JP3846673B2 - 光触媒機能を有するシリカゲル成形体およびその製造方法 - Google Patents

光触媒機能を有するシリカゲル成形体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車、居室、畜産などにおける脱臭あるいは有害汚染物質の無害化、環境におけるNOxの除去、染色排水の脱色、水槽の防藻、水や空気の殺菌を行うことができる、光が透過し易く、吸着性能を有するシリカゲルの成形体の細孔内に酸化チタンを含ませた光触媒機能を有するシリカゲル成形体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水溶液に半導体の粉末を分散し、その物質のバンドギャップ以上のエネルギーを持つ光(390nm以下の波長の光)を照射すると、光励起により生成した電子と正孔が半導体粒子表面に移動し、水溶液中のイオン種や分子種に作用して、水の分解など様々な反応を引き起こすことは、半導体光触媒反応としてよく知られている。酸化チタンが代表的な光触媒として挙げられる。
【0003】
これらに太陽光、蛍光灯、白熱灯、ブラックライト、紫外線ランプ、水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、冷陰極蛍光ランプなどの光を照射することにより、空気中の悪臭や有害物質の分解除去、廃水処理、浄水処理あるいは水中の微生物の殺菌など環境汚染物質の分解除去を行うことができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これら用途において、微粉末では取り扱いが困難であるため、特開平6−65012号公報には、チタンのアルコキシドから酸化チタンのゾルを作り、ディップコーティング法によってガラス基板上にコーティングした後、乾燥、焼成するといった工程を、通常10回程度繰り返すことにより、光触媒活性に優れ、かつ透明で耐水性、耐熱性、耐久性に優れた酸化チタン薄膜光触媒が提案されている。しかし、これはガラス、セラミックスなど耐熱性の無機物質にしか利用できない上に、製造に手間が掛かかり過ぎるため高価で、かつ分解反応は光触媒の表面でしか生じないため、環境汚染物質の分解除去を連続的に行うには非常に大きな面積を必要とするなど実用上大きな問題点があった。
【0005】
特許第2775399号公報には、シリカゲル等の表面に酸化チタンの多孔質薄膜を形成した多孔質光触媒が開示されている。これは、チタンのアルコキシドから酸化チタンのゾルを作り、ディップコーティング法によって球状のシリカゲルの表面にコーティングした後、乾燥、焼成するといった工程を、通常3回以上繰り返すことにより得られるが、このようにして形成された酸化チタンの薄膜は、剥離し易く、水に入れると割れることから、用途が著しく制限されるものであった。加えてディップコートの際にもシリカゲルが少なからず割れ、これを3回以上繰り返す必要があるため歩留まりが著しく悪かった。
【0006】
また、上述の欠点を解決するためにシリカゲルの細孔内に酸化チタンを含ませた光触媒シリカゲルが提案されている(特開平11−138017号公報)。しかし、このようにして得られた光触媒シリカゲルは球状あるいは粉末状であり、そのままでは処理対象ガスを通じたとき通気抵抗が大きいなどの欠点があり、用途が著しく限定されるものであった。
【0007】
一方、シリカゲルの成形体としては、特許第2888743号公報には粉末状のシリカゲルと粉末状のバインダーとを用いた吸脱着性能に優れたシリカゲル集合体およびその製法が開示されており、特開平7−10647号公報には粉末シリカゲルと水およびバインダーとの混練物のハニカム状成形体が開示されている。しかし、これらシリカゲルの成形体は吸湿を目的としてなされたもので、シリカゲルの平均細孔径が小さく低湿度でも吸湿率が高い一般的なシリカゲル(JIS Z0701 包装用乾燥剤A型あるいはB型規格品、または同等品)が使用されている。これらに有機チタンを含浸して焼成しても、焼成中に有機チタンがシリカゲルの細孔内から排出され、酸化チタンとして細孔内にほとんど残らないため、光触媒活性に優れた成形体を得ることができなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、平均細孔径が10〜100nmの範囲にある粉末状または/および粒状のシリカゲルから主としてなる成形体のシリカゲルの細孔内に、四塩化チタンや金属チタンとアルコールとの反応などによって得られる有機チタン含有溶液を含ませた後、加熱焼成し、当該成形体のシリカゲルの細孔内に酸化チタンを1〜70重量%含ませたことを特徴とする光触媒機能を有するシリカゲル成形体の製造方法および該方法により得られるシリカゲル成形体を提供するものである。
【0009】
本発明に用いられるシリカゲルは非晶質の二酸化ケイ素であり、特公平7−64543号公報など公知の方法により、シリカゲルを構成するコロイド粒子の大きさを制御することにより得られる平均細孔径が10〜100nmの範囲にあるものが望ましく、10〜50nmの範囲にあるものがより望ましい。
【0010】
なお、このシリカゲルは、水や有機溶媒に浸漬しても割れ難いという特徴を有するもので、包装用乾燥剤(JIS Z0701 包装用乾燥剤A型規格品またはB型規格品)として一般的に使用されているものとは全く異なるもので、機械的強度もあり、吸着特性に優れ、球状品では特に水あるいは有機溶剤に浸漬しても割れない性質もあることからクロマトグラフィー用や触媒担持用などに用いられているものである。
【0011】
上述の包装用乾燥剤は水あるいは有機溶剤に浸漬すると割れ易く、これらに有機チタンを含浸して焼成しても、焼成中に有機チタンがシリカゲルの細孔内から排出され、酸化チタンとして細孔内にほとんど残らないという致命的な欠点があり、本発明に用いることはできない。
【0012】
平均細孔径が10nm未満のシリカゲルでは十分な酸化チタンの担持量が得られず、光触媒活性の劣ることから望ましくなく、平均細孔径が100nmを越えるシリカゲルは製造が困難であり、非常に高価なため望ましくない。
【0013】
本発明に関わるシリカゲル成形体は、粉末状または/および粒状のシリカゲルにバインダー、水などを加えて混練し、公知の方法でハニカム形状、柱状、棒状、円筒状、平板状、波板状、ループ状などに成形した後、乾燥または焼成することにより得られる。バインダーとしては、MC、CMC、でん粉、カルボキシメチルスターチ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸カルシウム、ポリビニルアルコール、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フェノール樹脂、メラミン樹脂等の有機系バインダー、低融点ガラス、水ガラス、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、コロイダルチタン、ベントナイト、モンモリロナイト、リン酸アルミニウムなどの無機系バインダーを、単独または2種類以上併用して用いてもよい。なお、成形体の光触媒活性、強度、多孔質化、吸着能などの向上を目的として蓄光材料、酸化チタン、界面活性剤、ガラス繊維、活性炭、木粉、包装用乾燥剤に使われるシリカゲル、ゼオライトなどを制限なく用いてもよい。
【0014】
本発明に関わるシリカゲルの細孔内に含ませる酸化チタンの結晶構造は、光触媒活性の高いアナターゼであることがより望ましく、シリカゲル成形体のシリカゲルの細孔内に含ませる酸化チタンの量を1〜70重量%とすることが望ましく、7〜15重量%とすることがより望ましい。1重量%未満では十分な光触媒活性が得られず、70重量%を超えるとシリカゲル成形体のシリカゲルの細孔を目詰まりさせるため望ましくない。
【0015】
本発明に用いられる有機チタン含有溶液としては、四塩化チタンや金属チタンとアルコールとの反応などによって得られるテトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラキス(2−エチルへキシルオキシ)チタン、テトラステアリルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、チタニウムエチルアセトアセテート、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコレート、チタニウムラクテートなどのチタンのアルコキシド、およびイソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2、2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネートなどのチタネート系カップリング剤などの有機チタン含有溶液が挙げられる。また、上述の有機チタン含有溶液は単独でも混合物でも制限なく利用できるが、これらに限定されるものではなく、濃度調整のために相溶性のある溶剤で希釈してもよい。希釈液としてはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、N−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、トリクレン、プロピレンジクロライドなどチタン含有溶液と相溶性のあるものであれば何でも、単独でも混合物でも制限なく利用できる。
【0016】
たとえば、細孔内に酸化チタンを含む粉末状または/および粒状シリカゲルは、平均細孔径が10〜100nmの範囲にある該シリカゲルと、当該シリカゲルが有する全細孔容積以下の容量の有機チタン含有溶液とを、例えば蓋付の円筒状の容器に入れて容器を回転、振動あるいは振とうなどすることにより、当該チタン含有溶液をシリカゲルに含ませてから、加熱焼成することによって得られるが、その他の公知の方法、例えば含浸法なども制限なく利用できる。通常はこれら操作を1回行えば十分な酸化チタン担持量が得られるが、同じ操作を複数回行えば担持量を更に増やすことができる。
【0017】
本発明に関わるシリカゲル成形体は、平均細孔径が10〜100nmの範囲にある粉末状または/および粒状のシリカゲルから主としてなる成形体に公知の方法で、例えば含浸法などによりチタン含有溶液を含ませてから、加熱焼成することによって得られる。
【0018】
また、スプレー法などにより成形体の特定表面にチタン含有溶液をコートすると、これら溶液はシリカゲル成形体の特定表面近傍にだけチタン含有溶液を含んだものができ、これを加熱焼成すれば特定表面近傍にだけに酸化チタンを含ませたものが得られる。
【0019】
酸化チタンの光触媒反応は400nm以下の紫外光で生じ、380nmの紫外光では厚さ約1μmの酸化チタン薄膜で約60%が吸収され、光触媒反応に関与する酸化チタンは表面近傍のものだけに過ぎない。チタン含有溶液は極めて高価であることから、光が照射される部分にだけ酸化チタンを含ませた経済的に非常に優れた光触媒機能を有するシリカゲル成形体が得ることができる。なお、当該シリカゲル成形体の全細孔容積に等しい容量のチタン含有溶液を含ませても、加熱焼成により酸化チタン濃度が表面近傍ほど高く、中心部ほど低いという勾配を持ったものができる。
【0020】
また、当該シリカゲル成形体の細孔内に、原子番号21(Sc)から29(Cu)まで、39(Y)から47(Ag)まで、57(La)から79(Au)、および89(Ac)から103(Lr)までの遷移元素から選ばれた少なくとも一種またはその酸化物を、公知の方法で酸化チタン光触媒と共存させると光触媒活性が高くなることがある。その理由は明らかではないが、酸化チタンに光を当てたときに生成する活性酸素の一種である過酸化水素と、二価の鉄イオンが反応して水酸ラジカルが生じる反応はフェントン反応として知られており、鉄以外の遷移元素についてもこれと同様なメカニズムが働いているものと考えられる。
【0021】
本発明に関わる有機チタン含有溶液を含ませた、シリカゲル成形体の加熱焼成は、光触媒として高性能な結晶形がアナターゼである酸化チタンとするために、例えば室温から徐々に加熱昇温して400〜700℃の最終温度で一定時間保持した後、室温まで冷却して行う。焼成温度が400℃未満または700℃を越えると、光触媒として活性の低いルチルや非晶質の混じった酸化チタンとなるので好ましくない。なお、使用する焼成炉は焼成に必要な酸素が十分にあるガス炉が望ましいが、酸素の供給が不充分な電気炉でも酸素を供給すれば問題なく焼成することができる。
【0022】
【作用】
本発明による光触媒機能を有するシリカゲル成形体は、大きな比表面積を有し、用途に応じてハニカム形状、柱状、棒状、円筒状、平板状、波板状、ループ状など様々な形状が可能であり、かつ光に透明なシリカゲルを担持体としていることから、太陽光、蛍光灯、白熱灯、ブラックライト、紫外線ランプ、水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、冷陰極蛍光ランプなどの光を照射することにより、空気中の悪臭や有害物質、あるいは水中に含まれている有機溶剤、農薬などを効率よく分解除去することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明を次の例で詳しく説明する。
【0024】
参考例]シリカゲル成形体の作製(酸化チタンを含ませたシリカゲルを用いて成形体を作る方法)
180℃で乾燥した粒度100〜350メッシュ(40〜150μm)のシリカゲル(富士シリシア化学株式会社製 CARiACT G−10、平均細孔径10nm、細孔容積1.3ml、比表面積300m/g)250gと、シリカゲルの総細孔容積の97%量のジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン(三菱ガス化学製 TAA)315gをポリエチレン容器に入れて、速やかに蓋をしてポットミル架台にこれを乗せ、20rpmで1時間転動してからステンレス製バットに取り出し、室温で2日間乾燥した後、電気炉を用い時々炉蓋を空けて酸素を供給しながら室温から徐々に600℃まで加熱昇温し、600℃で1時間保持した後、室温まで自然放冷して、酸化チタンを含むシリカゲルを得た。
【0025】
得られたシリカゲルを粉末にしてX線回折により調べた結果、酸化チタンのピークとしてはアナターゼ型のものだけが観察された。。また、真比重測定値から求めた酸化チタンの含有量は16.1重量%(180℃乾燥重量基準)であった。
【0026】
次に、上で得られたシリカゲル100重量部と粉末状のメチルセルロース(100メッシュ下)10重量部とをミキサーで混合した後、イオン交換水60重量部を添加し、三本ロールで混練(ロール温度は10〜15℃に制御)した後、得られた混練物を押出し成形機に投入し、平板形状の口金から押出しタイル形状にカットした。
【0027】
このタイル形状品を60℃で24時間の予備乾燥した後、120℃で60分間乾燥してシリカゲル成形体を得た。
【0028】
[比較参考例1]
5〜10メッシュのA型シリカゲル(豊田化工株式会社製 トヨタシリカゲルA型、平均細孔径2.4nm、細孔容積0.46ml、比表面積700m/g)を粉砕した後、100メッシュで分級し、参考例1と同様な粒度のシリカゲルを調製した。
【0029】
180℃で乾燥した、上で得られたシリカゲル250gと、シリカゲルの総細孔容積の97%量のジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン(三菱ガス化学製 TAA)112gをポリエチレン容器に入れて、速やかに蓋をしてポットミル架台にこれを乗せ、20rpmで1時間転動してからステンレス製バットに取り出し、室温で2日間乾燥した後、電気炉を用い時々炉蓋を空けて酸素を供給しながら室温から徐々に600℃まで加熱昇温し、600℃で1時間保持した後、室温まで自然放冷した。
【0030】
得られたシリカゲルをX線回折により調べた結果、アナターゼのピークは全く見られなかった。また、真比重測定値から求めた酸化チタンの含有量は0.13重量%(180℃乾燥重量基準)であった。
【0031】
次に、得られたシリカゲル100重量部と粉末状のメチルセルロース(100メッシュ下)10重量部とをミキサーで混合した後、イオン交換水60重量部を添加し、三本ロールで混練(ロール温度は10〜15℃に制御)した。
【0032】
上で得られた混練物を押出し成形機に投入し、平板形状の口金から押出しタイル形状にカットした後、60℃で24時間の予備乾燥した後、120℃で60分間乾燥してシリカゲル成形体を得た。
【0034】
[実施例]本発明に関わるシリカゲル成形体の作製(シリカゲルの成形体を作ってから酸化チタンを含ませる方法)
100〜500メッシュ(28〜150μm)のシリカゲル(富士シリシア化学株式会社製 CARiACT Q−50、平均細孔径50nm、細孔容積1.0ml、比表面積80m/g)100重量部、粉末状のメチルセルロース(100メッシュ下)10重量部、および非結晶性低融点ガラス(セントラル硝子製、接着温度:430〜650℃、転移点:320〜480℃)10重量部とをミキサーで混合した後、イオン交換水70重量部を添加し、三本ロールで混練(ロール温度は10〜15℃に制御)した後、押出し成形機に投入し、平板形状の口金から押出しタイル形状にカットした。
【0035】
このタイル形状品を60℃で24時間の予備乾燥した後、電気炉を用い時々炉蓋を空けて酸素を供給しながら室温から徐々に650℃まで加熱昇温し、650℃で3時間保持した後、室温まで自然放冷した。
【0036】
得られた成形体を、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン(三菱ガス化学製 TAA)に15分間浸漬した後、過剰のTAAを除去するために、イソプロピルアルコールの中で簡単に濯ぎ洗いしてから、室温で2日間乾燥した後、電気炉を用い時々炉蓋を空けて酸素を供給しながら室温から徐々に600℃まで加熱昇温し、600℃で2時間保持した後、室温まで自然放冷して本発明に係るシリカゲル成形体を得た。
【0037】
得られたシリカゲル成形体を粉末にしてX線回折により調べた結果、酸化チタンのピークとしてはアナターゼ型のものだけが観察された。。また、真比重測定値から求めた酸化チタンの含有量は13.1重量%(180℃乾燥重量基準)であった。
【0038】
[比較実施例
5〜10メッシュのB型シリカゲル(豊田化工株式会社製 トヨタシリカゲルB型、平均細孔径6.0nm、細孔容積0.75ml、比表面積450m/g)を粉砕した後、100メッシュで分級し、実施例と同様な粒度のシリカゲルを調製した。
【0039】
180℃で乾燥した、上で得られたシリカゲル250gと、粉末状のメチルセルロース(100メッシュ下)10重量部、および非結晶性低融点ガラス(セントラル硝子製、接着温度:430〜650℃、転移点:320〜480℃)10重量部とをミキサーで混合した後、イオン交換水70重量部を添加し、三本ロールで混練(ロール温度は10〜15℃に制御)した後、押出し成形機に投入し、平板形状の口金から押出しタイル形状にカットした。
【0040】
このタイル形状品を60℃で24時間の予備乾燥した後、電気炉を用い時々炉蓋を空けて酸素を供給しながら室温から徐々に650℃まで加熱昇温し、650℃で3時間保持した後、室温まで自然放冷した。
【0041】
得られた成形体を、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン(三菱ガス化学製 TAA)に15分間浸漬した後、過剰のTAAを除去するために、イソプロピルアルコールの中で簡単に濯ぎ洗いしてから、室温で2日間乾燥した後、電気炉を用い時々炉蓋を空けて酸素を供給しながら室温から徐々に600℃まで加熱昇温し、600℃で2時間保持した後、室温まで自然放冷して本発明に係るシリカゲル成形体を得た。
【0042】
得られたシリカゲル成形体を粉末にしてX線回折により調べた結果、アナターゼのピークは観察されなかった。また、真比重測定値から求めた酸化チタンの含有量は0.18重量%(180℃乾燥重量基準)であった。
【0043】
[実施例]得られたシリカゲル成形体のNOx分解除去
実施例1で得られたタイル状にカットされたシリカゲル成形体(50×50mm×厚さ3mm)を各10枚用いてNOxの分解除去を行った。まず、内容積40Lの密閉容器(20wブラックライトを内蔵)の中に得られたタイル状シリカゲル成形体を10枚重ならないようにして置いた。密閉容器内に10ppmのNOxを注射器で打ち込んだ後、ライトを点灯し、10分後に容器内の空気に含まれるNOx濃度をガスクロマトグラフにより測定したところ、NOx濃度は0ppmであった。次に、減少した分のNOxを注射器で打ち込んだ後、ランプを点灯し、10分後に容器内の空気に含まれるNOx濃度をガスクロマトグラフにより測定したところ、NOx濃度は0ppmであった。同様な測定を10回繰り返したが、毎回10分後に容器内の空気に含まれるNOx濃度はOppmであったことから、本発明による光触媒シリカゲルにはNOxの分解除去効果が顕著に認められた。
【0044】
次に、比較実施例1で得られたタイル状にカットされたシリカゲル成
形体(50×50mm×厚さ3mm)を各10枚用いて、密閉容器の中において同様な試験を行ったところ、1回目のNOx濃度はOppmであったものの回を重ねるにつれ、次第にNOx濃度は増大し、6回目にはほぼ10ppmと分解除去効果が全く見られなかった。
【0045】
[実施例]得られたシリカゲル成形体のトリメチルアミン分解除去
実施例1で得られたタイル状にカットされたシリカゲル成形体(50×50mm×厚さ3mm)を各10枚用いてトリメチルアミンの分解除去を行った。まず、内容積40Lの密閉容器(20wブラックライトを内蔵)の中に得られたタイル状シリカゲル成形体を10枚重ならないようにして置いた。密閉容器内にトリメチルアミン80ppmを注射器で打ち込んだ後、ブラックライトを点灯し、10分後に容器内の空気に含まれるトリメチルアミン濃度をガスクロマトグラフにより測定したところ、トリメチルアミン濃度は0ppmであった。次に、減少した分のトリメチルアミンを注射器で打ち込んだ後、ブラックライトを点灯し、10分後に容器内の空気に含まれるトリメチルアミン濃度をガスクロマトグラフにより測定したところ、トリメチルアミン濃度は0ppmであった。同様な測定を10回繰り返したが、毎回10分後に容器内の空気に含まれるトリメチルアミン濃度は0ppmであったことから、本発明による光触媒シリカゲルにはトリメチルアミンの分解除去効果が顕著に認められた。
【0046】
次に、比較実施例1で得られたタイル状にカットされたシリカゲル成形体(50×50mm×厚さ3mm)を各10枚用いて、密閉容器の中において同様な試験を行ったところ、1回目のトリメチルアミン濃度は0ppmであったものの回を重ねるにつれ、次第にトリメチルアミン濃度は増大し、9回目にはほぼ80ppmと除去効果が全く見られなかった。
【0047】
【発明の効果】
本発明による光触媒機能を有するシリカゲル成形体は、大きな比表面積を有し、用途に応じてハニカム形状、柱状、棒状、円筒状、平板状、波板状、ループ状など様々な形状が可能であり、かつ光に透明なシリカゲルを担持体としていることから、太陽光、蛍光灯、白熱灯、ブラックライト、紫外線ランプ、水銀灯、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、冷陰極蛍光ランプなどの光を照射することにより、空気中の悪臭や有害物質、あるいは水中に含まれている有機溶剤、農薬などを効率よく分解除去することが、バスルーム、24時間風呂、浄水器、空気清浄機、トイレ、キッチン、自動車の車内などの黴菌の増殖抑制・消臭、廃水処理、プールやタンクの浄化、観賞魚水槽の防藻など幅広い用途に適用することができる。

Claims (2)

  1. 平均細孔径が10〜100nmの範囲にある粉末状または/および粒状のシリカゲルから主としてなる成形体のシリカゲルの細孔内に、四塩化チタンや金属チタンとアルコールとの反応などによって得られる有機チタン含有溶液を含ませた後、加熱焼成し、当該成形体のシリカゲルの細孔内に酸化チタンを1〜70重量%含ませたことを特徴とする光触媒機能を有するシリカゲル成形体の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法により得られる光触媒機能を有するシリカゲル成形体。
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