JP2003525629A - キシラナーゼインヒビターに対する感受性を変化させたキシラナーゼ改変体 - Google Patents

キシラナーゼインヒビターに対する感受性を変化させたキシラナーゼ改変体

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、改変キシラナーゼポリペプチド、またはキシラナーゼ活性を有するそれらのフラグメントに関する。このポリペプチドまたはそれらの改変体は、このポリペプチドまたはそれらの改変体が、親酵素と比較してキシラナーゼインヒビターに対する変更された感受性を有するように1つ以上のアミノ酸改変を含む。本発明は、1以上のアミノ酸改変を含む改変体キシラナーゼポリペプチド、またはキシラナーゼ活性を有するそのフラグメントであって、該改変を含む結果、親キシラナーゼ酵素と比べて、キシラナーゼインヒビターに対する変更された感受性を有する、ポリペプチドまたはそのフラグメントを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、キシラナーゼインヒビターに対する変化した感受性を有する変異体
キシラナーゼ酵素に関連する。本発明はまた、植物材料の処理におけるこれらの
変異体酵素の使用に関連する。
【0002】 (発明の背景) 何年もの間、エンド−β−1,4−キシラナーゼ(EC 3.2.1.8)(
本明細書中でキシラナーゼと呼ばれる)は、植物細胞壁材料由来の複雑な炭水化
物の改変に使用されてきた。異なるキシラナーゼ(異なる微生物または植物に由
来する)の機能性が、非常に異なることが当該分野で周知である。
【0003】 キシラナーゼの機能性を特徴付ける包括的な研究が、十分に特徴付けられかつ
純粋な基質で行われている(Kormelinkら、1992)。これらの研究
は、異なるキシラナーゼが、アラビノキシラン(AX)のキシロース骨格の置換
に関連して異なる特異的な必要性を有することを示す。いくつかのキシラナーゼ
は、3つの非置換キシロース残基を必要とし、キシロース骨格に加水分解される
;その他は、1つまたは2つのみを必要とする。特異性におけるこれらの差異に
ついての理由は、触媒ドメイン内の三次元的構造に起因すると考えられ、これは
また、キシラナーゼの一次構造(すなわち、アミノ酸配列)に依存する。しかし
、キシラナーゼが、植物材料のような複雑な環境下で作用する場合に、アミノ酸
配列における差異のこれらの翻訳の差異が、キシラナーゼ機能における差異とな
ることは、今も実証されていない。
【0004】 コムギ(小麦粉)に見出されるキシラナーゼの基質は、伝統的に2つの画分に
分けられてきた:水で抽出不可能なAX(WU−AX)および水で抽出可能な:
AX(WE−AX)。小麦粉におけるWU−AX:WE−AXの比は、約70:
30である。なぜ2つの異なるAX画分が存在するかという多数の説明が存在す
る。より古い文献(D’AppoloniaおよびMacArthur(197
6)ならびにMontgomeryおよびSmith(1955))は、WE−
AXとWU−AX間の置換の程度の非常に大きな差異を記載する。最も高度な置
換は、WE−AXで見出された。このことは、AXのいくつかは抽出可能である
か否かの説明に使用された。低度の置換と比較して高度な置換は、ポリマーを可
溶性にし、このことはポリマー間の水素結合、そして引続く沈殿を引き起こす。
【0005】 異なるキシラナーゼの機能性間の差異は、キシラナーゼ特異性における差異、
およびそれによるWU−AXの基質またはWE−AXの基質についてのこれらの
嗜好に起因すると考えられてきた。
【0006】 いくつかの適用(例えば、製パン)において、WU−AX画分由来の高分子量
(HMW)可溶性ポリマーを製造することが望ましい。このようなポリマーは、
製パンにおける増量に関連している(Rouau,1993;Rouauら,1
994およびCourtinら,1999)。
【0007】 他の適用において、HMW WU−AXを改変すること、すなわち分子量をよ
り小さくすること、HMW WU−AXの親水コロイド効果を減少し、そしてそ
れによって生産物(クラッカー、小麦粉分別など)における水締めを減少するこ
とが望ましい。
【0008】 これらの異なる適用は、作業を実行するために使用されるキシラナーゼの異な
る機能性を必要とする。上記のように、機能性における差異は、キシラナーゼの
異なる基質特異性によって説明されてきた。
【0009】 (発明の要旨) 初期の研究との対比によって、発明者らはここで、他の因子が、純水で十分に
特徴付けされた基質で決定されたキシラナーゼの基質特異性よりも、キシラナー
ゼの機能性を決定するのにより重要であることを示した。本明細書中で示される
データは、内因性のキシラナーゼインヒビターが、例えば、小麦粉系において現
在使用されているキシラナーゼの機能性を決定することを示す。このことは、通
常、WU−AXを改変し、小麦粉系における増加した生地液体の粘度を提供する
キシラナーゼが、内因性キシラナーゼインヒビターが小麦粉に存在しない場合に
、異なる機能性を有することを意味する。従って、本発明者らの発見は、例えば
、部位指向性変異誘発を使用する阻害されていないキシラナーゼの設計および適
用が、種々の植物材料におけるキシラナーゼインヒビターの非存在を模倣し、完
全に新しい機能性を有する新規のキシラナーゼを与える方法であり得ることを示
す。このようなキシラナーゼは、粘性の減少が求められる適用において非常に効
果的である。阻害されていないキシラナーゼは、AXに迅速に作用し、そして内
因性のインヒビターによるよりもむしろその特異的活性によって主に影響される
。本発明者らの研究から、本発明者らは、この阻害硬化が、特異的活性よりもか
なり重要であるようだと考える。
【0010】 実際に、本発明者らの結果は、ファミリー11のキシラナーゼ間の阻害レベル
において10〜50倍の差異が存在することを初めて示す。
【0011】 さらに、我々は、植物材料に存在するキシラナーゼインヒビターに対する感受
性が減少されたキシラナーゼが生成され得ることを実証するために、部位指向性
変異誘発によって改変された一連のキシラナーゼを設計および試験することを開
始した。特に、キシラナーゼ阻害の程度に影響するファミリー11のキシラナー
ゼにおける多数の残基を同定した。
【0012】 従って、キシラナーゼインヒビターに対する減少した感受性を有し、それ故に
改変された機能性を有する改変体キシラナーゼを生成することが可能である。こ
のことは、例えば、多数の適用(例えば、動物飼料、デンプンの生産、製パン、
小麦粉分別(湿式製粉)ならびに、製紙およびパルプ製造)において要求される
キシラナーゼの量の減少を可能にする。
【0013】 従って、本発明は、1以上のアミノ酸の改変を含み、その結果、ポリペプチド
またはそのフラグメントが、親酵素と比較してキシラナーゼインヒビターへの変
化した感受性を有するキシラナーゼ活性を有する改変体キシラナーゼポリペプチ
ド、またはそのフラグメントを提供する。
【0014】 ここで、「親酵素」は、改変体キシラナーゼ酵素が、その酵素から誘導された
かまたは誘導可能なキシラナーゼ酵素である。用語「誘導可能な」に関連して、
改変体は、必ずしも親酵素由来である必要はない。代わりに、改変体は、例えば
、この改変体キシラナーゼ配列をコードするヌクレオチド配列(すなわち、ここ
でこのヌクレオチド配列は、変異されたヌクレオチド配列に類似であるが、親ヌ
クレオチド配列の変異によっては調製されない)を利用する組換えDNA技術の
使用によって調製され得る。この改変体は、親酵素を化学的に改変することによ
ってさえ調製され得る。
【0015】 いくつかの実施形態について、親酵素は、野生型酵素である。用語「野生型」
は、当業者によって当該分野で理解される用語であり、天然に存在する種のメン
バーのほとんどの特徴である表現型、および変異体の表現型との対比を含む。従
って、この状況において、野生型酵素は、関連する種のほとんどのメンバーにお
いて天然に見出される酵素の形態であり得る。一般的に、本発明の改変体ポリペ
プチドに関連する野生型酵素は、配列相同性の点で最も密接に関連した対応する
野生型酵素である。例えば、実施例に記載される特定の変異体キシラナーゼにつ
いて、対応する野生形酵素は、野生型B.subtilisキシラナーゼA、よ
り詳細にはPaiceらによって1986年に公開され、配列番号1に示される
野生型B.SubtilisキシラナーゼAである。しかし、特定の野生型配列
が、本発明の改変体ポリペプチドを産生するための基礎として使用される場合、
これはアミノ酸配列相同性の点からより密接に関連する別の野生型配列の存在に
関係なく対応する野生形配列である。
【0016】 いくつかの実施形態について、好ましくは、改変体ポリペプチドは、ファミリ
ー11キシラナーゼ由来である。
【0017】 本発明者らの驚くべき発見の1つは、本発明者らの研究において、これまでの
ところキシラナーゼ活性部位における変異は、キシラナーゼインヒビターに対す
る測定可能な阻害効果を有さないということである。このことは、活性部位の外
側に作製される変異に対して正反対にある。この変異は、以下により詳細に考察
される。
【0018】 好ましい局面において、アミノ酸の改変は、1以上の表面アミノ酸残基の改変
である。
【0019】 より好ましい局面において、アミノ酸の改変は、1以上の溶媒にアクセス可能
な残基の改変である。ここで、溶媒は、水である。
【0020】 より好ましい局面において、アミノ酸の改変は、活性部位の外側の1以上の表
面残基である。
【0021】 非常に好ましい局面において、アミノ酸の改変は、活性部位の外側の1以上の
表面残基の改変であり、この残基は、少なくとも8%は溶媒にアクセス可能な残
基である。ここで、溶媒は、水である。
【0022】 非常に好ましい局面において、アミノ酸の改変は、活性部位の外側の1以上の
表面残基の改変であり、この残基は、少なくとも10%は溶媒にアクセス可能な
残基である。ここで、溶媒は、水である。
【0023】 溶媒のアクセス可能性は、Swiss−PdbViewer(バージョン3.
5b1)を使用して決定され得、http:///www.expasy.ch
/spdbv/mainpage.html.で、インターネットを介して検索
し得る。Swiss−PdbViewerは、Glaxo Wellcome
Ecperimental Researchによって提示される。
【0024】 キシラナーゼの表面アミノ酸は、当業者によって決定される。
【0025】 例示の目的によって、キシラナーゼAについてのB.subtilisアミノ
酸配列は、配列番号1として示される。この配列に関連して、表面アミノ酸残基
は以下である:
【0026】
【化1】 示されるように、他のキシラナーゼ酵素(例えば、Thermomyces
lanuginosusキシラナーゼA)の表面アミノ酸(このコードヌクレオ
チド配列は、配列番号9として示される)は、当業者によって決定可能である。
【0027】 それ故に、いくつかの局面について、本発明は、キシラナーゼ活性を有する改
変体キシラナーゼポリペプチド、またはそのフラグメントを包含し、この改変体
キシラナーゼポリペプチドまたはフラグメントは、配列番号1に示されるB.s
ubtilisのアミノ酸配列のアミノ酸残基:
【0028】
【化2】 のいずれか1つにおいて、または他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおけ
るその/それらの等価な位置において1以上のアミノ酸の改変を含む。
【0029】 従って、1つの実施形態において、本発明は、キシラナーゼ活性を有する改変
体キシラナーゼポリペプチドまたはそのフラグメントを提供し、配列番号1とし
て示されるB.subtilisアミノ酸配列のアミノ酸残基番号:11、12
、13、15、17、29、31、32、34、113、114、119、12
0、121、122、123、124および175のいずれか1つにおいて、ま
たは他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおけるそれらの等価な位置のいず
れか1つにおいて1以上のアミノ酸改変を含む。
【0030】 1つの実施形態において、本発明は、キシラナーゼ活性を有する改変体キシラ
ナーゼポリペプチドまたはそのフラグメントを提供し、配列番号1に示されるB
.subtilisのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号11、12および13の
いずれか1つにおいて、または他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおける
これらの等価な位置において1以上のアミノ酸残基の改変を含む。
【0031】 作製される改変の特定の好ましい例は、本明細書中の実施例の節に示される。
【0032】 いくつかの実施形態において、好ましくはキシラナーゼ活性を有する改変体キ
シラナーゼポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号1として示される
B.subtilisiのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号:8、9、10、1
1、12、13、14、15、16、17、18、29、30、31、32、3
3、34、35、36、37、61、62、63、111、112、113、1
14、115、116、117、118、119、120、121、122、1
23、124、125、173、174、175、176、177、178のい
ずれか1つにおいて、または他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおけるこ
れらの等価な位置において、1以上のアミノ酸の改変を含む。
【0033】 便宜上、アミノ酸残基番号:8、9、10、11、12、13、14、15、
16、17、18、29、30、31、32、33、34、35、36、37、
61、62、63、111、112、113、114、115、116、117
、118、119、120、121、122、123、124、125、173
、174、175、176、177、178をBAND1と言及する。
【0034】 図1は、配列番号1として示されるアミノ酸配列を有するB.subtili
sキシラナーゼの3−D構造を示す。BAND1は、分子の上層として図1に描
かれ、そして図1に示されるように分子が配向される場合に、この分子の上から
約13Å広がる。BAND1は、図1を見る場合、左側の残基Phe125で終
わり、そして図1で見る場合、右側の残基Asn61で終わる。
【0035】 さらに、または代替的に、いくつかの実施形態について、好ましくはキシラナ
ーゼ活性を有する改変体キシラナーゼポリペプチドまたはそのフラグメントは、
他のアミノ酸残基のいずれか1つで1以上のアミノ酸改変を含む。
【0036】 好ましくは、上記他の改変は、配列番号1として示されるB.subtili
siのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号:3、4、5、6、7、19、20、2
1、22、23、24、25、26、27、28、38、39、40、41、4
2、43、44、45、55、56、57、58、59、60、64、65、6
6、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、7
8、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、9
0、91、92、93、94、108、109、110、126、127、12
8、129、130、131、158、159、160、161、162、16
3、164、165、166、167、168、169、170、171、17
2、179、180、181、182、183のいずれか1つにおいて、または
他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおけるこれらの等価な位置で起こり得
る。
【0037】 便宜上、しばしば、アミノ酸番号:3、4、5、6、7、19、20、21、
22、23、24、25、26、27、28、38、39、40、41、42、
43、44、45、55、56、57、58、59、60、64、65、66、
67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、
79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、
91、92、93、94、108、109、110、126、127、128、
129、130、131、158、159、160、161、162、163、
164、165、166、167、168、169、170、171、172、
179、180、181、182、183のBAND2として示されるB.su
btilisのアミノ酸配列を言及する。
【0038】 好ましくは、上記他の改変は、配列番号1として示されるB.subtili
sアミノ酸配列の表面アミノ酸残基番号:3、4、5、6、19、20、21、
22、23、25、27、43、44、56、57、58、59、60、73、
74、75、76、87、89、91、92、93、94、109、110、1
26、159、160、162、163、164、179、181、183のい
ずれか1つにおいて、または他の相同的なキシラナーゼポリペプチドにおいて、
これらの等価な位置で生じ得る。
【0039】 好ましくは、本発明は、キシラナーゼ活性を有する改変体キシラナーゼポリペ
プチド、またはそのフラグメントを包含し、キシラナーゼ活性を有する改変体キ
シラナーゼポリペプチド、またはそのフラグメントは、BAND1および必要に
応じて/またはBAND2のB.subtilisアミノ酸配列または他の相同
的なキシラナーゼポリペプチドにおけるこれらの等価な位置(バンド)で1以上
のアミノ酸改変を含む。それ故に、改変は、少なくともBAND1中に存在する
が;ただBAND2だけに存在し得る。
【0040】 改変体キシラナーゼポリペプチドは、配列番号1として示されるB.subt
ilisのアミノ酸配列の他のアミノ酸残基(例えば、アミノ酸残基:1、2、
46、47、48、49、50、51、52、53、54、95、96、97、
98、99、100、101、102、103、104、105、106、10
7、132、133、134、135、136、137、138、139、14
0、141、142、143、144、145、146、147、148、14
9、150、151、152、153、154、155、156、157、18
4、185のいずれか1つにおいて、または他の相同的なキシラナーゼポリペプ
チドにおけるこれらの等価な位置のいずれか1つでの改変)における他の改変を
含み得る。
【0041】 変異体キシラナーゼポリペプチドは、他の方面アミノ酸残基(例えば、配列番
号1として示されるB.subutilisのアミノ酸配列の表面アミノ酸残基
:1、2、46、47、48、49、50、52、54、95、97、99、1
01、102、104、133、134、135、136、137、138、1
39、140、141、143、145、147、148、151、154、1
55、156、157、185のいずれか1つにおいて、または他の相同的なキ
シラナーゼポリペプチドにおけるこれらの等価な位置のいずれか1つでの改変)
における他の改変を含み得る。
【0042】 好ましくは、インヒビターは、植物組織において天然に見出されるインヒビタ
ーである。好ましくは、インヒビターに対する改変体キシラナーゼの感受性は、
親キシラナーゼ酵素と比較して減少される。
【0043】 本発明はまた、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子(ヌクレオチド配
列)を提供する。本発明の核酸を含むベクターもまた提供され、必要に応じて、
適切な宿主細胞のこの核酸の発現を指向し得る調節配列に作動可能に連結される
。本発明の核酸またはベクターを含む宿主細胞がまた、提供される。
【0044】 別の局面において、本発明は、本発明のポリペプチドを作製する方法を提供し
、この方法は、このポリペプチドをコードする核酸で宿主細胞を形質転換する工
程、形質転換された細胞を培養する工程、およびこのポリペプチドを発現する工
程を包含する。
【0045】 発明者らの結果は、これらの改変体ポリペプチドが、改善された特性を有し、
改善された特性が、これらを種々の適用(例えば、製パン、動物飼料、デンプン
製造、小麦粉分別(湿式製粉)ならびに、製紙およびパルプ製造)に適合性にす
ることを示す。
【0046】 従って、本発明はまた、植物材料を改変する方法における本発明の改変体ポリ
ペプチドの使用を提供する。
【0047】 製パンにおける本発明の改変体ポリペプチドの使用がまた提供される。本発明
はさらに、シリアル処理、デンプン製造および動物飼料における本発明の改変体
ポリペプチドの使用、ならびに木材の処理(例えば、木製パルプのブリーチング
の増強)における本発明の改変体ポリペプチドの使用を提供する。
【0048】 さらなる局面において、本発明は、インヒビターに対するキシラナーゼポリペ
プチドの感受性を変化する方法を提供し、この方法は、配列番号1として示され
るB.subtilisキシラナーゼのアミノ酸番号付けに基づくアミノ酸番号
:11、12、13、15、17、29、31、32、34、113、114、
119、120、121、122、123、124および175から選択された
この酵素の1以上のアミノ酸残基または他の相同的なキシラナーゼポリペプチド
における等価な残基を改変する工程を包含する。
【0049】 重要なことには、本発明者らの結果はまた、キシラナーゼインヒビターが、植
物材料のような複雑な系においてキシラナーゼ酵素の機能性を決定することに重
要な役割を果たすことを初めて示す。用語「機能性」によって、本発明者らは、
所定の系におけるキシラナーゼの生化学的特性を意味する。これらの特性として
は、基質特異性、KおよびVmaxの速度論的パラメーター(適切である場合
)ならびにこの系におけるキシラナーゼの作用によって得られる反応産物の性質
が挙げられる。機能性はまた、結果として、キシラナーゼが作用する植物材料の
物理的および/または化学的性質(例えば、材料の粘性を変化する程度)への効
果に関連して記載され得る。
【0050】 同様に、改変体キシラナーゼは、種々の処理適用において使用され得、キシラ
ナーゼインヒビターは、例えば、製パン、木製パルプ処理およびシリアル処理の
ような種々の処理適用において使用され得る。
【0051】 (発明の詳細な説明) 一般的に、本明細書中で記載される分子技術は、当該分野で周知であるが、S
ambrookら、Molecular Cloning、A Laborat
ory Manual(1989)およびAusubelら、Short Pr
otocols in Molecular Biology(1999)第4
編、John WileyおよびSons,Inc.に対して参照され得る。
【0052】 (A.改変体キシラナーゼポリペプチド) キシラナーゼ酵素は、植物、真菌および細菌を含むほぼ100の異なる生物か
ら報告されている。キシラナーゼ酵素は、40を超えるグリコシルヒドロラーゼ
酵素のファミリーのうちのいくつかに分類される。グリコシルヒドロラーゼ酵素
(キシラナーゼ、マンナナーゼ、アミラーゼ、β−グルカナーゼ、セルラーゼ、
および他のカルボヒドラーゼが挙げられる)は、アミノ酸配列、三次元構造およ
び触媒部位の形態のような特性に基づいて分類される(Gilkesら、199
1、Microbiol.Reviews 55:303〜315)。
【0053】 製パン適用についての特に興味深いのは、ファミリー11に分類される酵素で
ある。これらの全ては、キシラナーゼであり、そして「ファミリー11のキシラ
ナーゼ」として公知である。いくつかの刊行物は、ファミリーGキシラナーゼと
してのこれらの同義性を言及するが、用語「ファミリー11のキシラナーゼ」は
、本明細書中では、ファミリーGキシラナーゼおよびファミリー11キシラナー
ゼの両方をいうために使用される。
【0054】 表Aは、多数の公知のファミリー11キシラナーゼを列挙する。これらのほと
んどは、約21,000Daの分子量を有する。ファミリー11のキシラナーゼ
のうち3つ(Clostridium stercorarium XynA、
Streptomyces lividans XynB、およびThermo
monospora fusca XynA)は、31,000Da〜50,0
00Daの高分子量を有する。しかし、これらのキシラナーゼは、他のファミリ
ー11のキシラナーゼ同様に約21,000Daの触媒コア配列を有する。ファ
ミリー11のキシラナーゼ(またはより大きな酵素についての触媒コア)のアミ
ノ酸配列は、高度の類似性(通常、適切なアミノ酸整列において40%を超えて
同一なアミノ酸)を示す。細菌、酵母、または真菌起源のファミリー11のキシ
ラナーゼは、同一の一般的分子構造を共有する。
【0055】 図2は、51個のファミリー11キシラナーゼに関するアミノ酸配列整列デー
タを示す。
【0056】
【表1】 (本発明の改変体キシラナーゼ) 本発明の改変体キシラナーゼポリペプチドは、代表的には、キシラナーゼポリ
ペプチドのアミノ酸配列内の1つ以上のアミノ酸残基を置換、欠失または付加す
ることによって、キシラナーゼポリペプチドを改変することによって得られる。
好ましくは、この改変は、1つ以上のアミノ酸置換を含む。ポリペプチド配列の
改変は、部位特異的変異誘発のような標準的な技術を使用して実行され得る。こ
の改変はまた、化学的技術(例えば、1つ以上のアミノ酸残基の化学的改変)に
よって発生し得る。
【0057】 開始配列は、野生型配列または天然に存在しない配列(例えば、タンパク質操
作にすでに供されている誘導体)であり得る。改変されるキシラナーゼ配列は、
任意の供給源(例えば、細菌、真菌または植物供給源)由来であり得る。好まし
くは、改変されるキシラナーゼ配列は、ファミリー11キシラナーゼのキシラナ
ーゼ配列であり、より好ましくは、Trichoderma reeseiキシ
ラナーゼI、Trichoderma reeseiキシラナーゼII、Tri
choderma harzianumキシラナーゼ、Trichoderma
virideキシラナーゼ、Bacillus circulansキシラナ
ーゼA、Bacillus subtilisキシラナーゼA、Aspergi
llus nigerキシラナーゼA、Aspergillus kawach
iiキシラナーゼC、Aspergillus tubigensisキシラナ
ーゼA、Streptomyces lividansキシラナーゼB、および
Streptomyces lividansキシラナーゼCから選択されるフ
ァミリー11キシラナーゼのキシラナーゼ配列である。
【0058】 特に好ましい実施形態において、改変されるキシラナーゼ配列は、配列番号1
に示されるB subtilisキシラナーゼ配列またはそのホモログである。
好ましくは、このホモログは、GCG Wisconsin Bestfit
package(University of Wisconsin,U.S.
A.;Devereuxら、1984、Nucleic Acids Rese
arch 12:387)を使用して決定される場合、少なくとも50または1
00アミノ酸残基に対して、少なくとも40、50、60または80%の相同性
を有する。
【0059】 本発明に従う好ましい特定の改変は、配列番号1に示されるようなB.sub
tilisキシラナーゼのアミノ酸の番号、または他の相同なキシラナナーゼポ
リペプチドにおける等価な残基に基づいて、11、12、13、15、17、2
9、31、32、34、113、114、119、120,121、122、1
23、124および175位で、1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0060】 特に好ましい置換は、
【0061】
【化3】 (B.subtilisキシラナーゼのアミノ酸配列に関して)の1つ以上また
は他の相同なキシラナーゼポリペプチドにおけるそれらの等価物を含む。配列番
号1に示されるB.subtilisキシラナーゼの特定の残基に対する更なる
参照はまた、他の相同性のキシラナーゼのポリペプチドにおけるそれらの等価物
を含む。
【0062】 変異の組み合わせ(例えば、上記の残基の2つ以上における変異)が、行なわ
れ得る。このような組み合わせの例は、本明細書中の実施例の節において示され
る。
【0063】 さらなる実施形態において、本発明の改変体ポリペプチドは、精製および単離
された天然に存在する変異キシラナーゼであり得る。あるいは、変異キシラナー
ゼは、変異原に生物体を供すること、次いで、それらのキシラナーゼ遺伝子にお
ける変異を含む個体についてスクリーニングすることによって作製され得る。天
然に存在する変異体および無作為変異誘発によって作製された変異は、キシラナ
ーゼ遺伝子の領域を増幅するための適切な核酸プライマーを使用するPCRスク
リーニングおよび得られたフラグメントの配列決定のような種々の技術を使用し
て、同定/スクリーニングされ得る。
【0064】 従って、本発明の改変体ポリペプチドは、天然に存在する変異キシラナーゼ(
それらが発生するかまたは組換え的に得られる生物体から精製および単離される
)、無作為変異誘発によって得られた変異キシラナーゼ、および部位特異的変異
誘発によって得られたキシラナーゼを含む。
【0065】 本発明の改変体ポリペプチドはまた、インヒビターに対する感受性、またはキ
シラナーゼ活性を保持する、好ましくは、改変されていない配列と少なくとも実
質的に同一のキシラナーゼ活性を有する得られたアミノ酸配列を提供する配列に
対する感受性、に必ずしも影響しない、1つ(またはそれを超える)アミノ酸形
態の任意の置換(substitution)、改変(variation)、
改変(modification)、置換(replacement)、欠失ま
たは付加を含むさらなる改変に供され得る。
【0066】 保存的な置換が、例えば、以下の表に従って作製され得る。第2列の同じブロ
ックにあり、そして、好ましくは、第3列の同じ行にあるアミノ酸は、お互いに
置換され得る:
【0067】
【表2】 本発明のポリペプチドはまた、キシラナーゼ活性を有する上記の全長配列のフ
ラグメントを含む。
【0068】 本発明のポリペプチドは、代表的には、N末端またはC末端、好ましくはN末
端において異種アミノ酸配列をさらに含み得る。異種配列は、細胞内または細胞
外タンパク質標的化に影響する配列(例えば、リーダー配列)を含み得る。
【0069】 本発明のポリペプチドは、例えば、以下に記載されるように、代表的に組換え
手段によって作製され得る。しかし、これらはまた、固相合成のような当業者に
周知の技術を使用する合成手段によって作製され得る。本発明のポリペプチドは
また、例えば、抽出および精製を補助するために、融合タンパク質として産生さ
れ得る。これはまた、融合タンパク質配列の除去を可能にするように、融合タン
パク質パートナーと目的のタンパク質配列との間にタンパク質分解切断部位(例
えば、トロンビン切断部位)を含むことは、好都合であり得る。好ましくは、融
合タンパク質は、目的のタンパク質配列の機能を妨げない。
【0070】 適切の宿主細胞の使用が、本発明の組換え発現産物に対して最適な生物学的活
性を与えるために必要とされ得るこのような転写後の改変を提供すると予想され
る。
【0071】 本発明のポリペプチドは、実質的に単離された形態で存在し得る。タンパク質
は、タンパク質の意図される目的を妨害しないキャリアまたは希釈剤と共に混合
され得、そしてなお実質的に単離されているとみなされることが理解される。本
発明のポリペプチドはまた、実質的に精製された形態であり得、この場合、調製
物中のタンパク質の90%を超えるタンパク質、例えば、95%、98%または
99%が本発明のタンパク質である調製物中に、一般にタンパク質を含む。
【0072】 本発明の改変体ポリペプチドは、親キシラナーゼ配列(これは、野生型キシラ
ナーゼに対応し得る)と比較して、キシラナーゼインヒビターに対して感受性を
変更されている。好ましくは、改変体ポリペプチドは、キシラナーゼインヒビタ
ーに対する感受性が減少している。用語「キシラナーゼインヒビターに対する変
更された感受性」は、本発明の改変体ポリペプチドのエンド−β−1,4−キシ
ラナーゼ活性が、親キシラナーゼ酵素(これは、野生型キシラナーゼに対応し得
る)のインヒビターと異なるキシラナーゼインヒビターによって阻害される程度
を意味する。好ましくは、改変体ポリペプチドがインヒビターによって阻害され
る程度は、親キシラナーゼ酵素(これは、野生型タンパク質であり得る)のイン
ヒビターより少ない。これは、例えば、改変体ポリペプチドの三次元構造におけ
る変化に起因し得、その結果、このインヒビターは、もはや、親キシラナーゼ酵
素(これは、野生型酵素であり得る)に結合するのと同じ親和性で結合しない。
【0073】 キシラナーゼインヒビターに対する本発明の改変体ポリペプチドの感受性は、
例えば、実施例4および以下に記載されるアッセイを使用してアッセイされ得る
。このアッセイにおける使用のために適切なインヒビターは、実施例1における
小麦粉から精製されたインヒビターである。他のインヒビターは、以下に記載さ
れる。
【0074】 (キシラナーゼアッセイ(エンド−β−1,4−キシラナーゼ活性)) キシラナーゼサンプルを、最終アッセイにおいて約OD=0.7を得るために
、クエン酸(0.1M)(リン酸水素二ナトリウム(0.2M)緩衝液、pH5
.0)に希釈する。サンプルの3つの希釈液および規定された活性を有する内部
標準を、40℃で5分間、サーモスタットに配置した。時間=5分で、1つのX
ylazymeタブ(架橋した染色されたキシラン基質)を、酵素溶液に添加し
た。時間=15分(または、いくつかの場合においてより長く、サンプル中に存
在するキシラナーゼ活性に依存する)で、10mlの2%TRISを添加するこ
とによって、反応を終結した。反応混合物を遠心分離し、そして、上清のODを
590nmで測定した。希釈およびキシラナーゼの量を考慮して、サンプルの活
性(TXU、総キシラナーゼユニット)は、標準に対して計算され得る。
【0075】 (キシラナーゼインヒビター) 本明細書中で使用される場合、用語「キシラナーゼインヒビター」は、その役
割が植物細胞壁で見出される複合炭水化物(例えば、アラビノキシラン(ara
binoxylan))の脱重合を制御することである、化合物、代表的には、
タンパク質をいう。これらのキシラナーゼインヒビターは、天然に存在するキシ
ラナーゼ酵素ならびに真菌または細菌起源のキシラナーゼ酵素の活性を減少させ
得る。キシラナーゼインヒビターの存在は、穀類の種子において報告されている
が(例えば、McLauchlanら、1999a;RouauおよびSuge
t 1998を参照のこと)、キシラナーゼ酵素の効果に対するそれらの影響は
、広く調査されていない。
【0076】 McLauchlanら(1999a)は、2つのファミリー−11キシラナ
ーゼに結合および阻害するコムギ由来のタンパク質の単離および特徴付けを開示
する。同様に、WO98/49278は、そのすべてがファミリー11キシラー
ゼとして分類される微生物キシラナーゼ群の活性に対する小麦粉抽出物の効果を
実証する。Debysterら(1999)はまた、Aspergillus
nigerおよびBacillus subtilis由来のエンドキシラナー
ゼ(これらは共に、ファミリー11キシラナーゼのメンバーである)は、TAX
Iと呼ばれるコムギキシラナーゼインヒビターによって阻害されることを開示す
る。McLauchlanら(1999b)は、コムギ、オオムギ、ライムギお
よびトウモロコシのような商業的粉末由来の抽出物は、ファミリー10およびフ
ァミリー11キシラナーゼの両方を阻害し得る。
【0077】 キシラナーゼインヒビターは、任意の適切なキシラナーゼインヒビターであり
得る。例としては、キシラナーゼインヒビターは、WO−A−98/49278
に記載されるようなインヒビターおよび/またはRouau,X.およびSur
get,A.(1998)、McLauchlan,R.,ら(1999)によ
って記載されるようなキシラナーゼインヒビターおよび/または英国特許出願番
号9828599.2(1998年12月23日出願)、英国特許出願番号99
07805.7(1999年4月6日出願)および英国特許出願番号99086
45.6(1999年4月15日出願)に記載されるキシラナーゼインヒビター
であり得る。
【0078】 (キシラナーゼインヒビターアッセイ) 100μlの候補インヒビター画分、250μlのキシラナーゼ溶液(12T
XU微生物キシラナーゼ/mlを含む)および650μlの緩衝液(0.1Mク
エン酸−0.2M リン酸水素二ナトリウム緩衝液、pH5)を混合する。この
混合物を40.0℃で5分間サーモスタットに配置した。時間=5分において、
1つのXylazymeタブを添加した。時間=15分において、10mlの2
%TRISを添加することによって、反応を終結した。反応混合物を遠心分離し
(3500g、10分間、室温)そして、上清を590nmで測定した。阻害を
、ブランクに対する残渣の活性として計算する。ブランクは、100μlのイン
ヒビターを100μlの緩衝液(0.1Mクエン酸−0.2Mリン酸水素二ナト
リウム緩衝液、pH5.0)で置換することを除いて、同様に調製した。
【0079】 (特異的なキシラナーゼインヒビター) 示されるように、本発明に従って使用され得るキシラナーゼインヒビターは、
英国特許出願番号9828599.2(1998年12月23日出願)、英国特
許出願番号9907805.7(1999年4月6日出願)および英国特許出願
番号9908645.6(1999年4月15日出願)において記載されるキシ
ラナーゼインヒビターである。
【0080】 この内因性エンド−β−1,4−キシラナーゼインヒビターは、コムギ粉から
得られる。このインヒビターは、ジペプチドであり、約40kDaのMW(SD
S−PAGEまたは質量スペクトルによって測定されるように)および約8〜約
9.5のpIを有する。
【0081】 現在までの配列分析は、インヒビターが、配列番号2、配列番号3、配列番号
4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および/または配列番号8として示さ
れる配列の少なくとも1つ以上を有することを開示した。
【0082】 先行技術において記載されるこれらのインヒビターはまた、アッセイにおいて
使用され得、キシラナーゼインヒビターに対する本発明の改変体ポリペプチドの
感受性を決定する。これらをまた以下のように使用して、キシラナーゼの機能性
を調節し得る。
【0083】 (ポリヌクレオチド) 本発明のポリヌクレオチドは、本発明の改変体ポリペプチド配列をコードする
核酸配列を含む。多数の異なるポリヌクレオチドが、遺伝子コードの同義性の結
果として同じポリペプチドをコードし得ることが当業者によって理解される。さ
らに、当業者は、慣用技術を使用して、本発明のポリペプチドが発現される任意
の特定の宿主生物体のコドン使用を反映するために、本発明のポリヌクレオチド
によってコードされるポリペプチド配列に影響しないヌクレオチド置換を作製し
得ることが理解される。
【0084】 本発明のポリヌクレオチドは、DNAまたはRNAを含み得る。これらは、一
本鎖または二本鎖であり得る。これらはまた、それらの中に、合成ヌクレオチド
または改変ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチ
ドに対する多数の異なる型の改変は、当該分野で公知である。これらは、メチル
ホスホネート骨格およびホスホロチオネート骨格、分子の3’および/または5
’末端におけるアクリジン鎖またはポリリジン鎖の付加を含む。本発明の目的の
ために、本明細書中に記載されるポリヌクレオチドが、当該分野で利用可能な任
意の方法によって改変され得ることが理解される。このような改変は、本発明の
ポリヌクレオチドのインビトロ活性または寿命の長さを強化するために、実行さ
れ得る。
【0085】 (ヌクレオチドベクターおよび宿主細胞) 本発明のポリヌクレオチドは、複製可能な組換えベクター中に取り込まれ得る
。このベクターを使用して、適合性の宿主細胞において核酸を複製し得る。従っ
て、さらなる実施形態において、本発明は、複製可能なベクターに本発明のポリ
ヌクレオチドを導入することによって、適合性宿主細胞にベクターを導入するこ
とによって、およびベクターの複製をもたらす条件下で宿主細胞を増殖すること
によって、本発明のポリヌクレオチドを作製する方法を提供する。このベクター
は、宿主細胞から回収され得る。適切な宿主細胞としては、E.coliのよう
な細菌、酵母および真菌が挙げられる。
【0086】 好ましくは、ベクター中の本発明のポリヌクレオチドは、宿主細胞によってコ
ード配列の発現を提供し得る調節配列に作動可能に連結されている(すなわち、
このベクターは、発現ベクターである)。用語「作動可能に連結された」は、記
載される成分が、それらの意図する様式で、それらが機能することを可能にする
関係にある近位をいう。コード配列に「作動可能に連結された」調節配列は、コ
ード配列の発現がコントロール配列と適合性の条件下で達成される様式で、連結
されている。用語「調節配列」は、プロモーターおよびエンハンサーならびに他
の発現調節シグナルを含む。
【0087】 本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの強化された発現はまた
、異種調節領域(例えば、プロモーター、分泌リーダーおよびターミネーター領
域)の選択によって達成され得、これらは、発現、および所望であれば、選択さ
れた発現宿主由来の目的のタンパク質の分泌レベルを増加するために、そして/
または本発明のポリペプチドの発現の誘導性制御を提供するために役立つ。
【0088】 本発明のポリペプチドをコードする遺伝子に対してネイティブなプロモーター
とは別に、他のプロモーターを使用して、本発明のポリペプチドの発現を指向し
得る。このプロモーターは、所望の発現宿主における本発明のポリペプチドの発
現を指向する際のその効率について選択され得る。
【0089】 別の実施形態において、構成的プロモーターが選択され、本発明の所望のポリ
ペプチドの発現を指向し得る。真菌発現宿主における使用に好ましい強力な構成
性および/または誘導性プロモーターの例は、キシラナーゼ(xlnA)、フィ
ターゼ(phytase)、ATPシンセターゼ、サブユニット9(oliC)
、リン酸トリオースイソメラーゼ(tpi)、アルコールデヒドロゲナーゼ(A
dlA)、α−アミラーゼ(amy)、アミノグルコシダーゼ(AG−glaA
遺伝子由来)、アセトアミダーゼ(amdS)およびグリセルアルデヒド−3−
リン酸デヒドロゲナーゼ(gpd)プロモーターの真菌遺伝子から得られるプロ
モーターである。
【0090】 強力な酵母プロモーターの例は、アルコールデヒドロゲナーゼ、ラクターゼ、
3−ホスホグリセリン酸キナーゼおよびトリオースリン酸イソメラーゼの遺伝子
から得られるプロモーターである。
【0091】 強力な細菌プロモーターの例は、α−アミラーゼおよびSP02プロモーター
ならびに細胞外プロテアーゼ遺伝子由来のプロモーターである。
【0092】 ハイブリッドプロモーターをまた使用して、発現構築物の誘導性調節を改善し
得る。
【0093】 しばしば、本発明のポリペプチドが、発現宿主から、本発明のポリペプチドが
より簡単に回収され得る培養培地に、分泌されることは望ましい。本発明に従っ
て、本発明のネイティブな分泌リーダー配列のポリペプチドは、本発明の発現さ
れたポリペプチドの分泌に影響するように使用され得る。しかし、本発明のポリ
ペプチドの発現における増加は、時々、発現宿主がプロセシングおよび分泌可能
であるレベルを超えるタンパク質の産生を生じ、タンパク質産物が細胞内に蓄積
するようにボトルネックを作製する。従って、本発明はまた、選択された発現宿
主からの本発明のポリペプチドの最も効率的な分泌を提供する異種リーダー配列
を提供する。
【0094】 本発明に従って、分泌リーダーは、所望の発現宿主に基づいて選択され得る。
発現構築物の他の調節領域に相同である異種分泌リーダーが、選択され得る。例
えば、高度に分泌されたアミログルコシダーゼ(AG)タンパク質のリーダーは
、アミログルコシダーゼ(AG)プロモーター自身と組み合わせて、ならびに他
のプロモーターと組み合わせて使用され得る。ハイブリッドシグナル配列もまた
、本発明の状況で使用され得る。
【0095】 好ましい異種分泌リーダー配列の例は、真菌のアミログルコシダーゼ(AG)
遺伝子(glaA−18アミノ酸および24アミノ酸の両方のバージョン(例え
ば、Aspergillus由来))、α因子遺伝子(酵母(例えば、Sacc
haromycesおよびKluyveromyces))またはα−アミラー
ゼ遺伝子(Bacillus)起源のリーダー配列である。
【0096】 このようなベクターは、本発明のポリペプチドの発現を提供する上記のような
適切な宿主細胞に形質転換され得る。従って、さらなる局面において、本発明は
、本発明に従うポリペプチドを調製するプロセスを提供し、このプロセスは、ポ
リペプチドをコードするコード配列のベクターによる発現を提供する条件下で、
上記のような発現ベクターを用いて形質転換またはトランスフェクトした宿主細
胞を培養する工程、および発現されたポリペプチドを回収する工程を包含する。
適切な宿主細胞としては、例えば、真菌細胞(例えば、Aspergillus
)および酵母細胞(例えば、KluyveromycesまたはSacchar
ocyces属の酵母細胞)が挙げられる。他の適切な宿主細胞は、以下に考察
される。
【0097】 ベクターは、例えば、複製の起点、必要に応じて、このポリヌクレオチドの発
現のためのプロモーター、および必要に応じてプロモーターのレギュレーターが
提供される、プラスミド、ウイルスまたはファージベクターであり得る。このベ
クターは、1つ以上の選択マーカー遺伝子を含み得る。工業的微生物についての
最も適切な選択系は、宿主生物体において変異を必要としない選択マーカー群に
よって形成される選択系である。真菌選択マーカーの例は、アセトアミダーゼ(
amdS)、ATPシンセターゼ、サブユニット9(oliC)、オロチジン−
5’−リン酸−デカルボキシラーゼ(pvrA)、フレオマイシンおよびベノミ
ル耐性(bebA)についての遺伝子である。非真菌選択マーカーの例は、細菌
G418耐性遺伝子(これは、真菌ではなく、酵母において使用され得る)、ア
ンピシリン耐性遺伝子(E.coli)、ネオマイシン耐性遺伝子(Bacil
lus)およびE.coli uidA遺伝子(β−グルコロニダーゼ(GUS
)をコードする)である。ベクターは、例えば、RNAの生成のためにインビト
ロで使用され得るか、または宿主細胞をトランスフェクトまたは形質転換するた
めに使用され得る。
【0098】 本発明のさらなる実施形態は、本発明のポリヌクレオチドで形質転換またはト
ランスフェクトされた宿主細胞を提供する。好ましくは、このポリヌクレオチド
は、このポリヌクレオチドの複製および発現のためのベクター中に保有される。
この細胞は、このベクターと適合性であるように選択され、そして、原核生物細
胞(例えば、細菌細胞)、真菌細胞、酵母細胞または植物細胞であり得る。
【0099】 Bacillus属由来の細菌は、タンパク質を培養培地中に分泌するそれら
の能力が理由で、異種宿主として非常に安定である。宿主として安定な他の細菌
は、Streptomyces属およびPseudomonas属由来の細菌で
ある。
【0100】 本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの性質に依存して、およ
び/または発現されたタンパク質のさらなるプロセシングの望ましさに依存して
、酵母または真菌類のような真核生物宿主が、好ましくあり得る。一般に、酵母
細胞は、操作が容易であるという理由で、真菌細胞よりも好ましい。しかし、い
くつかのタンパク質は、酵母細胞からほとんど分泌されないか、またはいくつか
の場合は、適切にプロセスされない(例えば、酵母における過剰グリコシル化(
hyperglycosylation))かのいずれかである。これらの場合
、真菌宿主生物が選択されるべきである。
【0101】 本発明のポリペプチドが、実質的に他のキシラナーゼを含まない形態で産生さ
れる異種宿主がまた、選択され得る。このことは、通常このような酵素を産生し
ない宿主を選択することにより、達成され得る。
【0102】 本発明の範囲内の好ましい発現宿主の例は、Aspergillus種および
Trichoderma種のような真菌類;Bacillus種、Strept
omyces種、およびPseudomonas種のような細菌;およびKlu
yveromyces種およびSaccharomyces種のような酵母であ
る。
【0103】 特に好ましい発現宿主は、Aspergillus niger、Asper
gillus niger var.tubigenis、Aspergill
us niger var.awamori、Aspergillus acu
leatis、Aspergillus nidulans、Aspergil
lus oryzae、Trichoderma reesei、Bacill
us subtilis、Bacillus licheniformis、B
acillus amyloliquefaciens、Kluyveromy
ces lactis and Saccharomyces cerevis
iaeから選択され得る。
【0104】 本発明に従って、本発明のポリペプチドの産生は、1つ以上の本発明のポリヌ
クレオチドを用いて従来の栄養発酵培地中で形質転換された微生物発現宿主の培
養によりもたらされ得る。
【0105】 発酵培地は、炭素源(例えば、グルコース、マルトース、糖密等)、窒素源(
例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム等)、有機窒
素源(例えば、酵母抽出物、麦芽抽出物、ペプトン等)、および無機栄養源(例
えば、リン、マグネシウム、カリウム、亜鉛、鉄等)を含む公知の培養培地を含
み得る。必要に応じて、インデューサーが添加され得る。
【0106】 適切な培地の選択は、発現宿主の選択および/または発現構築物の調節要求に
準拠し得る。このような培地は、当業者に周知である。所望の場合、培地は、他
の潜在的に混入している微生物よりも形質転換された発現宿主に有利なさらなる
成分を含む。
【0107】 発酵後、細胞は、遠心分離または濾過により発酵ブロスから除去され得る。次
いで細胞を除去した後に、本発明の改変ポリペプチドが回収され得、そして所望
の場合は、従来の手段により精製および単離され得る。
【0108】 (生物体) 本発明に関して、用語「生物体」は、本発明に基づく改変キシラナーゼタンパ
ク質をコードするヌクレオチド配列および/またはそれらから獲得される生成物
を含み得る任意の生物体を含む(ここで、転写調節配列が、その生物体中に存在
する場合、本発明に基づくヌクレオチド配列の発現を可能にし得る)。適切な生
物体として、原核生物、真菌類、酵母、または植物が挙げられ得る。本発明のキ
シラナーゼの局面のために好ましい生物体は、細菌、好ましくはBacillu
s属、より好ましくはBacillus subtilisであり得る。
【0109】 本発明に関して、用語「トランスジェニック生物体」は、本発明に基づくタン
パク質をコードするヌクレオチド配列および/またはそれらから獲得される生成
物を含む任意の生物体を含む(ここで、転写調節配列が、この生物体中での本発
明に基づくヌクレオチド配列の発現を可能にし得る)。好ましくは、このヌクレ
オチド配列は、この生物体のゲノム中に組み込まれる。
【0110】 用語「トランスジェニック生物体」は、天然の環境にあるネイティブのヌクレ
オチドコード配列が、ネイティブのプロモーター(このプロモーターもまた、ネ
イティブの環境にある)の制御下にある場合、それらを含まない。
【0111】 従って、本発明のトランスジェニック生物体は、本発明に基づくアミノ酸配列
をコードするヌクレオチド配列、本発明に基づく構築物(それらの組合せを含む
)、本発明に基づくベクター、本発明に基づくプラスミド、本発明に基づく細胞
、本発明に基づく組織、またはそれらの産物のいずれか1つかまたはその組合せ
を含む生物体を含む。形質転換された細胞または生物体は、その細胞または生物
体から容易に回収される、受容可能な量の所望の化合物を調製し得る。
【0112】 (宿主細胞/宿主生物体の形質転換) 先に示したように、宿主生物体は、原核生物体または真核生物体であり得る。
適切な原核生物宿主の例として、E.coliおよびBacillus sub
tilisが挙げられる。原核生物宿主の形質転換に関する教示は、当該分野で
十分に文書化されている。例えば、Sambrookら(Molecular
Cloning:A Laboratory Manual、第2版、1989
、Cold Spring Harbor Laboratory Press
)およびAusubelら、Molecular Biology(1999)
、第4版、John Wiley & Sons,Inc.のShort Pr
otocolsを参照のこと。
【0113】 原核生物宿主が用いられる場合、ヌクレオチド配列は、形質転換前に(例えば
、イントロンの除去により)適切に改変される必要があり得る。
【0114】 上記のように、好ましい宿主生物体は、Bacillus属の生物体(例えば
、Bacillus subtilis)である。
【0115】 別の実施形態において、トランスジェニック生物体は、酵母であり得る。これ
に関して、酵母はまた、異種遺伝子発現のためのビヒクルとしても、広く用いら
れている。Saccharomyces cerevisiae種は、異種遺伝
子発現のための使用を含む工業使用の長い歴史を持つ。Saccharomyc
es cerevisiaeにおける異種遺伝子の発現は、Goodeyら(1
987、Yeast Biotechnology、D R Berryら編、
401〜429頁、Allen and Unwin、London)およびK
ingら(1989、Molecular and Cell Biology
of Yeasts、E F WaltonおよびG T Yarronto
n編、107〜133頁、Blackie、Glasgow)により総説されて
いる。
【0116】 いくつかの理由で、Saccharomyces cerevisiaeは、
異種遺伝子発現に十分適している。第1に、Saccharomyces ce
revisiaeはヒトに対して非病原性であり、そして特定の内毒素を産生し
得ない。第2に、Saccharomyces cerevisiaeは、種々
の目的の商業的な開発の数世紀に渡る安全な使用の長い歴史を持つ。このことは
、幅広い公衆の容認の要因となっている。第3に、この生物体に注がれた広範な
商業利用および研究は、Saccharomyces cerevisiaeの
遺伝学および生理学ならびに大量の発酵特性についての豊富な知識を導いた。
【0117】 Saccharomyces cerevisiaeにおける異種遺伝子発現
および遺伝子産物の分泌の原理の総説は、E Hinchcliffe E K
enny(1993、「Yeast as a vehicle for th
e expression of heterologous genes」、
Yeasts、第5巻、Anthony H RoseおよびJ Stuart
Harrison編、第2版、Academic Press Ltd.)に
より与えられる。
【0118】 いくつかの型の酵母ベクターが利用可能であり、維持のために宿主ゲノムとの
組換えを必要とする組込みベクター、および自律的に複製するプラスミドベクタ
ーが挙げられる。
【0119】 トランスジェニックSaccharomycesを調製するために、酵母にお
ける発現のために設計された構築物に本発明のヌクレオチド配列を挿入すること
により、発現構築物が調製される。異種発現に用いられるいくつかの型の構築物
が、開発されている。この構築物は、本発明のヌクレオチド配列に融合された、
酵母において活性なプロモーターを含み、通常は酵母起源のプロモーター(例え
ば、GAL1プロモーター)を用いる。通常、酵母起源のシグナル配列(例えば
、SUC2シグナルペプチドをコードする配列)が用いられる。酵母において活
性な終結因子は、発現系を終了させる。
【0120】 酵母の形質転換のために、いくつかの形質転換プロトコールが、開発されてき
た。例えば、本発明に基づくトランスジェニックSaccharomycesは
、Hinnenら(1978、Proceedings of the Nat
ional Academy of Sciences of the USA
75、1929);Beggs,JD(1978、Nature、Londo
n、275、104);およびIto,Hら(1983、J Bacterio
logy 153、163〜168)の教示に従うことにより調製され得る。
【0121】 形質転換された酵母細胞は、種々の選択マーカーを用いて選択される。形質転
換に用いられるマーカーの間には、多くの栄養要求性マーカー(例えば、LEU
2、HIS4、およびTRP1)および優性な抗生物質耐性マーカー(例えば、
アミノグリコシド抗生物質マーカー(例えば、G418))がある。
【0122】 別の宿主生物体は、植物である。遺伝的に改変された植物の構築における基礎
的な原理は、植物ゲノムに遺伝的情報を挿入し、その挿入された遺伝的物質の安
定な維持を獲得することである。
【0123】 本発明のトランスジェニック植物は、種を持つ植物(被子植物)および針葉樹
のような任意の植物から生成され得る。被子植物は、双子葉植物および単子葉植
物を含む。双子葉植物の例として、タバコ(Nicotiana plumba
ginifoliaおよびNicotiana tabacum)、シロイヌナ
ズナ(Arabidopsis thaliana)、Brassica na
pus、Brassica nigra、Datura innoxia、Vi
cia narbonensis、Vicia faba、エンドウマメ(Pi
sum sativum)、カリフラワー、カーネーションおよびヒラマメ(L
ens culinaris)が挙げられる。単子葉植物の例として、コムギ、
オオムギ、カラスムギ、およびトウモロコシのような穀物が挙げられる。
【0124】 トランスジェニック植物を生成するための技術は当該分野で周知である。代表
的に、植物全体、細胞、またはプロトプラストのいずれかが、ジンクフィンガー
分子または標的DNAをコードする適切な核酸構築物を用いて形質転換され得る
(例えば、上記の核酸構築物を参照のこと)。形質転換DNA構築物を細胞に導
入するための多くの方法が存在するが、植物細胞へのDNAの送達に関して、全
てが適切であるとは限らない。適切な方法として、Agrobacterium
感染(特に、Turpenら、1993、J.Virol.Methods、4
2:227−239を参照のこと)、または、例えば、PEG媒介性の形質転換
、エレクトロポレーション、もしくはDNAでコーティングされた粒子の加速に
よるようなDNAの直接送達が挙げられる。一般に、加速法が好ましく、例えば
、微粒子銃(microprojectile bombardment)が挙
げられる。米国特許第5,874,265号から抜粋された(特定の単子葉類に
おける)トランスジェニック植物を生成するための代表的なプロトコールは、以
下に記載される。
【0125】 形質転換DNAセグメントを植物細胞に送達するための方法の例は、微粒子銃
である。この方法において、非生物学的粒子が、核酸でコーティングされ得、そ
して推進力により細胞中に送達され得る。典型的な粒子として、タングステン、
金、白金などを含む微粒子が挙げられる。
【0126】 微粒子銃の特定の利点は、双子葉類と単子葉類の両方を再現性の面で安定に形
質転換する有効な手段であることに加えて、プロトプラストの単離もAgrob
acterium感染に対する感受性も要求されないことである。加速により植
物細胞中にDNAを送達するための方法の例示的な実施形態は、バイオリスティ
ックス(Biolistics)微粒子送達システムであり、これは、DNAで
コーティングされた粒子をスクリーン(ステンレス鋼またはNytexスクリー
ン)を通して、懸濁液中で培養された植物細胞で覆われたフィルター表面へ推進
するために用いられ得る。このスクリーンは、タングステン−DNA微粒子を分
散させ、その結果、多くが凝集してレシピエント細胞に送達されない。射出装置
と照射される細胞との間に介在するスクリーンがなければ、この射出は凝集し、
そして高頻度の形質転換を達成するには多すぎると考えられている。これは、多
すぎる射出により受容細胞に与えられる損傷に起因し得る。
【0127】 照射について、懸濁液中の細胞は、好ましくはフィルター上に濃縮される。照
射される細胞を含むフィルターは、マクロ射出停止プレートの下の適切な距離に
配置される。所望の場合、1つ以上のスクリーンもまた、銃と照射される細胞と
の間に配置される。本明細書に記載される技術の使用を通じて、照射されたフィ
ルター上でマーカー遺伝子(「病巣」)を一時的に発現する1000個まで、ま
たはそれ以上の細胞のクラスターを獲得し得る。照射後48時間で異種遺伝子産
物を発現する病巣中の細胞数は、しばしば1〜10の範囲、および平均2〜3の
範囲である。
【0128】 上記のいずれかの方法によりレシピエント細胞への異種DNAの送達をもたら
した後、好ましい工程は、さらなる培養および植物再生のために形質転換された
細胞を同定することである。この工程は、スクリーニング可能な特性に関して培
養物を直接的にアッセイする工程、または照射された培養物を1つかまたは複数
の選択因子に曝すことによる工程を包含し得る。
【0129】 スクリーニング可能なマーカー特性の例は、トウモロコシにおいてR座の制御
下で産生される赤色色素である。この色素は、この段階での増殖を支持し得る栄
養培地を含む固体支持体上で細胞を培養し、例えば18℃にて、180μEm −1より上で細胞をインキュベートし、そして着色されているコロニー(細
胞の目で見える凝集体)から細胞を選択することにより検出され得る。これらの
細胞は、懸濁液中かまたは固体培地上のいずれかでさらに培養され得る。
【0130】 形質転換された細胞を同定するための方法の典型的な実施形態は、照射された
培養物を選択因子(例えば、代謝インヒビター、抗生物質、除草剤など)に曝す
工程を包含する。形質転換され、そして用いられる選択因子に対する耐性を与え
るマーカー遺伝子を安定に組み込まれた細胞は、培養物中で増殖し、分裂する。
感受性の細胞は、さらなる培養に受け入れられない。
【0131】 バー−ビアラホス(bialaphos)選択系を使用するために、フィルタ
ー上で照射された細胞は、非選択的液体培地に再懸濁され、培養され(例えば、
1〜2週間)、そして1〜3mg/lのビアラホスを含む固体培地に被さってい
るフィルターに転写される。代表的に1〜3mg/lの範囲が好ましいが、本発
明の実施において0.1〜50mg/lの範囲が有用性を見出すと提案される。
照射における使用のためのフィルターの型は、特に重要であると考えられておら
ず、任意の固体状の、多孔性の、不活性な支持体を含み得る。
【0132】 選択因子への曝露で生存する細胞は、植物の再生を補助する培地中で培養され
得る。約2〜4週間、ホルモンを含む基礎培地で組織が維持され、次いでホルモ
ンを含まない培地に移動させる。2〜4週間後、苗条の発達が、別の培地へ移す
機会を合図する。
【0133】 代表的に再生は、その組成が、形質転換されたカルスからより成熟した植物へ
の連続的な発達段階の間に適切な栄養分およびホルモン性シグナルを提供するよ
う改変された培地の進歩を必要とする。発達中の植物は、土壌に移され、そして
例えば、約85%の相対湿度、600ppmのCO、および250μEm−2−1の光にて環境的に制御されたチャンバにおいて、鍛えられる。好ましくは
植物は、生長チャンバかまたは温室かのいずれかにおいて成熟させられる。代表
的に再生には、約3〜12週かかる。再生中、細胞は、組織培養容器中にて固体
培地で増殖させられる。このような容器の例示的な実施形態は、ペトリ皿である
。好ましくは再生中の植物は、約19℃〜28℃で生長させられる。再生中の植
物が、苗条および根の発達段階に達した後、それらを、さらなる生長および試験
のために温室に移し得る。
【0134】 ゲノムDNAをカルス細胞株および植物から単離し、当業者に周知の技術(例
えば、PCRおよび/またはサザンブロット)の使用を通して、異種遺伝子の存
在を決定し得る。
【0135】 遺伝情報を挿入するためのいくつかの技術が存在し、2つの主要な原理は、遺
伝情報の直接的な導入およびベクターシステムの使用による遺伝情報の導入であ
る。一般的な技術の概説は、Potrykus(Annu Rev Plant
Physiol Plant Mol Biol[1991]42:205−
225)およびChristou(Agro−Food−Industry H
i−Tech March/April 1994 17−27)による論文中
に見出され得る。
【0136】 従って、1つの局面において、本発明は、本発明に基づく改変キシラナーゼポ
リペプチドをコードする構築物を保有し、そしてその構築物を植物のゲノムへ導
入し得るベクターシステムに関する。
【0137】 ベクターシステムは、1つのベクターを含み得るが、少なくとも2つのベクタ
ーを含むことが可能である。2つのベクターの場合において、ベクターシステム
は、通常バイナリーベクターシステムと呼ばれる。バイナリーベクターシステム
は、Gynheung Anら(1980)、Binary Vectors、
Plant Molecular Biology Manual A3、1−
19においてより詳細に記載される。
【0138】 所定のプロモーターまたはヌクレオチド配列もしくは構築物を用いた植物細胞
の形質転換のための、1つの広範に用いられるシステムは、Agrobacte
rium tumefaciens由来のTiプラスミドまたはAgrobac
terium rhizogenes由来のRiプラスミドの使用に基づく(A
nら(1986)、Plant Physiol.81、301−305および
Butcher D.N.ら(1980),Tissue Culture M
ethods for Plant Pathologists、D.S.In
gramsおよびJ.P.Helgeson編、203−208)。
【0139】 上記の植物または植物細胞構築物の構築に適切な、いくつかの異なるTiおよ
びRiプラスミドが構築されている。
【0140】 (B.用途) 一般的な意味で、本発明の改変キシラナーゼは、植物細胞壁物質を含む溶液ま
たは系におけるヘミセルロースまたはアラビノキシランの存在に由来する粘性を
変化(例えば減少)させるために用いられ得る。代表的に上記の植物細胞壁物質
は、1つ以上のキシラナーゼインヒビターを含む。
【0141】 詳細には、本発明の改変キシラナーゼは、食料品(例えば、動物飼料)として
の使用のための植物物質の加工において、デンプン生産において、紙を作製する
ための木材パルプのベーキングおよび加工において使用され得る。
【0142】 (食料品の調製) 本発明の改変キシラナーゼは、動物飼料を含む食料品において使用されるシリ
アルのような植物物質を処理するために用いられ得る。本明細書中で使用する場
合、用語「シリアル」は、食品として使用される任意の種類の穀物および/また
はこの穀物を産生する任意の草(例えば、コムギ、製粉されたコムギ、オオムギ
、トウモロコシ、サトウモロコシ、ライムギ、カラスムギ、ライコムギ、および
コメまたはそれらの組合せのいずれか1つ(しかし、これらに限定されない))
を意味する。1つの好ましい実施形態において、このシリアルは、コムギシリア
ルである。
【0143】 食品および/または飼料サプリメント中のキシレンは、このキシレンと本発明
の改変キシラナーゼを接触させることにより改変される。
【0144】 本明細書中で使用する場合、用語「接触する」は、本発明の改変キシラナーゼ
酵素食品および/または飼料サプリメントに散布すること、コーティングするこ
と、浸漬させること、または層状に重ねることを含むがこれらに限定されない。
【0145】 1つの実施形態において、本発明の食品および/または飼料サプリメントは、
食品および/または飼料サプリメントと改変キシラナーゼ酵素を直接的に混合す
ることにより調製され得る。例示目的で、改変キシラナーゼ酵素は、シリアルベ
ースの食品および/または飼料サプリメント(例えば、製粉されたコムギ、トウ
モロコシ、またはダイズ紛)上で(例えば、散布することにより)接触させられ
得る。
【0146】 改変キシラーゼ酵素が第2の(そして異なる)食品および/または飼料もしく
は飲料水に組み込まれ、次いでこれが本発明の食品および/または飼料サプリメ
ントに添加されることもまた可能である。従って、このような組み込みは、本発
明の特定の好ましい局面を形成するが、本発明により提供される改変キシラーゼ
が、シリアルベースの食品および/または飼料サプリメント自体に組み込まれる
ことは必須ではない。
【0147】 本発明の1つの実施形態において、食品および/または飼料サプリメントは、
他の食品および/または飼料成分と組み合わされて、シリアルベースの食品およ
び/または飼料を生成し得る。このような他の食品および/または飼料成分とし
て、1つ以上の他の(好ましくは熱安定性の)酵素サプリメント、ビタミン食品
および/または飼料サプリメント、ミネラル食品および/または飼料サプリメン
ト、およびアミノ酸食品および/または飼料サプリメントが挙げられ得る。次い
で、おそらくいくつかの異なる型の化合物を含む、得られる(組み合わされた)
食品および/または飼料サプリメントは、適切な量で、他の食品および/または
飼料成分(例えば、シリアルおよびタンパク質サプリメント)と混合され、ヒト
食品および/または動物飼料を形成し得る。
【0148】 1つの好ましい実施形態において、本発明の食品および/または飼料サプリメ
ントは、適切な活性を有する異なる酵素を混合して酵素混合物を生成することに
より、調製され得る。例示目的で、例えば、製粉されたコムギまたはトウモロコ
シから形成されたシリアルベースの食品および/または飼料サプリメントは、(
例えば、散布することにより)同時にかまたは連続的にかのいずれかで、キシラ
ナーゼ酵素および適切な活性を有する他の酵素と接触され得る。これらの酵素と
して、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、マンナナーゼ、ガラクトシダーゼ、フィ
ターゼ、リパーゼ、グルカナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、ペクチナーゼ、プ
ロテアーゼ、グルコースオキシダーゼ、ヘキソースオキシダーゼ、およびキシラ
ナーゼのいずれか1つ以上が挙げられ得るがこれらに限定されない。所望の活性
を有する酵素は、例えば、これらの酵素とシリアルベースの食品および/または
飼料サプリメントとを接触させる前に本発明のキシラナーゼと混合され得るか、
あるいは、このような酵素は、このようなシリアルベースのサプリメントに同時
かまたは連続的に接触され得るかのいずれかである。次いで食品および/または
飼料サプリメントは、順にシリアルベースの食品および/または飼料と混合され
て、最終的な食品および/または飼料を調製する。食品および/または飼料サプ
リメントを個々の酵素活性の溶液として処方し、次いで食品および/または飼料
サプリメントを処理してペレットまたはマッシュのようにする前に、この溶液と
食品および/または飼料物質とを混合することもまた可能である。
【0149】 (ベーカリー製品) 本発明は、食料品の調製のための加工における本発明の改変体キシラナーゼポ
リペプチドの使用を提供する。本発明に従う代表的なベーカリー製品(焼き製品
)としては、パン(例えば、ローフ、ロールパン、バン、ピザベースなど)、プ
レッツェル、トルティーヤ、ケーキ、クッキー、ビスケット、クラッカーなどが
挙げられる。ベーカリー製品のような食料品の調製は、当該分野で周知である。
例えば、生地生産は実施例2に記載される。粉のスラリーの粘性を変更するため
の本発明の改変体キシラナーゼの使用は実施例5に記載される。
【0150】 (デンプン生産) 本発明の改変体キシラナーゼはまた、穀物および塊茎(例えば、ポテト)由来
の植物材料からのデンプン生産に使用され得る。
【0151】 (木材パルプの加工) 本発明の改変体キシラナーゼはまた、木材パルプ加工において(例えば、紙を
調製する際)使用され得る。
【0152】 上記のように、本発明者らは、キシラナーゼ機能性の主要な決定因子が植物材
料中の内因性インヒビターの存在であることを示した。従って、キシラナーゼ機
能性を変更する1つの方法は、内因性インヒビターに対するその感受性を変更す
るためにキシラナーゼを改変することであるが、別の方法は、この植物材料中に
存在するインヒビターの量および/または型を変更することである。従って、本
発明はまた、キシラナーゼの機能性を変更するためのキシラナーゼインヒビター
の使用、従って、上記の植物材料の加工方法におけるキシラナーゼインヒビター
の使用を提供する。
【0153】 本発明は、ここで、以下の実施例(これは、例示されることのみが意図され、
非限定である)を参照してさらに記載される。
【0154】 (実施例) (実施例1−小麦内因性キシラナーゼインヒビターの精製および特徴付け) 2kgの小麦粉(Danish reform、バッチ99056)を、10
分間の攪拌の間に1:2の粉:水 比を使用して水を用いて抽出した。可溶性内
因性キシラナーゼインヒビターを、遠心分離によって小麦粉−水スラリーから分
離した。抽出および遠心分離を4℃で実施した。インヒビターを、以下のクロマ
トグラフィー技術:HPLC−SEC、HPLC−CIEC、ロータリーエバポ
レーション、HPLC−HIC、HPLC−SEC、およびロータリーエバポレ
ーションならびに濃縮技術によって水抽出物から精製した。キシラナーゼインヒ
ビターを、以下の定量化方法を用いて、精製の間にモニターし定量することがで
きた。
【0155】 (インヒビターの定量方法) 1 XIU(キシラナーゼインヒビター単位)を、下記の条件下で1TXUを
0.5TXUまで低減するインヒビターの量として規定する。
【0156】 本アッセイに使用したキシラナーゼは、Bacillus subtilis
野生型キシラナーゼである。
【0157】 1000μlの反応容積で反応するための12TXU/mlを含む250μl キシラナーゼ溶液、約100μl キシラナーゼインヒビター溶液およびクエ
ン酸(0.1M)−リン酸水素二ナトリウム(0.2M)緩衝液(pH5)を、
40℃で5分間予めインキュベートする。t=5分において、1Xylazym
e(Megazyme,Ireland)錠剤を、この反応混合物に添加する。
t=15分において、この反応を10ml 2% TRIS/NaOH(pH1
2)の添加によって終結する。この溶液を濾過し、そしてこの上清の吸光度を5
90nmにおいて測定する。上記のアッセイにおいていくつかの異なる濃度のイ
ンヒビターを選択することによって、OD対インヒビター濃度のプロットを作製
することが可能である。このプロットからの傾き(a)および切片(b)ならび
にキシラナーゼの濃度を用いて、所定のインヒビター溶液におけるXIU量を計
算することが可能である(式1)。
【0158】 式1 溶液中のXIU量=((b/2)/−a)/TXU 内因性キシラナーゼインヒビターの精製から、以下のインヒビターの収量を、
回収した(表1)。
【0159】 (表1.精製後の小麦内因性キシラナーゼインヒビターの回収率)
【0160】
【表3】 インヒビターサンプルは純粋であり、小麦の内因性キシラン分解(xylan
olytic)活性を含まなかった。
【0161】 (実施例2−キシラナーゼインヒビターを含まない小麦粉の分別および再構築
ならびに添加されたキシラナーゼインヒビターの関数としてのこの粉におけるキ
シラナーゼ機能性) (粉の分別および再構築) 使用した粉は、Danish Reform粉(バッチ番号99056)であ
った。分別、インヒビター不活化および再構築は、以下のようであった: 簡単な生地を、500BUでのパン類製造販売業者らの吸着およびFarin
ographの結果に従う混合時間に従って、最適な水を添加しながら1600
グラムの粉を混合することによって作製した。これによって、2512グラムの
生地が生じた。グルテンを、約5:1の水と生地の比を用いて、この生地から手
で洗い流した。使用した水は、4℃に事前に冷却し、この生地におけるさらなる
酵素活性を回避した。生じた洗浄水は、可溶性タンパク質(キシラナーゼインヒ
ビターを含む)、脂質、非デンプン多糖およびデンプンを含んだ。デンプンおよ
び他の不溶性成分を、遠心分離(5000g、10分、10℃)によって洗浄水
から分離した。この洗浄水中の内因性キシラナーゼインヒビターを不活化するた
めに、遠心分離からの上清を、加熱エバポレーターを用いて3分間煮沸した。
【0162】 全ての3つの画分(グルテン、デンプンおよび溶解物)を、フラスコで凍結し
、凍結乾燥機に置いた。乾燥後、この分画の重量を量り、乳鉢および乳棒、コー
ヒーミルを用いてすりつぶし、250μmのふるいを通してふるいにかけた。全
ての分画の重量を再び量り、そして分別後に得た比に基づいて、粉を再構築した
【0163】 (酵素) 表2に列挙するキシラナーゼを、本研究に使用した。キシラナーゼを精製し、
他のキシラン分解活性がこのサンプル中に存在しないことを意味する。
【0164】 (表2.本研究に使用したキシラナーゼおよび活性、TXU)
【0165】
【表4】 (キシラナーゼアッセイ(エンド−β−1,4−キシラナーゼ活性)) キシラナーゼサンプルを、クエン酸(0.1M)−リン酸水素二ナトリウム(
0.2M)緩衝液(pH5.0)に希釈して、最終アッセイにおいてOD=約0
.7を得る。サンプルの3回希釈および規定された活性を有する内部標準を、5
分間40℃でサーモスタットで調温する。時間=5分において、1Xylazy
meタブ(架橋された、染色キシラン基質)を、この酵素溶液に添加する。時間
=15分(またはいくつかの場合、サンプル中に存在するキシラナーゼ活性に依
存してより長く)において、この反応を、10mlの2% TRISの添加によ
って終結する。この反応混合物を、遠心分離し、そして上清のODを、590n
mで測定する。キシラナーゼの希釈および量を考慮すると、サンプルの活性(T
XU、総キシラナーゼ単位)が、標準物質と比較して計算され得る。
【0166】 (パン焼き試験) パン焼き試験を、それぞれ、(1.44×Danish Reform粉(バ
ッチ番号99056)中の初期インヒビターレベル)を用いて行い、そして再構
築された粉への精製内因性キシラナーゼインヒビターの添加なしに行った。パン
焼き試験を、表2に列挙するキシラナーゼおよび表3に列挙する組成を用いて実
施した。
【0167】 (表3.パン焼き試験内で作製した生地の組成)
【0168】
【表5】 (生地の分析) 生地を、以下に関して分析した: (粘着性) 生地の粘着性を、Chen And Hoseney(Lebensmitt
el Wiss u.−Technol.,28,467−473.1995)
によって記載された方法に従ってSMS Dough Stickiness
Cellを用いたTX−XT2システム(Stable Micro Syst
ems)において測定した。
【0169】 (生地液の粘性分析) 抽出した生地液の粘性を、抽出後にBrookfield粘度計を用いて測定
した。
【0170】 (生地液のペントサン分析) 溶解したペントサンを、RouauおよびSurget(Carbohydr
ate polymers,24,123−132,1994)の方法を用いて
生地液中で測定した。
【0171】 (結果) (粉の分別および再構築) 生地の分別および再構築によって、168.15グラムの凍結乾燥グルテン、
111.13グラムの凍結乾燥可溶性分画および1143.56グラムの凍結乾
燥デンプンを生じた。
【0172】 (粉の中のインヒビターの定量) インヒビター定量方法を用いて、99056粉の中のインヒビターレベルおよ
び再構築した粉の中のインヒビターレベルを検出することができた。これらの分
析からの結果を、表4に列挙する。
【0173】 (表4.本来の粉(99056)および再構築した粉におけるインヒビター定
量からの結果)
【0174】
【表6】 2部分の粉におけるインヒビターレベルを比較すると、再構築した粉における
インヒビターレベルの93%(100−(42XIU/590XIU)×100
%))の減少が、示される。
【0175】 (パン焼き試験) パン焼き試験からの結果を、表5および6に列挙する。
【0176】 (表5.再構築した粉、キシラナーゼおよびキシラナーゼインヒビター添加の
有り/無し(+/−)での、パン焼き試験からのデータ。標準偏差(%)は、2
日のパン焼きにわたる標準偏差を表す。
【0177】
【表7】 表5に示される標準偏差は、試験した生地の生地操作特性を反映する。内因性
キシラナーゼインヒビター無しで作製した生地(42XIU)は、操作が非常に
困難であった。これらの生地からの標準偏差は、3〜12.5%の範囲である。
インヒビターを添加した生地と比較して、これは非常に高かった。これらの標準
偏差をパンの容積における実際の変化と比較する場合、数値がほとんど同じ値で
あることが見出され得る。これは、本発明者らが、パンの容積に対するインヒビ
ターの影響が存在しないことに関して何も結論付けることができないことを意味
する。本発明者らが表5における内因性キシラナーゼインヒビターを添加して作
製した生地(850XIU)を見る場合、本発明者らは、2日間にわたる再生方
法において再構成した粉からパンを生産し得たことを理解することができる。標
準偏差は、0.05〜4.2%の範囲であり、これは許容できる。表6から、キ
シラナーゼは全て、焼いたパンの容積を増加したことが見出され得る。
【0178】 (表6.キシラナーゼおよびキシラナーゼインヒビター添加の関数としての、
再構築した粉から焼いたパンの容積の増加)
【0179】
【表8】 表5および6から推定され得ることは、粉の中にキシラナーゼインヒビターが
無いと、生地の操作が非常に困難になることである。従って、表6におけるイン
ヒビターの添加による容積のポジティブな応答として見出され得ることは、おそ
らく、困難な操作特性に起因したインヒビターを欠く生地における高い標準偏差
によって説明され得る。さらに、試験した全てのキシラナーゼが、ブランクのコ
ントロールに比較して、パンの容積を有意に増加したことを、結論付けることが
できる。
【0180】 (粘着性) パン焼き試験に使用した生地と同じ生地を、粘着性測定のために使用した。結
果を、表7に列挙する。
【0181】 (表7.時間、キシラナーゼ、および再構成した粉へのキシラナーゼインヒビ
ターの添加の関数としての、粘着性を表すデータ)
【0182】
【表9】 表7の結果は、本実験で観察したインヒビターの影響を明らかに示す。キシラ
ナーゼと組合わせて低いレベルのキシラナーゼインヒビターを有する生地は、操
作および成形が非常に困難であった。しかし、インヒビターを添加した場合、こ
の生地は乾燥し、操作が非常に簡単になった。表7から見出され得るように、イ
ンヒビターと組合わせた990202キシラナーゼの添加は、粘着性を減少した
。生地はより乾燥した。
【0183】 表7はまた、粘着性に対して時間の効果がわずかな小さいものであるを示す。
キシラナーゼは非常に速く作用するようである。最初の10分間内に、最初のキ
シラナーゼ(B.sub)が添加される場合、アラビノキシランのほとんどが改
変される。試験した第2のキシラナーゼ(A.nig)は、急速ではないが作用
するようである。時間の相関は、このキシラナーゼを用いて容易に観察され得る
。これはまた、粘着性に関して分析した場合に、インヒビターレベルの関数とし
て少しも影響を示さないキシラナーゼである。
【0184】 (生地の粘性) 生地の粘性およびペントサン分析結果を、キシラナーゼおよびキシラナーゼイ
ンヒビターを添加した再構築した粉から調製した生地の抽出物と同じ抽出物から
得た。この生地を、2つの試験時間(30分および120分)後に分析した。
【0185】 粘性分析の結果を、表8に表す。
【0186】 (表8.時間、キシラナーゼおよび再構築した粉へのキシラナーゼインヒビタ
ーの添加の関数としての、生地液の粘性を示すデータ)
【0187】
【表10】 表8に見出され得るように、インヒビターは、キシラナーゼの機能性に対して
有意な効果を有する。インヒビターの添加無しでは、アラビノキシランは、低い
粘性を有する低分子量(LMW)アラビノキシランへ脱重合される。インヒビタ
ーの添加は、アラビノキシランのこの非常に大量の脱重合を妨害する。
【0188】 (生地液のペントサン分析) 生地液のペントサン(アラビノキシラン)分析からの結果を、表9に表す。
【0189】 (表9.時間、キシラナーゼおよび再構築した粉へのキシラナーゼインヒビタ
ーの添加の関数としての、ペントサン可溶化を示すデータ)
【0190】
【表11】 表9の結果から見出され得るように、内因性キシラナーゼインヒビターの添加
は、アラビノキシランの可溶化を減少した。30分の試験時間後に評価した場合
、インヒビター無しで可溶化したアラビノキシランの量は、インヒビターの存在
下のほぼ2倍の量である。関連するコントロールサンプルの基礎に対して計算す
ると、可溶化は、以下の実施例において示されるように、インヒビターの非存在
下において大いに高い: (0.766−0.387)/(0.410−0.400)=37.9
倍高い可溶化 上記の実施例は、Bacillusキシラナーゼ、30分の試験およびインヒ
ビターの有り/無しを用いて、アラビノキシランの可溶化の基礎に対して計算し
た。
【0191】 (実施例3−キシラナーゼに対する部位指向型変異誘発) Bacillus subtilisキシラナーゼの特定の変異体を、多数の
市販の変異誘発キットのうちのいずれかを使用して、野生型酵素の部位指向型変
異誘発によって得ることができる。Quick Exchangeキット(St
ratagene Cloning Systems,11011 North
Torrey Pines Road,La Jolla,CA 92037
,USAから入手可能)を用いたD11F変異体を得る方法の例を、以下に提供
する: Bacillus subtilisキシラナーゼAをコードするDNA配列
は、Paiceら(1986)によって公開された。
【0192】 コード領域の配列は、以下のようであり、タンパク質の成熟部分をコードする
配列は大文字で示される:
【0193】
【表12】 野生型酵素の成熟部分をコードする遺伝子の部分を、分子生物学の当業者に周
知の方法によってE.coliの細胞内に発現し得る。例えば、以下: 1.GCTAGCACAの前に付加的なNde1制限酵素部位(CATATG
)、およびGTGTGGTAAの後に付加的なHindIII制限部位(AAG
CTT)を用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して上記の遺伝子の大
文字部分のコピーを生成する工程、 2.上記の酵素の使用によって生じた遺伝子の改変コピーを発現ベクターpE
T24a(+)(Novagen,Inc.601 Science Driv
e,Madison,WI53711,USAから入手され得る)に挿入する工
程、 3.適切なE.coli株に形質転換し、pET24a(+)の製造メーカに
よって記載されるように醗酵によって発現する工程を包含する方法 本発明者らのD11F変異酵素を、製造業者に従って「Quick Exch
ange」変異誘発キットを使用し、そして上記のBacillus subt
ilis野生型キシラナーゼpET24a(+)構築物および以下のPCR変異
誘発プライマー:
【0194】
【表13】 を使用することによって得ることができる。
【0195】 変異酵素を、発現し、そして野生型酵素と同じプロトコールを使用して精製す
る。
【0196】 (実施例4 キシラナーゼ変異の阻害研究) E.coliにおいて発現されるキシラナーゼ変異体(実施例3を参照のこと
)を、醗酵し、そして脱塩工程および陽イオン交換クロマトグラフィー工程を用
いて精製した(他のキシラン分解活性が精製された調製物に存在しなかったこと
を意味する)。
【0197】 これらの精製キシラナーゼ変異体調製物を12TXU/mlまで0.1Mクエ
ン酸−0.2Mリン酸水素二ナトリウム(pH5.0)を使用して希釈し、そし
て以下のアッセイにおいて使用した。
【0198】 安定なインヒビター調製物を、実施例1に記載のプロトコールに従って作製し
た。この安定なインヒビター調製物を、全てのキシラナーゼ−キシラナーゼイン
ヒビター研究のためのストックとして使用する。実施例1に記載されるインヒビ
ター定量方法を使用して、インヒビター調製物を126XIU/mlを含むよう
に分析した。
【0199】 (アッセイ) 250μlの希釈キシラナーゼ変異体調製物に、それぞれ0、10、25、5
0または100μlのインヒビター調製物を添加する。これらのインヒビターキ
シラナーゼ混合物に対して、0.1Mクエン酸−0.2Mリン酸水素二ナトリウ
ム(pH5.0)を添加して、最終容量を1000μlにした。これらの反応混
合物を、40℃で、5分間予めインキュベートした。この後、1個のキシラザイ
ム錠剤(Megazyme,Ireland)を、全てのインヒビターキシラナ
ーゼ混合物に添加した。40℃でのインキュベーションの10分後、反応を2%
のTris/NaOH(pH12.0)10mlを添加して終えた。混合物を、
遠心分離して、そして基質から遊離した青色を590nmで測定した。
【0200】 この結果を表10に示す。
【0201】
【表14】 表10の結果から、キシラナーゼ変異体D11Y、D11F、D11K、D1
1F/R122DおよびD11F/G34Dは、小麦内因性キシラナーゼインヒ
ビターによって阻害されないことを見出し得る。他のキシラナーゼ変異体または
他のキシラナーゼと比較してこれらのキシラナーゼ変異体が可溶性アラビノキシ
ランに対してより攻撃的に/特異的に作用することが予測された。従って、これ
らは、粘度における減少(HMWアラビノキシランの機能として)が欲される適
用において優れている。
【0202】 (実施例5 キシラナーゼ変異体の機能性研究) E.coliにおいて発現されるキシラナーゼ変異体(実施例3を参照のこと
)を、醗酵し、そして精製した(他のキシラン分解活性が精製された調製物に存
在しなかったことを意味する)。
【0203】 これらの精製キシラナーゼ変異体調製物を、水を使用して400TXU/mL
まで希釈し、そして以下のアッセイにおいて使用した。
【0204】 (アッセイ) 200mlの30%(w/w)小麦粉スラリーを、水(25℃までのサーモス
タットで調温する)を使用して5分間撹拌することにより作製した。60.0m
lのこの小麦粉スラリーを、Fordカップに注ぎ、そして50mlのドレナー
ジ時間を測定する。この測定は、ブランク測定である。60.0mlの小麦粉ス
ラリーを、注ぎ戻し、そして1000μlの希釈キシラナーゼ変異体調製物を撹
拌しながら小麦粉スラリーに添加する。2、5、10および20分後、60.0
mlをFordカップに注ぎ、そして50mlのドレナージ時間を記録する。各
測定を3回行った。
【0205】 この結果を表11に示す。
【0206】
【表15】 (実施例6 Bacillus subtilisキシラナーゼAの活性部位
における部位指向的変異は、キシラナーゼ:キシラナーゼインヒビター相互作用
に影響を及ぼす) Bacillus subtilis野生型キシラナーゼA酵素の活性部位に
おける残基を、部位指向的変異によって変更した(実施例3を参照のこと)。変
異残基(Y166F)において、潜在的な水素結合が欠失する。変異キシラナー
ゼを、E.coliにおいて発現し、醗酵し、そして精製した。この後、変異体
を、キシラナーゼインヒビターとの相互作用について研究した(実施例4を参照
のこと)。
【0207】 以下に示し得るように(表12)、活性部位におけるアミノ酸の交換は、驚く
ことに、Bacillus subtilis野生型キシラナーゼ酵素と比較し
て、キシラナーゼインヒビターとの相互作用に対していかなる影響も有さなかっ
た。
【0208】
【表16】 それ故に、要約すると、上記の実験は、Bacillus subtilis
キシラナーゼAの活性部位における部位指向的変異を示し、この変異は、キシラ
ナーゼのキシラナーゼインヒビターとの相互作用に影響を及ぼさない。
【0209】 (実施例7 Bacillus subtilisキシラナーゼA以外のファ
ミリー11キシラナーゼにおける部位指向的変異は、キシラナーゼ−キシラナー
ゼインヒビター相互作用に影響を及ぼす) Thermomyces lanuginosusキシラナーゼA酵素のD1
9残基を、部位指向的変異誘発によってF19に変異させた。D19は、Bac
illus subtilisキシラナーゼにおけるD11残基に対応する(配
列番号1)。Thermomyces lanuginosusキシラナーゼA
遺伝子を、配列番号9に記載する。
【0210】 D19F変異体のPCR構築のためのプライマーは、以下であり得る:
【0211】
【表17】 得られた変異キシラナーゼ(D19F)を、E.coliにおいて発現し、醗
酵し、そして精製した。この後、変異体およびThermomyces lan
uginosus野生型キシラナーゼAを、キシラナーゼインヒビターとのその
相互作用について研究した(実施例4を参照のこと)。表13の結果から見られ
るように、Thermomyces lanuginosusキシラナーゼAの
D19F変異は、Thermomyces lanuginosus野生型キシ
ラナーゼAと比較してキシラナーゼインヒビターによって、有意に少なく阻害さ
れる。
【0212】
【表18】 故に、要約すると、上記の実験は、Thermomyces lanugin
osusキシラナーゼAにおける部位指向的変異を示す。結果は、キシラナーゼ
分子の表面上でアミノ酸の置換を導入する変異(B.subtilisにおける
D11Fに対するアナログ)は、キシラナーゼ:キシラナーゼインヒビター相互
作用を変化することを示す。従って、本発明者らの発明(すなわち、表面残基が
キシラナーゼ阻害のレベルを制御すること)は、B.subtilisキシラナ
ーゼに対して相同性であるキシラナーゼに有効である。
【0213】 (要旨) 要約すると、本発明は、キシラナーゼインヒビターに対するキシラナーゼ酵素
の感受性を変更するための手段を提供する。
【0214】 上の明細書中に挙げた全ての刊行物は、本明細書中に参考として援用される。
種々の改変ならびに本発明の記載された方法およびシステムのバリエーションは
、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく当業者にとっては明らかである
。本発明は、特定の好ましい実施形態に関して記載されているが、特許請求され
る発明は、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことが理
解されるべきである。実際に、生化学および生物工学または関連分野の当業者に
明らかな、本発明を実施するための記載された様式の種々の改変は、上記の特許
請求の範囲内であることが意図される。
【0215】
【表19】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、配列番号1として示されるアミノ酸配列を有するB.subtili
sキシラナーゼの3−D構造を示す。BAND1は、分子の上層として図1に描
かれ、そして図1に示されるように分子が配向される場合に、この分子の上から
約13Å広がる。BAND1は、図1を見る場合、左側の残基Phe125で終
わり、そして図1で見る場合、右側の残基Asn61で終わる。
【図2】 図2は、51個のファミリー11キシラナーゼに関するアミノ酸配列整列デー
タを示す。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD, GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,I S,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG, MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,P T,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL ,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US, UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA03 AA05 BA12 CA01 CA11 DA01 DA06 EA04 HA01 4B050 CC01 CC04 DD02 LL02 LL10

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1以上のアミノ酸改変を含む改変体キシラナーゼポリペプチ
    ド、またはキシラナーゼ活性を有するそのフラグメントであって、該改変を含む
    結果、親キシラナーゼ酵素と比べて、キシラナーゼインヒビターに対する変更さ
    れた感受性を有する、ポリペプチドまたはそのフラグメント。
  2. 【請求項2】 11キシラナーゼファミリーに由来する、請求項1に記載の
    改変体ポリペプチド。
  3. 【請求項3】 前記アミノ酸改変が、1以上の表面アミノ酸残基である、請
    求項1または2に記載の改変体キシラナーゼポリペプチド、またはキシラナーゼ
    活性を有するそのフラグメント。
  4. 【請求項4】 前記アミノ酸改変が、1以上の溶媒接近可能なアミノ酸残基
    である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の改変体キシラナーゼポリペプチド
    、またはキシラナーゼ活性を有するそのフラグメント。
  5. 【請求項5】 前記アミノ酸改変が、少なくとも2つある、請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の改変体キシラナーゼポリペプチド、またはキシラナーゼ活
    性を有するそのフラグメント。
  6. 【請求項6】 前記アミノ酸改変が、配列番号1として示されるB.sub
    tilisのアミノ酸配列の以下のアミノ酸残基: Ala1−Trp6、Asn8、Thr10−Gly23、Asn25、Ser
    27、Asn29、Ser31−Asn32、Gly34、Thr43−Thr
    44、Ser46−Thr50、Asn52、Asn54、Gly56−Asn
    61、Asn63、Arg73−Leu76、Thr87−Arg89、Thr
    91−Lys95、Thr97、Lys99、Asp101−Gly102、T
    hr104、Thr109−Thr111、Tyr113−Asn114、As
    p119−Thr124、Thr126、Gln133−Asn141、Thr
    143、Thr145、Thr147−Asn148、Asn151、Lys1
    54−Gly157、Asn159−Leu160、Ser162−Trp16
    4、Gln175、Ser177、Ser179、Asn181、Thr183
    、Trp185 の任意の1以上にか、または他の相同なキシラナーゼポリペプチドにおけるそれ
    /それらと等価的な位置にある、請求項1〜5のいずれか1項に記載の改変体キ
    シラナーゼポリペプチド、またはキシラナーゼ活性を有するそのフラグメント。
  7. 【請求項7】 前記アミノ酸改変が、配列番号1として示されるB.sub
    tilisのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号11、12、13、15、17、
    29、31、32、34、113、114、119、120、121、122、
    123、124および175の任意の1以上にか、または他の相同なキシラナー
    ゼポリペプチドにおけるそれらと等価的な位置にある、請求項1〜6のいずれか
    1項に記載の改変体キシラナーゼポリペプチド、またはキシラナーゼ活性を有す
    るそのフラグメント。
  8. 【請求項8】 他のアミノ酸残基の任意の1つで1以上のアミノ酸改変をさ
    らに含む、請求項7に記載の改変体キシラナーゼポリペプチド、またはキシラナ
    ーゼ活性を有するそのフラグメント。
  9. 【請求項9】 前記他のアミノ酸残基が、配列番号1として示されるB.s
    ubtilisのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号3、4、5、6、7、19、
    20、21、22、23、24、25、26、27、28、38、39、40、
    41、42、43、44、45、55、56、57、58、59、60、64、
    65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、
    77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、
    89、90、91、92、93、94、108、109、110、126、12
    7、128、129、130、131、158、159、160、161、16
    2、163、164、165、166、167、168、169、170、17
    1、172、179、180、181、182、183の任意の1以上か、また
    は他の相同なキシラナーゼポリペプチドにおけるそれらと等価的な位置である、
    請求項8に記載の改変体キシラナーゼポリペプチド、またはキシラナーゼ活性を
    有するそのフラグメント。
  10. 【請求項10】 前記他の表面アミノ酸残基が、配列番号1として示される
    B.subtilisのアミノ酸配列のアミノ酸残基番号1、2、46、47、
    48、49、50、51、52、53、54、95、96、97、98、99、
    100、101、102、103、104、105、106、107、132、
    133、134、135、136、137、138、139、140、141、
    142、143、144、145、146、147、148、149、150、
    151、152、153、154、155、156、157、184、185の
    任意の1以上か、または他の相同なキシラナーゼポリペプチドにおけるそれらと
    等価的な位置である、請求項8に記載の改変体キシラナーゼポリペプチド、また
    はキシラナーゼ活性を有するそのフラグメント。
  11. 【請求項11】 前記インヒビターが、植物組織において天然に見出される
    インヒビターである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の改変体ポリペプチ
    ド。
  12. 【請求項12】 前記インヒビターに対する感受性が、減少される、請求項
    1〜11のいずれか1項に記載の改変体ポリペプチド。
  13. 【請求項13】 インヒビターに対するキシラナーポリゼペプチドの感受性
    を変更する方法であって、該方法は、該酵素の1以上のアミノ酸残基を改変する
    工程であって、その結果、該ポリペプチドまたはそのフラグメントが、親キシラ
    ナーゼ酵素と比べて、キシラナーゼインヒビターに対する変更された感受性を有
    する、工程を包含する、方法。
  14. 【請求項14】 前記改変体ポリペプチドが、請求項1〜12のいずれか1
    項に定義された改変体ポリペプチドである、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記感受性が、減少される、請求項13または14に記載
    の方法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜12のいずれか1項に記載の改変体ポリペプチ
    ドを含む組成物。
  17. 【請求項17】 植物の細胞壁を分解または改変する方法であって、該方法
    は、該植物の細胞壁に、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリペプチドま
    たは請求項16に記載の組成物を接触させる工程を包含する、方法。
  18. 【請求項18】 植物材料を処理する方法であって、該方法は、該植物材料
    に、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポリペプチドまたは請求項16に記
    載の組成物を接触させる工程を包含する、方法。
  19. 【請求項19】 請求項1〜12のいずれか1項に記載の改変体ポリペプチ
    ドをコードするヌクレオチド配列。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載のヌクレオチド配列を含む構築物。
  21. 【請求項21】 植物材料を改変する方法における請求項1〜12のいずれ
    か1項に記載の改変体ポリペプチドの使用。
  22. 【請求項22】 ベーキング、穀類加工、デンプン生産、木材加工、木材パ
    ルプの漂白増強の任意の1以上における請求項1〜12のいずれか1項に記載の
    改変体ポリペプチドの使用。
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