JP2013154286A - 光触媒多孔質体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い光触媒活性を有するとともに、耐久性に優れた光触媒機能性材料を提供する。
【解決手段】 骨格材料が光触媒活性を有する光触媒多孔質体が提供される。光触媒多孔質体の気孔率は40%〜95%の範囲内、気孔サイズは0.1〜10000μmの範囲内であることが好ましい。光触媒活性を有する骨格材料は、単一材料からなることが好ましく、ガラスセラミックス等のセラミックスからなることがより好ましい。光触媒多孔質体は、ナシコン型構造の結晶、又は、TiO結晶、WO結晶、ZnO結晶及びこれらの固溶体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の結晶を含有することが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、光触媒多孔質体に関する。
酸化チタン、酸化タングステン等の金属酸化物は、光触媒活性を有することが知られている。これら光触媒活性を有する化合物(以下、単に「光触媒」と記すことがある)は、バンドギャップエネルギー以上のエネルギーの光が照射されると、電子や正孔を生成するため、光触媒を含む成形体の表面近傍において、酸化還元反応が強く促進され、有機物などの分解が生じる。
光触媒を基材に担持させる手法として、多くの従来技術では、基材の表面に光触媒を含む膜を成膜することによって、光触媒を担持させるという考え方を採用している。しかし、このような考え方に立脚する手法に共通の課題として、基材と光触媒を含む膜との密着性および膜自体の耐久性を確保することが難しい点が挙げられる。つまり、これらの手法で製造された光触媒機能性製品は、光触媒を含む膜が基材から剥離したり、膜が劣化して光触媒機能が損なわれたりするおそれがある。
一方、光触媒を基材中に含ませる技術として、例えば特許文献1では、SiO、Al、CaO、MgO、B、ZrO、及びTiOの各成分を所定量含有する光触媒用ガラスが開示されている。特許文献1で開示される光触媒用ガラスは、ガラス中に酸化チタンを含有させている点で他の従来技術とは考え方を異にしている。しかし、特許文献1の技術では、光触媒である酸化チタンは結晶構造を有しておらず、アモルファスの形でガラス中に存在するため、その光触媒活性が弱く、不充分であった。このような欠点を改善すべく、本発明者は、ガラス中に光触媒活性を有する結晶を含有させることによって、耐久性を向上させ、取り扱いも容易な光触媒素材について研究を行った。そして、特許文献2において、TiO又はこの固溶体から選ばれる少なくとも1種を含む結晶性組成物と、SiO成分、B成分、又はP成分から選ばれる少なくとも1種以上を含むガラス性組成物とからなり、該ガラス性組成物をマトリックス成分とするガラスセラミックスを提案した。
特開平9−315837号公報 特開2009−263179号公報
光触媒活性を有する素材において、その光触媒活性を十分に引き出すためには、素材の比表面積を大きくして分解対象となる有機物との接触機会を十分に確保することが有効である。しかし、光触媒素材がガラスセラミックスである場合に、その比表面積を大きくすべく多孔質体を形成すると、機械的強度が低下し、例えばフィルタ材料などの用途に使用する場合に耐久性が低下してしまうという課題があった。
本発明の目的は、高い光触媒活性を有するとともに、耐久性に優れた光触媒機能性材料を提供することである。
本発明の光触媒多孔質体は、骨格材料が光触媒活性を有することを特徴とするものである。
本発明の光触媒多孔質体は、気孔率が40%〜95%の範囲内であってもよい。
本発明の光触媒多孔質体は、気孔サイズが0.1〜10000μmの範囲内であってもよい。
本発明の光触媒多孔質体は、前記光触媒活性を有する骨格材料が、単一材料からなるものであってもよい。
本発明の光触媒多孔質体は、前記光触媒活性を有する骨格材料が、ガラスセラミックス等のセラミックスからなるものであってもよい。
本発明の光触媒多孔質体は、ナシコン型構造の結晶を含有してもよい。
本発明の光触媒多孔質体は、TiO結晶、WO結晶、ZnO結晶及びこれらの固溶体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の結晶を含有してもよい。
本発明の光触媒多孔質体は、酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で、TiO、WO及びZnOよりなる群か選ばれる少なくとも1種以上を、合計で20〜99%含有してもよい。
本発明の光触媒多孔質体は、酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で、
成分 0〜50%、
成分 0〜50%、
SiO成分 0〜50%、
GeO成分 0〜50%、
の各成分を含有してもよい。
本発明の光触媒多孔質体は、酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で、
LiO成分 0〜35%、
NaO成分 0〜35%、
O成分 0〜35%、
RbO成分 0〜10%、
CsO成分 0〜10%、
MgO成分 0〜40%、
CaO成分 0〜40%、
SrO成分 0〜40%、
BaO成分 0〜40%、
Al成分 0〜30%、
Ga成分 0〜30%、
In成分 0〜10%、
ZrO成分 0〜20%、
SnO成分 0〜10%、
Nb成分 0〜30%、
Ta成分 0〜30%、
MoO3成分 0〜30%、
Bi成分 0〜20%、
TeO成分 0〜20%、
Ln成分(式中、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群より選択される1種以上とする) 合計で0〜30%、
成分(式中、MはV、Cr、Mn、Fe、Co、Niからなる群より選択される1種以上とし、x及びyは、それぞれx:y=2:Mの価数、を満たす最小の自然数、Mの価数は、Vは5、Crは3、Mnは1、Feは3、Coは2、Niは2とする。) 合計で0〜10%、
As成分及び/又はSb成分 合計で0〜5%
の各成分をさらに含有してもよい。
本発明の光触媒多孔質体は、F、Cl、Br、S、N、及びCからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の成分を、全質量に対する外割り質量比で20%以下の量で含有してもよい。
本発明の光触媒多孔質体は、Cu、Ag、Au、Pd、Ru、Rh、Re及びPtからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属種を、全質量に対する外割り質量比で10%以下の量で含有してもよい。
本発明の光触媒多孔質体は、紫外領域から可視領域までの波長の光によって光触媒活性が発現されるものであってもよい。
本発明の光触媒多孔質体は、上記いずれかに記載の光触媒多孔質体に対して、ドライエッチング処理、及び/又はウェットエッチング処理してなるものであってもよい。
本発明のフィルタ又は浄化装置は、上記いずれかに記載の光触媒多孔質体を含むものである。
本発明の光触媒多孔質体は、骨格材料自体が光触媒活性を有する多孔質構造であるため、該多孔質構造の細孔内部に処理対象となるガスや液体などの流体を通過させることによって、該流体中に含まれる有機物と光触媒との接触機会を増加させ、有機物を効率良く分解することができる。また、本発明の光触媒多孔質体は、膜やコーティング層などを有さず、骨格材料自体が光触媒活性を呈するので、光触媒層の剥離・離脱による触媒活性の劣化がなく、交換やメンテナンスの手間が省ける。従って、本発明の光触媒多孔質体は、優れた光触媒活性と優れた耐久性の両方を有しており、例えばガス又は液体をろ過するフィルタ材や、該フィルタ材を備えた浄化装置等として好ましく利用できる。
実施例1の紫外線照射前後のアセトアルデヒド及び二酸化炭素の濃度変化を示すグラフである。
[骨格材料]
本発明の一実施の形態に係る光触媒多孔質体は、骨格材料が光触媒活性を有するものである。ここで、多孔質体とは、外部空間と連続する空隙を有する3次元網目状構造であることを意味する。また、骨格材料とは、光触媒多孔質体の骨格構造を形成する主材料を意味する。従って、例えば表面を被覆しているに過ぎない材料は、骨格材料には含まれない。また、主材料とは、骨格構造の少なくとも80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100%を占める材料である。従って、本実施の形態の光触媒多孔質体において、骨格材料は、単一材料からなることが最も好ましい。このように骨格材料自体が光触媒活性を有することによって、本実施の形態の光触媒多孔質体では、優れた光触媒活性と優れた耐久性を両立させている。
[気孔率]
本実施の形態の光触媒多孔質体は、気孔率が40%以上の範囲内であることが好ましい。より好ましくは45%、最も好ましくは50%以上の範囲内である。気孔率は、光触媒多孔質体において、処理対象となるガスや液体などの流体と光触媒との接触面積を増加させて光触媒活性に影響を与えるとともに、光触媒多孔質体の機械的な強度を維持する上でも重要な特性である。気孔率が40%未満では、光触媒と有機物との接触面積が少なくなってしまうため、光触媒多孔質体において十分な光触媒活性が得られない場合がある。一方、気孔率が95%を超えると、光触媒多孔質体の骨格構造が脆弱になり、機械的な強度が低下して十分な耐久性が得られなくなる場合があるため、気孔率の上限は95%、より好ましくは90%であることが好ましい。なお、気孔率は、骨格材料の比重から計算することにより求めることができる。
[気孔サイズ]
本実施の形態の光触媒多孔質体は、気孔サイズが0.1μm〜10000μmの範囲内であることが好ましく、0.1μm〜3000μmの範囲内であることがより好ましい。気孔サイズは、光触媒多孔質体において、有機物を含む流体が通流するパスの大きさを意味する。処理対象となる流体の種類に応じて気孔サイズを0.1μm〜10000μmの範囲内から選択することによって、光触媒多孔質体内部における流体の流路抵抗(拡散抵抗)を最適な範囲に調節することができる。これにより、光触媒活性に影響を与える滞留時間(つまり、光触媒との接触時間)を十分に確保することができる。
[応答波長]
本実施の形態の光触媒多孔質体は、紫外領域から可視領域までの波長の光によって触媒活性が発現されることが好ましい。ここで、紫外領域の波長の光は、波長が可視光線より短く軟X線よりも長い不可視光線の電磁波のことであり、その波長はおよそ10nm〜400nmの範囲にある。また、可視領域の波長の光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の電磁波のことであり、その波長はおよそ400nm〜780nmの範囲にある。これら紫外領域から可視領域までのいずれかの波長の光、またはそれらが複合した波長の光が光触媒多孔質体に照射されたときに触媒活性が発現されることにより、親水性が付与されたり、汚れ物質や細菌等の有機物が酸化又は還元反応により分解される。
[結晶相]
本実施の形態の光触媒多孔質体は、ナシコン型結晶、TiO結晶、WO結晶、ZnO結晶及びこれらの固溶体から選択される1種以上の結晶を含むことが好ましい。該結晶を含むガラスセラミックスであることがより好ましい。
<ナシコン型結晶>
ナシコン型結晶は、一般式A(XOで表すことができる。この一般式A(XOで表される化合物は、安定的にナシコン型構造をとるため、高い光触媒活性が得られる。ここで、元素Aは、例えばLi、Na、K、Cu、Ag、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。元素Aのイオンが結晶内の3次元トンネルを形成するサイトに存在することで、これらのイオンが結晶内部で容易に移動し、光の照射により生じた電子とホールとの再結合の確率が低減され、ナシコン型結晶の光触媒活性が向上する。元素Aは、原料として例えばLiCO、LiNO、LiF、NaO、NaCO、NaNO、NaF、NaS、NaSiF、KCO、KNO、KF、KHF、KSiF、CuO,CuO、CuCl、AgO、AgCl、MgCO、MgF、CaCO、CaF、Sr(NO、SrF、BaCO、Ba(NO、BaF等を用いてガラスセラミックス中に導入することができる。
また、元素Mは、例えばZn、Al、Fe、Ti、Sn、Zr、Ge、Hf、V、Nb及びTaからなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。これらは、安定なナシコン型の結晶構造を形成するために必要な成分であり、且つ、伝導帯の形成に関与して2.5〜4eVの範囲内のバンドギャップを形成する成分である。そのため、上記のいずれかの元素を含有することで、紫外光だけでなく、可視光応答性の光触媒活性を得ることが可能である。また、光触媒活性を向上させる観点から、元素MとしてTi、Zr、Fe等を含むことがより好ましく、Tiを含むことが最も好ましい。元素Mは、原料として例えばZnO、ZnF、Al、Al(OH)、AlF、FeO、Fe、TiO、SnO、SnO、SnO、ZrO、ZrF、GeO、Hf、Nb、Ta等を用いてガラスセラミックス中に導入することができる。
また、元素Xは、例えばSi、P、S、Mo及びWから選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましい。これらの元素は、安定なナシコン型結晶構造を形成するために必要な成分であり、且つ、ナシコン型結晶のバンドギャップの大きさを調整する作用を有する。元素Xとしては、ナシコン型結晶の形成を容易にする観点から、Si、P、S、W等を含むことがより好ましく、Pを含むことが最も好ましい。元素Xは、SiO、KSiF、NaSiF、Al(PO、Ca(PO、Ba(PO、Na(PO)、BPO、HPO、NaS、Fe、CaS、WO、MoO等を用いてガラスセラミックス中に導入することができる。
一般式A(XOにおけるmは、M又はXの種類に応じて選択されるが、0以上3以下の範囲内の数である。mがこの範囲にあることで、ナシコン型結晶構造が保たれ、熱的及び化学的な安定性が高くなる。また、環境の変化による光触媒活性の劣化が少なくなり、加熱による光触媒活性の低下も起こり難くなる。一方、mが3を超えると、ナシコン型構造が維持できず、光触媒活性が低下する。
ナシコン型結晶の具体例としては、RnTi(PO、R0.5Ti2(PO3、RnZr(PO、R0.5Zr(PO、RnGe(PO、R0.5Ge(PO、RnAlZn(PO、RnTiZn(PO、Rn(PO、Al0.3Zr(PO、RnFe(PO、RnNbAl(PO、La1/3Zr(PO、Fe(MoO、Fe(SO、RnSn(SiO、RnZr(SiO、CuZr(SiO、AgZr(SiO、RZr(SiO、NbTi(PO、RnZr(Si2/31/3、RTiCr(PO、RTiFe(PO、RTiIn(PO、ZnTiFe(PO(式中、RnはLi、Na及びKからなる群から選択される1種以上であり、RはMg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される1種以上である)を挙げることができる。さらに、ナシコン型結晶の中でも、NaTi(PO、LiTi(PO、KTi(PO等のアルカリ金属チタンリン酸複合塩、Ca0.5Ti(PO、Mg0.5Ti(PO3、Sr0.5Ti(PO、Ba0.5Ti(PO等のアルカリ土類金属チタンリン酸複合塩の結晶を有することがより好ましい。これらのナシコン型結晶を含有することにより、光触媒活性が向上すると共に、機械的な強度や化学耐久性が大幅に向上する。
ナシコン型の結晶構造は、MO八面体とXO四面体とが頂点を共有するように連結することで、三次元の網目構造を形成している。この三次元の網目構造中には、Aイオンが存在しうる二つのサイトがあり、これらの二つのサイトは連続する三次元のトンネルを形成しているため、Aイオンが結晶内を容易に動くことができる。このような構造により、光の照射により生じた電子とホールとの再結合の確率が低減され、優れた光触媒活性を安定的に奏することが可能になるものと考えられる。また、ナシコン型結晶は、相転移がなく熱的に安定であり、焼成等の加熱条件によって光触媒活性が失われ難いという利点も有している。
<TiO結晶、WO結晶、ZnO結晶>
TiO結晶は、波長400nm以下の紫外線領域で強い光触媒活性を示し、特にアナターゼ(Anatase)型またはルチル(Rutile)型のTiO結晶を含むことが好ましい。WO結晶は、波長480nmまでの可視光を吸収して光触媒活性を奏するため、光触媒多孔質体に可視光応答性の光触媒活性を付与する。ZnO結晶は、バンドギャップが約3〜4eVであり、TiO結晶と同様に光触媒多孔質体に光触媒活性をもたらす。
[ガラスセラミックスの成分と物性]
本実施の形態の光触媒多孔質体は、ガラス状態を経由せず、直接に粉体原料から作製することができるが、ここでは、ガラス状態を経由したガラスセラミックスである場合を例に挙げ、その成分及び物性について説明する。ここで、ガラスセラミックスは、ガラスを熱処理することによりガラス相中に結晶相を析出させて得られる材料であり、結晶化ガラスとも呼ばれる。ガラスセラミックスは、ガラス相及び結晶相から成る材料のみならず、ガラス相が全て結晶相に変化した材料、すなわち、材料中の結晶量(結晶化度)が100質量%のものも含んでよい。ガラスセラミックスは、結晶化工程の制御により結晶の粒径、析出結晶の種類、結晶化度をコントロールできる。なお、本明細書中において、ガラスセラミックスを構成する各成分の含有量は特に断りがない場合は、全て酸化物換算組成の全物質量に対するモル%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、ガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が溶融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総物質量を100モル%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
TiO成分は、ガラスを結晶化することにより、TiイオンがTiO結晶又はその固溶体、及び/またはナシコン(NASICON)タイプ結晶としてガラスから析出し、ガラスセラミックスに光触媒活性を付与することができる。TiOの結晶型としては、アナターゼ(Anatase)型、ルチル(Rutile)型及びブルッカイト(Brookite)型が知られているが、アナターゼ型およびルチル型が好ましく、特に高い光触媒活性をもつアナターゼ型のTiO結晶を含有することが有利である。また、TiO成分は、P成分と組み合わせて含有させることによって、より低い熱処理温度でTiO結晶を析出させることが可能になり、光触媒活性の高いアナターゼ型TiO結晶から光触媒活性の低いルチル型への相転位を低減することができる。しかし、TiO成分の含有量が20%未満であるとTiO、ナシコン型結晶及びこれらの固溶体結晶を析出させることが困難になり、十分な光触媒活性が得られず、99%を超えるとガラス化が非常に難しくなる。従って、TiO、ナシコン型結晶及びこれらの固溶体結晶を析出させようとする場合は、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するTiO成分の含有量の下限は、好ましくは20%、より好ましくは30%、最も好ましくは40%とし、上限は、好ましくは99%、より好ましくは95%、最も好ましくは90%とする。しかし、後述のWO結晶またはZnO結晶を析出させようとする場合は、TiO成分を含ませなくてもよいが、ガラスの安定性と化学耐久性の向上や光触媒効果の向上やこれらの結晶の生成の促進などといった観点から、添加することが望ましい。その添加量の上限は、好ましくは40%、より好ましくは30%、最も好ましくは20%とする。なお、TiO成分は、原料として例えばTiO等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
WO成分は、ガラスの溶融性と安定性を高める成分であり、熱処理によりガラスから結晶相として析出する場合は可視光に応答する光触媒活性を付与することができる。しかし、WO成分の含有量が20%未満であるとWO結晶を析出させることが困難になり、十分な光触媒活性が得られず、99%を超えるとガラス化が非常に難しくなる。従って、WO結晶を析出させようとする場合は、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するWO成分の含有量の下限は、好ましくは20%、より好ましくは25%、最も好ましくは30%とし、上限は、好ましくは99%、より好ましくは95%、最も好ましくは90%とする。しかし、前述のTiO結晶やナシコン型結晶や後述のZnO結晶などを析出させようとする場合、WO成分を含まなくてもよいが、ガラス安定の向上や光触媒効果の向上と言った観点から、添加することが望ましい。その添加量の上限は、好ましくは30%、より好ましくは25%、最も好ましくは20%とする。なお、WO成分は、原料として例えばWO等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
ZnO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上させるとともに、熱処理によりガラスから結晶相として析出する場合は可視光に応答する光触媒活性を付与することができる。しかし、ZnO成分の含有量が20%未満であるとZnO結晶を析出させることが困難になり、十分な光触媒活性が得られず、99%を超えるとガラス化が非常に難しくなる。従って、ZnO結晶を析出させようとする場合は、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するZnO成分の含有量の下限は、好ましくは20%、より好ましくは30%、最も好ましくは40%とし、上限は、好ましくは99%、より好ましくは90%、最も好ましくは80%とする。しかし、前述のTiO結晶やナシコン型結晶やWO結晶などを析出させようとする場合、ZnO成分を含まなくてもよいが、ガラス安定の向上や光触媒効果の向上と言った観点から、添加することが望ましい。その添加量の上限は、好ましくは30%、より好ましくは25%、最も好ましくは20%とする。なお、ZnO成分は、原料として例えばZnO、ZnF等を用いてガラス又はガラスセラミックスに導入することができる。
また、十分な光触媒活性を得るために、TiO、WO及びZnO成分の内、少なくとも1種、又は2種以上を含有することが好ましく、その合計量は、好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、最も好ましくは30%以上とし、好ましくは99%以下、より好ましくは95%以下、最も好ましくは90%以下とすることができる。
成分は、ガラスの網目構造を構成し、ガラスの安定性を高めるともに、P5+イオンがナシコン型結晶構造を形成する成分で、光触媒活性の向上に寄与する成分であり、任意に添加できる成分である。P成分が網目構造の主成分であるリン酸塩系ガラスにすることにより、より多くのTiOやWOやZnOなどの成分をガラスに取り込ませることができる。また、P成分を配合することによって、より低い熱処理温度でTiO結晶、ナシコン型結晶、WO、ZnO結晶等を析出させることが可能であるとともに、光触媒活性の高いアナターゼ型TiO結晶から光触媒活性の低いルチル型への相転位を低減する効果も期待できる。しかし、Pの含有量が50%を超えると上述の光触媒結晶相が析出し難くなる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するP成分の含有量は、好ましくは50%、より好ましくは45%、最も好ましくは40%を上限とする。また、Pを含有させる場合は、その効果を十分発揮できる量として好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上、最も好ましくは10%以上含有することが好ましい。P成分は、原料として例えばAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、Na(PO)、BPO、HPO等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
成分は、ガラスの網目構造を構成し、ガラスの安定性を高める成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、その含有量が50%を超えると、ガラスの化学耐久性が低下し、加熱して結晶を析出する際に所望の光触媒結晶が析出し難い傾向が強くなる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するB成分の含有量は、好ましくは50%、より好ましくは40%、最も好ましくは30%を上限とする。B成分は、原料として例えばHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
SiO成分は、ガラスの網目構造を構成し、ガラスの安定性と化学的耐久性を高める成分であるとともに、Si4+イオンがナシコン型結晶に固溶し、光触媒活性の向上に寄与する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、SiO成分の含有量が50%を超えると、ガラスの溶融性が悪くなり、所望の光触媒結晶相が析出し難くなる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するSiO成分の含有量は、好ましくは1%、より好ましくは3%、最も好ましくは5%を下限とし、好ましくは50%、より好ましくは40%を上限とする。SiO成分は、原料として例えばSiO、KSiF、NaSiF等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
GeO成分は、上記のSiOと相似な働きを有する成分であり、ガラスセラミックス中に任意に添加できる成分である。特に、GeO成分の含有量を50%以下にすることで、高価なGeO成分の使用が抑えられるため、ガラス又はガラスセラミックスの材料コストを低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するGeO成分の含有量は、好ましくは50%、より好ましくは40%、最も好ましくは30%を上限とする。GeO成分は、原料として例えばGeO等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
LiO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上させ、ナシコン型結晶を構成する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、LiO成分の含有量が35%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、TiO結晶、ナシコン型結晶、WO結晶、ZnO結晶等の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するLiO成分の含有量は、好ましくは35%、より好ましくは30%、最も好ましくは25%を上限とする。しかし、Liイオンを含有するナシコン型結晶を析出させようとする場合は、LiO成分は必須となり、その含有量は好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、最も好ましくは2%以上の範囲とする。なお、LiO成分は、原料として例えばLiCO、LiNO、LiF等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
NaO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上させ、ナシコン型結晶を構成する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、NaO成分の含有量が35%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、TiO結晶、ナシコン型結晶、WO結晶、ZnO結晶等の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するNaO成分の含有量は、好ましくは35%、より好ましくは30%、最も好ましくは25%を上限とする。しかし、Naイオンを含有するナシコン型結晶を析出させようとする場合は、NaO成分は必須となり、その含有量は好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、最も好ましくは2%以上の範囲とする。なお、NaO成分は、原料として例えばNaO、NaCO、NaNO、NaF、NaS、NaSiF等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
O成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上させ、ナシコン型結晶を構成する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、KO成分の含有量が35%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、TiO結晶、ナシコン型結晶、WO結晶、ZnO結晶等の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するKO成分の含有量は、好ましくは35%、より好ましくは30%、最も好ましくは25%を上限とする。しかし、Kイオンを含有するナシコン型結晶を析出させようとする場合は、KO成分は必須となり、その含有量は好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、最も好ましくは2%以上の範囲とする。なお、KO成分は、原料として例えばKCO、KNO、KF、KHF、KSiF等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
ガラス又はガラスセラミックスは、RnO(式中、RnはLi、Na及びKからなる群より選択される1種以上)成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分を35%以下含有することが好ましい。特に、RnO成分の合計量を35%以下にすることで、ガラスの安定性が向上し、所望の結晶相が析出し易くなるため、ガラスセラミックスの触媒活性を確保することができる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対する、RnO成分の合計量は、好ましくは35%、より好ましくは30%、最も好ましくは25%を上限とする。また、Rnイオンを含有するナシコン型結晶相を析出させようとする場合は、良好な光触媒活性を得るため、RnO成分の合計量は、好ましくは0.5%、より好ましくは1%、最も好ましくは2%を下限とする。
RbO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上させ、熱処理後のガラスセラミックスにひび割れを生じ難くさせる成分であり、任意に添加できる成分である。また、ガラス転移温度を下げてTiO結晶、WO結晶、ZnO結晶等を生成させやすくするとともに、熱処理温度をより低く抑える成分である。また、熱処理温度を抑えることで、TiO成分を含有する場合に光触媒活性の高いアナターゼ型TiO結晶から光触媒活性の低いルチル型への相転位を低減する効果も期待できる。しかし、RbO成分の含有量が10%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、TiO結晶、WO結晶、ZnO結晶等の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するRbO成分の含有量は、好ましくは10%、より好ましくは8%、最も好ましくは5%を上限とする。RbO成分は、原料として例えばRbCO、RbNO等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
CsO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上させ、熱処理後のガラスセラミックスにひび割れを生じ難くさせる成分であり、任意に添加できる成分である。また、ガラス転移温度を下げてTiO結晶、WO結晶、ZnO結晶等を生成させやすくするとともに、熱処理温度をより低く抑える成分である。また、熱処理温度を抑えることで、TiO成分を含有する場合に光触媒活性の高いアナターゼ型TiO結晶から光触媒活性の低いルチル型への相転位を低減する効果も期待できる。しかし、CsO成分の含有量が10%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、TiO結晶、WO結晶、ZnO結晶等の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するCsO成分の含有量は、好ましくは10%、より好ましくは8%、最も好ましくは5%を上限とする。CsO成分は、原料として例えばCsCO、CsNO等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
MgO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上させるとともに、ナシコン型結晶を構成する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、MgO成分の含有量が40%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、TiO結晶、ナシコン型結晶、WO結晶、ZnO結晶等の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するMgO成分の含有量は、好ましくは40%、より好ましくは35%、最も好ましくは30%を上限とする。しかし、Mg2+イオンを含有するナシコン型結晶を析出させようとする場合は、その含有量は好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、最も好ましくは3%以上とする。なお、MgO成分は、原料として例えばMgCO、MgF等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
CaO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上させるとともに、ナシコン型結晶を構成する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、CaO成分の含有量が40%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、TiO結晶、ナシコン型結晶、WO結晶、ZnO結晶等の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するCaO成分の含有量は、好ましくは40%、より好ましくは35%、最も好ましくは30%を上限とする。しかし、Ca2+イオンを含有するナシコン型結晶を析出させようとする場合は、その含有量は好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、最も好ましくは3%以上とする。なお、CaO成分は、原料として例えばCaCO、CaF等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
SrO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上させるとともに、ナシコン型結晶を構成する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、SrO成分の含有量が40%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、TiO結晶、ナシコン型結晶、WO結晶、ZnO結晶等の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するSrO成分の含有量は、好ましくは40%、より好ましくは35%、最も好ましくは30%を上限とする。しかし、Sr2+イオンを含有するナシコン型結晶を析出させようとする場合は、SrO成分は必須となり、その含有量は好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、最も好ましくは3%以上とする。なお、SrO成分は、原料として例えばSr(NO、SrF等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
BaO成分は、ガラスの溶融性と安定性を向上させるとともに、ナシコン型結晶を構成する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、BaO成分の含有量が40%を超えると、かえってガラスの安定性が悪くなり、TiO結晶、ナシコン型結晶、WO結晶、ZnO結晶等の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するBaO成分の含有量は、好ましくは40%、より好ましくは35%、最も好ましくは30%を上限とする。しかし、Ba2+イオンを含有するナシコン型結晶を析出させようとする場合は、BaO成分は必須となり、その含有量は好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、最も好ましくは3%以上とする。なお、BaO成分は、原料として例えばBaCO、Ba(NO、BaF等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
ガラス又はガラスセラミックスは、RO(式中、RはMg、Ca、Sr及びBaからなる群より選択される1種以上)成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分を40%以下含有することが好ましい。特に、RO成分の合計量を40%以下にすることで、ガラスの安定性が向上し、TiO結晶、WO結晶、ZnO結晶等の結晶相とナシコン型の結晶相が析出し易くなるため、ガラスセラミックスの触媒活性を確保することができる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対する、RO成分の合計量は、好ましくは40%、より好ましくは35%、最も好ましくは30%を上限とする。また、R2+イオンを含有するナシコン型結晶相を析出させようとする場合は、良好な光触媒活性を得るため、RO成分の合計量は、好ましくは1%、より好ましくは2%、最も好ましくは3%を下限とする。
また、ガラス又はガラスセラミックスは、RnO(式中、RnはLi、Na及びKからなる群より選択される1種以上)成分及びRO(式中、RはMg、Ca、Sr及びBaからなる群より選択される1種以上)成分から選ばれる少なくとも1種以上の成分を40%以下含有することが好ましい。特に、RnO成分及びRO成分の合計量を40%以下にすることで、ガラスの安定性が向上し、TiO結晶、ナシコン型結晶、WO結晶、ZnO結晶等が析出しやくなり、光触媒活性に優れるガラスセラミックスがより容易に得られる。一方で、RnO成分及びRO成分の合計量が40%より多いと、ガラスの安定性が悪くなり、TiO結晶、WO結晶、ZnO結晶等の結晶相やナシコン型の結晶相の析出も困難となる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対する合計量(RnO+RO)は、好ましくは0.5%、より好ましくは1%を下限とし、好ましくは40%、より好ましくは35%、最も好ましくは30%を上限とする。
ここで、ガラス又はガラスセラミックスは、RnO(式中、RnはLi、Na及びKからなる群より選択される1種以上)成分及びRO(式中、RはMg、Ca、Sr及びBaからなる群より選択される1種以上)成分から選ばれる成分のうち2種類以上を含有することにより、ガラスの安定性が大幅に向上し、熱処理後のガラスセラミックスの機械強度がより高くなり、TiO結晶、WO結晶、ZnO結晶等の結晶相やナシコン型の結晶相がガラスからより析出し易くなる。従って、ガラス又はガラスセラミックスは、RnO成分及びRO成分から選ばれる成分のうち2種類以上を含有することが好ましい。
Al成分は、ガラスの安定性及びガラスセラミックスの化学的耐久性を高め、且つAl3+イオンがTiO結晶、ナシコン型結晶相に固溶して光触媒活性の向上に寄与する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、その含有量が30%を超えると、溶解温度が著しく上昇し、ガラス化し難くなる。従って、Al成分を添加する場合、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するAl成分の含有量は、好ましくは0.1%、より好ましくは0.5%、最も好ましくは1%を下限とし、好ましくは30%、より好ましくは20%、最も好ましくは15%を上限とする。Al成分は、原料として例えばAl、Al(OH)、AlF等を用いてガラス又はガラスセラミックスに導入することができる。
Ga成分は、ガラスの安定性を高め、且つGa3+イオンがTiO結晶、ナシコン型結晶相に固溶して光触媒活性の向上に寄与する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、その含有量が30%を超えると、溶解温度が著しく上昇し、ガラス化し難くなる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するGa成分の含有量は、好ましくは30%、より好ましくは15%、最も好ましくは10%を上限とする。Ga成分は、原料として例えばGa、GaF等を用いてガラス又はガラスセラミックスに導入することができる。
In成分は、上記のAl及びGaと相似な効果がある成分であり、任意に添加できる成分である。In成分は高価なため、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するその含有量の上限は10%以下にすることが好ましく、8%以下にすることがより好ましく、5%以下にすることが最も好ましい。In成分は、原料として例えばIn、InF等を用いてガラス又はガラスセラミックスに導入することができる。
ZrO成分は、ガラスセラミックスの化学的耐久性を高め、TiO結晶、WO結晶、ZnO結晶の析出を促進するとともに、ナシコン型結晶の構成成分でもあり、光触媒効果を高める効果があるので、任意に添加できる成分である。しかし、ZrO成分の含有量が20%を超えると、ガラス化し難くなる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するZrO成分の含有量は、好ましくは20%、より好ましくは12%、最も好ましくは8%を上限とする。また、ZrO成分を添加する場合は、好ましくは0.5%、より好ましくは1%、最も好ましくは2%を下限とする。なお、ZrO成分は、原料として例えばZrO、ZrF等を用いてガラス又はガラスセラミックスに導入することができる。
SnO成分は、TiO結晶、WO結晶、ZnO結晶の析出を促進するとともに、ナシコン型結晶の構成成分でもあり、光触媒効果を高める効果があり、また、光触媒活性を高める作用のある後述のAgやAuやPtイオンと一緒に添加する場合は還元剤の役割を果たし、間接的に光触媒の活性の向上に寄与する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、SnO成分の含有量が10%を超えると、ガラスの安定性が悪くなり、光触媒活性も低下し易くなる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するSnO成分の含有量は、好ましくは10%、より好ましくは8%、最も好ましくは5%を上限とする。また、これらの成分を添加する場合は、好ましくは0.01%、より好ましくは0.02%、最も好ましくは0.03%を下限とする。SnO成分は、原料として例えばSnO、SnO、SnO等を用いてガラス又はガラスセラミックスに導入することができる。
Nb成分は、ガラスの溶融性と安定性を高める成分であり、また、ナシコン型結晶に固溶し、光触媒活性を向上させる成分であり、任意に添加できる成分である。Nb成分の含有量が30%を超えると、ガラスの安定性が著しく悪くなり、ガラス化が非常に難しくなるため、その上限は、30%、好ましくは20%、より好ましくは15%、最も好ましくは10%とする。Nb成分は、原料として例えばNb等を用いてガラス又はガラスセラミックスに導入することができる。
Ta成分は、ガラスの安定性を高める成分であり、また、ナシコン型結晶に固溶し、光触媒活性を向上させる成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、Ta成分の含有量が30%を超えると、ガラスの安定性が著しく悪くなり、ガラス化が非常に難しくなるため、その上限は、30%、好ましくは20%、より好ましくは15%、最も好ましくは10%とする。Ta成分は、原料として例えばTa等を用いてガラス又はガラスセラミックスに導入することができる。
MoO成分は、ガラスの溶融性と安定性を高める成分であり、且つWO結晶相に固溶し、光触媒活性を向上させる成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、MoO成分の含有量が30%を超えると、ガラスの安定性が著しく悪くなる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するMoO成分の含有量は、好ましくは30%、より好ましくは20%、最も好ましくは10%を上限とする。MoO成分は、原料として例えばMoO等を用いてガラス又はガラスセラミックス内に導入することができる。
Bi成分は、ガラスの溶融性と安定性を高める成分であり、さらに光触媒結晶に固溶し、光触媒活性を向上させる成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、Bi成分の含有量が20%を超えると、ガラスの安定性が著しく悪くなる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するBi成分の含有量は、好ましくは20%、より好ましくは15%、最も好ましくは10%を上限とする。Bi成分は、原料として例えばBi等を用いてガラス又はガラスセラミックスに導入することができる。
TeO成分は、ガラスの溶融性と安定性を高める成分であり、さらに光触媒結晶に固溶し、光触媒活性を向上させる成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、TeO成分の含有量が20%を超えると、ガラスの安定性が著しく悪くなる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するTeO成分の含有量は、好ましくは20%、より好ましくは15%、最も好ましくは10%を上限とする。TeO成分は、原料として例えばTeO等を用いてガラス又はガラスセラミックスに導入することができる。
Ln成分(式中、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群より選択される1種以上とする)は、ガラスセラミックスの化学的耐久性を高める成分であり、且つ光触媒の結晶相に固溶し、又はその近傍に存在することで、光触媒活性を向上させる成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、Ln成分の含有量の合計が30%を超えると、ガラスの安定性が著しく悪くなる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対する、Ln成分の合計量は、好ましくは30%、より好ましくは10%、最も好ましくは5%を上限とする。Ln成分は、原料として例えばLa、La(NO・XHO(Xは任意の整数)、Gd、GdF、Y、YF、CeO、CeF、Nd、Dy、Yb、Lu等を用いてガラス又はガラスセラミックスに導入することができる。
成分(式中、MはV、Cr、Mn、Fe、Co、Niからなる群より選択される1種以上とし、x及びyはそれぞれx:y=2:Mの価数、を満たす最小の自然数とする。ここで、Vの価数は5、Crの価数は3、Mnの価数は1、Feの価数は3、Coの価数は2、Niの価数は2とする。)は、光触媒の結晶相に固溶するか、又はその近傍に存在することで、光触媒活性の向上に寄与し、且つ一部の波長の可視光を吸収してガラスセラミックスに外観色を付与する成分であり、任意成分である。特に、M成分の合計量を10%以下にすることで、ガラスセラミックスの安定性を高め、外観色を容易に調節することができる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対する、M成分の合計量は、好ましくは10%、より好ましくは5%、最も好ましくは3%を上限とする。また、これらの成分を添加する場合は、好ましくは0.0001%、より好ましくは0.002%、最も好ましくは0.005%を下限とする。M成分は例えばV、Cr、Feなどを用いてガラス又はガラスセラミックスに導入することができる。
As成分及び/又はSb成分は、ガラスを清澄させ、脱泡させる成分であり、また、光触媒活性を高める作用のある後述のAgやAuやPtイオンと一緒に添加する場合は、還元剤の役割を果たすので、間接的に光触媒活性の向上に寄与する成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、これらの成分の含有量が合計で5%を超えると、ガラスの安定性が悪くなり、光触媒活性も低下し易くなる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するAs成分及び/又はSb成分の含有量の合計は、好ましくは5%、より好ましくは3%、最も好ましくは1%を上限とする。また、これらの成分を添加する場合は、好ましくは0.001%、より好ましくは0.002%、最も好ましくは0.005%を下限とする。As成分及びSb成分は、原料として例えばAs、As、Sb、Sb、NaSb・5HO等を用いてガラス又はガラスセラミックスに導入することができる。
なお、ガラスを清澄させ、脱泡させる成分は、上記のAs成分及びSb成分に限定されるものではなく、例えばCeO成分やTeO成分等のような、ガラス製造の分野における公知の清澄剤や脱泡剤、或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
本実施の形態で用いるガラス又はガラスセラミックスには、F成分、Cl成分、Br成分、S成分、N成分、及びC成分からなる群より選ばれる1種以上の非金属元素成分が含まれていてもよい。これらの成分は、光触媒の結晶相に固溶し、又はその近傍に存在することで、光触媒活性を向上させる成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、これらの成分の含有量が合計で20%を超えると、ガラスの安定性が著しく悪くなり、光触媒活性も低下し易くなる。従って、良好な特性を確保するために、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全質量に対する非金属元素成分の含有量の外割り質量比の合計は、好ましくは20%、より好ましくは10%、最も好ましくは5%を上限とする。これらの非金属元素成分は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、塩化物、臭化物、硫化物、窒化物、炭化物等の形でガラス又はガラスセラミックス中に導入するのが好ましい。なお、本明細書における非金属元素成分の含有量は、ガラス又はガラスセラミックスを構成するカチオン成分全てが電荷の釣り合うだけの酸素と結合した酸化物でできていると仮定し、それら酸化物でできたガラス又はガラスセラミックス全体の質量を100%として、別途抜き出して合計した非金属元素成分の質量を質量%で表したもの(酸化物基準の質量に対する外割り質量%)である。非金属元素成分の原料は特に限定されないが、例えば、F成分の原料としてZrF、AlF、NaF、CaF等、Cl成分の原料としてNaCl、AgCl等、Br成分の原料としてNaBr等、S成分の原料としてNaS,Fe,CaS等、N成分の原料としてAlN、SiN等、C成分の原料としてTiC、SiC又はZrC等を用いることで、ガラスセラミックス内に導入することができる。なお、これらの原料は、2種以上を組み合わせて添加してもよいし、単独で添加してもよい。
本実施の形態で用いるガラス又はガラスセラミックスには、Cu成分、Ag成分、Au成分、Pd成分、Ru成分、Rh成分、Re成分およびPt成分から選ばれる少なくとも1種の金属元素成分が含まれていてもよい。これらの金属元素成分は、光触媒結晶相の近傍に存在することで、光触媒活性を向上させる成分であり、任意に添加できる成分である。しかし、これらの金属元素成分の含有量の合計が10%を超えるとガラスの安定性が著しく悪くなり、光触媒活性がかえって低下し易くなる。従って、酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全質量に対する上記金属元素成分の含有量の合計は、好ましくは10%、より好ましくは5%、最も好ましくは3%を上限とする。これらの金属元素成分は、原料として例えばCuO、CuO、AgO、AuCl、PtCl、PtCl、HPtCl、RuO、RhCl、ReCl、PdCl等を用いてガラス又はガラスセラミックスに導入することができる。なお、本明細書における金属元素成分の含有量は、酸化物基準の質量に対する外割り質量%で表したものある。また、これらの成分を添加する場合は、好ましくは0.001%、より好ましくは0.002%、最も好ましくは0.005%を下限とする。
ガラス又はガラスセラミックスには、上記成分以外の成分を、ガラスセラミックスの特性を損なわない範囲で必要に応じ添加することができる。但し、PbO等の鉛化合物、Th、Cd、Tl、Os、Be、Se、Hgの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラス又はガラスセラミックスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、不可避な混入を除き、これらを実質的に含有しないことが好ましい。これにより、ガラス又はガラスセラミックスに環境を汚染する物質が実質的に含まれなくなり、特別な環境対策上の措置を講じなくとも、本発明の光触媒部材を製造し、加工し、及び廃棄することができる。
ガラス又はガラスセラミックスは、その組成が酸化物換算組成のガラス又はガラスセラミックス全物質量に対するモル%で表されているため直接的に質量%の記載に表せるものではないが、要求される諸特性を満たす組成物中に存在する各成分の質量%表示による組成は、酸化物換算組成で概ね以下の値をとる。
TiO成分0〜95質量%
WO成分0〜95質量%
ZnO成分0〜90質量%
成分0〜50質量%
成分0〜40質量%
SiO成分0〜40質量%
GeO成分0〜40質量%
LiO成分0〜30質量%
NaO成分0〜30質量%
O成分0〜30質量%
RbO成分0〜10質量%
CsO成分0〜10質量%
MgO成分0〜40質量%
CaO成分0〜40質量%
SrO成分0〜40質量%
BaO成分0〜40質量%
Al成分0〜30質量%
Ga成分0〜10質量%
In成分0〜10質量%
ZrO成分0〜20質量%
SnO成分0〜10質量%
Nb成分0〜20質量%
Ta成分0〜20質量%
MoO成分0〜20質量%
Bi成分0〜20質量%
TeO成分0〜20質量%
Ln成分 合計で0〜30質量%
成分 合計で0〜5質量%
As成分及びSb成分 合計で0〜5質量%
また、本実施の形態の光触媒多孔質体で用いるガラスセラミックスの結晶化率は、体積比で好ましくは1%、より好ましくは5%、最も好ましくは10%を下限とすることにより、ガラスセラミックスが良好な光触媒活性を有することができる。また、前記結晶の大きさは、球近似したときの平均径が、5nm〜10μmであることが好ましい。熱処理条件をコントロールすることにより、析出した結晶サイズを制御することが可能であるが、有効な光触媒活性を引き出すため、結晶サイズを5nm〜10μmの範囲とすることが好ましく、10nm〜5μmの範囲とすることがより好ましく、10nm〜1μmの範囲とすることが最も好ましい。結晶粒径及びその平均値はXRDの回折ピークの半値幅より、シェラーの式より見積もることができる。回折ピークが弱かったり、重なったりする場合は、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定した結晶粒子面積から、これを円と仮定してその直径を求めて測定できる。顕微鏡を用いて平均値を算出する際には、無作為に100個以上の結晶直径を測定することが好ましい。
[光触媒多孔質体の製造方法]
本実施の形態に係る光触媒多孔質体の製造方法は、特に制限はなく、一般に多孔質体を製造するための種々の方法を利用して製造することができる。以下、骨格材料がガラスセラミックスである場合を例に挙げて説明するが、ガラス状態を経由せず、ナシコン型の結晶構造を持つ粉体原料を用いて作製することもできる。
<製法例1>
製法例1は、多孔質のテンプレートを使用する方法である。この方法は、原料ガラス粉末のスラリーを調製する工程(スラリー調製工程)、このスラリーをテンプレートに含浸させる工程(含浸工程)、及び、スラリーを含浸させたテンプレートを焼成する工程(焼成工程)を有する。
スラリー調製工程:
上記組成のガラスを調製し、使用するテンプレートの細孔径に応じて所定の粒径になるまで粉砕、分級等を行い、原料ガラス粉末を準備する。原料ガラス粉末の粒径は、例えば、0.1μm〜10000μmの範囲内から選択することが好ましい。次に、原料ガラス粉末を分散媒中に分散させてスラリーを調製する。分散媒としては、例えば水、有機溶媒などを使用することができる。有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒が好ましい。
スラリーには、バインダー、消泡剤等を添加することができる。バインダーとしては、例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等の合成樹脂や、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース誘導体などを用いることができる。消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、界面活性剤等を用いることができる。
含浸工程:
含浸工程では、スラリーをテンプレートに含浸させる。含浸の方法は、特に制限はなく、例えばスラリーにテンプレートを浸漬する方法や、スプレーコーティング等の方法でテンプレートにスラリーを塗布する方法などを挙げることができる。これらの方法において、テンプレートへの原料ガラス粉末の含浸量を多くするために、浸漬又は塗布を複数回繰り返すことができる。含浸工程で用いるテンプレートとしては、多孔質体、例えば、発泡ウレタン樹脂(スポンジ)、不織布、紙などを用いることができる。テンプレートの細孔径は、例えば、0.1μm〜10000μmの範囲内から選択することが好ましい。
焼成工程:
焼成工程では、スラリーを含浸させたテンプレートを、ガラスが結晶化する温度以上の温度で焼成する。この焼成によって、ガラスからガラスセラミックスへの転換を行うとともに、テンプレートの細孔を鋳型として3次元網目状のネットワークを形成することができる。焼成により、有機物からなるテンプレートは、焼成によって分解、ガス化して除去される。
焼成温度は、例えば700〜1200℃の範囲内が好ましく、800〜1100℃の範囲内がより好ましい。焼成温度が高くなり過ぎると、目的以外の未知相が析出する傾向が強くなり、光触媒活性が消失し易くなるので、焼成温度の上限は1200℃が好ましく、1100℃がより好ましい。焼成温度が低すぎると、結晶化が不十分となって所望の光触媒活性が得られないため、焼成温度の下限は700℃が好ましく、800℃がより好ましい。また、焼成時間は、ガラスの組成や焼成温度などに応じて結晶をある程度まで成長させ、かつ十分な量の結晶を析出させ得る条件に設定することが好ましい。焼成時間は、焼成温度によって様々な範囲に設定できる。焼結後は、自然冷却することによって、所望の気孔率及び気孔サイズを有する光触媒多孔質体を得ることができる。
<製法例2>
製法例2は、起泡剤を使用する方法である。この方法は、原料ガラス粉末のスラリーを調製する工程(スラリー調製工程)、このスラリーに起泡剤を添加して発泡させる工程(発泡工程)、発泡させたスラリーを所定形状に成形して成形体とする工程(成形工程)、この成形体を焼成する工程(焼成工程)を有する。
スラリー調製工程:
上記組成のガラスを調製し、所定の粒径になるまで粉砕、分級等を行い、原料ガラス粉末を準備する。原料ガラス粉末の粒径は、例えば、0.1μm〜10000μmの範囲内から選択することが好ましい。次に、原料ガラス粉末を分散媒中に分散させてスラリーを調製する。分散媒としては、例えば水、有機溶媒などを使用することができる。なお、原料ガラス粉末に替えて、繊維状の原料ガラスファイバーを用いてもよい。
スラリーの粘度は、例えば10cP〜3000cPの範囲内が好ましく、100cP〜1000cpの範囲内がより好ましい。スラリーの粘度が10cPを下回ると、発泡後の成形性が十分に得られない場合がある。一方、スラリーの粘度が3000cpを超えると、発泡及び成形が困難になる場合がある。スラリーには、例えば、バインダー、架橋性ポリマー、増粘剤などを添加してもよい。バインダーとしては、例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等のポリマーを用いることができる。架橋性ポリマーとしては、例えばポリビニルアルコール、イソブチレン系ポリマー等の多官能性ポリマーを用いることができる。増粘剤としては、例えば、増粘多糖類、セルロース等を用いることができる。また、上記以外の成分として、例えば、分散剤、整泡剤などを配合することもできる。
発泡工程:
発泡工程では、スラリーに起泡剤を添加して発泡させる。発泡の程度によって、光触媒多孔質体の気孔率を調節できる。起泡剤としては、例えば、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等の界面活性剤(カチオン系、アニオン系又はノニオン系)等を用いることができる。発泡操作は、起泡剤を添加したスラリーを例えば機械的に撹拌することによって行うことができる。なお、スラリーに架橋性ポリマーを配合した場合は、起泡剤として、例えばグルタルアルデヒド等の架橋形成作用を有する成分を添加し、撹拌することによって発泡させることができる。
成形工程:
成形工程では、発泡させたスラリーを所定形状に成形・固化させて成形体を得る。ここで、成形・固化は、泡組織を固定するためのものであり、発泡スラリーを放置することによりその流動性を消失させる。本工程では、任意の形状の型を用いてもよい。型は、そのまま次の焼成工程に移行できるものが好ましく、焼成工程で熱分解により容易に焼失するものがより好ましい。そのような型としては、例えば、紙、合成樹脂等を挙げることができる。
焼成工程:
焼成工程では、成形体を、ガラスが結晶化する温度以上の温度で焼成する。この焼成によって、ガラスからガラスセラミックスへの転換を行うとともに、発泡させた成形体から3次元網目状のネットワークを形成することができる。本工程における焼成温度及び焼成時間は、製法例1と同様である。焼成後は、自然冷却することによって、所望の気孔率及び気孔サイズを有する光触媒多孔質体を得ることができる。
<製法例3>
製法例3は、顆粒状ガラスから焼結させる方法である。この方法は、原料ガラスから顆粒状ガラスを調製する工程(顆粒状ガラス調製工程)、及び、この顆粒状ガラスを型に入れ、加熱して焼結させる工程(焼結工程)を有する。
顆粒状ガラス調製工程:
上記組成のガラスを調製し、目的とする細孔径に応じて所定の粒径になるまで粉砕、分級等を行い、顆粒状ガラスを準備する。顆粒状ガラスの粒径は、例えば、1000μm〜10000μmの範囲内から選択することが好ましい。必要に応じ、顆粒状ガラスを任意の分散媒に分散させてスラリーの形態に調製してもよい。分散媒としては、製法例1と同様のものを用いることができる。また、顆粒状ガラス又はスラリーに、バインダーや造孔材を配合することもできる。バインダーは、製法例1と同様のものを用いることができる。造孔材としては、焼結後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル、炭素などを用いることができる。
焼結工程:
焼結工程では、顆粒状ガラスを、例えば、金型成形、CIP(冷間等方圧加圧法)成形、鋳込み成形、射出成型、押出成形等の方法で所定の形状、例えばハニカム状に成形し、焼結する。焼結は、ガラスが結晶化する温度以上の温度で行う。この焼結によって、ガラスからガラスセラミックスへの転換を行うとともに、成形された顆粒状ガラスの粒子から、3次元網目状のネットワークを形成することができる。本工程における焼結温度及び焼結時間は、製法例1における焼成温度及び焼成時間に準ずることができる。焼結後は、自然冷却することによって、所望の気孔率及び気孔サイズを有する光触媒多孔質体を得ることができる。
以上のように得られた光触媒多孔質体に対し、必要に応じてエッチング、他の材料との複合化等を行う付加工程を設けてもよい。
<エッチング工程>
上記方法で得られた光触媒多孔質体は、そのままの状態で高い光触媒活性を奏することが可能である。しかし、この光触媒多孔質体に対してエッチングを行うことにより、光触媒活性をより高めることができる。すなわち、光触媒多孔質体をエッチングして得られるエッチング加工物は、結晶相の周りのガラス相が取り除かれ、表面に露出する結晶相の比表面積が大きくなるため、光触媒多孔質体の光触媒活性がより向上する。ここで、エッチングの方法としては、例えば、ドライエッチング、溶液への浸漬によるウェットエッチング、およびこれらの組み合わせなどの方法が挙げられる。浸漬に使用される酸性もしくはアルカリ性の溶液は、光触媒多孔質体の表面を腐食できれば特に限定されず、例えばフッ素又は塩素を含む酸(フッ化水素酸、塩酸)であってもよい。なお、このエッチング工程は、フッ化水素ガス、塩化水素ガス、フッ化水素酸、塩酸等を、光触媒多孔質体の表面に吹き付けることで行ってもよい。
<複合化工程>
本工程では、光触媒多孔質体に、例えばゼオライトなどの材料を複合化する。ゼオライトは、アルミノケイ酸塩のなかで結晶構造中に比較的大きな空隙を持つものの総称である。ゼオライトは、物質を吸着する性質を有することから、光触媒多孔質体と複合化することによって、有機分子と光触媒との接触機会を増加させ、光触媒活性を増強させることができる。
複合化は、具体的には、例えば、光触媒多孔質体に、ゼオライトと、必要に応じて、無機繊維及び/又は無機結合剤とを含有するゼオライトスラリーを含浸させた後、乾燥させ、焼成することにより行うことができる。ここで、無機繊維は、ゼオライトの支持材料であり、例えば、セピオライト繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、これらの複合繊維などを用いることができる。無機結合剤は、光触媒多孔質体へのゼオライトの固着を促進する成分であり、例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、シリカゾル、ジルコニアゾルなどを用いることができる。含浸の方法は、特に制限はなく、例えばゼオライトスラリーに光触媒多孔質体を浸漬する方法、光触媒多孔質体にスラリーを塗布する方法などを挙げることができる。これらの方法において、光触媒多孔質体へのゼオライトの含浸量を多くするために、浸漬又は塗布を複数回繰り返すことができる。
ゼオライトスラリーを含浸させた後、光触媒多孔質体を自然乾燥又は100℃以下の温度で加熱乾燥させ、次いで焼成する。焼成温度は、例えば600〜900℃の範囲内とすることが好ましい。焼成温度が900℃を超えるとゼオライトの吸着性能が低下する場合があり、600℃未満では、光触媒多孔質体とゼオライトとの複合化が十分に進行しない場合がある。焼成時間は、上記温度範囲において、1〜2時間程度とすることが好ましい。
以上のようにして得られる本実施の形態の光触媒多孔質体は、骨格材料自体が光触媒活性を有する多孔質構造であるため、該多孔質構造の細孔内部に処理対象となるガスや液体などの流体を通過させることによって、該流体中に含まれる有機物と光触媒との接触機会を増加させ、有機物を効率良く分解することができる。また、本実施の形態の光触媒多孔質体は、膜やコーティング層などを有さず、多孔質体を形成する骨格材料自体が光触媒活性を呈するので、光触媒層の剥離・離脱による触媒活性の劣化がなく、交換やメンテナンスの手間が省ける。従って、本実施の形態の光触媒多孔質体は、例えばガス又は液体をろ過するためのフィルタ材や、該フィルタ材を備えた浄化装置等として利用できる。また、光触媒機能を利用したフィルタ材や浄化装置は装置内で光源となる部材に隣接した構成である場合が多いが、光触媒多孔質体は、任意の形状に成型加工できるため、装置内の容器などに簡単に収容することが可能であり、利便性にも優れている。
次に、実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら制約を受けるものではない。なお、実施例における各種の測定は、以下の方法で行った。
[気孔率の測定]
アルキメデス法により求めたガラスセラミックスの比重から算出した気孔率0%の光触媒多孔質体の重量で、作製した光触媒多孔質体の重量を割ることにより求めた。
[光触媒活性の評価]
下記のように、アセトアルデヒドの分解により、光触媒活性を評価した。側面に2箇所、ガス流出口がある600ml容量の石英製のチャンバー(幕張理化学硝子製作所、上面照射セルII−S型)にサンプルの多孔質ガラスセラミックスを入れ、石英製の蓋をした。蓋とチャンバーの間はシリコングリースにより密着させた。チャンバーへ湿度50%にした純空気(大陽日酸株式会社、G2エアー)を10分間流してチャンバー内の空気を置換した後、ガス流出口をシリコンゴム(島津製作所、島津標準セプタム)で塞いだ。1%のアセトアルデヒドガス(住友精化株式会社、N2バランス)をガスタイトシリンジに採取し、その濃度が80ppmとなるようにシリコンゴムを通してチャンバーに注入した。その後、光が当たらないようにしながら、2時間にわたり、アセトアルデヒドガスを試料に吸着させた。次いで、紫外線又は可視光を照射し、チャンバー内のガスをガスタイトシリンジで30分ごとに1ml採取し、ガスクロマトグラフ(島津製作所、型番:C−R6A)でCHCHO及びCOの濃度を測定した。光触媒活性は、CHCHOの分解により生成したCOの量に基づいてCHCHOの分解率を算出することにより評価した。なお、サンプルのサイズは約50mm×50mm×10mmとした。
[合成例1]
酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で、4.8%SiO−4.8%Al−32%P−46.8%TiO−11.6%MgOの組成を有するガラスを作製した。すなわち、各成分の原料に相当する酸化物を、秤量して均一に混合した後、白金または石英坩堝に投入し、ガラス組成の溶融難易度に応じて電気炉で1200℃〜1600℃の温度範囲で1〜24時間溶解し、攪拌均質化して泡切れ等を行った。その後、1500℃以下に温度を下げて攪拌均質化してから冷却してガラスを作製した。得られたガラスを所定のサイズに粉砕し、以下の多孔質ガラスセラミックスの作製に用いた。
[実施例1]
本例では、テンプレートとして格子状の穴(穴サイズ3×5mm)を有するポリエステルとナイロンからなる不織布(厚み4mm)を用いて、スラリーを含浸させて、乾燥してから焼成した。スラリーは、合成例1で作製したガラスを粉砕した平均サイズ10μmのガラス粉末に対してバインダー(積水化学工業株式会社、エスレックK KW−10)を10wt%、蒸留水を50wt%加えて調合した。このスラリーを上述の不織布に含浸させ、ドライヤーで余分なスラリーを除去、乾燥後、同様な操作をもう一回行った。このように作製したスラリー含浸シートを3枚用意し、重ねてから、950℃で2時間焼成することにより、多孔質ガラスセラミックスを得た。この多孔質ガラスセラミックスは、XRDの測定によりナシコン型のMg0.5Ti(POを有していることが確認された。この多孔質ガラスセラミックスの気孔サイズ、気孔率及び1.0mW/cmの紫外線照射による光触媒活性を測定した結果を表1に示した。なお、これらの物性及び光触媒活性の測定前に、多孔質ガラスセラミックスに対し、4.6wt%のHFで1分間処理を行った。また、紫外線照射前後のアセトアルデヒド及び二酸化炭素の濃度変化を測定し、図1に示した。
[実施例2]
本例では、テンプレートとしてウレタンスポンジを用いて、スラリーを含浸させて、乾燥してから焼成した。合成例1で作製したガラスを粉砕した平均サイズ10μmのガラス粉体を水とバインダー(積水化学工業株式会社、エスレックK KW−10)と消泡剤(エアープロダクツアンドケミカルズ、サーフィノールDF−110D)を混合(重量比 ガラス:水:KW10=4:2:1、外割り0.1%DF−110D添加)してスラリーとした。基材には60×60×20mmのポリウレタンフォーム(セル数:約6個/25mm)を使用した。ドライヤーにより余分なスラリーを除去しながら、基材にスラリーを2回コーティングし、乾燥させた。乾燥したサンプルを2℃/分の速度で昇温し、800〜900℃で2時間焼成することにより、多孔質ガラスセラミックスを得た。この多孔質ガラスセラミックスの気孔サイズ、気孔率及び1.0mW/cmの紫外線照射による光触媒活性を測定した結果を表1に示した。なお、これらの物性及び光触媒活性の測定前に、多孔質ガラスセラミックスに対し、4.6wt%のHFで1分間処理を行った。
[実施例3]
本例では、スラリーに気泡を導入し、乾燥してから焼成した。樹脂容器に、合成例1で作製したガラスを粉砕した平均サイズ3.9μmのガラス粉末を入れてから、ガラスの重量に対して40wt%の蒸留水を加え、更に起泡剤として花王エマールAD−25溶液を3%添加した。次に、スラリーの体積が約二倍になるまで機械的撹拌を行い、泡入りのスラリーを調製した。その後、スラリーを紙製の型にキャストし、乾燥してから、800℃で2時間焼成を行うことにより、多孔質ガラスセラミックスを得た。この多孔質ガラスセラミックスの気孔サイズ、気孔率及び1.0mW/cmの紫外線照射による光触媒活性を測定した結果を表1に示した。なお、これらの物性及び光触媒活性の測定前に、多孔質ガラスセラミックスに対し、4.6wt%のHFで1分間処理を行った。
[実施例4]
本例では、顆粒状のガラスを焼結させた。合成例1で作製したガラスを粉砕したサイズ0.7mm以下の顆粒状ガラスに対して蒸留水を30wt%、バインダー(積水化学工業株式会社、エスレックK KW−10)を5wt%加えてスラリーを調合した。このスラリーを紙製の型に注入し、乾燥してから850℃で2時間かけて焼結させることにより、多孔質ガラスセラミックスを得た。この多孔質ガラスセラミックスの気孔サイズ、気孔率及び光触媒活性を測定した結果を表1に示した。なお、これらの物性及び1.0mW/cmの紫外線照射による光触媒活性の測定前に、多孔質ガラスセラミックスに対し、4.6wt%のHFで1分間処理を行った。
Figure 2013154286
表1及び図1に示した結果から、実施例1〜4の光触媒多孔質体は、4時間でアセトアルデヒドを100%分解できており、優れた光触媒活性を有することが確認された。なお、XRDの測定により、実施例1〜4で得られたすべての多孔質ガラスセラミックスに主にナシコン型のMg0.5Ti(POの生成が確認された。
[合成例2]
酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で、3%Al−35%P−50%TiO−12%MgOの組成を有するガラスを作製した。すなわち、各成分の原料に相当する酸化物を、秤量して均一に混合した後、白金坩堝に入れて、電気炉で1450℃の温度範囲で3時間溶解し、攪拌均質化してからガラス融液を水に投下し、顆粒状のガラスを得た。その後、そのガラスを更に100μm以下に粉砕し、以下の多孔質ガラスセラミックスの作製に用いた。
[実施例5]
本例では、テンプレートとして格子状の穴(穴サイズ4×8mm)を有するポリエステルとナイロンからなる不織布(厚み4mm)を用いて、スラリーを含浸させて、乾燥してから焼成した。スラリーは、合成例2で作製したガラスを粉砕した平均サイズ10μmのガラス粉末に対してバインダー(積水化学工業株式会社、エスレックK KW−10)を10wt%、蒸留水を45wt%加えて調合した。このスラリーを上述の不織布に含浸させ、ドライヤーで余分なスラリーを除去、乾燥後、同様な操作をもう一回行った。このように作製したスラリー含浸シートを3枚用意し、重ねてから、850℃で2時間焼成することにより、多孔質ガラスセラミックスを得た。この多孔質ガラスセラミックスは、光触媒活性を有する結晶として、ナシコン型のMg0.5Ti(POを有していた。この多孔質ガラスセラミックスの気孔率は82%であった。また、この多孔質ガラスセラミックスについて、1.0mW/cmの紫外線照射によるアセトアルデヒドの分解率を測定したところ、紫外線照射4時間後は100%に達することが確認された。なお、気孔率及び光触媒活性の測定前に、多孔質ガラスセラミックスに対し、4.6wt%のHFで1分間処理を行った。
[合成例3]
酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で、3%Al−5%B−25%P−25%TiO−42%WOを有するガラスを作製した。すなわち、各成分の原料に相当する酸化物を、秤量して均一に混合した後、石英坩堝に入れて、電気炉で1350℃の温度範囲で3時間溶解し、攪拌均質化してからガラス融液を水に投下し、顆粒状のガラスを得た。その後、そのガラスを更に100μm以下に粉砕し、以下の多孔質ガラスセラミックスの作製に用いた。
[実施例6]
本例では、テンプレートとして格子状の穴(穴サイズ3×5mm)を有するポリエステルとナイロンからなる不織布(厚み10mm)を用いて、スラリーを含浸させて、乾燥してから焼成した。スラリーは、合成例3で作製したガラスを粉砕したガラス粉末に対してバインダー(積水化学工業株式会社、エスレックK KW−10)を15wt%、蒸留水を55wt%加えて調合した。このスラリーを上述の不織布に含浸させ、ドライヤーで余分なスラリーを除去しながら乾燥してから同様な操作をもう一回行った。その後、800℃で2時間焼成することにより、多孔質ガラスセラミックスを得た。この多孔質ガラスセラミックスは、光触媒活性を有する結晶として、主にWOを有していた。この多孔質ガラスセラミックスの気孔率は80%であった。また、この多孔質ガラスセラミックスに対し、可視光照射によるアセトアルデヒドの分解率を測定したところ、可視光照射4時間後は100%に達することが確認された。なお、気孔率及び光触媒活性の測定前に、多孔質ガラスセラミックスに対し、0.46wt%のHFで1分間処理を行った。
以上、本発明の実施の形態を例示の目的で詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。

Claims (17)

  1. 骨格材料が光触媒活性を有することを特徴とする光触媒多孔質体。
  2. 気孔率が40%〜95%の範囲内である請求項1に記載の光触媒多孔質体。
  3. 気孔サイズが0.1〜10000μmの範囲内である請求項1又は2に記載の光触媒多孔質体。
  4. 前記光触媒活性を有する骨格材料が、単一材料からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の光触媒多孔質体。
  5. 前記光触媒活性を有する骨格材料が、ガラスセラミックスからなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の光触媒多孔質体。
  6. 前記光触媒活性を有する骨格材料が、セラミックスからなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の光触媒多孔質体。
  7. ナシコン型構造の結晶を含有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の光触媒多孔質体。
  8. TiO結晶、WO結晶、ZnO結晶及びこれらの固溶体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の結晶を含有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の光触媒多孔質体。
  9. 酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で、TiO、WO及びZnOよりなる群か選ばれる少なくとも1種以上を、合計で20〜99%含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の光触媒多孔質体。
  10. 酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で、
    成分 0〜50%、
    成分 0〜50%、
    SiO成分 0〜50%、
    GeO成分 0〜50%、
    の各成分を含有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の光触媒多孔質体。
  11. 酸化物換算組成の全物質量に対して、モル%で、
    LiO成分 0〜35%、
    NaO成分 0〜35%、
    O成分 0〜35%、
    RbO成分 0〜10%、
    CsO成分 0〜10%、
    MgO成分 0〜40%、
    CaO成分 0〜40%、
    SrO成分 0〜40%、
    BaO成分 0〜40%、
    Al成分 0〜30%、
    Ga成分 0〜30%、
    In成分 0〜10%、
    ZrO成分 0〜20%、
    SnO成分 0〜10%、
    Nb成分 0〜30%、
    Ta成分 0〜30%、
    MoO3成分 0〜30%、
    Bi成分 0〜20%、
    TeO成分 0〜20%、
    Ln成分(式中、LnはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuからなる群より選択される1種以上とする) 合計で0〜30%、
    成分(式中、MはV、Cr、Mn、Fe、Co、Niからなる群より選択される1種以上とし、x及びyは、それぞれx:y=2:Mの価数、を満たす最小の自然数、Mの価数は、Vは5、Crは3、Mnは1、Feは3、Coは2、Niは2とする。) 合計で0〜10%、
    As成分及び/又はSb成分 合計で0〜5%
    の各成分をさらに含有する請求項1〜10のいずれか1項に記載の光触媒多孔質体。
  12. F、Cl、Br、S、N、及びCからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の成分を、全質量に対する外割り質量比で20%以下の量で含有する請求項1〜11のいずれか1項に記載の光触媒多孔質体。
  13. Cu、Ag、Au、Pd、Ru、Rh、Re及びPtからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属種を、全質量に対する外割り質量比で10%以下の量で含有する請求項1〜12のいずれか1項に記載の光触媒多孔質体。
  14. 紫外領域から可視領域までの波長の光によって光触媒活性が発現される請求項1〜13のいずれか1項に記載の光触媒多孔質体。
  15. 請求項1から14のいずれか1項に記載の光触媒多孔質体に対して、ドライエッチング処理、及び/又はウェットエッチング処理してなる光触媒多孔質体。
  16. 請求項1から15に記載の光触媒多孔質体を含むフィルタ。
  17. 請求項1から15に記載の光触媒多孔質体を含む浄化装置。
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