JP2012192323A - 浄化材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】汚染物質が溶解し又は拡散した液体や気体を浄化する用途に用いても、高い光触媒活性を維持できる浄化材と、その製造方法を提供する。
【解決手段】浄化材は、ナシコン型結晶である光触媒結晶を含有する。また、浄化材の製造方法は、基材の少なくとも表面にナシコン型結晶を含有させる触媒化工程を有する。ここで、ナシコン型結晶としては、一般式A(XO(式中、第一元素AはLi、Na、K、Cu、Ag、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される1種以上とし、第二元素BはZn、Al、Fe、Ti、Sn、Zr、Ge、Hf、V、Nb及びTaからなる群から選択される1種以上とし、第三元素XはSi、P、S、Mo及びWからなる群から選択される1種以上とし、係数mは0以上4以下とする)で表される結晶が挙げられる。
【選択図】なし

Description

本発明は、浄化材及びその製造方法に関する。
酸化チタンは、高い光触媒活性を有することが知られている。このような光触媒活性を有する化合物(以下、単に「光触媒化合物」と記すことがある)は、バンドギャップエネルギー以上のエネルギーの光が照射されると、電子や正孔を生成するため、光触媒化合物の近傍において、酸化還元反応が強く促進される。また、光触媒化合物の表面は、水に濡れ易い親水性を呈するため、雨等の水滴で洗浄される、いわゆるセルフクリーニング作用を有することが知られている。
光触媒化合物としては、主に酸化チタンが研究されており、酸化チタンはバンドギャップが3〜3.2eVであるため、主に波長400nm以下の紫外線によって光触媒活性が得られる。
例えば特許文献1〜4に示すように、このような光触媒特性や超親水性を有する酸化チタンを、水や空気、土壌等を浄化する浄化材に用いることが検討されている。
特許4345363号公報 特許4538703号公報 特許4531920号公報 特許4586385号公報
しかしながら、特許文献1〜5の技術において、酸化チタンの薄膜が光触媒特性や超親水性を奏する部分は、例えばBLB(ブラックライトブルー蛍光灯)の光や太陽光のような強力な紫外光が直接照射された、浄化材の表面の部分に限られていたため、より少ないスペースで高い光触媒特性や超親水性を発現させることが困難であった。そのため、酸化チタンを用いた特許文献1〜5の浄化材は、特に汚染物質が溶解し又は拡散した液体や気体の浄化には不向きである。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、汚染物質が溶解し又は拡散した液体や気体を浄化する用途に用いても、高い光触媒活性を維持できる浄化材と、その製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、浄化材の少なくとも表面にナシコン型結晶である光触媒結晶を用いることにより、より少ない光量でも高い光触媒活性を示し易いことを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
(1) ナシコン型構造を有する光触媒結晶を少なくとも表面に含有する浄化材。
(2) 内部連通空間を有する多孔質体からなる基材の少なくとも表面に、前記光触媒結晶を含有する(1)記載の浄化材。
(3) 前記多孔質体からなる基材の表面及び孔内部に前記光触媒結晶を含有する(2)記載の浄化材。
(4) 前記多孔質体の空隙率が60〜95%である(2)又は(3)記載の浄化材。
(5) 前記多孔質体における光触媒結晶の含有率が0.01〜30質量%である(2)から(4)のいずれか記載の浄化材。
(6) 金属、セラミックス、グラファイト、ガラス、石、セメント、コンクリート若しくはそれらの組み合わせ、又はそれらの積層体から構成される基材の少なくとも表面に、前記光触媒結晶を含有する(1)から(5)のいずれか記載の浄化材。
(7) 金属多孔体、セラミックス多孔体、グラファイト多孔体、ガラス多孔体、又はそれらの積層体から構成される基材の少なくとも表面に、前記光触媒結晶を含有する(1)から(6)のいずれか記載の浄化材。
(8) 前記ナシコン型結晶が、一般式A(XO(式中、第一元素AはLi、Na、K、Cu、Ag、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される1種以上とし、第二元素BはZn、Al、Fe、Ti、Sn、Zr、Ge、Hf、V、Nb及びTaからなる群から選択される1種以上とし、第三元素XはSi、P、S、Mo及びWからなる群から選択される1種以上とし、係数mは0以上4以下とする)で表される結晶である(1)から(7)のいずれか記載の浄化材。
(9) Zn、Ti、Zr、W及びPから選ばれる1種以上の成分を含む化合物結晶を更に含有する(1)から(8)のいずれか記載の浄化材。
(10) Pd、Re及びPtからなる群より選ばれる少なくとも1種の電子吸引性物質が、前記光触媒結晶の含有量に対する質量比で10%以下含まれている(1)から(9)のいずれか記載の浄化材。
(11) 前記ナシコン型結晶の平均粒径が10nm以上10μm以下である(1)から(10)のいずれか記載の浄化材。
(12) 紫外領域から可視領域までの少なくともいずれかの波長の光によって触媒活性が発現される(1)から(11)のいずれか記載の浄化材。
(13) 紫外領域から可視領域までの少なくともいずれかの波長の光を照射した表面と水滴との接触角が30°以下である(1)から(12)のいずれか記載の浄化材。
(14) (1)から(13)のいずれか記載の浄化材を用いた浄化フィルター。
(15) (14)記載の浄化フィルターを有する脱臭装置。
(16) (14)記載の浄化フィルターを有する水処理装置。
(17) 透明基材と、前記透明基材の一方の面に形成された(1)から(13)のいずれか記載の浄化材を含有する触媒層と、からなり、
前記透明基材の他方の面側に光源を備えた浄化ユニット。
(18) 前記透明基材がガラスから構成され、透明基材の表面に前記触媒層が直接形成されている(17)記載の浄化ユニット。
(19) 浄化材の製造方法であって、
基材の少なくとも表面にナシコン型結晶を含有させる触媒化工程を有する浄化材の製造方法。
(20) 前記基材が金属、セラミックス、グラファイト、ガラス、石、セメント、コンクリート若しくはそれらの組み合わせ、又はそれらの積層体から構成される(19)記載の浄化材の製造方法。
(21) 前記基材が金属多孔体、セラミックス多孔体、グラファイト多孔体、ガラス多孔体、又はそれらの積層体から構成される(19)又は(20)記載の浄化材の製造方法。
(22) 前記触媒化工程は、前記基材に前記ナシコン型結晶が分散した水性ゾルを浸漬、塗布又は噴霧する工程である(19)から(21)のいずれか記載の浄化材の製造方法。
(23) 前記ナシコン型結晶を含有した前記基材を加熱する加熱工程をさらに有する(19)から(22)のいずれか記載の浄化材の製造方法。
(24) 前記加熱工程が700℃以上1200℃以下の加熱温度で行われる(23)記載の浄化材の製造方法。
(25) 前記基材がセラミックススラリーからなり、
前記触媒化工程は、前記ナシコン型結晶を前記基材に混練する工程であり、
前記ナシコン型結晶を混練した基材を乾燥及び焼成させる焼成工程をさらに有する(19)記載の浄化材の製造方法。
(26) 前記基材がセラミックススラリーからなり、
前記触媒化工程は、前記ナシコン型結晶を含有するコーティング材を前記基材の表面に被覆する工程であり、
前記コーティング材を被覆した基材を乾燥及び焼成させる焼成工程と、をさらに有する(19)記載の浄化材の製造方法。
(27) 前記基材は、内部連通空間を有する発泡体をさらに含有する(16)から(20)のいずれか記載の浄化材の製造方法。
本発明によれば、浄化材の少なくとも表面にナシコン型結晶である光触媒結晶を用いることにより、より少ない光量でも高い光触媒活性を示し易い。そのため、汚染物質が溶解し又は拡散した液体や気体を浄化する用途に用いても、高い光触媒活性を維持できる浄化材と、その製造方法を提供できる。
以下、本発明の浄化材及びその製造方法の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
本発明の浄化材は、ナシコン型構造を有する結晶(以下、「ナシコン型結晶」と記すことがある)である光触媒結晶を少なくとも表面に含有する。ナシコン型結晶を光触媒結晶として用いた光触媒は、より少ない光量でも高い光触媒活性を示し易い。そのため、汚染物質が溶解し又は拡散した液体や気体を浄化する用途に用いても、高い光触媒活性を維持できる浄化材と、その製造方法を提供できる。
<光触媒結晶>
まず、本発明の浄化材が含有する光触媒結晶について説明する。
(ナシコン型結晶)
本発明の浄化材は、ナシコン型結晶である光触媒結晶を少なくとも表面に含有する。ナシコン型の結晶構造は、後述する一般式A(XOで表すことが可能な構造であり、BO八面体とXO四面体とが頂点を共有するように連結することで、三次元の網目構造を形成する構造である。その構造の中には、Aイオンが存在しうる二つのサイトがあり、これらのサイトは連続する三次元のトンネルを形成している。この結晶構造の最大の特徴は、Aイオンが結晶内を容易に動くことである。このような構造を取ることにより、光触媒結晶の光触媒活性が高められ、且つ光触媒結晶の耐熱性が高められるため、このような光触媒結晶を表面に含有することで、優れた光触媒活性を安定的に有する浄化材を得ることができる。ここで、光触媒結晶が光触媒活性を高められる理由としては、Aイオンが結晶内を動き易いことにより、光の照射により生じた電子とホールとの再結合の確率が低減されるためであると推察される。また、本発明の光触媒結晶が耐熱性を高められる理由としては、ナシコン型結晶は相転移がなく熱的に安定であり、焼成等の加熱条件によって光触媒特性が失われ難いためであると推察される。
ここで、ナシコン型の結晶構造は、一般式A(XO(式中、第一元素AはLi、Na、K、Cu、Ag、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される1種以上とし、第二元素BはZn、Al、Fe、Ti、Sn、Zr、Ge、Hf、V、Nb及びTaからなる群から選択される1種以上とし、第三元素XはSi、P、S、Mo及びWからなる群から選択される1種以上とし、係数mは0以上4以下とする)で表されることが好ましい。この一般式で表される化合物は、安定的にナシコン型構造をとるため、光触媒特性を高め易くすることができる。
このうち、第一元素Aは、Li、Na、K、Cu、Ag、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。これらのイオンが結晶内のトンネルを形成するサイトに存在することで、これらのイオンが結晶内を容易に動くことができる。そのため、光の照射により生じた電子とホールとの再結合の確率が低減されることで、ナシコン型結晶の光触媒特性が向上する。特に、第一元素AとしてCu及びAgの少なくともいずれかを含む場合、上述の光触媒特性に加えて、光照射がなくても高い抗菌性を発現できるので、これらの少なくともいずれかを含ませることがより好ましい。なお、第一元素Aは、原料として例えばLiCO、LiNO、LiF、NaO、NaCO、NaNO、NaF、NaS、NaSiF、KCO、KNO、KF、KHF、KSiF、CuO、CuCl、AgCl、MgCO、MgF、CaCO、CaF、Sr(NO、SrF、BaCO、Ba(NO等を用いることができる。
また、第二元素Bは、Zn、Al、Fe、Ti、Sn、Zr、Ge、Hf、V、Nb及びTaからなる群から選択される1種以上であることが好ましい。これらは、安定なナシコン型の結晶構造を取るのに必要不可欠な成分であり、且つ、結晶の伝導帯の構成に関与して2.5〜4eVの範囲を有するバンドギャップを形成する成分である。そのため、これらのうち少なくともいずれかの元素を含有することで、紫外光のみならず可視光にも応答する光触媒を得ることが可能である。また、光触媒効率を上げる観点で、Ti、Zr及びVから選ばれる1種以上を含むことがより好ましく、Tiを含むことが最も好ましい。特に、Tiを含むことにより、バンドギャップは2.8〜3.4eVの範囲になるため、紫外光と可視光の両方に応答する光触媒を容易に得られる。ここで、第二元素Bの全体に対するTi、Zr及びVから選ばれる1種以上の化学量論比は、好ましくは0.1、より好ましくは0.3、最も好ましくは0.5を下限とすることが好ましい。特に、第二元素Bの全体に対するTi、Zr及びVから選ばれる1種以上の化学量論比を高めることにより、光触媒特性をより高め易くすることができる。なお、第二元素Bは、原料として例えばZnO、ZnFAl、Al(OH)、AlF、FeO、Fe、TiO、SnO、SnO、SnO、ZrO、ZrF、GeO、Hf、V、Nb、Ta等を用いることができる。
また、第三元素Xは、Si、P、S、Mo及びWから選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これらの元素は、安定なナシコン型結晶構造を取るのに必要不可欠な成分であり、且つ、ナシコン型結晶のバンドギャップの大きさを調整できる効果があるので、これらの元素のうち少なくともいずれかを含有することが好ましい。その中でも特に、ナシコン型結晶の形成が容易である点から、P、S、Mo及びWから選ばれる1種以上を含むことがより好ましい。なお、第三元素Xは、原料として例えばSiO、KSiF、NaSiF、Al(PO、Ca(PO、Ba(PO、Na(PO)、BPO、HPO、NaS,Fe,CaS、WO、MoO等を用いることができる。
上記一般式における係数mは、B又はXの種類によって適宜設定されるが、0以上4以下の範囲内である。mがこの範囲にあることで、ナシコン型結晶構造が保たれ、熱的及び化学的な安定性が高くなり、環境の変化による光触媒特性の劣化が少なくなり、且つ他の材料との複合化の際に加熱による光触媒特性の低下が起こり難くなる。ここで、mが4を超えると、ナシコン型構造が維持できなくなるため、光触媒特性が低下する。
ナシコン型結晶としては、例えばRTi(PO、M0.5Ti(PO、RZr(PO、M0.5Zr(PO、RGe(PO、M0.5Ge(PO、RAlZn(PO、RTiZn(PO、R(PO、Al0.3Zr(PO、RFe(PO、RSn(SiO、RNbAl(PO、La1/3Zr(PO、Fe(MoO及びFe(SO(式中、RはLi、Na、K及びCuからなる群から選択される1種以上とし、MはMg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される1種以上とする)が挙げられる。
(化合物結晶)
本発明の浄化材は、光触媒結晶すなわちナシコン型結晶に加えて、他の化合物結晶を表面に含有してもよい。これにより、ナシコン型結晶が有する光触媒特性や機械的特性等の特性が調整されるため、光触媒を所望の用途に用い易くすることができる。
ここで、化合物結晶は、所望とする特性に応じて適宜選択されるものであるが、Zn、Ti、Zr、W及びPから選ばれる1種以上の成分を含む化合物結晶を更に含有してもよい。これらの化合物結晶がナシコン型結晶の近傍に存在することで、浄化材の光触媒特性をより高めることができる。このような化合物結晶としては、TiO、WO、ZnO及びこれらの固溶体から選ばれる1種以上の結晶が挙げられる。これらの結晶を添加することで、光触媒特性を有する結晶の量が増加されるため、浄化材の光触媒特性をより増強できる。
浄化材の表面における化合物結晶の含有量は、浄化材の光触媒特性をより高められる観点では増加させることが好ましいが、特に光触媒結晶を基材に被覆した場合や、浄化材そのものが焼成体からなる場合には、これらの光触媒特性を有する化合物結晶の含有量を低減することが好ましく、化合物結晶を含有しないことがより好ましい。これにより、より高温での加熱を行って浄化材を作製しても光触媒特性が失われ難くなるため、特に基材に被覆した場合における基材との密着性を高め、浄化材の経年劣化を低減することができる。なお、化合物結晶は、生成されたナシコン型結晶に人為的に加えられるものであってもよく、ナシコン型結晶の生成過程における副産物を用いたものであってもよい。
本発明における固溶体とは、2種類以上の金属固体又は非金属固体が互いの中に原子レベルで溶け込んで全体が均一の固相になっている状態のことをいい、混晶という場合もある。溶質原子の溶け込み方によって、結晶格子の隙間より小さい元素が入り込む侵入型固溶体、母相原子と入れ代わって入る置換型固溶体等がある。
浄化材の表面に含まれるナシコン型結晶及び/又は化合物結晶の平均粒径は、球近似したときの平均径が、10nm以上10μm以下であることが好ましい。その中でも特に、有効な光触媒特性を引き出すためには、結晶のサイズを10nm〜3μmの範囲とすることが好ましく、10nm〜1μmの範囲とすることがより好ましく、10nm〜300nmの範囲とすることが最も好ましい。結晶の平均径は、例えばX線回折装置(XRD)の回折ピークの半値幅より、シェラー(Scherrer)の式:
D=0.9λ/(βcosθ)
を用いて見積もることができる。ここで、Dは結晶の大きさであり、λはX線の波長であり、θはブラッグ角(回折角2θの半分)である。特に、XRDの回折ピークが弱かったり、回折ピークが他のピークと重なったりする場合は、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した結晶粒子の面積から、これを円と仮定してその直径を求めることでも見積もることができる。顕微鏡を用いて結晶の粒径の平均値を算出する際には、無作為に100個以上の結晶の直径を測定することが好ましい。
(電子吸引性物質)
また、本発明の浄化材の表面又はその近傍には、Pd、Re及びPtから選ばれる1種以上の電子吸引性物質が含まれていてもよい。これにより、金属元素成分がナシコン型結晶に固溶し、又はその近傍に存在することで、ナシコン型結晶を介した酸化還元の活性が増強されるため、ナシコン型結晶の光触媒特性をより向上することが可能になる。
ここで、金属元素成分がナシコン型結晶の近傍に存在する場合、金属元素成分の粒子径や形状は、ナシコン型結晶の組成等に応じて適宜設定される。特に、ナシコン型結晶の光触媒機能を最大に発揮する観点では、金属元素成分の平均粒子径は、できるだけ小さい方がよい。従って、浄化材の表面に含まれる金属元素成分の平均粒子径の上限は、好ましくは5.0μmであり、より好ましくは1.0μmであり、最も好ましくは0.1μmである。
<浄化材>
次に、本発明の浄化材の具体的態様について説明する。
[第1の態様]
本実施態様に係る第1の浄化材は、内部連通空間を有する多孔質体よりなる基材(フィルタ本体)に、上述のナシコン型結晶である光触媒結晶を含有する被覆を形成してなる浄化材である。基材に多孔質体を用いることで、表面積を高いレベルに維持した上で、例えば80〜90%というような著しく大きな空隙率を確保することができる。このため、浄化対象となる液体や気体と光触媒結晶との接触効率が高く、紫外線透過性に優れ、且つ圧力損失の小さい高性能な浄化材を提供することができる。
本発明で用いられる基材の材質は、コーティング材とのぬれ性等に応じても適宜選択される。より具体的には、金属(例えばアルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル)、セラミックス、グラファイト、ガラス、木、石、布、セメント、プラスチック(例えばアクリル材、PET)、コンクリート等を用いてもよい。その中でも特に、金属、セラミックス、グラファイト、ガラス(特にパイレックス(登録商標)ガラスや石英ガラス)、石、セメント、コンクリート若しくはそれらの組み合わせ、又はそれらの積層体から構成されることが好ましい。これにより、耐熱性を有する基材が用いられるため、加熱工程の加熱温度を高めることで、被覆の基材に対する付着性をより高めることができる。
特に、本実施態様で基材となる多孔質体は、金属多孔体、セラミックス多孔体、グラファイト多孔体、ガラス多孔体、又はそれらの積層体から構成されうる。その中でも、内部連通空間を有する3次元網状骨格構造のセラミックス多孔体であることがより好ましい。これにより、多孔質体の空隙率が高められながらも、多孔質体の機械的強度が高められるため、洗浄対象となる液体や気体が浄化材の内部を通過し易くしつつ、洗浄対象との摩擦等による破損や劣化を低減できる。ここで、基材が多孔質体からなる場合、基材の表面及び孔内部に光触媒結晶を含有する被覆が形成されていることが好ましい。これにより、光触媒結晶が形成される面積が増加し、且つ紫外光や可視光の届き難い孔内部における触媒活性が高められるため、浄化材の浄化作用をより高めることができる。
このようにして得られる多孔質体の空隙率は、60%以上95%以下が好ましい。空隙率が60%未満では、液体や気体を浄化材の内部に通じたときの圧力損失が大きくなるためエネルギーロスが大きくなる。また、空隙率95%を超えると、光触媒結晶を担持する担持体の表面積が小さくなるため、光触媒分解性能が低下する。従って、多孔質体の空隙率は、好ましくは60%、より好ましくは65%、さらに好ましくは70%、最も好ましくは75%を下限とする。一方、この多孔質体の空隙率は、好ましくは95%、より好ましくは90%、最も好ましくは85%を上限とする。
特に、多孔質体をセラミックス多孔体で構成する場合、セラミックス多孔体の骨格真比重は2.0〜3.5g/cmであり、見掛け比重は0.4〜0.6g/cmであることが好ましい。セラミックス多孔体の骨格真比重が2.0g/cm未満では、空孔率が低くなるので、光透過性も低下し光触媒としての効果が劣る。また、骨格真比重が3.5g/cmを超えると、高温(1600℃以上)で焼成する必要があり、製造コストの面で問題がある。一方で、見掛け比重が0.2g/cm未満では、担持体としての強度を確保し得ず、ガス成分との接触効率が低下する。また、0.6g/cmを超えると浄化材に液体や気体を通じたときの圧力損失が上昇し、用途が限定される等の問題を生じるおそれがある。
また、多孔質体の1インチ直線上の表面セルの数は、圧力損失の増大を抑えた上で高い比表面積を得るために、平均値で5〜50PPI(pores per inch)程度であることが好ましい。この値が5PPI未満では塵埃を捕集する効率が低下し、50PPIを超えると浄化材に液体や気体を通じたときの圧力損失が増大する。
この多孔質体には被覆が形成されており、この被覆に光触媒結晶が含まれることで、光触媒結晶が多孔質体に担持されている。ここで、多孔質体に担持される光触媒結晶の担持量は、光触媒特性を高める面からは多い程好ましいが、本実施態様で用いる多孔質体は比表面積が大きいため、多孔質体に対して0.01〜20質量%程度の範囲の担持量で光触媒結晶を担持することができ、これにより高い光触媒効果を得ることができる。ただし、本実施態様で用いる多孔質体は、多孔質体の内部に届くような少ない光量であっても光触媒特性が発現されるため、0.01〜5重量%程度の低い光触媒担持量であっても十分な光触媒効果を得ることができる。
このように多孔質体に光触媒結晶を担持してなる本実施態様の浄化材は、殺菌、消臭やVOC除去等のための、空気や水の浄化フィルターとして好ましく用いることができる。
なお、本実施態様では、浄化材の形状や大きさには特に制限はなく、使用目的に応じて適宜決定される。形状については、円筒形等の筒状として、被処理流体を筒体の外周面から内側へ透過させる、或いは被処理流体を筒体の孔部から外周側へ透過させるタイプであっても良く、また、平板状として、一方の板面から他方の板面へ被処理流体を透過させるものであっても良い。更に、波板状、その他の形状であっても良く、この浄化材に異なる機能を有する浄化フィルターを積層一体化したものとしても良い。
本実施態様の浄化材は、付着した有機物等を光触媒結晶によって分解できるため、基本的に自己再生型であり、交換の必要がないか、或いは交換頻度を大幅に低減することができる。また、交換する場合でも、使用済品を高温で加熱して再生後、再利用することができる。このとき、本実施態様で用いられる光触媒結晶は、高温で加熱しても光触媒結晶に相転移等が起こり難いため、高温で加熱することで再生しても光触媒特性が損なわれ難い。
[第2の態様]
本実施態様に係る第2の浄化材は、支持繊維からなる基材に光触媒結晶が担持されたものである。これにより、より少ない励起光によって浄化材による清浄作用が高められながらも、基材を気体や液体が通過し易くなるため、浄化性能を高めつつ、例えば空気清浄機に用いた場合等における消費電力を低減できる。また、基材の内部のように光が当たり難い箇所や、汚染された液体や気体を浄化する場合であっても光触媒特性が発現されるため、単位面積当たりの浄化性能をより高めることができる。
支持繊維の材質は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリオレフィン等の合成繊維の他、リンター、木綿、麻、木材パルプ、レーヨン等が用いられる。なかでも木材パルプ、レーヨン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミドが好適に用いられる。なお、繊維形状は同心円形でも異形断面でもよい。また倦縮のかかった繊維も使用できる。
ここで、本実施態様の基材は、活性炭を含有することも好ましい。活性炭によって浄化材に有機物が吸着され易くなり、且つ、活性炭に吸着された有機物が近傍にある光触媒結晶によって分解されるため、浄化材の浄化性能をより高めることができる。
活性炭の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、粒子状、粉末状、繊維状のいずれでも好適に用いられる。活性炭の材質は、粒子状や粉末状の活性炭であればヤシガラ系、木質系、石炭系等を好適に用いることができる。また、繊維状活性炭であれば、セルロース系、フェノール樹脂系、ピッチ系等を好適に用いることができる。
基材が活性炭を含有する場合、その含有量は、20重量%以上90重量%以下が好ましい。この含有量が20重量%未満では良好な吸着性能が得られず、90重量%を越えると浄化材の機械的強度が低下する。従って、基材に含まれる活性炭の含有量は、好ましくは20重量%、より好ましくは25重量%、最も好ましくは30重量%を下限とし、好ましくは90重量%、より好ましくは85重量%、最も好ましくは80重量%を上限とする。
また、本実施態様の基材は、接着性繊維を含有することも好ましい。接着性繊維は、水膨潤性繊維や熱溶融性繊維等、混抄時の接着成分となるものであればよく、例えば、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維やポリプロピレン−ポリエチレン、ポリエステル複合繊維、ポリアミド複合繊維等が好適に用いられる。これらの繊維は、シースコア構造やサイドバイサイド構造を持つものであってもよく、倦縮のかかったものであってもよい。
本実施態様の浄化材の厚みは、浄化対象となる液体や気体の種類やその清浄度に応じて適宜設定されるが、5mm以上500mm以下が好ましく、10mm以上60mm以下がより好ましく、40mm以上400mm以下が最も好ましい。
[第3の態様]
本実施態様に係る第3の浄化材は、ほぼ球状をなす上述のナシコン型結晶と、ナシコン型結晶の表面を覆う多孔質セラミックスからなる被膜とから構成される光触媒結晶を用いる。この被膜は、その全面に多数の細孔を有しており、これら細孔を通してナシコン型結晶の一部が外部に露出しているため、ナシコン型結晶が光触媒結晶の表面に含まれている。これにより、多孔質セラミックスの被膜に細孔がより均一に形成されるため、ナシコン型結晶の光触媒特性を十分に発揮できるとともに、光触媒結晶を有機素材で担持して浄化材を作成した場合に、有機素材の劣化を抑制することができる。それとともに、紫外光や可視光の届き難い細孔の内部における触媒活性が高められるため、浄化材の浄化作用をより高めることができる。
ナシコン型結晶に形成される被膜には、ナシコン型結晶の光触媒作用に対して不活性なセラミックス、例えばアルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネシア、カルシア及びアモルファスチタニアの少なくとも1種が使用される。さらに、この被膜には、被膜を貫通する多数の細孔が全体に渡って形成されており、ナシコン型結晶の一部がこの細孔を通じて外部に露出されるとともに、この細孔の孔径以下の物質は細孔を通過して被膜内へ入り込むことによりナシコン型結晶に吸着されるようになっている。そして、ナシコン型結晶は光が照射された際、吸着した物質に対して強力な酸化還元力を発揮するようになっている。
本実施態様の被膜の厚みは、浄化対象となる液体や気体の種類やその清浄度に応じて適宜設定されるが、50nm以上500μm以下が好ましく、100nm以上100μm以下がより好ましく、100nm以上10μm以下が最も好ましい。
本実施態様の光触媒結晶は、そのままでも光触媒特性を有するが、他の実施態様で用いられるナシコン型結晶の代わりに用いて浄化材を作製することが好ましい。また、本実施態様の光触媒結晶は、有機化合物に混練した状態で用いることも好ましい。これにより、光触媒結晶が混練された有機化合物の分解が低減されるため、浄化材をより幅広い用途に用いることができる。
[第4の態様]
本実施態様に係る第4の浄化材は、表面上に多数の微細孔を有する多孔材からなる基材の該表面上に、ナシコン型結晶を備えたものである。
ここで、基材を構成する多孔材は、表面に多数の微細孔を有する材料であり、例えば、活性炭等の多孔質炭素や、多孔質アルミ等の多孔質金属等があり、その他、セルロース、リグニン、キチン、キトサン、天然ゴム、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ゼオライト、シリカゲル、セピオライト、ミズカナイト、アルミナ、ルテニウム、酸化インジウム等がある。また、これらのうち少なくとも1種以上を組み合わせてもよい。多孔材としては特に、多量の光触媒結晶を多孔材の表面に分散した状態で担持できるため、比表面積が高いもの、すなわち珪藻土、漆喰、籾殻炭、椰子殻炭、竹炭及び木炭のうち少なくとも1種以上からなることが好ましい。
また、本実施態様の浄化材の表面におけるナシコン型結晶の含有量は、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて元素組成分析した結果、5〜40重量%であることが好ましい。この含有量が少なすぎると光触媒特性が低下し易くなり、この含有量が多すぎると基材に含まれる微細孔の表面積が少なくなるおそれがある。従って、本発明の浄化材の表面におけるナシコン型結晶の含有量は、好ましくは5%、より好ましくは8%、最も好ましくは12%を下限とし、好ましくは40%、より好ましくは36%、最も好ましくは32%を上限とする。特に、本発明の浄化材は、ナシコン型結晶を用いることで基材の内部に至るまで高い光触媒特性を有するため、浄化材の表面におけるナシコン型結晶の含有量を5%以上10%未満の範囲にしてもよい。これにより、基材による高い吸着性能と、ナシコン型結晶による高い光触媒特性とを両立させることができる。
<物性>
本発明の浄化材は、紫外領域から可視領域までのいずれかの波長の光、又はそれらが複合した波長の光によって触媒活性が発現される。より具体的には、浄化材に紫外領域から可視領域までのいずれかの波長の光を照射したときに、メチレンブルー等の有機物を分解する特性を有する。これにより、浄化材の表面に付着した汚れ物質や細菌等が酸化又は還元反応により分解されるため、浄化材を防汚用途や抗菌用途等に用いることができる。ここで、本発明の浄化材に含まれる光触媒結晶は、メチレンブルーの分解活性指数が3.0nmol/L/min以上であることが好ましく、4.0nmol/L/min以上であることがより好ましく、5.0nmol/L/min以上であることが最も好ましい。なお、本発明でいう紫外領域の波長の光は、波長が可視光線より短く軟X線よりも長い不可視光線の電磁波のことであり、その波長はおよそ10〜400nmの範囲にある。また、本発明でいう可視領域の波長の光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の電磁波のことであり、その波長はおよそ400nm〜700nmの範囲にある。
また、本発明の浄化材は、優れた耐熱性を有するようにしてもよい。これにより、浄化材が高温下におかれた場合にも光触媒特性が失われ難いため、特に高温の物質を浄化する場合にも、高い光触媒特性をもたらすことができる。
また、本発明の浄化材は、表面が親水性を呈することが好ましい。これにより、特に水やアルコール等やその蒸気を浄化する際に、浄化材に含まれるナシコン型結晶と水やアルコール等とが接触し易くなる。そのため、水やアルコール等やその蒸気を浄化する場合における浄化材の浄化特性を、より高めることができる。ここで、紫外領域から可視領域までのいずれかの波長の光、又はそれらが複合した波長の光を照射した際における、本発明の浄化材の表面と水滴との接触角は、30°以下が好ましく、25°以下がより好ましく、20°以下が最も好ましい。
<浄化材の用途>
本発明の浄化材は、種々の物質の浄化、より好ましくは水や空気等の無機物を主成分とする物質の浄化に好ましく用いることができる。これにより主として有機物からなる不純物等が分解されるため、浄化対象となる物質を清浄に保つことができる。特に、液体や気体の浄化に用いる場合、本発明の浄化材を用いて浄化フィルターを構成することも好ましい。これにより、浄化対象となる液体や気体が浄化フィルターを通過する際に、液体や気体の汚れによって光が浄化フィルターの浄化材に届き難くなっても、高い光触媒活性が得られるため、こうした汚れに強く自己再生し易い浄化フィルターを得ることができる。また、特に高温で加熱した浄化材の繊維や粒子を含んだ浄化フィルターでは、浄化材同士の摩擦や、浄化材と液体や気体との摩擦によっても浄化材が剥離し難いため、浄化フィルターの長寿命化を図ることができる。また、本発明の浄化フィルターは、フィルター表層の浄化材のみならず、フィルター内部の浄化材までもが高い光触媒特性を有するため、より小さい表面積で高性能な浄化フィルターを構成することが可能である。従って、このような浄化フィルターを用いて、脱臭装置や水処理装置を構成することも好ましい。なお、本発明の浄化材は、液体や気体の浄化の用途に限定されず、例えば液体や気体で汚染物質を抽出したり、浄化対象を加熱又は減圧して汚染物質を揮発させることで、土壌のような固体状の浄化対象を浄化することが可能である。
また、本発明の浄化材は、砂礫のような固体状の浄化対象を、液体や気体で抽出したり、揮発させたりすることなく直接浄化する用途にも好適に用いられうる。これにより、汚染物質を抽出する液体や気体の使用や、有害な気体の発生が低減されるため、浄化する際の環境負荷を低減することが可能である。
固体状の浄化対象を直接浄化する具体的態様としては、透明基材と、この透明基材の一方の面に形成された浄化材を含有する触媒層と、からなり、この透明基材の他方の面側に光源を備えた浄化ユニットを構成することも好ましい。これにより、透明基材の他方の面側から照射されて透明基材を透過した光によって、透明基材の一方の面側の触媒層が触媒活性を発現するため、浄化対象によって光が遮られることなく、この触媒層の近傍にある固体状の浄化対象を直接浄化することができる。
この場合、透明基材として、ガラスを用いることが好ましい。これにより、基材がナシコン型結晶に近い屈折率を有するため、特に光を透過させる用途に基材を用いる場合に、被覆が形成された基材全体としての光透過性を高めることができる。ここで、ガラスとしては、パイレックス(登録商標)ガラス、ソーダライムガラス、及び石英ガラスが挙げられる。
その中でも特に、基材としてアルカリ金属成分を含有するガラスを用いることが好ましい。このようなガラスは、例えばソーダガラスのように安価であることが多い反面で、アルカリ金属成分の被覆への溶出が多い材料でもある。すなわち、基材に含まれるアルカリ金属成分が被覆に溶出しても触媒層の光触媒特性が失われ難く、むしろ光触媒特性が高められ易くなる。また、ソーダガラス等のような安価なガラスに対して、アンダーコートを形成せずに光触媒特性の高い触媒層を形成できる。従って、透明基材の光透過特性を犠牲にすることなく、透明基材に高い浄化作用を有する触媒層を形成することができる。
この場合、被覆の膜厚は0.5μm以下にするのが好ましく、0.3μm以下にするのがより好ましく、0.2μm以下にするのが最も好ましい。これにより、触媒層のうち浄化対象に接する部分が励起され易くなるため、触媒層による浄化作用をより高めることができる。
<浄化材の製造方法>
次に、本発明の浄化材を好適に作製できる製造方法について説明する。
この製造方法は、例えば、基材の少なくとも表面にナシコン型結晶を含有させる触媒化工程を有するものである。
以下、本発明の浄化材の製造方法の具体的態様について説明する。
[第1の態様]
本実施態様に係る第1の浄化材の製造方法は、上述のナシコン型結晶の微粒子を含むコーティング材を用い、このコーティング材に内部連通空間を有する多孔質体を浸漬してセラミックス多孔体にコーティング材を付着させる触媒化工程を行い、その後乾燥工程を行った後で加熱工程を行ってナシコン型結晶を多孔質体に担持させる。このようなコーティング材を用いることで、ナシコン型結晶が多孔質体に密着性良く担持されるため、光触媒膜の剥離の問題を解消することができ、且つ、光触媒膜厚を厚くすることもできる。
(基材の作製工程)
本発明で用いられる基材の材質は、コーティング材とのぬれ性等に応じても適宜選択される。より具体的には、金属(例えばアルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル)、セラミックス、グラファイト、ガラス、木、石、布、セメント、プラスチック(例えばアクリル材、PET)、コンクリート等を用いてもよい。その中でも特に、金属、セラミックス、グラファイト、ガラス(特にパイレックス(登録商標)ガラスや石英ガラス)、石、セメント、コンクリート若しくはそれらの組み合わせ、又はそれらの積層体から構成されることが好ましい。これにより、耐熱性を有する基材が用いられるため、加熱工程の加熱温度を高めることで、被覆の基材に対する付着性をより高めることができる。
特に、本実施態様で基材となる多孔質体は、金属多孔体、セラミックス多孔体、グラファイト多孔体、ガラス多孔体、又はそれらの積層体から構成されうる。その中でも、内部連通空間を有する3次元網状骨格構造の合成樹脂発泡体をセラミックススラリーに浸漬して上記合成樹脂発泡体にセラミックスを付着せしめた後、乾燥及び焼成して得られる3次元網状骨格構造のセラミックス多孔体であることが好ましい。これにより、合成樹脂発泡体に対応したセル構造の内部連通空間を有する、3次元網状骨格構造のセラミックス多孔体を得ることができる。
合成樹脂発泡体としては、内部連通空間を有する3次元網状骨格構造を有すればいずれのものも使用できるが、軟質ポリウレタンフォーム、特にセル膜のない軟質ポリウレタンフォームが好適に使用できる。このセル膜のないポリウレタンフォームとしては、発泡時のコントロールによりセル膜をなくしたもの、或いはアルカリ処理、熱処理、水圧処理等によりセル膜を除去したものが使用できる。ここで、セル数や空孔率その他の物性は、浄化材の用途に応じて選択することができる。
セラミックス多孔体を構成するセラミックスとしては、アルミナ、シリカ、コーディエライト等の酸化物セラミックスに加えて、炭化珪素、窒化珪素等の非酸化物セラミックス等が挙げられる。
ここで、セラミックススラリーには、その安定性を増加させるために粘土を配合してもよい。粘土としては、例えば木節粘土や蛙目粘土等が使用でき、その配合量は全セラミックス成分に対して0〜15重量%の範囲内にすることができる。この配合量を15重量%より多く配合するとチクソトロピー指数が変化して目詰まりの原因となる。また、セラミックススラリーには、必要に応じてポリビニルアルコールやカルボキシルメチルセルロース等の結合剤を配合することで、チクソトロピー性を調整してもよい。このセラミックススラリーの粘度は、目的とするセラミックス多孔体の空隙率等に応じ、水等の溶媒の添加量を加減して調節することができる。
ここで、多孔質体はアルカリ金属成分を含有していることが好ましい。これにより、基材にアルカリ金属成分が含まれることになるが、基材に含まれるアルカリ金属成分が被覆に溶出しても、被覆に含まれる光触媒結晶の光触媒特性や超親水性が失われ難く、むしろ光触媒特性や超親水性が高められ易くなる。そのため、より幅広い材料に、高い光触媒特性や超親水性をもたらすことができる。多孔質体にアルカリ金属成分を含有させる態様としては、セラミックススラリーにアルカリ金属成分を含有させることが挙げられる。
本実施態様で用いられる基材は、特にセラミックススラリーからなる場合、以下に述べるコーティング材の作製工程を行う前に焼成を行うことで、セラミックススラリーから揮発する成分によってコーティング材から形成される被覆に孔が形成され難くなり、且つ、表面の凹凸や細孔に沿って被覆が形成されるため、浄化材の単位面積当たりの浄化特性を高めることができる。一方で、後述するコーティング材の作製工程を行った後でセラミックススラリーの焼成を行うことも好ましい。これにより、後述する加熱工程とセラミックススラリーの焼成が同時に行われてもナシコン型結晶の相転移が起こり難いため、所望の光触媒特性を得ながらも、浄化材の製造コストをより低減することができる。このとき、セラミックススラリーの焼成を行う条件は、後述する加熱工程と同様の条件を用いることができる。ただし、焼成を行う際の雰囲気温度である焼成温度は、ナシコン型結晶の熔融による光触媒特性の消失を抑える観点から、ナシコン型結晶が熔融しない範囲の温度で設定されることが好ましい。
(コーティング材の作製工程)
このように得られる多孔質体からなる基材に上述のナシコン型結晶を担持させるため、例えば無機若しくは有機のバインダー及び/又は溶媒等と混合して、ゾル状のコーティング材を作製する。
ナシコン型結晶は、必要に応じてボールミル等で粒径及び/又は粒度分布を調整することが好ましい。これにより、ナシコン型結晶の粒度が揃えられるため、浄化材の光触媒特性や親水性のばらつきを低減することができる。ここで、ナシコン型結晶の平均粒子径は、例えばレーザー回折散乱法によって測定した時のD50(累積50%径)の値を使用できる。具体的には日機装株式会社の粒度分布測定装置MICROTRAC(MT3300EXII)よって測定した値を用いることができる。なお、例えば有機金属塩溶液からなる原料を火炎中に噴霧して微粒子状のナシコン型結晶やその前駆体を形成する場合、粒径及び/又は粒度分布の調整は行わなくてもよい。
ナシコン型結晶の平均粒径は、10〜200nmであることが好ましい。ナシコン型結晶の平均粒径が200nmを超えると、多孔質体の表面積が小さくなるため、光触媒性能が低下する。一方で、ナシコン型結晶の平均粒径が10nm未満では、ナシコン型結晶の生成が困難になるため、浄化材の製造コストが高くなる。
ここで、ナシコン型結晶の粉粒体に無機バインダーを混合する場合、ナシコン型結晶に混合する無機バインダーは、特に限定されるものではないが、紫外線や可視光線を透過する性質のものが好ましく、例えば、珪酸塩系バインダー、リン酸塩系バインダー、無機コロイド系バインダーや、アルミナ、シリカ及びジルコニア等の微粒子等を挙げることができる。
また、ナシコン型結晶の粉粒体に有機バインダーを混合する場合、ナシコン型結晶に混合する有機バインダーは、例えば、プレス成形やラバープレス、押出成形又は射出成形用の成形助剤として汎用されている市販のバインダーを用いることができる。具体的には、アクリル樹脂、エチルセルロース、ポリビニルブチラール、メタクリル樹脂、ウレタン樹脂、ブチルメタアクリレート、及び、ビニル系共重合物等が挙げられる。
また、ナシコン型結晶の粉粒体に溶媒を混合する場合、溶媒は、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールといったアルコール;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンといったエーテル;塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルム、四塩化炭素といったハロゲン化炭素;ヘキサンといった脂肪族炭化水素;シクロヘキサンといった環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンといった芳香族炭化水素;並びに、酢酸、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン及びポリビニルアルコール(PVA)等の公知の溶媒や、これらの組み合わせが使用できる。その中でも特に、環境負荷を軽減できる点で、アルコール又は水を用いて水性ゾルを作製することが好ましい。
コーティング材に溶媒やバインダーを用いる場合、コーティング材に含まれるナシコン型結晶の含有量は、コーティングする基材の材質や、バインダー及び/又は溶媒の種類に応じて適宜設定できる。そのため、コーティング材におけるナシコン型結晶の含有量は、特に限定されるものではないが、その一例を挙げれば、十分に光触媒特性を発揮させる観点から、好ましくは2質量%、より好ましくは3質量%、最も好ましくは5質量%を下限とする。一方で、基材の内部にナシコン型結晶を担持し易くする観点から、好ましくは80質量%、より好ましくは70質量%、最も好ましくは65質量%を上限とする。なお、基材の表面のみにナシコン型結晶を担持させる場合は、ナシコン型結晶をさらに高めてもよく、好ましくは80質量%、より好ましくは70質量%、最も好ましくは65質量%を上限としてもよい。
ここで、コーティング材には、化合物結晶や非金属元素成分、電子吸引性物質等を混合してもよい。
化合物結晶の含有量は、所望とする特性に応じて適宜設定できる。ここで、化合物結晶の量が過小であると、浄化材の光触媒特性や機械的特性等が調整され難くなる。一方で、化合物結晶の量が過剰であると、後述する加熱工程を高温で行った場合や、浄化材を高温下に置いた場合に、光触媒特性が損なわれ易い。また、後述する加熱工程を高温で行わなかった場合に、形成される被覆の基材への密着性や耐久性が損なわれ易い。そのため、混合する化合物結晶の量の下限は、ナシコン型結晶の全質量に対する質量比で0.5%であることが好ましく、より好ましくは3.0%、最も好ましくは10.0%である。他方、混合する化合物結晶の量の上限は、ナシコン型結晶の全質量に対する質量比で95.0%であることが好ましく、より好ましくは80.0%、さらに好ましくは60.0%、最も好ましくは30.0%である。
非金属元素成分としては、例えばF成分、Cl成分、Br成分、S成分、N成分及びC成分からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これら非金属元素成分をコーティング材に含ませることで、非金属元素成分がナシコン型結晶に固溶し、又はその近傍に存在することで、光触媒結晶の光触媒特性を向上できる。しかし、これら非金属元素成分の含有量が合計で20.0%を超えると、形成される被覆の機械的特性が著しく悪くなり、浄化材の光触媒特性も低下し易くなる。従って、被覆の良好な機械的特性及び光触媒特性を確保するために、ナシコン型結晶の全質量に対する非金属元素成分の含有量の合計は、好ましくは20.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは5.0%、最も好ましくは3.0%を上限とする。
これらの非金属元素成分は、フッ化物、塩化物、臭化物、硫化物、窒化物、炭化物等の形で混合できる。このとき、非金属元素成分を、電子吸引性物質のフッ化物、塩化物、臭化物、硫化物、窒化物、炭化物等の形で混合してもよい。これにより、非金属元素成分及び電子吸引性物質の双方によって光触媒特性が向上するため、より光触媒特性の高い浄化材を得ることができる。
一方、電子吸引性物質の含有量も、所望とする特性に応じて適宜設定できる。しかし、電子吸引性物質の含有量が合計で5.0%を超えると、被覆の機械的特性が著しく悪くなり、浄化材の光触媒特性もかえって低下し易くなる。従って、良好な機械的特性及び光触媒特性を確保するために、ナシコン型結晶の全質量に対する金属元素成分の含有量の合計は、好ましくは10.0%、より好ましくは5.0%、最も好ましくは1.0%を上限とする。
また、コーティング材の均質化を図るために、溶媒やバインダーに、適量の分散剤を併用してもよい。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン及びシクロヘキサン等の炭化水素類、セロソルブ、カルビトール、テトラヒドロフラン(THF)及びジオキソラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類、並びに、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル及び酢酸アミル等のエステル類等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(触媒化工程)
本実施態様では、このようにして作製されたコーティング材を用いて、多孔質体にコーティング材を付着させる触媒化工程を行う。これにより、多孔質体の表面にナシコン型結晶を多く含有する被覆が形成されるため、より少ないナシコン型結晶の使用量で高い光触媒特性を得ることができる。
コーティング材を付着させる態様は、コーティング材の粘度や、コーティング材とセラミックス多孔体との濡れ性に応じて適宜設定される。すなわち、コーティング材の液中にセラミックス多孔体を浸してもよく、多孔質体にコーティング材を注入してもよい。前者により、より多数の多孔質体に同時にコーティング材が付着されるため、浄化材の生産性をより高めることができる。一方で、後者により、多孔質体のうちコーティング材が入り難い部分にもコーティング材を確実に供給できるため、浄化材の光触媒特性をより高めることができる。
なお、基材の表面のみに被覆を形成する場合は、例えばディップコート法、スピンコーティング法、噴霧法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、液相析出法、スパッタ法や真空蒸着法等の真空成膜法、焼き付け法、スプレーコート法、パイロゾル法、CVD法等を用いてもよい。特に、コーティング材が溶媒やバインダーを含まない場合、例えばスパッタ法を用いることも好ましい。これにより、ナシコン型結晶を含んだコーティング材が基材に被着されるため、基材とコーティング材との付着性をより高めることができる。
(乾燥工程)
次いで、コーティング材が付着した多孔質体に対して、乾燥工程を行うことが好ましい。乾燥工程を行うことにより、コーティング材に含まれていた溶媒や反応の副生成物である水分や有機物等が分解され、ガス化して排出されるため、コーティング材の粒子同士の密着性を高められることで、コーティング材の基材に対する付着性をより高めることができる。
ここで、乾燥工程を行う際の雰囲気温度(乾燥温度)の下限は、水分や有機物の分解を充分に進められる観点から、好ましくは200℃、より好ましくは250℃、最も好ましくは300℃とする。一方、乾燥温度の上限は、加熱温度より低い温度であればよく、例えば1200℃、より好ましくは1100℃、最も好ましくは1000℃であってもよい。乾燥時間は、コーティング材に含まれる溶媒やバインダーの種類によっても異なるが、例えば2〜12時間程度の時間をかけて行うことが好ましい。
(加熱工程)
次いで、コーティング材が付着した多孔質体に対して、加熱工程を行うことが好ましい。加熱工程を行うことにより、ナシコン型結晶を含有する被覆がコーティング材によって形成され、且つ、基材とコーティング材の被覆との結合が促進されることで、ナシコン型結晶が多孔質体に密着性良く担持されるため、光触媒膜の剥離の問題を解消することができ、且つ、光触媒膜厚を厚くすることもできる。従って、浄化対象となる液体や気体との摩擦等による、浄化特性の経年的な劣化を低減することができる。
加熱工程における加熱の条件は、コーティング材の組成等に応じ、適宜設定されてよい。具体的には、加熱工程を行う際の雰囲気温度(加熱温度)の上限は、基材の耐熱性や、ナシコン型結晶が溶解等により消滅しない範囲を考慮して選択される。従って、焼成温度の上限は、好ましくは1200℃であり、より好ましくは1100℃であり、最も好ましくは1000℃である。一方で、加熱工程を行う際の雰囲気温度の下限は、溶媒やバインダーが蒸発又は分解する温度や、基材と被覆との結合が促進される度合い考慮して選択される。従って、焼成温度の下限は、好ましくは300℃であり、より好ましくは400℃であり、最も好ましくは500℃である。
ここで、加熱温度は、700℃以上で行うことがより好ましい。本発明の浄化材では、酸化チタン系等の光触媒を用いた場合に比べて、光触媒結晶の高温での相転移による変質や、基材中の成分の溶出による悪影響が起こり難くなる。そのため、より短時間で加熱工程を行うことができ、且つ、基材と被覆との結合をより強固にすることができる。
加熱工程における加熱時間は、加熱温度や加熱温度までの昇温速度に応じて設定される。加熱温度までの昇温速度を遅くすれば、加熱温度まで加熱するだけでよい場合もあるが、目安としては加熱温度が高い場合は加熱時間を短く設定し、加熱温度が低い場合は加熱時間を長く設定することが好ましい。具体的には、基材と被覆との結合を強固にでき得る観点で、好ましくは30分、より好ましくは1時間、最も好ましくは2時間を下限とする。一方、加熱時間が24時間を越えると、加熱によってナシコン型結晶が大きくなり過ぎることで、かえって光触媒特性や超親水性が損なわれるおそれがある。従って、加熱時間の上限は、好ましくは24時間、より好ましくは18時間、最も好ましくは12時間とする。なお、ここでいう加熱時間は、加熱工程のうち加熱温度が一定(例えば、上記設定温度)以上に保持されている時間の長さを指す。
加熱工程は、例えばガス炉、マイクロ波炉、電気炉等の中で、空気交換しつつ大気中で行うことが好ましい。ただし、この条件に限らず、上記の工程を、不活性ガス雰囲気、還元ガス雰囲気、酸化ガス雰囲気にて行ってもよい。
なお、本実施態様で用いられる基材の材質は、上述の多孔質体に限られず、コーティング材とのぬれ性等に応じても適宜選択されてもよい。すなわち、金属(例えばアルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル)、セラミックス、グラファイト、ガラス、木、石、布、セメント、プラスチック(例えばアクリル材、PET)、コンクリート等を用いてもよい。その中でも特に、金属多孔体、セラミックス多孔体、グラファイト多孔体、ガラス多孔体、又はそれらの積層体から構成されることが好ましい。本発明の浄化材は、基材となる多孔体の孔の内部のように弱い光しか届かない箇所であっても高い浄化作用が発現されるため、浄化材の浄化特性をより高めることができる。一方で、上述の加熱工程を行い易くする観点では、金属、セラミックス、グラファイト、ガラス(特にパイレックス(登録商標)ガラスや石英ガラス)、石、セメント、コンクリート若しくはそれらの組み合わせ、又はそれらの積層体から構成されることが好ましい。これにより、耐熱性を有する基材が用いられるため、加熱工程の加熱温度を高めることで、被覆の基材に対する付着性をより高めることができる。
また、加熱工程の具体的な工程は特に限定されないが、コーティング材の被覆された基材を設定温度へと徐々に昇温させる工程、この基材を設定温度に一定時間保持する工程、及び、この基材を室温へと徐々に冷却する工程を含んでよい。
また、本実施態様で用いられる浄化材は、ナシコン型結晶を混練したセラミックススラリーからなる基材から作製することも好ましい。セラミックススラリーからなる基材を用い、ナシコン型結晶をセラミックススラリーに混練する触媒化工程を行い、ナシコン型結晶を混練した基材を焼成してセラミックスからなる浄化材を形成することで、高温で焼成しても光触媒結晶に相転移が起こり難くなるため、コーティング材の作製工程や被覆の形成工程を省略して浄化材を作製することができる。ここで、セラミックススラリーには、さらに樹脂を混練することがより好ましい。これにより、多孔質のセラミックスからなる浄化材が形成されるため、発泡体基材の内部までもが所望の光触媒特性を有する浄化材を作製することができる。ここで、基材を焼成する条件は、上述の加熱工程と同様の条件を用いることができる。また、焼成前の基材に対して、上述の乾燥工程と同様の条件で乾燥を行ってもよい。
[第2の態様]
本実施態様に係る第2の浄化材の製造方法は、支持繊維からなる基材を用い、これに光触媒結晶を担持させるものである。これにより、基材を気体や液体が通過し易くなるため、浄化性能を高めつつ、例えば空気清浄機に用いた場合等における消費電力を低減できる。
本実施形態の基材は、予め活性炭、支持繊維、接着性繊維等を水中に分散させてスラリーを形成し、これを長網式等の方法によって水分を除去して湿潤ウェッブをつくり、その後プレスローラーで軽く絞る方法、或いは、水分を吸引した後に回転乾燥ドラムで乾燥する方法で作製できる。このとき、スラリーに高分子系や無機系の分散剤や凝集剤を適量添加してもよい。これにより、所望の形態の基材を歩留まりよく作製することができる。
得られた基材に対しては、第1の態様と同様の触媒化工程を行うことで、上述の光触媒結晶を担持する。このとき、浄化材への光触媒結晶の担持量は、5g/m以上70g/m以下が好ましい。担持量が5g/m未満では、発現する光触媒結晶効果が小さく、光照射による脱臭能力が向上し難い。一方で、担持量が70g/mを越えると、光触媒結晶を担持したときに、支持繊維の間隙にまで光触媒結晶担持物が入り込むため、浄化材の通気抵抗が急上昇する。従って、浄化材への光触媒結晶の担持量は、好ましくは5g/m、より好ましくは10g/m、最も好ましくは15g/mを下限とし、好ましくは70g/m、より好ましくは65g/m、最も好ましくは60g/mを上限とする。
光触媒結晶を担持させた基材は、乾燥工程のみを行って加熱工程を行わなくてもよい。しかし、特に支持繊維としてガラス繊維やフッ素繊維のように不燃性の繊維を用いる態様では、乾燥工程の後で加熱工程を行うことも好ましい。これにより、光触媒結晶と支持繊維の結合が強固になるため、より高い耐久性を有する浄化材を得ることができる。
本実施態様の浄化材には、さらに通気性シートを積層してもよい。ここでいう通気性シートの種類は、例えば不織布状、織物状、ニット状等が挙げられる。通気性シートの材質は、木材パルプ、レーヨン、アセテート、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリクラールや、それらの混合物等が好適に用いられる。
このような通気性シートとして、永久帯電されたシートを用いることがより好ましい。これにより、タバコ煙粒子、カーボン粒子、海塩粒子をはじめとするサブミクロン粒子に対する除去効果をより高めることができる。永久帯電されたシートを得る方法としては、永久帯電が可能な原料からなる繊維を不織布に成形してコロナ荷電処理を施す方法や、永久帯電されたフィルムを割繊繊維化して不織布に成形するフィルムスプリット法のように、公知の方法を用いる事が出来る。
本実施態様の浄化材の使用態様は特に限定されず、浄化材をプリーツ状や波状に成形して空気浄化用の浄化フィルターを作製してもよい。しかし、本実施態様の浄化材は、平板状のまま用いることがより好ましい。これにより、基材の内部のように光が当たり難い箇所であっても光触媒特性が発現されることで、浄化材の主表面積を広げる必要がなくなるため、浄化材の成形に要する工数を削減し、浄化フィルターの製造コストを低減できる。
[第3の態様]
本実施態様に係る第3の浄化材の製造方法は、親水化した金属アルコキシドを含む被膜前駆体にナシコン型結晶を浸漬することで作製した光触媒結晶を用いる。これにより、ナシコン型結晶の表面に被膜前駆体からなる被膜が形成されるため、有機化合物に担持させ易い光触媒結晶を得ることができる。
被膜を作製するには、まず、金属アルコキシドに対して、酸触媒の存在下で多価アルコールによる親水化反応を行って親水化させ、被膜前駆体を作製する。
金属アルコキシドとしては、アルミニウム、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、カルシウム、チタニウム等のアルコキシド及びそれらの混合物のアルコキシドが挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールが挙げられる。この実施態様では、金属アルコキシドとして、金属が珪素であるテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を用い、多価アルコールとしてエチレングリコール(EG)を用いた例が例示される。なお、テトラエチルオルトシリケートに代えて、テトラメチルオルトシリケート、テトラブチルオルトシリケート等を使用してもよい。このときの親水化反応は、酸触媒の存在下で例えば以下のように進められる。
Si(OC+nHOCOH→Si(OC4−n(OCOH)+nCOH
この反応式に示したように、TEOSは、分子の末端の−Cが親水基である−COHに置換されることで、親水化TEOSになる。上述の反応式から、4つのアルコキシ基の全てを置換するには、理論的には1molのTEOSに対してEGを2mol反応させればよい。TEOSに十分な親水性を付与するには4つのアルコキシ基のうち少なくとも2つのアルコキシ基の末端を置換すればよいため、1molのTEOSに対して1.5mol以上2mol未満のEGを反応させることが好ましい。EGが1.5mol未満では、分子の末端の一部が置換されていないTEOSが存在する可能性があるため、十分な親水化が行われない。また、EGを2mol以上添加しても、親水化反応に及ぶ影響は軽微である。
親水化反応を開始するとき、被膜前駆体及び多価アルコールを混合した液体は2層に分離した状態にあるが、反応後には無色透明で均一な液体となる。なお、この反応は常温でも進行するが、親水化された被膜前駆体の他に副生成物として生成されたエタノールを蒸発させて除去するために75〜80℃に加熱することが好ましい。
さらに、上述の被膜前駆体の親水化反応時に多孔質化剤として有機高分子が添加されることにより被膜前駆体が作製される。添加される有機高分子としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、セルロース、セルロース誘導体等の水溶性ポリマーが挙げられる。この実施態様では、所定の分子量を有し、且つ常温で液体であることから、親水化した金属アルコキシドへの添加が容易な分子量が400のポリエチレングリコール(PEG)が好ましく使用される。なお、有機高分子は被膜前駆体の親水化反応後に添加してもよい。
上記のようにして作製された被膜前駆体に対して、流速を調整しながら水を加えて膜材水和液を作製した後、この膜材水和液にナシコン型結晶を投入し、均一となるように混合して混合スラリーを作製する。これにより、親水化した被膜前駆体が、作製された混合スラリー中においてナシコン型結晶とともに均一に分散される。このため、被膜に細孔をより均一に形成することができ、ナシコン型結晶の光触媒特性を十分に維持することができるとともに、ナシコン型結晶を担時する有機素材の劣化を抑制することができる光触媒結晶を製造することができる。
ここで、被膜前駆体に対して水を加える際には、まず、被膜前駆体とほぼ等量になるまで水を緩やかに加える。その後、所定量になるまで水を素早く加える。このとき、被膜前駆体と等量となるまでの水を加える時間と、その後に水を加える時間とがほぼ等しくなるように、最初は遅い流速で水を加え、その後は速い流速で水が加えることが好ましい。これにより、被膜前駆体が水中で均一に分散されるため、より均一な厚さの被膜を形成できる。その後、膜材水和液にナシコン型結晶を加えて攪拌することで、液中でナシコン型結晶が均一に分散されるため、ナシコン型結晶の表面を被膜前駆体によって均一に覆うことができる。
なお、これとは逆に、水に対して被膜前駆体を加えた場合、親水化された被膜前駆体の水に対する急激な水和反応によって液体が白濁し、液中にコロイド状の粒子が形成されて被膜前駆体が均一に分散しない。そのため、水に対して被膜前駆体を加える方法は好ましくない。
上記混合スラリーを噴霧乾燥して粉末状の乾燥物を作製した後、この乾燥物を加熱焼成することによって、ナシコン型結晶の表面に被膜の形成された光触媒結晶を作製する。
混合スラリーを噴霧乾燥するときには、噴霧乾燥装置(スプレードライヤー)が好ましく用いられる。噴霧乾燥装置は、加熱状態の乾燥室内でノズルから混合スラリーを吹き出し、微粒子状の液滴にした状態でこの液滴を熱風に接触させて液滴を乾燥させることで、被膜前駆体で覆われたナシコン型結晶からなる粉末状の乾燥物を得る装置である。噴霧乾燥装置としては、微粒化装置の特徴によってディスクアトマイザー、二流体ノズル、四流体ノズル等の種類が挙げられ、ナシコン型結晶の粒径に応じて使い分けられる。
上記乾燥物は、陶磁器製の焼成容器であるコウ鉢(ムライト製)内に装填して加熱を行う。ここで、コウ鉢の内部には乾燥物を収容するための収容室が形成されており、この収容室は格子状をなすステンレス鋼(SUS310S)製の仕切り板によって複数の仕切室に区分けされている。これらの仕切室内に装填された乾燥物を収容する。
1つの仕切室内に収容される乾燥物の容量は20〜40cmの範囲内であることが好ましい。容量が20cm未満では、加熱を行った後に得られる光触媒結晶の量が少なく、不経済である。一方で、40cmよりも多いと、乾燥物の加熱が不十分となるおそれがある。ここで、乾燥物の容量は、好ましくは20cm、より好ましくは25cm、最も好ましくは30cmを下限とする。一方で、この乾燥物の容量は、好ましくは40cm、より好ましくは38cm、最も好ましくは35cmを上限とする。このとき、乾燥物からなる層の厚みは10〜40mm程度とすることがさらに好ましい。
ここで、仕切り板と乾燥物の間には隙間を形成し、この隙間から乾燥物に対して、加熱を行う際に必要な酸素を十分に供給することが好ましい。これにより、仕切り板と乾燥物の各粒子の間に形成された隙間から十分な酸素が供給されるとともに、加熱を行う際に生ずる二酸化炭素が効率よく排気されるため、被膜前駆体中の有機物を確実に燃焼させて均一な細孔を形成することができる。
乾燥物に対して加熱を行うことにより、分子中の有機分が焼失した被膜前駆体が焼結され、光触媒作用に対して不活性なセラミックスの膜がナシコン型結晶の表面に形成されて、ナシコン型結晶の粒子が覆われる。このとき、親水化された被膜前駆体の有機分、被膜前駆体中に混入された有機高分子等の有機物が焼失することにより膜の全面に多数の細孔が形成され、光触媒結晶が形成される。また、加熱を行う際に有機物が焼失することにより生ずる二酸化炭素は、仕切り板と乾燥物との間の隙間から外部に放出される。
加熱における加熱の条件は、被膜を構成するセラミックスの組成等に応じ、適宜設定されてよい。具体的には、加熱を行う際の雰囲気温度(加熱温度)の上限は、被膜の耐熱性や、ナシコン型結晶が溶解等により消滅しない範囲を考慮して選択される。従って、加熱温度の上限は、好ましくは1200℃であり、より好ましくは1100℃であり、最も好ましくは1000℃である。一方で、加熱を行う際の雰囲気温度の下限は、被膜前駆体や有機高分子等が蒸発又は分解する温度や、セラミックスの焼結が促進される度合いを考慮して選択される。従って、加熱温度の下限は、好ましくは300℃であり、より好ましくは400℃であり、最も好ましくは500℃である。
ここで、加熱温度は、700℃以上で行うことがより好ましい。この光触媒結晶は、酸化チタン系等の光触媒を用いた場合に比べて、ナシコン型結晶の高温での相転移による変質や、被膜中の成分の溶出による悪影響が起こり難くなる。そのため、より高温で加熱を行うことでより短時間で加熱を行うことができ、被膜となるセラミックスの機械的強度を高めることができ、且つ、被膜とナシコン型結晶との結合をより強固にすることができる。
なお、本実施態様では、混合スラリーを作製するとき、水にナシコン型結晶を添加してスラリーを作製した後、被膜前駆体に対してこのスラリーを添加して混合スラリーを作製してもよい。
また、焼成に用いられる容器は、陶磁器製のコウ鉢に限定されず、例えば仕切り板と同様のステンレス鋼より形成された四角形状の箱や有底円筒状の筒等であってもよい。
また、被膜前駆体を作製する際に、多孔質化剤として、PEG等の水溶性ポリマー以外に、有機側鎖を有するシラン系アルコキシドであるA−187(日本ユニカ社製シランカップリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を用いてもよい。この場合、有機高分子の用いる量を低減するか、或いは有機高分子を用いなくとも、多孔質セラミックスの被膜を形成できる。
[第4の態様]
本実施態様に係る第4の浄化材の製造方法は、ナシコン型結晶とその前駆体とを含有するコーティング材を、基材である多孔材の表面上に塗布又は噴霧した後、加熱工程を行うものである。これにより、加熱を行うことで前駆体の分解が進み、基材及びナシコン型結晶の両方を取り込んだ重合反応が進むため、被覆やナシコン型結晶の基材に対する付着性をより一層高めたコーティング材を得ることができる。このとき、コーティング液に含まれているナシコン型結晶が結晶核になって、混合液からナシコン型結晶が成長するため、より確実且つ迅速にナシコン型結晶構造を形成できる。本実施態様では、加熱工程を行っても、ナシコン型結晶からなる光触媒結晶に相転移が起こり難いため、多孔材と光触媒結晶の付着性を高めながら、光触媒結晶により得られる光触媒特性をより高めることができる。
ここで、ナシコン型結晶の前駆体は、乾燥及び加熱等を施すことによって、ナシコン型結晶に変化する物質をいい、例えば、第一元素A、第二元素B及び第三元素Xを含んだ混合液が挙げられる。
本実施態様では、まず、ナシコン型結晶、第一元素A、第二元素B及び第三元素Xを含んだ混合液を作成する。混合液は、さらに溶媒を含んでもよい。混合液とは溶液に限定されず懸濁液も含む。ここで、第一元素A、第二元素B及び第三元素Xは、ナシコン型結晶の化学量論比に応じて調合し、均一に混合することが好ましい。
混合液には、pH調整剤やTi含有化合物の分解抑制剤を適宜添加することができる。また、反応開始剤や反応促進剤を添加することもできる。これらの試薬は、混合液を作成する工程で添加してもよく、その後の工程で添加してもよい。
この様にして作製した混合液を必要に応じて反応させて、コーティング材を作成する。混合液の反応は、室温で攪拌することによって行ってもよく、適宜加熱してもよい。混合液を作成する工程と、混合液を反応させる工程とは、同時に行うこともできる。
混合液の反応とは、混合液中の第一元素A、第二元素B若しくは第三元素Xを含んだ化合物、それらの化合物に由来する成分、溶媒、又はそれらの組み合わせが関与する反応をいう。例えば、遷移金属イオン及びポリリン酸イオンが凝集して微粒子となってゾルを形成する反応や、遷移金属イオンにリン配位子が配位した錯体を形成する反応、等が挙げられる。アルコキシドの分解反応には、加アルコール分解及び加水分解が含まれる。
ここで、ナシコン型結晶の前駆体は、反応後の混合液を乾燥及び/又は加熱したときにナシコン型結晶を形成すればよく、混合液の反応によってナシコン型結晶を形成してもよい。
また、コーティング材は、触媒化工程での塗布等を行い易くするため、流動性を有することが好ましい。流動性を有するために、ナシコン型結晶の前駆体を微粒子として含んだゾル状の組成物にすることが好ましい。流動性を有するコーティング材を塗布し、基板上で化学的にナシコン型結晶を生成させることにより、所望の性能を有する均一で大面積の膜を容易に作成することができる。
ここで、コーティング材は、上述の混合液に加えて、アルコール、エーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシメチレン、又はそれらの組み合わせをさらに含有してもよい。これらの添加物は、常温常圧で液体であってもよく、固体であってもよい。これらの添加物を用いることにより、コーティング材の特性、例えば揮発性や粘性を制御することができる。より具体的には、溶媒の乾燥による膜の白濁や凹凸の形成を低減したり、前駆体濃度を低減して粘性を小さくしたりすることができる。その結果、一回のコーティングで成膜される膜厚を制御しつつ、膜の均一性や透明性を高めることができる。
第1の態様と同様に触媒化工程を行って基材にコーティング材を設けた後、上述の乾燥工程を行うことが好ましい。これにより、分解や重合といったコーティング材内における反応がさらに進行することで、ナシコン型結晶をより形成し易くできる。
本実施態様の乾燥工程における乾燥温度は、前駆体の分解生成物が排出されるため、被膜に亀裂が生じないように選択される。本実施態様における乾燥温度の上限は、好ましくは800℃以下、より好ましくは400℃以下、最も好ましくは250℃以下である。乾燥工程を行う時間は、コーティング材に含まれる溶媒やバインダー等の種類によっても異なるが、例えば2〜12時間程度の時間をかけて行うことが好ましい。
次いで、コーティング材に対して上述の加熱工程を行うことで、所望の光触媒特性を有する浄化材を作製する。このとき、混合液に含まれているナシコン型結晶が結晶核になって、混合液からナシコン型結晶が成長し、且つ、ナシコン型結晶が基材と化学結合を形成し易くなるため、より確実且つ迅速にナシコン型結晶を有する被覆を形成でき、且つ、その被覆と基材との結合性をより高めることができる。特に、コーティング材を塗布した基材に上述の加熱工程を行うことで、被覆と基材との結合性をより一層高めることができる。
なお、本実施態様で用いられる混合液は、ナシコン型結晶を用いずに、これらナシコン型結晶の前駆体を含有することも好ましい。これにより、コーティング材がゾル中に分散し易くなるため、被覆の膜厚をより均一にすることができる。
次に、実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら制約を受けるものではない。
(実施例1)
セラミックス多孔体として、コージェライト(2MgO・2Al・5SiO)とアルミナ(Al)の混合物を主成分とした(株)ブリヂストン製「セラミックスフォーム ♯09」(骨格真比重2.8、空隙率85.7%、見掛け比重0.4、セル数10PPI)を用い、これを電気炉にて550℃で1時間予備焼成後、放置冷却させた後、8.2gのサンプルを坩堝に入れた。
原料として、オクチル酸ナトリウム溶液、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート溶液及びジエチルホスホノ酢酸エチルからなる有機金属塩溶液を用いた。この有機金属塩溶液を、ナノ粒子合成装置(ホソカワミクロン株式会社製 FCM−MINI)のスプレーノズルに供給して火炎中に噴霧することで、Mg0.5Ti(POに対応する組成の微粒子を作製した。このとき形成された微粒子の平均粒子径は40nmであった。この微粒子を水性の分散液に分散し、20%の微粒子を含むコーティング材を得た。
セラミックス多孔体が全面浸漬するように、このコーティング材を坩堝中に注入して約5分間全面浸漬し、80℃の熱風循環式オーブンで乾燥した。乾燥後、全面浸漬5分、乾燥を更に4回繰り返した後、400℃の電気炉で1時間加熱した後、750℃で30分間焼成した。電気炉内温度が常温まで低下した後、サンプルを取り出した。取り出したサンプル重量は8.6gであり、Mg0.5Ti(POの担持量が4.9重量%の光触媒担持セラミックスフォームからなる浄化材を得た。
得られた浄化材を、それぞれのサンプルの嵩が20〜30ccとなるようにプラスチック製透明ポリ瓶に封入した。これにメチレンブルー10ppm水溶液を40g入れた後、密栓して照度1mW/cmの紫外線(株式会社東芝社製 型番:FL10BLB)を照射し、照射時間とメチレンブルー溶液濃度との関係を調べたところ、メチレンブルー10ppm溶液40gの青色が完全に脱色して透明になるまでの時間(以下、「脱色時間」という。)は48時間であった。なお、紫外線強度はポリ瓶中の溶液表面部で1.73mW/cmであった。
(比較例1)
実施例1で用いたセラミック多孔体と同様のセラミック多孔体を用い、同様に予備焼成、冷却した後、その8.8gのサンプルを坩堝に入れた。このサンプルが全面浸漬するように、株式会社ティオテクノ製の光触媒コーティング剤「ティオコートA」を坩堝中に20g注入し、400℃の電気炉で1時間焼成した。電気炉内温度が常温まで低下した後、サンプルを取り出した。取り出したサンプル重量は9.3gであり、酸化チタン担持量が5.7重量%の光触媒担持セラミックフォームを得た。
得られた浄化材をプラスチック製透明ポリ瓶に封入し、実施例1と同じ方法でメチレンブルー10ppm水溶液に浸漬し、密栓して紫外線を照射し、照射時間とメチレンブルー溶液濃度との関係を調べたところ、メチレンブルー10ppm溶液の脱色時間は60時間であった。
実施例1及び比較例1の結果から、同一のセラミックス多孔体と用いても、ナシコン型結晶Mg0.5Ti(POを光触媒結晶として含有する浄化材の光触媒特性は、酸化チタンを光触媒結晶として含有する浄化材よりも優れているといえる。
(実施例2)
粒径300μmの活性炭を62重量部と、8デニール×繊維長8mmのレーヨン繊維を13重量部と、熱溶融性繊維である1デニール×繊維長3mmのポリビニルアルコール11重量部とを水中に分散し、湿式抄紙用原液を調整した。これを底面が網状の金型に流し込んだ後、金型下部から脱水する方法にて抄紙して湿潤ウェッブをつくり、その後軽く絞り140℃で回転乾燥ドラムにて乾燥し、目付130g/mの基材を得た。その結果、活性炭と支持繊維と接着性繊維がシート内で均一に存在する基材が得られた。一方で、ナシコン型構造を有するMg0.5Ti(PO結晶の粉末91重量部と、アルギン酸ナトリウム9重量部とを水中に分散してコーティング材を調整した。これをロールコーティング法で基材の表面に担持させる触媒化工程を行った後、140℃で回転乾燥ドラムにて乾燥し、目付160g/m、ナシコン型結晶の担持量30g/mの浄化材を得た。得られたシートの光触媒結晶によるアセトアルデヒド処理量は、9.9mg/mであった。
なお、実施例2の浄化材の通気抵抗の値は、平面状の浄化材に対し、シート面と垂直方向に線速5cm/sで通風した場合での値で、差圧計を用いて測定した値である。
また、実施例2の浄化材によるアセトアルデヒド処理量の値は、空気清浄機の開口部に取り付けた20cm角の浄化材により、0.216mの容積のチャンバー内の初期濃度3ppmのアセトアルデヒドが1時間に処理される量の紫外光を照射した時と紫外光を照射しない時の差、つまり、以下の式で表される値である。
(光触媒結晶によるアセトアルデヒド処理量[mg/m])={3−((紫外光を照射しない時の1時間後のアセトアルデヒド濃度[ppm])−(紫外光を照射した時の1時間後のアセトアルデヒド濃度[ppm]))}×44/24.46×0.216/(0.2×0.2)[m]なお、44はアセトアルデヒドの分子量の値、24.46は25℃、1気圧下での気体の容積[L]、0.2×0.2は浄化材の面積[m]のそれぞれの値である。アセトアルデヒド濃度の測定にはFID−ガスクロマトグラフィーを用いた。また、測定は25℃、1気圧下で行い、光源はその紫外光強度が波長380nmにおいて最大となる15Wのブラックライトを用いた。紫外線の強度はサンプル平面中央部において照度計を用いて測定した値が4.0mW/cm、また浄化材への通過風速は5cm/sである。
(比較例2)
粒径300μmの活性炭を62重量部と、8デニール×繊維長8mmのレーヨン繊維を13重量部と、熱溶融性繊維である1デニール×繊維長3mmのポリビニルアルコール11重量部とを水中に分散し、湿式抄紙用原液を調整した。これを底面が網状の金型に流し込んだ後、金型下部から脱水する方法にて抄紙して湿潤ウェッブをつくり、その後軽く絞り140℃で回転乾燥ドラムにて乾燥し、目付130g/mの基材を得た。その結果、活性炭と支持繊維と接着性繊維がシート内で均一に存在する基材が得られた。粉末状のアナターゼ型酸化チタン結晶91重量部と、アルギン酸ナトリウム9重量部とを水中に分散してコーティング材を調整した。これをロールコーティング法で基材の表面に担持した後、140℃で回転乾燥ドラムにて乾燥し、目付160g/m、酸化チタン担持量30g/mの浄化材を得た。得られたシートの光触媒結晶によるアセトアルデヒド処理量は、9.9mg/mであった。
実施例2及び比較例2の結果から、実施例2の浄化材におけるアセトアルデヒド処理量は、比較例2よりも高いことが明らかになった。
(実施例3)
<膜材水和液の作製>
容量が200リットルのポリエチレン製タンク内にTEOS(コルコート社製)を15kg、EGを6.5kg及び塩酸を30g投入した。これに対し、分子量400のポリエチレングリコール(PEG)を約15重量%となるように3.8kg加え、白濁が消え、無色透明で均一な液体となるまで攪拌して親水化TEOSよりなる被膜前駆体を得た。この後、25lの水をタンク内に0.8l/分の流速で供給し、白濁が消えた後、さらに167lの水をタンク内に6l/分の流速で供給して、水に対する親水化TEOSの濃度が約0.3mol/lの膜材水和液を作製した。
<混合スラリーの作製>
上記のようにして得られた膜材水和液にナシコン型構造を有するMg0.5Ti(PO結晶を25kg加えて2時間攪拌して混合スラリーを作製した。その後、得られた混合スラリーの全量を容量が400リットルのアルミナ製ボールミルに投入し、直径が3mmのジルコニアボールを使用して16時間湿式粉砕を行った。このとき、混合スラリー中におけるMg0.5Ti(PO結晶の平均粒径は0.5μmとなった。
<噴霧乾燥工程>
上記のようにして得られた混合スラリーを噴霧装置にディスク回転型噴霧装置(ニロアトマイザー社製)を使用した空気加熱型スプレードライヤー(マツボー社製)に投入し、噴霧乾燥を行った。このとき、ディスクを18000回転、熱風の入口での温度を320℃、出口での温度を110℃に設定した。このようにして、混合スラリーから32kgの粉末状の乾燥物を得た。
<加熱>
上記の乾燥物を、仕切り板が内部に収容されたコウ鉢の各仕切室内にそれぞれ36cmずつ装填し、都市ガス型焼成炉(ナリタテクノ社製)を使用して、500℃で16時間加熱を行い、光触媒結晶を得た。このとき得られた光触媒結晶の全重量は27kgであり、平均粒径は14μmであった。
(光触媒結晶の性能評価)
得られた光触媒結晶のうち1gをガラス板の表面に分散し、90ppmのアセトアルデヒドが入った密閉容器に放置した。試料にアセトアルデヒドを2時間吸着させてから、紫外線強度が2.0mW/cmの紫外線を照射し、一定時間ごとにガスクロマトグラフを使用して定量することにより、アセトアルデヒドの分解能力を測定した。
次に、これら試料をウレタン樹脂に混合し、これをガラス板に塗布した。これら試料に対し、耐光試験機を使用して紫外線強度が15mW/cmの紫外線を照射し、一定時間ごとに重量測定を行ってウレタン樹脂の残存量を求めた。
そして、膜材水和液を用いて被覆しない状態のMg0.5Ti(PO結晶の粒子に対し、上記と同様にしてアセトアルデヒドの分解能力及びウレタン樹脂の残存量を求め、各試料との比較を行った。
その結果、得られた光触媒結晶は、アセトアルデヒドの分解能力の測定では紫外線を照射してから60分後にアセトアルデヒドを1ppmまで分解したが、ウレタン樹脂は紫外線を照射してから100時間後でも照射前の98%が残存していた。
(比較例3)
実施例3と同じ方法で作製された膜材水和液に、TiO(日本アエロジル社製の商品名P−25)結晶を25kg加えて2時間攪拌して混合スラリーを作製した。得られた混合スラリーについて、実施例3と同じ条件で噴霧乾燥及び加熱を行い、光触媒結晶を得た。このとき得られた光触媒結晶の全重量は27kgであり、平均粒径は14μmであった。得られた光触媒結晶について、実施例3と同様にアセトアルデヒドの分解能力及びウレタン樹脂の残存量を測定した。
その結果、得られた光触媒結晶は、紫外線を照射してから60分経過した後であってもアセトアルデヒドが1ppmまでしか分解できず、その一方で、ウレタン樹脂は紫外線を照射してから100時間後には、照射前の90%にまで減少した。
この結果から、実施例3の光触媒結晶は、比較例3の光触媒結晶に比べて、樹脂の劣化を効果的に抑制しながらも、より高度な光触媒作用を有することが明らかになった。また、実施例3の光触媒結晶は、浄化材にも好ましく用いられることが推察される。
(実施例4)
基材である備長炭の表面上に、スプレーを用いて所定の回数だけナシコン型結晶を含有するコーティング材を塗布する触媒化工程を行った後で、これを200〜300℃で焼成することで、ナシコン型結晶を担持する浄化材を製造した。ここでは、コーティング材を3回塗布したものを作製した。
ここで、浄化材の表面上に担持されたナシコン型結晶の存在割合(担持率)を、エネルギー分散型X線分析装置(EDX又はEDS:Energy Dispersive X−ray Spectrometer;JED−2200)を用いて分析した。
また、このようにして作製された浄化材について、有害物質であるトルエンガスの除去性能及び除去効率を調べた。浄化材を入れた5Lの各ガスバック中に初期濃度160ppmのトルエンガスを充満させ、UVランプを点灯後、経時的にトルエンガスの残存濃度を検知管で測定した。このような試験をトルエンガスの初期濃度を変えて3回繰り返した。1回目のトルエンガスの初期濃度は160ppmであり、2回目のトルエンガスの初期濃度は130ppm、3回目のトルエンガスの初期濃度は90ppmであった。なお、試験開始前に、65〜70ppm程度のトルエンガスで充満させたガスバック中に浄化材を入れて18時間静置し、浄化材の表面にトルエンガスを吸着させておいた。
その結果、浄化材の表面上にナシコン型結晶が存在する割合は、コーティング材を1回だけ塗布した場合には約12%であった。また、UVランプを点灯させてから400分後にはトルエンガスの残存濃度は、1回目のトルエンガスの除去後が35ppm、2回目のトルエンガスの除去後が30ppm、3回目のトルエンガスの除去後が20ppmであった。すなわち、1回目は約90%のトルエンガスを除去でき、2回目以降もトルエンガスの除去率は低下しなかった。
(比較例4)
酸化チタンを含有するコーティング材を用いて、酸化チタン結晶を担持する浄化材を製造した。ここで、本比較例のコーティング液は、アナターゼ、ペルオキソチタン(IV)酸水和物、ペルオキソチタン水和物を含有するものであり、この溶液は、88.66gの水と、9.54gのTi(OH)・4HOと、1.80gのアナターゼ型酸化チタンを混合したものである。得られた浄化材について、酸化チタン結晶の存在割合(担持率)と、トルエンガスの除去性能及び除去効率を、実施例4と同じ方法で測定した。
その結果、浄化材の表面上にナシコン型結晶が存在する割合は、コーティング材を1回だけ塗布した場合には約12%であった。また、UVランプを点灯させてから400分後にはトルエンガスの残存濃度は、1回目のトルエンガスの除去後が35ppm、2回目のトルエンガスの除去後が30ppm、3回目のトルエンガスの除去後が20ppmであった。すなわち、1回目は約90%のトルエンガスを除去できたにもかかわらず、2回目以降は約80%のトルエンガスしか除去できなかった。
実施例4及び比較例4の結果から、実施例4の浄化材を繰返し用いても、比較例の浄化材とは異なり、浄化材の浄化効率が低下しないことが明らかになった。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (27)

  1. ナシコン型結晶である光触媒結晶を少なくとも表面に含有する浄化材。
  2. 内部連通空間を有する多孔質体からなる基材の少なくとも表面に、前記光触媒結晶を含有する請求項1記載の浄化材。
  3. 前記多孔質体からなる基材の表面及び孔内部に前記光触媒結晶を含有する請求項2記載の浄化材。
  4. 前記多孔質体の空隙率が60〜95%である請求項2又は3記載の浄化材。
  5. 前記多孔質体における光触媒結晶の含有率が0.01〜30質量%である請求項2から4のいずれか記載の浄化材。
  6. 金属、セラミックス、グラファイト、ガラス、石、セメント、コンクリート若しくはそれらの組み合わせ、又はそれらの積層体から構成される基材の少なくとも表面に、前記光触媒結晶を含有する請求項1から5のいずれか記載の浄化材。
  7. 金属多孔体、セラミックス多孔体、グラファイト多孔体、ガラス多孔体、又はそれらの積層体から構成される基材の少なくとも表面に、前記光触媒結晶を含有する請求項1から6のいずれか記載の浄化材。
  8. 前記ナシコン型結晶が、一般式A(XO(式中、第一元素AはLi、Na、K、Cu、Ag、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される1種以上とし、第二元素BはZn、Al、Fe、Ti、Sn、Zr、Ge、Hf、V、Nb及びTaからなる群から選択される1種以上とし、第三元素XはSi、P、S、Mo及びWからなる群から選択される1種以上とし、係数mは0以上4以下とする)で表される結晶である請求項1から7のいずれか記載の浄化材。
  9. Zn、Ti、Zr、W及びPから選ばれる1種以上の成分を含む化合物結晶を更に含有する請求項1から8のいずれか記載の浄化材。
  10. Pd、Re及びPtからなる群より選ばれる少なくとも1種の電子吸引性物質が、前記光触媒結晶の含有量に対する質量比で10%以下含まれている請求項1から9のいずれか記載の浄化材。
  11. 前記ナシコン型結晶の平均粒径が10nm以上50μm以下である請求項1から10のいずれか記載の浄化材。
  12. 紫外領域から可視領域までの少なくともいずれかの波長の光によって触媒活性が発現される請求項1から11のいずれか記載の浄化材。
  13. 紫外領域から可視領域までの少なくともいずれかの波長の光を照射した表面と水滴との接触角が30°以下である請求項1から12のいずれか記載の浄化材。
  14. 請求項1から13のいずれか記載の浄化材を用いた浄化フィルター。
  15. 請求項14記載の浄化フィルターを有する脱臭装置。
  16. 請求項14記載の浄化フィルターを有する水処理装置。
  17. 透明基材と、前記透明基材の一方の面に形成された請求項1から13のいずれか記載の浄化材を含有する触媒層と、からなり、
    前記透明基材の他方の面側に光源を備えた浄化ユニット。
  18. 前記透明基材がガラスから構成され、透明基材の表面に前記触媒層が直接形成されている請求項17記載の浄化ユニット。
  19. 浄化材の製造方法であって、
    基材の少なくとも表面にナシコン型結晶を含有させる触媒化工程を有する浄化材の製造方法。
  20. 前記基材が金属、セラミックス、グラファイト、ガラス、石、セメント、コンクリート若しくはそれらの組み合わせ、又はそれらの積層体から構成される請求項19記載の浄化材の製造方法。
  21. 前記基材が金属多孔体、セラミックス多孔体、グラファイト多孔体、ガラス多孔体、又はそれらの積層体から構成される請求項19又は20記載の浄化材の製造方法。
  22. 前記触媒化工程は、前記基材に前記ナシコン型結晶が分散した水性ゾルを浸漬又は注入する工程である請求項19から21のいずれか記載の浄化材の製造方法。
  23. 前記ナシコン型結晶を含有した前記基材を加熱する加熱工程をさらに有する請求項19から22のいずれか記載の浄化材の製造方法。
  24. 前記加熱工程が700℃以上1200℃以下の加熱温度で行われる請求項23記載の浄化材の製造方法。
  25. 前記基材がセラミックススラリーからなり、
    前記触媒化工程は、前記ナシコン型結晶を前記基材に混練する工程であり、
    前記ナシコン型結晶を混練した基材を焼成する請求項19記載の浄化材の製造方法。
  26. 前記基材がセラミックススラリーからなり、
    前記触媒化工程は、前記ナシコン型結晶を含有するコーティング材を前記基材の少なくとも表面に被覆する工程であり、
    前記コーティング材を被覆した基材を加熱する加熱工程をさらに有する請求項19記載の浄化材の製造方法。
  27. 前記セラミックススラリーは、内部連通空間を有する発泡体をさらに含有する請求項26に記載の浄化材の製造方法。
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