JP4794776B2 - 立旋盤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、立旋盤に係り、特に、一台の立旋盤で旋削加工と平削り加工を可能とする立旋盤に関する。
【0002】
【従来の技術】
立旋盤は、工作物を乗せるロータリテーブルを備え、工具を取り付けた刃物台が上下方向、水平方向に移動し、ロータリテーブルとともに回転する工作物に対して旋削加工を行う。近年では、立旋盤のNC化と精密化が進んでおり、レンズなどの光学機械部品用の金型等の超精密加工をも行えるようになっている。
【0003】
立旋盤で加工されるレンズ用金型には多くの種類がある。例えば、液晶モニタの集光レンズに利用されるフレネルレンズという特殊なレンズもそのひとつである。このフレネルレンズのような特殊レンズを大量に安価に加工できるようになったのは、NC立旋盤の進歩によるところが大きい。
【0004】
他方、コンピュータ、電子機器の進歩につれて、レンズなどの種類も増大しており、前記したフレネルレンズを例にすると、従来の円盤形のフレネルレンズに加えて、かまぼこ形を呈するリニアフレネルレンズというレンズが新しく生まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
旋盤での加工との関係では、フレネルレンズ用の金型は、立旋盤での旋削加工で加工できるが、リニアフレネルレンズ用の金型は、平削り加工が必要となる。従来の立旋盤は、平削り加工はできないため、リニアフレネルレンズ用金型の加工を行うことができない。従来は、同種の金型の加工でありながら、加工の種類が異なるため、それぞれの加工に適した機械をそれぞれ専用に設備しなければならない。このため、設置面積および設備費が増大し、加工コストを低減できない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、一台の立旋盤を使って本来の旋削加工に加えて、平削り加工をもできるようにした立旋盤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、本発明による立旋盤は、コラムに設けられ、水平方向に移動するサドルと、前記サドルに支持され、工具を割り出す割出軸を有し上下方向に移動する刃物台と、工作物を載せる旋削加工テーブルを有し、旋削加工のために前記旋削加工テーブルを水平面上で回転させる立旋盤用のロータリテーブルと、前記旋削加工テーブルの上面に着脱可能に固定され、直線案内を有するテーブルベースと、前記直線案内に沿って摺動自在に前記テーブルベース上に設けられ、工作物が固定される移動テーブルと、前記移動テーブルに直線送り運動を与えるボールねじ機構と、前記ボールねじ機構を駆動するサーボモータと、を備え、前記工作物を平削り加工のために直線送りをするプレーナテーブルと、前記刃物台を上下移動させる制御軸をZ軸、前記刃物台を水平移動する制御軸をX軸、前記刃物台の割出軸をB軸とする他、前記X軸、Z軸に直交する制御軸をY軸として数値制御するNC装置と、を備え、前記旋削加工テーブルに前記プレーナテーブルが設置された場合、前記NC装置は、前記プレーナテーブルのボールねじ機構の軸方向が前記X軸およびZ軸共に直交する方向になるように前記旋削加工テーブルが割り出されて固定された後、前記ボールねじ機構を駆動するサーボモータを前記Y軸のサーボモータとして数値制御するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による複合加工テーブルおよび同テーブルを備えた立旋盤の一実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態による立旋盤を示す側面図で、図2は同立旋盤を示す正面図である。参照符号10はベッドを示し、12は、ベッド10に組み込まれているロータリテーブルである。ベッド10の上面には、水平面上にあるコラム取付面13になっていて、コラム14は、この取付面13に固定されている。コラム14の上面には、V溝からなる案内面をもったサドル案内15が取り付けられ、サドル16は、案内面を摺動自在に設置されている。
【0009】
このサドル16には、図示しないボールねじ送り機構を介して刃物台18が支持されている。刃物台18の本体は、4つのツールホルダが回転軸に関して対称に設けられており、割出モータ20の回転を制御することで、一万分の1度の精度で工具の位置を割り出すことができるようになっている。
【0010】
この立旋盤の場合、刃物台18をサドル16とともに水平移動させる軸がX軸で、21はサドル16のボールネジ送り機構を駆動するX軸サーボモータである。また刃物台18を上下に移動させる軸がZ軸で、22は、刃物台18を上下方向に移動されるボールねじ送り機構を駆動するZ軸サーボモータである。刃物台18を割り出す軸がB軸である。なお、図2において、23はロータリテーブルを駆動する駆動装置である。
【0011】
ロータリテーブル12には、旋削加工を施す工作物を載せる旋削加工テーブル24が水平に配置されている。通常の旋削加工時には、旋削加工テーブル24が最上部にあって工作物が固定され、水平面上を回転する。ロータリテーブル12の本体内部には、旋削加工テーブル24の回転軸を支持するベアリングや、回転軸にトルクを伝える歯車などが組み込まれているが、それらは従来のロータリテーブルの一般的なものと異なるところはないので図示は省略されている。
【0012】
本発明においては、旋削加工テーブル24の上面には、平削り加工を行うためのプレーナテーブル26が着脱可能に取り付けられている。このプレーナテーブル26は、旋削加工テーブル24をその中心を通る線をもって左右の領域に分けた場合に、一方の領域に寄った位置に配置されており、これによりプレーナテーブル26の全幅を刃物台18のX軸移動でカバーすることができる。
【0013】
プレーナテーブル26は、旋削加工テーブル24の上面に固定されているテーブルベース28と、このテーブルベース28上を移動する移動テーブル30とから基本的に構成されている。テーブルベース28の上面には、直線案内を構成するV溝31a、31bが形成されており、これを案内に移動テーブル30は直線移動することができる。
【0014】
次に、図3は、プレーナテーブル26の縦断面を示す図である。
この図3に示されるように、テーブルベース28には、移動テーブル30を送るボールねじ送り機構が配設されている。32は、ボールねじである。このボールねじ32の両端部は、軸受33、34によって支持されており、一端部がY軸サーボモータ35と連結されている。ボールナット36は、移動テーブル30の底面に固定されて、ボールねじ32と螺合している。したがって、Y軸サーボモータ35によってボールねじ32が回転すると、回転が移動テーブル30を送る推力に変換されてボールナット36を介して伝わるようになっている。
【0015】
Y軸サーボモータ35は、立旋盤の図示しないNC装置のサーボドライバと接続されており、この実施形態では、移動テーブル30の送りを制御する軸をY軸としている。この場合、ボールねじ32の軸方向は、ロータリテーブル12の回転とともに変わり得るが、平削り加工を行うときには、図1に示すように、ボールねじ32の軸方向がX軸、Z軸に共に直交する方向(図1の紙面に直角な方向)になるようにロータリテーブル12の位置を割り出した後、図示しないクランプ手段で固定し、ボールねじ32の軸方向と機械上の位置制御軸であるY軸を一致させるようにしている。そして、立旋盤のNC装置は、X軸、Y軸、Z軸、B軸の合計4軸について同時に数値制御を行うことができるようになっている。なお、移動テーブル30の送り方向前後側は、案内面である前記V溝31a、31bを保護するために、蛇腹カバー40、41によって覆われている。
【0016】
図4は、プレーナテーブル26の横断面を示す図である。この図4に示されるように、テーブルベース28、移動テーブル30ともに、剛性を確保するとともに軽量化を図った構造をもっている。テーブルベース28の左右両側部は、所要数のクランプ部材46によってクランプされている。この場合、クランプ部材46の先端部をテーブルベース28の側部にある被係合部48に引っ掛け、クランプ部材46を台座47を介して旋削加工テーブル24の上面にボルトで締結することで、プレーナテーブル26を旋削加工テーブル24に簡易に固定することができる。プレーナテーブル26を取り外すときは、ボルトを戻してクランプ部材46を外せばよい。
【0017】
本実施形態によれば、旋削加工テーブル24にプレーナテーブル26を取り付けることで、従来の立旋盤では行えなかった平削り加工を次のようにして行うことができる。
【0018】
図1に示すように、移動テーブル30の移動方向がX軸、Z軸方向とそれぞれ直交するようにプレーナテーブル26を割り出し、図示しないテーブルクランプ装置で固定する。そして、移動テーブル30には図示しない工作物を取り付ける。平削り加工の加工プログラムをNC装置で実行することで、刃物台18をX軸、Y軸、B軸について数値制御すると同時に、Y軸について数値制御しながら移動テーブル30を送りながら、平削り加工機と同じように所望の平削り加工を工作物に行うことができる。
【0019】
もちろん、プレーナテーブル26を取り外してしまえば、旋削加工テーブル24に工作物を取り付けて、立旋盤本来の旋削加工を行うことができる。
【0020】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、一台の立旋盤で旋削加工に加えて、平削り加工の両方の加工を行うことができ、従来のように旋削加工と平削り加工のそれぞれに適した機械を設備する必要をなくすので、設備費を低減するとともに、機械の設置面積を大幅に少なくし、加工設備の合理化に資するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による立旋盤を示す側面図。
【図2】同立旋盤を示す正面図。
【図3】立旋盤のロータリテーブルに取り付けるプレーナテーブルを示す縦断面図。
【図4】同プレーナテーブルの横断面図。
【符号の説明】
10 ベッド
12 ロータリテーブル
14 コラム
16 サドル
18 刃物台
24 旋削加工テーブル
26 プレーナテーブル
28 テーブルベース
30 移動テーブル
32 ボールねじ
36 ボールナット

Claims (1)

  1. コラムに設けられ、水平方向に移動するサドルと、
    前記サドルに支持され、工具を割り出す割出軸を有し上下方向に移動する刃物台と、
    工作物を載せる旋削加工テーブルを有し、旋削加工のために前記旋削加工テーブルを水平面上で回転させる立旋盤用のロータリテーブルと、
    前記旋削加工テーブルの上面に着脱可能に固定され、直線案内を有するテーブルベースと、前記直線案内に沿って摺動自在に前記テーブルベース上に設けられ、工作物が固定される移動テーブルと、前記移動テーブルに直線送り運動を与えるボールねじ機構と、前記ボールねじ機構を駆動するサーボモータと、を備え、前記工作物を平削り加工のために直線送りをするプレーナテーブルと、
    前記刃物台を上下移動させる制御軸をZ軸、前記刃物台を水平移動する制御軸をX軸、前記刃物台の割出軸をB軸とする他、前記X軸、Z軸に直交する制御軸をY軸として数値制御するNC装置と、を備え、
    前記旋削加工テーブルに前記プレーナテーブルが設置された場合、前記NC装置は、前記プレーナテーブルのボールねじ機構の軸方向が前記X軸およびZ軸共に直交する方向になるように前記旋削加工テーブルが割り出されて固定された後、前記ボールねじ機構を駆動するサーボモータを前記Y軸のサーボモータとして数値制御するようにしたことを特徴とする立旋盤。
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