JP4795604B2 - キシラナーゼインヒビターに対する感受性を変化させたキシラナーゼ改変体 - Google Patents

キシラナーゼインヒビターに対する感受性を変化させたキシラナーゼ改変体 Download PDF

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Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、キシラナーゼインヒビターに対する変化した感受性を有する変異体キシラナーゼ酵素に関連する。本発明はまた、植物材料の処理におけるこれらの変異体酵素の使用に関連する。
【0002】
(発明の背景)
何年もの間、エンド−β−1,4−キシラナーゼ(EC 3.2.1.8)(本明細書中でキシラナーゼと呼ばれる)は、植物細胞壁材料由来の複雑な炭水化物の改変に使用されてきた。異なるキシラナーゼ(異なる微生物または植物に由来する)の機能性が、非常に異なることが当該分野で周知である。
【0003】
キシラナーゼの機能性を特徴付ける包括的な研究が、十分に特徴付けられかつ純粋な基質で行われている(Kormelinkら、1992)。これらの研究は、異なるキシラナーゼが、アラビノキシラン(AX)のキシロース骨格の置換に関連して異なる特異的な必要性を有することを示す。いくつかのキシラナーゼは、3つの非置換キシロース残基を必要とし、キシロース骨格に加水分解される;その他は、1つまたは2つのみを必要とする。特異性におけるこれらの差異についての理由は、触媒ドメイン内の三次元的構造に起因すると考えられ、これはまた、キシラナーゼの一次構造(すなわち、アミノ酸配列)に依存する。しかし、キシラナーゼが、植物材料のような複雑な環境下で作用する場合に、アミノ酸配列における差異のこれらの翻訳の差異が、キシラナーゼ機能における差異となることは、今も実証されていない。
【0004】
コムギ(小麦粉)に見出されるキシラナーゼの基質は、伝統的に2つの画分に分けられてきた:水で抽出不可能なAX(WU−AX)および水で抽出可能な:AX(WE−AX)。小麦粉におけるWU−AX:WE−AXの比は、約70:30である。なぜ2つの異なるAX画分が存在するかという多数の説明が存在する。より古い文献(D’AppoloniaおよびMacArthur(1976)ならびにMontgomeryおよびSmith(1955))は、WE−AXとWU−AX間の置換の程度の非常に大きな差異を記載する。最も高度な置換は、WE−AXで見出された。このことは、AXのいくつかは抽出可能であるか否かの説明に使用された。低度の置換と比較して高度な置換は、ポリマーを可溶性にし、このことはポリマー間の水素結合、そして引続く沈殿を引き起こす。
【0005】
異なるキシラナーゼの機能性間の差異は、キシラナーゼ特異性における差異、およびそれによるWU−AXの基質またはWE−AXの基質についてのこれらの嗜好に起因すると考えられてきた。
【0006】
いくつかの適用(例えば、製パン)において、WU−AX画分由来の高分子量(HMW)可溶性ポリマーを製造することが望ましい。このようなポリマーは、製パンにおける増量に関連している(Rouau,1993;Rouauら,1994およびCourtinら,1999)。
【0007】
他の適用において、HMW WU−AXを改変すること、すなわち分子量をより小さくすること、HMW WU−AXの親水コロイド効果を減少し、そしてそれによって生産物(クラッカー、小麦粉分別など)における水締めを減少することが望ましい。
【0008】
これらの異なる適用は、作業を実行するために使用されるキシラナーゼの異なる機能性を必要とする。上記のように、機能性における差異は、キシラナーゼの異なる基質特異性によって説明されてきた。
【0009】
(発明の要旨)
初期の研究との対比によって、発明者らはここで、他の因子が、純水で十分に特徴付けされた基質で決定されたキシラナーゼの基質特異性よりも、キシラナーゼの機能性を決定するのにより重要であることを示した。本明細書中で示されるデータは、内因性のキシラナーゼインヒビターが、例えば、小麦粉系において現在使用されているキシラナーゼの機能性を決定することを示す。このことは、通常、WU−AXを改変し、小麦粉系における増加した生地液体の粘度を提供するキシラナーゼが、内因性キシラナーゼインヒビターが小麦粉に存在しない場合に、異なる機能性を有することを意味する。従って、本発明者らの発見は、例えば、部位指向性変異誘発を使用する阻害されていないキシラナーゼの設計および適用が、種々の植物材料におけるキシラナーゼインヒビターの非存在を模倣し、完全に新しい機能性を有する新規のキシラナーゼを与える方法であり得ることを示す。このようなキシラナーゼは、粘性の減少が求められる適用において非常に効果的である。阻害されていないキシラナーゼは、AXに迅速に作用し、そして内因性のインヒビターによるよりもむしろその特異的活性によって主に影響される。本発明者らの研究から、本発明者らは、この阻害硬化が、特異的活性よりもかなり重要であるようだと考える。
【0010】
実際に、本発明者らの結果は、ファミリー11のキシラナーゼ間の阻害レベルにおいて10〜50倍の差異が存在することを初めて示す。
【0011】
さらに、我々は、植物材料に存在するキシラナーゼインヒビターに対する感受性が減少されたキシラナーゼが生成され得ることを実証するために、部位指向性変異誘発によって改変された一連のキシラナーゼを設計および試験することを開始した。特に、キシラナーゼ阻害の程度に影響するファミリー11のキシラナーゼにおける多数の残基を同定した。
【0012】
従って、キシラナーゼインヒビターに対する減少した感受性を有し、それ故に改変された機能性を有する改変体キシラナーゼを生成することが可能である。このことは、例えば、多数の適用(例えば、動物飼料、デンプンの生産、製パン、小麦粉分別(湿式製粉)ならびに、製紙およびパルプ製造)において要求されるキシラナーゼの量の減少を可能にする。
【0013】
従って、本発明は、1以上のアミノ酸の改変を含み、その結果、ポリペプチドまたはそのフラグメントが、親酵素と比較してキシラナーゼインヒビターへの変化した感受性を有するキシラナーゼ活性を有する改変体キシラナーゼポリペプチド、またはそのフラグメントを提供する。
【0014】
ここで、「親酵素」は、改変体キシラナーゼ酵素が、その酵素から誘導されたかまたは誘導可能なキシラナーゼ酵素である。用語「誘導可能な」に関連して、改変体は、必ずしも親酵素由来である必要はない。代わりに、改変体は、例えば、この改変体キシラナーゼ配列をコードするヌクレオチド配列(すなわち、ここでこのヌクレオチド配列は、変異されたヌクレオチド配列に類似であるが、親ヌクレオチド配列の変異によっては調製されない)を利用する組換えDNA技術の使用によって調製され得る。この改変体は、親酵素を化学的に改変することによってさえ調製され得る。
【0015】
いくつかの実施形態について、親酵素は、野生型酵素である。用語「野生型」は、当業者によって当該分野で理解される用語であり、天然に存在する種のメンバーのほとんどの特徴である表現型、および変異体の表現型との対比を含む。従って、この状況において、野生型酵素は、関連する種のほとんどのメンバーにおいて天然に見出される酵素の形態であり得る。一般的に、本発明の改変体ポリペプチドに関連する野生型酵素は、配列相同性の点で最も密接に関連した対応する野生型酵素である。例えば、実施例に記載される特定の変異体キシラナーゼについて、対応する野生形酵素は、野生型B.subtilisキシラナーゼA、より詳細にはPaiceらによって1986年に公開され、配列番号1に示される野生型B.SubtilisキシラナーゼAである。しかし、特定の野生型配列が、本発明の改変体ポリペプチドを産生するための基礎として使用される場合、これはアミノ酸配列相同性の点からより密接に関連する別の野生型配列の存在に関係なく対応する野生形配列である。
【0016】
いくつかの実施形態について、好ましくは、改変体ポリペプチドは、ファミリー11キシラナーゼ由来である。
【0017】
本発明者らの驚くべき発見の1つは、本発明者らの研究において、これまでのところキシラナーゼ活性部位における変異は、キシラナーゼインヒビターに対する測定可能な阻害効果を有さないということである。このことは、活性部位の外側に作製される変異に対して正反対にある。この変異は、以下により詳細に考察される。
【0018】
好ましい局面において、アミノ酸の改変は、1以上の表面アミノ酸残基の改変である。
【0019】
より好ましい局面において、アミノ酸の改変は、1以上の溶媒にアクセス可能な残基の改変である。ここで、溶媒は、水である。
【0020】
より好ましい局面において、アミノ酸の改変は、活性部位の外側の1以上の表面残基である。
【0021】
非常に好ましい局面において、アミノ酸の改変は、活性部位の外側の1以上の表面残基の改変であり、この残基は、少なくとも8%は溶媒にアクセス可能な残基である。ここで、溶媒は、水である。
【0022】
非常に好ましい局面において、アミノ酸の改変は、活性部位の外側の1以上の表面残基の改変であり、この残基は、少なくとも10%は溶媒にアクセス可能な残基である。ここで、溶媒は、水である。
【0023】
溶媒のアクセス可能性は、Swiss−PdbViewer(バージョン3.5b1)を使用して決定され得、http:///www.expasy.ch/spdbv/mainpage.html.で、インターネットを介して検索し得る。Swiss−PdbViewerは、Glaxo Wellcome Ecperimental Researchによって提示される。
【0024】
キシラナーゼの表面アミノ酸は、当業者によって決定される。
【0025】
例示の目的によって、キシラナーゼAについてのB.subtilisアミノ酸配列は、配列番号1として示される。この配列に関連して、表面アミノ酸残基は以下である:
【0026】
【化1】
Figure 0004795604
示されるように、他のキシラナーゼ酵素(例えば、Thermomyces lanuginosusキシラナーゼA)の表面アミノ酸(このコードヌクレオチド配列は、配列番号9として示される)は、当業者によって決定可能である。
【0027】
それ故に、いくつかの局面について、本発明は、キシラナーゼ活性を有する改変体キシラナーゼポリペプチド、またはそのフラグメントを包含し、この改変体キシラナーゼポリペプチドまたはフラグメントは、配列番号1に示されるB.subtilisのアミノ酸配列のアミノ酸残基:
【0028】
【化2】
Figure 0004795604
のいずれか1つにおいて、または他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおけるその/それらの等価な位置において1以上のアミノ酸の改変を含む。
【0029】
従って、1つの実施形態において、本発明は、キシラナーゼ活性を有する改変体キシラナーゼポリペプチドまたはそのフラグメントを提供し、配列番号1として示されるB.subtilisアミノ酸配列のアミノ酸残基番号:11、12、13、15、17、29、31、32、34、113、114、119、120、121、122、123、124および175のいずれか1つにおいて、または他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおけるそれらの等価な位置のいずれか1つにおいて1以上のアミノ酸改変を含む。
【0030】
1つの実施形態において、本発明は、キシラナーゼ活性を有する改変体キシラナーゼポリペプチドまたはそのフラグメントを提供し、配列番号1に示されるB.subtilisのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号11、12および13のいずれか1つにおいて、または他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおけるこれらの等価な位置において1以上のアミノ酸残基の改変を含む。
【0031】
作製される改変の特定の好ましい例は、本明細書中の実施例の節に示される。
【0032】
いくつかの実施形態において、好ましくはキシラナーゼ活性を有する改変体キシラナーゼポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号1として示されるB.subtilisiのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号:8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、29、30、31、32、33、34、35、36、37、61、62、63、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、173、174、175、176、177、178のいずれか1つにおいて、または他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおけるこれらの等価な位置において、1以上のアミノ酸の改変を含む。
【0033】
便宜上、アミノ酸残基番号:8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、29、30、31、32、33、34、35、36、37、61、62、63、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、173、174、175、176、177、178をBAND1と言及する。
【0034】
図1は、配列番号1として示されるアミノ酸配列を有するB.subtilisキシラナーゼの3−D構造を示す。BAND1は、分子の上層として図1に描かれ、そして図1に示されるように分子が配向される場合に、この分子の上から約13Å広がる。BAND1は、図1を見る場合、左側の残基Phe125で終わり、そして図1で見る場合、右側の残基Asn61で終わる。
【0035】
さらに、または代替的に、いくつかの実施形態について、好ましくはキシラナーゼ活性を有する改変体キシラナーゼポリペプチドまたはそのフラグメントは、他のアミノ酸残基のいずれか1つで1以上のアミノ酸改変を含む。
【0036】
好ましくは、上記他の改変は、配列番号1として示されるB.subtilisiのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号:3、4、5、6、7、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、38、39、40、41、42、43、44、45、55、56、57、58、59、60、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、108、109、110、126、127、128、129、130、131、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、179、180、181、182、183のいずれか1つにおいて、または他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおけるこれらの等価な位置で起こり得る。
【0037】
便宜上、しばしば、アミノ酸番号:3、4、5、6、7、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、38、39、40、41、42、43、44、45、55、56、57、58、59、60、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、108、109、110、126、127、128、129、130、131、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、179、180、181、182、183のBAND2として示されるB.subtilisのアミノ酸配列を言及する。
【0038】
好ましくは、上記他の改変は、配列番号1として示されるB.subtilisアミノ酸配列の表面アミノ酸残基番号:3、4、5、6、19、20、21、22、23、25、27、43、44、56、57、58、59、60、73、74、75、76、87、89、91、92、93、94、109、110、126、159、160、162、163、164、179、181、183のいずれか1つにおいて、または他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおいて、これらの等価な位置で生じ得る。
【0039】
好ましくは、本発明は、キシラナーゼ活性を有する改変体キシラナーゼポリペプチド、またはそのフラグメントを包含し、キシラナーゼ活性を有する改変体キシラナーゼポリペプチド、またはそのフラグメントは、BAND1および必要に応じて/またはBAND2のB.subtilisアミノ酸配列または他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおけるこれらの等価な位置(バンド)で1以上のアミノ酸改変を含む。それ故に、改変は、少なくともBAND1中に存在するが;ただBAND2だけに存在し得る。
【0040】
改変体キシラナーゼポリペプチドは、配列番号1として示されるB.subtilisのアミノ酸配列の他のアミノ酸残基(例えば、アミノ酸残基:1、2、46、47、48、49、50、51、52、53、54、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、184、185のいずれか1つにおいて、または他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおけるこれらの等価な位置のいずれか1つでの改変)における他の改変を含み得る。
【0041】
変異体キシラナーゼポリペプチドは、他の方面アミノ酸残基(例えば、配列番号1として示されるB.subutilisのアミノ酸配列の表面アミノ酸残基:1、2、46、47、48、49、50、52、54、95、97、99、101、102、104、133、134、135、136、137、138、139、140、141、143、145、147、148、151、154、155、156、157、185のいずれか1つにおいて、または他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおけるこれらの等価な位置のいずれか1つでの改変)における他の改変を含み得る。
【0042】
好ましくは、インヒビターは、植物組織において天然に見出されるインヒビターである。好ましくは、インヒビターに対する改変体キシラナーゼの感受性は、親キシラナーゼ酵素と比較して減少される。
【0043】
本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子(ヌクレオチド配列)を提供する。本発明の核酸を含むベクターもまた提供され、必要に応じて、適切な宿主細胞のこの核酸の発現を指向し得る調節配列に作動可能に連結される。本発明の核酸またはベクターを含む宿主細胞がまた、提供される。
【0044】
別の局面において、本発明は、本発明のポリペプチドを作製する方法を提供し、この方法は、このポリペプチドをコードする核酸で宿主細胞を形質転換する工程、形質転換された細胞を培養する工程、およびこのポリペプチドを発現する工程を包含する。
【0045】
発明者らの結果は、これらの改変体ポリペプチドが、改善された特性を有し、改善された特性が、これらを種々の適用(例えば、製パン、動物飼料、デンプン製造、小麦粉分別(湿式製粉)ならびに、製紙およびパルプ製造)に適合性にすることを示す。
【0046】
従って、本発明はまた、植物材料を改変する方法における本発明の改変体ポリペプチドの使用を提供する。
【0047】
製パンにおける本発明の改変体ポリペプチドの使用がまた提供される。本発明はさらに、シリアル処理、デンプン製造および動物飼料における本発明の改変体ポリペプチドの使用、ならびに木材の処理(例えば、木製パルプのブリーチングの増強)における本発明の改変体ポリペプチドの使用を提供する。
【0048】
さらなる局面において、本発明は、インヒビターに対するキシラナーゼポリペプチドの感受性を変化する方法を提供し、この方法は、配列番号1として示されるB.subtilisキシラナーゼのアミノ酸番号付けに基づくアミノ酸番号:11、12、13、15、17、29、31、32、34、113、114、119、120、121、122、123、124および175から選択されたこの酵素の1以上のアミノ酸残基または他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおける等価な残基を改変する工程を包含する。
【0049】
重要なことには、本発明者らの結果はまた、キシラナーゼインヒビターが、植物材料のような複雑な系においてキシラナーゼ酵素の機能性を決定することに重要な役割を果たすことを初めて示す。用語「機能性」によって、本発明者らは、所定の系におけるキシラナーゼの生化学的特性を意味する。これらの特性としては、基質特異性、KおよびVmaxの速度論的パラメーター(適切である場合)ならびにこの系におけるキシラナーゼの作用によって得られる反応産物の性質が挙げられる。機能性はまた、結果として、キシラナーゼが作用する植物材料の物理的および/または化学的性質(例えば、材料の粘性を変化する程度)への効果に関連して記載され得る。
【0050】
同様に、改変体キシラナーゼは、種々の処理適用において使用され得、キシラナーゼインヒビターは、例えば、製パン、木製パルプ処理およびシリアル処理のような種々の処理適用において使用され得る。
【0051】
(発明の詳細な説明)
一般的に、本明細書中で記載される分子技術は、当該分野で周知であるが、Sambrookら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual(1989)およびAusubelら、Short Protocols in Molecular Biology(1999)第4編、John WileyおよびSons,Inc.に対して参照され得る。
【0052】
(A.改変体キシラナーゼポリペプチド)
キシラナーゼ酵素は、植物、真菌および細菌を含むほぼ100の異なる生物から報告されている。キシラナーゼ酵素は、40を超えるグリコシルヒドロラーゼ酵素のファミリーのうちのいくつかに分類される。グリコシルヒドロラーゼ酵素(キシラナーゼ、マンナナーゼ、アミラーゼ、β−グルカナーゼ、セルラーゼ、および他のカルボヒドラーゼが挙げられる)は、アミノ酸配列、三次元構造および触媒部位の形態のような特性に基づいて分類される(Gilkesら、1991、Microbiol.Reviews 55:303〜315)。
【0053】
製パン適用についての特に興味深いのは、ファミリー11に分類される酵素である。これらの全ては、キシラナーゼであり、そして「ファミリー11のキシラナーゼ」として公知である。いくつかの刊行物は、ファミリーGキシラナーゼとしてのこれらの同義性を言及するが、用語「ファミリー11のキシラナーゼ」は、本明細書中では、ファミリーGキシラナーゼおよびファミリー11キシラナーゼの両方をいうために使用される。
【0054】
表Aは、多数の公知のファミリー11キシラナーゼを列挙する。これらのほとんどは、約21,000Daの分子量を有する。ファミリー11のキシラナーゼのうち3つ(Clostridium stercorarium XynA、Streptomyces lividans XynB、およびThermomonospora fusca XynA)は、31,000Da〜50,000Daの高分子量を有する。しかし、これらのキシラナーゼは、他のファミリー11のキシラナーゼ同様に約21,000Daの触媒コア配列を有する。ファミリー11のキシラナーゼ(またはより大きな酵素についての触媒コア)のアミノ酸配列は、高度の類似性(通常、適切なアミノ酸整列において40%を超えて同一なアミノ酸)を示す。細菌、酵母、または真菌起源のファミリー11のキシラナーゼは、同一の一般的分子構造を共有する。
【0055】
図2は、51個のファミリー11キシラナーゼに関するアミノ酸配列整列データを示す。
【0056】
【表1】
Figure 0004795604
(本発明の改変体キシラナーゼ)
本発明の改変体キシラナーゼポリペプチドは、代表的には、キシラナーゼポリペプチドのアミノ酸配列内の1つ以上のアミノ酸残基を置換、欠失または付加することによって、キシラナーゼポリペプチドを改変することによって得られる。好ましくは、この改変は、1つ以上のアミノ酸置換を含む。ポリペプチド配列の改変は、部位特異的変異誘発のような標準的な技術を使用して実行され得る。この改変はまた、化学的技術(例えば、1つ以上のアミノ酸残基の化学的改変)によって発生し得る。
【0057】
開始配列は、野生型配列または天然に存在しない配列(例えば、タンパク質操作にすでに供されている誘導体)であり得る。改変されるキシラナーゼ配列は、任意の供給源(例えば、細菌、真菌または植物供給源)由来であり得る。好ましくは、改変されるキシラナーゼ配列は、ファミリー11キシラナーゼのキシラナーゼ配列であり、より好ましくは、Trichoderma reeseiキシラナーゼI、Trichoderma reeseiキシラナーゼII、Trichoderma harzianumキシラナーゼ、Trichoderma virideキシラナーゼ、Bacillus circulansキシラナーゼA、Bacillus subtilisキシラナーゼA、Aspergillus nigerキシラナーゼA、Aspergillus kawachiiキシラナーゼC、Aspergillus tubigensisキシラナーゼA、Streptomyces lividansキシラナーゼB、およびStreptomyces lividansキシラナーゼCから選択されるファミリー11キシラナーゼのキシラナーゼ配列である。
【0058】
特に好ましい実施形態において、改変されるキシラナーゼ配列は、配列番号1に示されるB subtilisキシラナーゼ配列またはそのホモログである。好ましくは、このホモログは、GCG Wisconsin Bestfit package(University of Wisconsin,U.S.A.;Devereuxら、1984、Nucleic Acids Research 12:387)を使用して決定される場合、少なくとも50または100アミノ酸残基に対して、少なくとも40、50、60または80%の相同性を有する。
【0059】
本発明に従う好ましい特定の改変は、配列番号1に示されるようなB.subtilisキシラナーゼのアミノ酸の番号、または他の相同なキシラナナーゼポリペプチドにおける等価な残基に基づいて、11、12、13、15、17、29、31、32、34、113、114、119、120,121、122、123、124および175位で、1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0060】
特に好ましい置換は、
【0061】
【化3】
Figure 0004795604
(B.subtilisキシラナーゼのアミノ酸配列に関して)の1つ以上または他の相同なキシラナーゼポリペプチドにおけるそれらの等価物を含む。配列番号1に示されるB.subtilisキシラナーゼの特定の残基に対する更なる参照はまた、他の相同性のキシラナーゼのポリペプチドにおけるそれらの等価物を含む。
【0062】
変異の組み合わせ(例えば、上記の残基の2つ以上における変異)が、行なわれ得る。このような組み合わせの例は、本明細書中の実施例の節において示される。
【0063】
さらなる実施形態において、本発明の改変体ポリペプチドは、精製および単離された天然に存在する変異キシラナーゼであり得る。あるいは、変異キシラナーゼは、変異原に生物体を供すること、次いで、それらのキシラナーゼ遺伝子における変異を含む個体についてスクリーニングすることによって作製され得る。天然に存在する変異体および無作為変異誘発によって作製された変異は、キシラナーゼ遺伝子の領域を増幅するための適切な核酸プライマーを使用するPCRスクリーニングおよび得られたフラグメントの配列決定のような種々の技術を使用して、同定/スクリーニングされ得る。
【0064】
従って、本発明の改変体ポリペプチドは、天然に存在する変異キシラナーゼ(それらが発生するかまたは組換え的に得られる生物体から精製および単離される)、無作為変異誘発によって得られた変異キシラナーゼ、および部位特異的変異誘発によって得られたキシラナーゼを含む。
【0065】
本発明の改変体ポリペプチドはまた、インヒビターに対する感受性、またはキシラナーゼ活性を保持する、好ましくは、改変されていない配列と少なくとも実質的に同一のキシラナーゼ活性を有する得られたアミノ酸配列を提供する配列に対する感受性、に必ずしも影響しない、1つ(またはそれを超える)アミノ酸形態の任意の置換(substitution)、改変(variation)、改変(modification)、置換(replacement)、欠失または付加を含むさらなる改変に供され得る。
【0066】
保存的な置換が、例えば、以下の表に従って作製され得る。第2列の同じブロックにあり、そして、好ましくは、第3列の同じ行にあるアミノ酸は、お互いに置換され得る:
【0067】
【表2】
Figure 0004795604
本発明のポリペプチドはまた、キシラナーゼ活性を有する上記の全長配列のフラグメントを含む。
【0068】
本発明のポリペプチドは、代表的には、N末端またはC末端、好ましくはN末端において異種アミノ酸配列をさらに含み得る。異種配列は、細胞内または細胞外タンパク質標的化に影響する配列(例えば、リーダー配列)を含み得る。
【0069】
本発明のポリペプチドは、例えば、以下に記載されるように、代表的に組換え手段によって作製され得る。しかし、これらはまた、固相合成のような当業者に周知の技術を使用する合成手段によって作製され得る。本発明のポリペプチドはまた、例えば、抽出および精製を補助するために、融合タンパク質として産生され得る。これはまた、融合タンパク質配列の除去を可能にするように、融合タンパク質パートナーと目的のタンパク質配列との間にタンパク質分解切断部位(例えば、トロンビン切断部位)を含むことは、好都合であり得る。好ましくは、融合タンパク質は、目的のタンパク質配列の機能を妨げない。
【0070】
適切の宿主細胞の使用が、本発明の組換え発現産物に対して最適な生物学的活性を与えるために必要とされ得るこのような転写後の改変を提供すると予想される。
【0071】
本発明のポリペプチドは、実質的に単離された形態で存在し得る。タンパク質は、タンパク質の意図される目的を妨害しないキャリアまたは希釈剤と共に混合され得、そしてなお実質的に単離されているとみなされることが理解される。本発明のポリペプチドはまた、実質的に精製された形態であり得、この場合、調製物中のタンパク質の90%を超えるタンパク質、例えば、95%、98%または99%が本発明のタンパク質である調製物中に、一般にタンパク質を含む。
【0072】
本発明の改変体ポリペプチドは、親キシラナーゼ配列(これは、野生型キシラナーゼに対応し得る)と比較して、キシラナーゼインヒビターに対して感受性を変更されている。好ましくは、改変体ポリペプチドは、キシラナーゼインヒビターに対する感受性が減少している。用語「キシラナーゼインヒビターに対する変更された感受性」は、本発明の改変体ポリペプチドのエンド−β−1,4−キシラナーゼ活性が、親キシラナーゼ酵素(これは、野生型キシラナーゼに対応し得る)のインヒビターと異なるキシラナーゼインヒビターによって阻害される程度を意味する。好ましくは、改変体ポリペプチドがインヒビターによって阻害される程度は、親キシラナーゼ酵素(これは、野生型タンパク質であり得る)のインヒビターより少ない。これは、例えば、改変体ポリペプチドの三次元構造における変化に起因し得、その結果、このインヒビターは、もはや、親キシラナーゼ酵素(これは、野生型酵素であり得る)に結合するのと同じ親和性で結合しない。
【0073】
キシラナーゼインヒビターに対する本発明の改変体ポリペプチドの感受性は、例えば、実施例4および以下に記載されるアッセイを使用してアッセイされ得る。このアッセイにおける使用のために適切なインヒビターは、実施例1における小麦粉から精製されたインヒビターである。他のインヒビターは、以下に記載される。
【0074】
(キシラナーゼアッセイ(エンド−β−1,4−キシラナーゼ活性))
キシラナーゼサンプルを、最終アッセイにおいて約OD=0.7を得るために、クエン酸(0.1M)(リン酸水素二ナトリウム(0.2M)緩衝液、pH5.0)に希釈する。サンプルの3つの希釈液および規定された活性を有する内部標準を、40℃で5分間、サーモスタットに配置した。時間=5分で、1つのXylazymeタブ(架橋した染色されたキシラン基質)を、酵素溶液に添加した。時間=15分(または、いくつかの場合においてより長く、サンプル中に存在するキシラナーゼ活性に依存する)で、10mlの2%TRISを添加することによって、反応を終結した。反応混合物を遠心分離し、そして、上清のODを590nmで測定した。希釈およびキシラナーゼの量を考慮して、サンプルの活性(TXU、総キシラナーゼユニット)は、標準に対して計算され得る。
【0075】
(キシラナーゼインヒビター)
本明細書中で使用される場合、用語「キシラナーゼインヒビター」は、その役割が植物細胞壁で見出される複合炭水化物(例えば、アラビノキシラン(arabinoxylan))の脱重合を制御することである、化合物、代表的には、タンパク質をいう。これらのキシラナーゼインヒビターは、天然に存在するキシラナーゼ酵素ならびに真菌または細菌起源のキシラナーゼ酵素の活性を減少させ得る。キシラナーゼインヒビターの存在は、穀類の種子において報告されているが(例えば、McLauchlanら、1999a;RouauおよびSuget 1998を参照のこと)、キシラナーゼ酵素の効果に対するそれらの影響は、広く調査されていない。
【0076】
McLauchlanら(1999a)は、2つのファミリー−11キシラナーゼに結合および阻害するコムギ由来のタンパク質の単離および特徴付けを開示する。同様に、WO98/49278は、そのすべてがファミリー11キシラーゼとして分類される微生物キシラナーゼ群の活性に対する小麦粉抽出物の効果を実証する。Debysterら(1999)はまた、Aspergillus nigerおよびBacillus subtilis由来のエンドキシラナーゼ(これらは共に、ファミリー11キシラナーゼのメンバーである)は、TAXIと呼ばれるコムギキシラナーゼインヒビターによって阻害されることを開示する。McLauchlanら(1999b)は、コムギ、オオムギ、ライムギおよびトウモロコシのような商業的粉末由来の抽出物は、ファミリー10およびファミリー11キシラナーゼの両方を阻害し得る。
【0077】
キシラナーゼインヒビターは、任意の適切なキシラナーゼインヒビターであり得る。例としては、キシラナーゼインヒビターは、WO−A−98/49278に記載されるようなインヒビターおよび/またはRouau,X.およびSurget,A.(1998)、McLauchlan,R.,ら(1999)によって記載されるようなキシラナーゼインヒビターおよび/または英国特許出願番号9828599.2(1998年12月23日出願)、英国特許出願番号9907805.7(1999年4月6日出願)および英国特許出願番号9908645.6(1999年4月15日出願)に記載されるキシラナーゼインヒビターであり得る。
【0078】
(キシラナーゼインヒビターアッセイ)
100μlの候補インヒビター画分、250μlのキシラナーゼ溶液(12TXU微生物キシラナーゼ/mlを含む)および650μlの緩衝液(0.1Mクエン酸−0.2M リン酸水素二ナトリウム緩衝液、pH5)を混合する。この混合物を40.0℃で5分間サーモスタットに配置した。時間=5分において、1つのXylazymeタブを添加した。時間=15分において、10mlの2%TRISを添加することによって、反応を終結した。反応混合物を遠心分離し(3500g、10分間、室温)そして、上清を590nmで測定した。阻害を、ブランクに対する残渣の活性として計算する。ブランクは、100μlのインヒビターを100μlの緩衝液(0.1Mクエン酸−0.2Mリン酸水素二ナトリウム緩衝液、pH5.0)で置換することを除いて、同様に調製した。
【0079】
(特異的なキシラナーゼインヒビター)
示されるように、本発明に従って使用され得るキシラナーゼインヒビターは、英国特許出願番号9828599.2(1998年12月23日出願)、英国特許出願番号9907805.7(1999年4月6日出願)および英国特許出願番号9908645.6(1999年4月15日出願)において記載されるキシラナーゼインヒビターである。
【0080】
この内因性エンド−β−1,4−キシラナーゼインヒビターは、コムギ粉から得られる。このインヒビターは、ジペプチドであり、約40kDaのMW(SDS−PAGEまたは質量スペクトルによって測定されるように)および約8〜約9.5のpIを有する。
【0081】
現在までの配列分析は、インヒビターが、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および/または配列番号8として示される配列の少なくとも1つ以上を有することを開示した。
【0082】
先行技術において記載されるこれらのインヒビターはまた、アッセイにおいて使用され得、キシラナーゼインヒビターに対する本発明の改変体ポリペプチドの感受性を決定する。これらをまた以下のように使用して、キシラナーゼの機能性を調節し得る。
【0083】
(ポリヌクレオチド)
本発明のポリヌクレオチドは、本発明の改変体ポリペプチド配列をコードする核酸配列を含む。多数の異なるポリヌクレオチドが、遺伝子コードの同義性の結果として同じポリペプチドをコードし得ることが当業者によって理解される。さらに、当業者は、慣用技術を使用して、本発明のポリペプチドが発現される任意の特定の宿主生物体のコドン使用を反映するために、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド配列に影響しないヌクレオチド置換を作製し得ることが理解される。
【0084】
本発明のポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAを含み得る。これらは、一本鎖または二本鎖であり得る。これらはまた、それらの中に、合成ヌクレオチドまたは改変ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチドに対する多数の異なる型の改変は、当該分野で公知である。これらは、メチルホスホネート骨格およびホスホロチオネート骨格、分子の3’および/または5’末端におけるアクリジン鎖またはポリリジン鎖の付加を含む。本発明の目的のために、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドが、当該分野で利用可能な任意の方法によって改変され得ることが理解される。このような改変は、本発明のポリヌクレオチドのインビトロ活性または寿命の長さを強化するために、実行され得る。
【0085】
(ヌクレオチドベクターおよび宿主細胞)
本発明のポリヌクレオチドは、複製可能な組換えベクター中に取り込まれ得る。このベクターを使用して、適合性の宿主細胞において核酸を複製し得る。従って、さらなる実施形態において、本発明は、複製可能なベクターに本発明のポリヌクレオチドを導入することによって、適合性宿主細胞にベクターを導入することによって、およびベクターの複製をもたらす条件下で宿主細胞を増殖することによって、本発明のポリヌクレオチドを作製する方法を提供する。このベクターは、宿主細胞から回収され得る。適切な宿主細胞としては、E.coliのような細菌、酵母および真菌が挙げられる。
【0086】
好ましくは、ベクター中の本発明のポリヌクレオチドは、宿主細胞によってコード配列の発現を提供し得る調節配列に作動可能に連結されている(すなわち、このベクターは、発現ベクターである)。用語「作動可能に連結された」は、記載される成分が、それらの意図する様式で、それらが機能することを可能にする関係にある近位をいう。コード配列に「作動可能に連結された」調節配列は、コード配列の発現がコントロール配列と適合性の条件下で達成される様式で、連結されている。用語「調節配列」は、プロモーターおよびエンハンサーならびに他の発現調節シグナルを含む。
【0087】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの強化された発現はまた、異種調節領域(例えば、プロモーター、分泌リーダーおよびターミネーター領域)の選択によって達成され得、これらは、発現、および所望であれば、選択された発現宿主由来の目的のタンパク質の分泌レベルを増加するために、そして/または本発明のポリペプチドの発現の誘導性制御を提供するために役立つ。
【0088】
本発明のポリペプチドをコードする遺伝子に対してネイティブなプロモーターとは別に、他のプロモーターを使用して、本発明のポリペプチドの発現を指向し得る。このプロモーターは、所望の発現宿主における本発明のポリペプチドの発現を指向する際のその効率について選択され得る。
【0089】
別の実施形態において、構成的プロモーターが選択され、本発明の所望のポリペプチドの発現を指向し得る。真菌発現宿主における使用に好ましい強力な構成性および/または誘導性プロモーターの例は、キシラナーゼ(xlnA)、フィターゼ(phytase)、ATPシンセターゼ、サブユニット9(oliC)、リン酸トリオースイソメラーゼ(tpi)、アルコールデヒドロゲナーゼ(AdlA)、α−アミラーゼ(amy)、アミノグルコシダーゼ(AG−glaA遺伝子由来)、アセトアミダーゼ(amdS)およびグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(gpd)プロモーターの真菌遺伝子から得られるプロモーターである。
【0090】
強力な酵母プロモーターの例は、アルコールデヒドロゲナーゼ、ラクターゼ、3−ホスホグリセリン酸キナーゼおよびトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子から得られるプロモーターである。
【0091】
強力な細菌プロモーターの例は、α−アミラーゼおよびSP02プロモーターならびに細胞外プロテアーゼ遺伝子由来のプロモーターである。
【0092】
ハイブリッドプロモーターをまた使用して、発現構築物の誘導性調節を改善し得る。
【0093】
しばしば、本発明のポリペプチドが、発現宿主から、本発明のポリペプチドがより簡単に回収され得る培養培地に、分泌されることは望ましい。本発明に従って、本発明のネイティブな分泌リーダー配列のポリペプチドは、本発明の発現されたポリペプチドの分泌に影響するように使用され得る。しかし、本発明のポリペプチドの発現における増加は、時々、発現宿主がプロセシングおよび分泌可能であるレベルを超えるタンパク質の産生を生じ、タンパク質産物が細胞内に蓄積するようにボトルネックを作製する。従って、本発明はまた、選択された発現宿主からの本発明のポリペプチドの最も効率的な分泌を提供する異種リーダー配列を提供する。
【0094】
本発明に従って、分泌リーダーは、所望の発現宿主に基づいて選択され得る。発現構築物の他の調節領域に相同である異種分泌リーダーが、選択され得る。例えば、高度に分泌されたアミログルコシダーゼ(AG)タンパク質のリーダーは、アミログルコシダーゼ(AG)プロモーター自身と組み合わせて、ならびに他のプロモーターと組み合わせて使用され得る。ハイブリッドシグナル配列もまた、本発明の状況で使用され得る。
【0095】
好ましい異種分泌リーダー配列の例は、真菌のアミログルコシダーゼ(AG)遺伝子(glaA−18アミノ酸および24アミノ酸の両方のバージョン(例えば、Aspergillus由来))、α因子遺伝子(酵母(例えば、SaccharomycesおよびKluyveromyces))またはα−アミラーゼ遺伝子(Bacillus)起源のリーダー配列である。
【0096】
このようなベクターは、本発明のポリペプチドの発現を提供する上記のような適切な宿主細胞に形質転換され得る。従って、さらなる局面において、本発明は、本発明に従うポリペプチドを調製するプロセスを提供し、このプロセスは、ポリペプチドをコードするコード配列のベクターによる発現を提供する条件下で、上記のような発現ベクターを用いて形質転換またはトランスフェクトした宿主細胞を培養する工程、および発現されたポリペプチドを回収する工程を包含する。適切な宿主細胞としては、例えば、真菌細胞(例えば、Aspergillus)および酵母細胞(例えば、KluyveromycesまたはSaccharocyces属の酵母細胞)が挙げられる。他の適切な宿主細胞は、以下に考察される。
【0097】
ベクターは、例えば、複製の起点、必要に応じて、このポリヌクレオチドの発現のためのプロモーター、および必要に応じてプロモーターのレギュレーターが提供される、プラスミド、ウイルスまたはファージベクターであり得る。このベクターは、1つ以上の選択マーカー遺伝子を含み得る。工業的微生物についての最も適切な選択系は、宿主生物体において変異を必要としない選択マーカー群によって形成される選択系である。真菌選択マーカーの例は、アセトアミダーゼ(amdS)、ATPシンセターゼ、サブユニット9(oliC)、オロチジン−5’−リン酸−デカルボキシラーゼ(pvrA)、フレオマイシンおよびベノミル耐性(bebA)についての遺伝子である。非真菌選択マーカーの例は、細菌G418耐性遺伝子(これは、真菌ではなく、酵母において使用され得る)、アンピシリン耐性遺伝子(E.coli)、ネオマイシン耐性遺伝子(Bacillus)およびE.coli uidA遺伝子(β−グルコロニダーゼ(GUS)をコードする)である。ベクターは、例えば、RNAの生成のためにインビトロで使用され得るか、または宿主細胞をトランスフェクトまたは形質転換するために使用され得る。
【0098】
本発明のさらなる実施形態は、本発明のポリヌクレオチドで形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。好ましくは、このポリヌクレオチドは、このポリヌクレオチドの複製および発現のためのベクター中に保有される。この細胞は、このベクターと適合性であるように選択され、そして、原核生物細胞(例えば、細菌細胞)、真菌細胞、酵母細胞または植物細胞であり得る。
【0099】
Bacillus属由来の細菌は、タンパク質を培養培地中に分泌するそれらの能力が理由で、異種宿主として非常に安定である。宿主として安定な他の細菌は、Streptomyces属およびPseudomonas属由来の細菌である。
【0100】
本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの性質に依存して、および/または発現されたタンパク質のさらなるプロセシングの望ましさに依存して、酵母または真菌類のような真核生物宿主が、好ましくあり得る。一般に、酵母細胞は、操作が容易であるという理由で、真菌細胞よりも好ましい。しかし、いくつかのタンパク質は、酵母細胞からほとんど分泌されないか、またはいくつかの場合は、適切にプロセスされない(例えば、酵母における過剰グリコシル化(hyperglycosylation))かのいずれかである。これらの場合、真菌宿主生物が選択されるべきである。
【0101】
本発明のポリペプチドが、実質的に他のキシラナーゼを含まない形態で産生される異種宿主がまた、選択され得る。このことは、通常このような酵素を産生しない宿主を選択することにより、達成され得る。
【0102】
本発明の範囲内の好ましい発現宿主の例は、Aspergillus種およびTrichoderma種のような真菌類;Bacillus種、Streptomyces種、およびPseudomonas種のような細菌;およびKluyveromyces種およびSaccharomyces種のような酵母である。
【0103】
特に好ましい発現宿主は、Aspergillus niger、Aspergillus niger var.tubigenis、Aspergillus niger var.awamori、Aspergillus aculeatis、Aspergillus nidulans、Aspergillus oryzae、Trichoderma reesei、Bacillus subtilis、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Kluyveromyces lactis and Saccharomyces cerevisiaeから選択され得る。
【0104】
本発明に従って、本発明のポリペプチドの産生は、1つ以上の本発明のポリヌクレオチドを用いて従来の栄養発酵培地中で形質転換された微生物発現宿主の培養によりもたらされ得る。
【0105】
発酵培地は、炭素源(例えば、グルコース、マルトース、糖密等)、窒素源(例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム等)、有機窒素源(例えば、酵母抽出物、麦芽抽出物、ペプトン等)、および無機栄養源(例えば、リン、マグネシウム、カリウム、亜鉛、鉄等)を含む公知の培養培地を含み得る。必要に応じて、インデューサーが添加され得る。
【0106】
適切な培地の選択は、発現宿主の選択および/または発現構築物の調節要求に準拠し得る。このような培地は、当業者に周知である。所望の場合、培地は、他の潜在的に混入している微生物よりも形質転換された発現宿主に有利なさらなる成分を含む。
【0107】
発酵後、細胞は、遠心分離または濾過により発酵ブロスから除去され得る。次いで細胞を除去した後に、本発明の改変ポリペプチドが回収され得、そして所望の場合は、従来の手段により精製および単離され得る。
【0108】
(生物体)
本発明に関して、用語「生物体」は、本発明に基づく改変キシラナーゼタンパク質をコードするヌクレオチド配列および/またはそれらから獲得される生成物を含み得る任意の生物体を含む(ここで、転写調節配列が、その生物体中に存在する場合、本発明に基づくヌクレオチド配列の発現を可能にし得る)。適切な生物体として、原核生物、真菌類、酵母、または植物が挙げられ得る。本発明のキシラナーゼの局面のために好ましい生物体は、細菌、好ましくはBacillus属、より好ましくはBacillus subtilisであり得る。
【0109】
本発明に関して、用語「トランスジェニック生物体」は、本発明に基づくタンパク質をコードするヌクレオチド配列および/またはそれらから獲得される生成物を含む任意の生物体を含む(ここで、転写調節配列が、この生物体中での本発明に基づくヌクレオチド配列の発現を可能にし得る)。好ましくは、このヌクレオチド配列は、この生物体のゲノム中に組み込まれる。
【0110】
用語「トランスジェニック生物体」は、天然の環境にあるネイティブのヌクレオチドコード配列が、ネイティブのプロモーター(このプロモーターもまた、ネイティブの環境にある)の制御下にある場合、それらを含まない。
【0111】
従って、本発明のトランスジェニック生物体は、本発明に基づくアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、本発明に基づく構築物(それらの組合せを含む)、本発明に基づくベクター、本発明に基づくプラスミド、本発明に基づく細胞、本発明に基づく組織、またはそれらの産物のいずれか1つかまたはその組合せを含む生物体を含む。形質転換された細胞または生物体は、その細胞または生物体から容易に回収される、受容可能な量の所望の化合物を調製し得る。
【0112】
(宿主細胞/宿主生物体の形質転換)
先に示したように、宿主生物体は、原核生物体または真核生物体であり得る。適切な原核生物宿主の例として、E.coliおよびBacillus subtilisが挙げられる。原核生物宿主の形質転換に関する教示は、当該分野で十分に文書化されている。例えば、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、1989、Cold Spring Harbor Laboratory Press)およびAusubelら、Molecular Biology(1999)、第4版、John Wiley & Sons,Inc.のShort Protocolsを参照のこと。
【0113】
原核生物宿主が用いられる場合、ヌクレオチド配列は、形質転換前に(例えば、イントロンの除去により)適切に改変される必要があり得る。
【0114】
上記のように、好ましい宿主生物体は、Bacillus属の生物体(例えば、Bacillus subtilis)である。
【0115】
別の実施形態において、トランスジェニック生物体は、酵母であり得る。これに関して、酵母はまた、異種遺伝子発現のためのビヒクルとしても、広く用いられている。Saccharomyces cerevisiae種は、異種遺伝子発現のための使用を含む工業使用の長い歴史を持つ。Saccharomyces cerevisiaeにおける異種遺伝子の発現は、Goodeyら(1987、Yeast Biotechnology、D R Berryら編、401〜429頁、Allen and Unwin、London)およびKingら(1989、Molecular and Cell Biology of Yeasts、E F WaltonおよびG T Yarronton編、107〜133頁、Blackie、Glasgow)により総説されている。
【0116】
いくつかの理由で、Saccharomyces cerevisiaeは、異種遺伝子発現に十分適している。第1に、Saccharomyces cerevisiaeはヒトに対して非病原性であり、そして特定の内毒素を産生し得ない。第2に、Saccharomyces cerevisiaeは、種々の目的の商業的な開発の数世紀に渡る安全な使用の長い歴史を持つ。このことは、幅広い公衆の容認の要因となっている。第3に、この生物体に注がれた広範な商業利用および研究は、Saccharomyces cerevisiaeの遺伝学および生理学ならびに大量の発酵特性についての豊富な知識を導いた。
【0117】
Saccharomyces cerevisiaeにおける異種遺伝子発現および遺伝子産物の分泌の原理の総説は、E Hinchcliffe E Kenny(1993、「Yeast as a vehicle for the expression of heterologous genes」、Yeasts、第5巻、Anthony H RoseおよびJ Stuart Harrison編、第2版、Academic Press Ltd.)により与えられる。
【0118】
いくつかの型の酵母ベクターが利用可能であり、維持のために宿主ゲノムとの組換えを必要とする組込みベクター、および自律的に複製するプラスミドベクターが挙げられる。
【0119】
トランスジェニックSaccharomycesを調製するために、酵母における発現のために設計された構築物に本発明のヌクレオチド配列を挿入することにより、発現構築物が調製される。異種発現に用いられるいくつかの型の構築物が、開発されている。この構築物は、本発明のヌクレオチド配列に融合された、酵母において活性なプロモーターを含み、通常は酵母起源のプロモーター(例えば、GAL1プロモーター)を用いる。通常、酵母起源のシグナル配列(例えば、SUC2シグナルペプチドをコードする配列)が用いられる。酵母において活性な終結因子は、発現系を終了させる。
【0120】
酵母の形質転換のために、いくつかの形質転換プロトコールが、開発されてきた。例えば、本発明に基づくトランスジェニックSaccharomycesは、Hinnenら(1978、Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA 75、1929);Beggs,JD(1978、Nature、London、275、104);およびIto,Hら(1983、J Bacteriology 153、163〜168)の教示に従うことにより調製され得る。
【0121】
形質転換された酵母細胞は、種々の選択マーカーを用いて選択される。形質転換に用いられるマーカーの間には、多くの栄養要求性マーカー(例えば、LEU2、HIS4、およびTRP1)および優性な抗生物質耐性マーカー(例えば、アミノグリコシド抗生物質マーカー(例えば、G418))がある。
【0122】
別の宿主生物体は、植物である。遺伝的に改変された植物の構築における基礎的な原理は、植物ゲノムに遺伝的情報を挿入し、その挿入された遺伝的物質の安定な維持を獲得することである。
【0123】
本発明のトランスジェニック植物は、種を持つ植物(被子植物)および針葉樹のような任意の植物から生成され得る。被子植物は、双子葉植物および単子葉植物を含む。双子葉植物の例として、タバコ(Nicotiana plumbaginifoliaおよびNicotiana tabacum)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、Brassica napus、Brassica nigra、Datura innoxia、Vicia narbonensis、Vicia faba、エンドウマメ(Pisum sativum)、カリフラワー、カーネーションおよびヒラマメ(Lens culinaris)が挙げられる。単子葉植物の例として、コムギ、オオムギ、カラスムギ、およびトウモロコシのような穀物が挙げられる。
【0124】
トランスジェニック植物を生成するための技術は当該分野で周知である。代表的に、植物全体、細胞、またはプロトプラストのいずれかが、ジンクフィンガー分子または標的DNAをコードする適切な核酸構築物を用いて形質転換され得る(例えば、上記の核酸構築物を参照のこと)。形質転換DNA構築物を細胞に導入するための多くの方法が存在するが、植物細胞へのDNAの送達に関して、全てが適切であるとは限らない。適切な方法として、Agrobacterium感染(特に、Turpenら、1993、J.Virol.Methods、42:227−239を参照のこと)、または、例えば、PEG媒介性の形質転換、エレクトロポレーション、もしくはDNAでコーティングされた粒子の加速によるようなDNAの直接送達が挙げられる。一般に、加速法が好ましく、例えば、微粒子銃(microprojectile bombardment)が挙げられる。米国特許第5,874,265号から抜粋された(特定の単子葉類における)トランスジェニック植物を生成するための代表的なプロトコールは、以下に記載される。
【0125】
形質転換DNAセグメントを植物細胞に送達するための方法の例は、微粒子銃である。この方法において、非生物学的粒子が、核酸でコーティングされ得、そして推進力により細胞中に送達され得る。典型的な粒子として、タングステン、金、白金などを含む微粒子が挙げられる。
【0126】
微粒子銃の特定の利点は、双子葉類と単子葉類の両方を再現性の面で安定に形質転換する有効な手段であることに加えて、プロトプラストの単離もAgrobacterium感染に対する感受性も要求されないことである。加速により植物細胞中にDNAを送達するための方法の例示的な実施形態は、バイオリスティックス(Biolistics)微粒子送達システムであり、これは、DNAでコーティングされた粒子をスクリーン(ステンレス鋼またはNytexスクリーン)を通して、懸濁液中で培養された植物細胞で覆われたフィルター表面へ推進するために用いられ得る。このスクリーンは、タングステン−DNA微粒子を分散させ、その結果、多くが凝集してレシピエント細胞に送達されない。射出装置と照射される細胞との間に介在するスクリーンがなければ、この射出は凝集し、そして高頻度の形質転換を達成するには多すぎると考えられている。これは、多すぎる射出により受容細胞に与えられる損傷に起因し得る。
【0127】
照射について、懸濁液中の細胞は、好ましくはフィルター上に濃縮される。照射される細胞を含むフィルターは、マクロ射出停止プレートの下の適切な距離に配置される。所望の場合、1つ以上のスクリーンもまた、銃と照射される細胞との間に配置される。本明細書に記載される技術の使用を通じて、照射されたフィルター上でマーカー遺伝子(「病巣」)を一時的に発現する1000個まで、またはそれ以上の細胞のクラスターを獲得し得る。照射後48時間で異種遺伝子産物を発現する病巣中の細胞数は、しばしば1〜10の範囲、および平均2〜3の範囲である。
【0128】
上記のいずれかの方法によりレシピエント細胞への異種DNAの送達をもたらした後、好ましい工程は、さらなる培養および植物再生のために形質転換された細胞を同定することである。この工程は、スクリーニング可能な特性に関して培養物を直接的にアッセイする工程、または照射された培養物を1つかまたは複数の選択因子に曝すことによる工程を包含し得る。
【0129】
スクリーニング可能なマーカー特性の例は、トウモロコシにおいてR座の制御下で産生される赤色色素である。この色素は、この段階での増殖を支持し得る栄養培地を含む固体支持体上で細胞を培養し、例えば18℃にて、180μEm−2−1より上で細胞をインキュベートし、そして着色されているコロニー(細胞の目で見える凝集体)から細胞を選択することにより検出され得る。これらの細胞は、懸濁液中かまたは固体培地上のいずれかでさらに培養され得る。
【0130】
形質転換された細胞を同定するための方法の典型的な実施形態は、照射された培養物を選択因子(例えば、代謝インヒビター、抗生物質、除草剤など)に曝す工程を包含する。形質転換され、そして用いられる選択因子に対する耐性を与えるマーカー遺伝子を安定に組み込まれた細胞は、培養物中で増殖し、分裂する。感受性の細胞は、さらなる培養に受け入れられない。
【0131】
バー−ビアラホス(bialaphos)選択系を使用するために、フィルター上で照射された細胞は、非選択的液体培地に再懸濁され、培養され(例えば、1〜2週間)、そして1〜3mg/lのビアラホスを含む固体培地に被さっているフィルターに転写される。代表的に1〜3mg/lの範囲が好ましいが、本発明の実施において0.1〜50mg/lの範囲が有用性を見出すと提案される。照射における使用のためのフィルターの型は、特に重要であると考えられておらず、任意の固体状の、多孔性の、不活性な支持体を含み得る。
【0132】
選択因子への曝露で生存する細胞は、植物の再生を補助する培地中で培養され得る。約2〜4週間、ホルモンを含む基礎培地で組織が維持され、次いでホルモンを含まない培地に移動させる。2〜4週間後、苗条の発達が、別の培地へ移す機会を合図する。
【0133】
代表的に再生は、その組成が、形質転換されたカルスからより成熟した植物への連続的な発達段階の間に適切な栄養分およびホルモン性シグナルを提供するよう改変された培地の進歩を必要とする。発達中の植物は、土壌に移され、そして例えば、約85%の相対湿度、600ppmのCO、および250μEm−2−1の光にて環境的に制御されたチャンバにおいて、鍛えられる。好ましくは植物は、生長チャンバかまたは温室かのいずれかにおいて成熟させられる。代表的に再生には、約3〜12週かかる。再生中、細胞は、組織培養容器中にて固体培地で増殖させられる。このような容器の例示的な実施形態は、ペトリ皿である。好ましくは再生中の植物は、約19℃〜28℃で生長させられる。再生中の植物が、苗条および根の発達段階に達した後、それらを、さらなる生長および試験のために温室に移し得る。
【0134】
ゲノムDNAをカルス細胞株および植物から単離し、当業者に周知の技術(例えば、PCRおよび/またはサザンブロット)の使用を通して、異種遺伝子の存在を決定し得る。
【0135】
遺伝情報を挿入するためのいくつかの技術が存在し、2つの主要な原理は、遺伝情報の直接的な導入およびベクターシステムの使用による遺伝情報の導入である。一般的な技術の概説は、Potrykus(Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol[1991]42:205−225)およびChristou(Agro−Food−Industry Hi−Tech March/April 1994 17−27)による論文中に見出され得る。
【0136】
従って、1つの局面において、本発明は、本発明に基づく改変キシラナーゼポリペプチドをコードする構築物を保有し、そしてその構築物を植物のゲノムへ導入し得るベクターシステムに関する。
【0137】
ベクターシステムは、1つのベクターを含み得るが、少なくとも2つのベクターを含むことが可能である。2つのベクターの場合において、ベクターシステムは、通常バイナリーベクターシステムと呼ばれる。バイナリーベクターシステムは、Gynheung Anら(1980)、Binary Vectors、Plant Molecular Biology Manual A3、1−19においてより詳細に記載される。
【0138】
所定のプロモーターまたはヌクレオチド配列もしくは構築物を用いた植物細胞の形質転換のための、1つの広範に用いられるシステムは、Agrobacterium tumefaciens由来のTiプラスミドまたはAgrobacterium rhizogenes由来のRiプラスミドの使用に基づく(Anら(1986)、Plant Physiol.81、301−305およびButcher D.N.ら(1980),Tissue Culture Methods for Plant Pathologists、D.S.IngramsおよびJ.P.Helgeson編、203−208)。
【0139】
上記の植物または植物細胞構築物の構築に適切な、いくつかの異なるTiおよびRiプラスミドが構築されている。
【0140】
(B.用途)
一般的な意味で、本発明の改変キシラナーゼは、植物細胞壁物質を含む溶液または系におけるヘミセルロースまたはアラビノキシランの存在に由来する粘性を変化(例えば減少)させるために用いられ得る。代表的に上記の植物細胞壁物質は、1つ以上のキシラナーゼインヒビターを含む。
【0141】
詳細には、本発明の改変キシラナーゼは、食料品(例えば、動物飼料)としての使用のための植物物質の加工において、デンプン生産において、紙を作製するための木材パルプのベーキングおよび加工において使用され得る。
【0142】
(食料品の調製)
本発明の改変キシラナーゼは、動物飼料を含む食料品において使用されるシリアルのような植物物質を処理するために用いられ得る。本明細書中で使用する場合、用語「シリアル」は、食品として使用される任意の種類の穀物および/またはこの穀物を産生する任意の草(例えば、コムギ、製粉されたコムギ、オオムギ、トウモロコシ、サトウモロコシ、ライムギ、カラスムギ、ライコムギ、およびコメまたはそれらの組合せのいずれか1つ(しかし、これらに限定されない))を意味する。1つの好ましい実施形態において、このシリアルは、コムギシリアルである。
【0143】
食品および/または飼料サプリメント中のキシレンは、このキシレンと本発明の改変キシラナーゼを接触させることにより改変される。
【0144】
本明細書中で使用する場合、用語「接触する」は、本発明の改変キシラナーゼ酵素食品および/または飼料サプリメントに散布すること、コーティングすること、浸漬させること、または層状に重ねることを含むがこれらに限定されない。
【0145】
1つの実施形態において、本発明の食品および/または飼料サプリメントは、食品および/または飼料サプリメントと改変キシラナーゼ酵素を直接的に混合することにより調製され得る。例示目的で、改変キシラナーゼ酵素は、シリアルベースの食品および/または飼料サプリメント(例えば、製粉されたコムギ、トウモロコシ、またはダイズ紛)上で(例えば、散布することにより)接触させられ得る。
【0146】
改変キシラーゼ酵素が第2の(そして異なる)食品および/または飼料もしくは飲料水に組み込まれ、次いでこれが本発明の食品および/または飼料サプリメントに添加されることもまた可能である。従って、このような組み込みは、本発明の特定の好ましい局面を形成するが、本発明により提供される改変キシラーゼが、シリアルベースの食品および/または飼料サプリメント自体に組み込まれることは必須ではない。
【0147】
本発明の1つの実施形態において、食品および/または飼料サプリメントは、他の食品および/または飼料成分と組み合わされて、シリアルベースの食品および/または飼料を生成し得る。このような他の食品および/または飼料成分として、1つ以上の他の(好ましくは熱安定性の)酵素サプリメント、ビタミン食品および/または飼料サプリメント、ミネラル食品および/または飼料サプリメント、およびアミノ酸食品および/または飼料サプリメントが挙げられ得る。次いで、おそらくいくつかの異なる型の化合物を含む、得られる(組み合わされた)食品および/または飼料サプリメントは、適切な量で、他の食品および/または飼料成分(例えば、シリアルおよびタンパク質サプリメント)と混合され、ヒト食品および/または動物飼料を形成し得る。
【0148】
1つの好ましい実施形態において、本発明の食品および/または飼料サプリメントは、適切な活性を有する異なる酵素を混合して酵素混合物を生成することにより、調製され得る。例示目的で、例えば、製粉されたコムギまたはトウモロコシから形成されたシリアルベースの食品および/または飼料サプリメントは、(例えば、散布することにより)同時にかまたは連続的にかのいずれかで、キシラナーゼ酵素および適切な活性を有する他の酵素と接触され得る。これらの酵素として、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、マンナナーゼ、ガラクトシダーゼ、フィターゼ、リパーゼ、グルカナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、グルコースオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、およびキシラナーゼのいずれか1つ以上が挙げられ得るがこれらに限定されない。所望の活性を有する酵素は、例えば、これらの酵素とシリアルベースの食品および/または飼料サプリメントとを接触させる前に本発明のキシラナーゼと混合され得るか、あるいは、このような酵素は、このようなシリアルベースのサプリメントに同時かまたは連続的に接触され得るかのいずれかである。次いで食品および/または飼料サプリメントは、順にシリアルベースの食品および/または飼料と混合されて、最終的な食品および/または飼料を調製する。食品および/または飼料サプリメントを個々の酵素活性の溶液として処方し、次いで食品および/または飼料サプリメントを処理してペレットまたはマッシュのようにする前に、この溶液と食品および/または飼料物質とを混合することもまた可能である。
【0149】
(ベーカリー製品)
本発明は、食料品の調製のための加工における本発明の改変体キシラナーゼポリペプチドの使用を提供する。本発明に従う代表的なベーカリー製品(焼き製品)としては、パン(例えば、ローフ、ロールパン、バン、ピザベースなど)、プレッツェル、トルティーヤ、ケーキ、クッキー、ビスケット、クラッカーなどが挙げられる。ベーカリー製品のような食料品の調製は、当該分野で周知である。例えば、生地生産は実施例2に記載される。粉のスラリーの粘性を変更するための本発明の改変体キシラナーゼの使用は実施例5に記載される。
【0150】
(デンプン生産)
本発明の改変体キシラナーゼはまた、穀物および塊茎(例えば、ポテト)由来の植物材料からのデンプン生産に使用され得る。
【0151】
(木材パルプの加工)
本発明の改変体キシラナーゼはまた、木材パルプ加工において(例えば、紙を調製する際)使用され得る。
【0152】
上記のように、本発明者らは、キシラナーゼ機能性の主要な決定因子が植物材料中の内因性インヒビターの存在であることを示した。従って、キシラナーゼ機能性を変更する1つの方法は、内因性インヒビターに対するその感受性を変更するためにキシラナーゼを改変することであるが、別の方法は、この植物材料中に存在するインヒビターの量および/または型を変更することである。従って、本発明はまた、キシラナーゼの機能性を変更するためのキシラナーゼインヒビターの使用、従って、上記の植物材料の加工方法におけるキシラナーゼインヒビターの使用を提供する。
【0153】
本発明は、ここで、以下の実施例(これは、例示されることのみが意図され、非限定である)を参照してさらに記載される。
【0154】
(実施例)
(実施例1−小麦内因性キシラナーゼインヒビターの精製および特徴付け)
2kgの小麦粉(Danish reform、バッチ99056)を、10分間の攪拌の間に1:2の粉:水 比を使用して水を用いて抽出した。可溶性内因性キシラナーゼインヒビターを、遠心分離によって小麦粉−水スラリーから分離した。抽出および遠心分離を4℃で実施した。インヒビターを、以下のクロマトグラフィー技術:HPLC−SEC、HPLC−CIEC、ロータリーエバポレーション、HPLC−HIC、HPLC−SEC、およびロータリーエバポレーションならびに濃縮技術によって水抽出物から精製した。キシラナーゼインヒビターを、以下の定量化方法を用いて、精製の間にモニターし定量することができた。
【0155】
(インヒビターの定量方法)
1 XIU(キシラナーゼインヒビター単位)を、下記の条件下で1TXUを0.5TXUまで低減するインヒビターの量として規定する。
【0156】
本アッセイに使用したキシラナーゼは、Bacillus subtilis野生型キシラナーゼである。
【0157】
1000μlの反応容積で反応するための12TXU/mlを含む250μl キシラナーゼ溶液、約100μl キシラナーゼインヒビター溶液およびクエン酸(0.1M)−リン酸水素二ナトリウム(0.2M)緩衝液(pH5)を、40℃で5分間予めインキュベートする。t=5分において、1Xylazyme(Megazyme,Ireland)錠剤を、この反応混合物に添加する。t=15分において、この反応を10ml 2% TRIS/NaOH(pH12)の添加によって終結する。この溶液を濾過し、そしてこの上清の吸光度を590nmにおいて測定する。上記のアッセイにおいていくつかの異なる濃度のインヒビターを選択することによって、OD対インヒビター濃度のプロットを作製することが可能である。このプロットからの傾き(a)および切片(b)ならびにキシラナーゼの濃度を用いて、所定のインヒビター溶液におけるXIU量を計算することが可能である(式1)。
【0158】
式1 溶液中のXIU量=((b/2)/−a)/TXU
内因性キシラナーゼインヒビターの精製から、以下のインヒビターの収量を、回収した(表1)。
【0159】
(表1.精製後の小麦内因性キシラナーゼインヒビターの回収率)
【0160】
【表3】
Figure 0004795604
インヒビターサンプルは純粋であり、小麦の内因性キシラン分解(xylanolytic)活性を含まなかった。
【0161】
(実施例2−キシラナーゼインヒビターを含まない小麦粉の分別および再構築ならびに添加されたキシラナーゼインヒビターの関数としてのこの粉におけるキシラナーゼ機能性)
(粉の分別および再構築)
使用した粉は、Danish Reform粉(バッチ番号99056)であった。分別、インヒビター不活化および再構築は、以下のようであった:
簡単な生地を、500BUでのパン類製造販売業者らの吸着およびFarinographの結果に従う混合時間に従って、最適な水を添加しながら1600グラムの粉を混合することによって作製した。これによって、2512グラムの生地が生じた。グルテンを、約5:1の水と生地の比を用いて、この生地から手で洗い流した。使用した水は、4℃に事前に冷却し、この生地におけるさらなる酵素活性を回避した。生じた洗浄水は、可溶性タンパク質(キシラナーゼインヒビターを含む)、脂質、非デンプン多糖およびデンプンを含んだ。デンプンおよび他の不溶性成分を、遠心分離(5000g、10分、10℃)によって洗浄水から分離した。この洗浄水中の内因性キシラナーゼインヒビターを不活化するために、遠心分離からの上清を、加熱エバポレーターを用いて3分間煮沸した。
【0162】
全ての3つの画分(グルテン、デンプンおよび溶解物)を、フラスコで凍結し、凍結乾燥機に置いた。乾燥後、この分画の重量を量り、乳鉢および乳棒、コーヒーミルを用いてすりつぶし、250μmのふるいを通してふるいにかけた。全ての分画の重量を再び量り、そして分別後に得た比に基づいて、粉を再構築した。
【0163】
(酵素)
表2に列挙するキシラナーゼを、本研究に使用した。キシラナーゼを精製し、他のキシラン分解活性がこのサンプル中に存在しないことを意味する。
【0164】
(表2.本研究に使用したキシラナーゼおよび活性、TXU)
【0165】
【表4】
Figure 0004795604
(キシラナーゼアッセイ(エンド−β−1,4−キシラナーゼ活性))
キシラナーゼサンプルを、クエン酸(0.1M)−リン酸水素二ナトリウム(0.2M)緩衝液(pH5.0)に希釈して、最終アッセイにおいてOD=約0.7を得る。サンプルの3回希釈および規定された活性を有する内部標準を、5分間40℃でサーモスタットで調温する。時間=5分において、1Xylazymeタブ(架橋された、染色キシラン基質)を、この酵素溶液に添加する。時間=15分(またはいくつかの場合、サンプル中に存在するキシラナーゼ活性に依存してより長く)において、この反応を、10mlの2% TRISの添加によって終結する。この反応混合物を、遠心分離し、そして上清のODを、590nmで測定する。キシラナーゼの希釈および量を考慮すると、サンプルの活性(TXU、総キシラナーゼ単位)が、標準物質と比較して計算され得る。
【0166】
(パン焼き試験)
パン焼き試験を、それぞれ、(1.44×Danish Reform粉(バッチ番号99056)中の初期インヒビターレベル)を用いて行い、そして再構築された粉への精製内因性キシラナーゼインヒビターの添加なしに行った。パン焼き試験を、表2に列挙するキシラナーゼおよび表3に列挙する組成を用いて実施した。
【0167】
(表3.パン焼き試験内で作製した生地の組成)
【0168】
【表5】
Figure 0004795604
(生地の分析)
生地を、以下に関して分析した:
(粘着性)
生地の粘着性を、Chen And Hoseney(Lebensmittel Wiss u.−Technol.,28,467−473.1995)によって記載された方法に従ってSMS Dough Stickiness Cellを用いたTX−XT2システム(Stable Micro Systems)において測定した。
【0169】
(生地液の粘性分析)
抽出した生地液の粘性を、抽出後にBrookfield粘度計を用いて測定した。
【0170】
(生地液のペントサン分析)
溶解したペントサンを、RouauおよびSurget(Carbohydrate polymers,24,123−132,1994)の方法を用いて生地液中で測定した。
【0171】
(結果)
(粉の分別および再構築)
生地の分別および再構築によって、168.15グラムの凍結乾燥グルテン、111.13グラムの凍結乾燥可溶性分画および1143.56グラムの凍結乾燥デンプンを生じた。
【0172】
(粉の中のインヒビターの定量)
インヒビター定量方法を用いて、99056粉の中のインヒビターレベルおよび再構築した粉の中のインヒビターレベルを検出することができた。これらの分析からの結果を、表4に列挙する。
【0173】
(表4.本来の粉(99056)および再構築した粉におけるインヒビター定量からの結果)
【0174】
【表6】
Figure 0004795604
2部分の粉におけるインヒビターレベルを比較すると、再構築した粉におけるインヒビターレベルの93%(100−(42XIU/590XIU)×100%))の減少が、示される。
【0175】
(パン焼き試験)
パン焼き試験からの結果を、表5および6に列挙する。
【0176】
(表5.再構築した粉、キシラナーゼおよびキシラナーゼインヒビター添加の有り/無し(+/−)での、パン焼き試験からのデータ。標準偏差(%)は、2日のパン焼きにわたる標準偏差を表す。
【0177】
【表7】
Figure 0004795604
表5に示される標準偏差は、試験した生地の生地操作特性を反映する。内因性キシラナーゼインヒビター無しで作製した生地(42XIU)は、操作が非常に困難であった。これらの生地からの標準偏差は、3〜12.5%の範囲である。インヒビターを添加した生地と比較して、これは非常に高かった。これらの標準偏差をパンの容積における実際の変化と比較する場合、数値がほとんど同じ値であることが見出され得る。これは、本発明者らが、パンの容積に対するインヒビターの影響が存在しないことに関して何も結論付けることができないことを意味する。本発明者らが表5における内因性キシラナーゼインヒビターを添加して作製した生地(850XIU)を見る場合、本発明者らは、2日間にわたる再生方法において再構成した粉からパンを生産し得たことを理解することができる。標準偏差は、0.05〜4.2%の範囲であり、これは許容できる。表6から、キシラナーゼは全て、焼いたパンの容積を増加したことが見出され得る。
【0178】
(表6.キシラナーゼおよびキシラナーゼインヒビター添加の関数としての、再構築した粉から焼いたパンの容積の増加)
【0179】
【表8】
Figure 0004795604
表5および6から推定され得ることは、粉の中にキシラナーゼインヒビターが無いと、生地の操作が非常に困難になることである。従って、表6におけるインヒビターの添加による容積のポジティブな応答として見出され得ることは、おそらく、困難な操作特性に起因したインヒビターを欠く生地における高い標準偏差によって説明され得る。さらに、試験した全てのキシラナーゼが、ブランクのコントロールに比較して、パンの容積を有意に増加したことを、結論付けることができる。
【0180】
(粘着性)
パン焼き試験に使用した生地と同じ生地を、粘着性測定のために使用した。結果を、表7に列挙する。
【0181】
(表7.時間、キシラナーゼ、および再構成した粉へのキシラナーゼインヒビターの添加の関数としての、粘着性を表すデータ)
【0182】
【表9】
Figure 0004795604
表7の結果は、本実験で観察したインヒビターの影響を明らかに示す。キシラナーゼと組合わせて低いレベルのキシラナーゼインヒビターを有する生地は、操作および成形が非常に困難であった。しかし、インヒビターを添加した場合、この生地は乾燥し、操作が非常に簡単になった。表7から見出され得るように、インヒビターと組合わせた990202キシラナーゼの添加は、粘着性を減少した。生地はより乾燥した。
【0183】
表7はまた、粘着性に対して時間の効果がわずかな小さいものであるを示す。キシラナーゼは非常に速く作用するようである。最初の10分間内に、最初のキシラナーゼ(B.sub)が添加される場合、アラビノキシランのほとんどが改変される。試験した第2のキシラナーゼ(A.nig)は、急速ではないが作用するようである。時間の相関は、このキシラナーゼを用いて容易に観察され得る。これはまた、粘着性に関して分析した場合に、インヒビターレベルの関数として少しも影響を示さないキシラナーゼである。
【0184】
(生地の粘性)
生地の粘性およびペントサン分析結果を、キシラナーゼおよびキシラナーゼインヒビターを添加した再構築した粉から調製した生地の抽出物と同じ抽出物から得た。この生地を、2つの試験時間(30分および120分)後に分析した。
【0185】
粘性分析の結果を、表8に表す。
【0186】
(表8.時間、キシラナーゼおよび再構築した粉へのキシラナーゼインヒビターの添加の関数としての、生地液の粘性を示すデータ)
【0187】
【表10】
Figure 0004795604
表8に見出され得るように、インヒビターは、キシラナーゼの機能性に対して有意な効果を有する。インヒビターの添加無しでは、アラビノキシランは、低い粘性を有する低分子量(LMW)アラビノキシランへ脱重合される。インヒビターの添加は、アラビノキシランのこの非常に大量の脱重合を妨害する。
【0188】
(生地液のペントサン分析)
生地液のペントサン(アラビノキシラン)分析からの結果を、表9に表す。
【0189】
(表9.時間、キシラナーゼおよび再構築した粉へのキシラナーゼインヒビターの添加の関数としての、ペントサン可溶化を示すデータ)
【0190】
【表11】
Figure 0004795604
表9の結果から見出され得るように、内因性キシラナーゼインヒビターの添加は、アラビノキシランの可溶化を減少した。30分の試験時間後に評価した場合、インヒビター無しで可溶化したアラビノキシランの量は、インヒビターの存在下のほぼ2倍の量である。関連するコントロールサンプルの基礎に対して計算すると、可溶化は、以下の実施例において示されるように、インヒビターの非存在下において大いに高い:
(0.766−0.387)/(0.410−0.400)=37.9倍高い可溶化
上記の実施例は、Bacillusキシラナーゼ、30分の試験およびインヒビターの有り/無しを用いて、アラビノキシランの可溶化の基礎に対して計算した。
【0191】
(実施例3−キシラナーゼに対する部位指向型変異誘発)
Bacillus subtilisキシラナーゼの特定の変異体を、多数の市販の変異誘発キットのうちのいずれかを使用して、野生型酵素の部位指向型変異誘発によって得ることができる。Quick Exchangeキット(Stratagene Cloning Systems,11011 North Torrey Pines Road,La Jolla,CA 92037,USAから入手可能)を用いたD11F変異体を得る方法の例を、以下に提供する:
Bacillus subtilisキシラナーゼAをコードするDNA配列は、Paiceら(1986)によって公開された。
【0192】
コード領域の配列は、以下のようであり、タンパク質の成熟部分をコードする配列は大文字で示される:
【0193】
【表12】
Figure 0004795604
野生型酵素の成熟部分をコードする遺伝子の部分を、分子生物学の当業者に周知の方法によってE.coliの細胞内に発現し得る。例えば、以下:
1.GCTAGCACAの前に付加的なNde1制限酵素部位(CATATG)、およびGTGTGGTAAの後に付加的なHindIII制限部位(AAGCTT)を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して上記の遺伝子の大文字部分のコピーを生成する工程、
2.上記の酵素の使用によって生じた遺伝子の改変コピーを発現ベクターpET24a(+)(Novagen,Inc.601 Science Drive,Madison,WI53711,USAから入手され得る)に挿入する工程、
3.適切なE.coli株に形質転換し、pET24a(+)の製造メーカによって記載されるように醗酵によって発現する工程を包含する方法
本発明者らのD11F変異酵素を、製造業者に従って「Quick Exchange」変異誘発キットを使用し、そして上記のBacillus subtilis野生型キシラナーゼpET24a(+)構築物および以下のPCR変異誘発プライマー:
【0194】
【表13】
Figure 0004795604
を使用することによって得ることができる。
【0195】
変異酵素を、発現し、そして野生型酵素と同じプロトコールを使用して精製する。
【0196】
(実施例4 キシラナーゼ変異の阻害研究)
E.coliにおいて発現されるキシラナーゼ変異体(実施例3を参照のこと)を、醗酵し、そして脱塩工程および陽イオン交換クロマトグラフィー工程を用いて精製した(他のキシラン分解活性が精製された調製物に存在しなかったことを意味する)。
【0197】
これらの精製キシラナーゼ変異体調製物を12TXU/mlまで0.1Mクエン酸−0.2Mリン酸水素二ナトリウム(pH5.0)を使用して希釈し、そして以下のアッセイにおいて使用した。
【0198】
安定なインヒビター調製物を、実施例1に記載のプロトコールに従って作製した。この安定なインヒビター調製物を、全てのキシラナーゼ−キシラナーゼインヒビター研究のためのストックとして使用する。実施例1に記載されるインヒビター定量方法を使用して、インヒビター調製物を126XIU/mlを含むように分析した。
【0199】
(アッセイ)
250μlの希釈キシラナーゼ変異体調製物に、それぞれ0、10、25、50または100μlのインヒビター調製物を添加する。これらのインヒビターキシラナーゼ混合物に対して、0.1Mクエン酸−0.2Mリン酸水素二ナトリウム(pH5.0)を添加して、最終容量を1000μlにした。これらの反応混合物を、40℃で、5分間予めインキュベートした。この後、1個のキシラザイム錠剤(Megazyme,Ireland)を、全てのインヒビターキシラナーゼ混合物に添加した。40℃でのインキュベーションの10分後、反応を2%のTris/NaOH(pH12.0)10mlを添加して終えた。混合物を、遠心分離して、そして基質から遊離した青色を590nmで測定した。
【0200】
この結果を表10に示す。
【0201】
【表14】
Figure 0004795604
Figure 0004795604
表10の結果から、キシラナーゼ変異体D11Y、D11F、D11K、D11F/R122DおよびD11F/G34Dは、小麦内因性キシラナーゼインヒビターによって阻害されないことを見出し得る。他のキシラナーゼ変異体または他のキシラナーゼと比較してこれらのキシラナーゼ変異体が可溶性アラビノキシランに対してより攻撃的に/特異的に作用することが予測された。従って、これらは、粘度における減少(HMWアラビノキシランの機能として)が欲される適用において優れている。
【0202】
(実施例5 キシラナーゼ変異体の機能性研究)
E.coliにおいて発現されるキシラナーゼ変異体(実施例3を参照のこと)を、醗酵し、そして精製した(他のキシラン分解活性が精製された調製物に存在しなかったことを意味する)。
【0203】
これらの精製キシラナーゼ変異体調製物を、水を使用して400TXU/mLまで希釈し、そして以下のアッセイにおいて使用した。
【0204】
(アッセイ)
200mlの30%(w/w)小麦粉スラリーを、水(25℃までのサーモスタットで調温する)を使用して5分間撹拌することにより作製した。60.0mlのこの小麦粉スラリーを、Fordカップに注ぎ、そして50mlのドレナージ時間を測定する。この測定は、ブランク測定である。60.0mlの小麦粉スラリーを、注ぎ戻し、そして1000μlの希釈キシラナーゼ変異体調製物を撹拌しながら小麦粉スラリーに添加する。2、5、10および20分後、60.0mlをFordカップに注ぎ、そして50mlのドレナージ時間を記録する。各測定を3回行った。
【0205】
この結果を表11に示す。
【0206】
【表15】
Figure 0004795604
Figure 0004795604
(実施例6 Bacillus subtilisキシラナーゼAの活性部位における部位指向的変異は、キシラナーゼ:キシラナーゼインヒビター相互作用に影響を及ぼす)
Bacillus subtilis野生型キシラナーゼA酵素の活性部位における残基を、部位指向的変異によって変更した(実施例3を参照のこと)。変異残基(Y166F)において、潜在的な水素結合が欠失する。変異キシラナーゼを、E.coliにおいて発現し、醗酵し、そして精製した。この後、変異体を、キシラナーゼインヒビターとの相互作用について研究した(実施例4を参照のこと)。
【0207】
以下に示し得るように(表12)、活性部位におけるアミノ酸の交換は、驚くことに、Bacillus subtilis野生型キシラナーゼ酵素と比較して、キシラナーゼインヒビターとの相互作用に対していかなる影響も有さなかった。
【0208】
【表16】
Figure 0004795604
それ故に、要約すると、上記の実験は、Bacillus subtilisキシラナーゼAの活性部位における部位指向的変異を示し、この変異は、キシラナーゼのキシラナーゼインヒビターとの相互作用に影響を及ぼさない。
【0209】
(実施例7 Bacillus subtilisキシラナーゼA以外のファミリー11キシラナーゼにおける部位指向的変異は、キシラナーゼ−キシラナーゼインヒビター相互作用に影響を及ぼす)
Thermomyces lanuginosusキシラナーゼA酵素のD19残基を、部位指向的変異誘発によってF19に変異させた。D19は、Bacillus subtilisキシラナーゼにおけるD11残基に対応する(配列番号1)。Thermomyces lanuginosusキシラナーゼA遺伝子を、配列番号9に記載する。
【0210】
D19F変異体のPCR構築のためのプライマーは、以下であり得る:
【0211】
【表17】
Figure 0004795604
得られた変異キシラナーゼ(D19F)を、E.coliにおいて発現し、醗酵し、そして精製した。この後、変異体およびThermomyces lanuginosus野生型キシラナーゼAを、キシラナーゼインヒビターとのその相互作用について研究した(実施例4を参照のこと)。表13の結果から見られるように、Thermomyces lanuginosusキシラナーゼAのD19F変異は、Thermomyces lanuginosus野生型キシラナーゼAと比較してキシラナーゼインヒビターによって、有意に少なく阻害される。
【0212】
【表18】
Figure 0004795604
故に、要約すると、上記の実験は、Thermomyces lanuginosusキシラナーゼAにおける部位指向的変異を示す。結果は、キシラナーゼ分子の表面上でアミノ酸の置換を導入する変異(B.subtilisにおけるD11Fに対するアナログ)は、キシラナーゼ:キシラナーゼインヒビター相互作用を変化することを示す。従って、本発明者らの発明(すなわち、表面残基がキシラナーゼ阻害のレベルを制御すること)は、B.subtilisキシラナーゼに対して相同性であるキシラナーゼに有効である。
【0213】
(要旨)
要約すると、本発明は、キシラナーゼインヒビターに対するキシラナーゼ酵素の感受性を変更するための手段を提供する。
【0214】
上の明細書中に挙げた全ての刊行物は、本明細書中に参考として援用される。種々の改変ならびに本発明の記載された方法およびシステムのバリエーションは、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく当業者にとっては明らかである。本発明は、特定の好ましい実施形態に関して記載されているが、特許請求される発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際に、生化学および生物工学または関連分野の当業者に明らかな、本発明を実施するための記載された様式の種々の改変は、上記の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0215】
【表19】
Figure 0004795604
Figure 0004795604

【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、配列番号1として示されるアミノ酸配列を有するB.subtilisキシラナーゼの3−D構造を示す。BAND1は、分子の上層として図1に描かれ、そして図1に示されるように分子が配向される場合に、この分子の上から約13Å広がる。BAND1は、図1を見る場合、左側の残基Phe125で終わり、そして図1で見る場合、右側の残基Asn61で終わる。
【図2】 図2は、51個のファミリー11キシラナーゼに関するアミノ酸配列整列データを示す。
【配列表】
Figure 0004795604
Figure 0004795604

Claims (39)

  1. キシラナーゼインヒビターに対するキシラナーゼポリゼペプチドの感受性を減少するための方法であって、該方法は、
    該ポリペプチドの1以上のアミノ酸残基を改変する工程;および
    該キシラナーゼインヒビターに対する該キシラナーゼポリペプチドの感受性を測定する工程;
    を包含し、その結果、該ポリペプチドは、その親キシラナーゼ酵素と比べて、キシラナーゼインヒビターに対する減少された感受性を有するようになっており、
    該キシラナーゼは、配列番号1として示されるB.subtilisアミノ酸配列のD11Y、D11F、D11K、D11F/R122D、およびD11F/G34Dからなる群より選択されるアミノ酸改変、または他の相同なキシラナナーゼにおける等価なアミノ酸改変のうちの少なくとも1つを有する、方法。
  2. キシラナーゼインヒビターに対するキシラナーゼポリゼペプチドの感受性を減少するための方法であって、該方法は、
    該ポリペプチドの2以上のアミノ酸残基を改変する工程;および
    必要に応じて、該キシラナーゼインヒビターに対する該キシラナーゼポリペプチドの感受性を測定する工程;
    を包含し、その結果、該ポリペプチドは、その親キシラナーゼ酵素と比べて、キシラナーゼインヒビターに対する減少された感受性を有するようになっており、
    該改変は、配列番号1として示されるB.subtilisアミノ酸配列のD11F/R122DまたはD11F/G34D、または他の相同なキシラナナーゼにおける等価なアミノ酸改変のうちの2つ以上に対するものである、方法。
  3. 請求項1〜2のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記アミノ酸改変が、部位特異的変異誘発により実行される、方法。
  4. 請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記アミノ酸改変のうちの1つが、D11Fである、方法。
  5. 請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記アミノ酸改変のうちの2つが、D11FおよびR122Dである、方法。
  6. 請求項1〜のうちのいずれか1項に記載の方法であって、前記キシラナーゼがファミリー11キシラナーゼである、方法。
  7. キシラナーゼ活性を有する改変体ポリペプチドであって、
    少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、該アミノ酸改変は、配列番号1として示されるB.subtilisアミノ酸配列のD11Y、D11F、D11K、D11F/R122D、およびD11F/G34Dからなる群より選択されるアミノ酸改変、または他の相同なキシラナナーゼにおける等価なアミノ酸改変であり、その結果、該ポリペプチドは、その親キシラナーゼ酵素と比べてキシラナーゼインヒビターに対する減少された感受性を有するようになっている、改変体ポリペプチド。
  8. キシラナーゼ活性を有する改変体ポリペプチドであって、
    少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、該アミノ酸改変は、配列番号1として示されるB.subtilisアミノ酸配列のD11Y、D11F、D11K、D11F/R122D、D11F/G34Dからなる群より選択されるアミノ酸改変、または他の相同なキシラナナーゼにおける等価なアミノ酸改変であり、その結果、該ポリペプチドは、その親キシラナーゼ酵素と比べてキシラナーゼインヒビターに対する減少された感受性を有するようになっており、該アミノ酸改変は、部位特異的変異誘発により導入されている、改変体ポリペプチド。
  9. 請求項のうちのいずれか1項に記載の改変体ポリペプチドであって、前記アミノ酸改変のうちの1つが、D11Fである、改変体ポリペプチド。
  10. 請求項のうちのいずれか1項に記載の改変体ポリペプチドであって、前記アミノ酸改変のうちの2つが、D11FおよびR122Dである、改変体ポリペプチド。
  11. 請求項〜1のうちのいずれか1項に記載の改変体ポリペプチドであって、前記インヒビターが、植物組織において天然に見出されるインヒビターである、改変体ポリペプチド。
  12. 請求項〜1のうちのいずれか1項に記載の改変体ポリペプチドを含む、組成物。
  13. 植物の細胞壁を分解または改変するための方法であって、該方法は、
    該植物の細胞壁に、請求項〜1のうちのいずれか1項に記載のポリペプチドまたは請求項1に記載の組成物を接触させる工程
    を包含する、方法。
  14. 植物材料を処理するための方法であって、該方法は、
    該植物材料に、請求項〜1のうちのいずれか1項に記載のポリペプチドまたは請求項1に記載の組成物を接触させる工程
    を包含する、方法。
  15. 請求項〜1のうちのいずれか1項に記載の改変体ポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチド。
  16. 請求項1に記載のポリヌクレオチドを含む、構築物。
  17. 植物材料を改変する方法における請求項〜1のうちのいずれか1項に記載の改変体ポリペプチドの使用。
  18. 穀類加工、デンプン生産、動物飼料、木材加工、および木材パルプの漂白プロセス増強のうちの1つ以上における請求項〜1のうちのいずれか1項に記載の改変体ポリペプチドの使用。
  19. ベーカリー、動物飼料、デンプンの生産、小麦粉分別(湿式製粉)ならびに、製紙およびパルプ製造の1つ以上における請求項〜1のうちのいずれか1項に記載の改変体ポリペプチドの使用。
  20. 植物細胞壁を分解または改変するための組成物であって、請求項〜1のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは請求項1に記載の組成物を含む、組成物。
  21. 植物材料を処理するための組成物であって、請求項〜1のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは請求項1に記載の組成物を含む、組成物。
  22. 請求項〜1のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む、植物材料を改変するための組成物。
  23. 穀類加工、デンプン生産、動物飼料、木材加工、および木材パルプの漂白プロセス増強のうちの1つ以上における使用のための組成物であって、該組成物は、請求項〜1のいずれか1項に記載の改変体ポリペプチドを含む、組成物。
  24. ベーカリー、動物飼料、デンプンの生産、小麦粉分別(湿式製粉)ならびに、製紙およびパルプ製造の1つ以上における使用のための組成物であって、該組成物は、請求項〜1のいずれか1項に記載の改変体ポリペプチドを含む、組成物。
  25. キシラナーゼインヒビターに対するキシラナーゼポリペプチドの感受性を減少する方法であって、該方法は、
    該ポリペプチドの1以上のアミノ酸残基を改変する工程;および
    該キシラナーゼインヒビターに対する該キシラナーゼポリペプチドの感受性を測定する工程であって、その結果、該ポリペプチドは、親キシラナーゼ酵素と比べて、キシラナーゼインヒビターに対する減少された感受性を有するようになっている、工程
    小麦粉スラリーの粘性についての該キシラナーゼポリペプチドの効果を測定する工程であって、その結果、該ポリペプチドは、親キシラナーゼ酵素よりも小麦粉スラリーの粘性を減少させるようになっている、工程
    を包含し、
    該キシラナーゼは、配列番号1として示されるB.subtilisアミノ酸配列のD11Y、D11F、およびD11Kからなる群より選択されるアミノ酸改変、または他の相同なキシラナナーゼにおける等価なアミノ酸改変のうちの少なくとも1つを有する、方法。
  26. 前記アミノ酸改変が、部位特異的変異誘発により実行される、請求項2に記載の方法。
  27. キシラナーゼインヒビターに対するキシラナーゼポリペプチドの感受性を減少する方法であって、該方法は、
    該ポリペプチドの2以上のアミノ酸残基を改変する工程;および
    必要に応じて、該キシラナーゼインヒビターに対する該キシラナーゼポリペプチドの感受性を測定する工程であって、その結果、該ポリペプチドは、親キシラナーゼ酵素と比べて、キシラナーゼインヒビターに対する減少された感受性を有するようになっている、工程
    小麦粉スラリーの粘性についての該キシラナーゼポリペプチドの効果を測定する工程であって、その結果、該ポリペプチドは、親キシラナーゼ酵素よりも小麦粉スラリーの粘性を減少させる、工程
    を包含し、
    該改変は、配列番号1として示されるB.subtilisアミノ酸配列のD11F/R122DまたはD11F/G34D、または他の相同なキシラナナーゼにおける等価なアミノ酸改変のうちの2つ以上に対するものであり、
    該アミノ酸改変は、部位特異的変異誘発により実行される、方法。
  28. 前記アミノ酸改変のうちの1つが、D11Fである、請求項2〜2のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記アミノ酸改変のうちの2つが、D11FおよびR122Dである、請求項2〜2のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記キシラナーゼが、ファミリー11キシラナーゼである、請求項229のいずれか1項に記載の方法。
  31. 請求項2〜3のいずれか1項に記載の方法によって提供された、改変体キシラナーゼポリペプチド。
  32. 植物材料の改変法における、請求項2〜3のいずれか1項に記載の方法によって提供された改変体キシラナーゼポリペプチド、または請求項3に記載の改変体キシラナーゼポリペプチドの使用。
  33. ベーカリー、動物飼料、デンプンの生産、小麦粉分別(湿式製粉)ならびに、製紙およびパルプ製造の1つ以上における、請求項2〜3のいずれか1項に記載の方法によって提供された改変体キシラナーゼポリペプチド、または請求項3に記載の改変体キシラナーゼポリペプチドの使用。
  34. 穀類加工、デンプン生産、動物飼料、木材加工、および木材パルプの漂白プロセス増強のうちの1つ以上における、請求項2〜3のいずれか1項に記載の方法によって提供された改変体キシラナーゼポリペプチド、または請求項3に記載の改変体キシラナーゼポリペプチドの使用。
  35. 植物細胞壁物質を含む溶液または系におけるヘミセルロースまたはアラビノキシランの存在に由来する粘性を変化させるための、請求項2〜3のいずれか1項に記載の方法によって提供された改変体キシラナーゼポリペプチド、または請求項3に記載の改変体キシラナーゼポリペプチドの使用。
  36. 請求項2〜3のいずれか1項に記載の方法によって提供された改変体キシラナーゼポリペプチド、または請求項3に記載の改変体キシラナーゼポリペプチドを含む、植物材料の改変のための組成物。
  37. 請求項2〜3のいずれか1項に記載の方法によって提供された改変体キシラナーゼポリペプチド、または請求項3に記載の改変体キシラナーゼポリペプチドを含む、ベーカリー、動物飼料、デンプンの生産、小麦粉分別(湿式製粉)ならびに、製紙およびパルプ製造の1つ以上における使用のための組成物。
  38. 請求項2〜3のいずれか1項に記載の方法によって提供された改変体キシラナーゼポリペプチド、または請求項3に記載の改変体キシラナーゼポリペプチドを含む、穀類加工、デンプン生産、動物飼料、木材加工、および木材パルプの漂白プロセス増強のうちの1つ以上における使用のための組成物。
  39. 請求項2〜3のいずれか1項に記載の方法によって提供された改変体キシラナーゼポリペプチド、または請求項3に記載の改変体キシラナーゼポリペプチドを含む、植物細胞壁物質を含む溶液または系におけるヘミセルロースまたはアラビノキシランの存在に由来する粘性を変化させるための組成物。
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