JP2006110470A - 水質浄化剤 - Google Patents

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俊也 上田
Motoyoshi Nishimura
源宜 西村
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Abstract

【目的】 本発明は、長期間に亘る安定した消臭・吸着能力を発現し得るのであり、又、観賞魚用水槽などの水槽、水族館、料理店や魚介類販売店などの生簀、堀、観賞池などの池又は金魚鉢における淡水中或いは海水中に投入するだけで、アオコなどの微細な藍藻(ランソウ)類や緑藻類更に珪藻や苔類又は細菌更に微生物に対する対策が極めて簡単に行えるのであり、従って、水を浄化して透明度を向上させることができる水質浄化剤を提供することを目的とする。
【構成】 多孔質担体の表面部に、特定且つ特異な手段により、光触媒の被膜を形成・担持させてなることを特徴とする水質浄化剤。
【選択図】 なし

Description

本発明は、観賞魚用水槽などの水槽、水族館、料理店や魚介類販売店などの生簀、堀、観賞池などの池又は金魚鉢における淡水中或いは海水中から発生する悪臭や水質汚濁を改善する水質浄化剤に関し、特に、淡水或いは海水を緑色にするアオコに代表される微細な藍藻(ランソウ)類や緑藻類更に珪藻や苔類又は細菌更に微生物の発生を効果的に抑止する水質浄化剤に関する。
水族館、料理店や魚介類販売店などの生簀等においてアオコに代表される微細な藍藻(ランソウ)類や緑藻類更に珪藻や苔類等の発生は不快な印象を与えるため、その清掃や水の交換などを行う必要があるが、それには多大な手間と膨大なコストが必要となる。
又、水族館、料理店や魚介類販売店などの生簀等における淡水や海水をフィルターを通過させて当該淡水・海水を浄化する方法も存在するが、この方法では装置が複雑になるうえ、前記フィルターの目詰まりや濾過能力の不足等が発生し、その維持管理や保守点検に多大の費用が掛かるのである。
このため、水の汚染対策として活性炭による水質改善処理が行われている。
活性炭は、木材、おがくず、木材乾留物、木炭、椰子殻又はリグニン等を原料(活性炭原料)として、これに特別処理(賦活処理)を施すことによって、気体や色素等に対する吸着能力を高めたものであり、生活臭等の臭いの成分やホルマリン、エチルベンゼン又はキシレン等のシックハウスの原因となるVOCガス等の吸着成分に対する吸着能力が比較的高く、且つ安価であることから、現在、水の浄化、冷蔵庫や下駄箱の消臭剤或いは空気清浄機のフィルターその他の消臭・吸着製品の分野において、最も広く使用されている吸着材となっている。
しかしながら、係る活性炭による吸着は非定常で、吸着平行に支配されるため、一定量の吸着成分を吸着すると、活性炭はその吸着能力を失い、いわゆる失活状態となる。
ここで、この失活した活性炭の吸着能を再生するためには、当該活性炭に対して加熱処理や高温不活性ガス等の処理を施し、吸着成分を活性炭表面の微細孔から追い出す方法などが採用されている。
又、吸着成分が、活性炭表面の微細孔に強固に吸着した場合にあっては、当該活性炭を500〜800℃程度の高温で数時間加熱して、吸着した吸着成分を分解ないし炭化させる炭化処理を行い、更に水蒸気の存在下、900〜1200℃で数時間加熱して表面の炭化物をガス化させる賦活化処理を行うといった再生処理等も行われている。
しかしながら、上述の活性炭の再生方法にあっては、専用の再生炉が必要であることから、再生コストが高くなり、しかも再生炉における水蒸気濃度や賦活化温度或いは賦活化時間等の制御が困難であり、特に再生を繰り返す度に数%〜数十%の吸着能のロスが生ずるといった問題がある。
そのため、通常の活性炭を用いた消臭・吸着製品においては、上述の再生処理を行うことなく、単に消臭・吸着製品全体を交換するか、或いは当該製品内の活性炭を詰め替えるかの方法が採られることが殆どである。
ところが、前述の如く、活性炭は比較的吸着能力が高く、短期間で飽和状態に達するため、頻繁に交換する必要が生ずるのであるが、実際の使用状況下において、この交換という作業は非常に煩わしいものである。
ところで、最近、光触媒と粒状多孔質担体とを混合させた粒状光触媒、或いは粒状多孔質担体の表面に光触媒を塗布して付着させた粒状光触媒について検討がなされており、この粒状光触媒はその表面の微細孔に吸着成分が捉えられて当該粒状多孔質担体が飽和状態になった場合にあっても、当該活性炭に対して太陽光や白熱灯等の紫外線を含む光を照射することにより、光触媒が前記吸着成分を分解して粒状多孔質担体の吸着能力を再生し、長期間にわたる吸着作用を維持・確保することができるものであり、現在、広く研究されているものである。
即ち、引用文献1においては、粒状光触媒と、該粒状光触媒を収容する擂り鉢状の光触媒収容槽と、該光触媒収容槽の中心部に、該光触媒収容槽の底面から下端を僅かに離した状態において垂直に支持した水流誘導筒と、該水流誘導筒の上端部に所要の間隔をとって取り付けた水流反射板と、前記水流誘導筒の上端側における水面より高くなる位置に取り付けた、外径が前記光触媒収容槽の上端部の径より小径で且つ中心の水流誘導筒との接続部側が高くなるようにして所要角度に傾斜させた傘状の太陽光反射板と、前記光触媒収容槽の底部中心に縦貫するよう取り付けると共に上端部を前記水流誘導筒の下端側開口に臨ませた、前記水流誘導筒より小径の原水送出筒と、該原水送出筒に取り付けた水中ポンプと、前記光触媒収容槽を囲み、該光触媒収容槽との間の隙間を取水通路としてその内底中心部に前記水中ポンプを配置し、更に前記光触媒収容槽の上部から溢れる水を外部に放出する放水通路を設けたケーシングと、前記光触媒収容槽に浮力をもたせるフロートと、前記ケーシングに取り付けたアンカー等の適宜の係留具とからなる湖沼等の浄化装置が提案されている。
この湖沼等の浄化装置においては、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、多孔質ガラス等の粒状多孔質担体と二酸化チタン等の光触媒とを混合した粒状光触媒が用いられている(引用文献1の請求項3)。
又、前述の粒状多孔質担体の表面に対して、接着剤等のバインダーを用いて光触媒を担持させたりすることにより、活性炭表面の微細孔に捉えられた吸着成分を分解させる手段が研究・開発されている。
特開2003−225657
しかしながら、粒状多孔質担と光触媒とを混合した場合においては、粒状多孔質担体表面の吸着成分と光触媒が離れた位置に存在するため、当該吸着成分に対する分解作用が弱くなり、又、光触媒が粒状であることから湖沼等の水との接触が悪く、一層分解作用が弱くなるといった問題がある。
又、粒状多孔質担体と光触媒とを混合するにあたり、当該粒状多孔質担体と光触媒との比重や粒径の違いによって両者が均一に混ざり難く、その結果、品質にバラツキが生じ、所要の吸着・光触媒作用が得られないなどの問題がある。
更に、粒状多孔質担体と光触媒とを混合しただけであると、これを湖沼等に投入した場合、水の流れなどによって、粒状多孔質担体と光触媒とが分離し、逆に、湖沼等の汚染原因となる。
一方、粒状多孔質担体の表面に対して、接着剤等のバインダーを用いて、光触媒を担持させる場合にあっては、光触媒がバインダー中に埋没したり、粒状多孔質担体表面の微細孔がバインダーに覆われたりする結果、光触媒の吸着成分に対する分解作用が弱くなったり、粒状多孔質担体の吸着能力が減少したりするといった問題が生じる上、バインダー自体が光触媒による分解作用を受け、粒状多孔質担体表面から光触媒が剥離・脱落するといった問題がある。
そこで、本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、多孔質担体の表面部に、光触媒を蒸着或いは真空蒸着によって、当該光触媒の皮膜を形成・担持させてなる水質浄化剤、更に光触媒となる有機金属化合物の溶液ないし分散液を多孔質担体に含浸或いは真空含浸し、これを加熱分解して当該多孔質担体に光触媒を固着することによって、光触媒の被膜を形成・担持させてなる水質浄化剤、とすることにより、多孔質担体表面部の微細孔と光触媒の位置を近接させることができるのであり、しかもバインダー等を用いない固着手段により光触媒を担持させることにより、埋没に起因する光触媒の吸着成分に対する分解作用の減少を防止することができる上、光触媒の被膜は非常に薄いことから、係る被膜が多孔質担体表面部の微細孔を覆っても、多孔質担体の吸着能力を殆ど損ねることがない、水質浄化剤が得られるという知見を得たのである。
そして、本発明者が、この水質浄化剤について、更に検討を重ねたところ、この水質浄化剤には、観賞魚用水槽などの水槽、水族館、料理店や魚介類販売店などの生簀、堀、観賞池などの池又は金魚鉢における淡水中或いは海水中に発生するアオコなどの微細な藍藻(ランソウ)類や緑藻類更に珪藻や苔類又は細菌更に微生物の発生を効果的に抑止ないし分解する優れた効果があり、これにより、この水質浄化剤を堀、池、水槽などに投入するだけで、そこから発生する悪臭や水質汚濁を改善し得るとの知見を得たのである。
又、本発明者は、観賞魚用水槽などの水槽、水族館、料理店や魚介類販売店などの生簀、堀、観賞池などの池又は金魚鉢における淡水中或いは海水中に投入するだけで、アオコなどの微細な藍藻(ランソウ)類や緑藻類更に珪藻や苔類又は細菌更に微生物に対する対策が極めて簡単に行えるのであり、従って、水を浄化して透明度を向上させることができるのであり、特に、光触媒として酸化チタンを用いると、当該酸化チタンは食品添加物であって魚介類に対する安全性が高く、しかも水質浄化剤が黒色でないので、観賞用に適しており、又、粒度の調製や成形によって多孔質担体を小石状や岩状に自由に加工できるのであり、更に、この多孔質担体に塩酸や硫酸などの無機酸更に酢酸や蓚酸などの有機酸の希薄液を含浸させて容易に水素イオン濃度(pH)を弱酸性に調整できるなどの知見を得た。
本発明に係る水質浄化剤においては、前記知見に基づき完成されたものであって、長期間に亘る安定した消臭・吸着能力を発現し得るのであり、又、観賞魚用水槽などの水槽、水族館、料理店や魚介類販売店などの生簀、堀、観賞池などの池又は金魚鉢における淡水中或いは海水中に投入するだけで、アオコなどの微細な藍藻(ランソウ)類や緑藻類更に珪藻や苔類又は細菌更に微生物に対する対策が極めて簡単に行えるのであり、従って、水を浄化して透明度を向上させることができる水質浄化剤を提供することを目的とするものである。
この目的を達成するため、本発明に係る水質浄化剤においては、
「 観賞魚用水槽などの水槽、水族館、料理店や魚介類販売店などの生簀、堀、観賞池などの池又は金魚鉢における淡水中或いは海水中に投入されてアオコなどの微細な藍藻(ランソウ)類や緑藻類更に珪藻や苔類又は細菌更に微生物の発生を効果的に抑止ないし分解する光触媒からなる水質浄化剤であって、この水質浄化剤が、下記の(1)又は(2)から選ばれた少なくとも1種の光触媒からなることを特徴とする水質浄化剤。

(1)水質浄化剤が、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、パーライト又は多孔質ガラスなどから選ばれた少なくとも1種の多孔質担体の表面部に、蒸着或いは真空蒸着によって、光触媒の被膜を形成・担持させてなる光触媒。
(2)水質浄化剤が、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、パーライト又は多孔質ガラスなどから選ばれた少なくとも1種の多孔質担体の表面部に、光触媒となる有機金属化合物の溶液ないし分散液を多孔質担体に含浸或いは真空含浸し、これを加熱分解して、光触媒の被膜を形成・担持させてなる光触媒。」、
との技術的手段を講じたものである。
本発明において、水質浄化剤が、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、パーライト又は多孔質ガラスなどから選ばれた少なくとも1種の多孔質担体の表面部に、前記の(1)又は(2)から選ばれた少なくとも1種の光触媒の被膜を形成・担持させてなることにより、長期間に亘る安定した有害物質の吸着能力や消臭能力を発現し得る水質浄化剤を得ることができるのである。
そして、この得られた水質浄化剤は、多孔質担体における表面部の微細孔と光触媒の位置が近接しており、しかもバインダー等を用いることなく光触媒を担持させているので、埋没に起因する光触媒の吸着成分に対する分解作用の減少を防止することができるのであり、更に、前記の(1)又は(2)から選ばれた少なくとも1種の光触媒の被膜は非常に薄いことから、係る被膜が多孔質担体における表面部の微細孔を覆っても、多孔質担体の吸着能力を殆ど損ねることがないのである。
又、この水質浄化剤には、観賞魚用水槽などの水槽、水族館、料理店や魚介類販売店などの生簀、堀、観賞池などの池又は金魚鉢における淡水中或いは海水中に投入されてアオコなどの微細な藍藻(ランソウ)類や緑藻類更に珪藻や苔類又は細菌更に微生物の発生を効果的に抑止ないし分解する著しい効果があり、その結果、当該観賞魚用水槽などの水槽、水族館、料理店や魚介類販売店などの生簀、堀、観賞池などの池又は金魚鉢における淡水中或いは海水中に投入するだけで、そこから発生する悪臭や水質汚濁を改善することができるのである。
以下、本発明の水質浄化剤について更に詳細に説明する。
前述したように、本発明の水質浄化剤は、多孔質担体の表面部に光触媒の被膜を特定且つ特異な手段により形成・担持させてなるものである。
この水質浄化剤に用いられる多孔質担体としては、特に制限されるものではなく、工業用の触媒の担体、脱臭剤、有機溶剤の回収等に用いられる通常の多孔質担体を用いることができる。
具体的には、例えば活性炭、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、パーライト又は多孔質ガラスなどから選ばれた少なくとも1種の多孔質担体が挙げられるが、これらのうち品質が安定し、比較的入手容易な活性炭が望ましい。
この活性炭原料としては特に限定されるものではなく、具体的には、例えば木材、おがくず、木材乾留物、木炭、椰子殻又はリグニン等の既知の活性炭原料を好適に用いることができるが、中でも、入手しやすく、安価で、しかも吸着能力の高い椰子殻を用いることが特に好ましい。
そして、この水質浄化剤は、これらの多孔質担体の表面部に光触媒の被膜を特定の手段により形成・担持させるのであるが、この光触媒としては、光吸収によって触媒反応を起こし、多孔質担体に吸着された吸着成分を分解し得るものであれば特に制限されるものでない。
又、光触媒反応は反応系に光エネルギーが加わるので、反応系自身としてはギブスの自由エネルギーが減少する場合と増加する場合の双方があり、一般に後者を光触媒反応とは区別して取り扱う場合もあるが、本発明においては双方の場合を特に区別する必要はない。
具体的な光触媒の例としては、例えばTiO2、TiS2、ZnO、SrTiO3、CdS、CdO、CaP、InP、CaAs、InPb、In23、BaTiO3、K2NbO3、Fe23、V25、Ta25、WO3、SnO2、InVO4、InTaO4、InNbO4、Bi23、NiO、Cu2O、SiC、SiO2、RuO2、CeO2、MoS2又はMoS3等を挙げることができるのであり、本発明においてはこれらの光触媒から選ばれた少なくとも1種以上を用いることができる。
なお、本発明においては、多孔質担体の表面部に担持させるための原料として、前記光触媒を用いる場合に限定されるものではなく、用いられる原料が光触媒としての作用を有するものでなくても、後述する蒸着或いは真空蒸着更に光触媒となる有機金属化合物の溶液ないし分散液を多孔質担体に含浸或いは真空含浸し、これを加熱分解して、光触媒の被膜を形成・担持させてなることにより、結果として多孔質担体表面に前記光触媒の被膜を密着させた状態で担持・形成させることができるのである。
そして、本発明の水質浄化剤においては、多孔質担体の表面部に蒸着或いは真空蒸着により、前記光触媒を担持させたものであるが、酸化チタン(Ti02)を多孔質担体の表面部に担持・形成するにあたり、この蒸着手段としては、例えば、酸化チタン(Ti02)或いはチタン化合物をスパッタリング、グロー放電、熱蒸着、真空蒸着、化学蒸着(CVD法或いは化学反応気相法ともいう。)或いはイオンプレーティング等のいわゆる薄膜作成技術を好適に用いることができるのであり、本発明においては、これらの蒸着手段から選ばれた1種或いは2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に、本発明においては、簡便で経済的であり、しかも付着速度が速く効率が高い熱蒸着の手段を用いることが好ましい。
この蒸着手段で用いられる酸化チタン(Ti02)或いはチタン化合物としてはアナターゼ型酸化チタン(Ti02)、アナターゼ型酸化チタン(Ti02)とルチル型酸化チタン(Ti02)の混合物又は四塩化チタン(TiCl4)等が挙げられるのであり、これらのうち、四塩化チタン(TiCl4)については当該四塩化チタン(TiCl4)を燃焼させて結晶化させたアナターゼ型酸化チタン(Ti02)とルチル型酸化チタン(Ti02)の混合物を多孔質担体の表面部に担持・形成される(CVD法)。
又、本発明において、多孔質担体の表面部に光触媒の被膜を形成・担持させる他の手段としては、光触媒となる有機金属化合物の溶液ないし分散液を多孔質の担体に含浸或いは真空含浸し、これを加熱分解して、光触媒の被膜を形成・担持させてなるものである。
これは、所謂化学的合成法によって多孔質担体に含浸或いは真空含浸し、これを加熱分解して、光触媒の被膜を形成・担持させてなるものであり、これには以下の方法が挙げられる。
尚、ここでは光触媒として極めて活性なアナターゼ型酸化チタン(TiO2)の被膜を多孔質担体に担持・形成させる場合について説明する。
含浸・真空含浸法
a.四塩化チタン(TiCl4)、硫酸チタン[Ti(SO42]等の無機チタン化合物を加水分解したり、又は有機チタン化合物を酸触媒の存在下で加水分解によって調整した酸化チタン(TiO2)のゾル溶液(0.05〜0.5mol/l)に活性炭等の多孔質担体を浸漬して含浸させた後、一定速度で上方に引き上げ、乾燥し、焼成する。
この場合、活性炭等の多孔質担体を真空にして当該多孔質担体の表面部における付着物を除去した直後、この多孔質担体を前記酸化チタン(TiO2)のゾル溶液に浸漬して当該酸化チタン(TiO2)のゾル溶液を多孔質担体に真空含浸させた後、一定速度で上方に引き上げ、乾燥し、焼成する。
そして、この際、均質膜を得るために、比較的遅い引き上げ速度で、浸漬−含浸−乾燥−焼成を繰り返すのが好ましい。
前記有機チタン化合物としては、チタンエトキシド[Ti(0C254]、チタンnープロポキシド[Ti(0C374]、チタンイソプロポキシド[Ti(0C374]、チタンnーブトキシド[Ti(0C494]、チタンイソブトキシド[Ti(0C374]等のチタンアルコキシドなどが挙げられる。
又、前記酸触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、或いは蓚酸、乳酸又は酢酸等の有機酸が挙げられる。
ところで、この酸化チタン(TiO2)ゾルのコーティング膜は450〜550℃で処理するのが好ましく、この温度で処理することによってアナターゼ型に結晶化するのである。
b .チタンアルコキシド、例えばチタンイソプロポキシド、エタノール、ジエタノールアミン(溶液の安定剤)及び水を用いて調製したコーティング膜用溶液(0.05〜0.5mol/l程度)が好ましい。
この場合、このコーティング膜用溶液(0.05〜0.5mol/l程度)の濃度は、チタンイソプロポキシドの濃度であり、それにエタノール、ジエタノールアミンを用いて溶解し、更に水を加えて調製したものである。
この溶液に活性炭等の多孔質担体を浸漬し(30〜60分)、徐々に引き上げた後、450〜550℃程度で加熱し、これによって、アナターゼ型に結晶化する。
この場合、必要に応じて、得られたTiO2付多孔質担体(水質浄化剤)を再度、前記溶液に浸漬し、前記温度での加熱を繰り返しても良いのである。
c .チタンアルコキシド、例えばチタンイソプロポキシド、エタノール、ジエタノールアミン及び水を混合した均質溶液(前記b.のコーティング膜用溶液)に、所定量のポリエチレングリコールを添加して溶解したコーティング膜用溶液を用いるものである。
ポリエチレングリコールを添加は、加水分解中縮合反応を制御したり、コーティング膜の微構造をポリエチレングリコールの分子量と添加量によって制御するものである。
ところで、本発明においては、前記アナターゼ型酸化チタン(TiO2)を用いる場合、可視光でも活性を発現するように、当該アナターゼ型酸化チタン(TiO2)に可視光を吸収する色素(色素光増感剤:ルテニウム錯体等)を固定化吸着させ、可視光を吸収させて生じた色素の励起状態から酸化チタンの伝導体へ電子注入を起こさせたり、又、クロムイオンなどの異種金属イオンを化学的にドープし、金属イオンが酸化チタンの中で縞状に凝集したり、表面に偏析し、その結果、不純物エネルギー準位を形成し、これが可視光を吸収する役割をなすように構成しても良いのであり、更に、クロムイオンやバナジウムイオンなどの金属イオンを電解によって前記酸化チタン光触媒に極微量照射・注入することにより、可視光活性化を実現しても良いのである。
又、本発明において、多孔質担体の表面部に形成・担持させる光触媒の量は、特に限定されるものではなく、その使用目的や用途更に光触媒場の種類等に応じて適宜決定すればよいものであるが、一般的には、多孔質担体100重量部に対して、光触媒を0.1〜100重量部程度担持させることが好ましい。
更に、本発明において、一定量の光触媒を1回の処理で形成・担持させるよりも、所望により、2回以上の複数回に分けて光触媒を形成・担持させるほうが、多孔質担体の表面部における光触媒の被膜が均質化するので望ましい。
ところで、本発明においては、多孔質担体が活性炭であり、しかも光触媒の被膜が光触媒酸化チタン(TiO2)からなるものが特に好ましい。
この理由としては、第一に光触媒としての光触媒酸化チタン(TiO2)の活性が大きく、光触媒反応により生じたスーパーオキサイドアニオンやヒドロキシラジカルなどの作用により、淡水中或いは海水中で発生し、これらの水を緑色にするアオコに代表される微細な藍藻(ランソウ)類や緑藻類又は細菌更に微生物の細胞膜損傷を短時間で引き起こして死滅させるのであり、更に、活性炭は吸着能が高く、アオコに代表される微細な藍藻(ランソウ)類や緑藻類等の栄養源となるチッ素やリンなどを吸着してその繁殖を抑制することができるからである。
従って、この場合、活性炭の表面部に形成・担持させる光触媒酸化チタン(TiO2)の割合としては、活性炭100重量部に対して、光触媒酸化チタン(TiO2)が0.1〜50重量部の範囲、好ましくは0.5〜30重量部の範囲、特に好ましくは0.75〜25重量部の範囲とするのが望ましい。
ところで、多孔質担体としてシリカゲルや多孔質ガラスなどの比較的比重が高いものを用いると、本発明の水質浄化剤の使用の際に、当該水質浄化剤を水中に沈めることができる結果、水槽等の外観を一層損なうことがなくなる上、観賞魚や亀更に魚介類等の水性生物の生息に一層障害を齎さないので望ましい。
なお、本発明の水質浄化剤は、粒状にして用いても良いが、所望により、ポリエチレングリコール等の光触媒反応に障害を齎さないバインダーを用いて、小石状や岩状、ペレット状や錠剤状等の任意形状に成形、固めて使用しても良いのである。
本発明に係る水質浄化剤においては、前記構成を有し、多孔質担体の表面部に、光触媒の被膜を特定、且つ特異な手段で形成・担持させた光触媒担持多孔質担体からなる水質浄化剤であり、この多孔質担体の表面部における微細孔と光触媒の位置が近接している上、光触媒反応に悪影響を与えるバインダー等を用いない特定、且つ特異な手段によって光触媒を多孔質担体の表面部に強固に形成・担持しているから、埋没に起因する光触媒の吸着成分に対する分解作用の減少、劣化を防止することができるのであり、更に、光触媒の被膜は薄いことから、当該被膜が多孔質担体の表面部の微細孔を覆っても、多孔質担体の吸着能力が殆ど損なわれないなどの効果を発現するのである。
そして、本発明に係る水質浄化剤においては、観賞魚用水槽などの水槽、水族館、料理店や魚介類販売店などの生簀、堀、観賞池などの池又は金魚鉢に投入されて使用されるものであり、このように当該水質浄化剤を観賞魚用水槽などの水槽等に投入して光を照射すると、光触媒反応により生じたスーパーオキサイドアニオンやヒドロキシラジカルなどの作用により、水を緑色にするアオコに代表される微細な藍藻(ランソウ)類や緑藻類又は細菌更に微生物の細胞膜損傷を短時間で引き起こして死滅させるのであり、更に、多孔質担体は有害物質の吸着能を有し、アオコに代表される微細な藍藻(ランソウ)類や緑藻類等の栄養源となるチッ素やリンなどを吸着してその繁殖を抑制することができる結果、当該観賞魚用水槽などの水槽等から発生する悪臭や水質汚濁を改善することができるなどの効果を奏するのである。
又、本発明に係る水質浄化剤においては、観賞魚用水槽などの水槽、水族館、料理店や魚介類販売店などの生簀、堀、観賞池などの池又は金魚鉢における淡水中或いは海水中に投入するだけで、アオコなどの微細な藍藻(ランソウ)類や緑藻類更に珪藻や苔類又は細菌更に微生物に対する対策が極めて簡単に行えるのであり、従って、水を浄化して透明度を向上させることができる上、特に、多孔質担体として活性炭を用い、また光触媒として酸化チタンを用いると、当該酸化チタンは食品添加物であって魚介類に対する安全性が高く、しかも水質浄化剤が黒色でないので、観賞用に適しており、又、粒度の調製や成形によって多孔質担体を小石状や岩状、ペレット状や錠剤状等の任意形状に成形、固めて使用できるなどの効果を奏するのである。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<活性炭の製造>
椰子殻を乾燥して微粉を除いた活性炭原料をロータリキルン(550〜650℃)中に投入し、赤熱した状態で水蒸気、炭酸ガス(燃焼ガス中のCO2)及び酸素(燃焼空気中のO2)の混合雰囲気中、温度850〜950℃で活性化処理することにより、粒状の活性炭(CTC:55.42%)を得た。
前記得られた活性炭(100g)を、真空容器内に設けられたホルダーに設置して、当該ホルダーに設けられた攪拌棒で攪拌しながら約500℃に加熱した。
(1)一方、真空容器内に設けられた基台には、光触媒である市販品アナターゼ型TiO2(7.5g)を散設し、これを蒸発源とした。
(2)引き続いて、真空容器内に充填されている窒素ガスを真空ポンプを用いて吸引し、真空容器内部を減圧にし、0.00035mmHgに達した時点で、基台をヒーターで加熱(約500℃)し、前記光触媒酸化チタンを蒸発させ、ホルダー上の活性炭における表面部に前記光触媒酸化チタンの被膜を形成・担持させた。
更に、前記(1)及び(2)の工程を2回繰り返すことにより、活性炭の表面部に光触媒が形成・担持された水質浄化剤を得た。
<アオコの生息試験>
アオコが発生している池の水(300ml)をビーカーに採取し、これに前記得られた水質浄化剤15gを投入し、一週間静置した。
なお、比較例として、通常のヤシガラ活性炭15gを投入した池の水(300ml)、及び何も投入していない池の水(300ml)も、同様にビーカーに入れて、一週間静置した。
一週間経過後、各ビーカー内のアオコの状態を目視で確認した。
その結果、前記水質浄化剤を投入したものについては、アオコが死滅し、底に沈殿物が確認されたのであり、又、水の透明度も明らかに向上していることが確認された。
一方、通常の椰子ガラ活性炭を投入したものについては、ごく僅かに水の透明度が向上していることが確認されたが、アオコはそのままの状態で生息していることが確認されたのであり、又、何も投入しなかったものについては、アオコが若干成長していることが確認され、しかも水の透明度も若干悪化していることが確認された。
チタンイソプロポキシドにエタノール及びジエタノールアミン(溶液の安定剤)を加えて当該チタンイソプロポキシドを溶解した後、これに水を加えてコーティング膜用溶液(チタンイソプロポキシドの濃度が0.15mol/l)を調製した。
この溶液に前記活性炭100gを浸漬し(45分)、徐々に引き上げた後、500℃程度で加熱し、これによって、アナターゼ型アナターゼ型TiO2を当該活性炭に形成・担持させた。
前記工程を5回繰り返して本発明の水質浄化剤を得た。
<アオコの生息試験>
得られた水質浄化剤を用い、実施例1と同様の試験を行ったところ、実施例1と同様の結果が得られた。

Claims (3)

  1. 観賞魚用水槽などの水槽、水族館、料理店や魚介類販売店などの生簀、堀、観賞池などの池又は金魚鉢における淡水中或いは海水中に投入されてアオコなどの微細な藍藻(ランソウ)類や緑藻類更に珪藻や苔類又は細菌更に微生物の発生を効果的に抑止ないし分解する光触媒からなる水質浄化剤であって、この水質浄化剤が、下記の(1)又は(2)から選ばれた少なくとも1種の光触媒からなることを特徴とする水質浄化剤。

    (1)水質浄化剤が、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、パーライト又は多孔質ガラスなどから選ばれた少なくとも1種の多孔質担体の表面部に、蒸着或いは真空蒸着によって、光触媒の被膜を形成・担持させてなる光触媒。
    (2)水質浄化剤が、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、パーライト又は多孔質ガラスなどから選ばれた少なくとも1種の多孔質担体の表面部に、光触媒となる有機金属化合物の溶液ないし分散液を多孔質担体に含浸或いは真空含浸し、これを加熱分解して、光触媒の被膜を形成・担持させてなる光触媒。
  2. 光触媒が、TiO2、TiS2、ZnO、SrTiO3、CdS、CdO、In23、BaTiO3、K2NbO3、Fe23、V25、Ta25、WO3、SnO2、InVO4、InTaO4、InNbO4、Bi23、NiO、Cu2O、SiC、SiO2、MoS2又はMoS3から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の水質浄化剤。
  3. 多孔質担体が活性炭であり、しかも光触媒の被膜が光触媒酸化チタン(TiO2)からなるものである請求項1又は2に記載の水質浄化剤。
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