテトラn−ブトキシド0.2molを50
0mlの無水エタノールで希釈し、攪拌しながら、ジエ
チレングリコール0.4molと水0.4molを添加
し、さらに分子量13000のポリエチレンクリコール
0.4g添加して透明なゾル液を調製した。これに白金
を担持した粒径約800nmのアナターゼ型チタニア粒
子5gを加え、超音波により分散させ、噴霧乾燥した
後、500℃で焼成した。得られた粒子について分析電
子顕微鏡観察を行った結果、ジルコニアで覆われてお
り、その表面に約50nmの大きさの細孔の存在が認め
られた。得られた粒子をポリカーボネートに練り込み、
水入れに成形して、水道水中のトリハロメタン及びカル
キ臭分解除去用水入れとして使用した結果、処理しない
チタニアをそのまま練り込んで使用した場合に比べ、ト
リハロメタン及びカルキ臭の分解除去効果はほとんど変
わらず、約7倍の寿命が得られた。
【0031】実施例4 チタンテトライソプロポキシド0.1molを無水エタ
ノールで希釈し、攪拌しながら、ジエタノールアミン
0.1molと水0.1molを添加し、さらに分子量
2万のポリエチレングリコール5gを添加して透明なゾ
ル液を調製した。これに粒径的500nmのアナターゼ
型チタニア粒子5gを加え、超音波により分散させ、噴
霧乾燥した後、350℃で焼成した。得られた粒子につ
いて分析電子顕微鏡で観察したところ、アモルファスの
チタニアで覆われており、その表面に約120nmの大
きさの細孔の存在が認められた。得られた粒子をポリプ
ロピレンに練り込み、繊維に紡糸して防臭繊維として使
用した結果、アナターゼ型チタニアをそのまま練り込ん
で使用した場合に比べ、防臭効果はほとんど変わらず、
約5倍の寿命が得られた。
【0032】実施例5 実施例4におけるポリエチレングリコールの添加量を3
gに代えて同様の操作を行い、得られた粒子の表面を分
子電子顕微鏡で観察したところ、アモルファスのチタニ
アで覆われており、その表面に約80nmの大きさの細
孔の存在が認められた。得られた粒子をポリプロピレン
に練り込んで使用した結果、アナターゼ型チタニアをそ
のまま練り込んで使用した場合に比べ、防臭効果はほと
んど変わらず、約7倍の寿命が得られた。
【0033】実施例6 実施例4におけるポリエチレングリコールの分子量を2
000に代えて同様の操作を行い、得られた粒子の表面
を分子電子顕微鏡で観察したところ、アモルファスのチ
タニアで覆われており、その表面に約30nmの大きさ
の細孔の存在が認められた。得られた粒子をポリプロピ
レンに練り込み、繊維に紡糸して防臭繊維として使用し
た結果、アナターゼ型チタニアをそのまま練り込んで使
用した場合に比べ、防臭効果はほとんど変わらず、約1
0倍の寿命が得られた。
【0034】実施例7 チタンテトライソプロポキシド0.1molとジルコニ
ウムテトラn−プトキシド0.1molを500mlの
イソプロパノールに加え、攪拌しながら、ジイソプロパ
ノールアミン0.4molと水0.4molを添加し、
さらに分子量3000のポリエチレングリコール4gを
添加して透明なゾル液を調製した。これに粒径約700
nmの銀担持のアナターゼ型チタニア粒子5gを加え、
超音波により分散させ、噴霧乾燥した後、500℃で焼
成した。得られた粒子について分析電子顕微鏡観察を行
った結果、チタン酸ジルコニウムで覆われており、その
表面に約30nmの大きさの細孔の存在が認められた。
ポリエチレンに練り込み、シートに成形して抗菌抗かび
シートとして使用した結果、銀担持のアナターゼ型チタ
ニア粒子をそのまま練り込んで使用した場合に比べ、抗
菌抗かび効果はほとんど変わらず、15倍以上の寿命が
得られた。
【0035】実施例8 マグネシウムエトキシド0.1molを250mlの無
水エタノールに加え、攪拌しながら、N−エチルジエタ
ノールアミン0.2molと水0.6molを添加し、
さらに分子量1500のポリエチレングリコール1.6
gを添加して透明なゾル液を調製した。これに粒径約5
00nmのアナターゼ型チタニア粒子5gを加え、超音
波により分散させ、噴霧乾燥した後、450℃で焼成し
た。得られた粒子について分析電子顕微鏡観察を行った
結果、マグネシアで覆われており、その表面に約20n
mの大きさの細孔の存在が認められた。得られた粒子を
シリコン樹脂に練り込み、シートに成形して、空気中の
Noxの分解除去用シートとして使用した結果、アナタ
ーゼ型チタニアをそのまま練り込んで使用した場合に比
べ、Noxの分解除去効果はほとんど変わらず、約7倍
の寿命が得られた。
【0036】実施例9 カルシウムメトキシド0.2molを500mlのメタ
ノールで希釈し、攪拌しながら、モノエタノールアミン
0.4molと水0.4molを添加し、さらに分子量
30万のポリエチレンオキサイド0.2gを添加して透
明なゾル液を調製した。これに粒径約1.2μmのルテ
ニウム担持のアナターゼ型チタニア粒子5gを加え、超
音波により分散させ、噴霧乾燥した後、600℃で焼成
した。得られた粒子について分析電子顕微鏡観察を行っ
た結果、カルシアで覆われており、その表面に約200
nmの大きさの細孔の存在が認められた。得られた粒子
をフッ素樹脂に練り込み、シートに成形して、空気中の
SOxの分解除去用シートとして使用した結果、処理し
ないチタニアをそのまま練り込んで使用した場合に比
べ、SOxの分解除去効果はほとんど変わらす、約6倍
の寿命が得られた。
【0037】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、悪臭や空気中
の有害物質、汚れの分解除去あるいは廃水処理や浄水処
理、抗菌抗かびなど、環境の浄化を効果的かつ経済的に
安全に行うことができ、しかも有機繊維やプラスチック
スなどに練り込みなどによって添加されて使用された場
合にも、有機繊維などと接触している部分が光触媒とし
て不活性なセラミックスであるため、繊維やプラスチッ
クス自身の分解を生じにくく、長期間その効果を持続さ
せることができ、耐久性の面からも優れた特性を発揮す
る。
【0038】請求項2の発明によれば、前記請求項1の
発明の効果に加えて、チタニア粒子表面に担持された金
属の触媒作用により分解除去効果などがより一層増大す
る。請求項3の発明によれば、前記請求項1又は2の発
明の効果に加えて、分解除去効果などはほとんど変わら
ず、数倍の寿命を得られた。
【0039】請求項4の発明によれば、前記請求項1〜
3のうち何れかの発明の効果に加えて、有機繊維やプラ
スチックスなどへの練り込みを容易に行うことができ
る。請求項5の発明によれば、前記請求項1〜4のうち
何れかの発明の効果に加えて、チタニアが光触媒として
高活性なアナターゼ型であるため、より一層分解除去効
果などを増大できる。
【0040】請求項6の発明によれば、悪臭等の分解除
去効果を高度にかつ長期間持続し得る光触媒粒子を簡単
に得ることができる。請求項7の発明によれば、前記請
求項6の発明の効果に加えて、品質が均一で高性能の光
触媒粒子を得ることができる。
【0041】請求項8の発明によれば、前記前記請求項
7の発明の効果に加えて、より確実に高性能の光触媒粒
子を得ることができる。請求項9の発明によれば、前記
請求項6〜8のうち何れかの発明の効果に加えて、細孔
及びセラミックス膜をきれいに形成することができる。
【0042】請求項10の発明によれば、前記請求項6
〜8のうち何れかの発明の効果に加えて、細孔及びセラ
ミックス膜をより一層きれいに形成することができる。
請求項11の発明によれば、前記請求項10の発明の効
果に加えて、より一層耐久性に優れたセラミックス膜を
確実に形成することができる。
【0043】請求項12の発明によれば、前記請求項6
〜11のうち何れかの発明の効果に加えて、分解除去効
果などがより一層強力な光触媒粒子を得ることができ
る。請求項13の発明によれば、前記請求項6〜12の
うち何れかの発明の効果に加えて、チタニア粒子が光触
媒として低活性なルチルの結晶形に変わるのを防止でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 23/38 B01J 33/00 C 23/70 C08K 9/00 KCM 33/00 C09C 1/36 PAV C08K 9/00 KCM 3/00 PBP C09C 1/36 PAV C09D 5/00 PSD 3/00 PBP 7/12 PSK C09D 5/00 PSD B01D 53/36 H 7/12 PSK ZABJ (72)発明者 加藤 一実 愛知県愛知郡東郷町和合ヶ丘2丁目15番地 の3 (72)発明者 藤田 和朋 岐阜県羽島郡笠松町北及47 岐阜県繊維試 験場 内 (72)発明者 今泉 茂巳 岐阜県羽島郡笠松町北及47 岐阜県繊維試 験場 内 (72)発明者 菅原 吉規 岐阜県羽島郡笠松町北及47 岐阜県繊維試 験場 内 (72)発明者 加藤 博一 岐阜県羽島郡笠松町北及47 岐阜県繊維試 験場 内 (72)発明者 奥村 和之 岐阜県羽島郡笠松町北及47 岐阜県繊維試 験場 内 (72)発明者 川島 義隆 岐阜県羽島郡笠松町北及47 岐阜県繊維試 験場 内 (72)発明者 山下 典男 岐阜県羽島郡笠松町北及47 岐阜県繊維試 験場 内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタニア粒子の表面に細孔を有する、光
    触媒として不活性なセラミックス膜をコートしたことを
    特徴とする光触媒粒子。
  2. 【請求項2】 チタニア粒子が白金、ロジウム、ルテニ
    ウム、パラジウム、銀、銅、鉄、亜鉛の内から選ばれた
    少なくとも一種の金属を表面に担持したものであること
    を特徴とする請求項1記載の光触媒粒子。
  3. 【請求項3】 光触媒として不活性なセラミックスがア
    ルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネシア、カルシア、
    及びアモルファスのチタニアの内から選ばれた少なくと
    も一種のセラミックスであることを特徴とする請求項1
    または2記載の光触媒粒子。
  4. 【請求項4】 細孔の孔径が1nm〜10μmであるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のうち何れかに記載の光触
    媒粒子。
  5. 【請求項5】 チタニア粒子の結晶形がアナターゼであ
    ることを特徴とする請求項1〜4のうち何れかに記載の
    光触媒粒子。
  6. 【請求項6】 有機高分子を添加したセラミックスのゾ
    ル液でチタニア粒子表面をコーティングした後、加熱焼
    成することを特徴とする光触媒粒子の製造方法。
  7. 【請求項7】 セラミックスのゾル液が金属アルコキシ
    ドとアルコールとアルコールアミン類またはグリコール
    類から調製されたものであることを特徴とする請求項6
    記載の光触媒粒子の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属アルコキシドがアルミニウム、珪
    素、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、チタニ
    ウムのアルコキシドの内から選ばれた少なくとも一種の
    金属アルコキシドであることを特徴とする請求項7記載
    の光触媒粒子の製造方法。
  9. 【請求項9】 セラミックスのゾル液に対する有機高分
    子の添加量がその溶解度以下であることを特徴とする請
    求項6〜8のうち何れかに記載の光触媒粒子の製造方
    法。
  10. 【請求項10】有機高分子がポリエチレングリコールま
    たはポリエチレンオキサイドであることを特徴とする請
    求項6〜9のうち何れかに記載の光触媒粒子の製造方
    法。
  11. 【請求項11】ポリエチレングリコールまたはポリエチ
    レンオキサイドとして分子量が1000以上のものを用
    いることを特徴とする請求項10記載の光触媒粒子の製
    造方法。
  12. 【請求項12】チタニア粒子が白金、ロジウム、ルテニ
    ウム、パラジウム、銀、銅、鉄、亜鉛の内から選ばれた
    少なくとも一種の金属を表面に担持したものであること
    を特徴とする請求項6〜11のうち何れかに記載の光触
    媒粒子の製造方法。
  13. 【請求項13】チタニア粒子表面をコーティングした後
    における加熱焼成温度は700度以下であることを特徴
    とする請求項6〜12のうち何れかに記載の光触媒粒子
    の製造方法。
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