JP2008221111A - 光触媒フィルタ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】可視光領域及び紫外線領域の光の両方を利用して光触媒作用を発揮することができる光触媒フィルタと、その製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の光触媒フィルタは、セラミック多孔質体に紫外線応答型光触媒及び可視光応答型光触媒が形成されてなる光触媒フィルタであって、該セラミック多孔質体に有機分散剤を含有する紫外線応答型光触媒が形成され、その上に可視光応答型光触媒が形成されている。本発明の光触媒フィルタを製造する方法は、有機分散剤を含有する紫外線応答型光触媒分散液にセラミック多孔質体を含浸させた後、乾燥し、その上に、可視光応答型光触媒を分散させた可視光応答型光触媒分散液を含浸させた後、乾燥し、次いで、焼成する。
【選択図】図2

Description

本発明は光を利用して光触媒作用を発揮し得る光触媒フィルタと、その製造方法を提供することを目的とする。
従来、光触媒をセラミック多孔質体に担持させた光触媒フィルタが、空調機、空気清浄機、水処理装置などに応用されている。
I. 例えば、特開平3−157125号には、セラミック多孔質体に酸化チタンを担持させたものに紫外線を照射し、酸化チタンの光触媒作用によって気体の悪臭を除去することが記載されている。
しかしながら、上記公報の光触媒は紫外線領域で応答するものであるため、太陽光や蛍光灯の光を利用することができず、十分な光触媒機能を発揮させるためには、積極的に紫外線を照射させる必要がある。
II. 近年可視光領域の光を利用する為に種々の研究がなされ、例えば、特開2004−275999号には酸化チタン系光触媒において、酸化チタンに金属ハロゲン化物等の金属化合物を含有させることにより、可視光領域に光触媒活性を発現させることが記載されている。また、特開2001−205103号では豊田中央研究所は酸化チタンに窒素をドープすることで可視光領域に光触媒活性を発現させることを見出している。WO 00/10706号では酸化チタンに酸素欠陥を導入することで可視光領域に光触媒活性を発現させることを見出している。九州工業大学の横野教授は硫黄をドープすることで可視光領域に光触媒活性を発現させることを見出している。
しかし上記公報の光触媒は可視光領域で光領域活性を発現するものの、セラミック多孔質体に担持した場合、ほとんど吸着能力を示さず、フィルタとして除去能力を考慮すると、十分ではない。吸着量を増大させる為には、ゼオライト等の吸着剤を用い、吸着層を作製しその上に光触媒層を作製する必要がある。吸着層と光触媒層を別々に焼成する為に、焼成作業が煩雑で非常に工数がかかり、ゼオライト等だけではセラミック多孔質体には担持できず、バインダー等を用いて焼結しなければならない。
特開平3−157125号 特開2004−275999号 特開2001−205103号 WO 00/10706号
本発明は、可視光領域及び紫外光領域の光の両方を利用して光触媒作用を発揮し、かつ吸着剤を用いずに十分な吸着能力を持つ光触媒フィルタとその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1の光触媒フィルタは、セラミック多孔質体に紫外線応答型光触媒層及び可視光応答型光触媒層が形成されてなる光触媒フィルタであって、有機分散剤を含有する紫外線応答型光触媒分散液を用いて紫外線応答型光触媒層が形成され、その上に可視光応答型光触媒層が形成されていることを特徴とするものである。
請求項2の光触媒フィルタは、請求項1において、該紫外線応答型光触媒層に含有する紫外線応答型光触媒が酸化チタン系光触媒であることを特徴とするものである。
請求項3の光触媒フィルタは、請求項1又は2において、該可視光応答型光触媒層に含有する可視光応答型光触媒層が酸化チタン系光触媒であることを特徴とするものである。
請求項4の光触媒フィルタは、請求項1ないし3のいずれか1項において、該有機分散剤がポリアクリル酸アンモニウムであることを特徴とするものである。
請求項5の光触媒フィルタは、請求項3において、該可視光応答型光触媒の酸化チタン系触媒は、N,C及びSの少なくとも1種をドープしたドープ酸化チタン、酸素欠陥を有する酸素欠陥型酸化チタン、前記ドープ酸化チタンに金属を担持した酸化チタン、前記酸素欠陥型酸化チタンに金属を担持した酸化チタン並びに酸化チタンに金属を担持した酸化チタンよりなる群の少なくとも1種よりなるものであることを特徴とするものである。
請求項6の光触媒フィルタの製造方法は、請求項1ないし5に記載の光触媒フィルタを製造する方法であって、有機分散剤を含有する紫外線応答型光触媒分散液にセラミック多孔質体を含浸させた後、乾燥し、その上に、可視光応答型光触媒を分散させた可視光応答型光触媒分散液を含浸させた後、乾燥し、次いで、焼成することを特徴とするものである。
請求項7の光触媒フィルタの製造方法は、請求項6において、焼成温度が300〜700℃であることを特徴とするものである。
請求項8の光触媒フィルタの製造方法は、請求項6又は7において、前記セラミック多孔質体に担持された紫外線応答型光触媒及び可視光応答型光触媒の合量が、0.01〜0.5g/cmであることを特徴とするものである。
本発明の光触媒フィルタは、可視光応答型光触媒層及び紫外線応答型光触媒層が形成されているため、可視光領域及び紫外線領域の両方の光を利用して光触媒作用を発揮することができる。
また、本発明の光触媒フィルタは紫外線応答型光触媒液に有機分散剤を含有することでセラミック多孔質体上に紫外線応答型光触媒層を焼成した際に有機分散剤が消失し、紫外線応答型光触媒層が多孔質化することで、表面積が増大し、初期吸着能を発揮することができる。
本発明において、該有機分散剤がポリアクリル酸アンモニウムである場合、該ポリアクリル酸アンモニウムが酸化チタンを沈殿させることなく均一な分散液を得ることができる。
本発明の光触媒フィルタを製造するには、有機分散剤を含有する紫外線応答型光触媒分散液にセラミック多孔質体を含浸させた後、乾燥し、その上に、可視光応答型光触媒を分散させた可視光応答型光触媒分散液を含浸させた後、乾燥し、次いで、焼成する。
本発明の光触媒フィルタは、セラミック多孔質体に紫外線応答型光触媒層及び可視光応答型光触媒層が形成されてなる光触媒フィルタであって、有機分散剤を含有する紫外線応答型光触媒分散液を用いて紫外線応答型光触媒層が形成され、その上に可視光応答型光触媒層が形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の光触媒フィルタを製造する方法は、有機分散剤を含有する紫外線応答型光触媒分散液にセラミック多孔質体を含浸させた後、乾燥し、その上に、可視光応答型光触媒を分散させた可視光応答型光触媒分散液を含浸させた後、乾燥し、次いで、焼成することを特徴とするものである。
セラミック多孔質体としては、アルミナ、コージライト、ムライト、ジルコニア、シリカ、マグネシア等及びこれらの混合物よりなる金属酸化物系セラミック多孔質体や、炭化ケイ素、窒化ケイ素等よりなる非酸化物系セラミックス多孔質体などが挙げられる。
紫外線応答型光触媒としては、酸化スズ、酸化亜鉛、三酸化タングステン、酸化チタン、チタン酸ストロンチウムなどの金属酸化物、硫化亜鉛等の金属硫化物、炭化ケイ素、非金属酸化物などが挙げられる。
また、可視光応答型光触媒としては、酸化チタンに窒素、硫黄、炭素などの不純物準位を導入したドープ酸化チタン、酸化チタンに酸素欠陥を導入した酸素欠陥型酸化チタン、前記ドープ酸化チタンに金属を担持した酸化チタン、前記酸素欠陥型酸化チタンに金属を担持した酸化チタン、酸化チタンに金属を担持した酸化チタン、Ti以外の金属ハロゲン化合物や金属錯体などを含有させた酸化チタンなどを用いることもできる。金属化合物を含有させた酸化チタンとしては、上記特開2004−275999号に記載されているものを用いることができる。上記公報には、他の金属として、Ti、V、Sn、Sb、W、Nb、Bi、P、Mo、Cs、Ge、As、Ce、Pt、Pd、Ag、Cu等が挙げられている。酸化チタンに金属ハロゲン化物などの金属化合物を含有させると、可視光によって光触媒活性を発現するようになる。
紫外光応答型光触媒及び可視光応答型光触媒が酸化チタンの場合、酸化チタンの結晶形はアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれでもよい。また、前記結晶形が混合していても構わない。特に結晶形を限定するわけではないが、アナターゼ型を含んでいることが好ましい。
分散液中のこれら紫外線応答型光触媒及び可視光応答型光触媒の平均粒子径は、500nm以下であることが好ましい。光触媒の平均粒子径が500nmより大きいと、皮膜の粉化や剥離が起こり易くなる。また、粒子の沈降が起こり易く、分散液の保存安定性も低下する。光触媒の平均粒子径は、より好ましくは300nm以下、さらに一層好ましくは200nm以下である。理想的には、分散液中の光触媒粒子は一次粒子の形態である。
光触媒粒子を分散させる溶媒(即ち、分散媒)としては、蒸留水、イオン交換水、超純水などの水;メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール類;メチルエチルケトンなどのケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、などが挙げられる。これらは、任意に混合して使用してもよい。
分散処理は、光触媒を固形分濃度が数mass%〜50mass%の範囲となるように溶媒と混合して行うことが好ましい。固形分濃度がこの範囲外では、分散性が低下することがある。
上記分散液に含まれる有機分散剤としては界面活性剤を用いることができる。陰イオン性界面活性剤として、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキル硫酸エステル塩、高分子界面活性剤などが挙げられる。陽イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリアクリル酸アンモニウム、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。非イオン性界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。特にポリアクリル酸アンモニウムが好ましい。
有機分散剤の添加量は、紫外線応答型光触媒及び可視光応答型光触媒が酸化チタンである場合、酸化チタンに対し20wt%以下であることが好ましく、更に10wt%以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.1wt%以上5wt%以下である。20wt%以上だと有機分散剤同士が凝集し、保存安定性が低下する。また、0.1wt%以下では光触媒が均一に分散せず、保存安定性が低下する。また、膜化した際に多孔質化度合いが低く、吸着能力が低下する。
分散液は解膠剤を含有していても良い。解膠剤としては塩酸、硫酸等が例示される。また、pH調整のため、分散液に塩基や酸を添加してもよい。
分散処理は、ペイントシェーカーを用いて行うこともできるが、例えば、メディアミル、回転刃を用いた剪断、薄膜旋回、超音波といった、より強力な分散が可能な手段により実施することが好ましい。2種以上の分散手段を組合わせて利用してもよい。
得られた分散液が凝集した粗大粒子を含んでいる場合、それらを濾過または遠心分離によって除去することが好ましい。粗大粒子は、皮膜中で剥離や粉化の起点となり易いからである。分散処理後の分散液に溶媒を加えて、固形分濃度を調整することもできる。
分散液は、さらにバインダーを含有してもよい。バインダー成分としては、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシア、ジルコニアなどの金属酸化物ゾルが利用できる。
上記紫外線応答型光触媒分散液にセラミック多孔質体を含浸させた後、必要に応じて加熱しながら乾燥させる。乾燥温度は、分散液の組成(溶媒やバインダーの種類)、セラミック多孔質体の耐熱温度などに合わせて決めればよい。溶媒が水の場合、100℃以上で乾燥することが好ましい。
この紫外線応答型光触媒層を乾燥したセラミック多孔質体を焼成してもよい。紫外線応答型光触媒が酸化チタンの場合、焼成温度300〜600℃で焼成することが好ましい。
次いで、紫外線応答型光触媒を担持したセラミックス多孔質体を可視光応答型光触媒分散液に含浸させ、必要に応じて加熱させて乾燥させる。乾燥温度は、分散液の組成(溶媒やバインダーの種類)に応じて決めればよい。溶媒が水の場合、100℃以上で乾燥することが好ましい。可視光応答型光触媒の場合、乾燥後、焼成温度300〜600℃で焼成することが好ましい。
この光触媒フィルタを形成させる紫外線応答型光触媒の担持量はセラミック多孔質体の孔径、厚さにもよるが、サイズが197mm×70mm×7mmで1inch当りのセルの数が9個の場合、0.01〜0.5g/cm、とりわけ0.03〜0.3g/cmであることが好ましい。担持量が0.01g/cmよりも少ないと吸着量が少なく、0.5g/cm以上になると紫外線応答型光触媒が脱落したり、セルの目が詰まったりする。
また、この光触媒フィルタに形成される可視光応答型光触媒の担持量はセラミック多孔質体の孔径、厚さにもよるが、サイズが197mm×70mm×7mmで1inch当りのセルの数が9個の場合、0.01〜0.5g/cm、とりわけ0.03〜0.3g/cmであることが好ましい。担持量が0.01g/cm以下であると可視光での光触媒活性が低くなる。0.5g/cmを超えると非常にコスト高になる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例において、セラミックフォーム、紫外線応答型光触媒分散液及び可視光応答型光触媒分散液として以下のものを用いた。
セラミックフォーム:
(株)ブリヂストン製、材質コージェライト、
サイズ197mm×70mm×7mm、#09
紫外線応答型光触媒分散液:
石原産業社製 酸化チタンゾル液「STS−21」
可視光応答型光触媒分散液:
住友チタニウム(株)製 可視光応答型酸化チタンゾル液
「光触媒可視光型ゾル」
なお、STS−21には、ポリアクリル酸アンモニウムが1〜5質量%程度含まれている。
実施例1
セラミックフォームを紫外線応答型光触媒分散液に約1分間含浸した後、余分な分散液を除去し、100℃で2時間乾燥した。
次いで、このセラミックフォームを可視光応答型光触媒分散液に約1分間含浸した後、余分な分散液を除去し、100℃で2時間乾燥した。
この乾燥体を500℃で1時間焼成することにより、評価用サンプルを得た。なお、紫外線応答型光触媒重量は紫外線応答型光触媒乾燥後の重量より算出した。可視光応答型光触媒は全体重量からセラミックフォーム重量、紫外線応答型光触媒重量を差し引いて算出した。
実施例2
セラミックフォームを紫外線応答型光触媒分散液に約1分間含浸した後、余分な分散液を除去し、100℃で2時間乾燥した。
次いで、このセラミックフォームを可視光応答型光触媒分散液に約1分間含浸した後、余分な分散液を除去し、100℃で2時間乾燥した。この可視光応答型光触媒分散液への含浸及び乾燥を、さらに2回繰り返した。
この乾燥体を500℃で1時間焼成することにより、評価用サンプルを得た。なお、可視光応答型光触媒は全体重量からセラミックフォーム重量、紫外線応答型光触媒重量を差し引いて算出した。
比較例1
セラミックフォームを紫外線応答型光触媒分散液に約1分間含浸した後、余分な分散液を除去し、100℃で2時間乾燥した。
この乾燥体を500℃で1時間焼成することにより、評価用サンプルを得た。なお、紫外線応答型光触媒重量は全重量からセラミックフォーム重量を差し引いて算出した。
比較例2
セラミックフォームを可視光応答型光触媒分散液に約1分間含浸した後、余分な分散液を除去し、100℃で2時間乾燥した。
この乾燥体を500℃で1時間焼成することにより、評価用サンプルを得た。なお、可視光応答型光触媒重量は全重量からセラミックフォーム重量を差し引いて算出した。
比較例3
セラミックフォームを可視光応答型光触媒分散液に約1分間含浸した後、余分な分散液を除去し、100℃で2時間乾燥した。この可視光応答型光触媒分散液への含浸及び乾燥を、さらに2回繰り返した。
この乾燥体を500℃で1時間焼成することにより、評価用サンプルを得た。なお、可視光応答型光触媒重量は全重量からセラミックフォーム重量を差し引いて算出した。
比較例4
セラミックフォームを紫外線応答型光触媒分散液に約1分間含浸した後、余分な分散液を除去し、100℃で2時間乾燥した。
次いで、このセラミックフォームを可視光応答型光触媒分散液に約1分間含浸した後、余分な分散液を除去し、100℃で2時間乾燥した。
この乾燥体を200℃で1時間焼成することにより、評価用サンプルを得た。なお、可視光応答型光触媒重量は全重量からセラミックフォーム重量及び紫外線応答型光触媒重量を差し引いて算出した。
比較例5
セラミックフォームを紫外線応答型光触媒分散液に約1分間含浸した後、余分な分散液を除去し、100℃で2時間乾燥した。
次いで、このセラミックフォームを可視光応答型光触媒分散液に約1分間含浸した後、余分な分散液を除去し、100℃で2時間乾燥した。
この乾燥体を800℃で1時間焼成することにより、評価用サンプルを得た。なお、可視光応答型光触媒重量は全重量からセラミックフォーム重量及び紫外線応答型光触媒重量を差し引いて算出した。
比較例6
セラミックフォームを紫外線応答型光触媒分散液に約1分間含浸した後、余分な分散液を除去し、100℃で2時間乾燥した。
この紫外線応答型光触媒分散液への含浸及び乾燥を、さらに5回繰り返した。
次いで、このセラミックフォームを可視光応答型光触媒分散液に約1分間含浸した後、余分な分散液を除去し、100℃で2時間乾燥した。
この可視光応答型光触媒分散液への含浸及び乾燥を、さらに1回繰り返した。
この乾燥体を500℃で1時間焼成することにより、評価用サンプルを得た。なお、可視光応答型光触媒重量は全重量からセラミックフォーム重量及び紫外線応答型光触媒重量を差し引いて算出した。
上記実施例1,2及び比較例1〜6について、可視光応答型光触媒及び紫外線応答型光触媒の担持量は表1に示す通りである。
Figure 2008221111
<評価方法>
図1に示す密閉型バッチ式装置10を用い、以下の通り、アセトアルデヒド濃度の経時的変化を測定した。
15Wの昼光色灯1を5本備える密閉型バッチ式装置10の測定用チャンバー2(27L、外寸サイズ;465mm×300mm×190mm)にサンプル3をセットした。ガス導入口4から250ppmのアセトアルデヒドガス5Lを注入し、撹拌装置5を用いてアセトアルデヒドガスを測定用チャンバー2内に拡散させ、INOVA社製マルチガスモニター6にてアセトアルデヒド濃度を測定した。吸着平衡状態に達した後、昼光色灯1を点灯し、アセトアルデヒド濃度の経時変化を測定した。測定結果を図2に示す(但し、比較例4〜6は除く)。アセトアルデヒドの分解速度を数値化する為に、昼光色灯点灯後3分後から点灯時の濃度の1/5になるまでの減衰をy=eでフィッティングを行い、擬1次反応速度定数とし、表1に示す。
図2から明らかな通り、実施例1,2及び比較例1は比較例2,3に比べて、昼光色灯を点灯させる前における初期吸着量が高かった。これは実施例1,2及び比較例1では有機分散剤が焼成時消失することで多孔質化され、その為表面積が増大し、吸着量が増えた為であると考えられる。
表1から明らかな通り、実施例1,2及び比較例1は比較例2,3に比べ、昼光色灯を点灯させる前における初期吸着量が高かった。これは実施例1,2及び比較例1では有機分散剤が焼失することで多孔質化され、そのため面積が増大し、吸着量が増えたためであると考えられる。
また、表1から明らかな通り、実施例1,2及び比較例2,3は比較例1に比べ、昼光色灯を点灯した後の分解の速度が速く、可視光応答型光触媒の担持量が増えるにつれて速くなっている。これは可視光応答型光触媒が有効に作用しているためであると考えられる。
また、表1から明らかな通り、実施例1は比較例4,5に比べ、昼光色灯を点灯した後の分解が速く、焼成温度により分解の速度が異なっている。これは焼成温度により光触媒の有効性が変化しているためであると考えられる。
また、表1から明らかな通り、比較例6では担持量が増えるものの、目詰まりや酸化チタンの脱落が見られる。この比較例6は、フィルタとして機能しない。
密閉型バッチ式装置の概略図である。 アセトアルデヒド濃度の経時的変化を示すグラフである。
符号の説明
1 昼光色灯
2 測定用チャンバー
3 サンプル
4 ガス導入口
5 撹拌装置
6 マルチガスモニター
10 密閉型バッチ式装置

Claims (8)

  1. セラミック多孔質体に紫外線応答型光触媒層及び可視光応答型光触媒層が形成されてなる光触媒フィルタであって、
    有機分散剤を含有する紫外線応答型光触媒分散液を用いて紫外線応答型光触媒層が形成され、その上に可視光応答型光触媒層が形成されていることを特徴とする光触媒フィルタ。
  2. 請求項1において、該紫外線応答型光触媒層に含有する紫外線応答型光触媒が酸化チタン系光触媒であることを特徴とする光触媒フィルタ。
  3. 請求項1又は2において、該可視光応答型光触媒層に含有する可視光応答型光触媒が酸化チタン系光触媒であることを特徴とする光触媒フィルタ。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、該有機分散剤がポリアクリル酸アンモニウムであることを特徴とする光触媒フィルタ。
  5. 請求項3において、該可視光応答型光触媒の酸化チタン系触媒は、N,C及びSの少なくとも1種をドープしたドープ酸化チタン、酸素欠陥を有する酸素欠陥型酸化チタン、前記ドープ酸化チタンに金属を担持した酸化チタン、前記酸素欠陥型酸化チタンに金属を担持した酸化チタン並びに酸化チタンに金属を担持した酸化チタンよりなる群の少なくとも1種よりなるものであることを特徴とする光触媒フィルタ。
  6. 請求項1ないし5に記載の光触媒フィルタを製造する方法であって、
    有機分散剤を含有する紫外線応答型光触媒分散液にセラミック多孔質体を含浸させた後、乾燥し、その上に、可視光応答型光触媒を分散させた可視光応答型光触媒分散液を含浸させた後、乾燥し、次いで、焼成することを特徴とする光触媒フィルタの製造方法。
  7. 請求項6において、焼成温度が300〜700℃であることを特徴とする光触媒フィルタの製造方法。
  8. 請求項6又は7において、前記セラミック多孔質体に担持された紫外線応答型光触媒及び可視光応答型光触媒の合量が、0.01〜0.5g/cmであることを特徴とする光触媒フィルタの製造方法。
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