JP2007307436A - フィッシャー・トロプシュ合成触媒とその製造方法 - Google Patents

フィッシャー・トロプシュ合成触媒とその製造方法 Download PDF

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範立 椿
Junya Nishino
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Abstract

【課題】高価な貴金属を含むことなく、高いCO転化率と高い連鎖成長確率αを同時に達成することができるフィッシャー・トロプシュ合成触媒とその製造方法を提供する。
【解決手段】コバルト前駆体溶液を活性溶媒に溶解して前駆体混合液を形成する混合液形成工程と、前駆体混合液を触媒担体に担持して触媒前駆体を形成する前駆体形成工程と、触媒前駆体を空気中でマイクロ波により加熱するマイクロ波加熱工程と、次いで、触媒前駆体を還元する還元工程とを有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、一酸化炭素と水素を含む混合ガスから炭化水素を製造するためのフィッシャー・トロプシュ合成触媒とその製造方法に関する。
フィッシャー・トロプシュ合成(以下、「FT合成法」という)は、一酸化炭素と水素を含む混合ガスから蝋質炭化水素や石油燃料に代わる無公害燃料の製造法として期待されている。かかるフィッシャー・トロプシュ合成法は例えば非特許文献1に開示されている。
またこのFT合成法により炭化水素を製造する多くの方法が、既に提案されている(例えば特許文献1〜4)。
特許文献1の「イソパラフィンに富む炭化水素の製法」は、一酸化炭素と水素から炭化水素を合成する第1触媒と、ゼオライト担体に触媒が担持された第2触媒との混合触媒が160℃以上300℃以下の温度において一酸化炭素と水素を含む混合ガスに接触させられることを特徴とするものである。
特許文献2の「炭化水素燃料の製造方法」は、炭化水素供給原料を、液体の存在下で白金で含浸されたシリカ−アルミナ担体を含む触媒と、水素の存在下で昇温昇圧下で接触させることを特徴とするものである。
特許文献3の「合成ガスからの炭化水素の製造法」は、a)担持コバルトをベースとする触媒を有するフィッシャー・トロプシュ反応容器に、水素と一酸化炭素を含む混合ガスを供給する工程、b)該触媒を含む炭化水素液相を、懸濁液の形で排出させる工程、c)該懸濁液を200〜500℃で運転中の水素添加分解用反応器に供給する工程、d)蒸気相を頭部から排出させ、懸濁液を下部から排出させてフィッシャー・トロプシュ反応容器に再循環させる工程、及びe)該蒸気相を冷却し濃縮する工程からなるものである。
特許文献4の「フィッシャー・トロプシュ合成用触媒および炭化水素の製造法」は、鉄、コバルト、ニッケルおよびルテニウムから選択される金属を含む無機化合物の1種もしくは2種以上を触媒担体に担持した後、有機酸で洗浄処理することにより得られるフィッシャー・トロプシュ合成用触媒を用いるものである。
椿 範立、「フィッシャー・トロプシュ化学」、PETROTECH,第26巻第6号(2003)
特開昭61−191517号公報、「イソパラフィンに富む炭化水素の製法」 特開平5−302088号公報、「炭化水素燃料の製造方法」 特開2000−204050号公報、「合成ガスからの炭化水素の製造法」 特開2004−237254号公報、「フィッシャー・トロプシュ合成用触媒および炭化水素の製造法」
上述したフィッシャー・トロプシュ合成法(FT合成法)は、直鎖分子構造をもつノルマンパラフィン(いわゆる合成軽油)を合成する方法であり、触媒としてコバルト、鉄、ニッケルの各塩基触媒など、種々の金属触媒がこの合成用に適用されている。
このうちコバルト触媒は、長鎖のアルカンを合成する最も有望な触媒であり、クリーンな燃料を合成するために主として用いられている。しかし、コバルト触媒の活性は、担体の変更、貴金属の添加による分散度の向上や触媒の促進、調製法の改善など、様々な手法によって改善することができるが、プラチナ等の貴金属を含まない限り、活性が比較的低いためこれを更に改善することが強く要望されていた。
FT合成反応は一酸化炭素転化率(CO転化率)と連鎖成長確率αの二つの指標によって規定される。この連鎖成長確率αは得られる炭化水素の分子量の目安となるもので、連鎖成長確率αが高い(すなわち、1.0に近い)ほど高分子量の炭化水素が得られることを意味する。
FT合成生成物は、通常その後段の水素化分解工程を経て、クリーン液体燃料として製品化される。クリーン液体燃料の中では灯油、軽油等の中間留分への需要が近年特に高まっており、この中間留分の収量を高めるためには高い連鎖成長確率αが必要になる。このため、産業界においては高CO転化率かつ高αのFT合成反応が開発目標に掲げられ、それを実現するためにFT合成触媒の改良が進められてきた。
ところがCO転化率と連鎖成長確率αは二律背反の傾向にあり、両者を高い水準で満足する触媒は未だ開発されていない。このことが、FT合成およびこれを用いたクリーン液体燃料製造法を本格的に実用化する際の最大の障害となっていた。
本発明は、このような要望を満たすために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、高価な貴金属を含むことなく、高いCO転化率と高い連鎖成長確率αを同時に達成することができるフィッシャー・トロプシュ合成触媒とその製造方法を提供することにある。
本発明によれば、コバルト前駆体溶液を活性溶媒に溶解して前駆体混合液を形成し、
該前駆体混合液を触媒担体に担持して触媒前駆体を形成し、
該触媒前駆体を空気中でマイクロ波により加熱し、
次いで、触媒前駆体を還元して得られる、ことを特徴とするフィッシャー・トロプシュ合成触媒が提供される。
本発明の好ましい実施例によれば、前記マイクロ波による加熱は、空気雰囲気下で、触媒担体約5gに対し、出力約700Wのマイクロ波を10〜45分間照射する。
また本発明によれば、コバルト前駆体溶液を活性溶媒に溶解して前駆体混合液を形成する混合液形成工程と、
該前駆体混合液を触媒担体に担持して触媒前駆体を形成する前駆体形成工程と、
該触媒前駆体を空気中でマイクロ波により加熱するマイクロ波加熱工程と、
次いで、触媒前駆体を還元する還元工程とを有する、ことを特徴とするフィッシャー・トロプシュ合成触媒の製造方法が提供される。
本発明の好ましい実施例によれば、前記活性溶媒は、酢酸、エタノール、ブタノール、アミルアルコール、グリセリン又は硝酸アンモニアを含む水溶液である。
また、前記触媒担体は、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシアおよびジルコニアから選択される無機酸化物である。
更に、還元工程後に、表面に保護膜を形成し不動態化する不動態化工程を有する、ことが好ましい。
上記本発明によれば、原料として高価な貴金属を用いていないため、高価な貴金属を含まない安価なフィッシャー・トロプシュ合成触媒を製造することができる。
また、この触媒は、高いCO転化率と高い連鎖成長確率αを同時に達成することができることが、後述する種々の試験結果から確認された。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。
本発明において用いられる触媒担体としては、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシアおよびジルコニア等を挙げることができる。これらのうちで、シリカ、アルミナが特に好ましく、シリカが最も好ましい。
触媒担体の形状は特に制限はなく、球状品、破砕品、円柱状成形品等の各種形状品の中から使用するプロセスに適合した形状を選択することができる。また担体の平均粒子径についても制限はないが、通常10μm〜10mm、好ましくは20μm〜5mmのものを、プロセスに応じ適宜選択して使用する。
また使用する担体の比表面積についても特に制限はないが、通常100〜400m/g、好ましくは200〜300m/gのものが用いられる。
本発明において前記活性金属を含む無機化合物を担体に担持する方法としては、含浸法、沈殿法、イオン交換法等の通常用いられている方法を適宜選択することができる。その中で好ましい担持法としては含浸法と沈殿法を挙げることができ、特に好ましい担持法としては含浸法を挙げることができる。また含浸法の中でも、Incipient Wetness法を最も好ましい方法として挙げることができる。
本発明において担持する活性金属の量には特に制限はないが、担体に対して金属あたりの質量で、通常は3〜50%、好ましくは5〜40%、特に好ましくは10〜30%の範囲で担持する。活性金属の担持量が3質量%未満の場合には活性が不十分であり、50質量%を超えると活性金属の凝集が著しく、本発明の効果を十分に発現できないおそれがあるため好ましくない。
さらに必要があれば、ジルコニアやランタニア等のプロモーターを担持させることもできる。これらプロモーターの量は、担体に対して金属当たりの質量で、通常1〜30%の範囲で使用する。
本発明においては、活性金属を含む無機化合物を担体に担持させた後、マイクロ波により加熱するマイクロ波加熱を行う。
マイクロ波加熱は、空気雰囲気下で、触媒担体約5gに対し、出力約700Wのマイクロ波を10〜45分間照射するのがよい。
また本発明の触媒をFT合成反応に供するに際しては、予め水素等で還元処理を行わせることが好ましい。
本発明の触媒を用いてFT合成反応を実施する際の原料としては、水素と一酸化炭素を主成分とする合成ガスであれば特に制限はないが、通常、水素/一酸化炭素のモル比が1.0〜3.0、好ましくは1.8〜2.2の範囲であることが望ましい。
本発明の触媒はFT合成の反応プロセスとして従来から知られているプロセス、即ち固定床、超臨界固定床、スラリー床、流動床等のいずれにも適用でき、特に制限はないが、好ましいプロセスとして固定床、超臨界固定床、スラリー床を挙げることができ、特に好ましいプロセスとしてはスラリー床と超臨界固定床を、最も好ましいプロセスとしてはスラリー床を挙げることができる。
スラリー床を用いる際の反応条件には特に制限はなく、公知の条件にて行うことができる。通常、反応温度としては200〜280℃、ガス空間速度としては1000〜10000h−1の範囲で反応を行うことができる。
以下、本発明の実施例を説明する。
(触媒の準備)
市販のシリカゲルをCo触媒用の担体として用いた。Incipient Wetness含浸法(IWI)により、シリカの10重量%に相当する量のコバルトを含む酢酸コバルト前駆体を用いて触媒を準備した。
比較用の従来触媒は、含浸した触媒を従来の加熱法により393Kで12時間乾燥させ、空気中673Kで2時間焼成した。
これに対し、本発明の触媒は、含浸した触媒をマイクロ波の照射によって乾燥させ、市販の電子レンジ(シャープRe−T13、2.45 GHz、700W)による照射だけで焼成した。
次に、焼成した触媒を673KのH気流に10時間さらして還元した。活性化した後、触媒をN中1%のOで不動態化した。
以下に、触媒の準備方法を、NHNOの濃度2mol/L(2M)の硝酸アンモニウム溶液で準備した場合について詳述する。
原料として以下のものを準備した。
(1)触媒担体としてシリカゲル:5g、比表面積270m/g、細孔容積1.22mL/g
(2)コバルト前駆体溶液として酢酸コバルト(II):2.34g、化学式(CHCOO)Co−4H
(3)活性溶媒として硝酸アンモニア:1.98g(4Mの場合)と蒸留水6mL
本発明の触媒の製造は以下の手順で行った。
(1)蒸留水に酢酸コバルトを溶解してCo前駆体溶液を準備する。
(2)Co前駆体溶液に硝酸アンモニアを加え、混合液とする。
(3)混合液をシリカゲルに含浸する。
(4)含浸した担体を真空脱気器で脱気し触媒前駆体とする。
(5)(6)次いで、マイクロ波の照射によって乾燥する。
(7)水素流中で400℃で10時間還元する。
(8)1%の酸素を含む窒素により、表面に保護膜を形成し不動態化する。
比較用の従来触媒の製造は以下の手順で行った。
(1)蒸留水に酢酸コバルトを溶解してCo前駆体溶液を準備する。
(2)Co前駆体溶液に硝酸アンモニアを加え、混合液とする。
(3)混合液をシリカゲルに含浸する。
(4)含浸した担体を真空脱気器で脱気し触媒前駆体とする。
(5)触媒前駆体を空気中で120℃で12時間乾燥する。
(6)次いで、空気中で400℃で2時間焼成する。
(7)水素流中で400℃で10時間還元する。
(8)1%の酸素を含む窒素により、表面に保護膜を形成し不動態化する。
本発明の触媒の製造方法と従来触媒の製造方法とは、(5)(6)において相違する。
(触媒活性試験)
図1に使用した試験装置の構成図を示す。この図において、1は液媒、2は触媒、3は原料ガス、4は凝縮前の出口ガス、5は凝縮成分、6は凝縮後の出口ガス、10はフロー型半バッチ式反応器、11は撹拌器、12は冷却トラップ、13は流量調節弁、14は圧力調節弁、15は圧力計である。
FT合成触媒2の活性は、80mLの内容積を有するフロー型半バッチ式反応器10内で計測した。20mLのn−C1634を液媒1として選択した。冷却トラップ12は、反応器10の出口と圧力調節弁14の間に設置し、出口ガス4に含まれる凝縮成分5(水と高沸点の炭化水素)を捕獲した。
表1は試験条件である。標準反応条件は、全圧P=1.0MPa、T=513K、CO/H=1/2、W/F(CO+H)=10ghmol−1、触媒重量=1g、反応時間4時間である。アルゴンは供給ガス中に3%の濃度で、内部基準として供給した。
Figure 2007307436
凝縮後の出口ガス6(CO,CO,CH)を熱伝導検出器(TCD:活性炭カラムとPorapak−Q)を備えた活性カーボンカラムを用いるオンラインガスクロマトグラフィーで分析した。
軽質炭化水素は、フレームイオン検出器(FID:SE−30カラム)に装備されたガスクロマトグラフィーで行った。
液媒1及び冷却トラップ12に捕獲された液体炭化水素は、FIDを備えたシリコンSE−30カラムで分析した。
不動態化した触媒表面の形態については、SEM(JEOL JSM−6360LV)で特徴を調べた。
触媒ペレットの表面と断面のコバルト濃度は、SEMに付属するEDXで測定した。XRDパターンとCo粒子の大きさは、XRD(リガク、CuK放射)で測定した。XRDの測定には酸化触媒を使用した。Co粒子の大きさは、Co粒子の大きさと下記の公式(1)から計算した。
D(Co)=0.75d(Co)…(1)
(試験結果)
図2〜図4は、シリカ担体と不動態化した触媒の形態を示すSEM写真である。これらのSEM写真は、Co/SiO2触媒の20kV,4500倍写真であり、図2はシリカ担体、図3は従来の加熱法による触媒、図4は本発明のマイクロ波加熱による触媒である。
図2〜図4からシリカ表面のCo粒子の分布は、マイクロ波を用いた触媒(図4)の方が従来の加熱法を用いた触媒(図3)よりも良好であることがわかる。
従来の加熱法を用いた触媒の場合(図3)、その表面にCo粒子が一部凝集し、その分布は不均一である。従来の乾燥プロセス時に触媒表面の水分が蒸発した結果、温度勾配が発生し、その温度勾配により、担体の内部から液体が流れ出て、担体表面に金属酸化物の濃度勾配も発生し、その結果、担体の外部に金属酸化物が蓄積すると考えられる。このようなコバルトの凝縮により、コバルトの分散度が低下し、担持コバルト結晶粒子の大きさの平均が増大したと考えられる。
本発明のマイクロ波加熱では、急速な水分の除去により、触媒の生成時間が大幅に短縮した。その結果は、マイクロ波を用いて生成したV/SiO触媒の場合と一致した。この触媒の活性が高いのは、SiO表面にVが均一に分散しているためである。この場合、従来の乾燥法で発生する金属酸化物の凝集は、マイクロ波の照射によって大幅に低下している。
図5は、酸化触媒のXRDスペクトルを示す図である。この図において、0minは従来の加熱法を用いた触媒であり、4〜45minは本発明のマイクロ波加熱を用いた触媒である。
この結果は、マイクロ波の照射時間が長いほど、金属粒径が小さくなることを示している。
従来の加熱法を用いた触媒とマイクロ波を用いた触媒のXRDスペクトルを比較すると、Coパターンのピークは同じであるが、強度が異なっている。
マイクロ波を用いた触媒の場合、照射時間が長くなると強度がわずかに高くなった。
従来の加熱法を用いた触媒(0分)の場合、Coパターンのピークは最高強度を示した。その強度に応じて、従来の加熱法を用いた触媒のCo粒子の大きさは最大の約13.50nmとなった。
表2は試験結果の1例であり、マイクロ波の照射時間とCO転化率、選択率、連鎖成長確率、金属粒径との関係を示している。
Figure 2007307436
この表において、マイクロ波の照射時間0分は、従来の加熱法を用いた触媒のCo粒子であり、その粒径は最大の約13.50nmとなった。
これに対し、マイクロ波を用いた触媒のCo粒子はこれより小さく、表2から分かるように9.75〜11.25nmの大きさであった。
以上の結果は、SEMおよびEDXのデータと正確に一致する。従来の加熱法を用いた触媒の表面にコバルト粒子が凝集すれば、コバルト粒子の大きさの平均は増大すると考えられるからである。
表3は試験結果の別の例であり、マイクロ波加熱と従来加熱におけるコバルト濃度とSiO2濃度を比較している。
Figure 2007307436
表3と比較すると、EDXの測定値は、マイクロ波を用いた触媒ペレットの場合、表面も断面もコバルト濃度は8.5〜8.8wt%である。これは触媒ペレット全体にコバルトが均一に分布したことを示す。8.5〜8.8wt%のコバルト濃度は予定値10wt%をわずかに下回ったが、これはおそらく照射時にシリカのシラノール基(Si−OH)が増加したことによる。
他方、従来の加熱法を用いた触媒ペレットの場合、表面のコバルト濃度は12wt%を超えるほど高いが、内部は7.27wt%であった。XRDで確認されたように、従来の加熱プロセス時に担体の内部からコバルトを含む液体が流れ出て、温度勾配が生起すれば、上記のような触媒表面のコバルト凝集、金属分散度の低下、及びCo粒子の大型化が促される。
表2に触媒のFT合成に対する触媒活性を示す。マイクロ波を用いた触媒は、従来の加熱法を用いた触媒よりも転化率が高いことを示している。従来の加熱法による触媒のCO転化率は69.0%、α値は0.85であった。
従来の加熱法を用いた触媒のCO転化率が低いのは、大きなコバルト粒子の凝集により分散度が低下したことに起因する。SEMの測定値を見ると、マイクロ波を用いた触媒の金属酸化物の分布は均一であった。触媒表面のCo分布が均一であるのは、水分の蒸発が速く温度勾配がないことに起因し、その結果としてCO転化率が高くなった。
マイクロ波を用いた触媒の転化率が高いのは、Co粒子が小さいことに起因し、その結果として表面の活性が高くなった。CO転化率の向上に伴い、CHとCOの選択性は、照射時間が長くなるとわずかに向上した。FT合成では一般にCHの選択性は不規則な反応を示すが、マイクロ波を用いた触媒で確認されたように、コバルト粒子が小さくなるほどCHの生成には有利に働く。一方、マイクロ波を用いた触媒のCO転化率が高くなるほど水の生成量が増し、水性ガスシフト反応によりCOの発生量も増大した。
図6は、照射時間がCO転化率に与える影響を示す図である。
この図において、CO転化率が69.0%から81.7%に大きく上昇しているのは、照射時間を0分から14分に延ばしたときである。本発明では、この14分間が最適な照射時間であると考えられる。照射時間をこれ以上延ばしても、活性に大きな変化は見られなかった。従って、シリカ担体の硝酸コバルト前駆物質の場合、適切な照射時間は14分と結論することができる。
上述したように、X線回折(XRD)、走査型電子顕微鏡法(SEM)、及びエネルギー分散型X線分光法(EDX)で調べた結果、マイクロ波の照射で生成した高性能Co/SiO触媒は、従来の加熱法で生成した触媒に比べて、触媒表面のCo粒子が均一でその分散度も高いことが分かった。
触媒表面の粒子の分散度は、触媒の活性に影響を及ぼした。フィッシャー・トロプシュ(FT)合成に対する触媒活性は、マイクロ波の照射で生成した触媒の方が従来の加熱法で生成した触媒よりも高かった。触媒活性は、粒子の分散度だけでなく照射時間の影響も受けた。照射時間を延ばすと触媒活性は高くなった。最適な照射時間は14分であることが分かった。
また、マイクロ波の照射で生成した触媒ペレット全体の内部には、コバルトが均等に分散していることが分かった。逆に、この触媒ペレットの表面に凝集するコバルト濃度は、従来の加熱法で生成した触媒ペレット内部のコバルト濃度より高かった。マイクロ波を照射された触媒の場合、XRDでも確認されたように、担持コバルトの分散度が高く、その結果としてFT反応活性が向上した。
従来の加熱法で乾燥させると、担体内部のガスが完全に抜かれていない場合、担体内部の液体が外部に流れ出た。液体が流れ出ると、担体の外部に活性相が蓄積した。このような望ましくない現象は、マイクロ波の照射により触媒全体を均等に加熱することで克服できた。従って、マイクロ波による加熱は従来の加熱法よりも有効な手法であると考えられる。
マイクロ波の照射は、高性能固体触媒を生成する上で効果を発揮している。この方法の主な利点は、乾燥が速く、粒子の大きさと分布が均一で、ペレットの物理的強度が高いことである。そのほか、温度勾配と熱流の点で、マイクロ波による加熱は従来の加熱法より優れている。
マイクロ波による加熱プロセスは温度勾配が微小な物質の内部で生起するのに対して、従来方式の加熱プロセスは外部伝導や対流によって生起する。例えば、マイクロ波の照射で生成したV/SiO触媒は、従来の加熱法で生成したものより活性が高かった。この触媒の活性が高いのは、SiOの表面にVが均一に分散しているためである。従来の加熱法で発生する粒子の分離は、マイクロ波の照射によって最小限に収まった。以上の点から、マイクロ波の照射はFT触媒の新たな調製法になる。
上述したように本発明では、マイクロ波の照射がコバルト基FT触媒の生成に与える効果を調べ、同触媒の反応性能と特性について考察した。マイクロ波の照射で生成したFT触媒については、高い活性が得られた。
以上の結果から、FT合成に用いる高性能Co/SiO触媒は、マイクロ波の照射で連続生成されることが分かった。マイクロ波を用いることで、触媒の高速生成、表面と内部で均一なCo粒子の分布、及び高い触媒活性が実現した。
従来の加熱法を用いた触媒は、表面にCo粒子が凝集することから粒子が大きく不均一に分散するため、触媒作用が低かった。それに比べて、マイクロ波の照射で生成した触媒は、分散度が均一であるため触媒活性が高かった。そのほか、触媒活性に影響を与える重要な因子である粒子の分散度は、照射時間にのみ左右された。照射時間を長くすると、触媒活性が徐々に高まることが分かった。本発明の対象となったシリカ担体の硝酸コバルト前駆物質の場合、最適な照射時間は14分であった。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
触媒活性試験に使用した試験装置の構成図を示す シリカ担体のSEM写真である。 従来の加熱法による触媒のSEM写真である。 本発明のマイクロ波加熱による触媒のSEM写真である。 酸化触媒のXRDスペクトルを示す図である。 照射時間がCO転化率に与える影響を示す図である。
符号の説明
1 液媒、2 触媒、3 原料ガス、
4 凝縮前の出口ガス、5 凝縮成分、6 凝縮後の出口ガス、
10 フロー型半バッチ式反応器、11 撹拌器、
12 冷却トラップ、13 流量調節弁、14 圧力調節弁、
15 圧力計

Claims (6)

  1. コバルト前駆体溶液を活性溶媒に溶解して前駆体混合液を形成し、
    該前駆体混合液を触媒担体に担持して触媒前駆体を形成し、
    該触媒前駆体を空気中でマイクロ波により加熱し、
    次いで、触媒前駆体を還元して得られる、ことを特徴とするフィッシャー・トロプシュ合成触媒。
  2. 前記マイクロ波による加熱は、空気雰囲気下で、触媒担体約5gに対し、出力約700Wのマイクロ波を10〜45分間照射する、ことを特徴とする請求項1に記載のフィッシャー・トロプシュ合成触媒。
  3. コバルト前駆体溶液を活性溶媒に溶解して前駆体混合液を形成する混合液形成工程と、
    該前駆体混合液を触媒担体に担持して触媒前駆体を形成する前駆体形成工程と、
    該触媒前駆体を空気中でマイクロ波により加熱するマイクロ波加熱工程と、
    次いで、触媒前駆体を還元する還元工程とを有する、ことを特徴とするフィッシャー・トロプシュ合成触媒の製造方法。
  4. 前記活性溶媒は、酢酸、エタノール、ブタノール、アミルアルコール、グリセリン又は硝酸アンモニアを含む水溶液である、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記触媒担体は、シリカ、アルミナ、チタニア、マグネシアおよびジルコニアから選択される無機酸化物である、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  6. 更に、還元工程後に、表面に保護膜を形成し不動態化する不動態化工程を有する、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。

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